JP2006321761A - アスタキサンチンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 カンタキサンチンからアスタキサンチンを高収率でかつ非常に少ない副生物量で製造する方法の提供。
【解決手段】 カンタキサンチンとトリフルオロメタンスルホン酸トリアルキルシリルエステル(アルキル基の炭素数はそれぞれ1〜4である)とを、テトラヒドロフランおよび/またはトルエン並びにトリアルキルアミン(アルキル基の炭素数はそれぞれ2〜4である)の存在下、−20〜20℃で反応させてカンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルを生成させ、該カンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルを、テトラヒドロフランおよび/またはトルエン中、過酢酸と−25〜10℃で反応させてアスタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エーテルに変換し、ついで該アスタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エーテルを第一級アルコールと反応させることを特徴とするアスタキサンチンの製造方法。

Description

本発明はサケ、マス等の飼料添加剤などとして用いられるアスタキサンチンの製造方法に関する。
従来、カンタキサンチンを原料としてアスタキサンチンを製造する方法として次の方法が知られている。
(1)カンタキサンチンにアルカリ金属塩を作用させて、カンタキサンチンジアルカリ金属塩エノラートとし、これにオキサジリジン化合物を反応させてアスタキサンチンのジアミナール体のアルカリ金属塩に変換し、ついでこれを酸で分解してアスタキサンチンとする方法(特許文献1および2参照)、および
(2)カンタキサンチンにシリル化剤を作用させて、カンタキサンチンビスシリルエノールエーテルとし、これに過カルボン酸を反応させてアスタキサンチンのビスシリルエーテルに変換し、ついでこれを、通常酸の存在下、水もしくはアルコールで分解してアスタキサンチンを得る方法(特許文献3参照)。
特許文献3の方法は、より詳細には、カンタキサンチンに、(a)好ましくはエーテル(例えばテトラヒドロフラン)中、アルカリ金属ジアルキルアミド(例えばリチウムジイソプロピルアミド)の存在下、トリアルキルハロシラン(例えばトリメチルクロロシラン)を作用させるか、(b)好ましくはジメチルホルムアミド中、トリアルキルアミン(例えばトリエチルアミン)の存在下、トリアルキルハロシラン(例えばトリメチルクロロシラン)を作用させるか、(c)好ましくは塩化メチレン中、トリアルキルアミン(例えばトリエチルアミン)の存在下、トリフルオロメタンスルホン酸トリアルキルシリルエステル(例えばトリフルオロメタンスルホン酸t−ブチルジメチルシリルエステル)を作用させるなどの手法によって、カンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルとし、これに過カルボン酸(例えば、モノ過フタル酸、過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸、p−ニトロ過安息香酸、過マレイン酸)を反応させてアスタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エーテルとし、これを無機酸もしくは有機酸の水溶液で処理するか、必要に応じて酸(例えばp−トルエンスルホン酸)の存在下、メタノールで還流下に処理してアスタキサンチンとする方法である。
特開平6−172297号公報 特開平07−118227号公報 特開昭59−53463号公報
これらの製造方法中、(1)の方法で収率良くアスタキサンチンを得るためには、ナトリウムヘキサメチルジシラジンなどのアルカリ金属塩、およびトランス−2−(フェニルスルホニル)−3−フェニルオキサジリジンなどのオキサジリジン化合物を必要とするが、これら試剤の入手は困難であり、さらにオキサジリジン化合物を使用する工程は−70〜−78℃の極低温で行われるので、工業的に実施することは難しい。
(2)の製造方法については、特許文献3の実施例1および2によると、カンタキサンチンに、テトラヒドロフラン中、リチウムジイソプロピルアミドの存在下、トリメチルクロロシランを作用させてカンタキサンチンビス(トリメチルシリル)エノールエーテルとし、これにモノ過フタル酸を反応させてアスタキサンチンビス(トリメチルシリル)エーテルとし、これをp−トルエンスルホン酸の存在下、メタノールで還流下に処理してアスタキサンチンを得ているが、カンタキサンチンからの収率は67.5%であり、満足のいく収率ではない。さらにこの方法で得られたアスタキサンチンには副生物であるアドニルビン2.5%、未反応のカンタキサンチン5%が含まれるが、これら化合物はアスタキサンチンと同様なポリエン骨格を有しているため、高純度のアスタキサンチンを得るためにはカラム精製などの煩雑な精製工程が必要になる。また、特許文献3の実施例5によると、カンタキサンチンに、塩化メチレン中、トリエチルアミンの存在下、トリフルオロメタンスルホン酸t−ブチルジメチルシリルエステルを反応させてカンタキサンチンビス(t−ブチルジメチルシリル)エノールエーテルを得ているが、カンタキサンチンからの収率は70%であり満足のいく収率ではない。また、溶媒として使用している塩化メチレンは発ガン性の疑いがもたれており、工業的に好ましくない。
本発明者らは、(2)の製造方法の改良を目指して鋭意研究の結果、トリフルオロメタンスルホン酸トリアルキルシリルエステル、トリアルキルアミンおよび溶媒としてテトラヒドロフランおよび/またはトルエンを用いて、カンタキサンチンからカンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルを生成させ、続いて過酢酸および溶媒としてテトラヒドロフランおよび/またはトルエンを用いて、アスタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エーテルに変換し、ついでこれを第一級アルコールと反応させることにより、アスタキサンチンを高収率でかつ非常に少ない副生物量で製造できることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、カンタキサンチンとトリフルオロメタンスルホン酸トリアルキルシリルエステル(ケイ素原子と結合しているアルキル基の炭素数はそれぞれ1〜4である)とを、テトラヒドロフランおよび/またはトルエン並びにトリアルキルアミン(アルキル基の炭素数はそれぞれ2〜4である)の存在下、−20〜20℃で反応させてカンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテル(ケイ素原子と結合しているアルキル基の炭素数はそれぞれ1〜4である)を生成させ、生成した該カンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルを、テトラヒドロフランおよび/またはトルエン中、過酢酸と−25〜10℃で反応させてアスタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エーテル(ケイ素原子と結合しているアルキル基の炭素数はそれぞれ1〜4である)に変換し、ついで該アスタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エーテルを第一級アルコールと反応させることを特徴とするアスタキサンチンの製造方法に関する。
本発明により、カンタキサンチンからアスタキサンチンを高収率でかつほとんど副生物なしにもしくは非常に少ない副生物量で製造することができる。
本発明のアスタキサンチンの製造方法は、(1)カンタキサンチンからカンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルを生成する工程、(2)生成したカンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルをアスタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エーテルに変換する工程、および(3)生成したアスタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エーテルからアスタキサンチンを生成する工程からなる。以下、個々の工程について説明する。
なお、本発明のアスタキサンチンの製造工程を化学式を用いて表すと以下のようになる。
Figure 2006321761
(1)カンタキサンチンからカンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルを生成する工程
カンタキサンチンからカンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルを収率良く高純度で製造するため、カンタキサンチンとトリフルオロメタンスルホン酸トリアルキルシリルエステル(ケイ素原子と結合しているアルキル基の炭素数はそれぞれ1〜4である)とを、テトラヒドロフランおよび/またはトルエン中、トリアルキルアミン(アルキル基の炭素数はそれぞれ2〜4である)の存在下、−20〜20℃で反応させてカンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテル(ケイ素原子と結合しているアルキル基の炭素数はそれぞれ1〜4である)を生成させる。かかるトリフルオロメタンスルホン酸トリアルキルシリルエステル、テトラヒドロフランおよび/またはトルエン並びにトリアルキルアミンの組合せが、最終目的物であるアスタキサンチンを高収率および高純度で得る上で重要である。
ケイ素原子と結合しているアルキル基の炭素数がそれぞれ1〜4であるトリフルオロメタンスルホン酸トリアルキルシリルエステル(以下、単にトリフルオロメタンスルホン酸トリアルキルシリルエステルという)としては、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸トリエチルシリルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸トリプロピルシリルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸エチルジメチルシリルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸エチルジメチルシリルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸ジエチルメチルシリルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸プロピルジメチルシリルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸プロピルジメチルシリルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸ブチルジメチルシリルエステル等を使用することができるが、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルエステルがもっとも好ましい。
アルキル基の炭素数がそれぞれ2〜4のトリアルキルアミン(以下、単にトリアルキルアミンという)としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等を使用することができるが、トリエチルアミンがもっとも好ましい。
トリフルオロメタンスルホン酸トリアルキルシリルエステルの使用量は、カンタキサンチンに対して1.5〜3当量であるのが好ましく、2〜2.5当量であるのがより好ましい。1.5当量未満であると、カンタキサンチンが十分に消費されず、目的とするアスタキサンチンの純度が低下する。一方、3当量を超えてもそれに見合う効果はなく、経済的に不利である。トリアルキルアミンの使用量は、トリフルオロメタンスルホン酸トリアルキルシリルエステルに対して1〜10当量であるのが好ましく、2〜5当量であるのがより好ましい。1当量未満であると、カンタキサンチンが十分に消費されず、目的とするアスタキサンチンの純度が低下する。一方、10当量を超えてもそれに見合う効果はなく、経済的に不利である。
溶媒として利用するテトラヒドロフランおよびトルエンはそれぞれ単独で使用しても、任意の割合の混合液として使用してもよい。かかる溶媒の使用量については特に制限はないが、カンタキサンチンに対して1〜50倍質量程度用いるのが好ましく、2〜20倍質量程度用いるのがより好ましい。1倍質量未満であると、反応を円滑に行いにくくなる傾向にあり、50倍質量を超えると容積効率が悪くなり、経済的に不利になる。テトラヒドロフランおよび/またはトルエンではカンタキサンチンの溶解度が非常に低く、部分的にしか溶解させることができず、懸濁状態となるが、本反応ではそのような懸濁状態でも十分に反応を進行させることができる。
なお、本反応においては未反応のカンタキサンチンおよびカンタキサンチンの一方のケトンだけがエノール化したカンタキサンチンモノ(トリアルキルシリル)エノールエーテルの存在をなるべく少なく、例えば1%以下まで減少させることが重要であるが、そのために、反応溶媒としてテトラヒドロフランおよび/またはトルエンを選択することが特に重要である。すなわち比較例1に示すように、従来技術で使用している塩化メチレンを溶媒として使用し、さらにトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルエステルとトリエチルアミンを用いて反応を行うと、目的とするカンタキサンチンビス(トリメチルシリル)エノールエーテルは75%の収率でしか得られず、さらに原料のカンタキサンチンやカンタキサンチンモノ(トリメチルシリル)エノールエーテルが残存してしまう。本発明ではテトラヒドロフランおよび/またはトルエンを反応溶媒として使用することで、比較的入手容易なトリフルオロメタンスルホン酸トリアルキルシリルエステルを用いても収率良くカンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルを製造することができる。
本反応は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下に実施することが好ましい。
反応温度は−20〜20℃であることが必要であり、−10〜0℃であることが好ましい。反応温度が−20℃より低くなると、反応が遅くなりすぎ極端な場合には停止する傾向となり、また20℃より高くなると生成物がアルドール反応などの副反応を起こし、収率が低下する傾向となる。反応時間については特に制限はないが、通常5分〜5時間である。
反応終了後の反応混合液はそのまま次の反応に使用してもよいが、後処理として、反応混合液を水で洗浄することが望ましい。この後処理において有機層を分離取得した後、そのまま次の反応に使用できるが、場合によっては濃度を調整する目的などで、有機層中の溶媒の一部を蒸留で留去してもよい。この場合、蒸留は、カンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルの熱安定性の観点から、減圧下に40℃以下の温度で行うことが望ましい。
(2)生成したカンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルをアスタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エーテルに変換する工程
この工程では、高純度のアスタキサンチンを収率良く製造するために、生成したカンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルを、テトラヒドロフランおよび/またはトルエン中、過酢酸と−25〜10℃で反応させることによりアスタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エーテルに変換する。
本工程では酸化剤として過酢酸を使用する。過酢酸としては比較的濃度が高い製品を工業的に容易に入手できる。すなわち、通常工業的に入手可能な約38質量%濃度の過酢酸水溶液を本反応ではそのまま使用することができ、その際、使用する過酢酸の量はカンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルに対して3〜20倍モルが好ましい。また、過酢酸は無水酢酸と過酸化水素水、あるいは酢酸と過酸化水素水からも容易に調製できる(新実験科学講座15、酸化と還元II−2、丸善(株)、1976年、P.741参照)が、この場合、本工程では、比較的濃度が高い過酢酸を得るために10〜60質量%過酸化水素水を使用することが望まれる。また調製した過酢酸はそのまま本反応に使用するが、過酢酸を調製するために使用する過酸化水素の量は、反応させるカンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルに対して3〜40倍モル程度で、その際使用する無水酢酸あるいは酢酸の使用量は過酸化水素水に対して1〜50倍質量程度であるのが適当である。
本工程では溶媒としてテトラヒドロフランおよび/またはトルエンを使用するが、これらの溶媒は前工程のカンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルの製造に使用する溶媒と同じであり、前工程の後処理で得られるカンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルを含む溶液をそのまま本反応に使用することができる。しかし濃度調整などの目的で新たにテトラヒドロフランおよび/またはトルエンを加えても構わない。使用する溶媒の量については特に制限はないが、通常、カンタキサンチンビストリ(トリアルキルシリル)エノールエーテルの濃度が0.1〜50質量%の範囲になる量を使用するのが好ましく、0.1〜25質量%の範囲になる量使用するのがより好ましい。
なお、本反応をさらに円滑に行うために、pH緩衝剤として酢酸ナトリウムや酢酸を単独または混合して添加してもよい。単独で添加する場合はカンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルに対してそれぞれ0.1〜2倍モル程度、0.1〜5倍モル程度用いるのが適当である。併用の場合、両者の合計でカンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルに対して0.1〜7倍モル程度用いるのが適当である。
本反応はカンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルのテトラヒドロフランおよび/またはトルエンの溶液に、必要とあれば酢酸ナトリウムおよび酢酸をそれぞれ単独でもしくは併用して、そのものあるいは水溶液の形で加え、温度を−25〜20℃、好ましくは−20℃〜10℃の範囲に調整した後、前記温度範囲を保ちながら、過酢酸を滴下する方法で行われる。過酢酸の滴下時間は通常0.5〜10時間で、それで反応を終了させてもよいが、反応の進行状況によっては前記温度範囲を保ちながら、さらに1〜10時間攪拌を続けてもよい。
反応終了後、反応混合液を炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどを含んだアルカリ水溶液で中和洗浄する。このとき使用するアルカリ水溶液に、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウムなどの還元剤を含有させて、未反応の過酢酸などを分解してもよい。中和洗浄後、得られる有機層はさらに水洗するが、このとき、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウムなどのpH緩衝剤を含む水溶液を用いてもかまわない。なお、これらの後処理操作は15℃以下の温度で行うことが望ましい。このようにして得られるアスタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エーテルを含む溶液はそのまま次工程に用いてもよいが、通常、減圧下に溶媒を留去して残留物として粗アスタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エーテルを得るのが好ましい。この場合、溶媒除去中の溶液の温度を40℃以下に保つことが望ましい。
このように、本工程では酸化剤として過酢酸、そして溶媒としてテトラヒドロフランおよび/またはトルエンという組合せを選択することにより、未反応のカンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテル(この化合物は後工程のメタノール処理でカンタキサンチンになる)およびカンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルの一方のシリルエノールエーテル基のみが過酢酸と反応した化合物(この化合物は後工程のメタノール処理でアドニブリンになる)の残存を抑えて、高純度なアスタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エーテルを高収率でかつ簡便に得ることができ、ついでメタノール処理を行うことにより、目的とする高純度なアスタキサンチンを高収率でかつ簡便に得ることができる。
(3)生成したアスタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エーテルからアスタキサンチンを生成する工程
この工程では、生成したアスタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エーテルを第一級アルコールと反応させてアスタキサンチンを生成させる。すなわち、前工程で得られる粗アスタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エーテルと1〜100倍質量の第一級アルコールとを混合し、好ましくは0℃から第一級アルコールの沸点までの温度範囲、より好ましくは20℃から第一級アルコールの沸点までの温度範囲で両者を反応させる。第一級アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の炭素数1〜4の飽和脂肪族アルコールを、各単独でもしくは2種以上組み合わせて、用いることができるが、メタノールが特に好ましい。
この反応は、硫酸、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジン塩、塩酸アンモニウム、硫酸アンモニウムなどから選ばれる1種もしくは2種以上からなる酸触媒を、アスタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エーテルに対して、好ましくは0.001〜0.2当量、より好ましくは0.01〜0.1当量用いて行うと、比較的短時間(通常、0.1〜5時間程度)で反応を終了させることができる。
反応終了後、反応混合液から第一級アルコールをそのまま減圧留去することにより、通常85%以上の純度を有する粗アスタキサンチン結晶を得ることができる。また第一級アルコールの留去を途中で中断し、析出しているアスタキサンチン結晶をろ過などで取り出すと、通常95%以上の純度を有するアスタキサンチンを得ることができる。アスタキサンチン結晶の純度をさらに上げるために、トルエンを用いて精製することもできる。すなわち、粗アスタキサンチン結晶に1〜10倍質量のトルエンを加えて、60〜100℃で0.5〜5時間程度加熱撹拌した後、−10〜50℃に冷却し、析出している結晶をろ過などで取り出し、減圧乾燥することにより、通常97%以上の純度を有するアスタキサンチンを得ることができる。
以下、実施例および比較例によって本発明を具体的に説明する。
本実施例で分析に用いたHPLC(高速液体クロマトグラフィー)の分析条件:
カラム:InertsilSIL 100A−3 4.6mm×250mm
展開溶媒:ヘキサン/塩化メチレン/エタノール=2100/700/21(体積比)
溶剤流速:2.5ml/分
検 出:UV280nm
実施例1
(1)カンタキサンチンビス(トリメチルシリル)エノールエーテルの製造
窒素雰囲気下、内容積500mLの4つ口フラスコにカンタキサンチンの結晶14.0g(24.8ミリモル)とテトラヒドロフラン209.8gを仕込み、−5℃まで冷却してトリエチルアミン7.50g(74.4ミリモル)を仕込んだ。ついで、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルエステル13.1g(58.9ミリモル)を−6〜−4℃で30分かけて滴下した。滴下終了後、−5℃で30分攪拌を継続した。その後、この反応混合液を3℃に冷却した水84gとトルエン90gの混合液に入れてしばらく混合した後、静置した。有機層(上層)を分離し、水84gでさらに洗浄し、カンタキサンチンビス(トリメチルシリル)エノールエーテルの溶液237.8gを得た。この溶液をHPLCにより分析したところ、カンタキサンチンビス(トリメチルシリル)エノールエーテルは7.4質量%(純量17.6g:カンタキサンチンからの収率100%)含まれていた。またこの溶液から、カンタキサンチンおよびカンタキサンチンモノ(トリメチルシリル)エノールエーテルはほとんど検出されなかった。
(2)過酢酸との反応
次に、内容積500mLの4つ口フラスコに、上記方法で得られたビス(トリメチルシリル)エノールエーテル溶液237.8gとトルエン98.7gを仕込み、−15℃まで冷却後、酢酸ナトリウム3.17g(38.7ミリモル)と酢酸9.73g(1.62モル)を水8.25gに溶かした溶液を入れた。そこへ過酢酸水溶液16.3g[過酢酸含量:40.5質量%(86.8ミリモル);三菱ガス化学(株)製]を−15℃で3時間かけて滴下し、さらに−15℃で6時間攪拌した。その後、この反応混合液を水245.6gに炭酸ナトリウム10.8gおよび亜硫酸ナトリウム28.5gを溶解させた水溶液に3℃で加えてしばらく攪拌後、静置した。有機層(上層)を分離し、水248.4gに炭酸ナトリウム8.0gおよび亜硫酸ナトリウム28.5gを溶解させた水溶液、ついで5質量%塩化アンモニウム水溶液284.9gで洗浄した後、減圧下、35〜40℃の温度で溶媒を留去してアスタキサンチンビス(トリメチルシリル)エーテル61.4gを得た。
(3)メタノール処理
得られたアスタキサンチンビス(トリメチルシリル)エーテル61.4gに、メタノール355gおよびp−トルエンスルホン酸0.17g(0.894ミリモル)を仕込み、30分間加熱還流した。その後、減圧下でメタノールを留去し、粗アスタキサンチン結晶15.1gを得た。これをHPLCで分析したところ、アスタキサンチン12.7g、アドニルビン0.17g、カンタキサンチン0.07gを含んでいた。(カンタキサンチンからのアスタキサンチンの収率86%)。
(4)精製
上記で得られた粗アスタキサンチン12.5gにトルエン67gを入れ、77℃で2時間攪拌し、4℃まで冷却してろ過し、さらに得られた結晶を減圧下、乾燥することにより、純度97%のアスタキサンチン11.6gを得た。
実施例2
(1)トルエンを用いるカンタキサンチンビス(トリメチルシリル)エノールエーテルの製造
実施例1と同様の操作で、テトラヒドロフランの代わりにトルエン300gを用いてカンタキサンチン結晶14.0g(24.8ミリモル)からカンタキサンチンビス(トリメチルシリル)エノールエーテルの製造を行ったところ、カンタキサンチンビス(トリメチルシリル)エノールエーテルの溶液390gを得た。この溶液をHPLC分析したところ、カンタキサンチンビス(トリメチルシリル)エノールエーテルは4.2質量%(純量16.4g:カンタキサンチンからの収率93.1%)含まれていた。またこの溶液から、カンタキサンチンおよびカンタキサンチンモノ(トリメチルシリル)エノールエーテルはほとんど検出されなかった。
比較例1
(1)塩化メチレンを用いるカンタキサンチンビス(トリメチルシリル)エノールエーテルの製造
実施例1と同様の操作で、テトラヒドロフランの代わりに塩化メチレン209.8gを用いてカンタキサンチン結晶14.0g(24.8ミリモル)からカンタキサンチンビス(トリメチルシリル)エノールエーテルの製造を行ったところ、カンタキサンチンビス(トリメチルシリル)エノールエーテルの溶液299.4gを得た。この溶液をHPLC分析したところ、カンタキサンチンビス(トリメチルシリル)エノールエーテルは4.4%(純量13.2g:カンタキサンチンからの収率74.9%)含まれていた。またこの溶液にはカンタキサンチン0.1質量%、およびカンタキサンチンモノ(トリメチルシリル)エノールエーテル0.5質量%が含まれていた。
比較例2
(2)過酢酸の代わりにモノ過フタル酸のイソプロピルエーテル溶液を用いた例
実施例1の(1)の方法で得られたカンタキサンチンビス(トリメチルシリル)エノールエーテルのテトラヒドロフラン溶液16.5g[カンタキサンチンビス(トリメチルシリル)エノールエーテル6.1質量%、14ミリモル]に酢酸ナトリウム0.5gを加え、5℃で、モノ過フタル酸のイソプロピルエーテル溶液10.8g(モノ過フタル酸5.56ミリモル)を4時間かけて滴下した。その後実施例1と同様な操作で後処理およびメタノール処理を行い、粗アスタキサンチン結晶1.26gを得た。このものをHPLCで分析したところ、アスタキサンチン0.55g(収率66.6%)、カンタキサンチン0.073gおよびアドニブリン0.036gが含まれていた。
実施例1〜2および比較例1〜2より、本発明によれば、従来のアスタキサンチンの製造方法よりも高純度および高収率でアスタキサンチンを製造することができ、工業的に非常に有利な方法であることが分かる。

Claims (1)

  1. カンタキサンチンとトリフルオロメタンスルホン酸トリアルキルシリルエステル(ケイ素原子と結合しているアルキル基の炭素数はそれぞれ1〜4である)とを、テトラヒドロフランおよび/またはトルエン並びにトリアルキルアミン(アルキル基の炭素数はそれぞれ2〜4である)の存在下、−20〜20℃で反応させてカンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテル(ケイ素原子と結合しているアルキル基の炭素数はそれぞれ1〜4である)を生成させ、生成した該カンタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エノールエーテルを、テトラヒドロフランおよび/またはトルエン中、過酢酸と−25〜10℃で反応させてアスタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エーテル(ケイ素原子と結合しているアルキル基の炭素数はそれぞれ1〜4である)に変換し、ついで該アスタキサンチンビス(トリアルキルシリル)エーテルを第一級アルコールと反応させることを特徴とするアスタキサンチンの製造方法。

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