JP2006320942A - アルミニウム合金板の剪断加工方法 - Google Patents

アルミニウム合金板の剪断加工方法 Download PDF

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知之 杉田
Shigenobu Yasunaga
繁信 安永
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Abstract

【課題】 剪断加工自体を阻害せずに、容易かつ確実に、切り粉の発生を抑制することができる、6000系アルミニウム合金成形板のトリミング方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 アルミニウム合金板1 を上刃3 と下刃4 との剪断により剪断加工する方法において、剪断加工中、上刃3 の下面3aが下刃4 の上面4aよりも常に上方に位置しており、この上刃3 の下面3aと下刃4 の上面4aとの間隔d が最も小さくなる時を、アルミニウム合金板1 の板厚t に対する比で15〜70% とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、切り粉の発生や、それによる押し込み疵が少ない、アルミニウム合金板の剪断加工方法に関するものである。なお、本発明において、アルミニウム合金板とは、成形前の素材板や、この素材板を成形加工した成形品 (成形板) を含むものである。
自動車パネル及びその部品、電気機器パネル並びに精密部品等に使用されるアルミニウム又はアルミニウム合金板(以下、総称してアルミニウム合金板という)は、成形前の素材板や、この素材板を成形加工した成形品の段階で、打ち抜きやシャー切断などの剪断加工されることが多い。剪断加工は、他の切断加工に比べて、簡便で生産性が高い特徴があるためである。
例えば、アルミニウム合金磁気ディスク材は、アルミニウム合金の素材圧延板を打ち抜きの剪断加工して製作される。また、例えば、アルミニウム合金自動車パネル材は、アルミニウム合金の素材圧延板をプレス成形などの成形加工後、その成形板あるいは成形品 (パネル) の縁部 (余肉部) などを除去するトリミングと称される剪断加工を施されて、製品パネルとされる。
この剪断加工においては、一般的に、成形品の形状部を下刃と押させ部材により固定し、上刃と下刃とにより成形板をシャー切断(剪断加工)して、スクラップ部が除去されている。
より具体的に、図5 を用いて、従来の代表的な剪断加工方法を説明する。図5 は従来の代表的な剪断加工装置を示す模式図である。図5 において、成形後の成形板7を、成形加工部を下刃10と押さえ板8との間で挟持し、除去せんとする部分を下刃10上からはみ出させて、下刃10及び押さえ板8により支持する。その後、上刃9を矢印11のごとく下降させて、上刃9及び下刃10による剪断加工により、アルミニウム合金成形板7の不要部分(スクラップ部)を、シャー切断する。上刃9はその後上昇し、上刃9が1往復するプレス動作により、スクラップ部が剪断除去される。
しかしながら、上記剪断加工により、切り粉 (摩耗粉) が発生する場合がある。発生した切り粉は,せん断後のアルミ板や成形品,及び金型に付着し、アルミ成形品の表面に押し込み疵による凹凸を形成してしまう。押し込み疵があると、せん断後の板や製品は、不良品として処分されるか、あるいは後の塗装工程で、塗装面が均一の色にならない色むら、即ち塗装むらが発生する原因となる。このため、成形品の表面を研磨するなどして凹凸を除去する手直しがおこなわれる。この場合に、手直しすべき成形品が多いと、生産性を低下させる原因となる。このため、従来よりトリミング加工時に切り粉疵が発生しないように種々の検討がなされてきた。
このための方法として、トリムライン及びこのトリムラインに交差したカットラインに沿って連続する溝部を形成し、スクラップ部を複数のプッシュバーで押す工程により、溝部を分離先端としてトリムライン及びカットラインに従ってトリミング加工を行う方法が提案されている(特許文献1参照)。これは、成形品の所定の位置に溝部を形成した後、この溝部を分離先端としてトリミング加工を行うことにより、溝部を介して成形品形状部から不要部分を確実に分離しようとするものであり、これにより成形品形状部側に、切り粉の原因になるかえりが発生するのを防止するものである。
特許第2908989号公報(第1〜3頁、図1)
しかしながら、アルミニウム合金板は鋼板に比してせん断後の破面における破断面の占める割合が大きい。破断面は表面の凹凸が大きいことから切れ刃により破面が擦られ、亀裂を生じ切り粉の原因となるため、アルミの方が切り粉は生じやすい。
剪断加工で発生した切り粉は、アルミニウム合金板表面や金型に付着して、アルミニウム合金板表面の押し込み疵の原因となり、製品不良の一因となる。
このため、剪断加工自体を阻害せずに、切り粉の発生を確実に抑制しうる剪断加工方法が求められていた。
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであって、剪断加工自体を阻害せずに、容易かつ確実に、切り粉の発生を抑制することができる剪断加工方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明アルミニウム合金板の剪断加工方法の要旨は、アルミニウム合金板を上刃と下刃との剪断により剪断加工する方法において、剪断加工中、前記上刃の下面が下刃の上面よりも常に上方に位置しており、この上刃の下面と下刃の上面との間隔が最も小さくなる時を、前記アルミニウム合金板の板厚に対する比で15〜70% とする。
通常、金属板を剪断加工する場合、剪断された板同士の分離を重視するために、上刃の下面の最下点は、常に下刃の上面よりも下方に位置させている。
本発明者らの知見によれば、この上刃の下面の最下点を、常に下刃の上面よりも下方に位置させることが、切り粉が発生しやすいことにつながる。
アルミニウム合金板は鋼板に比して、剪断刃のより少ない食い込み量で、板の切断部に亀裂が入りやすく、破断後の破面における破断面が占める割合が大きいことから、板の切断面が切り粉の出やすい形状になりすい。このため、従来のように、上刃の下面の最下点を常に下刃の上面よりも下方に位置させた場合、剪断加工中に、下方の最下点に向かう上刃の切断面が、アルミニウム合金板側の切断面を擦る形となりやすい。このため、擦られたアルミニウム合金板側の切断面における亀裂発生を助長し、切り粉の発生をより多くすることにつながる。
したがって、本発明では、剪断加工中において、上刃の下面が、最下点を含めて、下刃の上面よりも、アルミニウム合金板の板厚に対する、特定の対板厚比だけ、常に上方に位置させ、下方の最下点に向かう上刃の切断面が、アルミニウム合金板の切断面を擦ることが無いようにする。
これによって、アルミニウム合金板の切断面が切り粉が出やすい形状になることを抑制し、切り粉の発生を抑制することができる。また、スクラップの分離性など剪断加工に悪影響を与えることが無い。
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。図1 は本発明剪断加工方法におけるシャー切断工程を示し、図2 は比較例乃至従来の剪断加工方法におけるシャー切断工程を示す。
(剪断加工前の状態)
先ず、図1 、2 において、上側に図示する剪断加工装置乃至金型は、剪断加工前の状態を示している。剪断加工前の状態は、図1 、2 の本発明例、従来例ともに同じである。
即ち、この上側の剪断加工装置乃至金型では、図1 、2 とも共通して、アルミニウム合金板 (圧延板あるいはプレス成形等の成形加工後の成形板) 1 は、剪断下刃(下型)4 と板押さえ部材2 であるパッドとの間に挟持されている。剪断対象となるアルミニウム合金板1bは剪断下刃4 上に位置され、スクラップ側のアルミニウム合金板1aは剪断下刃4 上から外れて延在すべく位置されている。点線で示す5 はアルミニウム合金板1 の切断面である。
また、図1 、2 の上側の剪断加工装置乃至金型の態様では、剪断下刃4 は固定設置されている。なお、この剪断下刃4 を固定せず、剪断上刃(上型)3と協働して、上方または下方に昇降 (移動) 可能に構成しても良い。
一方、パッド2 は、剪断下刃4 の上方で、かつ剪断上刃(上型)3の近傍に配置されている。そして、剪断上刃3 は、パッド2 とともに、支持枠 (フレーム)6に、上方または下方に昇降 (移動) 可能に支持されている。
更に、剪断下刃4 と剪断上刃3 とは、アルミニウム合金板1 の切断面5 に対し、その互いの刃面 (剪断面)4b と3bとが、一定のクリアランスc を持って、互いの刃面が平行に動作 (昇降) するように配置されている。
(剪断加工中の状態)
図1 、2 において、下側に図示する剪断加工装置乃至金型は、剪断加工中乃至剪断加工後の状態を示している。
図1 、2 の本発明例、従来例ともに、下側に図示する剪断加工装置乃至金型において、剪断上刃3 は、パッド2 と協働して、剪断下刃4 に摺動するように鉛直下方に移動し、剪断上刃3 と剪断下刃4 との各切断面3b、4bの作用による剪断加工により、アルミニウム合金板1 の剪断下刃4 上からはみ出た不要部分(スクラップ部分)1aを、切断面5 においてシャー切断して除去する点は同じである。
(本発明方法)
但し、本発明では、図1 の下側に図示する剪断加工装置乃至金型において、剪断加工中に、剪断上刃3 の下面3aが、最下点を含めて、下刃4 の上面4aよりも常に上方に位置させる。そして、下方の最下点に向かう剪断上刃3 の切断面3bが、アルミニウム合金板の切断面5 を擦ることが無いようにする。これによって、アルミニウム合金板の切断面5 が切り粉が出やすい形状になることを抑制し、切り粉の発生を抑制する。また、スクラップの分離性など剪断加工に悪影響を与えることが無い。
この際、剪断上刃3 の下面3aと、下刃4 の上面4aとの間隔d が最も小さくなる時、言い換えると、剪断上刃3 の下面3aと下刃4 の上面4aとが最接近して剪断している時の間隔d を、剪断対象となるアルミニウム合金板1 の対板厚比で15〜70% とする。
最も小さくなる時の下刃4 の上面4aとの間隔d が対板厚比で15% 未満では、下方の最下点に向かう剪断上刃3 の切断面3bが、アルミニウム合金板の切断面5 を擦り、切り粉が発生する可能性がある。
これに対して、最も小さくなる時の下刃4 の上面4aとの間隔d が対板厚比で70% を超えた場合、剪断された板1a、1b同士の分離 (スクラップの分離) がうまくいかない可能性がある。
したがって、本発明では、剪断加工中に、剪断上刃3 の下面3aが、最下点を含めて、剪断下刃4 の上面4aよりも常に上方に位置させるに際し、剪断上刃3 の下面3aと、下刃4 の上面4aとの間隔d が最も小さくなる時の間隔d を上記のように規定する。即ち、剪断上刃3 の下面3aと、下刃4 の上面4aとの間隔d が最も小さくなる時の間隔d を剪断対象となるアルミニウム合金板1 の板厚に対する比で15〜70% とし、切り粉の発生を確実に抑制し、かつ、剪断における剪断された板1a、1b同士の分離を保証する。
また、剪断上刃3 の下面3aと、下刃4 の上面4aとの間隔d が最も小さくなる時の間隔d を剪断対象となるアルミニウム合金板1 の板厚に対する比で15〜70% とすることで、スクラップの分離性など剪断加工に悪影響を与えることが無い。
(従来方法)
これに対して、図2 の下側に図示するように、従来方法の剪断加工装置乃至金型においては、剪断された板同士の分離を重視するために、剪断加工中に、剪断上刃3 の最下点において、剪断上刃3 の下面3aが下刃4 の上面4aよりも、高さh で示すように、下方に位置させている。
このため、下方の最下点に向かう剪断上刃3 の切断面3bが、必然的に、アルミニウム合金板の切断面5 を擦る (舐める) こととなる。この剪断上刃3 の切断面3bの作用 (干渉、接触) によって、アルミニウム合金板の切断面5 に亀裂が発生するなど、切り粉が出やすい形状になり、切り粉の発生が増大する。
(好ましい剪断加工条件)
以下に、本発明の好ましい剪断加工条件について、順に説明する。
(押圧力)
図1 の下側に図示する剪断加工装置乃至金型において、シャー切断初期では、剪断上刃3 を、支持枠6 とともに、剪断下刃4 に向けて矢印方向に下降させた際に、協働するパッド2 も下降を始める。パッド2 の底面2aは、パッド2 の下降によって、アルミニウム合金板1 の上面に接触する。そして、更にパッド2 が下降した場合、パッド2 の底面2aは、アルミニウム合金板1 を押圧し、板押さえの役割を果たす。
この押圧力は、板1 の変動を抑制し、シャー切断する際の上型3 と下型4 とのクリアランスc が変動せずに、一定に保持されるような押圧力であることが好ましい。切断面5 の切り粉の原因となる破面の凹凸は、上刃3 と下刃4 とが板1 に食い込むシャー切断開始の際の、板1 の変動によって主として発生するからである。
(剪断刃の切れ刃R)
図1 の剪断上刃3 の切れ刃R1と、剪断下刃4 の切れ刃R2は、各々80〜300 μm の範囲とされていることが好ましい。なお、切れ刃R1と切れ刃R2とは、図1 に図示する通り、各剪断刃の切断面角部のR 乃至切断面コーナー部のR である。
このような切れ刃R がついていると、剪断上刃3 の切断面3bと、剪断下刃4 の切断面4bとは比較的鈍くなっており、剪断されるアルミニウム合金板1 の切断面5 に亀裂が入るまでの、アルミニウム合金板1 への各剪断刃 (切断面) の食い込み量が多くなる。この剪断刃の食い込み量が多い方が、板の切断面5 が切り粉が出やすい形状になるのを抑制でき、切り粉の発生をより確実に抑制できる。
切れ刃R1とR2とが80μm 未満では、切れ刃R が小さ過ぎ、切れ刃R が鋭過ぎて、従来の切れ刃R と変わらず、剪断の際のアルミニウム合金板1 の切断面5 に亀裂が入るまでの剪断刃の食い込み量が多くならない。したがって、切り粉の発生抑制には寄与しなくなる。なお、通常の目立て直後の切れ刃R1とR2とは約20μm 程度である。一方、切れ刃R1とR2とが300 μm を超えた場合、切れ刃R が大き過ぎ、剪断刃の食い込み量が多くなり過ぎて、剪断加工自体が困難となる。
この切れ刃R1と切れ刃R2とを各々80〜300 μm の範囲とするためには、剪断上刃3 と剪断下刃4 の切断面とを目立て後、サンドペーパなどの研磨具により研磨して、各切れ刃R を上記80〜300 μm の範囲とする。
(パッド2 底面2aの硬度)
前記押圧力付与のタイミングと、板1 の変動を抑制するに足る押圧力の大きさは、軟質押さえ部材であるパッド2 の底面2aの硬度にも影響される。この点、パッド2 の底面2aの硬度が、ビッカース硬度で20〜60Hvの範囲であれば、前記押圧力付与の最適なタイミングや、押圧力の最適な大きさが発揮される。
パッド2 の底面2aの硬度が20Hv未満であれば、パッド底面2aが上記距離を満たす場合において、金型条件や、シャー切断条件によっては、即ち、よりシャー切断しにくい条件の場合に、パッド2 あるいはその底面2aが柔らかすぎるようになる。このため、パッド2 の底面2aが、アルミニウム合金板1 の上面に早く接触しても、軟質底面2aの圧縮によるなど、アルミニウム合金板1 を十分に押圧する時間がかかり、剪断上刃3 の下降、接触によるシャー切断開始に対し、板押さえのタイミングが間に合わない可能性がある。
一方で、パッド2 の底面2aの硬度が60Hvを越えた場合には、上記パッド底面2aが本発明範囲の距離a を満たす場合において、板1 の表面を傷つけやすくなる。
パッド2 の底面2aの硬度が上記範囲となるように、また、上記押圧力付与の上記最適なタイミングと上記板の変動を抑制するに足る押圧力の大きさを確保するために、パッド2 自体か、あるいはパッド2 の底面2aの材質と厚みなどを設計、構成することが好ましい。例えば、硬度が上記範囲となるように、パッド2 の底面2aの材質を、ウレタン、フェルトなどの軟質樹脂や発泡樹脂あるいは布などの材質とすることが推奨される。ただ、このような底面2aの材質に対し、これを支持するパッド2 の本体を同じ材質、あるいは他の軟質材料、鋼などの金属、あるいは硬質の樹脂などとしても良い。
(剪断角度)
本発明において、通常の剪断加工と同じく、剪断する板部位の表面と剪断上刃3 の移動方向とのなす角度 (剪断角度) は90°として、板1 は、その表面に垂直の方向に剪断される。ただ、成品側のアルミニウム合金板1bに対し、スクラップ側のアルミニウム合金板1aを、切断面5 において、上刃3 の移動方向に対して50〜80°の角度をなすように下方に曲げた後、上刃3 と下刃4 とで剪断しても良い。このように構成すれば、スクラップ側のアルミニウム合金板1aは、上刃3 の移動方向(鉛直下方)に対して、上記角度をなして傾斜しているので、上刃3 が下降及び上昇の剪断動作を一往復しても、板の変動が抑制され、板側の切断面5 にかえり発生が防止、あるいは抑制できる効果がある。
以上説明した以外に、本発明においては、通常あるいは従来の剪断加工装置乃至金型の構造や、剪断条件や方法を大きく変更する必要は基本的に無い。この点が本発明の利点でもある。
また、本発明が剪断加工の対象とするアルミニウム合金板1 は、プレス成形、曲げ成形などの成形加工によって成形された成形板だけではなく、素材である板、例えば、圧延板や圧延コイルから切断された平板状の板なども含みうる。
以下、平板状アルミニウム合金板1 を、前記図1 に示した剪断加工装置乃至金型を用いてシャー切断した場合の、剪断刃食込量、切り粉発生状況、また剪断分離状況を試験、調査した。
剪断条件として、剪断加工中に、剪断上刃3 の下面3aが下刃4 の上面4aよりも常に上方に位置させるとともに、この際の剪断上刃3 の下面3aと下刃4 の上面4aとの間隔d が最も小さくなる時の値d を、剪断されるアルミニウム合金板1 の板厚比(%) で、表1に示すように種々変えて行なった。なお、比較例9 のみは、前記図2 に示したように、剪断加工中に、最下点において、剪断上刃3 の下面3aが下刃4 の上面4aよりも下方に位置させるようにした。
同時に、上型3 の切れ刃R1と下型4 の切れ刃R2も種々変えた。これらの結果も表1 に示す。
図3 はシャー切断試験されるアルミニウム合金板1 の寸法を示す平面図である。図3 の板1 において、1bは成品部(縦200 mm、横300mm )、1aはスクラップとして除去される縁部 (余肉部) である。縁部1aは、成品部1bの4辺部分に、幅が30mmで延在するとともに、更に、成品部1bの4隅部分に一辺が30mmの矩形状のトリミング部を有する。板1 は、AA 6022-T4材からなる6000系アルミニウム合金であり、厚さt が1mm である。
シャー切断に用いた図1 の上刃3 及び下刃4 は、成品部1bの外縁形状に対応した切断面の平面形状を有し、JIS FCD-55の金型用鋼から構成されている。互いの刃面4bと3bとのクリアランスc は板厚の10% である0.1mm とした。また、前記剪断角度は90°とした。
図4 は図1における板押えパッド2 の寸法を示す斜視図である。図4 のパッド2 は上記図3 の成形部1bの概ね全面を押さえる面積を有する矩形状とし、厚さは30mmとした。そして、この形状で、その底面2aを含めて一体のウレタン樹脂製のパッドとした。また、パッド底面2aの硬度:40Hv 、前記したパッド底面2aの、上刃3 下面3aよりも下方への張出量を0.2mm とした。
上記各同一条件(1条件) について、各々10個(10 回) のトリミング試験を実施し、トリミング加工した際の、板切断面5 に亀裂が入った時の剪断刃の食い込み量(mm)と、剪断1ショットにつき、剪断される板の剪断長さ1m当たりに発生する切り粉発生量(mg/m ・ショット) との平均を求めた。切り粉は、切断時に切断面を吸引して収集し、重量を測定した。
なお、10回の剪断試験とも板とスクラップとの剪断分離が良好な場合は、スクラップの分離性が○と評価した。10回の剪断試験の内で、1 回でも板とスクラップとの剪断分離ができないなどの剪断不良が発生した場合には、スクラップの分離性が×、板とスクラップとの剪断分離ができにくい状況が発生した場合にはスクラップの分離性が△、と評価した。これらの結果を表1に示す。
表1に示すように、発明例1 〜8 は、剪断条件として、剪断加工中に、剪断上刃3 の下面3aが下刃4 の上面4aよりも常に上方に位置させるとともに、この際の剪断上刃3 の下面3aと下刃4 の上面4aとの間隔d が最も小さくなる時の値d を、剪断されるアルミニウム合金板1 の板厚比(%) で15〜70% の範囲としている。
この結果、発明例1 〜8 は、後述する比較例に比して、剪断刃の食い込み量(mm)が大きく、切り粉発生量(mg/m2) も少なくなっている。
比較例9 は、剪断加工中に、最下点において、剪断上刃3 の下面3aが下刃4 の上面4aよりも下方に位置させるようにしている。このため、発明例に比して、剪断刃の食い込み量も小さく、切り粉発生量も抑制されていない。
比較例10は、剪断上刃3 の下面3aと下刃4 の上面4aとの間隔d が最も小さくなる時の値d が、剪断されるアルミニウム合金板1 の板厚比(%) で10% と、本発明の下限未満となっている。このため、発明例に比して、剪断刃の食い込み量も小さく、切り粉発生量も抑制されていない。
比較例11は、前記d 値が、剪断されるアルミニウム合金板1 の板厚比(%) で90% と、本発明の上限を超えている。このため、スクラップが分離できず、剪断刃の食い込み量や切り粉発生量が評価できなかった。
また、発明例1 〜8 は、スクラップの分離性も、比較例12に比して、発明例4 、8 を除いて良好である。
発明例4 は、剪断上刃3 の下面3aと下刃4 の上面4aとの間隔d が最も小さくなる時の値d が70% と上限となっている。このため、他の発明例に比して、スクラップの分離性が悪い。
発明例8 は、切れ刃R1とR2とが300 μm を超えている。このため、切れ刃R が大き過ぎ、他の発明例に比して、スクラップの分離性が悪い。
更に、剪断上刃3 の下面3aと下刃4 の上面4aとの間隔d が同じもの同士の比較において、目立て時の剪断刃の切れ刃R を、上型3 の切れ刃R1と、下型4 の切れ刃R2ともに80〜300 μm の範囲としている発明例3 、6 、7 は、この範囲より外れる発明例5 、8 よりも、剪断刃の食い込み量(mm)が大きく、切り粉発生量(mg/m2) も少なくなっている。
以上の結果から、本発明規定や好ましい条件の、切り粉の発生を確実に抑制する効果や、剪断加工自体を阻害しない、スクラップ分離性に対する効果の、各々臨界的な意義が分かる。
Figure 2006320942
以上詳述したように、本発明によれば、剪断加工自体を阻害せずに、容易かつ確実に、切り粉の発生を抑制することができる、アルミニウム合金板の剪断加工方法を提供することができる。したがって、アルミニウム合金板の剪断加工を必要とする、自動車パネル及びその部品、電気機器パネル並びに精密部品等の製造工程に適用できる。
本発明剪断加工方法の一実施形態を示す説明図である。 従来の剪断加工方法の一実施形態を示す説明図である。 剪断加工されるアルミニウム合金板を示す平面図である。 板押さえ部材を示す斜視図である。 従来の剪断加工装置を示す模式図である。
符号の説明
1、7;アルミニウム合金板、2、8;板押さえ部材、3、9;剪断上刃、
4、10;剪断下刃、5;板切断面、6;支持枠、
d ;上刃の下面と下刃の上面との間隔、t;アルミニウム合金板の板厚
R1;上型3 の切れ刃R 、R2;下型4 の切れ刃R

Claims (3)

  1. アルミニウム合金板を上刃と下刃との剪断により剪断加工する方法において、剪断加工中、前記上刃の下面が下刃の上面よりも常に上方に位置しており、この上刃の下面と下刃の上面との間隔が最も小さくなる時を、前記アルミニウム合金板の板厚に対する比で15〜70% とすることを特徴とするアルミニウム合金板の剪断加工方法。
  2. 前記アルミニウム合金板の板厚が2mm 以下である請求項1に記載のアルミニウム合金板の剪断加工方法。
  3. 前記上刃と下刃との各切れ刃R を80〜300 μm の範囲とする請求項1または2に記載のアルミニウム合金板の剪断加工方法。
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