JP2006318803A - 透明電極膜及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】還元環境下において耐久性のある透明電極膜及びその製造方法を提供する。
【解決手段】In−Sn酸化物と、Al,Mg,Zn,Liから選ばれる少なくとも1種の金属とを含有してなり、25℃の飽和KCl水溶液中に浸漬したときのAg/AgCl参照電極を基準とする電極電位Vが、−0.42≦V≦−0.35(V)を満たすことを特徴とする。
【選択図】図7

Description

本発明は、液晶表示素子やEL発光素子、実装基板、タッチパネル、色素増感太陽電池などの透明電極として使用される透明電極膜及びその製造方法に関するものである。
透明電極膜は、透明であるにもかかわらず導電性を有する薄膜であり、過去には金やアルミなどの金属薄膜を使用した歴史があり、また最近20年では、ITOに代表される透明伝導性酸化物(transparent conductor oxide)の開発が進み、インジウム、スズ、亜鉛、の酸化物が広く電子機器に応用されている。その代表例であるインジウムとスズとの酸化物(ITO)は、液晶表示素子等のディスプレイデバイスを中心に需要が高まり、資源枯渇と伴って、価格の高騰が懸念されている。ディスプレイデバイスとしては、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)等が現在、広く知られている。
透明電極材料が使用される上記のデバイスは、購入者によって様々な環境で使用される事に加え、その製造プロセスにおいても熱処理などの環境に曝される。また、実装基板や有機EL素子などでは、数V以上の高い電圧が印加される。デバイスの品質を保つには、このような条件下でも透明電極材料の劣化を可能な限り抑制すること、すなわち耐熱性、耐湿性、耐磨耗性、化学安定性などに関して耐久性改善が必要不可欠である。
このうち、化学的安定性に関しては、例えば、G.Folcherらの論文(非特許文献1参照。)において塩素の存在下でのITO腐食問題が取り上げられている。耐熱性に関しては、例えば非特許文献2においてフッ素添加により改善された報告もある。
また、ITO膜は、電位差に曝された場合にも劣化が生じることが知られている。また、特許文献1では、ITO膜は還元性のある薬品やガス、酸性の薬品等による処理を行うと膜が変質し性能が劣化してしまうことが記されている。すなわち、水の存在下でITO膜が還元性環境に曝された場合、膜は白濁し、可視光透過率が低下してしまう(図1)。特に、塩化物イオンを含む水溶液では僅か−1.3V(vs Ag/AgCl)程度で劣化現象が目視できるようになる。さらにこの劣化は還元電流という形で観測することができる(図2)。
また、透明電極膜の耐久性を改善する方法として、イオン化エネルギーの小さな金属を添加する手法があり、一部の金属に限れば報告例がある。例えば、特許文献2では酸化亜鉛系の透明電極膜材料の耐アルカリ、耐酸性能を改善するため、Mgを添加することが開示されている。また、特許文献3や特許文献4においてもAlやMgを添加する技術が開示されている。また、Znを添加する技術に関しては、特許文献5において、ITO積層膜のアルカリ・酸溶液耐性を向上させる技術が公開されている。この特許文献においては、Zn/(In+Zn)の組成を傾斜させる技術も記載されている。
なお、これらの特許文献における成膜法は主にスパッタ法であり、添加金属源を酸化物としている。また、特許文献2においては、「金属Mg及び金属Znをヒータで加熱して分子線として供給し、酸素はRFラジカルセルで供給する分子線エピタキシー法に似た蒸着法でも形成することができる」と記載があるが、実際に実施例としては記載されていない。
以上のように、現在でも、透明電極膜の耐久性(耐熱性、耐湿性、耐磨耗性、化学安定性など)改善は課題となっており、様々な基礎検討が進められている状況である。
特開2005−19205号公報 特開2004−259549号公報 特開2000−169220号公報 特許第3215392号公報 特開平11−70610号公報 G.Folcherら,Thin Solid Films 301 (1997)242-248 工業材料2005年3月号,No3,p56
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、ITO膜として還元環境下において耐久性のある透明電極膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する本発明は、In−Sn酸化物と、Al,Mg,Zn,Liから選ばれる少なくとも1種の金属とを含有してなり、25℃の飽和KCl水溶液中に浸漬したときのAg/AgCl参照電極を基準とする電極電位Vが、−0.42≦V≦−0.35(V)を満たすことを特徴とする透明電極膜である(請求項1)。
前記課題を解決するために提供する本発明は、In−Sn酸化物の膜に、Li金属がドーピングされてなることを特徴とする透明電極膜である(請求項2)。
前記課題を解決するために提供する本発明は、In−Sn酸化物と、Al,Mg,Zn,Liから選ばれる少なくとも1種の金属とを含有してなる透明電極膜の製造方法であって、In−Sn酸化物のターゲットと、Al,Mg,Zn,Liから選ばれる少なくとも1種の金属のターゲットとを同時に、または順次スパッタリングすることにより基板上に成膜することを特徴とする透明電極膜の製造方法である(請求項3)。
前記課題を解決するために提供する本発明は、In−Sn酸化物と、Al,Mg,Zn,Liから選ばれる少なくとも1種の金属とを含有してなる透明電極膜の製造方法であって、Al,Mg,Zn,Liから選ばれる少なくとも1種の金属のイオンを含む非水溶液を用いて、金属イオンドーピング法によりIn−Sn酸化物の膜にAl,Mg,Zn,Liから選ばれる少なくとも1種の金属イオンをドーピングすることを特徴とする透明電極膜の製造方法である(請求項4)。
本発明によれば、還元環境下において耐久性のある透明電極膜を提供することができる。
以下に、本発明に係る透明電極膜の構成について説明する。
本発明の透明電極膜は、In−Sn酸化物と、Al,Mg,Zn,Liから選ばれる少なくとも1種の金属とを含有してなり、25℃の飽和KCl水溶液中に浸漬したときのAg/AgCl参照電極を基準とする電極電位Vが、−0.42≦V≦−0.35(V)を満たすことを特徴とする。
また、本発明の透明電極膜10は、図3に示すように、ガラス基板または高分子フィルムなどの基板11上に形成されてなるものである。透明電極膜10の膜厚はとくに限定されないが、50〜500nmが実用上好ましい。膜厚が50nm未満の場合は摩擦によって膜の剥離等が懸念され、膜厚が500nmを超える場合は性能が向上しない反面コスト面で高くなる。
本発明における、In−Sn酸化物の膜(ITO膜)はInに対してSnの含有率が5〜10wt%のものである。
本発明は、このIn−Sn酸化物の膜(ITO膜)に対して、InやSnに比べて電気化学的に卑電位を示す金属を添加し、電極表面の電位を一定範囲に限定することにより、還元環境下における透明性、導電性の劣化を防ぐものである。
ITO膜に添加する金属は、Al,Mg,Zn,Liから選ばれる少なくとも1種の金属(単一金属または合金)である。好ましくは、安価であるAlや、酸化還元電位の低いLi,Mgが好ましい。また、透明電極膜が外部の影響を受けやすい表面近傍に添加元素が偏在していることが望ましい。また、このほかにNa,K,Cs等のアルカリ金属、Ca,Ba等のアルカリ土類金属を添加してもよい。
このような電気化学的に卑電位を示すような金属は、透明電極内で酸化物の形質を取るが、InやSnに比べてイオン化エネルギーが小さいため、酸化物状態での安定性に優れている。一方、これらの金属を添加しすぎると、本来の機能である導電性を損なうことになる。添加したこれらの金属が不純物となり、不純物抵抗成分が増えるからである。同時に、保存中に大気中の酸素と反応しやすく、導電性の安定が得がたくなる。このような観点から、好ましい透明電極膜表面の電位VはV≦−0.20(V vs Ag/AgCl)であり、より好ましくは、−0.35≧V≧−0.42(V vs Ag/AgCl)である。この電位Vの定義としては、塩化カリウムの飽和水溶液において、常温(25℃)で、溶存酸素を抜いた状態で透明電極膜を浸漬して測定した値とする。
また、本発明の透明電極膜は、酸素以外の陰イオン、例えばフッ素、窒素、臭素、硫黄、リンが含まれても良い。
なお、ここではITO膜にInやSnに比べて電気化学的に卑電位を示す金属を添加した構成を説明したが、IZO(インジウム−亜鉛−酸化物)、AZO(アルミニウム−亜鉛−酸化物)、GZO(ガリウム−亜鉛−酸化物)、TO(スズ−酸化物)、IO(インジウム−酸化物)の膜への前記金属を添加した構成においても本発明と同様の効果がある。
また、本発明の透明電極膜は、このほかの実施の形態として、In−Sn酸化物の膜に、Li金属がドーピングされてなることを特徴とする。本発明は後述の金属イオンドーピング法により作製されるものであり、還元環境下においてとくに優れた耐久性を示す。
本発明の透明電極膜の製造方法としては、以下に示すスパッタリング法によるものと金属イオンドーピング法によるものとの2つがある。
(スパッタリング法による透明電極膜の製造方法)
本発明の透明電極膜の製造方法は、In−Sn酸化物と、Al,Mg,Zn,Liから選ばれる少なくとも1種の金属とを含有してなる透明電極膜の製造方法であって、In−Sn酸化物のターゲットと、Al,Mg,Zn,Liから選ばれる少なくとも1種の金属のターゲットとを同時に、または順次スパッタリングすることにより基板上に成膜することを特徴とする。
この場合、例えば図4(a)に示すスパッタリング装置を用いて、通常のITO作製ターゲット(主にInに対してSnを10atm%含有するもの)と、添加金属のチップターゲットとを用いてスパッタリングを行い、下地基板ガラス23上に本発明の透明導電膜を形成すればよい。スパッタの順序としては、ITOターゲットのみを用いてITO膜をあらかじめ作製し、次に添加金属のチップターゲットをスパッタリングして成膜する手法、或いは、図4(b)に示すようにITOターゲット21に添加金属のチップターゲット22を重ねてあるいは埋め込んで配置しておき、それらを同時にスパッタリングする手法、のどちらを用いても構わない。
(金属イオンドーピング法による透明電極膜の製造方法)
本発明の透明電極膜の製造方法は、In−Sn酸化物と、Al,Mg,Zn,Liから選ばれる少なくとも1種の金属とを含有してなる透明電極膜の製造方法であって、Al,Mg,Zn,Liから選ばれる少なくとも1種の金属のイオンを含む非水溶液を用いて、金属イオンドーピング法によりIn−Sn酸化物の膜にAl,Mg,Zn,Liから選ばれる少なくとも1種の金属イオンをドーピングすることを特徴とする。すなわち、予め一定の膜厚(平均膜厚で50nm〜500nm)で成膜された透明導電薄膜に、電気化学的に卑な電位を示す金属を“イオン”の状態で添加する手法により製造するものである。
本発明において、ITO膜への添加金属をLi等のアルカリ金属とした場合、前記スパッタリング法による透明電極膜の製造方法ではアルカリ金属を含むスパッタターゲットを用いることとなるため、スパッタリング装置の内部に腐食や損傷を与えやすくなり、製造手法としては望ましいものではなかった。
これに対して、本製造方法は電気化学的な金属ドーピング方法としてリチウム二次電池の電極材料などに応用されている金属を“イオン”の状態で添加する手法であり、溶液中で処理することが可能である(図5)。なお、イオンを薄膜表面から注入するため、表面付近に目的のイオンを偏在させる事も可能である。
図5において、金属ドーピング方法によるITO膜へのイオン注入についてさらに説明する。
図5は、本製造方法で使用する電解処理槽の構成を示している。電解処理槽は、密閉した状態の乾燥器31の中に溶液槽36を配置し、該溶液層36に、電解液33として、1MLiClO4 in PC(Propylene carbonate)を満たし、処理対象であるWE32として基板上にITO膜が形成されてなる透明伝導性基板、CE(対極)34としてリチウム金属あるいはコバルト酸リチウム(LiCoO2)、RE(参照電極)35としてAg/AgCl電極(北斗電工)を配置している。また、各電極には外部から制御された電圧・電流を印加させるためDC電源7を接続している。
図5の構成において、例えばRE35に対してWE32を−2V付近になるように電圧を印加すると、リチウムイオンがITO膜中にドーピングされるようになる。ドーピングを行う電流密度は1mA/cm2で、ドーピング時間は10〜20minが好ましい。なお、ドーピング処理条件は、ドーピング後に後述する水溶液での電位評価を行い、電極電位Vが−0.20≧V(V vs Ag/AgCl)、より好ましくは、−0.35≧V≧−0.42を満たすような条件を選択するとよい。なお、ドーピングはITO膜中のイオン拡散を通じて進むので、ITO膜中を拡散し難いイオン、例えば価数の高いイオン、イオン半径の大きいイオンをドーピングしようとすると処理時間がかかり実用的ではないので注意が必要である。
なお、本製造方法では図5に示される電気化学的ドーピング手法に代えて、-n-Buthyl Lithiumのヘキサン溶液などの一般のLiドーピング試薬を用いた化学ドーピング法を用いても構わない。
以上の製造方法によれば、本発明の透明電極膜を簡便に製造することが可能である。
以下、本発明の透明電極膜を試験した例を説明する。
(試験例1〜8)
図4(a)のスパッタリング装置において、一定の大きさの市販ITOターゲット(In−Sn10%)上に、金属Mgチップターゲットを載せた状態のターゲット(図4(b))を用いて、ガラス基板(米国コーニング社製、無アルカリガラス基板(板厚0.7mm))にスパッタリングにより透明電極膜の作製を行った。
スパッタリング条件として、スパッタ時の基板加熱は行わず、常温とし、透明電極膜の膜厚は150nmとした。また、Mgチップターゲットの大きさを8種類に変化させて成膜し、Mgチップターゲットの大きさの小さい順(昇順)で試験例1〜8のサンプルとした。
得られたサンプルについて、以下の評価を行った。
(1)透明電極膜の電極電位Vの評価
つぎの手順で透明電極膜の電極電位を測定した。
作製したサンプル(透明電極膜及び基板)を市販アセトンで数回洗浄し、真空乾燥により残留洗浄液を除去した後、水系電解液で満たした電解槽に浸した。ここで電解液は飽和KCl水溶液を使用し、水溶液温度は25℃±2℃程度とした。ついで、サンプルの基板に平行になるように対極CE(ステンレス)を配置し、参照電極REとして市販Ag/AgCl電極を使用して透明電極膜の電極電位を測定した。なお、参照電極REはAg/AgCl電極以外にもカロメル電極、水素電極等も使用できるが、基板の電位として換算する場合には、参照電極RE間の電位差で補正した値を使わなければならない。
試験例1〜8のサンプルの電極電位V(V,vsAg/AgCl)は次の通りであった。なお、カッコ内の数字は電極電位の小数点第3位の数値である。
・実施例1 :V=−0.21(2)
・実施例2 :V=−0.29(0)
・実施例3 :V=−0.31(6)
・実施例4 :V=−0.33(5)
・実施例5 :V=−0.35(0)
・実施例6 :V=−0.36(1)
・実施例7 :V=−0.38(3)
・実施例8 :V=−0.41(9)
(2)透明電極膜の還元劣化試験
電子デバイス中での劣化・腐食試験は、環境や使用対象によって様々な手法が兼用されている。ここでは、還元環境での劣化耐性の評価のため、以下のように劣化試験の条件を定義した。
まず、サンプルを、前記透明電極膜の電極電位Vの評価で使用した組成の電解液に浸し、参照電極REに対し−1.4Vの電位差を60秒間印加する。ここで、電位差−1.4Vは水の理論還元電位に近いが、この還元反応(=水の電気分解)に対する過電圧が大きいため、実際には水の還元(分解)は起こらない。これにより、還元電流はサンプルの透明電極膜を構成する材料を劣化させる反応のみに対して流れる。
なお、図2から、ITO膜が約−1.3Vにおいて還元電流を示すことが明らかであり、電位差−1.4Vは還元反応の影響を観測するのに妥当な条件であることを示している。また、図1では、還元電位−1.4VでITO膜の透過率が低下する様子が明瞭に示されている。
また、市販ITO膜付き基板(ULVAC(株)製、SuperITO(膜厚150nm))について還元劣化試験を行ったものを、東洋テクニカ(株)製Resist8300シリーズ(比抵抗測定器)を用いて室温(25℃)、大気中で導電性を測定し、van der pauw法によって“比抵抗値”として算出した。その結果を図6に示す。図では、還元電位−1.4VでITO膜の比抵抗が低下する様子が明瞭に示されている。
(3)還元劣化後の透明電極膜の特性評価
透明電極膜の基本特性は、導電性と可視光透過性の2つがある。透明電極膜がデバイス中で使用される場合、この両者がどちらも極端な劣化をしてはならない。即ち、可視光透過性の劣化が認められなくても、導電性の低下があれば、特性劣化とされる。今回は、可視光透過性(以後透過率と称す)を劣化指標とし、つぎの測定を行った。
[透過率測定]
透過率の測定は、島津製作所のUV測定器PC−2400シリーズを使用して前記還元劣化試験前後のサンプルの透過率を測定した。なお、基板を構成するガラス部分(コーニング社製、無アルカリガラス(板厚0.7mm))は単独測定においても透過率98%以上であった(ただし、可視光とされるλ≧380nmにおいて)。ここで、図1(波長190nm〜900nmにおける市販ITO膜が形成された基板の透過率(電位依存性))に見られるように、透過率は波長依存性がある。本評価では、一般に使用される平均的な波長550nmでの透過率をサンプル評価の透過率として定義し、透過率は薄膜の種類、状態によって初期値が異なるので、前記劣化試験により透過率の劣化しない程度(補正透過率)をつぎの式で定義し、求めた。
(補正透過率)=(劣化試験後の透過率)/(劣化試験前の透過率)×100(%)
(試験例9,10)
試験例1において、Mgチップターゲットに代えて、Al金属チップターゲットをITOターゲットに載せ、それ以外は試験例1と同じ条件でスパッタリング法による透明電極膜の作製を行った。基板温度、膜厚の変更は行わなかった。なお、Al金属チップターゲットの大きさを変えて成膜し、Al金属チップターゲットの大きさの小さい順(昇順)で試験例9,10のサンプルとした。
得られた試験例9,10のサンプルの電極電位V(V,vsAg/AgCl)は次の通りであった。
・試験例9 :V =−0.36(9)
・試験例10:V =−0.38(0)
(試験例11〜13)
試験例1において、Mgチップターゲットに代えて、Zn金属チップターゲットをITOターゲットに載せ、それ以外は試験例1と同じ条件でスパッタリング法による透明電極膜の作製を行った。基板温度、膜厚の変更は行わなかった。なお、Zn金属チップターゲットの大きさを3種類に変化させて成膜し、Zn金属チップターゲットの大きさの小さい順(昇順)で試験例11〜13のサンプルとした。
得られた試験例11〜13のサンプルの電極電位V(V,vsAg/AgCl)は次の通りであった。
・試験例11:V =−0.24(9)
・試験例12:V =−0.36(0)
・試験例13:V =−0.40(0)
(試験例14〜17)
図5の電解処理槽において、10×20mmの大きさの市販ITO膜付き基板(ULVAC(株)製、SuperITO(膜厚150nm))をWE32とし、電気化学的な金属ドーピング法を用いて、ITO膜にLiをドーピングした。なお、電解液33として、1MLiClO4 in PC(Propylene carbonate)を満たし、CE(対極)34としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)、RE(参照電極)35としてAg/AgCl電極(北斗電工)を配置した。
ここで、電流密度を0.1μA/cm2とし、試験例14〜17におけるLiドープ時間t(s)をそれぞれ、740秒(試験例14)、785秒(試験例15)、823秒(試験例16)、875秒(試験例17)とした。
電流密度及びLiドープ時間の値から単位面積辺りLiドープ密度(mol/cm2)DLiは、次式により計算される。
Li = x(μA)×10-6×t(s)
その結果、試験例14〜17それぞれの単位面積辺りLiドープ密度(単位mol/cm2)は、DLi=7.7×10-10 (試験例14)、8.17×10-10 (試験例15)、8.56×10-10 (試験例16)、9.11×10-10 (試験例17) であった。
なお、ITO膜の平均膜厚は150nmであり、膜の溶解前後の基板重量の差から求めた膜質量は1.07×10-5g/cm2であった。前記試験例14〜17それぞれの単位面積辺りLiドープ密度及び、ITO膜の予想分子量(酸素欠陥による誤差は除く)と前記膜質量から計算された膜単位面積当たりのIn密度を鑑みれば、試験例14〜17におけるLi/In値はつぎのようになる。
・試験例14:0.98%
・試験例15:1.04%
・試験例16:1.09%
・試験例17:1.16%
となる。
得られた試験例14〜17のサンプルの電極電位V(V,vsAg/AgCl)は次の通りであった。
・試験例14:V =−0.39(1)
・試験例15:V =−0.40(−)
・試験例16:V =−0.42(−)
・試験例17:V =−0.49(−)
注)カッコ内の−はこの桁の値が安定せず、確定できなかった事を示す。
(比較例1)
市販ITO膜付き基板(ULVAC(株)製、SuperITO(膜厚150nm))を10×20mmサイズに切り取り、アセトン洗浄後、乾燥して、比較例1のサンプルとした。なお、比較例1のサンプルの電極電位VはV = −0.18(V)(V,vsAg/AgCl)であった。
(比較例2〜4)
試験例1において、Mgチップターゲットに代えて、酸化マグネシウム(MgO)チップターゲットをITOターゲットに載せ、それ以外は試験例1と同じ条件でスパッタリング法による透明電極膜の作製を行った。基板温度、膜厚の変更は行わなかった。なお、MgOチップターゲットの大きさを3種類に変化させて成膜し、MgOチップターゲットの大きさの小さい順(昇順)で比較例2〜4のサンプルとした。
得られた比較例2〜4のサンプルの電極電位V(V,vsAg/AgCl)は次の通りであった。
・比較例2 :V =−0.26(5)
・比較例3 :V =−0.29(4)
・比較例4 :V =−0.31(6)
(比較例5〜7)
試験例1において、Mgチップターゲットに代えて、酸化アルミニウム(Al23)チップターゲットをITOターゲットに載せ、それ以外は試験例1と同じ条件でスパッタリング法による透明電極膜の作製を行った。基板温度、膜厚の変更は行わなかった。なお、Al23チップターゲットの大きさを3種類に変化させて成膜し、Al23チップターゲットの大きさの小さい順(昇順)で比較例5〜7のサンプルとした。
得られた比較例5〜7のサンプルの電極電位V(V,vsAg/AgCl)は次の通りであった。
・比較例5 :V =−0.22(−)
・比較例6 :V =−0.24(2)
・比較例7 :V =−0.28(7)
(比較例8〜10)
試験例1において、Mgチップターゲットに代えて、酸化亜鉛(ZnO)チップターゲットをITOターゲットに載せ、それ以外は試験例1と同じ条件でスパッタリング法による透明電極膜の作製を行った。基板温度、膜厚の変更は行わなかった。なお、ZnOチップターゲットの大きさを3種類に変化させて成膜し、ZnOチップターゲットの大きさの小さい順(昇順)で比較例8〜10のサンプルとした。
得られた比較例8〜10のサンプルの電極電位V(V,vsAg/AgCl)は次の通りであった。
・比較例8 :V =−0.30(3)
・比較例9 :V =−0.32(8)
・比較例10:V =−0.34(8)
以上の試験例、比較例における電極電位Vと補正透過率の関係を図7に示す。試験例において、電極電位Vが−0.40〜−0.35(V,vs. Ag/AgCl−KCl)の範囲のものは補正透過率が大きく、良好な耐久性を有する。これに対して、比較例では電極電位Vが−0.35(V,vs. Ag/AgCl−KCl)以下となるものはなかった。
また、本発明によれば、透明電極膜の電極電位Vを−0.20≧V(vs. Ag/AgCl−KCl)にする金属を添加する手法に拠り、還元耐性を付加することができた。より好ましくは、スパッタリング法においてターゲット上の添加金属種源を、従来のような酸化物ではなく金属状態で設置する手法、或いは電気化学的な金属イオンドーピング手法により、電極電位Vを−0.35≧V≧−0.42にすることで、さらなる還元耐性を付加することができた。なお、−0.42>Vの場合には、大気中の酸素等による反応で、還元処理以前に透過率の劣化が著しく、好ましくない。
標準的なITO膜の透過率と処理電位との関係を示す図である。 標準的なITO膜のカソード分極曲線を示す図である。 透明電極膜の概略図である。 スパッタ装置の概念図である。 電気化学的金属イオンドーピング装置の概念図である。 標準的なITO膜の比抵抗と処理電位の関係を示す図である。 透明電極膜の電極電位と補正透過率との関係を示す図である。
符号の説明
10・・・透明電極膜、11・・・基板、21・・・ITOターゲット、22・・・添加金属チップターゲット、23・・・下地基板ガラス、24・・・DC印加電源、25・・・真空チャンバー、26・・・真空ポンプ、31・・・乾燥室、32・・・WE、33・・・非水電解液、34・・・CE(対極)、35・・・RE(参照電極)、36・・・電解槽、37・・・定電圧電源

Claims (4)

  1. In−Sn酸化物と、Al,Mg,Zn,Liから選ばれる少なくとも1種の金属とを含有してなり、25℃の飽和KCl水溶液中に浸漬したときのAg/AgCl参照電極を基準とする電極電位Vが、−0.42≦V≦−0.35(V)を満たすことを特徴とする透明電極膜。
  2. In−Sn酸化物の膜に、Li金属がドーピングされてなることを特徴とする透明電極膜。
  3. In−Sn酸化物と、Al,Mg,Zn,Liから選ばれる少なくとも1種の金属とを含有してなる透明電極膜の製造方法であって、
    In−Sn酸化物のターゲットと、Al,Mg,Zn,Liから選ばれる少なくとも1種の金属のターゲットとを同時に、または順次スパッタリングすることにより基板上に成膜することを特徴とする透明電極膜の製造方法。
  4. In−Sn酸化物と、Al,Mg,Zn,Liから選ばれる少なくとも1種の金属とを含有してなる透明電極膜の製造方法であって、
    Al,Mg,Zn,Liから選ばれる少なくとも1種の金属のイオンを含む非水溶液を用いて、金属イオンドーピング法によりIn−Sn酸化物の膜にAl,Mg,Zn,Liから選ばれる少なくとも1種の金属イオンをドーピングすることを特徴とする透明電極膜の製造方法。
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