JP2006328242A - ポリオレフィン系グラフト共重合体、組成物およびその製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系グラフト共重合体、組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 マクロモノマーのラテックス中で後周期遷移金属系の配位重合触媒によりオレフィン系モノマーを重合させて製造されるポリオレフィン系グラフト共重合体において、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂に配合した際に耐油性に優れた組成物を与えるポリオレフィン系グラフト共重合体およびその製造方法を提供する。さらには、該共重合体を含む組成物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 特定のマクロモノマーを原料に用いることで組成物のオイル浸漬時の重量増加率が抑制され、すなわち耐油性が向上する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、マクロモノマーのラテックス中で配位重合触媒によりオレフィン系モノマーを重合させて製造されるポリオレフィン系グラフト共重合体に関する。
ポリオレフィン樹脂は工業的には配位重合により製造されている。オレフィンの配位重合触媒としては、チーグラーナッタ触媒、メタロセン触媒が有名である。が、このような前周期遷移金属系の配位重合触媒を用いる場合、極性化合物が錯体や触媒活性種と反応あるいは配位して、その活性を失わせたり分解したりする問題があった。そのため、ポリオレフィンに極性官能基を持つモノマーを共重合して機能性を付与することや、乳化重合系でオレフィン重合を行うことは困難であった。
極性化合物に対する耐性が高い配位重合触媒としては、後周期遷移金属錯体系の配位重合触媒が知られている。各種総説中(非特許文献1,非特許文献2,非特許文献3)に例示されるように、極性溶媒、例えばテトラヒドロフラン、エーテル、アセトン、酢酸エチル、水の存在下でも活性を失わずにポリオレフィンを重合でき、極性モノマー、例えばアクリル酸アルキル等の極性ビニル系モノマーとの共重合体を得ることもできる。しかし、これらの触媒を用いてもポリオレフィンと共重合できる極性モノマーの量には限界があった。極性モノマーの含量の多いポリオレフィン共重合体を得る技術が待望されていた。
これらの問題を解決するべく、マクロモノマーとオレフィン系モノマーを共重合させた共重合体が開示されている(特許文献1)。この技術ではマクロモノマーの一例として(メタ)アクリル系マクロモノマーを用いることができる。マクロモノマーとしてポリアクリル酸ブチルなどのアクリルゴムを用いた場合、得られたポリオレフィン系共重合体はポリプロピレン樹脂に耐衝撃性、軟質性などの特性を付与する改質剤として有用である反面、耐油性を低下させるという問題があった。
特開2003−147032 ケミカル・レビュー(Chemical Revew),2000年,100巻,1169頁 有機合成化学協会誌,2000年,58巻,293頁 アンゲバンテ・ケミー国際版(Angewandte Chemie International Edition),2002年,41巻,544頁
従って、本発明の目的は、マクロモノマーのラテックス中で後周期遷移金属系の配位重合触媒によりオレフィン系モノマーを重合させて製造されるポリオレフィン系グラフト共重合体において、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂に配合した際に組成物の耐油性を損なわないポリオレフィン系グラフト共重合体を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、特定のマクロモノマーを原料に用いることで組成物のオイル浸漬時の重量増加率が抑制され、すなわち耐油性が向上することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、マクロモノマーのラテックス中で後周期遷移金属系の配位重合触媒によりオレフィン系モノマーを重合させて製造されるポリオレフィン系グラフト共重合体において、マクロモノマー20部をポリプロピレン樹脂100部に配合した組成物のJIS K 6258の浸漬試験でIRM903油に100℃24時間浸漬した後の重量増加率が、マクロモノマーの主鎖繰り返し単位をアクリル酸ブチル単独に変えたマクロモノマー20部をポリプロピレン樹脂100部に配合した組成物の同試験における重量増加率よりも低いマクロモノマーを用いることを特徴とするポリオレフィン系グラフト共重合体に関する。
好ましい実施態様としてはマクロモノマーが炭素数1〜3のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルまたは/および炭素数2〜5および酸素数1からなるアルコキシアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル0〜99.9重量%、1分子あたり1個以上のラジカル重合性不飽和基と1分子あたり1個以上のオレフィン系モノマーと共重合しうる基を併せ持つ多官能性単量体0.05〜20重量%、およびこれらと共重合可能なモノマー0〜49.9重量%を共重合させてなる(メタ)アクリル系マクロモノマーであることを特徴とするポリオレフィン系グラフト共重合体に関する。
好ましい実施態様としては多官能性単量体がメタクリル酸アリル、メタクリル酸エチレングリコールジシクロペンテニルエーテルから選ばれることを特徴とするポリオレフィン系グラフト共重合体に関する。
好ましい実施態様としては後周期遷移金属系の配位重合触媒が2つのイミン窒素を有する配位子と周期表8〜10族から選ばれる後周期遷移金属とからなる錯体であることを特徴とするポリオレフィン系グラフト共重合体に関する。
好ましい実施態様としてはオレフィン系モノマーが炭素数2〜20のα―オレフィンであることを特徴とするポリオレフィン系グラフト共重合体に関する。
さらには上記ポリオレフィン系グラフト共重合体の製造方法に関する。
さらには上記ポリオレフィン系グラフト共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法に関する。
本発明のポリオレフィン系グラフト共重合体は、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂に配合した際に耐油性に優れた組成物を与える。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、マクロモノマーのラテックス中で配位重合触媒によりオレフィン系モノマーをマクロモノマーと共重合させて得られるポリオレフィン系グラフト共重合体とその製造方法に関するものである。さらには、ポリオレフィン系グラフト共重合体を含有する熱可塑製樹脂組成物とその製造方法に関するものである。なお、本発明で言うポリオレフィン系グラフト共重合体とは、オレフィンとマクロモノマーとをグラフト共重合させて得られる共重合体のことである。本発明で言うマクロモノマーとは、オリゴマーまたはポリマーであって、他のモノマーと共重合しうる官能基を有するものをいう。
本発明で用いられるマクロモノマーは、ポリアクリル酸ブチルより耐油性に優れたマクロモノマーであることを特徴とする。マクロモノマーの耐油性はJIS K 6258の浸漬試験でIRM903油に100℃24時間浸漬した後の重量増加率により評価できる。重量増加率が少ないものほどオイルが膨潤しにくい材料であり耐油性が高いと言える。
マクロモノマー20部をポリプロピレン樹脂100部に配合した組成物の同試験における重量増加率が、マクロモノマーの主鎖繰り返し単位をアクリル酸ブチル単独に変えたマクロモノマー20部をポリプロピレン樹脂100部に配合した組成物の同試験における重量増加率よりも低い場合に、ポリアクリル酸ブチルより耐油性が良いマクロモノマーであると判定する。本発明における「マクロモノマーの主鎖繰り返し単位をアクリル酸ブチル単独に変えたマクロモノマー」とは、その架橋構造が本発明で用いられるマクロモノマーと本質的に同一であり、主鎖構造を構成するための原料として用いられる単量体の代わりに同重量のアクリル酸ブチルを用いて重合されるマクロモノマーのことである。
本発明で用いられるマクロモノマーは、公知の単量体を公知の方法で重合させて製造することができる。単量体の具体例としては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メトキシトリプロピレングリコールなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸およびその酸無水物およびその金属塩;スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル化合物;1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系化合物;酢酸ビニル、ビニルエチルエーテルなどが挙げられる。
好ましくは(メタ)アクリル酸アルキルエステルが特に好ましいが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられるマクロモノマーがオレフィン系モノマーとグラフト共重合するためには、マクロモノマーがオレフィンと共重合しうる基を持つ必要がある。グラフト効率が良いという点から、マクロモノマー1分子あたり少なくとも1個以上、好ましくは10個以上のオレフィンと共重合しうる基を持つことが好ましい。このオレフィンと共重合しうる基は、どのような官能基でも特に制限はないが、配位重合の反応性が高いという点から、アリル末端、環状オレフィン末端、スチリル末端、(メタ)アクリル末端のものが好ましく、特に、アリル末端、ジシクロペンテニル末端のものが、好ましい。
一般的なマクロモノマーの主鎖構造、官能基の導入位置、製造方法には様々な種類のものが知られている。主鎖構造は直鎖状、環状、分岐状、架橋粒子、非架橋粒子、単層構造粒子、多層構造粒子、多相構造粒子など様々な構造のものが知られている。官能基の導入位置は主鎖中、側鎖中、直鎖状分子の片末端または両末端、単層構造または多層構造粒子の内部または粒子表面など様々な種類のものが知られている。
製造方法はアニオン重合、カチオン重合、ラジカル重合、配位重合、重縮合、開環重合、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合など様々な方法で合成されうる。本発明においてはマクロモノマーをラテックスの状態でオレフィンとの共重合させるため、本発明に用いられるマクロモノマーの製造方法としては懸濁重合または乳化重合が好ましい。本発明で用いられるマクロモノマーは、架橋粒子であっても非架橋粒子であっても良いが、架橋粒子であることが好ましい。単一の層だけをもつ均一な粒子であっても良く、複数の層からなる多層構造粒子であっても良い。マトリクス樹脂相の中に他の樹脂相が分散したサラミ状の多相構造粒子であっても良い。
本発明で用いられるマクロモノマーが多層構造をもつマクロモノマーである場合、全ての層がラジカル重合により製造されたものでも良く、ラジカル重合以外の方法で重合された層にラジカル重合可能な他のモノマーを共重合させたマクロモノマーでも良い。なお、多層構造をもつマクロモノマーとは、懸濁重合または乳化重合可能なモノマーの少なくとも1種以上を重合させて得られる重合体に、これとは種類または組成の異なるモノマーをグラフト共重合して得られるマクロモノマーである。乳化重合により多層構造を持つポリマーを製造する技術は公知であり、特開2001−89648、特開2002−363372、特開平10−316724などに開示されている。
本発明で用いられるマクロモノマーが多層構造を持つマクロモノマーである場合、それぞれの層を構成するポリマーの種類と組み合わせは特に制限無く従来公知のものを使えば良い。層の数にも制限は無く、2層またはそれ以上の任意の数の層を有していて良い。それぞれの層を構成するポリマーは結晶性のものでも良く、非結晶性のものでも良い。ゴム状重合体でもよく、硬質重合体でも良い。各層のポリマーの組み合わせは、任意に選びうる。得られる共重合体のハンドリング性が良好であるという点から、少なくとも1層以上のゴム状重合体と少なくとも1層以上の硬質重合体を含有する多層構造が好ましく、ゴム状重合体のコア層の周囲に硬質重合体のシェル層を持つ2層構造が特に好ましい。なお、ここで言うゴム状重合体、硬質重合体とは、コアシェルポリマー分野においてこれらの語が一般的に意味するものと同じ物である。
本発明で用いられるマクロモノマーが単一の層だけをもつ均一な粒子である場合、このようなマクロモノマーとしては(メタ)アクリル系、芳香族ビニル系、シアン化ビニル系、ジエン系、ビニルエステル系など様々なものが知られている。耐油性に優れたマクロモノマーであればいずれの物も好適に使用しうるが、他の物性とのバランスの面からは(メタ)アクリル系マクロモノマーが特に好ましい。本発明で言う(メタ)アクリル系マクロモノマーとは、ポリ(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするマクロモノマーのことである。(メタ)アクリルとは、メタクリルおよびアクリルの両方を意味する。
本発明で用いられるマクロモノマーの好ましい一例である(メタ)アクリル系マクロモノマーは、(A)炭素数1〜3のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキル(以下、化合物(A)という)、および(B)炭素数2〜5および酸素数1からなるアルコキシアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル(以下、化合物(B)という)、(C)1分子あたり1個以上のラジカル重合性不飽和基と1分子あたり1個以上のオレフィン系モノマーと共重合しうる基を併せ持つ多官能性単量体(以下、化合物(C)という)、および必要に応じて(D)これらと共重合可能な単量体(以下、化合物(D)という)を共重合させてなる(メタ)アクリル系マクロモノマーであることが好ましい。
各成分の好ましい使用量は、化合物(A)は好ましくは0〜99.9重量%、さらに好ましくは30〜99重量%である。化合物(B)は、好ましくは0〜99.9重量%、さらに好ましくは0〜50重量%である。ただし、化合物(A)および化合物(B)の使用量の合計は50.0〜99.9重量%である。化合物(A)および化合物(B)の使用量が少なすぎると、充分な耐油性が得られないことがある。化合物(A)と化合物(B)の使用量の合計が50重量%以上であれば、化合物(A)または化合物(B)のいずれか片方の使用量が0重量%であっても差し支えない。
化合物(C)は、好ましくは0.01〜20重量%、さらに好ましくは0.1〜3重量%である。化合物(C)の使用量が少なすぎると、得られるポリオレフィン系グラフト共重合体の熱可塑性樹脂への分散性が悪化することがある。化合物(C)の使用量が多すぎると、得られるポリオレフィン系グラフト共重合体と熱可塑性樹脂との組成物の物性に悪影響を及ぼすことがある。化合物(D)は、好ましくは0〜49.9重量%、さらに好ましくは0〜30重量%である。ただし、これら化合物(A)〜(D)の合計は100重量%である。
化合物(A)および化合物(B)は、(メタ)アクリル系マクロモノマーの主骨格を形成し、これを原料として得られるポリオレフィン系グラフト共重合体に優れた耐油性を付与するための成分である。化合物(A)は炭素数1〜3のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルであり、具体例としては、たとえば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピルなどがあげられる。これらの中でアクリル酸メチルおよびアクリル酸エチルが特に好ましい。炭素数が4以上のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルは、耐油性が低下することがあるため好ましくない。これら化合物(A)は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(B)は炭素数2〜5および酸素数1からなるアルコキシアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルであり、具体例としては、たとえば(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチルなどがあげられる。これらの中でアクリル酸2−メトキシエチルが特に好ましい。これら化合物(B)は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(C)成分は、それ自身が有するラジカル重合性不飽和基により(A)成分および(B)成分、場合により(D)成分と共重合して共重合体をつくり、その結果、該共重合体の側鎖または末端にオレフィン系モノマーと共重合しうる基を導入させ、該共重合体とオレフィン系モノマーとのグラフト共重合を可能にするための成分である。このオレフィン系モノマーと共重合しうる基は、どのような官能基でも特に制限はなく、モノマー分子中の内部でも末端でもどこに含まれていてもよいが、配位重合の反応性が高いという点から、アリル末端(α−オレフィン構造)、環状オレフィン末端、スチリル末端、(メタ)アクリル末端のものが好ましく、特に、アリル末端、ジシクロペンテニル末端のものが、好ましい。
オレフィン系モノマーと共重合しうる基がラジカル重合性と配位重合性を併せ持つ基である場合には、(C)成分が持つラジカル重合性不飽和基とオレフィン系モノマーと共重合しうる基は同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。同一の基である場合は(C)成分は1分子内に該ラジカル重合性不飽和基(かつオレフィン系モノマーと共重合しうる基でもある)を2つ以上含むことになるが、(メタ)アクリル系マクロモノマー合成時にそれらのラジカル重合性不飽和基のうち一部のみがラジカル重合反応した時点で反応を止め、得られる(メタ)アクリル系マクロモノマー中に未反応のラジカル重合性不飽和基(かつオレフィン系モノマーと共重合しうる基でもある)が残るように反応を制御しうる。
化合物(C)の代表例としては、たとえばメタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、エチレングリコールジアクリレート、メタクリル酸エチレングリコールジシクロペンテニルエーテル、などがあげられる。これら化合物(C)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、ポリオレフィン系モノマーとのグラフト効率が良好であるという点から、メタクリル酸アリル、メタクリル酸エチレングリコールジシクロペンテニルエーテルが好ましい。
化合物(D)は、(メタ)アクリル系マクロモノマーの弾性率、Tg、屈折率など各種物性を調整するための成分である。化合物(D)としては、化合物(A)〜(C)と共重合可能なモノマーであれば特に制限無く使用でき、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような化合物(D)の具体例としては、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、などの炭素数4以上のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシトリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどの極性官能基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(ただし、炭素数2〜5および酸素数1からなるアルコキシアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルは除く);(メタ)アクリル酸およびその酸無水物およびその金属塩;スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル化合物;1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、ビニルエチルエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらのなかでは、得られるポリオレフィン系グラフト共重合体と熱可塑性樹脂との組成物の物性バランスの点から、炭素数2〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、さらに好ましくはアクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。これら化合物(D)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる(メタ)アクリル系マクロモノマーは、通常の乳化重合法または懸濁重合法によりラジカル(共)重合させて製造し、ラテックスとして得ることができる。
重合に際し、原料の全量を一度に仕込んでもよく、また一部を仕込んだ後に残りを連続的または間欠的に追加してもよい。例えば化合物(A)および化合物(B)を反応させた後に化合物(C)を加えて反応させることにより、配位重合性不飽和基が(メタ)アクリル系マクロモノマー粒子の表層部に偏在した構造を設計することができる。また、あらかじめ化合物(A)〜(D)のうちのいずれかまたはそれらの混合物を乳化剤と水で乳化してから追加する方法や、化合物(A)〜(D)のうちのいずれかまたはそれらの混合物とは別に乳化剤または乳化剤の水溶液などを連続または分割して追加する方法等が採用できる。
懸濁重合または乳化重合に用いる水の量についてはとくに制限は無く、化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)および化合物(D)を乳化させるために必要な量であれば良く、通常化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)および化合物(D)の合計量に対して1〜20倍の重量を用いれば良い。使用する水の量が少なすぎると、疎水性成分の割合が多すぎてエマルジョンが油中水型から水中油型へ転相せず、水が連続層となりにくい。使用する水の量が多すぎると安定性に乏しくなる上、生産における効率が低くなる。
懸濁重合または乳化重合に用いる乳化剤は公知のものを使うことができ、アニオン性、カチオン性、ノニオン性のいずれの乳化剤も特に限定なく使うことができる。乳化能が良好であるという点から、アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルキル硫酸のアルカリ金属塩、アルキルスルホコハク酸のアルカリ金属塩などのアニオン性乳化剤が好ましい。該乳化剤の使用量には特に限定がなく、目的とする(メタ)アクリル系マクロモノマーの平均粒子径などに応じて適宜調整すればよいが、好ましくは化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)および化合物(D)の合計100重量部に対し10重量部以下である。
多すぎると、得られるポリオレフィン系グラフト共重合体を熱可塑性樹脂と配合した組成物に着色が生じることがある。なお、(メタ)アクリル系マクロモノマーの平均粒子径は、乳化剤の使用量の増減などの公知の技術を用いて制御することが可能である。共重合後に得られるポリオレフィン系グラフト共重合体をポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂と配合した時に良好な分散状態を示すという点から、(メタ)アクリル系マクロモノマーの平均粒子径は好ましくは20〜20000nm、さらに好ましくは50〜1500nm、さらに好ましくは100〜1000nmの範囲内であることが望ましい。
懸濁重合に用いる分散剤は、公知のものを使うことができる。具体例としてはリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、澱粉末シリカ等の水難溶性無機化合物;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等のノニオン系高分子化合物;ポリアクリル酸およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩、メタクリル酸エステルとメタクリル酸およびその塩との共重合体等のアニオン系高分子化合物などがあげられる。
懸濁重合に用いる重合開始剤は特に限定なく公知のものを使うことができる。具体例としてはアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリルなどのアゾ化合物および、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物があげられる。
乳化重合に用いる重合開始剤は特に限定なく公知のものを使うことができる。具体例としては過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどのアルキルハイドロパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化ジアシル;ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレイトなどの過酸化ジアルキル;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物、などが挙げられる。これらのうち、過硫酸塩およびアルキルハイドロパーオキサイドが好ましい。
また、これら開始剤は、熱分解的な方法の他に、重合開始剤並びに賦活剤(金属塩または金属錯体)、キレート剤、還元剤とからなるレドックス触媒として用いることもできる。重合開始剤は熱分解的な方法でもレドックス系触媒を用いる方法でも良い。熱分解的な方法は、還元剤や賦活剤などの添加物を加える必要がないので、金属イオン含量の少ない重合体を得るのに適している。レドックス系触媒を用いる方法は、低い反応温度でも高い反応率が得られ反応の制御が容易となる利点がある。
レドックス触媒を構成する還元剤としては例えばグルコース、デキストロース、スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸などが好ましく使用できる。安価で活性が高いという点から、このうちスルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒドが特に好ましい。
レドックス触媒を構成するキレート剤としてはエチレンジアミン四酢酸塩などのポリアミノカルボン酸塩、クエン酸などのオキシカルボン酸類、縮合リン酸塩など水溶性キレート化合物を形成するもの、およびジメチルグリオキシム、オキシン、ジチゾンなど油溶性キレート化合物を形成するものが挙げられる。これらの中でエチレンジアミン四酢酸塩などのポリアミノカルボン酸塩およびクエン酸などのオキシカルボン酸類が好ましい。
レドックス触媒を構成する賦活剤としては例えば鉄、銅、マンガン、銀、白金、バナジウム、ニッケル、クロム、パラジウム、コバルトなどの金属塩または金属キレートを挙げる事ができ、好ましい例としては例えば硫酸第一鉄、硫酸銅、ヘキサシアノ鉄(III)カリウムなどが挙げられる。賦活剤とキレート剤は、別々の成分として用いても良く、予め反応させて金属錯体として用いても良い。
開始剤、賦活剤、キレート剤、還元剤の組み合わせに特に限定は無く、それぞれ任意に選べば良い。賦活剤/還元剤/キレート剤の組み合わせの好ましい例としては例えば硫酸第一鉄/グルコース/ピロリン酸ナトリウム、硫酸第一鉄/デキストロース/ピロリン酸ナトリウム、硫酸第一鉄/スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド/エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、硫酸第一鉄/スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド/クエン酸、硫酸銅/スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド/クエン酸などの組み合わせがあり、とくに好ましい組み合わせとしては硫酸第一鉄/スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド/エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、硫酸第一鉄/スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド/クエン酸などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
開始剤の好ましい使用量は化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)および化合物(D)の合計100重量部に対して0.005〜2重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部である。キレート剤の好ましい使用量は化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)および化合物(D)の合計100重量部に対して0.005〜5重量部、さらに好ましくは0.01〜3重量部である。賦活剤の好ましい使用量は化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)および化合物(D)の合計100重量部に対して0.005〜2重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部である。使用量がこの範囲である時、重合速度が充分速く、かつ生成物の着色や析出が少なく抑えられるため好ましい。
懸濁重合または乳化重合には必要に応じて連鎖移動剤を用いても良い。該連鎖移動剤は特に限定なく公知のものを使うことができる。具体例としてはt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタンなどが挙げられる。
懸濁重合または乳化重合時の反応温度に特に制限はないが、0〜100℃、好ましくは30〜95℃であるのが好ましい。反応時間についても特に制限はないが、通常、10分〜24時間、好ましくは30分〜12時間、さらに好ましくは1時間〜6時間である。次に、本発明のポリオレフィン系グラフト共重合体を製造するための触媒について説明する。
本発明においては、ポリオレフィン系グラフト共重合体を製造するための触媒として配位重合触媒を用いる。配位重合触媒とは、配位重合を促進する触媒である。本発明に用いる配位重合触媒は、水および極性化合物の共存下でオレフィン重合活性を有する配位重合触媒であれば特に制限は無く用いることができる。
好ましい例としては、ケミカル・レビュー(Chemical Review),2000年,100巻,1169−1203頁、ケミカル・レビュー(Chemical Review),2003年,103巻,283−315頁、有機合成化学協会誌,2000年,58巻,293頁、アンゲバンテ・ケミー国際版(Angewandte Chemie International Edition),2002年,41巻,544−561頁、アンゲバンテ・ケミー国際版(Angewandte Chemie International Edition),2005年,44巻,429−432頁、ケミカルコミュニケーション(Chem.Commun.),2000年,301頁、Macromol.Symp.2000年,150巻,53頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules),2003年,36巻,6711−6715頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules),2001年,34巻,1165−1171頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules),2001年,34巻,2022−2026頁に記載されているものや、WO97/17380、WO97/48740に記載されているものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
その中でも合成が簡便という点で、2つのイミン窒素を有する配位子と周期表8〜10族から選ばれる後周期遷移金属とからなる錯体であることが好ましく、さらに好ましくはα−ジイミン型の配位子と周期表10族から選ばれる後周期遷移金属とからなる錯体であることがさらに好ましく、さらに特に好ましくは助触媒と反応後、下記一般式(1)、または一般式(2)で示される構造の種(活性種)が好適に使用される。
Figure 2006328242
(式中、Mはパラジウムまたはニッケルである。R1,R4は各々独立して、炭素数1〜4の炭化水素基である。R2,R3は各々独立して水素原子、またはメチル基である。R5はハロゲン原子、水素原子、または炭素数1〜20の有機基である。XはMに配位可能なヘテロ原子を持つ有機基であり、R5につながっていてもよい、またはXは存在しなくてもよい。L-は任意のアニオンである。)
Figure 2006328242
(式中、Mはパラジウムまたはニッケルである。R1,R4は各々独立して、炭素数1〜4の炭化水素基である。R5はハロゲン原子、水素原子、または炭素数1〜20の有機基である。XはMに配位可能なヘテロ原子を持つ有機基であり、R5につながっていてもよい、またはXは存在しなくてもよい。L-は任意のアニオンである。)
1,R4で表される炭素数1〜4の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−ブチル基などが好ましく、さらに好ましくはメチル基、イソプロピル基が好ましい。
Xで表されるMに配位可能な分子としては、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、アセトアルデヒド、酢酸、酢酸エチル、水、エタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレンなどの極性化合物を例示することができるが、なくてもよい。またR5がヘテロ原子、特にエステル結合等のカルボニル酸素を有する場合には、このカルボニル酸素がXとして配位してもよい。また、オレフィンとの重合時には、該オレフィンが配位する形になることが知られている。
また、L-で表される対アニオンは、α−ジイミン型の配位子と遷移金属とからなる触媒と助触媒の反応により、カチオン(M+)と共に生成するが、溶媒中で非配位性のイオンペアを形成できるものならばいずれでもよい。
両方のイミン窒素に芳香族基を有するα−ジイミン型の配位子、具体的には、ArN=C(R2)−C(R3)=NArで表される化合物は、合成が簡便で、活性が高いことから好ましい。R2、R3は炭化水素基であることが好ましく、特に、水素原子、メチル基、および一般式(2)で示されるアセナフテン骨格としたものが合成が簡便で活性が高いことから好ましい。さらに、両方のイミン窒素に置換芳香族基を有するα−ジイミン型の配位子を用いることが、立体因子的に有効で、ポリマーの分子量が高くなる傾向にあることから好ましい。従って、Arは置換基を持つ芳香族基であることが好ましく、例えば、2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジイソプロピルフェニルなどが挙げられる。
本発明の後周期遷移金属錯体から得られる活性種中の補助配位子(R5)としては、炭化水素基あるいはハロゲン基あるいは水素基が好ましい。後述する助触媒のカチオン(Q+)が、触媒の金属−ハロゲン結合あるいは金属−水素結合あるいは水素−炭素結合から、ハロゲン等を引き抜き、塩が生成する一方、触媒からは、活性種である、金属−炭素結合あるいは金属−ハロゲン結合あるいは金属−水素結合を保有するカチオン(M+)が発生し、助触媒のアニオン(L-)と非配位性のイオンペアを形成する必要があるためである。R5を具体的に例示すると、メチル基、クロロ基、ブロモ基あるいは水素基が挙げられ、特に、メチル基あるいはクロロ基が、合成が簡便であることから好ましい。
なお、M+−ハロゲン結合へのオレフィンの挿入よりM+−炭素結合(あるいは水素結合)へのオレフィンの挿入の方がおこりやすいため、触媒の補助配位子として特に好ましいR5はメチル基である。さらに、R5としてはMに配位可能なカルボニル酸素を持つエステル結合を有する有機基であってもよく、例えば、酪酸メチルから得られる基が挙げられる。
助触媒としては、Q+-で表現できる。Qとしては、Ag、Li、Na、K、Hが挙げられ、Agがハロゲンの引き抜き反応が完結しやすいことから好ましく、Na、Kが安価であることから好ましい。Lとしては、BF4、B(C65)4、B(C63(CF32)4、PF6、AsF6、SbF6、(RfSO22CH、(RfSO23C、(RfSO22N、RfSO3が挙げられる。特に、PF6、AsF6、SbF6、(RfSO22CH、(RfSO23C、(RfSO22N、RfSO3が、極性化合物に安定な傾向を示すという点から好ましく、さらに、PF6、AsF6、SbF6が、合成が簡便で工業的に入手容易であるという点から特に好ましい。
活性の高さからは、BF4、B(C65)4、B(C63(CF324が、特にB(C65)4、B(C63(CF324が好ましい。Rfは複数のフッ素基を含有する炭化水素基である。これらフッ素は、アニオンを非配位的にするために必要で、その数は多いほど好ましい。Rfの例示としては、CF3、C25、C49、C817、C65があるが、これらに限定されない。またいくつかを組み合わせてもよい。
上述の活性化の理由から、後周期遷移金属錯体系触媒/助触媒のモル比は、1/0.1〜1/10、好ましくは1/0.5〜1/2、特に好ましくは1/0.75〜1/1.25である。
本発明に用いられる、オレフィン系モノマーは、配位重合可能な炭素−炭素二重結合を有するオレフィン化合物である。
オレフィン系モノマーの好ましい例としては炭素数2〜20のオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロヘキサン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン等が挙げられる。この中でもα−オレフィン(末端に炭素−炭素二重結合を有するオレフィン化合物)、特に炭素数10以下のα−オレフィンが重合活性の高さから特に好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられる。これらのオレフィン系モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上使用してもよい。
また、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−ヘキサジエン、3,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、1,13−テトラデカジエン、1,5−シクロオクタジエン、ノルボルナジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、エチリデンノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、ジメタノオクタヒドロナフタリン、ジシクロペンタジエン等のジエンを少量併用してもよい。ジエンの使用量はオレフィン系モノマー100重量部に対して好ましくは0〜20重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部である。 オレフィン系モノマーの使用量としては、制限は無いが、分子量の大きい重合体を収率良く得られるという点から、オレフィン系モノマー/活性種がモル比で10〜109、さらには100〜107、とくには1000〜105とするのが好ましい。
次に、本発明のグラフト共重合体の製造方法について説明する。
本発明のポリオレフィン系グラフト共重合体は、特定のマクロモノマーのラテックス中に配位重合触媒を分散させ乳化重合的な条件下で製造される。必要に応じて乳化剤や有機溶媒などの添加物を加えても良い。各原料の仕込み順序と方法には特に制限はないが、反応制御の容易さの点から、マクロモノマーのラテックスに配位重合触媒、溶媒、乳化剤などを加えて分散させた後にオレフィン系モノマーを加えるのが好ましい。
マクロモノマーのラテックス、オレフィン系モノマーおよび配位重合触媒は、反応容器内に一括して全量を仕込んでも一部を仕込んだ後に残りを連続的にまたは間欠的に追加してもよい。また、そのままの状態または水および乳化剤と混合して乳化液とした状態のいずれで仕込んでもよい。用いるオレフィン系モノマーが液体である場合は、スケールの発生を抑制しうるという点から、モノマーを乳化させてから仕込むことが好ましい。用いるオレフィン系モノマーが反応温度において気体である場合は、気体のまま仕込んでもよいし、または低温で該オレフィン系モノマーを凝集させた液体もしくは凝固させた固体として仕込んだ後に系を反応温度まで加熱してもよい。
マクロモノマーとオレフィン系モノマーの使用割合は任意に設定しうるが、用いるマクロモノマー100重量部に対してオレフィン系モノマーを好ましくは1〜100重量部、さらに好ましくは2〜33重量部用いることが好ましい。オレフィン系モノマーが沸点100℃以下の揮発性液体もしくは気体である場合は、オレフィン系モノマーを大過剰に用い、上記の好ましい量が重合した時点で反応を停止して、加熱あるいは減圧により未反応モノマーを除去することも可能である。
重合の際、オレフィン系モノマーおよび配位重合触媒の溶解度を高め反応を促進するために有機溶媒を少量添加してもよい。その溶媒としては、特に制限は無いが、脂肪族または芳香族溶媒が好ましく、これらはハロゲン化されていてもよい。例としては、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ブチルクロリド、塩化メチレン、クロロホルムが挙げられる。また、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、エタノール、メタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル等の極性溶媒であってもよい。水溶性が低く、かつ使用するマクロモノマーに比較的含浸しやすく、かつ触媒が溶解しやすい溶媒であることが特に好ましく、このような特に好ましい例としては塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンおよびブチルクロリドが挙げられる。
これらの溶媒は単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。溶媒の合計使用量は、反応液全体の体積に対して好ましくは30容量%以下、さらに好ましくは10容量%以下である。あるいは、使用するマクロモノマー100重量部に対して好ましくは150重量部以下、さらに好ましくは50重量部以下である。反応速度がより向上するという点からは溶媒の使用量が多い方が好ましく、反応系を均一に保ちやすいという点からは溶媒の使用量は少ない方が好ましい。
本発明のグラフト共重合体を製造する反応温度、圧力、時間は、用いる原料の沸点や反応速度に応じて任意に選べばよく、特に制限は無いが、反応の制御が容易であり生産コストを抑えるという観点から、一般的な懸濁重合・乳化重合が行われる通常の条件が好ましい。反応温度は好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは10〜95℃、さらに特に好ましくは20〜80℃である。反応圧力は好ましくは0.05〜10MPa、さらに好ましくは0.1〜4MPaであり、反応時間は好ましくは10分〜100時間、さらに好ましくは0.5〜50時間である。温度および圧力は、反応開始から終了まで常時一定に保ってもよいし、反応途中で連続的もしくは段階的に変化させてもよい。
用いるオレフィン系モノマーが気体である場合は、重合反応によりオレフィン系モノマーが消費されるに従って徐々に圧力が低下しうるが、そのまま圧力を変化させて反応を行ってもよく、または消費量に応じてオレフィン系モノマーを供給したり加熱するなどにより常時一定の圧力を保って反応を行ってもよい。
本発明により得られるポリオレフィン系グラフト共重合体は、通常ラテックスとして得られる。ラテックスの粒径は使用した原料マクロモノマーの粒径および反応させたオレフィン系モノマーの量に応じた物が得られる。ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂への分散性が特に優れるという点から、好ましくは20nm〜20000nm、さらに好ましくは50〜1500nmのものが得られる条件を選ぶのが好ましく、さらに好ましくは、100〜1000nmである。反応条件によってはラテックス粒子の一部が凝集して析出したりフリーのポリオレフィンが副生成して析出する場合があるが、このような析出物の無い条件で反応を行うことが好ましい。
かくして得られた本発明のポリオレフィン系グラフト共重合体を含むラテックスは、そのままの状態で用いてもよいし、または添加剤を加えたり、他のラテックスとブレンドしたり、希釈・濃縮・熱処理・脱気処理などの処理を加えてから用いてもよい。プラスチック、金属、木材、ガラスなどの基材の上に塗布してコーティング剤、塗料、表面処理剤などに用いてもよいし、繊維、紙、布、カーボンファイバー、グラスウールなどに含浸させて改質剤、硬化剤などに用いてもよい。繊維強化プラスチックや、キャストフィルムの原料として用いてもよい。
本発明のポリオレフィン系グラフト共重合体は、これを含むラテックスを脱水して固形成分を回収し各種用途に供することもできる。ラテックスから固形成分を回収する方法としては、例えば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、ギ酸カルシウムなどの電解質を加えて凝集させる方法(塩析)、メタノールなどの親水性の有機溶媒と混合して凝集させる方法、または超音波処理、高速撹拌、遠心分離などの機械的操作により固形分を凝集させる方法、または噴霧乾燥、熱乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥などの乾燥操作により水分を除去する方法などが挙げられるが、これに限定されない。ラテックス中から本発明のポリオレフィン系グラフト共重合体を回収する一連の工程中のいずれかの段階で水および/または有機溶媒による洗浄操作を行ってもよい。
本発明のポリオレフィン系グラフト共重合体は、ラテックスの固形成分を凝集させたり乾燥させ水分を除去することによって、粉末状または塊状として回収することができる。乾燥物を押出機またはバンバリーミキサーなどを用いてペレット状に加工したり、凝集物から脱水(脱溶媒)を経て得られた含水(含溶媒)状態の樹脂を圧搾脱水機を経由させることによりペレット状に加工し回収することもできる。ハンドリング性が良いという点から、好ましくは粉末状として回収することが好ましい。
本発明のポリオレフィン系グラフト共重合体を各種の熱可塑性樹脂に配合することにより本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造することができる。
熱可塑性樹脂としては、一般に用いられている樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンオクテンゴム、ポリメチルペンテン、エチレン環状オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレングリシジルメタクリレート共重合体、エチレンメチルメタクリレート共重合体などのポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド共重合体、α−メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体などのビニルポリマー;ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル−ポリスチレン複合体、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォンなどのエンジニアリングプラスチックが好ましく例示される。
これら熱可塑性樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうちポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンが、本発明のポリオレフィン系グラフト共重合体の分散性が良好であるという点で好ましい。本発明の共重合体は特にポリプロピレン樹脂の耐油性を低下させない。
熱可塑性樹脂とグラフト共重合体との配合割合は、成形品の物性がバランスよく得られるように適宜決定すればよいが、充分な物性を得るためにはグラフト共重合体の量が熱可塑性樹脂100部に対して0.1部以上、好ましくは5部以上であり、また熱可塑性樹脂の特性を維持するためには、グラフト共重合体の量が熱可塑性樹脂100部に対して500部以下、好ましくは100部以下が好ましい。
本発明のポリオレフィン系グラフト共重合体は、ポリオレフィン成分を含むためポリエチレン、ポリプロピレンなど低極性の樹脂に対しても良好な分散性を示し、かつマクロモノマーの中に含まれる官能基に由来した様々な機能を付与することができる。
原料に単層構造の(メタ)アクリル系マクロモノマーまたは(メタ)アクリル系ゴムコア−(メタ)アクリル系硬質シェル多層構造のマクロモノマーを用いた場合は、本発明のポリオレフィン系グラフト共重合体は、耐油性、低接触角、高表面張力、表面ぬれ性、接着性、塗装性、染色性、高誘電率、高周波シール性等、極性をあらわす物性あるいは極性の結果としてあらわれる物性を示す。熱可塑性樹脂用、特にポリオレフィン用の極性付与剤(耐油性、接着性、塗装性、染色性、高周波シール性等)、相溶化剤、プライマー、コーティング剤、接着剤、塗料、ポリオレフィン/フィラー系複合材料やポリオレフィン系ナノコンポジットの界面活性化剤などに用いられ、また、ポリオレフィンを樹脂成分に、(メタ)アクリル系ゴムをゴム成分に有する熱可塑性エラストマー、耐衝撃性プラスチックなどに用いることができる。
本発明のグラフト共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、プラスチック、ゴム工業において知られている通常の添加剤、例えば可塑剤、安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、ガラス繊維、充填剤、高分子加工助剤、艶消し剤などの配合剤を含有することができる。
本発明のグラフト共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物を得る方法としては、通常の熱可塑性樹脂の配合に用いられる方法を用いることができ、例えば、熱可塑性樹脂と本発明のグラフト共重合体および所望により添加剤成分とを、加熱混練機、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、プラストミル、ブラベンダー、バンバリーミキサー、ニーダー、高剪断型ミキサー等を用いて溶融混練することで製造することができる。また各成分の混練順序は特に限定されず、使用する装置、作業性あるいは得られる熱可塑性樹脂組成物の物性に応じて決定することができる。
また、その熱可塑性樹脂が懸濁重合または乳化重合法で製造されるばあいには、該熱可塑性樹脂とグラフト共重合体とを、いずれもラテックスの状態でブレンドしたのち、共析出(共凝集)することで得ることも可能である。
かくして得られるグラフト共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物の成形法としては、通常の熱可塑性樹脂組成物の成形に用いられる、例えば射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法などの成形法が挙げられる。
以下に、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
(合成例1)マクロモノマーラテックスの合成
撹拌装置、温度計、還流冷却管、滴下漏斗を装着した2Lガラス製セパラブルフラスコに水1.4L(400重量部)、アクリル酸エチル160.7g(46重量部)、アクリル酸メトキシエチル101.3g(29重量部)、メタクリル酸アリル6.98g(2重量部)、アクリル酸ブチル87.3g(25重量部)、ドデシル硫酸ナトリウム1.4gを仕込んで窒素バブリングした後、撹拌し乳化させた。窒素気流下で内温70℃に加熱し10%過硫酸アンモニウム水溶液6.4mLを加えて4時間反応させた。固形分含量20%、粒径120nmのマクロモノマーラテックスを得た。なお、固形分含量は軟膏缶にラテックス約1mLを入れて100℃のオーブンで1〜2時間加熱乾燥し残存する固形分の量から算出した。粒径はマイクロトラック粒度分布測定装置(日機装(株)製)により測定した。
(実施例1)マクロモノマーラテックスとエチレンの共重合
下記化学式(3)
Figure 2006328242
の構造を持つパラジウム錯体(以下[N^N]PdMeClともいう)をジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Am.Chem.Soc.)1995年,117巻,6414頁等の文献に記載されている公知の方法によって合成した。[N^N]PdMeClの80mmol/Lジエチルエーテル溶液8mLとLiB(C654の80mmol/Lジエチルエーテル溶液8mLを混合し、LiClを沈殿させて[N^N]PdMe+・B(C654 -錯体の40mmol/Lジエチルエーテル溶液16mLを調製した。シュレンク管に[N^N]PdMe+・B(C654 -錯体のジエチルエーテル溶液を入れ、室温で減圧してジエチルエーテルを除去した後、塩化メチレンを加えて再度溶解させ、 [N^N]PdMe+・B(C654 -錯体の4mmol/L塩化メチレン溶液を調整した。
合成例1のマクロモノマーラテックス750mLを窒素バブリングにより脱酸素した後、アルゴン置換した1Lオートクレーブに仕込んだ。また、アルゴン置換した100mLシュレンク管に水15mLとドデシル硫酸ナトリウム150mgを入れ、[N^N]PdMe+・B(C654 -錯体の4mmol/L塩化メチレン溶液15mLを加え、超音波発振機UH−600(株式会社エスエムテー)を用いて乳化させた。この乳化液をオートクレーブに仕込み、攪拌してマクロモノマーラテックス中に分散させた。さらにエチレンを添加して3MPaに加圧した。エチレンが重合で消費され内圧が2.8MPaに下がったら3.0MPaまでエチレンを追加することを繰り返しながら、室温で30時間反応させた。10.7gのエチレンが消費された。なお、エチレンの消費量は、高圧高温における気体の状態方程式pV=nZRTを用いて計算した。
ここでp=圧力、V=体積、n=モル数、Z=定数、R=気体の状態定数、T=温度である。化学便覧改定4版基礎編II、110頁の表8.8のデータよりT=300(K)のときZ=−0.0666p+1.0048と近似した。気相部の体積Vは、反応容器の内容積から仕込んだ反応液の体積を差し引いて求めた。内圧がp1(MPa)からp2(MPa)に低下した際の消費エチレン量Δn(mol)は
Δn=p1*V/(−0.0666p1+1.0048)/(RT)−p2*V/(−0.0666p+1.0048)/(RT)
により計算した。反応開始から終了時までの内圧変化から求めたΔnの累計を反応したエチレンの総量と見なした。
未反応のエチレンを除去し、反応生成物をラテックスの状態で回収した。生成物のラテックスに10%塩化カルシウム水溶液を加えて塩析し、濾過、水洗、乾燥の後処理を行って本発明のポリオレフィン系グラフト共重合体を得た。
ポリプロピレン樹脂F102W(グランドポリマー)100重量部に本発明のポリオレフィン系グラフト共重合体重量20部を配合し、Φ8”×L20”型ミキシングロール機(日本ロール製造(株))を用い回転数17&14で180℃5分間混練した。圧縮成形機((株)神藤金属工業所)を用いて200℃、50kgf/cm2で10分間プレスし約0.7mm厚のシートを作成した。JIS−K7113付属書1記載の2(1/3)号試験片を打ち抜き、これをJIS−K6258に準拠してIRM903オイル(日本サン石油(株))に100℃24時間の浸漬し、重量増加率を測定した。
(比較合成例1)
合成例1においてアクリル酸エチルとアクリル酸メトキシエチルの代わりに同重量のアクリル酸ブチルを用いた以外は合成例1と同様の手順で重合を行った(アクリル酸ブチル98重量部、メタクリル酸アリル2重量部)。固形分含量20%、粒径150nmのマクロモノマーラテックスを得た。
(比較例1)
実施例1において合成例1のマクロモノマーラテックスの代わりに比較合成例1のマクロモノマーラテックスを用いた以外は実施例1と同様の手順で重合を行った。室温で26時間反応させ11.3gのエチレンが消費された。実施例1と同様の手順で後処理を行いポリオレフィン系グラフト共重合体を得た。ポリプロピレン樹脂100重量部にこのポリオレフィン系グラフト共重合体20重量部を配合して試験片を作成し、耐油試験を行った。
(比較例2)
共重合体を配合せずポリプロピレン樹脂のみを用いて合成例1および比較例1と同様に試験片を作成し、耐油試験を行った。
Figure 2006328242
重量増加率は試験片がどのくらいオイルで膨潤しやすいかを示す指標であり、この値が低いほど耐油性が高いといえる。実施例1のポリオレフィン系グラフト共重合体を配合した組成物の重量増加率は、何も配合していないポリプロピレン樹脂(比較例2)と同等のレベルまで抑制されている。比較例1のポリオレフィン系グラフト共重合体を配合した組成物は、重量増加率が高くなっており、耐油性が悪化していることがわかる。

Claims (8)

  1. マクロモノマーのラテックス中で後周期遷移金属系の配位重合触媒によりオレフィン系モノマーを重合させて製造されるポリオレフィン系グラフト共重合体において、マクロモノマー20部をポリプロピレン樹脂100部に配合した組成物のJIS K 6258の浸漬試験でIRM903油に100℃24時間浸漬した後の重量増加率が、マクロモノマーの主鎖繰り返し単位をアクリル酸ブチル単独に変えたマクロモノマー20部をポリプロピレン樹脂100部に配合した組成物の同試験における重量増加率よりも低いマクロモノマーを用いることを特徴とするポリオレフィン系グラフト共重合体。
  2. マクロモノマーが炭素数1〜3のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルまたは/および炭素数2〜5および酸素数1からなるアルコキシアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル50.0〜99.9重量%、1分子あたり1個以上のラジカル重合性不飽和基と1分子あたり1個以上のオレフィン系モノマーと共重合しうる基を併せ持つ多官能性単量体0.01〜20重量%、およびこれらと共重合可能なモノマー0〜49.9重量%を共重合させてなる(メタ)アクリル系マクロモノマーであることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系グラフト共重合体。
  3. 多官能性単量体がメタクリル酸アリル、メタクリル酸エチレングリコールジシクロペンテニルエーテルから選ばれることを特徴とする請求項2記載のポリオレフィン系グラフト共重合体。
  4. 後周期遷移金属系の配位重合触媒が2つのイミン窒素を有する配位子と周期表8〜10族から選ばれる後周期遷移金属とからなる錯体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオレフィン系グラフト共重合体。
  5. オレフィン系モノマーが炭素数2〜20のα―オレフィンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリオレフィン系グラフト共重合体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリオレフィン系グラフト共重合体の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリオレフィン系グラフト共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物。
  8. 請求項7に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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