JP2006322871A - 塗布ムラ検査方法およびそのプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】大面積の全基板上において反射光強度を精度良く測定し、この反射光強度から透明感光性樹脂被膜の下層に存在する格子影響等の外乱要因を除去すると共に塗布ムラの可能性のある領域(ムラ候補領域)を精度良く推定し、透明感光性樹脂被膜の塗布ムラを効率的に検出する方法を提供すること。
【解決手段】透明樹脂の塗布方向及びこれに直交する方向に分割して多数の小領域とし、これら小領域の反射光強度を測定し、塗布方向又は塗布方向に直交する方向を包絡方向として、この包絡方向に沿って並んだ小領域の反射光強度を包絡処理してその包絡値を算出し、算出した包絡値から明側包絡画像データと暗側包絡画像データを生成し、該包絡画像データに対して、注目画素を取り囲む画素群を構成する各輝度値の平均値と前記注目画素の輝度値の差分を算出して塗布ムラを抽出する塗布ムラ検査方法を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基材上に一定方向に塗布された透明樹脂被膜の塗布ムラを検出する方法に関する。更に詳しくは、液晶ディスプレイの製造に用いられるフォトスペーサー用の透明感光性樹脂被膜の塗布ムラを検出するのに好適な検出方法およびそのプログラムに関するものである。
液晶ディスプレイは、それぞれ電極を形成した2枚の電極板をその間に間隙を設けて貼り合わせ、その間隙に液晶を封入して構成されている。そして、その両電極間に画素毎に電圧を印加して液晶を駆動させ、液晶を通過する光の偏光面を制御することにより偏光膜の透過・不透過を制御して画面表示するものである。
前記間隙は、従来一方の電極板に散布された球状ビーズの径によって保つのが通常であった。しかしながら、球状ビーズはその散布位置を制御することができず、このため散布位置によっては表示ムラを引き起こすことがあった。
これを解決するため、近年多数のフォトスペーサーによる前記間隙の制御が行なわれている。フォトスペーサーは、前記電極板のいずれか一方に設けられた柱状のスペーサーであって、一般にその電極板に塗布された透明感光性樹脂を露光・現像して設けられている。カラー液晶表示装置の場合には、ガラス基板上に表示画面を区画する黒色の額縁とこの額縁内を各画素に区画する黒色の遮光膜(ブラックストライプ又はブラックマトリクス)と、前記遮光膜で区画された各画素に設けられ、表示光を着色する着色膜とが設けられ、これら黒色の額縁、遮光膜及び着色膜を被覆して透明感光性樹脂被膜が塗布される。そして、この方法に因れば、フォトスペーサーの位置は露光マスクによって特定できるので、従来球状ビーズによって引き起こされていた表示ムラの恐れはない。
しかしながら、これら柱状フォトスペーサーの高さは、塗布された感光性樹脂被膜の膜厚で決定されることから、この感光性樹脂被膜に塗布ムラがあると、これらフォトスペーサーの高さも不揃いとなって電極間距離が不安定となり、また液晶層の厚みが不安定となって、その表示品質に影響する。このため、感光性樹脂被膜は均一な膜厚に塗布される必要があり、他方、塗布ムラのある感光性樹脂被膜は露光・現像前に検出し、この被膜を剥離除去する必要がある。仮に塗布ムラのある感光性樹脂被膜を露光・現像してフォトスペーサーを形成したとすると、そのフォトススペーサーの高さのムラを検出することは困難であり、また電極板から剥離除去することも困難だからである。
また、近年、液晶ディスプレイは市場競争のために低価格化の傾向が著しく、これに対処するため、大面積のガラス板に多面付けして電極板を製造している。また、液晶ディスプレイの表示画面自体が大画面化しているため、これに使用するガラス基板は益々大面積化の傾向が強くなり、フォトスペーサーの再形成は、液晶ディスプレイの製造原価低減に必要な課題となりつつある。
通常、液晶ディスプレイのフォトスペーサーに用いられる透明感光性樹脂は、大面積の基板上に均一に塗布する必要があることから、ダイコーターにより一定方向に向けて塗布されている。このように一定方向に向けて塗布された透明感光性樹脂には、直線状に塗布ムラを生じることが多い。例えば、このダイコーターで塗布する際に、透明感光性樹脂を押し出すスリット幅が部分的に変動した場合には、その塗布方向に沿って直線状に塗布ムラが発生する。また、ダイコーターの送り精度が変動した場合には、塗布方向に直交する方向に直線状の塗布ムラが発生する。
また、ダイコーターステージとガラス基板間に異物が存在した場合にも膜厚が変動するため丸状や不定形状のムラが発生したり、ガラス基板を支えている支持ピンとガラス基板との温度差から乾燥性のピンムラが生じたりすることもある。
一般に、透明被膜に光を照射すると、塗布ムラがある部位(ムラ部)では、その周囲(正常部)と異なる強度の反射光が観察されることになる。例えば、干渉光を使って観察した場合、光の波長λと膜厚との関係により膜厚の変化で反射光の強弱が発生する。膜厚と波長λの位相が合えば強め合い、膜厚が変化して位相がずれると干渉光は弱くなる。このため、塗布ムラは肉眼で観察することができる。
前記反射光の強度をカメラなどで観察・測定することで塗布ムラを検出することも可能である。しかしながら、カメラ等の感度は肉眼に比較して低く、正常部とムラ部の区別が困難である。また、目視ではほとんど問題になることがなく許容範囲に属する微小な膜厚変動に起因し、基板前面に亘って存在する明るさ変動(モヤムラ)の影響や、目視ではほとんど注意することがない透明感光性樹脂被膜の下層に存在する格子等の影響が画像内に顕在化してくる。この影響があると2値化処理やフィルタリング処理等の単純な画像処理手段によってムラ部を簡便に検出することはできない。
これを改善して、正常部とムラ部との間のS/Nを高め、塗布ムラを精度良く検出する試みも行なわれている。例えば、検査する領域を画素状に分割し、波長の異なる2種類の光を照射し、各画素毎に、かつ波長毎に反射光強度を測定し、次に波長に基づく反射光強度の差を算出すると共に、第一方向の所定長さ分の前記差を累積し、この累積値を第一方向に微分し、第二方向の所定区間間における微分値の最大値から最小値を引いた微分差を算出し、この微分差を閾値と比較して、塗布ムラを検出する方法があるが(特許文献1参照)、前述のモヤムラや下層に存在する格子等の影響を加味したムラ検査は困難であった。また、2種類の光信号を検出処理する点で処理スピードにおいても満足できるものではなかった。
特開2003−166941号公報
本発明は、以上のような事情の下でなされたものであり、大面積の全基板上において反射光強度を精度良く測定し、この反射光強度から透明感光性樹脂被膜の下層に存在する格子影響等の外乱要因を除去すると共に塗布ムラの可能性のある領域(ムラ候補領域)を精度良く推定し、透明感光性樹脂被膜の塗布ムラを効率的に検出する方法を提供することを目的とするものである。
すなわち、請求項1に係る発明は、基材上に塗布された透明樹脂被膜の塗布ムラを検査する方法であって、透明樹脂の塗布方向及びこれに直交する方向に分割して多数の小領域とし、これら小領域に光を照射してその反射光強度を小領域毎に測定する反射光強度測定工程と、塗布方向又は塗布方向に直交する方向を包絡方向として、この包絡方向に沿って並んだ小領域の反射光強度を包絡処理してその包絡値を算出し、算出した包絡値から明側包絡画像データと暗側包絡画像データを生成する包絡画像データ生成工程と該包絡画像データに対して、注目画素を取り囲む画素群を構成する各輝度値の平均値と前記注目画素の輝度値の差分を算出することにより塗布ムラを抽出するムラ抽出工程と、を備えることを特徴とする塗布ムラ検査方法である。
この方法によれば、塗布方向又は塗布方向に直交する方向を包絡方向として、包絡方向に沿って並んだ小領域の反射光強度から包絡値を求めることによって透明感光性樹脂被膜の下層に存在する格子影響を除去した画像データとすることで、検出精度の向上を図ることができる。また、緩やかなグラデーション画像データとし、かつ注目画素と注目画素とを取り囲む画素群の輝度値平均値とを比較することで局所的な輝度変化が生じる塗布ムラの検出が容易となる。
次に、請求項2に係る発明は、包絡画像データ生成工程にて、上側包絡値と反射光強度の移動平均値との除算値及び下側包絡値と反射光強度の移動平均値との除算値から包絡画像データを生成することで、基板全面に亘って存在する明るさ変動(モヤムラ影響)を軽減させることを狙ったものである。
次に、請求項3に係る発明は、包絡画像データ生成工程にて、上側包絡値と下側包絡値との比から包絡画像データを生成することで、局所的な輝度変化が生じる塗布ムラをより強調させることができ、検出精度の向上を狙ったものである。
次に、請求項4に係る発明は、基材上に塗布された透明樹脂を塗布方向及びこれに直交する方向に分割して多数の小領域とし、これら小領域に照射された光の反射光強度から塗布ムラを検査するためのプログラムであって、塗布方向又は塗布方向に直交する方向を包絡方向として、この包絡方向に沿って並んだ小領域の反射光強度を包絡処理してその包絡値を算出するステップと、算出された包絡値から明側包絡画像データと暗側包絡画像データを生成する包絡画像データ生成ステップと、該包絡画像データに対して、注目画素を取り囲む画素群を構成する各輝度値の平均値と前記注目画素の輝度値の差分を算出することにより塗布ムラを抽出するムラ抽出ステップと、を備える塗布ムラ検査プログラムである。
このプログラムによれば、塗布方向又は塗布方向に直交する方向を包絡方向として、包絡方向に沿って並んだ小領域の反射光強度から包絡値を求めることによって透明感光性樹脂被膜の下層に存在する格子影響を除去した画像データとすることができ、検出精度の向上を図ることができる。また、緩やかなグラデーション画像データとし、かつ注目画素と注目画素とを取り囲む画素群の輝度値平均値とを比較することで局所的な輝度変化が生じる塗布ムラの検出が容易となる。
本発明によれば、大面積の全基板上において反射光強度を精度良く測定し、この反射光強度から、許容範囲に属する微小な膜厚変動に起因し、基板前面に亘って存在する明るさ変動(モヤムラ)の影響や、透明感光性樹脂被膜の下層に存在する格子影響等の外乱要因を除去することができると共に、塗布ムラの可能性のある領域(ムラ候補領域)を精度良く推定することができるため、精度良い塗布ムラの検出が可能となるという効果を奏する。
本発明は例えば、液晶ディスプレイの電極板の製造に適用される中間製品を基材とし、この基材上にダイコーターで塗布された透明感光性樹脂被膜を透明樹脂被膜として、本発明を利用することができる。
図1は、この中間製品1とその表面に塗布された透明感光性樹脂とを示す説明用平面図で、説明に不要な点については図示を省略してある。
すなわち、この中間製品1は、ガラス基板上に、表示画面12を区画する黒色の額縁11と、この額縁11内を各画素に区画するブラックマトリクス(図示せず)と、このブラックマトリクスで区画された各画素に設けられ、表示光を着色する着色膜(図示せず)とが設けられたものである。尚、一枚のガラス基板上に表示画面が多面付けされていることが普通であるが、図では一表示画面だけを示している。
そして、この中間製品上に透明感光性樹脂がダイコーターで塗布されている。透明感光性樹脂は、ガラス基板端面13から塗布を開始し、図示の方向にダイコーターのスリットダイを搬送するかガラス基板を搬送することにより均一な膜厚に塗布されている。図中14は塗布領域を示し、15は塗布ムラを示している。図示の塗布ムラは、異物起因のピンムラ及びダイコーターのスリットダイと基材との間のギャップのムラに起因するもので前者は任意箇所に丸状及び不定形状、後者は塗布方向又は塗布直交方向に沿って直線状に生じる。
そして、本発明は例えば図2に示すような装置を用いて実施することができる。図2の装置を用いて実施する際には、まずガントリー4を備えるステージ上に、透明感光性樹脂が塗布されたガラス基板1を載置・固定する。
ステージとしては任意のもので良いが、ステージ表面からの反射ノイズ光を防ぐため、表面黒色のステージを用いることが望ましい。例えば、表面をアルマイト処理して黒色としたアルミニウム製のステージである。または、撮像ポイント部におけるガラス基板1下部だけを表面黒色部材としても良い。
また、ガラス基板1の載置・固定は、例えば、ステージの上面に真空吸着機構を設けて、この機構によって吸着することによって載置・固定することが可能である。また、リフターを使用してステージ上方の中空位置に固定しても良いし、クランプによってガラス基板1の端面を把持することによりステージ上方の中空位置に固定することも可能である。このように中空位置に固定することによって、ステージ表面からの反射ノイズ光を防ぐことができる。
次に、図2の装置においては、ガントリー4に、複数の光源2と、この光源から照射された光が透明樹脂被膜にて反射された反射光を受光するカメラ3とが装着されている。
カメラ3としては、白黒カメラが好ましく利用できるが、カラーカメラであっても良い。また、カメラ4は、ラインカメラとエリアカメラのいずれであっても良い。尚、10bit以上の高感度カメラを使用することが好ましい。
このカメラ3は、その測定感度の点から、その光軸が、基板1の法線に対し40〜60°の角度をなすように配置されていることが望ましい。より望ましくは50°である。また、このカメラ3の角度に対応して光源2も、照射光が基板1の法線に対し40〜60°の角度で入射するように配置されていることが望ましい。
そして、前記光源2からの光を照射し、基板2の透明感光性被膜で反射された光の強度をカメラ2によって測定する。ガントリー4を移動させて反射光強度を測定することにより、測定対象全領域について、その反射光強度を測定することが可能である。尚、測定範囲が広い場合には、ガントリーの間欠移動と反射光強度の測定を繰り返したり、又はインライン上に具備させるとき等設置スペースに余裕が無い場合には、基板2そのものを動かし、ガントリー4を停止させた状態で、全範囲の反射光強度測定を行っても良い。
なお、反射光強度は、透明樹脂の塗布方向(m方向)及びこれに直交する方向(n方向)に分割して多数の小領域(m,n)とし、これら小領域(m,n)に光を照射してその反射光強度Rを、小領域(m,n)毎に測定する必要がある。図2の装置においては、ガントリー4の移動方向又はガラス基板の移動方向を塗布方向(m方向)としたが、ガントリー4の移動方向又はガラス基板の移動方向を塗布方向(m方向)に直交する方向(n方向)となるように配置しても良い。
前記小領域(m,n)は、カメラ3の各画素に対応する領域であって良い。このため、カメラ3の分解能が高いほど透明感光性樹脂被膜の表面は細かい小領域に分割され、精度良く測定することが可能となる。また、カメラ3の画素を複数個にまとめて小領域(m,n)に対応させることも可能である。
次に、本発明において膜厚ムラの検査に使用する光は、任意の波長の光で良いが、透明感光性樹脂被膜が感光性を有する場合には、その透明感光性樹脂被膜に感受性の無い波長の光を用いることが望ましい。一般に、感光性樹脂は紫外線などの短波長の光に感受性を有することから、本発明においては膜厚ムラの検査に使用する光として、500〜570nmの波長域に属する緑色光、あるいは580〜630nmの波長域に属する赤色光が好適に使用できる。尚、これらの光は狭帯域の光線であることが望ましい。好ましくは、半地幅20nm以下の単色光である。
500〜570nmの波長域に属する緑色の単色光は、例えば光源2としてハロゲンランプや高圧水銀ランプを使用し、その光をバンドパスフィルタを透過させることで得ることができる。また、赤色の単色光は、ハロゲンランプや低圧ナトリウムランプを光源2とし、その光をバンドパスフィルタを透過させることによって得ることができる。尚、バンドパスフィルタや雰囲気への熱対策には十分注意を払う必要がある。
尚、透明感光性樹脂に照射する照射光は、検査に使用する光の他、別の波長域に属する光を含むものであってもよい。この場合には、反射光をバンドパスフィルタを通過させることによって、検査に使用する光の反射光強度を測定することができる。また、カラーカメラで色光毎に反射光強度を測定した後、検査に使用する光の反射光強度をデータ上で抽出しても良い。
次に、塗布方向(m方向)又は塗布方向に直交する方向(n方向)に沿って並んだ小領域(m,n)の反射光強度R(m,n)から移動平均値及び包絡値を算出する。透明感光性樹脂の下層に存在する格子影響を除去する手段として移動平均値及び包絡値を算出するが、好ましくはガラス基板上に形成された画素ストライプと直交する方向が好適である。これは、画素ストライプと直交する方向では、透明感光樹脂下層に存在する格子影響が格子配置構造上顕著に生じ、基板全体に亘って生じるうねり(モヤムラ)がより的確に現れるため、グラデーション画像データを生成するのに適するからである。この画素ストライプの方向は、ガラス基板上の面付け配置によって変わり、塗布方向(m方向)と同方向になる場合と、塗布方向に直交する方向(n方向)と同方向の場合の2種類があり、適時選択する。
以下、塗布方向(m方向)に並んだ小領域(m,n)の反射光強度R(m,n)から移動平均値及び包絡値を算出する場合を例として説明する(塗布方向(m方向)が画素ストライプと直交する方向とする)。
塗布方向(m方向)に並んだ小領域(m,n)の反射光強度R(m,n)から得られる移動平均値は、例えば互いに隣接する反射光強度Rm(m,n)とRm+1(m,n)との平均を算出することで実施することができる。例えば、(R1+R2)/2,(R2+R3)/2,・・・などである。もちろん、互いに隣接する2つの反射光強度Rmに限らず、互いに連続する3以上の反射光強度Rmの平均を移動平均値Rm’として利用することも可能である。平滑化処理として、フーリエ変換後高周波成分を除去し、逆変換する処理を利用することも可能である。
塗布方向(m方向)に並んだ小領域(m,n)の反射光強度R(m,n)から得られる包絡値は、例えば次のような方法で求めることができる。反射光強度Rmと移動平均値Rm’との差を求める。この時、プラスの値を示す方が上側包絡値候補となり、マイナスの値を示す方が下側包絡値候補となるが、これらの値は離散値である。そこで、離散値を連続値に置換させる。上側包絡値の場合は、ある特定区間(m,n)−(m+m’,n)において包絡値候補の最大値を求め、(m+m’,n)−(m+2m’,n)・・・・・の区間で同様に包絡値候補の最大値を求める。各区間で得られた包絡値候補の最大値間を一次近似補間することで、間隙データを補填し、反射光強度の明部側をトレースするデータ、すなわち上側包絡値Tmを得る。下側包絡値の場合は、ある特定区間(m,n)−(m+m’,n)において包絡値候補の最小値を求め、(m+m’,n)−(m+2m’,n)・・・・・の区間で同様に包絡値候補の最小値を求める。各区間で得られた包絡値候補の最小値間を一次近似補間することで、間隙データを補填し、反射光強度の暗部側をトレースするデータ、すなわち下側包絡値Bmを得る。この包絡処理を全面に亘って行なう。そして、求めた上側包絡値から明側包絡画像、求めた下側包絡値から暗側包絡画像を生成する。このような処理フローの例を図6に示す。
他の包絡データ生成方法として、ある区間内で反射光強度Rの最大値と最小値を求め、この区間を順次移動させながら同様に各区間内の最大値と最小値を求める。次に求められた各区間の最大値間を補間して上側包絡値Tmを、同様に各区間の最小値間を補間して下側包絡値Bmを生成することができる。尚、区間については、下地の画素区画のピッチ等の配置構造から周期を予測設定できる。
このような包絡処理を行なうことで、人間の目で観察しているのと同様に反射光強度をなだらかなデータ(画像)として再形成することで、求める塗布ムラの検出感度の向上を狙うと共に、反射光強度データ内に存在する高周波変動、すなわち透明感光性樹脂下層に存在する格子影響を軽減させることで外乱影響を除き、塗布ムラの検出精度の向上を狙っている。
また、上側包絡値Tmと移動平均値Rm’との除算Tm/Rm’、下側包絡値Bmと移動平均値Rm’との除算Bm/Rm’によって、基板全面に存在する明るさ変動(モヤムラ影響)の軽減をさらに狙って明側包絡画像及び暗側包絡画像を生成する。尚、上側包絡値と移動平均値との除算値は、必ず1以上の値となる。逆に下側包絡値と移動平均値との除算では、必ず1以下の値となるため、例えば同一の尺度で処理をしたい場合には、移動平均値と下側包絡値との除算値Rm’/Bmとしても良い。また、画像化する際に値を底上げして表示上の視認性向上を狙っても良い。これにより、官能欠陥である塗布ムラ有無判断を定量的に下すことが可能になる。また、これら除算値に閾値を設け、この閾値より大きい又は小さい除算値を示す部位を塗布ムラとして可能性のある領域を抽出することも可能である。
また、上側包絡値Tmと下側包絡値Bmとの比を求め、明部を示す上側包絡値と暗部を示す下側包絡値に生じている明るさ変動を相乗させることによって塗布ムラを強調させた包絡画像を得ることが可能である。また、この乗算値に閾値を設け、この閾値より大きい乗算値を示す部位を塗布ムラとして可能性のある領域を抽出することも可能である。
次に、包絡画像に対してムラ抽出を試みる方法について説明する。この処理は、図3に示すようなフィルタ形状を用いることで実施することができる。注目画素F(m,n)からM画素分だけ離れた位置に存在し、かつ注目画素を取り囲む複数の画素の輝度値の平均値A(m,n)を求める。次に、注目画素F(m,n)からN(N>M)画素分だけ離れた位置に存在し、かつ注目場画素を取り囲む複数の画素の輝度値の平均値B(m,n)を求める。そして、注目画素F(m,n)と外周輝度値平均B(m,n)との比較、内周輝度値平均A(m,n)と外周輝度値平均B(m,n)との比較を実施し、局所的な輝度変化の生じている部位を塗布ムラとして抽出する。塗布ムラ部位として抽出された画像データに対して、メディアンフィルタや膨張収縮処理を行なった後、ラベリング処理等を経て特徴量を求めることで塗布ムラ検出を行なう。このような処理フローの例を図7に示す。以上のようにして塗布ムラの検出が可能となる。
尚、このような演算は、図示しないコンピュータによって可能である。
本実施例で使用した基板1の概要は、図1に示した通りである。青色光に感受性のある透明感光性樹脂をダイコーターを使用して一方向に向かって塗布したもので、目視にて白く見えるムラと黒く見えるムラの二種類の丸状塗布ムラを設けてあり、本実施例ではこれら丸状のムラに関して説明することにする。
次に、本実施例で利用した装置の概要は、図2に示した通りである。光源としては、低圧ナトリウムランプを照明ボックス内に具備し、照明ボックスの中心軸が基材表面の法線に対して50°となるように配置、拡散照射させて使用した。また、カメラ3としては、白黒のラインカメラを使用し、これをその光軸が基材表面の法線に対し50°をなすように配置した。そして、基板1を移動させて、基板全領域についてその反射光強度Rを測定し、反射光強度Rから包絡画像を生成した。また、生成した包絡画像に対して注目画素を取り囲む画素群を構成する各輝度値の平均値と前記注目画素の輝度値の差分を算出するフィルタ処理を行い、自動ムラ検出を試みた。尚、この時使用した画像データは、8bit濃淡画像である。
図4は、白ムラは、明側包絡値の方がその存在が分かり易いので、白ムラ原画像に対して明側包絡画像を生成した結果を示したものである。左側が白ムラ原画像、右側が生成した白ムラ明側包絡画像である。この結果より、白ムラが原画像に対して明側包絡画像を生成することによって、強調されていることが分かる。
また、図5は、黒ムラは、暗側包絡値の方がその存在が分かり易いので、黒ムラ原画像に対して暗側包絡画像を生成した結果を示したものである。左側が黒ムラ原画像、右側が生成した黒ムラ暗側包絡画像である。この結果より、黒ムラが原画像に対して暗側包絡画像を生成することによって、強調されていることが分かる。
次に、図4及び図5に示した白ムラ明側包絡画像、黒ムラ暗側包絡画像に対して、注目画素を取り囲む画素群を構成する各輝度値の平均値と注目画素の輝度値の差分を算出するフィルタ処理を行なった。図3に示したフィルタ形状を適用し、図7に示した処理フローにてムラ検出処理を行った。そして、この処理フローに従い、白ムラ及び黒ムラに対してムラ検出処理を行なった結果を図8に示す。この時の条件として、M=15、N=25、閾値(Th_br1、Th_br2、Th_da1、Th_da2)=10とした。この時、Th_br1は内外周間の閾値(明側)、Th_br2は注目画素と内周間の閾値(明側)、Th_da1は内外周間の閾値(暗側)、Th_da2は注目画素と内周間の閾値(明側)である。尚、閾値は便宜上、F、A、B等に対する相対値としても良い。
この結果より、精度良くムラ部位が捉えられていることが確認できる。
これらの結果から、本発明によれば基板全面の反射光強度から求める包絡画像生成手段及びフィルタ処理手段によって透明感光性樹脂の下層にある格子影響及び基板全面に亘って存在する大きなうねり(モヤムラ)を軽減し、精度良く塗布ムラが検出できることが分かった。
液晶ディスプレイの製造に用いられるフォトスペーサー用の透明感光性樹脂被膜の塗布ムラを検出するのに好適である。
透明感光性樹脂を有する基板の説明用平面図である。 本発明に係る検出装置の説明用斜視図である。 本発明に係るフィルタ形状の一例を示す説明図である。 本発明の白ムラ実施例に係る包絡画像の一例である。 本発明の黒ムラ実施例に係る包絡画像の一例である。 本発明に係る包絡処理の一例を示す処理フロー図である。 本発明に係るフィルタ処理の一例を示す処理フロー図である。 本発明のムラ実施例に係るムラ検出画像の一例である。
符号の説明
1・・・透明感光性被膜を供える基材
2・・・光源
3・・・カメラ
11・・・黒色額縁
12・・・表示画面
13・・・端面
14・・・塗布領域
15・・・塗布ムラ

Claims (4)

  1. 基材上に塗布された透明樹脂被膜の塗布ムラを検査する方法であって、透明樹脂の塗布方向及びこれに直交する方向に分割して多数の小領域とし、これら小領域に光を照射してその反射光強度を小領域毎に測定する反射光強度測定工程と、
    塗布方向又は塗布方向に直交する方向を包絡方向として、この包絡方向に沿って並んだ小領域の反射光強度を包絡処理してその包絡値を算出し、算出した包絡値から明側包絡画像データと暗側包絡画像データを生成する包絡画像データ生成工程と
    該包絡画像データに対して、注目画素を取り囲む画素群を構成する各輝度値の平均値と前記注目画素の輝度値の差分を算出することにより塗布ムラを抽出するムラ抽出工程と、
    を備えることを特徴とする塗布ムラ検査方法。
  2. 前記包絡画像データ生成工程にて、上側包絡値と反射光強度の移動平均値との除算値及び下側包絡値と反射光強度の移動平均値との除算値から包絡画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載の塗布ムラ検査方法。
  3. 前記包絡画像データ生成工程にて、上側包絡値と下側包絡値との比から包絡画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載の塗布ムラ検査方法。
  4. 基材上に塗布された透明樹脂を塗布方向及びこれに直交する方向に分割して多数の小領域とし、これら小領域に照射された光の反射光強度から塗布ムラを検査するためのプログラムであって、
    塗布方向又は塗布方向に直交する方向を包絡方向として、この包絡方向に沿って並んだ小領域の反射光強度を包絡処理してその包絡値を算出するステップと、
    算出された包絡値から明側包絡画像データと暗側包絡画像データを生成する包絡画像データ生成ステップと、
    該包絡画像データに対して、注目画素を取り囲む画素群を構成する各輝度値の平均値と前記注目画素の輝度値の差分を算出することにより塗布ムラを抽出するムラ抽出ステップと、
    を備えることを特徴とする塗布ムラ検査プログラム。
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