JP2006327984A - ヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールの合成方法及びこれを用いたバイオセンサーの製造方法 - Google Patents

ヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールの合成方法及びこれを用いたバイオセンサーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ヘテロ二官能性ポリエチレングリコールの合成方法において、ステップ数が少なく、収率、および純度が高いことを特徴とする合成方法を提供すること。
【解決手段】 (i)HO−(CH2CH2O)m−H(式中、mは1〜10の整数を表す。)で表されるオリゴエチレングリコールと、反応性基と官能基とを有する基質とを、[オリゴエチレングリコールのモル数]/[基質のモル数]の値が5以上となるように混合し、該オリゴエチレングリコールの第二の水酸基を保護することなく、該オリゴエチレングリコールの第一の水酸基を第一の官能基に変換する工程;及び
(ii)該オリゴエチレングリコールの第二の水酸基を、上記第一の官能基とは異なる、第二の官能基に変換する工程:
を含む、ヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールの合成方法、およびこれを用いたバイオセンサーの方法に関する。特に、本発明は、表面プラズモン共鳴バイオセンサーに用いるためのヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールの合成方法に関する。
現在、ヘテロ二官能性ポリエチレングリコールは、バイオセンサーやドラッグデリバリーなどのライフサイエンス分野で広く用いられている。一般に、ヘテロ二官能性ポリエチレングリコールの合成はエチレンオキシドの重合後に官能基変換が可能な重合開始剤を使用することを特徴とする。すなわち、予め片末端水酸基が保護されたポリエチレングリコールを使用することにより、各々異なる官能基の導入が可能となる(特許文献1)。これに対して、鎖長の短いヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールは、前記した合成方法では所望の分子鎖長に揃えることが困難なため、予め分子鎖長の揃ったオリゴエチレングリコールを出発原料として合成するのが一般的であり、例えば、片末端の水酸基をテトラヒドロピラニル基などのようなもので保護した後、もう一方の水酸基を官能基変換し、次いで、脱保護を経て、官能基変換する方法が知られている(非特許文献1および2)。
しかしながら、これらの合成方法はステップ数が多いため、操作が煩雑であり、最終生成物の収率が低いばかりでなく、純度も低下するという欠点を有していた。
特表2003−511422号公報 Tsuruki Tamura et. al., Bioconjugate Chem. 2003, 14, 1222-1230. Rajiv Dhawan et. al., Bioconjugate Chem. 2000, 11, 14-21.
本発明は上記した従来技術の問題点を解消することを解決すべき課題とした。即ち、本発明は、ヘテロ二官能性ポリエチレングリコールの合成方法において、ステップ数が少なく、収率、および純度が高いことを特徴とする合成方法を提供することを解決すべき課題とした。本発明はさらに、上記合成方法を用いたバイオセンサーの製造方法を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、基質に対して大過剰のオリゴエチレングリコールを加え、オリゴエチレングリコールの片末端の水酸基を予め保護することなく、他末端の水酸基を直接的に別の官能基へと変換することによって、合成のステップ数を減らし、さらに、収率良く官能基変換できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、(i)HO−(CH2CH2O)m−H(式中、mは1〜10の整数を表す。)で表されるオリゴエチレングリコールと、反応性基と官能基とを有する基質とを、[オリゴエチレングリコールのモル数]/[基質のモル数]の値が5以上となるように混合し、該オリゴエチレングリコールの第二の水酸基を保護することなく、該オリゴエチレングリコールの第一の水酸基を第一の官能基に変換する工程;及び
(ii)該オリゴエチレングリコールの第二の水酸基を、上記第一の官能基とは異なる、第二の官能基に変換する工程:
を含む、ヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールの製造方法が提供される。
好ましくは、ヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールは、下記式(1)で表される化合物である。
式(1): X−(CH2k−O−(CH2CH2O)m−(CH2 n−Y
(式中、XおよびYは、−SH、−NC、−NO2、−SeH、−NCS、ホスフィン、−SC(NH22、−COSH、−CSSH、−COOH、−CH2COOR(但し、Rは水素、または炭素数1から8のアルキル基を示す)、−NH2、−OH、フタルイミド基、メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、アリル基、またはビニル基を表し、但し、XとYは互いに異なる官能基を示す。kおよびnは1〜3の整数を表す。mは1〜10の整数を表す。)
好ましくは、X及びYは、−SH、−COOH、−NH2、−OH、メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、アリル基、またはビニル基であり、但し、XとYは互いに異なる官能基を示す。
好ましくは、(i)HO−(CH2CH2O)m−H(式中、mは1〜10の整数を表す。)で表されるオリゴエチレングリコールと、アクリル酸tert−ブチルエステルとを、[オリゴエチレングリコールのモル数]/[アクリル酸tert−ブチルエステルのモル数]の値が5以上となるように混合して反応させ、HO−(CH2CH2O)m−CH2CH2COOC(CH33(式中、mは1〜10の整数を表す。)で表される化合物を得る工程;及び
(ii)工程(i)で得られた化合物の水酸基をアミノ基に変換させる工程、
を含む、ヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールの製造方法が提供される。
好ましくは、上記工程(ii)における水酸基をアミノ基に変換させる工程は、水酸基をメタンスルホニル基、トルエンスルホニル基またはトリフルオロメタンスルホニル基を経てアミノ基に変換する工程である。
本発明の別の側面によれば、本発明の方法によりヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールを製造し、製造されたヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールを基板上に直接又は他の中間層を介して固定することを含む、バイオセンサーの製造方法が提供される。
本発明の方法によれば、ヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールの合成方法においてステップ数を減らし、さらに収率よく官能基変換ができ、高純度のヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールを得ることができる。さらに、本発明の方法で製造されるヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールを用いることにより、高い固定量と高い酵素活性とを両立させたバイオセンサーを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
本発明によるヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールの製造方法は、
(i)HO−(CH2CH2O)m−H(式中、mは1〜10の整数を表す。)で表されるオリゴエチレングリコールと、反応性基と官能基とを有する基質とを、[オリゴエチレングリコールのモル数]/[基質のモル数]の値が5以上となるように混合し、該オリゴエチレングリコールの第二の水酸基を保護することなく、該オリゴエチレングリコールの第一の水酸基を第一の官能基に変換する工程;及び
(ii)該オリゴエチレングリコールの第二の水酸基を、上記第一の官能基とは異なる、第二の官能基に変換する工程:
を含むことを特徴とする。
HO−(CH2CH2O)m−Hで表されるオリゴエチレングリコールにおいて、mは1〜10の整数を表し、好ましくは、1〜4の整数を表す。
反応性基と官能基とを有する基質における反応性基とは、上記したオリゴエチレングリコールの水酸基と反応して結合することができる基を意味し、例えば、ビニル基、又はハロゲン原子などが挙げられる。
反応性基と官能基とを有する基質における官能基とは、−SH、−NC、−NO2、−SeH、−NCS、ホスフィン、−SC(NH22、−COSH、−CSSH、−COOH、−CH2COOR(但し、Rは水素、または炭素数1から8のアルキル基を示す)、−NH2、−OH、フタルイミド基、メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、アリル基、またはビニル基などを挙げることができる。
本明細書において、Rが示す炭素数1から8のアルキル基としては、直鎖、分岐、又は脂環式の何れでもよく、具体的には、メチル基、エチル基、オクチル基、tert-ブチル基、2エチルヘキシル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。
前記した基質としては、反応後に新たな別の官能基となる化合物を指称し、例えば、−COOHに官能基変換するのであれば、アクリル酸tert−ブチルエステルなどを指し、−CH2COOHに官能基変換するのであれば、ブロモ酢酸tert−ブチルエステルなどを指し、−NH2に官能基変換するのであれば、メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基、またはトリフルオロメタンスルホニル基などを有する化合物を指す。−NH2への官能基変換はその後に過剰のNH3などと反応させて行うことができる。ビニル基に変換する場合、末端OHをアリルブロミドと反応させればよい。さらに、導入したビニル基にチオ酢酸を反応させた後、加水分解すれば、−SHにも変換が可能である。
本発明においては、上記オリゴエチレングリコールと上記基質とを、[オリゴエチレングリコールのモル数]/[基質のモル数]の値が5以上となるように混合して、該オリゴエチレングリコールの第二の水酸基を保護することなく、該オリゴエチレングリコールの第一の水酸基を第一の官能基に変換する。[オリゴエチレングリコールのモル数]/[基質のモル数]の値は5以上であればよく、好ましくは7以上であり、さらに好ましくは10以上である。
オリゴエチレングリコールと基質との反応は、無溶剤系で行ってもよいし、有機溶剤中で行ってもよいが、着色を低減させる観点から、有機溶媒中で行うことが好ましい。反応圧力は、常圧が好ましい。
使用する有機溶剤としては、基質と反応しない各種の溶媒を使用することができる。溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、n−オクタン等の炭化水素系化合物;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系化合物;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系化合物;ジメチルスルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物などが挙げられる。
反応温度は、特に制限は無いが、反応性と着色のバランスの観点から、概ね−50〜50℃となるようにすればよい。また、反応時間は、媒質の濃度と反応温度に応じて設定することが好ましいが、一般的には1〜24時間程度である。
上記した反応により、オリゴエチレングリコールの第二の水酸基を保護することなく、該オリゴエチレングリコールの第一の水酸基を第一の官能基に変換することができる。
本発明では、次に、上記で得られた、第一の水酸基が第一の官能基に変換されているオリゴエチレングリコールの第二の水酸基を、上記第一の官能基とは異なる、第二の官能基に変換する。水酸基を官能基に変換する方法は、官能基の種類に応じて、常法により行うことができる。
本発明の方法により製造されるヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールは、好ましくは、下記式(1)で表される化合物である。
式(1): X−(CH2k−O−(CH2CH2O)m−(CH2 n−Y
(式中、XおよびYは、−SH、−NC、−NO2、−SeH、−NCS、ホスフィン、−SC(NH22、−COSH、−CSSH、−COOH、−CH2COOR(但し、Rは水素、または炭素数1から8のアルキル基を示す)、−NH2、−OH、フタルイミド基、メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、アリル基、またはビニル基を表し、但し、XとYは互いに異なる官能基を示す。kおよびnは1〜3の整数を表す。mは1〜10の整数を表す。)
本発明の方法により製造されるヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールの用途の具体例としては、バイオセンサーが挙げられる。
本発明で言うバイオセンサーとは最も広義に解釈され、酵素/基質、酵素/補酵素、抗原/抗体、ホルモン/レセプターなどに代表される分子間の相互作用を誘電率変化や振動数変化などとしてとらえ、対象となる測定物質を検出するセンサーを意味する。バイオセンサーでは、これら互いに親和性のある物質の一方を固定化して分子認識物質として用いることによって、対応するもう一方の物質を選択的に測定するという原理を利用している。
バイオセンサーにおいては、金属表面又は金属膜を基板として用いることができる。金属表面あるいは金属膜を構成する金属としては、自由電子を有し、空気中で容易に発火するなどの不安定性が無ければ、いずれの金属でも使用できるが、取り扱い易さの観点から、金、銀、銅、白金、アルミニウムが好ましく、耐酸化性などの安定性の観点から、金がより好ましい。これらの金属は単独、または組み合わせて使用してもよい。また、(基板)表面への付着性を上げるために、(基板)表面と金属との間に、クロム等からなる介在層を設けてもよい。
金属層の厚さは特に限定されないが、例えば、表面プラズモン共鳴を利用する場合、500nmを超えると、検出が困難になるため、センサーの高感度化の観点から、0.1nm以上500nm以下が好ましく、1nm以上200nm以下がより好ましい。また、クロム等からなる介在層を設ける場合、その介在層の厚みは、0.1nm以上10nm以下が好ましい。
本発明における、好適な金属層の形成方法としては、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、電気めっき法、無電解めっき法などが挙げられる。
表面プラズモン共鳴を利用したセンサーの場合、金属層は、基板上に配置されていることが好ましい。ここで、「基板上に配置される」とは、金属層が基板上に直接接触するように配置されている場合のほか、介在層を介して配置されている場合も含む。本発明において、好適に使用できる基板としては、例えば、ガラスや合成樹脂などが挙げられる。該合成樹脂の中でも、特に代表的なものとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーなどの透明性樹脂が挙げられる。
ヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールを、バイオセンサーの用途に用いるためには、例えば、片末端に−SHを導入して、いわゆる自己集合単分子層(SAM)を調製するのと同様の方法で、金などの金属表面に吸着させたり、または、片末端に−NH2を有する場合には、ポリマー層を介して導入すればよい。後者の方法は、例えば、ポリマー層を形成した後、該ポリマー層に酸またはアルカリ水溶液を接触させ、ポリマーが有するエステル結合を予め加水分解し、カルボキシル基を発現させ、その後、カルボジイミド類などの脱水縮合試薬を用いてカルボキシル基を活性化させた後、−NH2と反応させればよい。
上記したポリマー層の厚みは特に限定されないが、センサーの高感度化と非特異吸着の抑制の観点から、0.1nm以上500nm以下が好ましく、1nm以上50nm以下がより好ましい。
このようにして得られたバイオセンサーの表面に、種々の生理活性物質を固定化することができる。好適な固定化方法としては、例えば、一般式(1)で表される化合物のカルボキシル基をカルボジイミド類などの脱水縮合試薬を用いて活性化させた後、生理活性物質が有するアミノ基を反応させることにより、生理活性物質を固定化する方法がある。
バイオセンサーに固定化する生理活性物質としては、測定対象物と相互作用するものであれば特に限定されず、例えば免疫蛋白質、酵素、微生物、核酸、低分子有機化合物、非免疫蛋白質、免疫グロブリン結合性蛋白質、糖結合性蛋白質、糖を認識する糖鎖、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいはリガンド結合能を有するポリペプチドもしくはオリゴペプチドなどが挙げられる。
免疫蛋白質としては、測定対象物を抗原とする抗体やハプテンなどを例示することができる。抗体としては、種々の免疫グロブリン、即ちIgG、IgM、IgA、IgE、IgDを使用することができる。具体的には、測定対象物がヒト血清アルブミンであれば、抗体として抗ヒト血清アルブミン抗体を使用することができる。また、農薬、殺虫剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、コカイン、ヘロイン、クラック等を抗原とする場合には、例えば抗アトラジン抗体、抗カナマイシン抗体、抗メタンフェタミン抗体、あるいは病原性大腸菌の中でO抗原26、86、55、111 、157 などに対する抗体等を使用することができる。
酵素としては、測定対象物又は測定対象物から代謝される物質に対して活性を示すものであれば、特に限定されることなく、種々の酵素、例えば酸化還元酵素、加水分解酵素、異性化酵素、脱離酵素、合成酵素等を使用することができる。具体的には、測定対象物がグルコースであれば、グルコースオキシダーゼを、測定対象物がコレステロールであれば、コレステロールオキシダーゼを使用することができる。また、農薬、殺虫剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、コカイン、ヘロイン、クラック等を測定対象物とする場合には、それらから代謝される物質と特異的反応を示す、例えばアセチルコリンエステラーゼ、カテコールアミンエステラーゼ、ノルアドレナリンエステラーゼ、ドーパミンエステラーゼ等の酵素を使用することができる。
微生物としては、特に限定されることなく、大腸菌をはじめとする種々の微生物を使用することができる。
核酸としては、測定の対象とする核酸と相補的にハイブリダイズするものを使用することができる。核酸は、DNA(cDNAを含む)、RNAのいずれも使用できる。DNAの種類は特に限定されず、天然由来のDNA、遺伝子組換え技術により調製した組換えDNA、又は化学合成DNAの何れでもよい。
低分子有機化合物としては通常の有機化学合成の方法で合成することができる任意の化合物が挙げられる。
非免疫蛋白質としては、特に限定されることなく、例えばアビジン(ストレプトアビジン)、ビオチン又はレセプターなどを使用できる。
免疫グロブリン結合性蛋白質としては、例えばプロテインAあるいはプロテインG、リウマチ因子(RF)等を使用することができる。
糖結合性蛋白質としては、レクチン等が挙げられる。
脂肪酸あるいは脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ステアリン酸エチル、アラキジン酸エチル、ベヘン酸エチル等が挙げられる。
上記のようにして生理活性物質を固定化したバイオセンサーは、当該生理活性物質と相互作用する物質の検出及び/又は測定のために使用することができる。
上記したようなバイオセンサーは、例えば、透明基板上に配置される金属膜を備えていることを特徴とする表面プラズモン共鳴用バイオセンサーとして用いることができる。
表面プラズモン共鳴用バイオセンサーとは、表面プラズモン共鳴バイオセンサーに使用されるバイオセンサーであって、該センサーより照射された光を透過及び反射する部分、並びに生理活性物質を固定する部分とを含む部材を言い、該センサーの本体に固着されるものであってもよく、また脱着可能なものであってもよい。
表面プラズモン共鳴の現象は、ガラス等の光学的に透明な物質と金属薄膜層との境界から反射された単色光の強度が、金属の出射側にある試料の屈折率に依存することによるものであり、従って、反射された単色光の強度を測定することにより、試料を分析することができる。
表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、被測定物質の特性を分析する表面プラズモン測定装置としては、Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特開平6−167443号公報参照)。上記の系を用いる表面プラズモン測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試料液などの被測定物質に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態、つまり全反射減衰の状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
なお上述のように種々の入射角を得るためには、比較的細い光ビームを入射角を変化させて上記界面に入射させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角度で入射する成分が含まれるように、比較的太い光ビームを上記界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射させてもよい。前者の場合は、入射した光ビームの入射角の変化に従って、反射角が変化する光ビームを、上記反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリアセンサによって検出することができる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した各光ビームを全て受光できる方向に延びるエリアセンサによって検出することができる。
上記構成の表面プラズモン測定装置において、光ビームを金属膜に対して全反射角以上の特定入射角で入射させると、該金属膜に接している被測定物質中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセント波によって金属膜と被測定物質との界面に表面プラズモンが励起される。エバネッセント光の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立しているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射した光の強度が鋭く低下する。この光強度の低下は、一般に上記光検出手段により暗線として検出される。なお
上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射するように予め設定しておく必要がある。
この全反射減衰(ATR)が生じる入射角、すなわち全反射減衰角(θSP)より表面プラズモンの波数が分かると、被測定物質の誘電率が求められる。この種の表面プラズモン測定装置においては、全反射減衰角(θSP)を精度良く、しかも大きなダイナミックレンジで測定することを目的として、特開平11−326194号公報に示されるように、アレイ状の光検出手段を用いることが考えられている。この光検出手段は、複数の受光素子が所定方向に配設されてなり、前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの成分をそれぞれ異なる受光素子が受光する向きにして配設されたものである。
そしてその場合は、上記アレイ状の光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、該受光素子の配設方向に関して微分する微分手段が設けられ、この微分手段が出力する微分値に基づいて全反射減衰角(θSP)を特定し、被測定物質の屈折率に関連する特性を求めることが多い。
また、全反射減衰(ATR)を利用する類似の測定装置として、例えば「分光研究」第47巻 第1号(1998)の第21〜23頁および第26〜27頁に記載がある漏洩モード測定装置も知られている。この漏洩モード測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料液に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して導波モードの励起状態、つまり全反射減衰状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
上記構成の漏洩モード測定装置において、光ビームを誘電体ブロックを通してクラッド層に対して全反射角以上の入射角で入射させると、このクラッド層を透過した後に光導波層においては、ある特定の波数を有する特定入射角の光のみが導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層に取り込まれるので、上記界面で全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。そして導波光の波数は光導波層の上の被測定物質の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、被測定物質の屈折率や、それに関連する被測定物質の特性を分析することができる。
なおこの漏洩モード測定装置においても、全反射減衰によって反射光に生じる暗線の位置を検出するために、前述したアレイ状の光検出手段を用いることができ、またそれと併せて前述の微分手段が適用されることも多い。
また、上述した表面プラズモン測定装置や漏洩モード測定装置は、創薬研究分野等において、所望のセンシング物質に結合する特定物質を見いだすランダムスクリーニングへ使用されることがあり、この場合には前記薄膜層(表面プラズモン測定装置の場合は金属膜であり、漏洩モード測定装置の場合はクラッド層および光導波層)上に上記被測定物質としてセンシング物質を固定し、該センシング物質上に種々の被検体が溶媒に溶かされた試料液を添加し、所定時間が経過する毎に前述の全反射減衰角(θSP)の角度を測定している。
試料液中の被検体が、センシング物質と結合するものであれば、この結合によりセンシング物質の屈折率が時間経過に伴って変化する。したがって、所定時間経過毎に上記全反射減衰角(θSP)を測定し、該全反射減衰角(θSP)の角度に変化が生じているか否か測定することにより、被検体とセンシング物質の結合状態を測定し、その結果に基づいて被検体がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かを判定することができる。このような特定物質とセンシング物質との組み合わせとしては、例えば抗原と抗体、あるいは抗体と抗体が挙げられる。具体的には、ウサギ抗ヒトIgG抗体をセンシング物質として薄膜層の表面に固定し、ヒトIgG抗体を特定物質として用いることができる。
なお、被検体とセンシング物質の結合状態を測定するためには、全反射減衰角(θSP)の角度そのものを必ずしも検出する必要はない。例えばセンシング物質に試料液を添加し、その後の全反射減衰角(θSP)の角度変化量を測定して、その角度変化量の大小に基づいて結合状態を測定することもできる。前述したアレイ状の光検出手段と微分手段を全反射減衰を利用した測定装置に適用する場合であれば、微分値の変化量は、全反射減衰角(θSP)の角度変化量を反映しているため、微分値の変化量に基づいて、センシング物質と被検体との結合状態を測定することができる(本出願人による特願2000−398309号参照)。このような全反射減衰を利用した測定方法および装置においては、底面に予め成された薄膜層上にセンシング物質が固定されたカップ状あるいはシャーレ状の測定チップに、溶媒と被検体からなる試料液を滴下供給して、上述した全反射減衰角(θSP)の角度変化量の測定を行っている。
さらに、ターンテーブル等に搭載された複数個の測定チップの測定を順次行うことにより、多数の試料についての測定を短時間で行うことができる全反射減衰を利用した測定装置が、特開2001−330560号公報に記載されている。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:H2N−(CH2CH2O)2−CH2CH2COOHの調製
攪拌機、温度計、および冷却管を付した三口フラスコに、テトラヒドロフラン200mL、ジエチレングリコール166質量部、水素化ナトリウム25質量部を仕込み、室温で1時間攪拌した。次いで、アクリル酸tert−ブチルエステル40質量部を滴下して加え、室温で1時間攪拌した。ここで、(ジエチレングリコールのモル数)/(アクリル酸tert−ブチルエステルのモル数)の値は、5.01である。トルエン200mLで希釈した後、飽和食塩水100mLを注意深く加えた。トルエン150mLで3回抽出を行った後、硫酸マグネシウムによる乾燥、溶媒の除去を経て、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。得られたHO−(CH2CH2O)2−CH2CH2COOtert−Buは60質量部(収率:82%)であり、液体クロマトグラフィー純度は99%以上であった。
攪拌機、温度計、および冷却管を付した三口フラスコに、HO−(CH2CH2O)2−CH2CH2COOtert−Bu10質量部、ピリジン100mLを仕込み、室温で10分攪拌した。次いで、p−トルエンスルホン酸クロリド12質量部を滴下して加え、室温で2時間攪拌した。酢酸エチル200mLで希釈した後、蒸留水150mLで3回洗浄した後、硫酸マグネシウムによる乾燥、溶媒の除去を経て、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。得られたTsO−(CH2CH2O)2−CH2CH2COOtert−Buは16質量部(収率:97%)であり、液体クロマトグラフィー純度は99%以上であった。
耐圧ガラス管に、TsO−(CH2CH2O)2−CH2CH2COOtert−Bu5質量部、7N−NH3水溶液200mLを仕込み、80℃で5時間攪拌した。溶媒の除去した後、イオン交換樹脂で精製した。得られたH2N−(CH2CH2O)2−CH2CH2COOHは2.9質量部(収率:97%)であり、液体クロマトグラフィー純度は99%以上であった。
実施例2:HS−(CH23−O−(CH2CH2O)2−CH2CH2COOHの調製
実施例1と同様の操作で、液体クロマトグラフィー純度は99%以上のHO−(CH2CH2O)2−CH2CH2COOtert−Buを得た。
攪拌機、温度計、および冷却管を付した三口フラスコに、HO−(CH2CH2O)2−CH2CH2COOtert−Bu10質量部、アリルブロミド5.2質量部、水酸化ナトリウム1.7質量部、N,N−ジメチルアセトアミド50mLを仕込み、40℃で6時間攪拌した。酢酸エチル200mLで希釈した後、蒸留水150mLで3回洗浄した後、硫酸マグネシウムによる乾燥、溶媒の除去を経て、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。得られたCH2=CH−CH2−O−(CH2CH2O)2−CH2CH2COOtert−Buは11質量部(収率:94%)であり、液体クロマトグラフィー純度は99%以上であった。
窒素導入管、温度計、および冷却管を付した三口フラスコに、CH2=CH−CH2−O−(CH2CH2O)2−CH2CH2COOtert−Bu11質量部、チオ酢酸9質量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1質量部、メタノール20mLを仕込み、60℃で3日間攪拌した。酢酸エチル200mLで希釈した後、蒸留水150mLで1回洗浄した後、硫酸マグネシウムによる乾燥、溶媒の除去を経て、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。得られたCH3COS−(CH23−O−(CH2CH2O)2−CH2CH2COOtert−Buは12.6質量部(収率:90%)であり、液体クロマトグラフィー純度は99%以上であった。
攪拌機、温度計、および冷却管を付した三口フラスコに、CH3COS−(CH23−O−(CH2CH2O)2−CH2CH2COOtert−Bu12.6質量部、メタノール50質量部、蒸留水10質量部、35%塩酸5mLを仕込み、5時間refluxした。酢酸エチル200mLで希釈した後、蒸留水150mLで1回洗浄した後、硫酸マグネシウムによる乾燥、溶媒の除去を経て、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。得られたHS−(CH23−O−(CH2CH2O)2−CH2CH2COOtert−Buは11質量部(収率:99%)であり、液体クロマトグラフィー純度は99%以上であった。
[比較例1]H2N−(CH2CH2O)2−CH2COOHの調製
攪拌機、温度計、および冷却管を付した三口フラスコに、HO−(CH2CH2O)2−H10質量部、ピリジン225mL、トリフェニルメチルクロリド26.1質量部を仕込み、35℃で12時間攪拌した。酢酸エチル450mLで希釈した後、蒸留水338mLで1回洗浄した後、硫酸マグネシウムによる乾燥、溶媒の除去を経て、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。得られたPh3CO−(CH2CH2O)2−Hは16.7質量部(収率:51%)であり、液体クロマトグラフィー純度は90%であった。
攪拌機、温度計、および冷却管を付した三口フラスコに、Ph3CO−(CH2CH2O)2−H10.2質量部、テトラヒドロフラン280mL、N,N−ジメチルホルムアミド70mL、60%水素化ナトリウム4.3質量部を仕込み、0℃で30分攪拌した。2−ブロモ酢酸9.1質量部を加えた後、室温で1時間攪拌した。反応液を酢酸エチル/水(=1/1)混合溶液280mL中に注ぎ、水層のpHが6となるように希釈した塩酸で調整した。有機層を分取し、硫酸マグネシウムによる乾燥、溶媒の除去を経て、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを通した。得られたクルードのPh3CO−(CH2CH2O)2−CH2COOHは12.4質量部であり、液体クロマトグラフィー純度は75%であった。
攪拌機、温度計、および冷却管を付した三口フラスコに、Ph3CO−(CH2CH2O)2−CH2COOH12.4質量部、ジメチルアミノピリジン0.41質量部、ベンジルアルコール4.3mL、N−エチル−N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)カルボジイミド6.3質量部、塩化メチレン140mLを仕込み、室温で12時間攪拌した。反応溶液を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で一度洗浄した後、硫酸マグネシウムによる乾燥、溶媒の除去を経て、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。得られたPh3CO−(CH2CH2O)2−CH2COOCH2Phは12質量部(収率:79%)であり、液体クロマトグラフィー純度は95%であった。
攪拌機、温度計、および冷却管を付した三口フラスコに、Ph3CO−(CH2CH2O)2−CH2COOCH2Ph12質量部、トリフルオロ酢酸6.8質量部、塩化メチレン200mL、蒸留水200mLを仕込み、0℃で10分間攪拌した。有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で一度洗浄した後、硫酸マグネシウムによる乾燥、溶媒の除去を経て、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを通した。得られた目的物を含む混合物のHO−(CH2CH2O)2−CH2COOCH2Phは7質量部(収率:77%)であり、液体クロマトグラフィー純度は89%であった。
攪拌機、温度計、および冷却管を付した三口フラスコに、HO−(CH2CH2O)2−CH2COOCH2Ph7質量部、ジメチルアミノピリジン0.5質量部、ピリジン60mL、p−トルエンスルホニルクロリド7.0質量部を仕込み、室温で2時間攪拌した。反応液を酢酸エチル135mLで希釈し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で一度洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を除去することにより、トシル化された中間体を得た。得られた中間体は精製せずに次のステップに用いた。
前記した中間体にアジ化ナトリウム15.9質量部、N,N−ジメチルホルムアミド70mLを加えて、60℃で1時間攪拌した。反応液を酢酸エチル270mLで希釈し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で一度洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒の除去を経て、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。得られたN3−(CH2CH2O)2−CH2COOCH2Phは3.3質量部(収率:64%)であり、液体クロマトグラフィー純度は95%であった。
攪拌機、温度計、および冷却管を付した三口フラスコに、N3−(CH2CH2O)2−CH2COOCH2Ph1.9質量部、10%パラジウムカーボン0.7質量部、メタノール68mLを仕込み、水素ガス雰囲気下、室温で3時間攪拌した。反応液をろ過し、溶媒を除去した。得られたH2N−(CH2CH2O)2−CH2COOHは1.1質量部(収率:100%)であり、液体クロマトグラフィー純度は90%であった。本発明の実施例1及び2と比較して、トータルの収量は低く、純度が低い。
実施例3:
以下の方法で、センサチップを作成し、本発明の方法で製造したヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールの評価を行った。
(1)プラスチックプリズム上への金製膜
ゼオネックス(日本ゼオン社製)を射出成型して得られたプラスチックプリズム(図1)の上面に以下の方法で金薄膜を製膜した。
(1−1)金製膜
スパッタ装置の基板ホルダにプリズムを取付け、真空(ベースプレッシャー1×10-3Pa以下)に引いてからArガスを導入し(1Pa)、基板ホルダを回転(20rpm)させながら、基板ホルダにRFパワー(0.5kW)を約9分間印加してプリズム表面をプラズマ処理(基板エッチング、逆スパッタとも呼ばれる)する。プラズマ照射後の光学ブロックの光反射面の表面粗さがRa≦30nmであった。次に、Arガスを止めて真空に引き、Arガスを再び導入し(0.5Pa)、基板ホルダを回転(10〜40rpm)させながら、8inchのCrターゲットにDCパワー(0.2kW)を約30秒間印加して2nmのCr薄膜を成膜する。次に。Arガスを止めて再び真空に引き、Arガスを再び導入し(0.5Pa)、基板ホルダを回転(20rpm)させながら、8inchのAuターゲットにDCパワー(1kW)を約50秒間印加して50nm程度のAu薄膜を成膜する。Auの粒子サイズは、20nm程度である。得られた試料をチップAと呼ぶ。
(2)ポリマー塗布
チップAの金薄膜上に以下の方法でポリマー薄膜を製膜した。
(2−1)ポリマー溶液Aの調製
ポリマー(F-1) 1.5gを脱水MiBK(メチルイソブチルケトン) 100mLに溶解し、孔径0.45μmのミクロフィルターで濾過する。脱水MiBKの含水率は20ppm。
Figure 2006327984
(2−2)スピンコート
チップAをスピンコーター(SC-408S試料密閉型スピンコーター、有限会社押鐘製)にセットする。チップAはスピンコーターの中心から135mmの位置に図2に示すように固定する。ポリマー溶液A 200μLをチップAの金膜全面を覆うようにキャストする。次に、チップAを完全に覆うように風よけカバーをセットする。その後、200rpmで60秒間スピンする。回転が停止した後、5分間そのまま静置する。
(2−3)真空乾燥
ポリマーをスピンコートしたチップAを16時間真空乾燥する。得られた試料をチップBと呼ぶ。
(3)ポリマー表面の加水分解
以下の方法で、チップBのポリマー薄膜表面を加水分解して、最表面にCOOH基を発生させた。
(3−1)加水分解
1N NaOH溶液にチップBを浸漬し、60℃の恒温槽で16時間保管する。
(3−2)洗浄
60℃の恒温槽から取り出した後、15分間自然冷却し、その後、超純水で洗浄する。得られた試料をチップCと呼ぶ。
以下に示す方法で、チップCの表面処理を行った。
(4)5アミノ吉草酸結合
以下の方法で、チップの表面に存在するCOOH基に5アミノ吉草酸反応を共有結合させた。
(4−1)活性化液、5アミノ吉草酸溶液の調製
0.1M NHS溶液: 1.16gのNHS(N−ヒドロキシコハク酸イミド)を超純水で溶解し100mLにする。
0.4M EDC溶液: 7.7gのEDC(塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)を超純水で溶解し100mLにする。
1M 5アミノ吉草酸溶液: 11.7gの5アミノ吉草酸を超純水80mLで溶解し、1N NaOHを用いてpH8.5に調整する。さらに超純水を加え100mLにする。
(4−2)活性化
エアガンでチップの水切りを行う。チップを湿箱(濡れ布を敷いたタイトボックス、密封した状態で湿度90%RH以上に保つ)にセットし、0.1M NHS溶液100μLと0.4M EDC溶液100μLの混合液200μLをキャストする。その上に120mm×8.5mmに切った厚さ175μmのPETフイルムをのせて液を拡げつつ表面をカバーする。この反応時の液の空気と接しない部分の表面積と空気と接する部分の表面積の比は26である。湿箱を密閉して、25℃で60分静置する。
(4−3)洗浄
湿箱から取り出した試料からPETフイルムを取り外し、純水で洗浄する。得られた試料をチップX1と呼ぶ。
(4−4)5アミノ吉草酸反応
5アミノ吉草酸反応は活性化反応終了後1時間以内に開始する。先ずエアガンでチップX1の水切りを行う。チップX1を湿箱にセットし、1M 5アミノ吉草酸溶液200μLをキャストする。その上に120mm×8.5mmに切った厚さ175μmのPETフイルムをのせて液を拡げつつ表面をカバーする。この反応時の液の空気と接しない部分の表面積と空気と接する部分の表面積の比は24である。湿箱を密閉して、25℃で90分静置する。
(4−5)洗浄
湿箱から取り出した試料からPETフイルムを取り外し、純水で洗浄する。得られた試料をチップX2と呼ぶ。
(5)リガンド非結合部のパターン形成
以下の方法で、チップX2の表面に、リガンドが結合できない部分のパターンを形成した。具体的には、チップX2の特定の場所において、5アミノ吉草酸のCOOH基にPEG5000(α-アミノ-ω-メトキシ-ポリエチレングリコール)を共有結合させた。PEG5000の末端はメトキシ基なので、リガンドと共有結合を形成することができない。この部分は、アナライトの結合測定時にリファレンス部として計測される。
(5−1)反応液の調製
20% PEG5000溶液: 4.5gのPEG5000を超純水18.5mLと1N NaOH 4mLで溶解する。
0.2M NHS溶液: 2.32gのNHSを超純水で溶解し100mLにする。
0.4M EDC溶液: 7.7gのEDCを超純水で溶解し100mLにする。
(5−2)パターン化反応
エアガンでチップX2の水切りを行い、武蔵エンジニアリング社製ディスペンサーの台座に固定する。次に、シリンジに20% PEG5000溶液1mLと0.2M NHS溶液1mLと0.4M EDC溶液2mLの混合液を投入する。チップX2に18mm間隔で15μLづつ6点、前記混合液をスポッティングする。液滴の直径は約4mmとなる。スポッティングを行ったチップX2を湿箱にセットし、湿箱を密閉して、25℃で60分静置する。
(5−3)洗浄
湿箱から取り出した試料を1Nクエン酸水溶液で洗浄し、さらに純水で洗浄する。得られた試料をチップX3と呼ぶ。
(6)ヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールの結合
以下の方法で、チップX3の表面に存在する5アミノ吉草酸のCOOH基にヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールを共有結合させた。ヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールはパターン化した表面には結合しない。
(6−1)活性化液、ヘテロ二官能性オリゴエチレングリコール溶液の調製
0.1M Sulfo-NHS溶液: 2.04gのNHSを超純水で溶解し100mLにする。
0.4M EDC溶液: 7.7gのEDCを超純水で溶解し100mLにする。
10% ヘテロ二官能性オリゴエチレングリコール溶液: 10gのヘテロ二官能性オリゴエチレングリコール(以下の2種類のヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールを用いた)を超純水80mLで溶解し、1N NaOHを用いてpH8.5に調整する。さらに超純水を加え100mLにする。
実施例1の化合物:H2N−(CH2CH2O)2−CH2CH2COOH
比較例1の化合物:H2N−(CH2CH2O)2−CH2COOH
(6−2)活性化
エアガンでチップX3の水切りを行う。チップX3を湿箱にセットし、0.1M Sulfo-NHS溶液100μLと0.4M EDC溶液100μLの混合液200μLをキャストする。その上に120mm×8.5mmに切った厚さ175μmのPETフイルムをのせて液を拡げつつ表面をカバーする。この反応時の液の空気と接しない部分の表面積と空気と接する部分の表面積の比は26である。湿箱を密閉して、25℃で60分静置する。
(6−3)洗浄
湿箱から取り出した試料からPETフイルムを取り外し、純水で洗浄する。得られた試料をチップX4と呼ぶ。
(6−4)ヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールの反応
ヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールの反応は活性化反応終了後1時間以内に開始する。先ずエアガンでチップGの水切りを行い、武蔵エンジニアリング社製ディスペンサーの台座に固定する。次に、シリンジに10%PEGリンカー溶液5mLを投入する。チップX4に18mm間隔で8μLづつ6点、10%ヘテロ二官能性オリゴエチレングリコール溶液をスポッティングする。その上に120mm×8.5mmに切った厚さ175μmのPETフイルムをのせて液を拡げつつ表面をカバーする。この反応時の液の空気と接しない部分の表面積と空気と接する部分の表面積の比は90である。この試料を湿箱にセットし、湿箱を密閉して、25℃で16時間静置する。
(6−5)洗浄
湿箱から取り出した試料を純水で洗浄する。得られた試料をチップY1、Y2と呼ぶ。
(6−6)保管
エアガンでチップY1、Y2の水切りを行い保管する。
試験例1:
上記処理を施したチップX3、Y1、Y2について以下の方法でリガンド蛋白を固定し、固定量を評価した。蛋白固定量測定は図3に示すSPR装置を用いた。測定には、図1の部品41のタフセレン製の流路を用いた。
(1)リガンド溶液の調製:トリプシン0.5mgを酢酸バッファー(pH5.5) 1mlに溶解。
(2)センサチップ表面の活性化:NHS(0.1M)/EDC(0.4M)=1/1、25℃、30分
(3)リガンドの固定:上記のリガンド溶液、25℃、30分
(4)ブロッキング:1Mエタノールアミン溶液(pH8.5)、25℃、30分
結果を表1に示す。本発明の化合物は、比較例の化合物を用いた場合と比較して固定量が増大したことがわかる。
試験例2:
試験例1でトリプシンを固定したチップをそのまま用いて、酵素活性測定を行った。タフセレン製の流路を外して、表面を0.05M Tris HCl(pH8.0、0.02MCaCl2)にて3回洗浄した後、Bz-Arg-MCA((株)ペプチド研究所)0.1mM溶液100μlを固定部を覆うようにチップ上に載せた。180分後に測定プレート上に90μl移して、FLUOstar(BMG Labtechnologies GmbH)にて検出波長460nm(励起波長380nm)で蛍光測定を行った。測定値をトリプシン固定量(RU)で割った値を酵素活性値とした。結果を表1に示す。
Figure 2006327984
実施例に記述するように、本発明により、少ないステップ数でヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールを高収率、且つ高純度で得ることが可能になった。さらに、表1に示す通り、本発明の製造方法で作った純度の高いヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールを用いることにより、固定量と酵素活性を両立するセンサー表面を提供することが可能になった。
図1は、実施例で使用したプラスチックプリズムを示す。 図2は、実施例におけるスピンコートを行う際の位置を示す。 図3は、本発明のスクリーニング方法を行うためのSPRシステムの一例を示す。

Claims (6)

  1. (i)HO−(CH2CH2O)m−H(式中、mは1〜10の整数を表す。)で表されるオリゴエチレングリコールと、反応性基と官能基とを有する基質とを、[オリゴエチレングリコールのモル数]/[基質のモル数]の値が5以上となるように混合し、該オリゴエチレングリコールの第二の水酸基を保護することなく、該オリゴエチレングリコールの第一の水酸基を第一の官能基に変換する工程;及び
    (ii)該オリゴエチレングリコールの第二の水酸基を、上記第一の官能基とは異なる、第二の官能基に変換する工程:
    を含む、ヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールの製造方法。
  2. ヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールが、下記式(1)で表される化合物である、請求項1に記載の製造方法。
    式(1): X−(CH2k−O−(CH2CH2O)m−(CH2 n−Y
    (式中、XおよびYは、−SH、−NC、−NO2、−SeH、−NCS、ホスフィン、−SC(NH22、−COSH、−CSSH、−COOH、−CH2COOR(但し、Rは水素、または炭素数1から8のアルキル基を示す)、−NH2、−OH、フタルイミド基、メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、アリル基、またはビニル基を表し、但し、XとYは互いに異なる官能基を示す。kおよびnは1〜3の整数を表す。mは1〜10の整数を表す。)
  3. X及びYが、−SH、−COOH、−NH2、−OH、メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、アリル基、またはビニル基であり、但し、XとYは互いに異なる官能基を示す、請求項2に記載の方法。
  4. (i)HO−(CH2CH2O)m−H(式中、mは1〜10の整数を表す。)で表されるオリゴエチレングリコールと、アクリル酸tert−ブチルエステルとを、[オリゴエチレングリコールのモル数]/[アクリル酸tert−ブチルエステルのモル数]の値が5以上となるように混合して反応させ、HO−(CH2CH2O)m−CH2CH2COOC(CH33(式中、mは1〜10の整数を表す。)で表される化合物を得る工程;及び
    (ii)工程(i)で得られた化合物の水酸基をアミノ基に変換させる工程、
    を含む、ヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールの製造方法。
  5. 工程(ii)における水酸基をアミノ基に変換させる工程が、水酸基をメタンスルホニル基、トルエンスルホニル基またはトリフルオロメタンスルホニル基を経てアミノ基に変換する工程である、請求項4に記載の方法。
  6. 請求項1から5の何れかに記載の方法によりヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールを製造し、製造されたヘテロ二官能性オリゴエチレングリコールを基板上に直接又は他の中間層を介して固定することを含む、バイオセンサーの製造方法。
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