JP2006322738A - ダンパ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 流体が流入、流出する流体室23と、流体室23の少なくとも一面を構成するダイヤフラム71と、ダイヤフラム71を介して流体室23と液密に隣接する隔室53と、を有し、ダイヤフラム71が、耐薬品性を有する第1の膜73と、耐圧性を有する第2の膜75と、から構成されていることを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
また、ポンプより後流側で発生する圧力脈動以外にも、他の要因で発生するウォーターハンマを軽減するためにダンパを配置することが行なわれている。
上述のダンパとしては、さまざまな形式のものが提案されており、例えばダイヤフラムを用いたダンパなどが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
このようなダイヤフラムは一般に、圧力脈動に対する追従性を確保し、圧力脈動の除去性を確保するため、所定の膜厚以下に形成されていた。
しかしながら、ダイヤフラムの膜厚を薄くすると、その膜厚に応じて強度が低下する。そのため、高圧環境下において、ダイヤフラム式のダンパを用いるとダイヤフラムが破れる恐れがあり、高圧環境下でダイヤフラム式のダンパを使用できないという問題があった。
一方、高圧環境下でダイヤフラム式のダンパを使用できるようにすると、ダイヤフラムの膜厚が厚くすることになる。すると、ダイヤフラムの圧力脈動に対する追従性が悪化し、圧力脈動の除去性能が低下するという問題があった。
本発明のダンパは、流体が流入、流出する流体室と、該流体室の少なくとも一面を構成するダイヤフラムと、該ダイヤフラムを介して前記流体室と液密に隣接する隔室と、を有し、前記ダイヤフラムが、耐薬品性を有する第1の膜と、耐圧性を有する第2の膜と、から構成されていることを特徴とする。
つまり、耐薬品性を有する第1の膜をダイヤフラムの接液面に用いることで、ダイヤフラムに耐薬品性を与えることができる。耐圧性を有する第2の膜をダイヤフラムに用いることで、ダイヤフラムの耐圧性を向上できるとともに、第1の膜の伸びによる膜薄化を抑制できる。
ダイヤフラムを第1の膜と第2の膜とから構成することで、耐薬品性を有する膜のみでダイヤフラムを構成する場合と比較して、ダイヤフラムの膜厚を薄くできる。ダイヤフラムの膜厚を薄くできることにより、ダンパの圧力脈動除去性能の向上が図れる。
本発明によれば、ダイヤフラムが複数の第1の膜を備えることにより、1枚の第1の膜を備えた場合と比較して、第1の膜の1枚あたりの膜厚を薄くでき、ダイヤフラムの圧力脈動の追従性を向上できる。
また、第1の膜を複数枚とすることで、第1の膜が1枚の場合と比較して、ガス透過をより確実に防ぐことができる。さらに、1枚の第1の膜が破れても、残りの第1の膜が破れていないため、ダイヤフラムの耐薬品性を維持できる。
本発明によれば、流体室のダイヤフラム変形方向長さが、ダイヤフラムの変形距離よりも長いため、ダイヤフラムが変形した場合においても流体室に所定容積が残る。流体室に所定容量が残るため、所定容量が残らない場合と比較して、流体の圧力脈動除去性を向上できる。
本発明によれば、流体室に流体を流入させる流入路に折れ曲がり部が形成されているため、ダイヤフラムにかかる流入流体の動圧を小さくでき、ダイヤフラムの膜厚を薄くできる。
つまり、流入路内を流れる流体は、折れ曲がり部において流入路の内壁と衝突し、流体の動圧は一度静圧に変換される。その後、流体は流体室に流入するため、折れ曲がり部を経ないで流体室に流入した場合と比較して、流入流体の有する動圧を小さくできる。
前記前記第2の筐体の結合面における外周部には、前記第1の筐体に向けて突出する外周凸部が設けられ、前記第1の筐体における前記外周凸部と対向する領域には、前記凸部と嵌め合わされる外周凹部が設けられていることが望ましい。
上記発明においては、前記第2の膜が弾性材料からなることが望ましい。
弾性材料からなる第2の膜を用いることにより、ダイヤフラムに耐圧性を与えるとともに、圧力脈動に対する追従性を損なうことがない。
耐圧性を有する第2の膜をダイヤフラムに用いることで、ダイヤフラムの耐圧性を向上させることができ、高圧環境下でダンパを使用できるという効果を奏する。
ダイヤフラムを第1の膜と第2の膜とから構成することで、耐薬品性を有する膜のみでダイヤフラムを構成する場合と比較して、ダイヤフラムの膜厚を薄くでき、ダンパの圧力脈動除去性能の向上が図れるという効果を奏する。
図1は、本発明に係るダンパの一実施形態を説明する概略図である。
ダンパ1は、図1に示すように、流体を昇圧するポンプ3とカラム5との間に配置されている。ポンプ3により昇圧された流体を導くチューブ9が、ナット19(図2参照)によりダンパ1に接続されている。ダンパ1とカラム5との間には、ダンパ1により圧力脈動が除去された流体をカラム5に導くチューブ7が、ナット19(図2参照)によりダンパ1に接続されている。
なお、流体は液体であってもよいし、気体であってもよく、特に限定するものではない。
ダンパ1は、図2に示すように、樹脂から形成された樹脂ボディ(第1の筐体)11と、金属から形成された金属ボディ(第2の筐体)13と、ベース15と、から概略構成されている。
ダンパ1は、ベース15、樹脂ボディ11、金属ボディ13の順に積み重ねられ、ボルト17により一体化されている。
樹脂ボディ11を形成する樹脂としては、PEEK(登録商標)樹脂が強度、耐薬品性などの観点から好ましいが、強度、耐薬品性を備えた樹脂であればよく、特に限定するものではない。金属ボディ13を形成する金属としてはステンレス鋼(例えば、SUS304)を例示でき、特に限定するものではない。
樹脂ボディ11には、図2および図3に示すように、2つの継ぎ手19が側面(図2中の左右の面)に略水平(図2中の左右方向)に取り付けられ、継ぎ手19には接続チューブ7,9が取り付けられている。継ぎ手19は樹脂ボディ11と同様にPEEK樹脂から形成され、樹脂ボディ11に対してねじ込むことにより取り付けられている。接続チューブ7,9は、外径が約1.6mm(1/16インチ)、内径が約0.5mmの流路である。
外周凹部29は、樹脂結合面21の外周部に、後述する外周凸部59と嵌め合わされるように形成されている。
ダンパ1に供給される流体圧力が複数何種類かある場合には、電空レギュレータを使用することにより、流体圧力が変更されても容易に対応することができる。さらには、ダンパ1の下流側に圧力センサを配置して流出した流体の圧力を検知し、その検知した流体圧力に基づいて電空レギュレータを制御することもできる。
外周凸部59は、金属結合面51の外周部に、後述する外周凹部29と嵌め合わされるように形成されている。
樹脂膜73は、PFA(パーフルオロアルコキシルアルカン)から形成された厚さが約0.05mmの膜として形成されている。弾性膜75は、FKM(フッ素ゴム)から形成された厚さが約1mmの膜として形成されている。
エア室53側に樹脂膜73と1枚配置したことにより、ダイヤフラム71をエッジ凸部27とエッジ凹部57との間に挟んだ際に、弾性膜75が破れることを防止できる。
ポンプ3により昇圧された高圧の流体は、接続チューブ9、継ぎ手19を介して、内部流路39に流入する。継ぎ手19から内部流路39に流入した流体は、折れ曲がり部41において内部流路39の内壁に衝突し、その動圧が一度静圧に変換される。その後、流体は内部流路39から流入口35を通って流体室23に流入する。
また、ダイヤフラム71が変形した際に、段差部33とダイヤフラム71とが接触し、ダイヤフラム71の変形が規制される。そのため、ダイヤフラム71は流入口35、流出口37塞ぐまで変形しない。
つまり、耐薬品性を有する樹脂膜73で弾性膜75を覆うことにより、ダイヤフラム71に耐薬品性を与えることができる。耐圧性を有する弾性膜75をダイヤフラム71に用いることで、ダイヤフラム71の耐圧性を向上できるとともに、樹脂膜73の伸びを抑制できる。
ダイヤフラム71を樹脂膜73と弾性膜75とから構成することで、耐薬品性を有する膜のみでダイヤフラム71を構成する場合と比較して、ダイヤフラム71の膜厚を薄くできる。ダイヤフラム71の膜厚を薄くできることにより、ダンパ1の圧力脈動除去性能の向上が図れる。
また、樹脂膜73を複数枚とすることで、樹脂膜73が1枚の場合と比較して、ガス透過をより確実に防ぐことができる。さらに、1枚の樹脂膜73が破れても、残りの樹脂膜73が破れていないため、ダイヤフラム71の耐薬品性を維持できるとともにガス透過を防止できる。
つまり、内部流路39内を流れる流体は、折れ曲がり部41において内部流路39の内壁と衝突し、流体の動圧は一度静圧に変換される。その後、流体は流体室23に流入するため、折れ曲がり部41を経ないで流体室に流入した場合と比較して、流入流体の有する動圧を小さくでき、ダイヤフラム71に要求される強度を小さくできる。
例えば、上記の実施の形態においては、この発明を液クロマトグラフィにおけるダンパに適用して説明したが、この発明は液クロマトグラフィ用のダンパに限られることなく、その他各種の高圧液体に圧力脈動が発生する装置に適用できるものである。
例えば、上記の実施の形態においては、エア室53内には所定圧力の空気が密封されているダンパに適用して説明したが、エア室53内に空気が密封されているものに限られることなく、エア室53内にゲルを封入したり、スプリングなどの弾性体を配置したりしたもの等、その他各種のダンパに適用することができるものである。
11 樹脂ボディ(第1の筐体)
13 金属ボディ(第2の筐体)
21 樹脂結合面
23 流体室
25 位置合わせ凹部
27 エッジ凸部
29 外周凹部
33 段差部(規制部)
35 流入口(孔)
37 流出口(孔)
39 内部流路(流入路)
41 折れ曲がり部
51 金属結合面
53 エア室(隔室)
55 位置合わせ凸部
57 エッジ凹部
59 外周凸部
73 樹脂膜(第1の膜)
75 弾性膜(第2の膜)
Claims (9)
- 流体が流入、流出する流体室と、
該流体室の少なくとも一面を構成するダイヤフラムと、
該ダイヤフラムを介して前記流体室と液密に隣接する隔室と、を有し、
前記ダイヤフラムが、耐薬品性を有する第1の膜と、耐圧性を有する第2の膜と、から構成されていることを特徴とするダンパ。 - 前記ダイヤフラムには、複数の前記第1の膜が備えられていることを特徴とする請求項1記載のダンパ。
- 前記流体室における前記ダイヤフラムの変形方向長さが、前記ダイヤフラムの変形距離よりも長いことを特徴とする請求項1または2に記載のダンパ。
- 前記流体室における前記ダイヤフラムと対向する対向面に、前記流体が流入、流出する孔が設けられ、
前記対向面における前記孔の設けられた近傍領域に前記ダイヤフラムの変形を規制する規制部が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のダンパ。 - 前記流体室に前記流体を流入させる流入路が設けられ、
該流入路には、折れ曲がり部が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のダンパ。 - 前記ダイヤフラムを間に介して結合させることにより、その内部に前記流体室を構成する第1の筐体と、その内部に前記隔室を構成する第2の筐体を有し、
前記第1の筐体および前記第2の筐体の結合面には、それぞれ前記流体室および前記隔室の相対位置を定める位置合わせ凸部および位置合わせ凹部と、前記結合面から前記流体の流出を防止するエッジ凸部およびエッジ凹部と、が前記流体室および前記隔室を囲うように設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のダンパ。 - 前記第1の筐体が耐薬品性を有する樹脂から形成されるとともに、前記第2の筐体が金属から形成され、
前記前記第2の筐体の結合面における外周部には、前記第1の筐体に向けて突出する外周凸部が設けられ、前記第1の筐体における前記外周凸部と対向する領域には、前記凸部と嵌め合わされる外周凹部が設けられていることを特徴とする請求項6記載のダンパ。 - 前記第1の膜が、樹脂からなることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のダンパ。
- 前記第2の膜が、弾性材料からなることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のダンパ。
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