JP2006317456A - 電波レーダ装置及び車間距離制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】2周波CW方式を用いた電波レーダにおいて、相対速度0状態においても、前方車の距離検知を可能とし、安定したACC追従走行を実現する。
【解決手段】2周波CW方式と他の変調方式(周波数パルスCW方式、もしくはFM−CW方式)を組み合わせることで、相対速度がある時は、2周波CW方式、相対速度0付近の状態では周波数パルス方式を混在させて、相対速度0でも前方車の反射波から得られるIF信号を発生させて、ACC対象車両の存在を検知し、安定したACC追従走行を可能とする。
【選択図】図1
【解決手段】2周波CW方式と他の変調方式(周波数パルスCW方式、もしくはFM−CW方式)を組み合わせることで、相対速度がある時は、2周波CW方式、相対速度0付近の状態では周波数パルス方式を混在させて、相対速度0でも前方車の反射波から得られるIF信号を発生させて、ACC対象車両の存在を検知し、安定したACC追従走行を可能とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、自車と前方車もしくは障害物などの物標との間の距離又は相対速度を検出する電波レーダ装置とその応用技術に関する。
電波レーダは、雨や霧などが存在する悪天候の場合においても、電波ビームの減衰量が小さく遠距離まで電波が到達するため、航空管制や気象観測等の分野で広く用いられてきた。最近では、自動車の予防安全の分野において、前方車との車間距離、相対速度を計測するミリ波帯周波数を用いた電波レーダ(以下「ミリ波レーダ」と称する)が研究・開発され、一部で商品化されている。
ミリ波レーダの変調方式にはいくつかの方式があるが、代表的なものとしては、特許文献1に記載されている2周波CW方式のレーダ技術がある。当該特許公報に記載されている技術(検知原理)を、図14から図17までを参照して説明する。図14は、2周波CW方式のミリ波レーダの構成例を示すブロック図である。図14に示すように、ミリ波発振器601は、2周波CW変調信号602を発生する変調回路603により変調され、時分割でf1とf2(ここでΔf=f2−f1)の2つの周波数を切り替えるように変調された送信信号618を送信アンテナ604から放射する。
2つの周波数を有する送信信号は前方車605に反射し、この反射信号が受信信号619となり、受信アンテナ606に入力される。この際、前方車605とミリ波レーダ装置600の間に相対速度Vがある場合、f1、f2に対しそれぞれドップラ周波数fd1とfd2が発生し、受信信号619の周波数は、それぞれf1+fd1、f2+fd2となる。受信信号619がミキサ608を通過すると、fd1とfd2とのそれぞれの情報を含む時分割した信号(中間周波数信号(以下「IF信号」と称する)となる。IF信号614は、アンプ609により増幅された後、2周波変調信号602と同期して切り替えられるスイッチ610により、2つのローパスフィルタLPFa611とLPFb612に分配される。2周波CW変調信号602とスイッチ610は、制御装置618により制御される。
図15に、図14に示される2周波CW変調信号602と、ローパスフィルタ611及び612を通過した後のIF信号615の関係を示す。ローパスフィルタ611及び612を通過したIF信号615は、スイッチ610を通過する前の時分割したIF信号614の包絡線からなる2種類のIF信号となる。この信号が、変調周波数f1、f2に対するドップラ信号である。このドップラ信号を、ADC(ADコンバータ)616により離散値化し、信号処理装置617によりFFT解析すると、周波数fd1、fd2と、位相差φ1、φ2とを求めることができる。自車両と前方車605との相対速度Vは式(1)より求めることができる。
V=C×fd1/(2×f1)又はV=C×fd2/(2×f2) (式1)
ここで、Cは電波伝播速度であり、fd1≪f1、fd2≪f2、Δf≪f1の場合には、fd1≒fd2と近似できる。従って、V≒C×fd1/(2×f0)となる。ここで、f0=(f1+f2)/2である。
ここで、Cは電波伝播速度であり、fd1≪f1、fd2≪f2、Δf≪f1の場合には、fd1≒fd2と近似できる。従って、V≒C×fd1/(2×f0)となる。ここで、f0=(f1+f2)/2である。
また、車間距離Rは式(2)により表すことができる。
R=C×(φ1−φ2)/(4πΔf) (式2)
ここで、図16に示すように、自車両801と、その前方に存在する前方車802のそれぞれの走行速度がV1及びV2(V1>V2)であるとすると、相対速度Vは(V1−V2)となる。この相対速度Vに対するそれぞれのドップラ信号周波数をfd1及びfd2とした場合、その信号をFFT解析して得られる電力の周波数スペクトルは図17に示すようになる。図17に示すように、ドップラ周波数fd1、fd2に対応した周波数軸上に鋭い電力スペクトルのピークが観測される。この電力スペクトルのピークにおける周波数情報と位相情報とに基づいて、上記式(1)及び式(2)により、車両同士の相対速度V=(V1−V2)と車間距離Rとを求めることができる。
ここで、図16に示すように、自車両801と、その前方に存在する前方車802のそれぞれの走行速度がV1及びV2(V1>V2)であるとすると、相対速度Vは(V1−V2)となる。この相対速度Vに対するそれぞれのドップラ信号周波数をfd1及びfd2とした場合、その信号をFFT解析して得られる電力の周波数スペクトルは図17に示すようになる。図17に示すように、ドップラ周波数fd1、fd2に対応した周波数軸上に鋭い電力スペクトルのピークが観測される。この電力スペクトルのピークにおける周波数情報と位相情報とに基づいて、上記式(1)及び式(2)により、車両同士の相対速度V=(V1−V2)と車間距離Rとを求めることができる。
以上説明した2周波CW方式における信号処理は、FFT解析の結果からスペクトルを検出し、図17に示すように1つ前方車に対して対応した1つスペクトルが観測され、その周波数情報から相対速度Vを、また位相情報から車間距離Rを、同時に求めることができるため、複雑な信号処理を行わなくても安定した前方車検知が可能である。
特許第3203600号公報
しかしながら、上記2周波CW方式を利用した技術には、以下に示すような問題がある。
ミリ波レーダを距離センサとした車間距離制御装置(以下、「ACC(Adaptive Cruise Control)装置」と称する。)は安全運転や自動走行などに対してきわめて有効である。ACC装置は、前方車と自車両との車間距離を自車の速度に応じて一定にする制御を行う。
ところで、ACC制御装置は車間距離を一定に保つように制御するため、前方車が定速走行している場合には、自車と前方車との相対速度が“0”の状態が発生しやすい。2周波CW方式において、相対速度が“0”の状態は、ドップラ信号の周波数も“0”となるためIF信号の周波数も“0”となり、前方車を検知できない(不検知)状態が発生しやすい。
図18に、ACC制御装置を用いて制御した場合における、自車と前方車との車間距離と両者の相対速度と自車速度との時間変化の例を示す。ACC制御装置は、前方車が存在しない場合には運転者が設定した設定速度になるように自車速度を制御し、ミリ波レーダが前方車を検知すると前方車の設定速度が自車速度よりも小さい場合には自車のACC装置が車間距離を一定にするための減速を開始する(図18のポイントA)。次に自車と前方車との速度が等しくなり、相対速度0の状態が発生すると、上述の原理によりミリ波レーダは前方車を見失ってしまう(図18のポイントB)。
この際、ACC制御装置は前方車を検知できないため、再び元の設定速度になるように加速を開始する。自車が加速されると、前方車と自車との問に相対速度が再び発生するため、ミリ波レーダは前方車を検知(前方車の捕捉)できるようになる(図18のボイントC)。
次に、ACC制御装置により自車が再び減速し、前方車との車間距離を一定に保つ勧御を開始し、相対速度が再び“0”となりミリ波レーダは前方車を見失う(図18のポイントD)。同様に、前方車が車線変更等して検知範囲から消えない場合を除いて、図18のように捕捉と不検知と再捕捉とを繰り返すことになる。
以上のように、2周波CW方式のミリ波レーダとACC制御装置とを組み合わせて速度制御を行うと、ミリ波レーダがターゲットを見失うことにより、自車の加速と減速との繰り返しが頻繁に発生し、前方車に追従する走行において運転者の快適性を損う走行となりかねない。
本発明の目的は、ACC制御装置による制御下において、安定した走行を実現するためのミリ波レーダ及びその応用技術を提供することである。
本発明の一観点によれば、前方物標との距離又は相対速度を計算する電波レーダ装置であって、送信電波周波数を変調する変調手段と、該変調手段に対応した受信反射波の位相情報とを識別する手段と、前記前方物標との相対速度の変化により、前記変調手段における変調方式を切り替える制御手段とを備えることを特徴とした電波レーダ装置が提供される。
本発明の第1の形態として、前記制御手段は、前記前方物標との相対速度があるしきい値よりも大きい場合に用いるのに適した周波数変調方式であって2つの周波数を交互に切り替えながら変調する2周波CW変調方式と、前記前方物標との相対速度があるしきい値よりも小さい場合に用いるのに適した周波数変誠方式であって任意に一定の周波数から短時間の期間だけ少なくとも2種類の別の周波数へ変調する周波数パルスCW変調方式と切り替える制御手段を備えることを特徴とする電波レーダ装置が提供される。ここで、しきい値は、2周波数CW変調方式における測定限界値を基準に求めることができる。
また、本発明の別の形態としては、前記の2周波CW変調方式を用い、前記前方物標との相対速度があるしきい値よりも小さい場合においては、任意の周波数幅にて、線形に周波数を変調するFM−CW変調方式を用い、また、相対速度の大きさにより、上記2つの変調手段を切り替える制御手段を備えることを特徴とする電波レーダ装置が提供される。ここで、しきい値は、2周波数CW変調方式における測定限界値を基準に求めることができる。
すなわち、本発明は、2周波数CW変調方式に加え、周波数パルスCW変調方式もしくはFM−CW変調方式の、いずれかの変調方式を組み合わせることにより、相対速度が0付近でも、前方車との間の車間距離を見失うことなく連続的に検知し、なお、かつ、負荷の軽い信号処理により、その距離を求めることができる。
本発明によれば、2周波CW方式の長所を生かしつつ、その欠点である相対速度があるしきい値以下の場合には他の変調方式(周波数パルスCW方式、もしくはFM−CW方式)により前方車の存在の有無を検知することが可能であり、安定した追従走行が可能になる。
本発明の実施の形態について説明する前に、発明者の行った考察について説明する。2周波CW方式を用いて前方車のモニタリングを行っている場合であって前方車が2周波CW方式では不検知になった場合には、たとえ前方車との距離を精度良く検出できなくても良く、不検如の原因に関して、前方車が実際に存在しなくなったことに起因しているのか、自車と前方車との相対速度が小さくなったことに起因して単に2周波CW方式では検知できなくなったことに起因しているのかを知ることさえできれば良いことに気が付いた。
発明者は、さらに、前者又は後者のいずれに起因しているかは、2周波CW方式とは異なる変調信号を前方に向けて出射し、それを受けることにより知ることができると考えた。すなわち、2周波CW方式の利点を生かしつつ、自車と前方車との相対速度が小さくなった場合に、前方車の有無を検知できる手法を併用することにより、上記の問題を解決できる可能性があることに気が付いた。
以下、上記考察に基づき、本発明の第1の実施の形態による電波レーダ装置、車間距離制御装置及びACC装置について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施の形態によるミリ波レーダ装置の機能ブロック図である。
ミリ波レーダ装置1は、ミリ波送信信号140を発振する発振器11と、ミリ波送信電波150を放射する送信アンテナ12と、その発振周波数を変調する変調回路10と、前方車2から反射したミリ波受信電波151を受ける受信アンテナ13と、送信信号140と受信信号141とを入力してIF信号142を生成するミキサ14と、IF信号を増幅するアンプ25と、任意の帯域周波数信号のみを通過させる共振器15と、交流信号を直流信号に変換するAC/DCコンバータ16と、S/H(サンプルホールド回路)17と、変調信号120と変調信号121との切替を行う変調回路10と、スイッチ回路18と、変調回路10、S/H回路17、スイッチ回路18を制御する制御装置23と、S/H回路17及びLPFa19、LPFb20(ともにローパスフィルタ)から信号を受けるADC回路21(ADコンバータ)と、ADC回路21からIF信号のデジタル信号値を受け、前方車の距離及び相対速度を計算する信号処理装置22と、を含んで構成される。
次に、本実施の形態による前方車検知手段について説明する。本実施の形態においては、一般的な2周波CW方式と、新たに発明した周波数パルスCW方式(詳細仕様は後述する)の信号処理とを併用する。すなわち、自車と前方車との間の相対速度Vの絶対値が一定値以上である場合は、一般的な2周波CW方式により検知を行う。以下、その動作原理について説明する。
図1において、前方車と自車の間の相対速度Vが一定値以上である場合は、ミリ波レーダを2周波CW方式で動作させる。ミリ波発振器11から発生するミリ波送信信号140(周波数f1、f2)は、方向性結合器24を通り送信アンテナ12から放射される。また、方向性結合器24は、送信信号の一部をミキサ14に分配する。ミリ波発生器11は変調回路10の2周波変調信号120に変調される。この変調信号の選択は制御装置23により行なわれる。2周波CW変調信号120により、ミリ波発振器11の発振周波数がf1、f2の2種類の周波数に交互に切り替わるように変調する。
送信アンテナ12から放射された送信信号150のうち前方車2によりドップラシフトを受けた信号は、ミリ波受信信号151(周波数f1+fd、f2+fd)となる。このミリ波受信信号151は受信アンテナ13により受信され、受信信号141となる。この受信信号141は、ミキサ14により方向性結合器24により分配された送信信号140の一部とミキシングされてIF信号142(ドップラ信号(周波数fd)を含む)となり、アンプ25により増幅される。
変調信号として2周波CW信号120が選択される場合、アナログスイッチ18は2周波変調信号120と同期してスイッチングされる。すなわち、ミリ波発振器11の周波数がf1のときにはLPFa19の方向へ、f2のときにはLPFb20の方向へIF信号142が入るように切り替わる。LPFa19は、ミリ波発振器11の周波数がf1の時のドップラ信号(周波数fd1)を、LPFb20はミリ波発振器11の周波数がf2の時のドップラ信号(周波数fd2)を生成する。
ドップラ信号は、ADC21により離散値化され、信号処理装置22によりFFT解析され、ドップラ信号の周波数fd1と位相Φ1及び周波数fd2と位相Φ2を求めることができる。
ここで、前方車2との車間距離R及び相対速度Vは(式3)より計算できる。
V=C・fd1/(2・f1)またはC・fd2/(2・f2) (式3)
ここで、Cは電波伝播速度である。
ここで、Cは電波伝播速度である。
また、車間距離Rは(式4)により計算できる。
R=C×(Φ1−Φ2)/(4πΔf) (式4)
ここで、検知した前方車の車間距離及び相対速度の情報は、シリアル通信手段等により外部のACC装置などに送られ、ACC装置が車両走行制御を行う。
ここで、検知した前方車の車間距離及び相対速度の情報は、シリアル通信手段等により外部のACC装置などに送られ、ACC装置が車両走行制御を行う。
次に、相対速度の絶対値が一定以下もしくは“0”の状態になった場合の検知方法について説明する。上述の通り、2周波CW方式はドップラ信号を利用して前方車を検知するが、相対速度が“0”に近い状態においては、前方車の検知ができなくなる。そこで、相対速度が“0”であっても前方車のIF信号を得ることができる変調方式を導入する。この変調方式が、周波数パルスCW方式であり、周波数をパルス状に変化させる変調方式である。
次に、図2と図3とを参照して、周波数パルスCW方式による物標検知手段の原理について説明する。図2に示すように、周波数パルスCW方式の送信信号は、通常は送信周波数fcの送信信号を放射するが、任意の周期T(図2では0.666μs)であって任意の時間幅(図2では、0.066μs)において、発振周波数fp1(図2では、200MHz)もしくはfp2(図2では140MHz)に切り替える。
図3に示すように、レーダ31を搭載する自車両30の前方に、複数の物標が任意距離の地点(図3では、一例として前方車A32が50m前に、前方車B33が100m前に存在する)に存在した場合、それぞれ、図2に示す受信信号1と受信信号2とが反射される。受信信号1は受信パルスaと受信パルスbとを、受信信号2は受信パルスa’と受信パルスb’とを発生させる。ここで、受信パルスa及び受信パルスa’は、送信パルスaが物標からの反射波から得られた信号であり、また受信パルスb及び受信パルスb’は、送信パルスbが物標から反射して得られた信号である。それぞれのパルスの周波数は以下の通りとなる。
送信パルスaの周波数: fc+fp1 (式5)
送信パルスbの周波数: fc+fp2 (式6)
送信パルスcの周波数: fc+fp1 (式7)
受信パルスa及びa’の周波数: fc+fp1 (式8)
受信パルスb及びb’の周波数: fc+fp2 (式9)
ここで、送信パルスと、前方車A及び前方車Bからの受信パルスの遅延時間は、それぞれ、0.333μsと0.666μsとなる。図2において、送信パルスbの送信タイミングと、前方車B33から反射される受信パルスaの受信タイミング及び送信パルスcの送信タイミングと前方車B33から反射される受信パルスbの発生タイミングが同期するように、送信パルスa、b、cの間隔を0.666μsに設定した場合、送信パルスa、b、cと受信パルスa、a’、b、b’から、それぞれIF信号パルスa、a’、b、b’が生成される、ここで、それぞれのIF信号の周波数は、送信信号と受信信号の差をもち、以下の関係式が成り立つ。
送信パルスbの周波数: fc+fp2 (式6)
送信パルスcの周波数: fc+fp1 (式7)
受信パルスa及びa’の周波数: fc+fp1 (式8)
受信パルスb及びb’の周波数: fc+fp2 (式9)
ここで、送信パルスと、前方車A及び前方車Bからの受信パルスの遅延時間は、それぞれ、0.333μsと0.666μsとなる。図2において、送信パルスbの送信タイミングと、前方車B33から反射される受信パルスaの受信タイミング及び送信パルスcの送信タイミングと前方車B33から反射される受信パルスbの発生タイミングが同期するように、送信パルスa、b、cの間隔を0.666μsに設定した場合、送信パルスa、b、cと受信パルスa、a’、b、b’から、それぞれIF信号パルスa、a’、b、b’が生成される、ここで、それぞれのIF信号の周波数は、送信信号と受信信号の差をもち、以下の関係式が成り立つ。
IF信号aの周波数: fpa=(fp1−fp2) (式10)
IF信号a’の周波数: fp1 (式11)
IF信号bの周波数: fpb=(fp1−fp2) (式12)
IF信号b’の周波数: fp2 (式13)
従って、IF信号パルスa、a’、b、b’の周波数は、それぞれ、fp1、fpa、fp2、fpbとなる。IF信号バルスa’、b’は、前方車A32からの受信信号2から生成されたものであり、IF信号パルスa、bは前方車B33から生成されたものである。ここで、、IF信号パルスの周波数fp1、fpa、fp2、fpbが以下の関係を持つように、送信パルス周波数fp1、fp2を決定する。
IF信号a’の周波数: fp1 (式11)
IF信号bの周波数: fpb=(fp1−fp2) (式12)
IF信号b’の周波数: fp2 (式13)
従って、IF信号パルスa、a’、b、b’の周波数は、それぞれ、fp1、fpa、fp2、fpbとなる。IF信号バルスa’、b’は、前方車A32からの受信信号2から生成されたものであり、IF信号パルスa、bは前方車B33から生成されたものである。ここで、、IF信号パルスの周波数fp1、fpa、fp2、fpbが以下の関係を持つように、送信パルス周波数fp1、fp2を決定する。
fpa=fpb (式14)
fp1=fp2+fpa (式15)
fpa<fp1 (式16)
fpb<fp1 (式17)
ここで、fpa、fpbは、fp1、fp2と比較して低い周波数に設定される。IF信号を処理する過程において、fpa、fpbのみしか通過できない帯域フィルタを設けると、fpa、fpbのみを取出すことが可能である。このfPaとfpbとは、100m地点の物標が存在するために発生するIF信号の周波数である。前方車A32からは、fpa、fpbと比較して周波数が高いfp1、fp2のIF信号しか得られないため、このIF信号は帯域フィルタを通過できない。従って、IF信号周波数であるfpa、fpbが得られることは、100m地点に物標が存在することを意味する。
fp1=fp2+fpa (式15)
fpa<fp1 (式16)
fpb<fp1 (式17)
ここで、fpa、fpbは、fp1、fp2と比較して低い周波数に設定される。IF信号を処理する過程において、fpa、fpbのみしか通過できない帯域フィルタを設けると、fpa、fpbのみを取出すことが可能である。このfPaとfpbとは、100m地点の物標が存在するために発生するIF信号の周波数である。前方車A32からは、fpa、fpbと比較して周波数が高いfp1、fp2のIF信号しか得られないため、このIF信号は帯域フィルタを通過できない。従って、IF信号周波数であるfpa、fpbが得られることは、100m地点に物標が存在することを意味する。
図2の例では、前方車B33(100m地点)の物標のIF信号を抽出したが、このパルス周期を制御することにより、任意距離の前方車のIF信号を得ることができる。例えば、パルス発生間隔を0.333μsとした場合は、前方車A32(50m地点)のIF信号周波数を得ることができる。つまり、周波数パルスを発生させる間隔を変化させることにより、対象とする地点の物標のIF信号を得ることができる。周波数パルスの発生間隔は、電波の往復時間に相当するので次式が成り立つ。
τ=2×D/C (式18)
ここで、τはパルス変調時間間隔であり、DはIF信号を得たい物標の距離であり、Cは光速、すなわち、3×108m/sである。
ここで、τはパルス変調時間間隔であり、DはIF信号を得たい物標の距離であり、Cは光速、すなわち、3×108m/sである。
以上のように、パルス発生の時間間隔と、IF信号の有無との関係から、任意距離にある前方物標の存在を検知することができる。図4に、パルス周期とIF信号(S/H回路出力)の出力の関係を示す。
図3に示すように、50m及び100mの地点に乗用車が存在する場合、図4の横軸(パルス時間間隔)の0.333μs及び0.666μsにIF信号のスペクトルを得ることができる。
以上のように、周波数パルスCW変調は、相対速度が0の状態でもIF信号周波数を得ることができ、前方車の検出が可能である。
図1、図2及び図11を参照して、周波数パルスCW方式の検波方法を説明する。この検波方式のIF信号の変換は、図1において、アンプ25と、共振器15と、AC/DC16と、S/H17との経路で処理される。前方車と自車の間に相対速度がある場合は、ミリ波レーダ装置1は2周波CW変調信号120により、前方車2の距離及び相対速度を検出する。
ACC制御対象である前方車と自車の相対速度の絶対値が任意の数値範囲以下もしくは0となり、2周波CW変調方式では検知できない場合は、周波数パルスCW変調信号121に切り替える。パルス間隔は前方車が検知できなくなる前に2周波CW方式で取得した距離情報に基づいて、(式18)により決定する。
ACC制御対象の前方車2と、それ以外の車両が存在する場合は、図11のアンブ出力に示すようなIF信号が得られる。ACC対象車両のIF信号は前述の図2に示すfpaまたはfpbであり、これらの周波数信号は共振器出力を通過するが、それ以外の周波数をもつIF信号は除去され、図11に示すような共振器出力を得ることができる。
次に、AC/DCによりIF信号の交流信号を直流信号に変換し、図11のAC/DC出力に示される矩形信号が得られる。次に、S/H回路により矩形信号が存在するタイミングで信号のサンプルホールドをかけると、一定電圧信号をS/Hから得ることができる。S/H17のサンプルホールドタイミングは、制御装置23により制御が行われ、変調器の周波数パルスCW信号の出力タイミングとの同期が取られる。
S/H17の出力は、ADC21を経てデジタル信号となり、信号処理装置22において信号処理がなされる。信号処理装置はS/H17の出力がONとOFFとのいずれであるかを見分けるだけで目的とした距離にACC対象の前方車が存在するか否かを判断することができるため、簡単な信号処理手段を用いれば良い。
次に、図5を参照して、本発明の一実施の形態による電波レーダシステムによる制御フローについて説明する。
ACC開始時は、2周波CW変調信号を選択する(処理501)。次に、IF信号をFFT解析(処理502)し、スペクトルを抽出する(処理503)。スペクトルの周波数情報から相対速度を、位相情報から距離をそれぞれ計算する(処理504)。
次いで、2周波CW方式で検知した前方車情報をリストに登録する(処理508)。次に、未検知フラグのON/OFFを判断する(処理505)。この未検知フラグは過去の処理結果から既にACC対象車両が相対速度0等で未検知が発生している場合にONとなる。
この未検知フラグがONの場合は、処理512に進み、変調方式を周波数パルスCW変調に切り替える。未検知フラグがOFFの場合は、処理506において、前回まで検知していたACC対象車両が相対速度0で未検如となったか否かを判定する。未検知の場合は、未検知フラグをONとし(処理511)、処理512に進む。
相対速度が0でなく、車両の検知が継続される場合、処理507において相対速度の絶対値がα以下の場合にも、処理512に進むようにする。これは、相対速度の絶対値αが0に近い範囲において2つの変調方式を併用し、前方車の検知に関する連続性を確保するためである。
2周波CW方式の検知で、ACC対象車両を見失ってから周波数パルスCW方式に切り替えた場合は、周波数パルスCW方式で再検知するまでの時間を要するため、ACCの制御性に悪影響が生じるのを防ぐためである。
周波数パルスCW方式が選択された嘉合、パルス変調信号に切り替え(処理512)、前回まで検知していたACC対象車両の距離情報からパルス発生間隔の範囲を算出する(処理513)。パルス間隔は、前回検出したACC対象車両の距離を中心として任意の割合を乗算した距離範囲を算出し、前回検出したACC対象車両の距離の前後を走査するようにパルス発生間隔を変化させる。これは、ACC対象車両を見失ってから、短時間に別の距離に移動している場合、1点の距離のみのピンポイント的な検知では、ACC車両を見逃してしまう可能性があるためである。
処理514において、最初のパルス間隔を設定し、処理515において処理513で算出したパルス設定範囲の走査が完了するまでIF信号の有無の確認を継続する(処理516)。IF信号が有る場合には(処理517)、そのパルス発生時間間隔を記録し(処理518)、次のパルス発生時間間隔を設定する(処理514)。
パルス設定範囲の走査が完了した場合は(処理515)、IF信号が確認できたパルス発生時間間隔より、前方車の検知距離を算出する(処理519)。
周波数パルスCW方式によってもIF信号が確認できない場合は、前方車が他車線等にレーンチェンジし、レーダ検知エリアから逸脱したと判断するのが妥当であり、未検知フラグをOFFにして周波数パルスCW方式の検知を停止させる。周波数パルスCW方式によって検知できた場合は、検知した前方車情報をリストに登録する(処理522)。
以上の2つの検知方式に基づいて登録された前方車の情報リスト(処理508及び処理522による)よりACC処理装置に送信すべき前方車情報を選択し(処理509)、前方車情報をACC装置に送信する(処理510)。
以上の処理をまとめると、前方にACC対象車両が存在し相対速度が一定以上ある場合は、2周波CW方式のみの検知方式により車両の距離・相対速度を算出する。ACC対象車両の相対速度の絶対値α〜0の場合やACC対象車両が末検知となった場合は、周波数パルスCW方式の検知方式を2周波数CW方式と並行して動作させる。これにより、両方の検知結果から最適なACC対象車両を検出しACC装置に情報を送信する。
図6に、送信信号周波数の変調方式選択による送信信号周波数の切替の様子を示す。区間a、cは2周波CW変調方式による変調区間である。ACC対象の前方車との相対速度の絶対値が任意以上の速度差がある場合は、この方式のみを選択する。また、区問b、dは周波数パルスCW変調方式による区間であり、相対速度の絶対値が任意以下もしくは0の場合(ドップラ信号が得られない場合)、周波数パルスCW変調方式、2周波CW変調方式と混在させても良い。
次に、周波数パルス変調を用いた別のレーダ検知方法について、図8及び図9を参照して説明する。
図8に送信信号と受信信号の周波数変化を示す。送信信号の周波数パルス発生時間t1及びその受信信号の周波数パルス受信時間t2を記録し、その時間差(△t=t1−t2)を計算する。次式により、前方車の距離を測定することが可能である。
D=C×△t/2 (式19)
ここで、Dは前方物標の距離であり、△tはパルス変調時間間隔、Cは光速3×108m/sである。
ここで、Dは前方物標の距離であり、△tはパルス変調時間間隔、Cは光速3×108m/sである。
図9は、この方式を実現するレーダ装置のブロック図であり、図1における周波数パルスCW方式の際に用いられる回路構成を抜き出して示した図である。変調回路10からは、変調信号1650が出力される。ここで、図8のfp3は、共振器15を通過できるように、前述の図2で示すIF信号パルスa、bの周波数と等しくなるように設定される。
共振器15を通過したIF信号は、さらに後段のAC/DC16により直流信号に変換され、図8のAC/DC変換器出力に示す矩形波信号を得ることができる。この信号の発生間隔を計測することにより、前述のt1、t2の時間を求めることができる。これらの信号の時間差計測は、信号処理装置22において、短形波信号め立ち下がりもしくは立ち下がり信号のエッジで割込みを発生させて、そのときの内蔵タイマ値を取得することで時間差を計測することが可能である。
また、別の討測方法としては、ADC21により、信号の発生間隔より十分に短い周期で信号をサンプリングし、信号振幅をモニタして時間間隔を計測することも可能である。この場合には、S/H回路が不要となる。
図10に、変調回路が出力する変調信号電圧レベルと発信器の周波数との関係を示す。2周波CW方式では2つの周波数(f1、f2)、周波数パルスCW方式では3つの周波数(fc、fc+fp1、fc+fp2)を用いる。ミリ波帯の発信器の場合、変調信号電圧が発信周波数と線形性を保たない場合が多く、FM−CW方式のように、変調方式によってはこの線形性を確保するために特別な周波数制御回路を必要とする場合がある。本方式では、線形性を確保するための特別な周波数制御回路を必要としない。上述の数点の変調信号レベル対発信周波数の関係を、予め信号処理回路のメモリ等に記憶しておき、これら電圧を適宜切り替えることで、発信周波数を制御することができる。つまり、安価に回路を構成できる。
次に、本発明の別の実施形態によるミリ波レーダ装置を図19に示す。
ミリ波レーダ装置2001は、自車2002に搭載され、前方車2003と自車2002との車間距離及び相対速度を計測する。ミリ波レーダ装置2001は、ミリ波高調波回路2005、信号処理装置2006、及び制御装置2007を内蔵する。
ここで、ミリ波高調波回路2005及び信号処理装置2006は、2周波CW変調方式に基づく回路ブロックであり、小型レーダ1904はFM−CW変調方式に基づく回路ブロックである。
制御装置2007は、信号処理装置2006から得られる、距離情報、及び相対速度情報と、小型レーダから得られる距離情報に基づき、後述の判断ロジックを用いて、正しい前方車との距離及び、相対速度情報をACC装置2008に伝達する。
ここで、小型レーダは、2周波CW変調方式の回路系に比較して、長距離のターゲット距離や、相対速度を検知する必要はないが、代わりに前方車との相対速度が0でも検知できる機能をもつ。
図20は、本発明におけるミリ波レーダ装置2001の詳細な回路ブロックである。ミリ波高周波回路2005は、ミリ波送信信号2140を発振する発振器2011と、ミリ波送信電波2150を放射する送信アンテナ2013と、その発振周波数を変調する矩形波変調回路2010と、前方車2003から反射したミリ波受信電波2151を受ける受信アンテナ2014と、方向性結合器2012から分配された送信信号2140と受信信号2141とを入力してIF信号2142を生成するミキサ2015と、IF信号を増幅するアンプ2016と、スイッチ回路2017と、スイッチ回路2017を制御する信号処理装置2006と、LPFa(ローパスフィルタa)2018、LPFb(ローパスフイルタb)2019から信号を受けるADC(ADコンバータ)回路2020と、ADC回路2020からIF信号のデジタル信号値を受け、前方車の距離及び相対速度を計算する信号処理装置2006を含んでいる。上記のミリ波高周波回路2005及び信号処理装置2006は2周波CW方式の信号処理系を実現する回路ブロック図である。
一方、小型レーダ2004は、ミリ波送信信号2160を発振する発振器2031と、ミリ波送信電波2170を放射する送信アンテナ2033と、その発振周波数を変調する鋸波変調回路2030と、前方車3から反射したミリ波受信電波2171を受ける受信アンテナ2034と、方向性結合器2032から分配された送信信号2160aと受信信号2161とを入力してIF信号2162を生成するミキサ2035と、IF信号を増幅するアンプ2036と、ADC回路2037、ADC回路2037からIF信号のデジタル信号値を受け、前方車の距離を計算する信号処理装置2038を含んでいる。上記の小型レーダ2004はFM−CW方式の信号処理系を実現する回路ブロックである。
次に、本実施の形態による前方車検知手段について説明する。本実施の形態においては、2周波CW方式と、FM−CW方式の信号処理とを併用する。すなわち、自車と前方車との間の相対速度Vの絶対値が一定値以上である場合は、2周波CW方式により検知を行い、相対速度Vの絶対値が一定以下である場合は、2周波CW方式及びFM−CW方式を併用する。以下、その動作原理について説明する。
図20において、ミリ波高周波回路2005及び信号処理装置2006は2周波CW方式の信号処理系である。ミリ波発振器2011から発生するミリ波送信信号2140(周波数f1、f2)は、方向性結合器2024を通り送信アンテナ2012から放射される。
また、方向性結合器2024は、送信信号の一部をミキサ2015に分配する。ミリ波発振器2011は矩形波変調回路2010により変調され、2種類の周波数(f1、f2)を持つ送信信号2140を発振する。
送信アンテナ2012から放射されたミリ波送信信号2150のうち前方車2003によりドップラシフトを受けた信号は、ミリ波受信信号2151(周波数f1+fd、f2+fd)となる。このミリ波受信信号2151は受信アンテナ2014により受信され、受信信号2141となる。ミキサ2015は受信信号2141と、方向性結合器2012により分配された送信信号2140aの一部をミキシングし、IF信号2142(ドップラ信号(周波数fd)を含む)を生成する。IF信号2142はアンプ2016により増幅される。アナログスイッチ2017は矩形波変調信号2100と同期してスイッチングされる。
すなわち、ミリ波発振器2011の周波数がf1のときにはLPFa2018の方向へ、f2のときにはLPFb2019の方向へIF信号2142が入るように切り替わる。LPFa2018は、ミリ波発振器2011の周波数がf1の時のドップラ信号(周波数fd1)を、LPFb2019はミリ波発振器2011の周波数がf2の時のドップラ信号(周波数fd2)を生成する。ドップラ信号は、ADC2020により離散化され、信号処理装置2006によりFFT解析され、ドップラ信号の周波数fd1と位相Φ1及び周波数fd2と位相Φ2を求めることができる。ここで、前方車2003との車間距離R及び相対速度Vは(式20)により計算できる。
V=C・fd1/(2・f1)又はC・fd2/(2・f2) (式20)
ここで、Cは電波伝播速度である。
ここで、Cは電波伝播速度である。
また、車間距離Rは次式により計算できる。
R=C×(φ1−Φ2)/(4πΔf) (式21)
ここで、検知した前方車の車間距離及び相対速度の情報は、制御装置2007に伝達される。
ここで、検知した前方車の車間距離及び相対速度の情報は、制御装置2007に伝達される。
次に、相対速度の絶対値が一定以下もしくは“0”の状態になった場合の検知方法について説明する。上述の通り、2周波CW方式はドップラ信号を利用して前方車を検知するが、相対速度が“0”に近い状態においては、前方車の検知がしにくくなる。そこで、相対速度が“0”であっても前方車のIF信号を得ることができるFM−CW変調方式の信号処理系をもつ小型レーダの機能を用いる。
図21を用いて、小型レーダで実現するFM−CW方式の検知原理を説明する。送信信号2160は、鋸波変調信号2110により、発振周波数を鋸波状に変調される(図21の実線)。
受信信号2161は、ミリ波送信信号2170が送信アンテナ2033から、前方車2003に反射されて、受信アンテナ2034に達するまでの時間差分Δtの遅れで受信される(図21の点線)。ここで、送信信号2160の周波数と受信信号2161の周波数との周波数差ftdは、△tの大きさに比例する。また、△tは前方車とレーダとの距離に比例するので、周波数差ftdを求めることで、レーダと前方車の距離を計算することができる。図22に示すように、IF信号2162のFFT解析を行うと、周波数ftdのスペクトルを得ることができる。
レーダと前方車までの距離をR、変調周波数の幅を△f、変調繰返し周期をTとすると、次式が成り立つ。
ftd/Δf=△t/T (式22)
また、
△t=2R/C (式23)
(C:電波伝搬速度(光速))
よつて、
R=ftd・C・T/(2・△f) (式24)
また、
ftd=2・R・Δf/(C・T) (式25)
ここで、(式22)〜(式25)は前方車とレーダの相対速度が0の状熊の時に成り立ち、もし相対速度が発生し、ドップラ周波数fdが発生した場合は、(式24)、(式25)は以下の(式26)、(式27)ように補正される。
また、
△t=2R/C (式23)
(C:電波伝搬速度(光速))
よつて、
R=ftd・C・T/(2・△f) (式24)
また、
ftd=2・R・Δf/(C・T) (式25)
ここで、(式22)〜(式25)は前方車とレーダの相対速度が0の状熊の時に成り立ち、もし相対速度が発生し、ドップラ周波数fdが発生した場合は、(式24)、(式25)は以下の(式26)、(式27)ように補正される。
R=ftd'・C・T/(2・△f) (式26)
ftd'= 2・R・Δf/(C・T) +fd (式27)
図20の小型レーダ2004の構成において、鋸波変調回路2030は発振器2031の送信信号2160の周波数(fc)を鋸波状に変調する。送信アンテナ2033から送信されたミリ波送信信号2170は、距離Rによる生じる周波数差(ftd)分の周波数シフトを持つミリ波受信信号2171を受信アンテナ2034で受ける。ミキサ2035は、送信信号2160と受信信号2161をミキシングし、ftdの周波数成分をもつIF信号2162を得る。
ftd'= 2・R・Δf/(C・T) +fd (式27)
図20の小型レーダ2004の構成において、鋸波変調回路2030は発振器2031の送信信号2160の周波数(fc)を鋸波状に変調する。送信アンテナ2033から送信されたミリ波送信信号2170は、距離Rによる生じる周波数差(ftd)分の周波数シフトを持つミリ波受信信号2171を受信アンテナ2034で受ける。ミキサ2035は、送信信号2160と受信信号2161をミキシングし、ftdの周波数成分をもつIF信号2162を得る。
IF信号2162はADC回路2037で離散化され、信号処理装置2038でFFT解析され、周波数ftdのスペクトルを得ることができ、(式24)により、距離Rを求めることができる。
本発明のFM−CW方式でば、相対速度Vにより発生するfdと時間差により発生するftdを分離して求めることが困難であるが、ftdに対してfdが十分小さい場合(相対速度が十分小さい場合)、ftd’(ftd+fd)を、ftdとして扱っても間題ない。
以上のように、相対速度Vが大きければ、従来の2周波CW方式の信号処理系で、前方車のレーダの距離R及び相対速度Vを求めることができ、ACC走行において、相対速度0である場合は、小型レーダのFM−CW方式の信号処理系の距離検知で補うことが可能である。ここで、ACC走行において、特に停止状態から低速走行時(渋滞追従時のStop & Go走行)では、前方車との車間距離も短くなり、小型レーダは最低限、近距離の距離検知のみを行えばよく、遠距離検知は必ずしも必要ではない。
この場合においては、遠距離を検知する2周波CW方式の信号処理系のように、アンテナサイズを大きくして、送信ビームを絞る必要がなく、アンテナサイズが小さくて済む。また、厳密な距離精度が必要でなければ、鋸波変調の厳密な線形性も必要がないので、フェーズロック回路などの付加回路も必要ない。また、2周波CW方式と比較して、スイッチ回路、LPFが必要ないので、回路規模も小さくて済む。
したがって、FM−CW方式信号処理系は、本発明の図19、図20に示すように、ワンパッケージで収まる小型レーダにすることができる。また、FM−CW信号処理系の別の形態としては、全体をワンパッケージに収めずに、同等の回路構成で、部品個別にミリ波レーダ装置2001の中に実装する形態もあり得る。
次に、図23を参照して本発明の一実施の形態による電波レーダシステムによる制御フローについて説明する。通常時は、2周波CW方式のIF信号をFFT解析(処理2501)し、スペクトルを抽出する(処理2502)。スペクトルの周波数情報から相対速度を、位相情報から距離をそれぞれ計算する(処理2503)。次いで、相対速度0等でペクトルが抽出できずに未検知となった場合(判断2504)は、未検知flagAをONとして(処理2507)、処理2511に進む。
前方車が検知された場合は、未検知f1agAをOFFとし(処理2505)、検知した前方車情報をリストに登録する(処理2506)。次に、前方車の相対速度の絶対値が一定閾値α以下の場合(判断2508)も、処理2511に進む。相対速度の絶対値の大きさがα以上であれば、登録したリストからACC装置に送信する前方車情報を選択する処理(処理2509)を実行し、前方車情報をACC装置に送信する(処理2510)。
処理2511においては、FM−CW方式のIF信号をFFT解析し、スペクトルを抽出し(処理2512)、スペクトルの周波数情報により検知距離を計算する(処理2513)。前方車が未検知の場合は(判断2514)、未検知flagBをON(処理2515)として、判断2518に進む。前方車が検知された場合は、未検知flagBをOFFとして(処理2516)、検知した前方車情報をリストに登録する(処理2517)。
次に、未検知flagA、BともにONである場合(判断2518)は前記2方式の検知で、前方車が検知できなかったことを意味し、この場合は、未検知f1agA、BともにOFFとして(処理2519)、前方車なしとして、ACC装置に情報を伝達する(処理2520)。
以上の処理をまとめると、前方車が存在し相対速度が一定以上である場合は、2周波CW方式のみの検知方式により車両の距離・相対速度を算出する。前方車の相対速度の絶対値がα〜0の場合は、FM−CW方式の検知方式を2周波数CW方式と並行して動作させる。これにより、両方の検知結果から最適なACC対象となる前方車を検知してACC装置に情報を送信することが可能となる。
図7に、前述の技術を用いた場合の、ACC制御における車間距離と、相対速度と、自車速度との時間依存(図18に対応する)を示す。当初、目標車間距離に対して実際の車間距離が大きい場合であって、前方車が自車よりも遅い速度で走行している場合(ポイント(A))、車間距離を一定にするように自車遠度を減速する。
これにより、相対速度が“0”に近づいていく。相対速度の絶対値が、あるしきい値よりも小さくなると(ポイント(B))、2周波CW変調方式では前方車を検知できなくなるので、その前の時点で他変調方式(周波数パルス変調方式、もしくはFM−CW方式)を併用し、あるいはこの方式に切り替えることにより、前方車の存在の有無を確認することができる。
次に、前方車が走行速度を変化させた場合(減速した場合)などにおいて、例えば、ある時点で目標車間距離に村して実際の車間距離が小さくなると(ポイント(C))、目標車間距離に近づくように自車速度を下げる。この際、2車の相対速度は接近する方向に大きくなり、相対速度の絶対値が、あるしきい値Vthを越えると(ポイント(E))、再び2周波CW変調方式により2車間の相対速度を検知可能となり、目標車間距離に近づくように制御を行う(ポイント(D))。ここで、ポイント(F)において、2周波CW方式から2方式併用に変更することにより、新しい自車設定速度で再び安定した走行を行うことが出来る。
以上のように、ACC制御を行っている場合に、目標車間距離に近づいても前方車不検知の状態にはならないため、自車の走行が安定する。尚、ある時点で目標車間距離に対して実際の車間距離が大きくなった場合も同様である。
次に、本発明の第1の実施の形態によるACC装置であって、ミリ波レーダ装置を搭載したACC装置の構成例と動作の流れを、図12及び図13を参照して説明する。
自車両1201の前方(距離D1)に、前方車1202が走行している。ミリ波レーダ1203は、前方車1202との距離を計測し、その情報を、通信線を経由してACC装置1204に伝達する。運転者1205はコントロールパネル1206により、前方車との間で確保すべき車間距離を設定する。ACC装置1204は、設定した車間距離を確保すべく運転者が設定した車間距離とミリ波レーダ1203の測定距離とを比較しつつ、エンジン1207の出力を制御するアクセルスロットル1208の制御と車輪1209の制動を行なうブレーキアクチュエータ1210の制御とを行う。
図13は、ACC装置1204の制御に関する流れを示すフローチャート図である。まず、コントロールパネル1206に、確保すべき車間距離D0を設定する(処理1301)。次いで、ミリ波レーダより、ACC対象となる前方車車間距離情報D1を受信する(処理1302)。設定車間距離D0>D1の場合(処理1305)、ブレーキアクチュエータ1210を作動させて減速を行なう(処理1303)。設定車間距離D0>D1の場合(処理1306)、アクセルスロットル1208を作動させて加速を行なう(処理1204)。以上の処理により、ACC装置1204は、運転者1205の設定した車間距離D0を維持しながら、前方車1202に追従する走行が可能となる。
以上、本発明の実施の形態による電波レーダ装置によれば、2周波CW方式の長所を生かしつつ、その欠点である、相対速度が、あるしきい値よりも小さく検知限界以下になった場合でも、他方式(周波数パルスCW方式もしくはFM−CW方式)を併用することで前方車の存在を検知することが可能である。しかも2周波CW方式の回路構成に周波数パルスCW方式用もしくはFM−CW方式の安価な回路を付加するだけですみ、かつ信号処理もそれほど複雑化しない構成で精度の良い装置を実現することができる。
また、本発明の実施例においては、2周波数CW方式と周波数パルスCW方式もしくはFM−CW方式を組み合わせた例を挙げたが、相対速度0の状態で検知できる他の方式があれば、2周波数CW方式と、それ以外の、相対速度0の状態で検知できる方式の組み合わせでも目的を達成することが可能である。
ただし、本発明の周波数パルスCW方式やFM−CW方式は、簡単な回路構成で実現でき、また検知距離範囲を近距離に限定すれば、アンテナサイズを小さくする構成が可能となり、他方式の回路系をワンパッケージにして、従来の2周波CW方式のレーダ内部に取り込むことが可能であり、また、高精度な距離検知機能やIF信号から相対速度を直接計算する機能を必要としなければ、安価な回路構成を実現できる。
尚、本実施の形態においては自動車同士を対象として説明したが、他の移動体を対象としても良い。その他、種々の組み合わせが可能である。
1 ミリ波レーダ
2 前方車
11 ミリ波発振器
12 送信アンテナ
13 受信アンテナ
14 ミキサ
15 共振器
16 AC/DC変換器
17 S/H回路
18 アナログスイッチ
19 ローパスフィルタa
20 ローパスフィルタb
21 AD変換器
22 信号処理装置
24 制御装置
25 アンプ
2 前方車
11 ミリ波発振器
12 送信アンテナ
13 受信アンテナ
14 ミキサ
15 共振器
16 AC/DC変換器
17 S/H回路
18 アナログスイッチ
19 ローパスフィルタa
20 ローパスフィルタb
21 AD変換器
22 信号処理装置
24 制御装置
25 アンプ
Claims (5)
- 前方物標との距離又は相対速度の少なくとも一方を求める電波レーダ装置であり、前記前方物標との相対速度があるしきい値よりも大きい場合に用いるのに適した周波数変調手段及び信号処理手段と、前記前方物標との相対速度があるしきい値よりも小さい場合に用いるのに適した周波数変調手段及び信号処理手段との、少なくとも2つ以上の周波数変調手段及び信号処理手段を備え、それらの手段から得られる信号処理結果から、前方物標との距離又は相対速度を選択する制御手段を備えることを特徴とする電波レーダ装置。
- 請求項1記載の電波レーダ装置において、前記制御手段は、前方物標との相対速度があるしきい値よりも大きい場合は、相対速度が大きい場合に用いるのに適した周波数変調手段及び信号処理手段から得られた信号処理結果を選択し、前記前方物標との相対速度があるしきい値よりも小さい場合は、相対速度が小さい場合に用いるのに適した周波数変調手段及び信号処理手段から得られた信号処理結果を選択、または前記2種類の変調手段及び信号処理手段を併用することを特徴とする電波レーダ装置。
- 請求項2記載の電波レーダ装置において、前方物標との相対速度があるしきい値よりも大きい場合に用いるのに適した周波数変調手段として2つの周波数を交互に切り替えながら変調する2周波CW変調方式を用いることを特徴とする電波レーダ装置。
- 請求項2記載の電波レーダ装置において、前方物標との相対速度があるしきい値よりも小さい場合に用いるのに適した周波数変調手段として周波数を線形に変調するFM−CW変調方式を用いることを特徴とする電波レーダ装置。
- 請求項1から4までのいずれか一項記載の電波レーダ装置からの距離情報に基づき、電波レーダ装置を搭載する自車両との車間距離を一定に保つように、ブレーキアクチュエータ駆動手段とアクセルスロットル駆動手段とを制御することを特徴とする車間距離制御装置。
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