JP2006315839A - 搬送装置及びプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】キャプスタンローラによって常に十分な搬送力が得られるようにし、印画紙の搬送位置のずれを防止するとともに、印画紙に現れるキャプスタンローラの搬送痕を大幅に低減できるようにする。
【解決手段】キャプスタンローラ13とピンチローラ15との間に、印画紙20を挟持して搬送する搬送装置であって、キャプスタンローラ13及びピンチローラ15は、n対(nは自然数)設けられ、各キャプスタンローラ13は、軸方向で重ならない位置の表面に、それぞれ突起14が形成されている。
【選択図】図2
【解決手段】キャプスタンローラ13とピンチローラ15との間に、印画紙20を挟持して搬送する搬送装置であって、キャプスタンローラ13及びピンチローラ15は、n対(nは自然数)設けられ、各キャプスタンローラ13は、軸方向で重ならない位置の表面に、それぞれ突起14が形成されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、キャプスタンローラとピンチローラとの間に、被記録媒体を挟持して搬送する搬送装置及びプリンタに係るものであり、特に、被記録媒体の搬送位置のずれを防止しつつ、キャプスタンローラを被記録媒体に押圧しながら搬送することによって生ずる被記録媒体の搬送痕を大幅に低減することができるようにした搬送装置及びプリンタに関するものである。
従来より、プリンタとして、プラテンローラと対向するサーマルヘッドを備えたサーマルプリンタが知られている。このサーマルプリンタは、例えば、サーマルヘッドに配列されたライン状の発熱素子に対し、階調レベルに応じた選択的な通電を行い、その際に発生する熱エネルギーを利用することにより、印画紙(被記録媒体)に印画を行うようになっている。
ここで、印画紙は、基材部の表面にインクの受容層を形成したものであり、印画を行う場合には、受容層を上にして、プラテンローラの上に印画紙を給紙する。次に、プラテンローラから離れるように上昇しているサーマルヘッドを下降させ、インクリボン及び印画紙を介して、サーマルヘッドがプラテンローラを押圧するようにする。そして、サーマルヘッドの駆動回路から出力される信号に基づいて、サーマルヘッドに配列された発熱素子を発熱させるとともに、印画紙を搬送することにより、インクリボンに塗布されたインクを印画紙の受容層に移行させる。
また、カラーの印画を行う場合には、1色目の印画の終了後にサーマルヘッドを上昇させ、プラテンローラに対する押圧を解除する。その後、印画紙を逆方向に搬送し、印画の開始点まで逆送りした後、1色目の印画と同様にして、1色目の上に2色目を重ねて印画する。
このように、印画の際には、印画紙を搬送する必要があるが、印画紙の搬送は、キャプスタンローラを回転駆動させることによって行う。すなわち、キャプスタンローラを印画紙の基材部側に配置するとともに、ピンチローラを印画紙の受容層側に配置し、キャプスタンローラとピンチローラとの間に印画紙を挟持してキャプスタンローラを回転(カラー印画の場合には、逆回転も)させ、印画紙を搬送する。そのため、キャプスタンローラには、印画紙を一定の速度で、位置ずれなく搬送することが求められる。また、カラー対応のプリンタの場合には、色ずれを防止するため、特に高い搬送精度が必要となる。
そこで、キャプスタンローラ及びピンチローラを複数対設け、多列化することによって搬送精度を高める技術が知られている。すなわち、印画紙を挟持して搬送する複数のキャプスタンローラ及びピンチローラにより、印画紙の搬送位置のずれを防止しながら印画を行うようにしたプリンタである(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−223343号公報
しかし、キャプスタンローラ及びピンチローラを複数対設け、多列化しただけでは、高い搬送精度を長期にわたって維持することは困難である。すなわち、表面がフラットな円柱状のキャプスタンローラの場合、搬送力は、キャプスタンローラと印画紙との摩擦力に左右されるため、使用によってキャプスタンローラに紙粉等が付着すると、摩擦力が低下し、キャプスタンローラが複数あっても十分な搬送力が得られなくなり、色ずれ等の問題を生ずる。
そこで、常に十分な搬送力が得られるように、キャプスタンローラの表面に突起を形成する技術が知られている。すなわち、搬送の際に、キャプスタンローラの突起が印画紙の基材部に食い込むようにすることで、十分な搬送力を確保し、色ずれ等が生じないようにするものである。
ところが、キャプスタンローラの突起を印画紙の基材部に食い込ませると、食い込んだ突起の影響により、印画が行われた印画紙の受容層側に搬送痕が現れるという問題を生ずる。これは、突起によって印画紙の基材部側に凹みが生じると、反対側の受容層側が凸状に出っ張ることによるものである。
図5は、キャプスタンローラ21の突起23によって生じる印画紙24の搬送痕を示す説明図である。
図5に示すように、印画紙24は、キャプスタンローラ21とピンチローラ22との間に挟持されている。そして、キャプスタンローラ21を回転させると、キャプスタンローラ21の突起23により、印画紙24の基材部側に凹みが生ずる。また、印画紙24の受容層側には搬送痕が現れる。
図5に示すように、印画紙24は、キャプスタンローラ21とピンチローラ22との間に挟持されている。そして、キャプスタンローラ21を回転させると、キャプスタンローラ21の突起23により、印画紙24の基材部側に凹みが生ずる。また、印画紙24の受容層側には搬送痕が現れる。
この搬送痕は、印画紙24に対するピンチローラ22の押圧力を下げれば現れなくなるが、そうすると今度は、キャプスタンローラ21による印画紙24の搬送力が低下してしまうという問題がある。この場合、上記の特許文献1に記載の技術のように、キャプスタンローラ21及びピンチローラ22を複数設け、それぞれのキャプスタンローラ21に突起23を設けることにより、各ピンチローラ22の押圧力を下げても、トータルとして必要な搬送力が得られるようにすることも考えられる。
しかしながら、そうすると今度は、各キャプスタンローラ21ごとに食い込みが生じて印画紙24の基材部側が凹みだらけとなり、後ろのキャプスタンローラ21では突起24の食い込みが弱くなって、結局、思い通りの搬送力が得られない。しかも、各キャプスタンローラ21によって生じた搬送痕が重なって目立つようになり、印画品質に悪影響を及ぼすこととなる。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、キャプスタンローラによって常に十分な搬送力が得られるようにし、被記録媒体の搬送位置のずれを防止するとともに、被記録媒体に現れるキャプスタンローラの搬送痕を大幅に低減することができる搬送装置及びプリンタを提供することである。
本発明は、以下の解決手段によって、上述の課題を解決する。
本発明の1つである請求項1に記載の発明は、被記録媒体を搬送するキャプスタンローラと、前記キャプスタンローラと対向するピンチローラとを備え、前記キャプスタンローラと前記ピンチローラとの間に、被記録媒体を挟持して搬送する搬送装置であって、前記キャプスタンローラ及び前記ピンチローラは、複数対設けられ、各前記キャプスタンローラは、軸方向で重ならない位置の表面に、それぞれ突起が形成されていることを特徴とする。
本発明の1つである請求項1に記載の発明は、被記録媒体を搬送するキャプスタンローラと、前記キャプスタンローラと対向するピンチローラとを備え、前記キャプスタンローラと前記ピンチローラとの間に、被記録媒体を挟持して搬送する搬送装置であって、前記キャプスタンローラ及び前記ピンチローラは、複数対設けられ、各前記キャプスタンローラは、軸方向で重ならない位置の表面に、それぞれ突起が形成されていることを特徴とする。
また、本発明の他の1つである請求項5に記載の発明は、被記録媒体を搬送するキャプスタンローラと、前記キャプスタンローラと対向するピンチローラとを備え、前記キャプスタンローラと前記ピンチローラとの間に、被記録媒体を挟持して搬送しながら印画を行うプリンタであって、前記キャプスタンローラ及び前記ピンチローラは、複数対設けられ、各前記キャプスタンローラは、軸方向で重ならない位置の表面に、それぞれ突起が形成されていることを特徴とする。
(作用)
上記の各発明においては、キャプスタンローラ及びピンチローラが複数対設けられており、各キャプスタンローラは、その表面に突起を有していて、各キャプスタンローラを回転させて被記録媒体を搬送する。そのため、被記録媒体に対する各ピンチローラの押圧力を下げることができ、各キャプスタンローラの突起によって生ずる被記録媒体の搬送痕を大幅に低減することができる。
上記の各発明においては、キャプスタンローラ及びピンチローラが複数対設けられており、各キャプスタンローラは、その表面に突起を有していて、各キャプスタンローラを回転させて被記録媒体を搬送する。そのため、被記録媒体に対する各ピンチローラの押圧力を下げることができ、各キャプスタンローラの突起によって生ずる被記録媒体の搬送痕を大幅に低減することができる。
また、各キャプスタンローラの突起は、軸方向で重ならない位置に設けられている。そのため、各キャプスタンローラの突起がそれぞれ被記録媒体の異なる位置に食い込むこととなるので、被記録媒体に対する各ピンチローラの押圧力を下げても、トータルとして必要な搬送力を得ることができる。
上記の各発明によれば、各キャプスタンローラによって常に十分な搬送力を得ることができるので、被記録媒体の搬送位置のずれを確実に防止することができる。また、被記録媒体に現れるキャプスタンローラの搬送痕を大幅に低減することができる。したがって、常に優れた印画品質を得ることができる。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本発明におけるプリンタは、下記実施形態では、昇華式のサーマルヘッド11によって印画紙20に印画を行うサーマルプリンタ10に相当する。また、本発明の搬送装置は、キャプスタンローラ13とピンチローラ15とを備え、その間に印画紙20を挟持して搬送するものであり、サーマルプリンタ10に装着されている。
本発明におけるプリンタは、下記実施形態では、昇華式のサーマルヘッド11によって印画紙20に印画を行うサーマルプリンタ10に相当する。また、本発明の搬送装置は、キャプスタンローラ13とピンチローラ15とを備え、その間に印画紙20を挟持して搬送するものであり、サーマルプリンタ10に装着されている。
図1は、本実施形態のサーマルプリンタ10の内部を示す概略の側面図である。
図1に示すように、本実施形態のサーマルプリンタ10は、サーマルヘッド11を備えるものであり、サーマルヘッド11に配列された複数の発熱素子(抵抗素子)に通電した際の発熱エネルギーを利用して、インクリボン19上のインクを印画紙20に移行させ、印画を行うものである。
図1に示すように、本実施形態のサーマルプリンタ10は、サーマルヘッド11を備えるものであり、サーマルヘッド11に配列された複数の発熱素子(抵抗素子)に通電した際の発熱エネルギーを利用して、インクリボン19上のインクを印画紙20に移行させ、印画を行うものである。
また、このサーマルプリンタ10は、カラー対応のものであり、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、及びC(シアン)の3色のインクを有する3つのインクリボン19を装着することができる。なお、この3色のインクリボン19に加えて、K(ブラック)のインクリボン19や、さらに、オーバーコート層を持ったインクリボン19を装着することもできる。
このようなサーマルプリンタ10において、各色ごとに色分けされたインクリボン19は、色変換処理された階調データに応じて、反時計回りに回転する巻出しスプール17から巻き出され、サーマルヘッド11とプラテンローラ12との間を通り、巻取りスプール18に順次巻き取られるようになっている。一方、印画紙20は、給紙カセット(図示せず)から給紙され、サーマルヘッド11とプラテンローラ12との間を通り、排紙トレイ(図示せず)に排紙されるようになっている。
ここで、印画紙20は、基材部とインクの受容層とを有しており、サーマルヘッド11及びインクリボン19側が受容層で、プラテンローラ12側が基材部となるように給紙される。また、図1に示すように、本実施形態のサーマルプリンタ10においては、1つのキャプスタンローラ13と1つのピンチローラ15とからなるn対(nは自然数)のキャプスタン対(131 +151 ,132 +152 ,…,13n +15n )が設けられ、印画紙20は、各キャプスタン対(131 +151 ,132 +152 ,…,13n +15n )のキャプスタンローラ13(131 〜13n )とピンチローラ15(151 〜15n )との間に挟持されて搬送される。
そして、サーマルプリンタ10に印画指令が入力されると、上昇していたサーマルヘッド11(図1の点線で示す状態)が下降し、プラテンローラ12を押圧して、サーマルヘッド11とプラテンローラ12との間にインクリボン19及び印画紙20を挟み込む(図1の実線で示す状態)。そのため、インクリボン19と印画紙20の受容層とが圧接するようになる。
この状態においてサーマルプリンタ10に階調データが入力されると、巻取りスプール18の回転駆動により、巻出しスプール17からインクリボン19が一定の速度で矢印のように巻き出される。また、各キャプスタンローラ13(131 〜13n )の回転駆動により、印画紙20がインクリボン19と同じ速度で矢印のように搬送される。さらに、サーマルヘッド11に配列された複数の発熱素子(抵抗素子)が選択的に通電駆動される。すると、インクリボン19のインクが印画紙20の受容層に移行し、印画が行われる。
そこで次に、このような印画時における各キャプスタン対(131 +151 ,132 +152 ,…,13n +15n )と印画紙20との挙動関係について説明する。
そこで次に、このような印画時における各キャプスタン対(131 +151 ,132 +152 ,…,13n +15n )と印画紙20との挙動関係について説明する。
図2は、本実施形態のサーマルプリンタ10における各キャプスタン対(131 +151 ,132 +152 ,…,13n +15n )を示す側面図及び平面図である。また、図3は、本実施形態のサーマルプリンタ10におけるキャプスタンローラ13を示す側面図である。
図2に示すように、印画紙20は、キャプスタンローラ13(131 〜13n )とピンチローラ15(151 〜15n )とが同期して回転するn対のキャプスタン対(131 +151 ,132 +152 ,…,13n +15n )の間を通る。そして、印画紙20の先端が最後尾のキャプスタン対(13n +15n )を通過すると、印画紙20の先端を検知してサーマルヘッド11(図1参照)が下降し、印画を開始する。
図2に示すように、印画紙20は、キャプスタンローラ13(131 〜13n )とピンチローラ15(151 〜15n )とが同期して回転するn対のキャプスタン対(131 +151 ,132 +152 ,…,13n +15n )の間を通る。そして、印画紙20の先端が最後尾のキャプスタン対(13n +15n )を通過すると、印画紙20の先端を検知してサーマルヘッド11(図1参照)が下降し、印画を開始する。
ここで、各キャプスタンローラ13(131 〜13n )の表面には、部分的に突起14が形成されている。そして、この突起14は、幅Wにわたって形成されているが、各キャプスタンローラ13(131 〜13n )の軸方向で重ならない位置に形成されている。また、この突起14は、図3(a)に示すように、角度θの先端部を有し、直径dの円周上に等間隔αで設けられている。さらに、図3(b)に示すように、各キャプスタンローラ13(131 〜13n )において、突起14の先端外径D(D1 〜Dn )は同一となっている。
このように、各キャプスタンローラ13(131 〜13n )には、軸方向で重ならない位置の表面に、同じ突起14がそれぞれ形成されている。そして、各キャプスタンローラ13(131 〜13n )を同じ回転速度ω(ω1 〜ωn )で回転させることにより、印画紙20を一定の速度Vで搬送し、印画の際に色ずれ等の不具合が発生しないようにしている。
ただし、各キャプスタンローラ13(131 〜13n )は、それぞれ別個に回転駆動されるので、回転速度ω(ω1 〜ωn )が同一とならない場合がある。すると、各キャプスタン対(131 +151 ,132 +152 ,…,13n +15n )の間で印画紙20が弛んだりする。そのため、本実施形態のサーマルプリンタ10では、印画紙20に弛み等が発生しないように、各キャプスタンローラ13(131 〜13n )の回転速度ω(ω1 〜ωn )がω1 ≦ω2 ≦・・・≦ωn となるように制御している。
また、各キャプスタン対(131 +151 ,132 +152 ,…,13n +15n )を取り巻く種々の条件により、印画紙20に対する各ピンチローラ15(151 〜15n )の押圧力Pを一定にしたとしても、各キャプスタン対(131 +151 ,132 +152 ,…,13n +15n )による印画紙20の搬送力F(F1 〜Fn )が同一とならない場合がある。すると、各キャプスタン対(131 +151 ,132 +152 ,…,13n +15n )の間で印画紙20が弛むことがある。そのため、本実施形態のサーマルプリンタ10は、図2に示すように、各キャプスタン対(131 +151 ,132 +152 ,…,13n +15n )にトルクリミッタ16を取り付け、印画紙20の搬送力F(F1 〜Fn )がF1 ≧F2 ≧・・・≧Fn となるように、トルクリミッタ16を設定している。
ところで、色ずれ等を発生させずに印画を行うには、必要な印画紙20の搬送力F(F1 +F2 +・・・+Fn )を確保しなければならない。そして、この搬送力F(F1 +F2 +・・・+Fn )は、各キャプスタン対(131 +151 ,132 +152 ,…,13n +15n )の印画紙20の押圧力Pと相関関係にある。すなわち、F=μP(μは摩擦係数)であり、各ピンチローラ15(151 〜15n )の押圧力Pを大きくすれば、各キャプスタンローラ13(131 〜13n )との間に挟持される印画紙20に対し、各キャプスタンローラ13(131 〜13n )の突起14が深く食い込むこととなり、印画紙20の搬送力F(F1 +F2 +・・・+Fn )が大きくなる。そのため、所定の押圧力Pを確保すれば、色ずれなく印画紙20を搬送することができる。
図4は、印画紙搬送力Fとローラ押圧力Pとの関係を示すグラフである。
図4において、色ずれ境界ラインは、色ずれなく印画紙20を搬送するために最低限必要なローラ押圧力P(図2に示すピンチローラ15の押圧力P)を示す曲線であり、図4に示すように、右上がりの曲線となる。また、必要搬送力ラインは、印画紙20を搬送するために最低限必要な印画紙搬送力Fを示すものであり、印画紙20が紙搬送パス(紙ガイド等)を通る際に生ずる負荷(摩擦抵抗)である。
図4において、色ずれ境界ラインは、色ずれなく印画紙20を搬送するために最低限必要なローラ押圧力P(図2に示すピンチローラ15の押圧力P)を示す曲線であり、図4に示すように、右上がりの曲線となる。また、必要搬送力ラインは、印画紙20を搬送するために最低限必要な印画紙搬送力Fを示すものであり、印画紙20が紙搬送パス(紙ガイド等)を通る際に生ずる負荷(摩擦抵抗)である。
したがって、色ずれ境界ラインと必要搬送力ラインとの交点を通る直線よりも右側の領域(図4の右下向きの斜線の範囲)にローラ押圧力Pを設定すれば、色ずれ無く印画紙20を搬送することができる。すなわち、色ずれ境界ラインと必要搬送力ラインとの交点を通る直線が示すローラ押圧力P1以上とすれば、その印画紙20を搬送することができるだけでなく、色ずれを無くすことができる。一方、ローラ押圧力P1未満であると、印画紙20を搬送できたとしても色ずれが発生してしまうし、色ずれを無くそうとすると必要な搬送力Fが確保できず、印画紙が搬送できないこととなる。
また、図4において、搬送痕境界ラインは、印画紙20に搬送痕を発生させない最大のローラ押圧力Pを示すものであり、搬送痕境界ラインよりも左側の領域(図4の左下向きの斜線の範囲)にローラ押圧力Pを設定すれば、印画紙20に搬送痕が発生しない。すなわち、搬送痕境界ラインが示すローラ押圧力P2以下であれば、印画紙20に搬送痕が発生することはないく、逆に、ローラ押圧力P2を越えると、図3に示すキャプスタンローラ13の突起14が印画紙20に深く食い込み過ぎて、搬送痕が発生することとなる。
このように、色ずれ無く印画紙20を搬送するためのローラ押圧力Pと、印画紙20に搬送痕を発生させないようにするためのローラ押圧力Pとは相反する関係にあり、印画紙搬送力Fを大きくするためにローラ押圧力Pを増やすと搬送痕が発生し、搬送痕が発生しないようにローラ押圧力Pを減らすと色ずれを生ずる。
しかし、図4に示すように、ローラ押圧力P1〜ローラ押圧力P2の間の正常領域内にローラ押圧力Pを設定することによって両者を両立させることができ、色ずれも搬送痕も無い印画が可能となる。そして、本実施形態のサーマルプリンタ10では、各ピンチローラ15(151 〜15n )の押圧力Pをこの正常領域(ローラ押圧力P1〜ローラ押圧力P2)内に設定しており、色ずれ無く、搬送痕を発生させずに印画することができる。
この点についてさらに詳述すると、本実施形態のサーマルプリンタ10においては、各キャプスタン対(131 +151 ,132 +152 ,…,13n +15n )を多列化(n対)し、各ピンチローラ15(151 〜15n )の1個当たりのローラ押圧力Pを小さくしている。すなわち、各ピンチローラ15(151 〜15n )のローラ押圧力Pを均等に割り付けて、各キャプスタン対(131 +151 ,132 +152 ,…,13n +15n )の1対当たりでは、印画紙搬送力F/nの負担としている。
そして、印画紙20を搬送するために必要な搬送力は、紙搬送パス系(紙搬送負荷)によって異なるので、各キャプスタン対(131 +151 ,132 +152 ,…,13n +15n )の個数nを必要な印画紙搬送力Fに応じて設定し、各ピンチローラ15(151 〜15n )の押圧力Pが図4に示す正常領域(ローラ押圧力P1〜ローラ押圧力P2)内に入るようにしている。
また、本実施形態のサーマルプリンタ10は、図2に示すように、各キャプスタンローラ13(131 〜13n )の表面に形成された突起14が軸方向で重ならないようになっている。そのため、突起14は、各キャプスタンローラ13(131 〜13n )ごとに印画紙20の異なる部分に食い込むこととなるので、印画紙搬送力Fが下がることはない。
ここで、突起14は、図2に示すように、幅Wにわたって形成しているが、幅Wは、印画紙20の搬送力の確保と搬送痕の解消の両立という観点からは、相反する傾向を示す。また、突起14の密度(図3に示すα又はN/πd)も同様に、相反する傾向を示す。そのため、突起14の幅W及び密度は、各キャプスタン対(131 +151 ,132 +152 ,…,13n +15n )の個数n等も考慮して、総合的に設定する。一方、突起14の先端部の角度θは、角度θが大きいほど、印画紙20の搬送力の確保と搬送痕の解消の両立を図ることができる。そのため、角度θは、60°以上とすることが好ましい。
このように、本実施形態のサーマルプリンタ10では、各キャプスタン対(131 +151 ,132 +152 ,…,13n +15n )を多列化(n対)し、各キャプスタンローラ13(131 〜13n )の軸方向で重ならない位置の表面に、それぞれ突起14を形成している。そのため、印画紙20の必要な搬送力が得られると同時に、各ピンチローラ15(151 〜15n )の1個当たりのローラ押圧力Pが小さくなり、搬送痕の発生が防止される。
また、各キャプスタン対(131 +151 ,132 +152 ,…,13n +15n )の個数nを増やすことにより、搬送痕を生じさせない状態で、必要な印画紙搬送力Fを確保することができる。さらに、各キャプスタン対(131 +151 ,132 +152 ,…,13n +15n )の仕様や各ピンチローラ15(151 〜15n )のローラ押圧力Pを変えることにより、様々な種類の印画紙20に対応することができる。なお、印画紙20の種類を選ばないことから、使用する印画紙20は、画質の確保やコスト等を考慮するだけで良くなる。
10 サーマルプリンタ
13(131 〜13n ) キャプスタンローラ
14 突起
15(151 〜15n ) ピンチローラ
20 印画紙(被記録媒体)
13(131 〜13n ) キャプスタンローラ
14 突起
15(151 〜15n ) ピンチローラ
20 印画紙(被記録媒体)
Claims (5)
- 被記録媒体を搬送するキャプスタンローラと、
前記キャプスタンローラと対向するピンチローラと
を備え、
前記キャプスタンローラと前記ピンチローラとの間に、被記録媒体を挟持して搬送する搬送装置であって、
前記キャプスタンローラ及び前記ピンチローラは、複数対設けられ、
各前記キャプスタンローラは、軸方向で重ならない位置の表面に、それぞれ突起が形成されている
ことを特徴とする搬送装置。 - 請求項1に記載の搬送装置において、
各前記キャプスタンローラは、前記突起の先端外径が同一である
ことを特徴とする搬送装置。 - 請求項1に記載の搬送装置において、
各前記キャプスタンローラは、同じ速度で回転して被記録媒体を搬送する
ことを特徴とする搬送装置。 - 請求項1に記載の搬送装置において、
各前記ピンチローラは、被記録媒体を押圧しており、その押圧力は、各前記ピンチローラに均等に振り分けられている
ことを特徴とする搬送装置。 - 被記録媒体を搬送するキャプスタンローラと、
前記キャプスタンローラと対向するピンチローラと
を備え、
前記キャプスタンローラと前記ピンチローラとの間に、被記録媒体を挟持して搬送しながら印画を行うプリンタであって、
前記キャプスタンローラ及び前記ピンチローラは、複数対設けられ、
各前記キャプスタンローラは、軸方向で重ならない位置の表面に、それぞれ突起が形成されている
ことを特徴とするプリンタ。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8644724B2 (en) | 2010-07-27 | 2014-02-04 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Image forming device |
JP2014227300A (ja) * | 2013-05-27 | 2014-12-08 | 大日本印刷株式会社 | 両面用プリンタ |
-
2005
- 2005-05-16 JP JP2005142045A patent/JP2006315839A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8644724B2 (en) | 2010-07-27 | 2014-02-04 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Image forming device |
JP2014227300A (ja) * | 2013-05-27 | 2014-12-08 | 大日本印刷株式会社 | 両面用プリンタ |
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