JP2006318759A - 電池 - Google Patents

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Hiroyuki Akashi
寛之 明石
Yoshiaki Obana
良哲 尾花
Tomitaro Hara
富太郎 原
Kenichi Ogawa
健一 小川
Yosuke Hosoya
洋介 細谷
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Abstract

【課題】 エネルギー密度を向上させると共に、サイクル特性を向上させることができる電池を提供する。
【解決手段】 正極21と負極22とがセパレータ23を介して巻回された巻回電極体20を備える。完全充電時の開回路電圧は、4.25V以上6.00V以下の範囲内である。負極22には、負極活物質と、炭素繊維などの導電性の繊維材料が含まれている。これにより、負極22における電子伝導性が改善され、サイクル特性が向上する。繊維材料の平均直径は、0.01μm以上10μm未満であることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、負極に導電性の材料を含む電池に関する。
近年の携帯電子技術のめざましい発達により、携帯電話やノートブックコンピューターなどの電子機器は高度情報化社会を支える基盤技術として認識されている。これらの電子機器の高機能化に関する研究開発は精力的に進められており、高機能化による消費電力の増加に伴い、駆動時間の長期化が課題とされてきた。一定水準以上の駆動時間を確保するためには、駆動電源として用いられる二次電池の高エネルギー密度化が必須条件であり、例えばリチウムイオン二次電池などの高機能性二次電池では更なる高エネルギー密度化が望まれている。
従来のリチウムイオン二次電池では、正極にはコバルト酸リチウム、負極には炭素材料が使用されており、作動電圧が4.2Vから2.5Vの範囲内で用いられている。単電池において、端子電圧を4.2Vまで上げられるのは、非水電解質材料やセパレータなどの優れた電気化学的安定性によるところが大きい。
ところで、従来の最大4.2Vで作動するリチウムイオン二次電池では、正極に用いられるコバルト酸リチウムなどの正極活物質は、その理論容量に対して6割程度の容量を活用しているに過ぎない。このため、更に充電圧を上げることにより、残存容量を活用することが原理的には可能である。実際に充電時の電圧を4.25V以上にすることにより高エネルギー密度化が実現することが知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、電池電圧を高く設定した電池では、電池特性の劣化が著しいという問題があった。例えば、電池電圧を4.4Vに設定したリチウムイオン二次電池では、室温よりも高い温度領域において、特に基本特性が低下してしまうという問題があった(例えば、非特許文献1参照)。このような電池特性の低下は、リチウムイオンの吸蔵・放出量の増大に伴う正極活物質における結晶構造の歪みや疲労などの劣化、あるいは正極自身の酸化性が強まることによる電解質材料の化学変化によるものと考えられている(例えば、特許文献2参照)。
このような電池特性の劣化を抑制するために、正極活物質を改良することが提案されている(例えば、非特許文献2参照)。一方、充放電中における負極の電位は、充電電圧にほとんど依存することなく、ほぼ同様の電位形状を示すので、負極に関する改善工夫は報告されていなかった。
国際公開第WO03/0197131号パンフレット 特開2004−55539号公報 ジェイ.チョウ(J.Cho ), ジー. キム(G.Kim) ,「エレクトロケミカル ソリッド−ステイト レター(ELECTROCHEM.Solid-State Lett.)」2(6)(1999)253. ヨシナリ ミキムラ(Yoshinari Makimura),ツトム オオヅキ(Tsutomu Ohzuki),「ジャーナル オブ パワー ソース(Journal of Power Sources)」,119-121(2003)156-160
ところが、電池電圧を4.25V以上に設定して充放電反応を発現させると、特に高温環境下において、正極から金属イオンが溶出し易くなり、この金属イオンが負極表面において析出して、負極の反応面積が低下してしまうことが明らかになった。これにより負極における電子伝導性が著しく低下し、サイクル特性などの電池特性が劣化してしまっていた。具体的には、電極反応物質であるリチウムが負極の表面において析出し、電解質材料との不可逆反応により不活性化するので、分極反応が増大することによりサイクル特性などの電池特性が低下してしまっていた。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、充電電圧を4.2V超に設定した電池において、サイクル特性を向上させることができる電池を提供することにある。
本発明による電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、一対の正極および負極当たりの完全充電状態における開回路電圧が4.25V以上6.00V以下の範囲内であり、負極は、負極活物質と、導電性の繊維材料とを含むものである。
本発明の電池によれば、完全充電時における開回路電圧を4.25V以上6.00V以下の範囲内としたので、高いエネルギー密度を得ることができる。また、負極に、負極活物質と、導電性の繊維材料を含むようにしたので、負極における電子伝導性の低下を抑制することができる。よって、エネルギー密度を高くすることができると共に、サイクル特性を向上させることができる。
特に、繊維材料の平均直径を0.01μm以上10μm未満とするように、あるいは負極活物質層における繊維材料の含有量を0.1質量%以上15質量%以下の範囲内とするように、あるいは繊維材料のアスペクト比を5よりも大きくするように、あるいは繊維材料の電気化学当量を250mAh/g以上にするようにすれば、より高い効果を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態に係る二次電池の断面構造を表すものである。この二次電池は、いわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、一対の帯状の正極21と帯状の負極22とがセパレータ23を介して巻回された巻回電極体20を有している。電池缶11は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12,13がそれぞれ配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体20は、例えば、センターピン24を中心に巻回されている。巻回電極体20の正極21にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード25が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード26が接続されている。正極リード25は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
図2は図1に示した巻回電極体20の一部を拡大して表すものである。正極21は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、正極集電体21Aの片面のみに正極活物質層21Bを設けるようにしてもよい。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム箔などの金属箔により構成されている。正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料の1種または2種以上を含んでおり、必要に応じてのグラファイトなどの導電剤およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んで構成されている。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム酸化物,リチウムリン酸化物,リチウム硫化物あるいはリチウムを含む層間化合物などのリチウム含有化合物が適当であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。エネルギー密度を高くするには、リチウムと遷移金属元素と酸素(O)とを含むリチウム含有化合物が好ましく、中でも、遷移金属元素として、コバルト(Co),ニッケル,マンガン(Mn)および鉄からなる群のうちの少なくとも1種を含むものであればより好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、化1,化2あるいは化3に示した層状岩塩型のリチウム複合酸化物、化4に示したスピネル型のリチウム複合酸化物、または化5に示したオリビン型のリチウム複合リン酸塩などが挙げられ、具体的には、LiNi0.50Co0.20Mn0.302 、Lia CoO2 (a≒1)、Lib NiO2 (b≒1)、Lic1Nic2Co1-c22 (c1≒1,0<c2<1)、Lid Mn2 4 (d≒1)あるいはLie FePO4 (e≒1)などがある。
(化1)
Lif Mn(1-g-h) Nig M1h (2-j) k
(式中、M1は、コバルト,マグネシウム(Mg),アルミニウム,ホウ素(B),チタン(Ti),バナジウム(V),クロム(Cr),鉄,銅(Cu),亜鉛(Zn),ジルコニウム(Zr),モリブデン(Mo),スズ(Sn),カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。f,g,h,jおよびkは、0.8≦f≦1.2、0<g<0. 5、0≦h≦0. 5、g+h<1、−0. 1≦j≦0. 2、0≦k≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、fの値は完全放電状態における値を表している。)
(化2)
Lim Ni(1-n) M2n (2-p) q
(式中、M2は、コバルト,マンガン,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素,チタン,バナジウム,クロム,鉄,銅,亜鉛,モリブデン,スズ,カルシウム,ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種を表す。m,n,pおよびqは、0.8≦m≦1.2、0. 005≦n≦0. 5、−0. 1≦p≦0. 2、0≦q≦0. 1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、mの値は完全放電状態における値を表している。)
(化3)
Lir Co(1-s) M3s (2-t) u
(式中、M3は、ニッケル,マンガン,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素,チタン,バナジウム,クロム,鉄,銅,亜鉛,モリブデン,スズ,カルシウム,ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種を表す。r,s,tおよびuは、0.8≦r≦1.2、0≦s<0.5、−0.1≦t≦0.2、0≦u≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、rの値は完全放電状態における値を表している。)
(化4)
Liv Mn2-w M4w x y
(式中、M4は、コバルト,ニッケル,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素,チタン,バナジウム,クロム,鉄,銅,亜鉛,モリブデン,スズ,カルシウム,ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種を表す。v,w,xおよびyは、0.9≦v≦1.1、0≦w≦0.6、3.7≦x≦4.1、0≦y≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、vの値は完全放電状態における値を表している。)
(化5)
Liz M5PO4
(式中、M5は、コバルト,マンガン,鉄,ニッケル,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素,チタン,バナジウム,ニオブ(Nb),銅,亜鉛,モリブデン,カルシウム,ストロンチウム,タングステンおよびジルコニウムからなる群のうちの少なくとも1種を表す。zは、0.9≦z≦1.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、zの値は完全放電状態における値を表している。)
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、これらの他にも、MnO2 ,V2 5 ,V6 13,NiS,MoSなどのリチウムを含まない無機化合物も挙げられる。
負極22は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、負極集電体22Aの片面のみに負極活物質層22Bを設けるようにしてもよい。負極集電体22Aは、例えば、銅箔などの金属箔により構成されている。
負極活物質層22Bは、例えば粒子状の負極活物質を含んで構成されており、必要に応じて正極活物質層21Bと同様の結着剤を含んで構成されている。負極活物質としては、例えば、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んでいる。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素,易黒鉛化性炭素,黒鉛,熱分解炭素類,コークス類,ガラス状炭素類,有機高分子化合物焼成体,炭素繊維あるいは活性炭などの炭素材料が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス,ニードルコークスあるいは石油コークスなどがある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素または易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。また、高分子材料としてはポリアセチレンあるいはポリピロールなどがある。これら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができ好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れた特性が得られるので好ましい。更にまた、充放電電位が低いもの、具体的には充放電電位がリチウム金属に近いものが、電池の高エネルギー密度化を容易に実現することができるので好ましい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、また、リチウムを吸蔵および放出することが可能であり、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料も挙げられる。このような材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるからである。特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるのでより好ましい。この負極材料は金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本発明において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体,共晶(共融混合物),金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
この負極材料を構成する金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、マグネシウム,ホウ素,アルミニウム,ガリウム(Ga),インジウム(In),ケイ素(Si),ゲルマニウム(Ge),スズ,鉛(Pb),ビスマス(Bi),カドミウム(Cd),銀(Ag),亜鉛,ハフニウム(Hf),ジルコニウム,イットリウム(Y),パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)が挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
中でも、この負極材料としては、短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、特に好ましいのはケイ素およびスズの少なくとも一方を構成元素として含むものである。ケイ素およびスズは、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素,ニッケル,銅,鉄,コバルト,マンガン,亜鉛,インジウム,銀,チタン(Ti),ゲルマニウム,ビスマス,アンチモン(Sb),およびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ,ニッケル,銅,鉄,コバルト,マンガン,亜鉛,インジウム,銀,チタン,ゲルマニウム,ビスマス,アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズの化合物あるいはケイ素の化合物としては、例えば、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、スズまたはケイ素に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、更に、他の金属化合物あるいは高分子材料が挙げられる。他の金属化合物としては、MnO2 ,V2 5 ,V6 13)などの酸化物、NiS,MoSなどの硫化物、あるいはLiN3 などのリチウム窒化物が挙げられ、高分子材料としてはポリアセチレン,ポリアニリンあるいはポリピロールなどが挙げられる。
負極活物質層22Bは、また、導電性の繊維材料を含んでいる。これにより、負極22における電子伝導性が向上するようになっている。このような繊維材料としては、例えば、気相成長炭素繊維が挙げられる。
繊維材料の平均直径(繊維径)は、0.01μm以上10μm未満であることが好ましく、より好ましくは1μm以下である。0.01μmより小さいと強度が弱く切断されやすくなり、また、10μmよりも大きくなると、負極活物質間に入りにくくなり、サイクル特性が低下すると共に、生産性が低下し、工業的にコスト高となるからである。なお、繊維材料の平均直径はレーザ回折法により測定したものである。
また、繊維材料のアスペクト比(平均の長さ/平均の直径)は、5よりも大きいことが好ましく、より好ましくは10以上、特に50以上であれば望ましい。より高い効果が得られるからである。
更に、繊維材料の含有量は、負極活物質層22Bにおいて、0.1質量%以上15質量%以下の範囲内であることが好ましい。少ないと電気伝導性を向上させる効果が十分ではなく、多いと負極活物質の量が減少し、容量が低下してしまうからである。
更にまた、繊維材料は、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な材料であることが好ましい。また、この場合には、繊維材料の電気化学当量が100mAh/g以上,特に250mAh/g以上であればより好ましい。容量を向上させることができるからである。
なお、繊維材料の電化化学当量は、リチウム金属を対極として、この繊維材料を負極活物質とした負極について、電流値0.1Cで、0Vまで定電流・定電圧法により充電したのち、電流値0.1Cの定電流法で1.5Vまで放電した時の電気量から求める。
セパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン,ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の多孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。中でも、ポリオレフィン製の多孔質膜はショート防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。
セパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、例えば有機溶媒などの非水溶媒と、この非水溶媒に溶解された電解質塩とを含んでいる。
非水溶媒としては、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの環状の炭酸エステルを用いることができ、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンのうちの一方、特に両方を混合して用いることが好ましい。サイクル特性を向上させることができるからである。
非水溶媒としては、また、これらの環状の炭酸エステルに加えて、炭酸ジエチル,炭酸ジメチル,炭酸エチルメチルあるいは炭酸メチルプロピルなどの鎖状の炭酸エステルを混合して用いることが好ましい。高いイオン伝導性を得ることができるからである。
非水溶媒としては、更にまた、2,4−ジフルオロアニソールあるいは炭酸ビニレンを含むこと好ましい。2,4−ジフルオロアニソールは放電容量を向上させることができ、また、炭酸ビニレンはサイクル特性を向上させることができるからである。よって、これらを混合して用いれば、放電容量およびサイクル特性を向上させることができるので好ましい。
これらの他にも、非水溶媒としては、炭酸ブチレン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピロニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシドあるいはリン酸トリメチルなどが挙げれる。
なお、これらの非水溶媒の少なくとも一部の水素をフッ素で置換した化合物は、組み合わせる電極の種類によっては、電極反応の可逆性を向上させることができる場合があるので、好ましい場合もある。
電解質塩としては、例えばリチウム塩が挙げれ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。リチウム塩としては、LiPF6 ,LiBF4 ,LiAsF6 ,LiClO4 ,LiB(C6 5 4 ,LiCH3 SO3 ,LiCF3 SO3 ,LiN(SO2 CF3 2 ,LiC(SO2 CF3 3 ,LiAlCl4 ,LiSiF6 ,LiCl, ジフルオロ[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウム,リチウムビスオキサレートボレート,あるいはLiBrなどが挙げられる。中でも、LiPF6 は高いイオン伝導性を得ることができると共に、サイクル特性を向上させることができるので好ましい。
この二次電池は、完全充電時における開回路電圧(すなわち電池電圧)が4.25V以上6.00V以下の範囲内になるように設計されている。例えば、同じ正極活物質であっても、開回路電圧が4.20Vの電池よりも、リチウムの放出量を多くしており、この放出されたリチウムが析出しないように負極22が設計されている。これにより高いエネルギー密度が得られるようになっている。
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーを作製する。次いで、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機などにより圧縮成型することにより正極活物質層21Bを形成し、正極21を形成する。
また、例えば、負極活物質と、導電性の繊維材料と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーを作製する。次いで、この負極合剤スラリーを負極集電体22Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機などにより圧縮成型することにより負極活物質層22Bを形成し、負極22を作製する。
続いて、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。そののち、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12,13で挟み電池缶11の内部に収納する。正極21および負極22を電池缶11の内部に収納したのち、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。そののち、電池缶11の開口端部に電池蓋14,安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図1に示した二次電池が形成される。
この二次電池では、充電を行うと、正極活物質層21Bからリチウムイオンが放出され、電解液を介して、負極活物質層22Bに吸蔵される。次いで、放電を行うと、負極活物質層22Bからリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極活物質層21Bに吸蔵される。ここでは、負極22に導電性の繊維材料を含んでいるので、完全充電時における開回路電圧を高くしても、負極22における電気伝導性が改善される。
このように本実施の形態では、完全充電時における開回路電圧を4.25V以上6.00V以下の範囲内としたので、高いエネルギー密度を得ることができる。また負極22に、負極活物質と、導電性の繊維材料を含むようにしたので、負極22における電子伝導性の低下を抑制することができる。よって、エネルギー密度を高くすることができると共に、サイクル特性を向上させることができる。
特に、繊維材料の平均直径を0.01μm以上10μm未満とするように、あるいは負極活物質層22Bにおける繊維材料の含有量を0.1質量%以上15質量%以下の範囲内とするように、あるいは繊維材料のアスペクト比を5よりも大きくするように、あるいは繊維材料の電気化学当量を250mAh/g以上にするようにすれば、より高い効果を得ることができる。
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものであり、小型化,軽量化および薄型化が可能となっている。
正極リード31および負極リード32は、それぞれ、外装部材40の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。正極リード31および負極リード32は、例えば、アルミニウム,銅,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルム側と巻回電極体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
なお、外装部材40は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
図4は、図3に示した巻回電極体30のI−I線に沿った断面構造を表すものである。巻回電極体30は、正極33と負極34とをセパレータ35および電解質層36を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ37により保護されている。
正極33は、正極集電体33Aの片面あるいは両面に正極活物質層33Bが設けられた構造を有している。負極34は、負極集電体34Aの片面あるいは両面に負極活物質層34Bが設けられた構造を有しており、負極活物質層34Bの側が正極活物質層33Bと対向するように配置されている。正極集電体33A,正極活物質層33B,負極集電体34A,負極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、それぞれ上述した正極集電体21A,正極活物質層21B,負極集電体22A,負極活物質層22Bおよびセパレータ23と同様である。
電解質層36は、電解液と、この電解液を保持する保持体となる高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状となっている。ゲル状の電解質層36は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。電解液(すなわち溶媒および電解質塩など)の構成は、第1の実施の形態に係る二次電池と同様である。高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル,ポリフッ化ビニリデン,フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体,ポリテトラフルオロエチレン,ポリヘキサフルオロプロピレン,ポリエチレンオキサイド,ポリプロピレンオキサイド,ポリフォスファゼン,ポリシロキサン,ポリ酢酸ビニル,ポリビニルアルコール,ポリメタクリル酸メチル,ポリアクリル酸,ポリメタクリル酸,スチレン−ブタジエンゴム,ニトリル−ブタジエンゴム,ポリスチレンあるいはポリカーボネートが挙げられる。特に電気化学的な安定性の点からはポリアクリロニトリル,ポリフッ化ビニリデン,ポリヘキサフルオロプロピレンあるいはポリエチレンオキサイドが好ましい。
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、正極33および負極34のそれぞれに、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶剤を揮発させて電解質層36を形成する。そののち、正極集電体33Aの端部に正極リード31を溶接により取り付けると共に、負極集電体34Aの端部に負極リード32を溶接により取り付ける。次いで、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ37を接着して巻回電極体30を形成する。最後に、例えば、外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込み、外装部材40の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間には密着フィルム41を挿入する。これにより、図3および図4に示した二次電池が完成する。
また、この二次電池は、次のようにして作製してもよい。まず、上述したようにして正極33および負極34を作製し、正極33および負極34に正極リード31および負極リード32を取り付けたのち、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して、巻回電極体30の前駆体である巻回体を形成する。次いで、この巻回体を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材40の内部に収納する。続いて、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を用意し、外装部材40の内部に注入する。
電解質用組成物を注入したのち、外装部材40の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。次いで、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層36を形成し、図3に示した二次電池を組み立てる。
この二次電池の作用および効果は、第1の実施の形態に係る二次電池と同様である。
更に、本発明の具体的な実施例について、詳細に説明する
(実施例1−1〜1−7)
図1に示した二次電池を作製した。
まず、正極活物質を作製した。市販の硝酸ニッケル,硝酸コバルト,および硝酸マンガンを水溶液として、NiとCoとMnとのモル比率がそれぞれ0.50、0.20、0.30となるように混合したのち、十分に攪拌しながら、この混合溶液にアンモニア水を滴下して複合水酸化物を得た。この複合水酸化物と水酸化リチウムとを混合し、酸素気流中、850℃で10時間焼成したのち、粉砕して、正極活物質としてのリチウム複合酸化物粉末を得た。得られたリチウム複合酸化物粉末について、原子吸光分析(ASS;atomic absorption spectrometry)により分析を行ったところ、LiNi0.50Co0.20Mn0.302 の組成が確認された。また、レーザー回折法により粒径を測定したところ、平均粒径は13μmであった。更に、X線回折測定を行ったところ、ICDD(International Center for Diffraction Data)カードの09−0063に記載されたLiNiO2 のパターンに類似しており、LiNiO2 と同様の層状岩塩構造を形成していることが確認された。更にまた、走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)により観察したところ、0.1μm〜5μmの1次粒子が凝集した球状の粒子が観察された。
得られたLiNi0.50Co0.20Mn0.302 粉末と、炭酸リチウム粉末とを、LiNi0.50Co0.20Mn0.302 粉末:炭酸リチウム粉末=95:5の質量比で混合し、この混合物と、導電剤としてアモルファス性炭素粉末(ケッチェンブラック)と、結着剤としてポリフッ化ビニリデンとを、混合物:アモルファス性炭素粉末:ポリフッ化ビニリデン=94:3:3の質量比で混合して正極合剤を調製した。続いて、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとし、厚み20μmの帯状アルミニウム箔よりなる正極集電体21Aの両面に均一に塗布して温風乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し正極21を作製した。正極21の厚みは150μmとなるようにした。そののち、正極集電体21Aの一端にアルミニウム製の正極リード25を取り付けた。
また、負極活物質として、平均粒径が20μm、比表面積が0.8g/cm3 である球状黒鉛粉末と、結着剤としてポリフッ化ビニリデンと、導電性の繊維材料として炭素繊維とを、球状黒鉛粉末:ポリフッ化ビニリデン:炭素繊維=90:8:2の質量比で混合して負極合剤を調製した。その際、炭素繊維には、平均直径が0.1μm、アスペクト比が5、電気化学当量が250mAh/gのものを用いた。続いて、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとし、厚み10μmの帯状銅箔よりなる負極集電体22Aの両面に均一に塗布し、加熱プレス成型して負極活物質層22Bを形成し負極22を作製した。負極活物質層22Bの厚みは160μmとなるようにした。そののち、負極集電体22Aの一端にニッケル製の負極リード26を取り付けた。
正極21および負極22をそれぞれ作製したのち、微多孔性セパレータ23を用意し、負極22,セパレータ23,正極21,セパレータ23の順に積層してこの積層体を渦巻状に多数回巻回し、外径18mmのジェリーロール型の巻回電極体20を作製した。
巻回電極体20を作製したのち、巻回電極体20を一対の絶縁板12,13で挟み、負極リード26を電池缶11に溶接すると共に、正極リード25を安全弁機構15に溶接して、巻回電極体20をニッケルめっきした鉄製の電池缶11の内部に収納した。そののち、電池缶11の内部に電解液4.0gを減圧方式により注入した。
電解液には、溶媒として炭酸エチレンと炭酸ジメチルと炭酸ビニレンとを、炭酸エチレン:炭酸ジメチル:炭酸ビニレン=35:63:2の質量比で混合した溶媒に、電解質塩としてLiPF6 を1.5mol/kgとなるように溶解させたものを用いた。
電池缶11の内部に電解液を注入したのち、表面にアスファルトを塗布したガスケット17を介して電池蓋14を電池缶11にかしめることにより、実施例1−1〜1−7について直径18mm、高さ50mmの円筒型二次電池を得た。
得られた実施例1−1〜1−7の二次電池について、次のようにして定格容量およびサイクル特性を測定した。
まず、500mAの定電流で電池電圧が表1に示したように4.25V,4.30,4.35V,4.40V,4.45V,4.55Vまたは4.60Vに達するまで定電流充電を行ったのち、4.25V,4.30V,4.35V,4.40V,4.45V,4.55Vまたは4.60Vのままの定電圧で5時間定電圧充電を行い、完全充電状態とした。引き続き、300mAの定電流で電池電圧が2.75Vに達するまで定電流放電を行い完全放電状態とした。この充放電を繰返し、2サイクル目の放電容量を定格容量とした。また、2サイクル目の充放電を行なったのち、直ちに同様の条件で充電を行い、60℃に調節した恒温槽内に保管して、同様の条件で充放電を繰り返した。サイクル特性は、定格容量(2サイクル目の放電容量)に対する350サイクル目の放電容量維持率(350サイクル目の放電容量/定格容量)×100(%)とした求めた。それらの結果を表1に示す。
Figure 2006318759
実施例1−1〜1−7に対する比較例1−1として、実施例1−1〜1−7と同様にして二次電池を作製し、完全充電時の開回路電圧を4.20Vとなるようにして、実施例1−1〜1−7と同様にして定格容量およびサイクル特性を測定した。また、比較例1−2〜1−4として、炭素繊維を用いなかったことを除き、他は実施例1−1〜1−7と同様にして二次電池を作製し、完全充電時の開回路電圧を4.20V,4.25Vまたは4.40Vとなるようにして、実施例1−1〜1−7と同様にして定格容量およびサイクル特性を測定した。なお、比較例1−1,1−2では、充電は、500mAの定電流で電池電圧が4.20Vに達するまで定電流充電を行ったのち、4.20Vのままの定電圧で5時間定電圧充電を行い、また、比較例1−3,1−4では、500mAの定電流で電池電圧が4.25Vまたは4.40Vに達するまで定電流充電を行ったのち、4.25Vまたは4.40Vのままの定電圧で5時間定電圧充電を行った。
表1から分かるように、負極22に、炭素繊維を含むようにした実施例1−1,1−4によれば、これを含まない比較例1−3,1−4よりも、それぞれ放電容量維持率が向上した。また、負極22に、炭素繊維を含むようにした実施例1−2,1−3,1−5〜1−7についても、実施例1−1,1−4と同様に高い容量維持率が得られた。更に、完全充電時の開回路電圧を4.20Vとした比較例1−1,1−2によれば、炭素繊維を含むことによる放電容量維持率向上の効果はなかった。
すなわち、完全充電時のおける開回路電圧が4.25V以上6.00V以下の範囲内の電池において、負極22に導電性の繊維材料を含むようにすれば、サイクル特性を向上させることができることが分かった。
(実施例2−1〜2−5)
球状黒鉛粉末と、ポリフッ化ビニリデンと、炭素繊維とを、球状黒鉛粉末:ポリフッ化ビニリデン:炭素繊維=91.9:8:0.1,91:8:1,87:8:5,77:8:15または72:8:20の質量比で混合して負極22を作製したことを除き、他は実施例1−1〜1−7と同様にして二次電池を作製した。
得られた実施例2−1〜2−5の二次電池について、実施例1−4と同様にして定格容量およびサイクル特性を測定した。それらの結果を実施例1−4の結果と共に表2に示す。
Figure 2006318759
表2から分かるように、放電容量維持率は、炭素繊維の混合量が増大するに伴い上昇し、定格容量は炭素繊維の混合量が増大するに伴い低下した。
すなわち、負極活物質層22Bにおける導電性の繊維材料の含有量は、0.1質量%以上15質量%以下の範囲内であることが好ましいことが分かった。
(実施例3−1〜3−6)
導電性の繊維材料である炭素繊維の平均直径を表3に示したように0.01μm〜10μmの範囲内で変化させたことを除き、他は実施例1−1〜1−7と同様にして二次電池を作製した。
得られた実施例3−1〜3−6の二次電池について、実施例1−4と同様にして定格容量およびサイクル特性を測定した。それらの結果を実施例1−4の結果と共に表3に示す。
Figure 2006318759
表3から分かるように、放電容量維持率は、炭素繊維の平均直径が大きくなるに伴い低下した。
すなわち、導電性の繊維材料は0.01μm以上10μm未満の範囲内が好ましく、1μm以下であれば、より好ましいことが分かった。
(実施例4−1〜4−4)
導電性の繊維材料である炭素繊維のアスペクト比を1〜21の範囲内で変化させたことを除き、他は実施例1−1〜1−7と同様にして二次電池を作製した。
得られた実施例4−1〜4−4の二次電池について、実施例1−4と同様にして定格容量およびサイクル特性を測定した。それらの結果を実施例1−4の結果と共に表4に示す。
Figure 2006318759
表4から分かるように、定格容量および放電容量維持率は、炭素繊維のアスペクト比が大きくなるに伴い増大した。
すなわち、導電性の繊維材料のアスペクト比は、5よりも大きい方が好ましいことが分かった。
(実施例5−1)
導電性の繊維材料である炭素繊維の電気化学当量を100mAh/gとしたことを除き、他は実施例1−1〜1−7と同様にして二次電池を作製した。
得られた実施例5−1の二次電池について、実施例1−4と同様にして定格容量およびサイクル特性を測定した。それらの結果を実施例1−4の結果と共に表5に示す。
Figure 2006318759
表5から分かるように、炭素繊維の電気化学当量が大きな実施例1−4の方が炭素繊維の電気化学当量が小さな実施例5−1よりも定格容量が向上した。
すなわち、導電性の繊維材料の電気化学当量は大きいことが好ましく、特に250Ah/g以上が好ましいことが分かった。
(実施例6−1,6−2)
負極活物質として、平均粒子径が3μmのケイ素粉末を用いて負極22を作製したことを除き、他は実施例1−1〜1−7と同様にして実施例6−1の二次電池を作製した。また、負極活物質にスズを用いて負極22を作製したことを除き、他は実施例1−1〜1−7と同様にして実施例6−2の二次電池を作製した。
実施例6−1,6−2に対する比較例6−1,6−2として、炭素繊維を用いなかったことを除き、他は実施例6−1,6−2と同様にして二次電池を作製した。
得られた実施例6−1,6−2および比較例6−1,6−2の二次電池について、実施例1−4と同様にして定格容量およびサイクル特性を測定した。それらの結果を実施例1−4および比較例1−4の結果と共に表6に示す。
Figure 2006318759
表6から分かるように、実施例1−4と同様の結果が得られた。すなわち、負極22に炭素繊維を含むようにすれば、負極22に、リチウムを吸蔵および放出することが可能であり、構成元素として金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含む負極材料を含有し、更に、完全充電時の開回路電圧が4.25V以上6.00V以下の範囲内である二次電池に用いた場合にも、サイクル特性を向上させることができることが分かった。
(実施例7−1)
正極活物質として、コバルト酸リチウム(LiCoO2 )を用いたことを除き、他は実施例1−4と同様にして二次電池を作製した。
実施例7−1に対する比較例7−1として、炭素繊維を用いなかったことを除き、他は実施例7−1と同様にして二次電池を作製した。
得られた実施例7−1および比較例7−1の二次電池について、実施例1−4と同様にして定格容量およびサイクル特性を測定した。それらの結果を実施例1−4および比較例1−4の結果と共に表7に示す。
Figure 2006318759
表7から分かるように、実施例1−4と同様の結果が得られた。すなわち、負極22に炭素繊維を含むようにすれば、他の正極活物質を用い、完全充電時の開回路電圧が4.25V以上6.00V以下の範囲内である二次電池に用いた場合にも、サイクル特性を向上させることができることが分かった。
(実施例8−1)
図3および図4に示した二次電池を作製した。まず、実施例1−4と同様にして正極33および負極34を作製した。そののち、正極33および負極34の一端に正極リード31および負極リード32を取り付けた。
次いで、電解液と、高分子化合物であるポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体とを、混合溶剤に溶解し、前駆溶液を作製した。その際、電解液と高分子化合物との質量比は、電解液:高分子化合物=92:8とし、電解液には、溶媒として炭酸エチレンと炭酸プロピレンと炭酸ビニレンとを、炭酸エチレン:炭酸プロピレン:炭酸ビニレン=49:49:2の質量比で混合した溶媒に、電解質塩としてLiPF6 を1.0mol/kgとなるように溶解させたものを用いた。また、高分子化合物におけるヘキサフルオロプロピレンの共重合量は、5質量%とした。
続いて、得られた前駆溶液を正極33および負極34にコーティング装置を用いて塗布し、混合溶剤を揮発させて厚み5μmの電解質層36を形成した。
そののち、正極33と負極34とを、電解質層36が形成された面が対向するように、厚み9μmのポリエチレンからなるセパレータ35を介して積層し、巻回して巻回電極体30を形成した。
得られた巻回電極体30を防湿性アルミラミネートフィルムよりなる外装部材40に真空封入することにより厚み3.8mm、幅3.4cm、高さ5cmの二次電池を作製した。
実施例8−1に対する比較例8−1として、炭素繊維を用いなかったことを除き、他は実施例8−1と同様にして二次電池を作製した。
得られた実施例8−1および比較例8−1の二次電池について、実施例1−4と同様にして定格容量およびサイクル特性を測定した。それらの結果を実施例1−4および比較例1−4の結果と共に表8に示す。
Figure 2006318759
表8から分かるように、実施例1−4と同様の結果が得られた。すなわち、負極22に炭素繊維を含むようにすれば、ゲル状の電解質を用い、更に、完全充電時の開回路電圧が4.25V以上6.00V以下の範囲内の二次電池に用いた場合にも、サイクル特性を向上させることができることが分かった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例においては、電極反応物質としてリチウムを用いる場合について説明したが、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの他の1A族元素、またはマグネシウムあるいはカルシウム(Ca)などの2A族元素、またはアルミニウムなどの他の軽金属、またはリチウムあるいはこれらの合金を用いる場合についても、本発明を適用することができ、同様の効果を得ることができる。その際、負極活物質には、上記実施の形態で説明したような負極材料を同様にして用いることができる。
また、上記実施の形態および実施例では、液状の電解質である電解液あるいはゲル状の電解質を用いる場合について説明したが、他の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、イオン伝導性を有する固体電解質、固体電解質と電解液とを混合したもの、あるいは固体電解質とゲル状の電解質とを混合したものが挙げられる。
なお、固体電解質には、例えば、イオン伝導性を有する高分子化合物に電解質塩を分散させた高分子固体電解質、またはイオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などよりなる無機固体電解質を用いることができる。高分子固体電解質の高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレートなどのエステル系高分子化合物、アクリレート系高分子化合物を単独あるいは混合して、または共重合させて用いることができる。また、無機固体電解質としては、窒化リチウムあるいはリン酸リチウムなどを含むもの用いることができる。
更に、上記実施の形態および実施例においては、巻回構造を有する二次電池について説明したが、本発明は、正極および負極を折り畳んだりあるいは積み重ねた構造を有する二次電池についても同様に適用することができる。加えて、いわゆるコイン型,ボタン型あるいは角型などの二次電池についても適用することができる。
本発明の一実施の形態に係る二次電池の構成を表す断面図である。 図1に示した二次電池における巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。 本発明の他の実施の形態に係る二次電池の構成を表す分解斜視図である。 図3で示した巻回電極体のI−I線に沿った断面図である。
符号の説明
11…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、15…安全弁機構,15A…ディスク板、16…熱感抵抗素子、17…ガスケット、20,30…巻回電極体、21,33…正極、21A,33A…正極集電体、21B,33B…正極活物質層、22,34…負極、22A,34A…負極集電体、22B,34B…負極活物質層、23,35…セパレータ、24…センターピン、25,31…正極リード、26,32…負極リード、36…電解質層、37…保護テープ、40…外装部材、41…密着フィルム。

Claims (6)

  1. 正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
    一対の正極および負極当たりの完全充電状態における開回路電圧が4.25V以上6.00V以下の範囲内であり、
    前記負極は、負極活物質と、導電性の繊維材料とを含む
    ことを特徴とする電池。
  2. 前記繊維材料は、炭素繊維を含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
  3. 前記繊維材料の平均直径は、0.01μm以上10μm未満であることを特徴とする請求項1記載の電池。
  4. 前記負極は、負極集電体と、この負極集電体に設けられた負極活物質層とを有し、
    前記負極活物質層は、前記繊維材料を0.1質量%以上15質量%以下の範囲内で含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
  5. 前記繊維材料のアスペクト比(平均の長さ/平均の直径)は、5よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の電池。
  6. 前記繊維材料の電気化学当量は、250mAh/g以上であることを特徴とする請求項1記載の電池。
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