JP2006321666A - 二酸化塩素ガスの発生方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 環境浄化または食品の移送時などにおける脱臭、殺菌、防カビ、防腐に適用可能なガス発生持続時間の長い二酸化塩素ガスの発生方法を提供する。
【解決手段】 亜塩素酸塩水溶液に、活性化剤としてさらし粉またはイソシアヌル酸類と、ガス発生調節剤と、吸水性樹脂とを添加し、ゲル化させて得られるゲル状組成物から二酸化塩素ガスを持続的に発生させることを特徴とする二酸化塩素ガスの発生方法。固形物として、固形亜塩素酸塩と、活性化剤としてさらし粉またはイソシアヌル酸類と、ガス発生調節剤と、吸水性樹脂とを準備し、使用の際に固形物に水を添加し、ゲル化させて得られるゲル状組成物から二酸化塩素ガスを持続的に発生させることを特徴とする二酸化塩素ガスの発生方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、環境浄化または食品の移送時などにおける脱臭、殺菌、防カビ、防腐などの目的に使用される希薄な二酸化塩素ガスの発生方法に関する。
二酸化塩素は強い酸化力を有し、環境浄化または食品の移送などにおいて、脱臭剤、防腐剤、防カビ剤、殺菌剤、殺藻剤、消臭剤、漂白剤など幅広い分野にわたって使用されている。これらの用途に向けて安定化二酸化塩素水溶液あるいは二酸化塩素ガスを発生する粉体状や粒状の組成物が種々開発されている。
たとえば、亜塩素酸ナトリウムまたは安定化二酸化塩素の水溶液をアルカリ性固体物質、アルカリ性酸化剤と混合した組成物などがあり、これらの組成物は、酸化剤と混合したりあるいは酸、エステルの蒸気、水蒸気と接触させるなどして使用時に二酸化塩素ガスを発生させることができる(たとえば、特許文献1を参照)。
また、安定化二酸化塩素を散布し、空気中の炭酸ガスと反応させてpHを低下させて少量の二酸化塩素ガスを発生させたり(たとえば、特許文献2を参照)、二酸化塩素ガスをシリカゲルなどの担体が充填されたカラムに通して吸着させ、使用時に加圧空気を通じて二酸化塩素ガスを放出させる方法などが提案されている(たとえば、特許文献3)。
しかし、上記のような二酸化塩素ガス発生用組成物は空気中の湿分によって反応が進行し、二酸化塩素ガスを徐々に発生するのが通常である。したがって、二酸化塩素ガスの発生速度は湿分に左右されるばかりでなく、使用当初は著しく大きいが、時間的経過と共に発生量が減少する。また固形物であるので、その表面の成分のみが二酸化塩素ガスの発生に消費されるために粒子を時々かき混ぜて表面を更新する必要があり、二酸化塩素ガス濃度を一定レベルに保持するためには適時これらの組成物を交換補充しなければならない。またシリカゲルに二酸化塩素ガスを吸着させて空気で追い出す方法については設備と手間がかかり、使用上において容易ではない。
そこで、溶存二酸化塩素ガス、亜塩素酸塩およびpH調整剤を含む二酸化塩素液剤に高吸水性樹脂を含有させてゲル状組成物とし二酸化塩素ガスを長時間継続して発生させることが提案されている(たとえば、特許文献4を参照)。しかし、高吸水性樹脂の添加のみでは二酸化塩素ガスの蒸散速度の調節が難しく、たとえば温度の上昇によってその蒸散速度が大になるという問題点がある。
さらに、二酸化塩素ガスの放出量をコントロールして、二酸化塩素ガスの発生持続時間をさらに延ばすために、ゲル状組成物中にガス発生調節剤として焼成骨材、セピオライト、モンモリロナイトなどの多孔質材料を含めることが提案されている(たとえば、特許文献5および特許文献6を参照)。
しかし、環境浄化または食品の移送時などにおける脱臭、殺菌、防カビ、防腐などの観点から、二酸化塩素ガスの発生持続時間をさらに延長させることが求められている。
特開昭61−48404号公報 特開昭63−303905号公報 特開平6−233985号公報 特開平11−278808号公報 特開2003−12424号公報 特開2005−29430号公報
本発明は、環境浄化または食品の移送時などにおける脱臭、殺菌、防カビ、防腐に適用可能なガス発生持続時間の長い二酸化塩素ガスの発生方法を提供することを目的とする。
本発明は、亜塩素酸塩水溶液に、活性化剤としてさらし粉またはイソシアヌル酸類と、ガス発生調節剤と、吸水性樹脂とを添加し、ゲル化させて得られるゲル状組成物から二酸化塩素ガスを持続的に発生させることを特徴とする二酸化塩素ガスの発生方法である。
また、本発明は、固形物として、固形亜塩素酸塩と、活性化剤としてさらし粉またはイソシアヌル酸類と、ガス発生調節剤と、吸水性樹脂とを準備し、使用の際に前記固形物に水を添加し、ゲル化させて得られるゲル状組成物から二酸化塩素ガスを持続的に発生させることを特徴とする二酸化塩素ガスの発生方法である。
本発明にかかる二酸化塩素ガスの発生方法において、ガス発生調節剤をセピオライト、モンモリロナイト、ケイソウ土、タルクおよびゼオライトからなる群から選ばれる少なくともいずれかとすることができる。また、イソシアヌル酸類をトリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムおよびジクロロイソシアヌル酸カリウムからなる群から選ばれる少なくともいずれかとすることができる。
本発明によれば、ガス発生持続時間の長い二酸化塩素ガスの発生方法を提供することができる。
(実施形態1)
本発明にかかる1つの二酸化塩素ガスの発生方法は、亜塩素酸塩水溶液に、活性化剤としてさらし粉またはイソシアヌル酸類と、ガス発生調節剤と、吸水性樹脂とを添加し、ゲル化させて得られるゲル状組成物から二酸化塩素ガスを持続的に発生させることを特徴とする。
本実施形態においては、亜塩素酸塩水溶液に活性化剤としてのさらし粉またはイソシアヌル酸類を添加することにより、従来よりも二酸化塩素ガスの発生持続時間を長くすることが可能となる。亜塩素酸塩水溶液は、pHが8.5以上であれば化学的にも安定であり、密封容器内に保存することにより、0.5年〜1年程度の保存が可能である。
ここで、亜塩素酸塩は、活性化剤と反応して二酸化塩素を生成するものであれば特に制限はないが、たとえば、亜塩素酸ナトリウム(NaClO2)、亜塩素酸カリウム(KClO2)、亜塩素酸リチウム(LiClO2)のような亜塩素酸アルカリ金属塩、または亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO22)、亜塩素酸マグネシウム(Mg(ClO22)、亜塩素酸バリウム(Ba(ClO22)のような亜塩素酸アルカリ土類金属塩が挙げられるる。この中で、市販されている亜塩素酸ナトリウムが入手しやすく使用上も問題がない。固形の亜塩素酸ナトリウムは市販品の86質量%品または76質量%品などが使用できる。また亜塩素酸ナトリウムの水溶液としては市販品の32質量%品または25質量%品などが使用できる。
ここで、25質量%以上の亜塩素酸ナトリウム含有物は、毒劇物として法的規制の対象となるため、製品に用いられる亜塩素酸ナトリウム水溶液およびゲル状組成物においては、亜塩素酸ナトリウムの含有量を25質量%未満とすることが好ましい。
また、活性化剤とは、上記亜塩素酸塩と反応して二酸化塩素を生成する化合物をいい、本実施形態における二酸化塩素ガスの発生方法においては、活性化剤としてさらし粉またはイソシアヌル酸類を用いる。
ここで、さらし粉は、亜塩素酸塩と反応して二酸化塩素を生成するものであれば特に制限はなく、有効塩素濃度が33質量%〜38質量%程度の通常のさらし粉、有効塩素濃度が60質量%〜70質量%程度の高度さらし粉のいずれを用いてもよい。吸湿性が少なく熱に安定で長時間の保存に耐えることから、高度さらし粉を用いることが好ましい。ここで、通常のさらし粉は、主成分としてCaCl2・Ca(OCl)2・2H2Oが含まれ、その他の成分としてCa(OH)2、CaCl2、Ca(ClO)2、Ca(ClO32などが含まれている。高度さらし粉は、主成分としてCa(OCl)2が含まれる。
また、イソシアヌル酸類とは、イソシアヌル酸およびその誘導体ならびにそれらの金属塩をいう。イソシアヌル酸類は、亜塩素酸塩と反応して二酸化塩素を生成するものであれば特に制限はないが、亜塩素酸塩との反応性が高い観点から、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸などの塩素化イソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウムなどの塩素化イソシアヌル酸塩などが好ましく用いられる。
ここで、図1を参照して、さらし粉を水中に溶かす(たとえば1質量%水溶液)とpHは約8程度となり、以下の式(1)
Ca(OCl)2 + 2H2O → Ca(OH)2 + 2HClO (1)
により、わずかに次亜塩素酸(HClO)を生成する。
また、トリクロロイソシアヌル酸を水中に溶かす(たとえば1質量%水溶液)とpHは約3程度となり、以下の式(2)
Figure 2006321666
により、次亜塩素酸を生成する。
また、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを水中に溶かす(たとえば1質量%水溶液)とpHは約6程度となり、以下の式(3)
Figure 2006321666
により、次亜塩素酸を生成する。
このようにして生成した次亜塩素は、亜塩素酸塩である亜塩素酸ナトリウムと反応して、以下の式(4)により、
2HClO + 2NaClO2 → 2ClO2+ 2NaCl + H2O + O (4)
二酸化塩素が生成する。
本発明においては、活性剤としてさらし粉またはイソシアヌル酸類を用いることにより、3から8程度のpHの水溶液において、次亜塩素酸を生成させ、この次亜塩素酸と亜塩素酸塩とを反応させることにより、二酸化塩素を持続して生成させることが可能となる。
ここで、従来のように活性剤として無機酸または有機酸を用いると水溶液のpHが約3未満となる場合が多く、図1に示すように、このpH領域では、HClOよりCl2が優先的に生成する。このCl2は亜塩素酸塩と急激に反応するため、二酸化塩素を持続して生成させることが困難となる。
また、無機酸または有機酸を亜塩素酸塩と反応させると、無機酸および有機酸は、亜塩素酸塩中の塩素を消費し、生成する二酸化塩素のモル数は亜塩素酸塩のモル数よりも小さくなるため、効率が低下する。たとえば、亜塩素酸ナトリウムに硫酸を反応させると、以下の式(5)
5NaClO2 + 2H2SO4
→ 2Na2SO4 + 4ClO2 + NaCl + 2H2O (5)
に示すように、亜塩素酸ナトリウム5モルに対して二酸化塩素は4モルしか生成しない。また、亜塩素酸ナトリウムに塩酸を反応させると、以下の式(6)
5NaClO2 + 4HCl → 4ClO2 + 5NaCl + 2H2O (6)
に示すように、亜塩素酸ナトリウム5モルに対して二酸化塩素は4モルしか生成しない。また、亜塩素酸ナトリウムにクエン酸を反応させると、以下の式(7)
15NaClO2 + 4HO2CC(OH)(CH2CO2H)2
→ 12ClO2 + 4C65Na37+ 3NaCl + 2H2O (7)
に示すように、亜塩素酸ナトリウム15モルに対して二酸化塩素は12モルしか生成しない。
一方、図1に示すように、アルカリの添加によって水溶液のpHを約8より大きくするとHClOよりClO-が優先的に生成する。このClO-は亜塩素酸塩との反応性が低く、二酸化塩素を生成させることが困難となる。
また、ガス発生調節剤とは、上記のようにして生成した二酸化塩素ガスをゲル状組成物から持続的に発生させるための調節剤をいう。すなわち、ガス発生調節剤とは、二酸化塩素ガスの生成量が大量のときはその二酸化塩素ガスの少なくとも一部を表面および/または内部に保持し、二酸化塩素ガスの生成量が減少または無くなったときは保持していた二酸化塩素ガスを放出することにより、二酸化塩素ガスをゲル状組成物から持続的に発生させる機能を有するものをいう。したがって、ガス発生調節剤は、二酸化塩素ガスの発生を効率よく分散できるものであれば材質および形状に特に制限はなく、二酸化塩素ガスを多く保持できる観点から、表面積が大きい多孔質のものが好ましく、セピオライト、モンモリロナイト、ケイソウ土、タルクおよびゼオライトからなる群から選ばれる少なくともいずれかであることが好ましい。また、表面積を大きくする観点から、粉状、粒状および/または多孔質であることが好ましい。これらのうちで、二酸化塩素ガスの保持および放出に優れている観点から、セピオライトが好ましい。ここで、セピオライトは、ケイ酸マグネシウム塩の天然鉱物であって化学構造式は(OH24(OH24(OH24Mg8Si1230・6〜8H2Oで表され、その結晶構造は繊維状で表面に多数の溝を有すると共に、内部に筒型トンネル構造のクリアランスを多数有し、非常に表面積の大きい物質である。市販品としては商品名ミラクレー(近江工業社製)などが挙げられる。また粉状のケイソウ土としては商品名セライト(昭和ケミカル社製)などが挙げられる。
また、吸水性樹脂は、水分を吸収してゲル状組成物を形成するものであれば特に制限はないが、デンプン系吸水性樹脂、セルロース系吸水性樹脂、合成ポリマー系吸水性樹脂などが好ましく挙げられる。デンプン系吸水性樹脂としてはデンプン/ポリアクリル酸系樹脂(三洋化成社製、粉末)などがあり、合成ポリマー系吸水性樹脂としては架橋ポリアクリル酸系樹脂、イソブチレン/マレイン酸系樹脂、ポパール/ポリアクリル酸塩系樹脂、ポリアクリル酸塩系樹脂などがあり、具体的にはポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。なお、本発明においては、ゲル化の際に特に吸水性樹脂を使用せず粉状のガス発生調節剤のみを使用してもよい。
本実施形態は、たとえば、1つの容器に亜塩素酸ナトリウムなどの亜塩素酸塩の水溶液を入れ、他の容器(ビニール袋、ポリエチレン袋など)に、さらし粉またはイソシアヌル酸類(活性化剤)、粉末状のガス発生調節剤、および吸水性樹脂の混合物を入れて密封する。使用時には亜塩素酸塩水溶液の中に上記混合物を添加し、ゲル化させてゲル状組成物を形成し、二酸化塩素ガスを持続的に発生させることができる。
上記のゲル状組成物は、たとえば、亜塩素酸塩(100%固形換算)が1.0質量%〜15.0質量%、さらし粉またはイソシアヌル酸類(100%固形換算)が0.3質量%〜3.0質量%、ガス発生調節剤が2.0質量%〜7.0質量%、吸水性樹脂が6.0質量%〜15.0質量%、水が60質量%〜90質量%の割合で生成することができる。
また、本実施形態において、亜塩素酸塩水溶液に、さらに保水剤を添加することが好ましい。ゲル状組成物中に保水剤が取り込まれることにより、ゲル状組成物内の水分を保持することによりゲル状組成物の乾燥を防止して、ゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生をさらに持続させることができる。ここで、保水剤は、空気中の水分を吸収してゲル状組成物の水分を保持できるものであれば特に制限はないが、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化ナトリウム(NaCl)、酸化マグネシウム(MgO)などが好ましく用いられる。
このようにして得られる二酸化塩素ガスは、塩素ガスの2.6倍の有効塩素量を有する強力な酸化剤であり、水溶液中においてもpHが9以下の広い領域において大きな殺菌力を有する。なお、二酸化塩素水溶液は、以下の式(8)
ClO2 + e- → Cl- + 2O (8)
により生成する活性酸素(O)により大きな殺菌作用および消臭作用を発揮するものと考えられている。
(実施形態2)
本発明にかかる他の二酸化塩素ガスの発生方法は、固形物として、固形亜塩素酸塩と、活性化剤としてさらし粉またはイソシアヌル酸類と、ガス発生調節剤と、吸水性樹脂とを準備し、使用の際に上記固形物に水を添加し、ゲル化させて得られるゲル状組成物から二酸化塩素ガスを持続的に発生させることを特徴とする。
本実施形態は、固形物として、固形亜塩素酸塩、さらし粉またはイソシアヌル酸類である活性化剤、ガス発生調節剤および吸水性樹脂を準備し、上記の固形物に水を添加することにより、ゲル状組成物の形成およびゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生を開始させるものであり、二酸化塩素ガスの発生開始の時期を任意に設定できる。また、上記混合物は、化学的に安定であるため、2〜3年以上の長期間の保存が可能となる。すなわち、本実施形態の混合物は、実施形態1の亜塩素酸塩水溶液よりも長期の保存が可能となる。
また、本実施形態においても、実施形態1と同様に、亜塩素酸塩と活性化剤としてのさらし粉またはイソシアヌル酸類とを反応させることにより、従来よりも二酸化塩素ガスの発生持続時間を長くすることが可能となる。
本実施形態の亜塩素酸塩、活性化剤であるさらし粉またはイソシアヌル酸類、ガス発生調節剤、吸水性樹脂については、実施形態1において説明したとおりである。
本実施形態は、たとえば、1つの容器に、固形物として、不織布製の袋に入れられた亜塩素酸塩の粉末と、さらし粉またはイソシアヌル酸塩の粉末(活性化剤)、ガス発生調節剤、および吸水性樹脂の混合物とを入れて密封し、使用時には同じ容器に所定量の水を添加し、ゲル化させてゲル状組成物を形成し、二酸化塩素ガスを持続的に発生させることができる。
また、他の方法として、1つの容器に、固形物として、不織布製の袋に入れられたさらし粉またはイソシアヌル酸類の粉末と、亜塩素酸塩の粉末、ガス発生調節剤および吸水性樹脂の混合物とを入れて密封し、使用時には同じ容器に所定量の水を添加し、ゲル化させてゲル状組成物を形成し、二酸化塩素ガスを持続的に発生させることができる。
上記のゲル状組成物は、たとえば、亜塩素酸塩(100%固形換算)が1.0質量%〜15.0質量%、さらし粉またはイソシアヌル酸類(100%固形換算)が0.3質量%〜3.0質量%、ガス発生調節剤が2.0質量%〜7.0質量%、吸水性樹脂が6.0質量%〜15.0質量%、水が60質量%〜90質量%の割合で生成することができる。
また、本実施形態において、固形物として、固形亜塩素酸塩と、活性化剤であるさらし粉またはイソシアヌル酸塩と、ガス発生調節剤と、吸水性樹脂とに、さらに保水剤を加えることが好ましい。。ゲル状組成物中に保水剤が取り込まれることにより、ゲル状組成物内の水分を保持することによりゲル状組成物の乾燥を防止して、ゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生をさらに持続させることができる。
また、こうして得られる二酸化塩素ガスは、実施形態1において得られる二酸化塩素ガスと同様に高い殺菌作用および消臭作用を発揮する。
以下の実施例、比較例により本発明にかかる二酸化塩素ガスの発生方法をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例および比較例で用いたセピオライトは、粒径が75μm、比表面積は273m2/gであった。
(実施例1)
直径58.5mm、高さ56mm、開口部直径43mmで内容量が150mlの円筒型容器に入れられた8質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液(以下、NaClO2水溶液と表わす)68gに、セピオライト(近江鉱業社製ミラクレー)4g、ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂(三洋化成工業社製サンフレッシュST−500D)11.3gおよび有効塩素濃度が60質量%の高度さらし粉2.2gの混合物を添加した。この混合物の添加から10分後にゲル化が起こり、ゲル状組成物が形成された。この容器の開口部上で北川式検知管を用いて、この容器の開口部における二酸化塩素(ClO2)ガス濃度を経時的に測定することにより、上記ゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生量を評価した。結果を表1にまとめた。ここで、経過した時間(経時)とは、上記亜塩素酸ナトリウム水溶液への上記混合物の添加からの時間をいうものとする。
Figure 2006321666
(実施例2)
直径58.5mm、高さ56mm、開口部直径43mmで内容量が150mlの円筒型容器に入れられた2.5質量%のNaClO2水溶液68gに、セピオライト(近江鉱業社製ミラクレー)4g、ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂(三洋化成工業社製サンフレッシュST−500D)11.3gおよび有効塩素濃度が60質量%の高度さらし粉0.7gの混合物を添加した。この混合物の添加から10分後にゲル化が起こり、ゲル状組成物が形成された。このゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生量を実施例1と同様に評価した。結果を表2にまとめた。
Figure 2006321666
(実施例3)
直径58.5mm、高さ56mm、開口部直径43mmで内容量が150mlの円筒型容器に入れられた8質量%のNaClO2水溶液68gに、セピオライト(近江鉱業社製ミラクレー)2.6g、ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂(三洋化成工業社製サンフレッシュST−500D)7.4gおよびトリクロロイソシアヌル酸粉末2.2gの混合物を添加した。この混合物の添加から10分後にゲル化が起こり、ゲル状組成物が形成された。このゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生量を実施例1と同様に評価した。結果を表3にまとめた。
Figure 2006321666
(実施例4)
直径58.5mm、高さ56mm、開口部直径43mmで内容量が150mlの円筒型容器に入れられた2.5質量%のNaClO2水溶液68gに、セピオライト(近江鉱業社製ミラクレー)2.6g、ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂(三洋化成工業社製サンフレッシュST−500D)7.4gおよびトリクロロイソシアヌル酸粉末0.7gの混合物を添加した。この混合物の添加から10分後にゲル化が起こり、ゲル状組成物が形成された。このゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生量を実施例1と同様に評価した。結果を表4にまとめた。
Figure 2006321666
(実施例5)
直径58.5mm、高さ56mm、開口部直径43mmで内容量が150mlの円筒型容器に入れられた8質量%のNaClO2水溶液68gに、セピオライト(近江鉱業社製ミラクレー)5.2g、ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂(三洋化成工業社製サンフレッシュST−500D)14.8g、有効塩素濃度が60質量%の高度さらし粉2.2gおよび保水剤である塩化カルシウム2.0gの混合物を添加した。この混合物の添加から10分後にゲル化が起こり、ゲル状組成物が形成された。このゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生量を実施例1と同様に評価した。結果を表5にまとめた。
Figure 2006321666
(実施例6)
直径58.5mm、高さ56mm、開口部直径43mmで内容量が150mlの円筒型容器に入れられた2.5質量%のNaClO2水溶液68gに、セピオライト(近江鉱業社製ミラクレー)5.2g、ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂(三洋化成工業社製サンフレッシュST−500D)14.8g、有効塩素濃度が60質量%の高度さらし粉0.7gおよび保水剤である塩化カルシウム0.6gの混合物を添加した。この混合物の添加から10分後にゲル化が起こり、ゲル状組成物が形成された。このゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生量を実施例1と同様に評価した。結果を表6にまとめた。
Figure 2006321666
(実施例7)
直径58.5mm、高さ56mm、開口部直径43mmで内容量が150mlの円筒型容器に入れられた12.5質量%のNaClO2水溶液68gに、セピオライト(近江鉱業社製ミラクレー)4g、ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂(三洋化成工業社製サンフレッシュST−500D)11.1gおよび有効塩素濃度が60質量%の高度さらし粉3.5gの混合物を添加した。この混合物の添加から10分後にゲル化が起こり、ゲル状組成物が形成された。このゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生量を実施例1と同様に評価した。結果を表7にまとめた。
Figure 2006321666
(実施例8)
直径58.5mm、高さ56mm、開口部直径43mmで内容量が150mlの円筒型容器に入れられた12.5質量%のNaClO2水溶液68gに、セピオライト(近江鉱業社製ミラクレー)4g、ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂(三洋化成工業社製サンフレッシュST−500D)11.3gおよびトリクロロイソシアヌル酸粉末3.4gの混合物を添加した。この混合物の添加から10分後にゲル化が起こり、ゲル状組成物が形成された。このゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生量を実施例1と同様に評価した。結果を表8にまとめた。
Figure 2006321666
(実施例9)
直径58.5mm、高さ56mm、開口部直径43mmで内容量が150mlの円筒型容器に入れられた12.5質量%のNaClO2水溶液68gに、セピオライト(近江鉱業社製ミラクレー)4g、ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂(三洋化成工業社製サンフレッシュST−500D)11.3g、有効塩素濃度が60質量%の高度さらし粉3.4gおよび保水剤である塩化カルシウム3.4gの混合物を添加した。この混合物の添加から10分後にゲル化が起こり、ゲル状組成物が形成された。このゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生量を実施例1と同様に評価した。結果を表9にまとめた。
Figure 2006321666
(実施例10)
直径58.5mm、高さ56mm、開口部直径43mmで内容量が150mlの円筒型容器に入れられた12.5質量%のNaClO2水溶液68gに、セピオライト(近江鉱業社製ミラクレー)5.2g、ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂(三洋化成工業社製サンフレッシュST−500D)14.72g、有効塩素濃度が60質量%の高度さらし粉3.4gおよび保水剤である塩化カルシウム3.0gの混合物を添加した。この混合物の添加から10分後にゲル化が起こり、ゲル状組成物が形成された。このゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生量を実施例1と同様に評価した。結果を表10にまとめた。
Figure 2006321666
(実施例11)
直径58.5mm、高さ56mm、開口部直径43mmで内容量が150mlの円筒型容器に入れられた12.5質量%のNaClO2水溶液68gに、セピオライト(近江鉱業社製ミラクレー)5.2g、ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂(三洋化成工業社製サンフレッシュST−500D)14.7g、トリクロロイソシアヌル酸3.4gおよび保水剤である塩化カルシウム3.0gの混合物を添加した。この混合物の添加から10分後にゲル化が起こり、ゲル状組成物が形成された。このゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生量を実施例1と同様に評価した。結果を表11にまとめた。
Figure 2006321666
(比較例1)
直径58.5mm、高さ56mm、開口部直径43mmで内容量が150mlの円筒型容器に入れられた12.5質量%のNaClO2水溶液68gに、セピオライト(近江鉱業社製ミラクレー)4g、ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂(三洋化成工業社製サンフレッシュST−500D)11.3gおよび無水クエン酸4gの混合物を添加した。この混合物の添加から10分後にゲル化が起こり、ゲル状組成物が形成された。このゲル状組成物からの二酸化塩素ガスの発生量を実施例1と同様に評価した。結果を表12にまとめた。
Figure 2006321666
さらに、実施例1〜11および比較例1について、各々の二酸化塩素ガスの発生条件および発生量を表13にまとめた。なお、表13においては、各時間経過後における雰囲気温度の記載を省略した。
Figure 2006321666
表13から明らかなように、活性化剤として有機酸(無水クエン酸)を用いた比較例1においては、720時間経過後は0.5ppmと二酸化塩素ガスの発生がほとんど見られなくなったのに対し、活性化剤としてさらし粉(60質量%高度さらし粉)またはイソシアヌル酸類(トリクロロイソシアヌル酸)を用いた実施例1〜11においては、1440時間経過後おいても2.0ppm以上と二酸化塩素ガスの発生の持続性が向上した。また、ゲル状組成物の保水剤として塩化カルシウムを含む実施例5、6、9、10、11においては、二酸化塩素ガスの発生の持続性がさらに向上した。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
水溶液中のpHと塩素系化学種との関係を示す図である。

Claims (4)

  1. 亜塩素酸塩水溶液に、活性化剤としてさらし粉またはイソシアヌル酸類と、ガス発生調節剤と、吸水性樹脂とを添加し、ゲル化させて得られるゲル状組成物から二酸化塩素ガスを持続的に発生させることを特徴とする二酸化塩素ガスの発生方法。
  2. 固形物として、固形亜塩素酸塩と、活性化剤としてさらし粉またはイソシアヌル酸類と、ガス発生調節剤と、吸水性樹脂とを準備し、使用の際に前記固形物に水を添加し、ゲル化させて得られるゲル状組成物から二酸化塩素ガスを持続的に発生させることを特徴とする二酸化塩素ガスの発生方法。
  3. 前記ガス発生調節剤が、セピオライト、モンモリロナイト、ケイソウ土、タルクおよびゼオライトからなる群から選ばれる少なくともいずれかである請求項1または請求項2に記載の二酸化塩素ガスの発生方法。
  4. 前記イソシアヌル酸類が、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムおよびジクロロイソシアヌル酸カリウムからなる群から選ばれる少なくともいずれかである請求項1または請求項2に記載の二酸化塩素ガスの発生方法。
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