JP2006317597A - ベルト機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】べルト10の蛇行を防止しかつ、べルト10の交換を円滑にかつ容易に行うことを可能にすること。
【解決手段】ベルト機構2は、テンションローラ4と、駆動ローラ6と従動ローラ8と、各ローラ4、6及び8間に巻き掛けられて回転移動させられる無端状のべルト10とを備えている。従動ローラ8の軸20の両端部には、それぞれ環状の溝22が形成されている。溝22の各々には、ベルト10の蛇行を防止するためのワッシャ部材24であって、外周面26における一部領域から中心領域にわたって半径方向に延在する切欠き28を有するワッシャ部材24が、切欠き28を介してそれぞれ半径方向外方から分離自在に嵌合されて装着される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、少なくとも1本のテンションローラを含む複数のローラと、ローラ間に巻き掛けられて回転移動させられる無端状のべルトとを備えたベルト機構であって、ベルトの蛇行を防止するためのワッシャ部材又は複合ワッシャ部材を備えたベルト機構に関する。
少なくとも1本のテンションローラを含む複数のローラと、ローラ間に巻き掛けられて回転移動させられる無端状のべルトとを備えたベルト機構は、例えば、画像形成装置にも使用されている。このような形態を有するベルト機構の一つの典型例は、駆動ローラと、従動ローラと、テンションローラと、これらのローラ間に巻き掛けられて回転移動させられる無端状のべルトとを備えている。べルトには、テンションローラに作用するばね手段のばね力によって、所定の張力が付与されている。このべルトは、駆動ローラにより回転移動させられているうちに、幅方向のいずれかに片寄って蛇行することがある。
このようなべルトの蛇行を防止するため、べルトの幅方向両側における内周面の全周にリブを配設することは、すでに提案されている(例えば、特許文献1参照)。この手段は、蛇行防止には効果的である。しかしながら、べルトを交換するとき、べルトの張力を緩め又は解除してから、べルトをローラの軸方向に移動させると、べルトの内周面に配設されたリブがベルト機構の構成部材の角に引っ掛かり、交換作業を円滑にかつ容易に行うことができない。
他方、べルトの蛇行を防止するため、べルトの内側にリブを配設することなく、少なくとも1本のローラの軸の両端部であって、ベルトの両側の直外方位置における両端部にリング形状を有するワッシャ部材(プーリ)を配設する技術も知られている。この構成においては、べルトを交換するとき、べルトの張力を緩め又は解除しかつ、ベルト機構からローラの軸を外すなどの複雑な操作を行った後にワッシャ部材を外し、はじめてベルトを外すことが可能になる。したがって、べルトの内側にリブを配設することなく、べルトの蛇行を防止しかつ、べルトの交換を円滑にかつ容易に行うことを可能にする技術の開発が要望されているところであった。
特開平03−211138
本発明の目的は、べルトの内側にリブを配設することなく、べルトの蛇行を防止しかつ、べルトの交換を円滑にかつ容易に行うことを可能にする、新規なベルト機構を提供することである。
本発明の一局面によれば、
少なくとも1本のテンションローラを含む複数のローラと、ローラ間に巻き掛けられて回転移動させられる無端状のべルトとを備えたベルト機構において、
少なくとも1本のローラの軸の両端部であって、ベルトの両側の直外方位置における両端部には、それぞれ環状の溝が形成され、溝の各々には、ベルトの蛇行を防止するためのワッシャ部材であって、外周面における一部領域から中心領域にわたって半径方向に延在する切欠きを有するワッシャ部材が、切欠きを介してそれぞれ半径方向外方から分離自在に嵌合されて装着される、
ことを特徴とするベルト機構、が提供される。
ワッシャ部材の各々において、中心領域は、外周面と同心の、半円より大きな円弧状の内周面からなり、外周面は、半円より大きな円弧形状をなし、切欠きは、相互に周方向に間隔をおいて対向する一端面と他端面であって、内周面の一端と外周面の一端との間を延在する一端面と、内周面の他端と外周面の他端との間を延在する他端面とを備え、厚さは、対応する溝の幅と実質的に同じであり、内周面は、対応する溝の底部の外周面の半径と実質的に同じ半径を有し、内周面の一端と他端との間隔は、対応する溝の底部の外周面の直径よりも小さく形成され、外周面の一端と他端との間隔は、内周面の一端と他端との間隔よりも大きく形成され、ワッシャ部材の各々は、内周面に沿った内周縁部が、対応する溝内に嵌合させられる、ことが好ましい。
本発明の他の局面によれば、
少なくとも1本のテンションローラを含む複数のローラと、ローラ間に巻き掛けられて回転移動させられる無端状のべルトとを備えたベルト機構において、
少なくとも1本のローラの軸の両端部であって、ベルトの両側の直外方位置における両端部には、それぞれ環状の溝が形成され、溝を含む軸の両端部には、ベルトの蛇行を防止するための複合ワッシャ部材であって、外周面における一部領域から中心領域にわたって半径方向に直線状に延在する切欠きを有するワッシャ本体と、ワッシャ本体の切欠きに半径方向外方から分離自在に挿入されてワッシャ本体に分離自在に連結される押え部材とからなる複合ワッシャ部材が、半径方向両側から分離自在に挟持するよう装着される、
ことを特徴とするベルト機構、が提供される。
複合ワッシャ部材の各々におけるワッシャ本体は、軸の両端部の外周面の半径と実質的に同じ半径を有する半円形内周面と、半円形内周面と同心の、半円より大きな円弧形状を有しかつ溝の底部の外周面における半径と実質的に同じ半径を有する内周面を備えた係止突条部と、半径方向に延在する一対の係止溝と、半径方向外方に延び出す一対の係止段部とを備え、複合ワッシャ部材の各々における押え部材は、軸の両端部の外周面の半径と実質的に同じ半径を有する半円形内周面と、半円形内周面と同心の、半円より小さな円弧形状を有しかつ溝の底部の外周面における半径と実質的に同じ半径を有する内周面を備えた係止突条部と、先端内側に被係止フックが形成された一対の被係止アームと、半径方向に延在する一対の被係止突部とを備え、軸の両端部において、複合ワッシャ部材の各々におけるワッシャ本体は、係止突条部が、対応する溝に嵌合され、半円形内周面が軸の外周面の半円部を覆い、押え部材は、係止突条部が対応する溝に嵌合され、半円形内周面が軸の外周面の、他の半円部を覆い、被係止突部の各々が、ワッシャ本体の、対応する係止溝に嵌合され、一対の被係止アームの被係止フックが、ワッシャ本体の、対応する係止段部に係止される、ことが好ましい。
複合ワッシャ部材の各々におけるワッシャ本体は、一定の軸方向厚さと円弧状外周面とを有する本体部と、本体部の軸方向の片面から一定の軸方向厚さをもって軸方向に突出しかつ、本体部の円弧状外周面と同心で円弧状外周面よりも小さな半径の円弧状外周面を含む外周面を有する、実質的に円弧状の突出部とを備え、該中心領域は、該半円形内周面と該係止突条部とを備え、該係止突条部は、本体部の軸方向の他面と半円形内周面との間に形成され、該半円形内周面は、該係止突条部から突出部の先端面まで軸方向に延在するよう形成され、切欠きは、該係止突条部の内周面の両端近傍位置から、相互に周方向に一定の間隔をおいて平行に本体部の円弧状外周面まで延在する両端面と、該半円形内周面の両端から、相互に周方向に一定の間隔をおいて平行に本体部の円弧状外周面及び突出部の外周面まで延在する両端面とを備え、該係止突条部の内周面の両端間の間隔は、溝の底部の外周面の直径及び切欠きの、該係止突条部の内周面の両端から本体部の円弧状外周面までそれぞれ半径方向外方に延在する両端面間の間隔よりも小さく形成され、半円形内周面の両端から本体部の円弧状外周面まで延在する、本体部に形成された切欠きの両端面には、それぞれ該係止溝が形成され、突出部の外周面における周方向両端部近傍位置には、それぞれ該係止段部が形成され、複合ワッシャ部材の各々における押え部材は、ブロック体と、該一対の被係止アームとを備え、ブロック体は、ワッシャ本体の軸方向の全幅と実質的に同じ間隔を有する両端面と、両端面のうちの一端面側に配置されかつ、ワッシャ本体の本体部の切欠きに分離自在に嵌合しうる第1の両側面と、両端面のうちの他端面側に配置されかつ、ワッシャ本体の突出部の切欠きに分離自在に嵌合しうる第2の両側面と、ワッシャ本体の本体部の円弧状外周面と実質的に同じ曲率を有する円弧状の外周面と、該半円形内周面と該係止突条部とを備え、該一対の被係止アームは、ブロック体の第2の両側面の、外周面の近傍位置からそれぞれ側外方に延び出してから、第2の両側面に間隔をおいて、それぞれ第2の両側面に沿って半円形内周面の方向に延びるよう形成され、該係止突条部は、ブロック体の一端面と該半円形内周面との間に形成され、該半円形内周面は、該係止突条部からブロック体の他端面まで延在するよう形成され、ブロック体の第1の両側面には、それぞれ該被係止突部が、外周面から該半円形内周面の両端部外側位置まで直線状に延在するよう形成されている、ことが好ましい。
ちなみに、本明細書において、複合ワッシャ部材とは、二つの部材を分離自在に連結することにより構成されるワッシャ部材を意味するものであって、更に具体的には、ワッシャ本体と、ワッシャ本体に分離自在に連結される押え部材とから構成されるワッシャ部材を意味するものである。
以下、本発明に従って構成されたベルト機構の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1を参照して、ベルト機構2は、少なくとも1本のテンションローラを含む複数のローラ、実施形態においては、1本のテンションローラ4と、駆動ローラ6と、従動ローラ8と、テンションローラ4、駆動ローラ6及び従動ローラ8間に所定の張力をもって巻き掛けられて回転移動させられる無端状のべルト10とを備えている。テンションローラ4は、駆動ローラ6と従動ローラ8との間に配置されている。駆動ローラ6及び従動ローラ8は、ベルト機構2に備えられた一対の側枠12及び14間に回動自在に支持されている。テンションローラ4は、側枠12及び14の各々に配設された軸12a及び14aに、それぞれ一端部が回動自在に支持されたアーム16及び18の先端部間に回転自在に支持されている。アーム16と側枠12との間及びアーム18と側枠14との間には、それぞれ、図示しないねじりコイルばねが配設されている。アーム16及び18は、それぞれ軸12a及び14aまわりに、図1において反時計方向に回動するよう付勢され、この構成により、べルト10にはテンションローラ4を介して所定の張力が付与される。
駆動ローラ6は、図示しない駆動源である電動モータにより回転駆動されるよう、該電動モータに駆動連結されている。電動モータにより駆動ローラ6が回駆動されると、テンションローラ4及び従動ローラ8は、回転移動させられるべルト10を介して従動回転させられる。ベルト機構2の上記構成は、本発明の特徴をなすものではないので、更なる説明は省略する。なお、ベルト機構2は、例えば、カラー画像形成装置の中間転写べルト機構あるいは用紙搬送ベルト機構として使用される。
図1〜図4を参照して、ベルト機構2における少なくとも1本のローラ、実施形態においては従動ローラ8の軸20の両端部であって、ベルト10の両側の直外方位置における両端部には、それぞれ実質的に同じ形状及び大きさを有する環状の溝22が形成されている(図3には、軸20の一端部に形成された溝22のみが示されている)。円形横断面を有する軸20は、中心領域に円筒部を有する従動ローラ8の該円筒部の両端に圧入・固定されている。軸20の各々は、一定の幅及び外周面から一定の深さを有し、横断面がチャンネル形状をなしている。従動ローラ8の溝22の各々には、ベルト10の蛇行を防止するためのワッシャ部材24が分離自在に装着されている(図3には、軸20の一端部に形成されたワッシャ部材24のみが示されている)。ワッシャ部材24の各々は共通部品からなる。
図4に示されているように、適宜の弾性を有する金属又は合成樹脂から形成されるワッシャ部材24は、外周面26における一部領域から中心領域にわたって半径方向に延在する切欠き28を有している。ワッシャ部材24の中心領域は、外周面26と同心の、半円より大きな円弧状の内周面30からなる。外周面26は半円より大きな円弧形状をなしている。切欠き28は、相互に周方向に間隔をおいて対向する一端面32と他端面34とを備えている。切欠き28の一端面32は、内周面30の一端30aと外周面26の一端29aとの間を延在し、切欠き28の他端面34は、内周面30の他端30bと外周面26の他端26bとの間を延在する。ワッシャ部材24の厚さは、対応する溝22の幅と実質的に同じであり、また内周面30は、対応する溝22の底部の外周面の半径と実質的に同じ半径を有している。ワッシャ部材24の内周面30の一端30aと他端30bとの間隔は、対応する溝22の底部の外周面の直径よりも小さく形成されている。また外周面26の一端26aと他端26bとの間隔は、内周面30の一端30aと他端30bとの間隔よりも大きく形成されている。
以上のように構成されたワッシャ部材24の各々は、従動ローラ8の軸20の両端部であって、ベルト10の両側の直外方位置における両端部に形成された溝22内に、切欠き28を介してそれぞれ半径方向外方から分離自在に嵌合されて装着される。ワッシャ部材24の各々の内周面30の一端30aと他端30bとの間隔は、対応する溝22の底部の外周面の直径よりも小さく形成されているので、該嵌合に際しては、若干の弾性変形及び復帰作用を伴う。ワッシャ部材24の各々は、内周面30に沿った内周縁部が、対応する溝22内に嵌合させられ、従動ローラ8の軸20の両端部であって、ベルト10の両側の直外方位置における両端部に、軸20に直交するよう装着される。
ワッシャ部材24の各々の外周面の半径は、従動ローラ8に巻き掛けられたべルト10の外周面における半径よりも大きく形成されている。このため、べルト10に、従動ローラ8の軸方向への片寄りが生じても、対応するワッシャ部材24がそれ以上の移動を阻止するので、べルト10の蛇行は防止される。
べルト10の交換に際しては、アーム16及び18を、図示しないねじりコイルばねのばね力に抗して、それぞれ軸12a及び14aまわりに、図1において時計方向に回動させ、図示しないロック手段により解除自在にロックする。テンションローラ4は、べルト10の内側に後退(下降)させられるので、べルト10に付与されていた張力が解除される。続いて片方のワッシャ部材24を、軸20に対し、切欠き28と反対の半径方向外方に引っ張って、対応する溝22から抜き出す。片方のワッシャ部材24を、軸20の一端部から取り外した後、べルト10を、テンションローラ4、駆動ローラ6及び従動ローラ8の軸方向の一方(片方のワッシャ部材24が取り外された側における軸方向の一方)に移動させて、ベルト機構2から取り外すことができる。
上記した本発明の実施形態によれば、べルト10の内側にリブを配設することなく、べルト10の蛇行を防止しかつ、べルト10の交換を円滑にかつ容易に行うことが可能になる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、本発明の他の実施形態が、図1〜図4を参照して説明した先の実施形態と相違するところは、従動ローラ8の軸の両端部に、それぞれ分離自在に装着される複合ワッシャ部材40の構成のみであるので、先の実施形態と共通する構成については同一符号で示し、説明は省略する。図5〜図8に示されているように、複合ワッシャ部材40の各々は、ワッシャ本体42と、ワッシャ本体42に分離自在に連結される押え部材44とから構成され、溝22を含む軸20の両端部を、半径方向両側から分離自在に挟持するよう、それぞれ装着される。複合ワッシャ部材40の各々は、共通部品から構成されるので、以下、片方の複合ワッシャ部材40の構成及び装着について説明する。
図7〜図11を参照して、先ず、ワッシャ本体42について説明する。適宜の合成樹脂、例えばPOMから形成されるワッシャ本体42は、一定の軸方向厚さと円弧状外周面46を有する本体部48と、本体部48の軸方向の片面50から一定の軸方向厚さをもって軸方向に突出しかつ、本体部48の円弧状外周面46と同心で円弧状外周面46よりも小さな半径の円弧状外周面52を含む外周面54を有する、実質的に円弧状の突出部56とを備えている。本体部48には、外周面46における一部領域から中心領域にわたって半径方向に直線状に延在する切欠き58が形成されている。本体部48の中心領域は、軸20の両端部における外周面の半径と実質的に同じ半径を有する半円形内周面60と、半円形内周面60と同心の、半円より大きな円弧形状を有しかつ溝22の底部の外周面における半径と実質的に同じ半径を有する内周面62を備えた係止突条部64とを備えている。
係止突条部64は、本体部48の軸方向の他面66と半円形内周面60との間に形成されている。半円形内周面60は、係止突条部64の軸方向内側から突出部56の先端面68まで軸方向に延在するよう形成されている。本体部48の片面50及び他面66と、突出部56の先端面68とは、ワッシャ本体42の軸線に直交しかつ相互に平行である。
切欠き58は、係止突条部64の内周面62の両端近傍位置から、相互に周方向に一定の間隔をおいて平行に本体部48の円弧状外周面46まで延在する両端面70及び70と、半円形内周面60の両端から、相互に周方向に一定の間隔をおいて平行に本体部48の円弧状外周面46及び突出部56の外周面54まで延在する両端面72及び72とを備えている。係止突条部64の内周面62の両端間の間隔は、溝22の底部の外周面の直径及び切欠き58の、係止突条部64の内周面62の両端から本体部48の円弧状外周面46までそれぞれ半径方向外方に延在する両端面70及び70間の間隔よりも小さく形成されている。係止突条部64の内周面62の両端と、切欠き58の両端面70及び70との接続部は、緩やかな曲面をなしている。
半円形内周面60の両端から本体部48の円弧状外周面46まで延在する、本体部48に形成された切欠き58の両端面72及び72には、それぞれ係止溝74が、半径方向に延在するよう形成されている。係止溝74の各々は、チャンネル形の横断面を有しており、各々の開放端は、相互に対向するよう配置されている。突出部56の外周面54における周方向両端部近傍位置には、それぞれ半径方向外方に延び出す係止段部76が形成されている。係止段部76の各々は、ワッシャ本体42の軸心O1を通りかつ切欠き58が延在する半径方向に直交する仮想平面P1(図10参照)上に位置付けられる。係止段部76の各々は、切欠き58の半径方向における開放端(外周面46における開放端)に対し、半径方向の反対側に向けられている。突出部56の外周面54には、係止段部76の各々の先端から突出部56の先端まで、切欠き58の両端面72及び72に向かって傾斜する傾斜面53が形成されている。
次に、図7、図8及び図12〜図15を参照して、押え部材44について説明する。適宜の合成樹脂、例えばPOMから形成される押え部材44は、ブロック体80と、ブロック体80に一体に形成された一対の被係止アーム82及び82とを備えている。
ブロック体80は、ワッシャ本体42の軸方向の全幅と実質的に同じ間隔を有する両端面、すなわち一端面84及び他端面86と、一端面84側に配置されかつ、ワッシャ本体42の本体部48の切欠き58に分離自在に嵌合しうる第1の両側面88及び88と、他端面86側に配置されかつ、ワッシャ本体42の突出部56の切欠き58に分離自在に嵌合しうる第2の両側面90及び90とを備えている。一端面84及び他端面86は相互に平行である。第1の両側面88及び88は相互に平行でありかつ、一端面84及び他端面86に直交する方向に延在する。第2の両側面90及び90も相互に平行でありかつ、一端面84及び他端面86に直交する方向に延在する。
ブロック体80は、更に、ワッシャ本体42の本体部48の円弧状外周面46と実質的に同じ曲率を有する円弧状の外周面92と、軸20の両端部の外周面の半径と実質的に同じ半径を有する半円形内周面94と、半円形内周面94と同心の、半円より小さな円弧形状を有しかつ溝22の底部の外周面における半径と実質的に同じ半径を有する内周面96を備えた係止突条部98とを備えている。係止突条部98は、ブロック体80の一端面84と半円形内周面94との間に形成されている。半円形内周面94は、係止突条部98からブロック体80の他端面86まで延在するよう形成されている。ブロック体80の上記第1の両側面88及び88には、それぞれ被係止突部100が、外周面92から半円形内周面94の両端部外側位置まで直線状に延在するよう形成されている。被係止突部100の各々は、ほぼ矩形状の横断面を有している。外周面92は、半円形内周面94及び内周面96と同心である。他端面86における、外周面92の延長上には、他端面86から突出する突出部99が形成されている。
一対の被係止アーム82は、それぞれ、ブロック体80の第2の両側面90の、外周面92の近傍位置からそれぞれ側外方に、図7、図13及び図15において斜め下方に延び出してから、第2の両側面90に対し間隔をおいて、それぞれ第2の両側面90に沿って半円形内周面94の方向に延びるよう形成されている。被係止アーム82の各々の先端内側には、被係止フック102が形成されている。図13及び図15に示されているように、被係止フック102の各々の被係止面は、ブロック体80における外周面92、半円形内周面94及び内周面96の軸心O2を通りかつ被係止突部100が延在する半径方向に直交する仮想平面P2上に上に位置付けられる。被係止フック102の各々の先端には、被係止面の内側先端から被係止フック102の延在方向に向かって外側に傾斜する傾斜面83がそれぞれ形成されている。
以上のように構成された複合ワッシャ部材40の各々は、従動ローラ8の軸20の両端部であって、ベルト10の両側の直外方位置における両端部に形成された溝22を含む両端部に、半径方向両側から分離自在に挟持するよう装着される。図5〜図7を参照して更に具体的に説明すると、複合ワッシャ部材40の各々におけるワッシャ本体42は、係止突条部64が、対応する溝22に嵌合され、半円形内周面60が軸20の外周面の半円部を覆うよう装着される。そして、押え部材44の各々は、各々の係止突条部98(図13及び図15参照)が、対応する溝22に嵌合され、半円形内周面94が軸20の外周面の、他の半円部を覆い、被係止突部100の各々が、ワッシャ本体42の、対応する係止溝74に嵌合され、一対の被係止アーム82の被係止フック102が、ワッシャ本体42の、対応する係止段部76に係止されて、ワッシャ本体42に対し、半径方向に分離自在にかつ軸方向の相対移動ができないように連結される。ワッシャ本体42の各々の外周面46と、対応する押え部材44のブロック体80における外周面92とは、ほぼ共通の円周面上に位置付けられる。複合ワッシャ部材40の各々は、従動ローラ8の軸20の両端部であって、ベルト10の両側の直外方位置における両端部に、軸方向に移動できないようにかつ、軸20に直交するよう装着される。
ワッシャ本体42の各々の内周面62の一端と他端との間隔は、対応する溝22の底部の外周面の直径よりも小さく形成されているので、該嵌合に際しては、若干の弾性変形及び復帰作用を伴う。押え部材44の各々の被係止アーム82の被係止フック102が、ワッシャ本体42の突出部56の、対応する係止段部76に分離自在に係止されるに際しては、被係止アーム82の各々の弾性変形及び復帰作用を伴う。また、被係止アーム82の各々の傾斜面83が、突出部56の外周面54に形成された傾斜面53に接触して拡大されながら上記係止が行われるので、係止操作は円滑かつ容易である。
複合ワッシャ部材40の各々の外周面の半径は、従動ローラ8に巻き掛けられたべルト10の外周面における半径よりも大きく形成されている。このため、べルト10に、従動ローラ8の軸方向への片寄りが生じても、対応する複合ワッシャ部材40がそれ以上の移動を阻止するので、べルト10の蛇行は防止される。
べルト10の交換に際しては、先に述べたとおりにして、べルト10に付与されていた張力を解除する。続いて片方の複合ワッシャ部材40において、押え部材44とワッシャ本体42との連結を解除して相互に分離し、軸20から取り外す。押え部材44とワッシャ本体42との分離は、押え部材44の被係止アーム82の各々を相互に離隔する方向に弾性変形させ、押え部材44の突出部99を利用して、押え部材44をワッシャ本体42に対し半径方向外方に引き出すことにより容易に行うことができる。続いてワッシャ本体42を軸20から取り外すことにより、片方の複合ワッシャ部材40は、軸20から完全に取り外される。片方の複合ワッシャ部材40を、軸20の一端部から取り外した後、べルト10を、テンションローラ4、駆動ローラ6及び従動ローラ8の軸方向の一方(片方の複合ワッシャ部材40が取り外された側における軸方向の一方)に移動させて、ベルト機構2から取り外すことができる。
上記した本発明の他の実施形態によれば、べルト10の内側にリブを配設することなく、べルト10の蛇行を防止しかつ、べルト10の交換を円滑にかつ容易に行うことが可能になる。
本発明に従って構成されたベルト機構の実施形態を示す斜視図であって、ベルトの内側を透視して示す斜視図である。 図1において、本発明の構成部材であるワッシャ部材が装着された従動ローラの一端部における要部を示す斜視図である。 図2のA−A矢視断面図である。 図2に示すワッシャ部材の斜視図である。 本発明に従って構成されたベルト機構の他の実施形態における要部を示す斜視図であって、図2に対応する斜視図である。 図2のB−B矢視断面図である。 図5に示す複合ワッシャ部材を、ワッシャ本体と押え部材とに分解して示す斜視図である。 図7に示すワッシャ本体と押え部材とを、図7において裏側から見た斜視図である。 図7に示すワッシャ本体の平面図である。 図9に示すワッシャ本体を、図9において下方から軸方向に見た正面図である。 図10に示すワッシャ本体を、図10において右方から見た側面図である。 図7に示す押え部材の平面図である。 図12に示す押え部材を、図12において下方から軸方向に見た裏面図である。 図13に示す押え部材を、図13において右方から見た側面図である。 図14に示す押え部材を、図14において右方から軸方向に見た正面図である。
符号の説明
2:ベルト機構
4:テンションローラ
6:駆動ローラ
8:従動ローラ
10:無端状のべルト
20:従動ローラの軸
22:環状の溝
24:ワッシャ部材
26:外周面
26a:外周面の一端
26b:外周面の他端
28:切欠き
30:内周面
30a:内周面の一端
30b:内周面の他端
32:ワッシャ部材の一端面
34:ワッシャ部材の他端面
40:複合ワッシャ部材
42:ワッシャ本体
44:押え部材
46:外周面
48:本体部
56:突出部
58:切欠き
60:半円形内周面
62:内周面
64:係止突条部
70:係止溝
76:係止段部
80:ブロック体
82:被係止アーム
94:半円形内周面
96:内周面
98:係止突条部
100:被係止突部
102:被係止フック

Claims (5)

  1. 少なくとも1本のテンションローラを含む複数のローラと、ローラ間に巻き掛けられて回転移動させられる無端状のべルトとを備えたベルト機構において、
    少なくとも1本のローラの軸の両端部であって、ベルトの両側の直外方位置における両端部には、それぞれ環状の溝が形成され、溝の各々には、ベルトの蛇行を防止するためのワッシャ部材であって、外周面における一部領域から中心領域にわたって半径方向に延在する切欠きを有するワッシャ部材が、切欠きを介してそれぞれ半径方向外方から分離自在に嵌合されて装着される、
    ことを特徴とするベルト機構。
  2. ワッシャ部材の各々において、中心領域は、外周面と同心の、半円より大きな円弧状の内周面からなり、外周面は、半円より大きな円弧形状をなし、切欠きは、相互に周方向に間隔をおいて対向する一端面と他端面であって、内周面の一端と外周面の一端との間を延在する一端面と、内周面の他端と外周面の他端との間を延在する他端面とを備え、厚さは、対応する溝の幅と実質的に同じであり、内周面は、対応する溝の底部の外周面の半径と実質的に同じ半径を有し、内周面の一端と他端との間隔は、対応する溝の底部の外周面の直径よりも小さく形成され、外周面の一端と他端との間隔は、内周面の一端と他端との間隔よりも大きく形成され、
    ワッシャ部材の各々は、内周面に沿った内周縁部が、対応する溝内に嵌合させられる、請求項1記載のベルト機構。
  3. 少なくとも1本のテンションローラを含む複数のローラと、ローラ間に巻き掛けられて回転移動させられる無端状のべルトとを備えたベルト機構において、
    少なくとも1本のローラの軸の両端部であって、ベルトの両側の直外方位置における両端部には、それぞれ環状の溝が形成され、溝を含む軸の両端部には、ベルトの蛇行を防止するための複合ワッシャ部材であって、外周面における一部領域から中心領域にわたって半径方向に直線状に延在する切欠きを有するワッシャ本体と、ワッシャ本体の切欠きに半径方向外方から分離自在に挿入されてワッシャ本体に分離自在に連結される押え部材とからなる複合ワッシャ部材が、半径方向両側から分離自在に挟持するよう装着される、
    ことを特徴とするベルト機構。
  4. 複合ワッシャ部材の各々におけるワッシャ本体は、軸の両端部の外周面の半径と実質的に同じ半径を有する半円形内周面と、半円形内周面と同心の、半円より大きな円弧形状を有しかつ溝の底部の外周面における半径と実質的に同じ半径を有する内周面を備えた係止突条部と、切欠きに形成された、半径方向に延在する一対の係止溝と、半径方向外方に延び出す一対の係止段部とを備え、
    複合ワッシャ部材の各々における押え部材は、軸の両端部の外周面の半径と実質的に同じ半径を有する半円形内周面と、半円形内周面と同心の、半円より小さな円弧形状を有しかつ溝の底部の外周面における半径と実質的に同じ半径を有する内周面を備えた係止突条部と、先端内側に被係止フックが形成された一対の被係止アームと、半径方向に延在する一対の被係止突部とを備え、
    軸の両端部において、複合ワッシャ部材の各々におけるワッシャ本体は、係止突条部が、対応する溝に嵌合され、半円形内周面が軸の外周面の半円部を覆い、押え部材は、係止突条部が対応する溝に嵌合され、半円形内周面が軸の外周面の、他の半円部を覆い、被係止突部の各々が、ワッシャ本体の、対応する係止溝に嵌合され、一対の被係止アームの被係止フックが、ワッシャ本体の、対応する係止段部に係止される、請求項3記載のベルト機構。
  5. 複合ワッシャ部材の各々におけるワッシャ本体は、一定の軸方向厚さと円弧状外周面とを有する本体部と、本体部の軸方向の片面から一定の軸方向厚さをもって軸方向に突出しかつ、本体部の円弧状外周面と同心で円弧状外周面よりも小さな半径の円弧状外周面を含む外周面を有する、実質的に円弧状の突出部とを備え、該中心領域は、該半円形内周面と該係止突条部とを備え、該係止突条部は、本体部の軸方向の他面と半円形内周面との間に形成され、該半円形内周面は、該係止突条部から突出部の先端面まで軸方向に延在するよう形成され、切欠きは、該係止突条部の内周面の両端近傍位置から、相互に周方向に一定の間隔をおいて平行に本体部の円弧状外周面まで延在する両端面と、該半円形内周面の両端から、相互に周方向に一定の間隔をおいて平行に本体部の円弧状外周面及び突出部の外周面まで延在する両端面とを備え、該係止突条部の内周面の両端間の間隔は、溝の底部の外周面の直径及び切欠きの、該係止突条部の内周面の両端から本体部の円弧状外周面までそれぞれ半径方向外方に延在する両端面間の間隔よりも小さく形成され、半円形内周面の両端から本体部の円弧状外周面まで延在する、本体部に形成された切欠きの両端面には、それぞれ該係止溝が形成され、突出部の外周面における周方向両端部近傍位置には、それぞれ該係止段部が形成され、
    複合ワッシャ部材の各々における押え部材は、ブロック体と、該一対の被係止アームとを備え、
    ブロック体は、ワッシャ本体の軸方向の全幅と実質的に同じ間隔を有する両端面と、両端面のうちの一端面側に配置されかつ、ワッシャ本体の本体部の切欠きに分離自在に嵌合しうる第1の両側面と、両端面のうちの他端面側に配置されかつ、ワッシャ本体の突出部の切欠きに分離自在に嵌合しうる第2の両側面と、ワッシャ本体の本体部の円弧状外周面と実質的に同じ曲率を有する円弧状の外周面と、該半円形内周面と該係止突条部とを備え、
    該一対の被係止アームは、ブロック体の第2の両側面の、外周面の近傍位置からそれぞれ側外方に延び出してから、第2の両側面に間隔をおいて、それぞれ第2の両側面に沿って半円形内周面の方向に延びるよう形成され、
    該係止突条部は、ブロック体の一端面と該半円形内周面との間に形成され、該半円形内周面は、該係止突条部からブロック体の他端面まで延在するよう形成され、ブロック体の第1の両側面には、それぞれ該被係止突部が、外周面から該半円形内周面の両端部外側位置まで直線状に延在するよう形成されている、請求項4記載のベルト機構。
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