JP2006315188A - 液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 - Google Patents

液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 乾燥した状態でノズル面がワイピングされることによるノズル面の傷の発生を防止する。
【解決手段】 ノズル16が形成されたノズル面17には、ノズル16の周囲に環状の撥水処理領域74が設けられ、この撥水処理領域74の周囲に環状の親水処理領域76が設けられている。ノズル面17のワイピングを行う直前に、ノズル16からインク滴が吐出しない程度でインクがノズル面17に溢れるような駆動電圧の駆動波形を圧電素子60に印加する。これにより、ノズル面17にインク溢れ80が発生して大きくなり、インクが親水処理領域76に接触して外方向に広がる。駆動電圧の印加を停止すると、撥水処理領域74付近のインクはノズル16に引き戻されるが、インク80Aが親水処理領域76に残留する。この状態でノズル面17をワイピングすることで、ワイパー18とノズル面17との接触部がウエット状態となり、ノズル面17の傷の発生が防止される。
【選択図】 図6

Description

本発明は、複数のノズルからインクなどの液滴を吐出する液滴吐出ヘッド及びこの液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置に関する。
従来、複数のノズルからインク滴を吐出し、用紙等の記録媒体に印字を行うインクジェット記録装置などの液滴吐出装置は、小型で安価、静寂性等の種々の利点があり、広く市販されている。特に、圧電素子を用いて圧力室内の圧力を変化させてインク滴を吐出するピエゾインクジェット方式の記録装置は、高速印字、高解像度が得られる等、多くの利点を有している。
このようなインクジェット記録装置においては、インクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドという)に対してワイパーによってワイピングを行う際、ワイパーもしくは記録ヘッド表面が乾いている状態でワイピングを行うと(ドライワイピング)、ノズル表面を傷つけることが懸念される。また、ドライワイピングでは、記録ヘッド表面に付着している固着物を除去しきれないという問題もある。一方、気泡巻き込みやインク増粘からの回復のためにインク吸引を行った直後にワイピングを行う場合は、ノズル表面には大量のインクが残留しているため、ワイパーが乾いている状態でワイピングを行ってもウエットワイピングとなり問題は無い。
例えば、一部のノズルで吐出不良が発生してそのノズル周囲が汚れてしまい、結果として吐出方向不良が発生するような状況においては、インクの吸引は必要ではなく、ワイピングのみを行うことで吐出状態が回復することがある。その際、不良ノズルからある程度距離の離れたノズル周囲にはインクによる汚れは発生していないため、このままワイピングを行うと、これらのノズルではドライワイピングとなり都合が悪い。これを回避するためには、(1)不良ノズルのみワイピングを行う、(2)ワイパー自体を濡らす、(3)吸引を行いノズル面全体を濡らす、(4)吐出を行いながらワイピングを行うことでワイパーを濡らす、といった手法が考えられる。
しかし、(1)の手法は、不良ノズルの特定手法の確立や特定ノズルのみをワイピングするための機構が必要となり、現実的ではない。(2)の手法は、ワイパー自体を濡らすための機構が新たに必要となり好ましくない。(3)の手法は、特に新たな機構を必要としないが、インク消費量が増大してしまうため好ましくない。(4)の手法は、吐出したインク滴によって装置内を汚してしまうという欠点がある。
一方、ノズル周囲に付着したインクを除去するための手段として、例えば、インクが吐出せずにノズル周囲に広がる波形の電圧を印加して、ノズル周囲に付着したインクミストと溢れさせたインクを合体させ、背圧や表面張力を利用してインクをノズル内部に吸引する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平3−293140号公報
しかし、特許文献1に記載の手法では、ワイパーによる記録ヘッドのワイピングを行わないため、ノズル周囲しかきれいにならない。また、紙粉などのインク以外の汚れがノズル内部に吸収されてしまうという欠点がある。
一方、本発明者は、インクが吐出せずにノズル周囲に広がるような波形の電圧を印加した後、ワイパーによる記録ヘッドのワイピングを行うことを考えた。しかし、電圧の印加を停止すると、圧力室が負圧に保たれているためにノズル周囲に広がったインクがノズルの内部に引き戻され、この状態でワイピングを行ってもウエットワイピングを実現することはできない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ワイパーを摺擦するノズル面にインクなどの液体を溢れさせた状態でワイピングを行うことでウエットワイピングを実現し、記録ヘッド表面の傷の発生を防止すると共に、記録ヘッド表面の固着物を除去できる液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明に係る液滴吐出ヘッドは、液滴を吐出する複数のノズルを備え、前記ノズルが形成されたノズル面がワイピングされる液滴吐出ヘッドであって、前記ノズル面には、該ノズルの周辺に撥水処理領域が形成され、前記撥水処理領域の周辺に低撥水処理領域、非撥水処理領域、親水処理領域のうちのいずれか1つが形成されていることを特徴としている。
請求項1に記載の発明では、ノズル面には、ノズルの周辺に撥水処理領域が形成され、撥水処理領域の周辺に低撥水処理領域、非撥水処理領域、親水処理領域のうちのいずれか1つが形成されているので、ノズル面に溢れた液体が低撥水処理領域、非撥水処理領域、又は親水処理領域に接触し、液体が周辺に広がりやすくなる。このため、低撥水処理領域、非撥水処理領域、又は親水処理領域を液体で濡れた状態に保持することが可能となる。これにより、ノズル面のワイピングを行ったときにノズル面との接触部を濡れた状態(ウエット状態)に保持することが可能となり、ウエットワイピングを実現できる。このため、乾いた状態(ドライ状態)でワイピングを行う場合と比べて、摩擦によりノズル面が傷つくことが軽減される。また、ウエットワイピングを行うことで、ノズル面に付着した固着物を除去することが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記撥水処理領域の幅は、5μm〜50μmに設定されていることを特徴としている。
請求項2に記載の発明では、撥水処理領域の幅が5μm〜50μmに設定されており、印刷時に液滴の吐出方向が安定化し、吐出不良の発生を防止することができると共に、駆動波形の印加を停止しても、ノズル面に溢れた液体がノズル内部に引き戻されるのを低減することが可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記低撥水処理領域、前記非撥水処理領域、前記親水処理領域のうちのいずれか1つは、前記撥水処理領域の周辺に、幅が20μm以上となるように形成されていることを特徴としている。
請求項3に記載の発明では、低撥水処理領域、非撥水処理領域、親水処理領域のうちのいずれか1つは、幅が20μm以上となるように形成されているので、ノズル面に溢れた液体は撥水処理領域の周辺へ広がり、ノズル面を濡れた状態に保持することが可能となる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記低撥水処理領域、前記非撥水処理領域、前記親水処理領域のうちのいずれか1つは、前記撥水処理領域以外のノズル面全体に形成されていることを特徴としている。
請求項4に記載の発明では、低撥水処理領域、非撥水処理領域、親水処理領域のうちのいずれか1つは、撥水処理領域以外のノズル面全体に形成されているので、ノズル面をより確実に濡れた状態に保持することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の液滴吐出装置において、前記低撥水処理領域、前記非撥水処理領域、前記親水処理領域のうちのいずれか1つは、前記ノズル面のワイピング方向の上流側に形成されていることを特徴としている。
請求項5に記載の発明では、低撥水処理領域、非撥水処理領域、親水処理領域のうちのいずれか1つは、ノズル面のワイピング方向の上流側に形成されているので、ワイピング方向上流側のノズル面を濡れた状態に保持することが可能であり、ワイピングを行ったときにウエットワイピングを実現できる。
請求項6に記載の発明に係る液滴吐出装置は、圧力室内の液体に駆動素子で圧力波を作用させて前記ノズルから液滴を吐出させる請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドと、前記ノズル面をワイピングするワイパーと、前記ワイパーによるワイピングを行う直前に、液体が吐出しない程度で液体が前記ノズル面に溢れるような駆動波形を前記駆動素子に印加する駆動波形印加手段と、を有することを特徴としている。
請求項6に記載の発明では、ワイパーによるワイピングを行う直前に、駆動波形印加手段によって液体が吐出しない程度で液体がノズル面に溢れるような駆動波形を駆動素子に印加する。これにより、液滴吐出ヘッドのノズル面に液体が溢れた状態となる。ノズル面には、ノズルの周辺に撥水処理領域が形成され、撥水処理領域の周辺に低撥水処理領域、非撥水処理領域、親水処理領域のうちのいずれか1つが形成されているので、ノズル面に溢れた液体が低撥水処理領域、非撥水処理領域、又は親水処理領域に接触し、液体が周辺に広がりやすくなる。このため、駆動波形の印加を停止しても、低撥水処理領域、非撥水処理領域、又は親水処理領域が液体で濡れた状態に保持される。この状態でワイパーによるワイピングを行うことにより、ワイパーとノズル面との接触部が濡れた状態(ウエット状態)となり、ウエットワイピングを実現できる。このため、乾いた状態(ドライ状態)でワイピングを行う場合と比べて、摩擦によりノズル面が傷つくことが軽減される。また、ウエットワイピングを行うことで、ノズル面に付着した固着物を除去することが可能となる。
本発明によれば、ワイピングを行う際にワイパーとノズル面との接触部が濡れた状態となるため、ノズル面が傷つくことを防止できると共に、ノズル面に付着した固着物を除去できる。
以下、本発明に係る液滴吐出装置の最良の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の第1実施形態である液滴吐出装置としてのインクジェット記録装置10の主要部の概略構成が示されている。
図1に示すように、インクジェット記録装置10は、記録媒体としての用紙Pが搬送可能となっている。この用紙Pの搬送路の上部には、用紙Pの最大幅よりも幅広の本発明の液滴吐出ヘッドであるインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドという)12が備えられている。この記録ヘッド12は、複数の単位ヘッド14で構成されており、搬送される用紙Pの上流側と下流側とで千鳥状に配置されている。
図2に示すように、単位ヘッド14の底面(用紙Pとの対向面)には、複数のノズル16からなるノズル列が形成されており、これらのノズル16から画像情報に応じたインク滴が吐出される。したがって、画像記録が完了した用紙P上では、記録ヘッド12の上流側に位置する単位ヘッド14Aによって記録された領域と、記録ヘッド12の下流側に位置する単位ヘッド14Bによって記録された領域とが、用紙Pの幅方向に沿って交互に並ぶこととなる。
ここで、搬送される用紙Pの幅方向で隣り合う単位ヘッド14A、14B同士では、単位ヘッド14A、14Bの端部が互いにオーバーラップするように配置されており、印字領域内で印字できない領域が発生しないようにしている。
このように、単位ヘッド14A、14Bを用紙Pの幅方向に沿って並べ、印字領域を構成することで、記録ヘッド12は用紙Pの幅方向に沿って移動する必要はなく、用紙Pの移動によって用紙Pの全面に画像が形成されるため、高い生産性を得ることができる。
また、図1に示すように、記録ヘッド12の下方部には、単位ヘッド14のノズル16が形成された面(図2中のノズル面17)をワイピングするゴム製のワイパーブレード18が配設されている。このワイパーブレード18は先端面が水平となっており、先端側が露出した状態で箱状のワイパーホルダ20内に収容されている。
ワイパーホルダ20の両側底面からは、支持片20A、20Bがそれぞれ記録ヘッド12の幅方向に沿って張り出しており、先端部がベルト22、24に固定されている。ベルト22は、プーリ26、28に巻き掛けられた状態で、用紙Pの搬送方向と平行に配置され、ベルト24は、図示を省略したプーリと、プーリ30に巻き掛けられた状態で、用紙Pの搬送方向と平行に配置されている。そして、プーリ26とプーリ30はシャフト32によって連結され、プーリ28と図示しないプーリはシャフト34によって連結されている。
プーリ28には、ギア36が連結されている。このギア36は、モータ38に連結されたギア40と噛合っており、モータ38が駆動すると、ギア40、36を介してプーリ28に駆動力が伝達されるようになっている。そして、この駆動力によってプーリ28が回転すると、シャフト34を介して図示しないプーリが回転すると共に、ベルト22、24を介してプーリ26、30が回転する。このとき、ベルト22、24は用紙Pの移動方向と平行に移動するため、支持片20A、20B及びワイパーホルダ20を介してワイパーブレード18が矢印A方向に沿って移動可能となる。
また、ワイパーブレード18は、図示しない退避機構によって、記録ヘッド12との対向部から退避可能となっており、ワイピングを行うときのみ記録ヘッド12に当接可能に構成されている。
なお、ワイパーブレード18は、記録ヘッド12の幅方向の全幅に形成されているが、複数の単位ヘッド14ごとに区切って複数のワイパーブレードを幅方向に配設し、複数のワイパーブレードをそれぞれ駆動して各単位ヘッド14をワイピングするように構成してもよい。
図3及び図4に示すように、単位ヘッド14には、ノズルプレート50に複数のノズル16が形成されており、各ノズル16が形成されたノズル面17には、図4(B)に示すように、ノズル16の開口部の周囲に環状の撥水処理領域74が設けられている。この撥水処理領域74の周囲には、環状の親水処理領域76が設けられている。また、親水処理領域76の周囲は何も処理しない非処理領域78となっている。撥水処理領域74の環状部分の幅Bは、例えば、約20μmに設定されている。また、親水処理領域76の環状部分の幅Cは、例えば、約50μmに設定されている。
撥水処理領域74は、印刷時(ノズル16からインクを吐出するとき)にノズル面17の不要な濡れを防止すると共に、吐出方向性を向上するために設けられている。撥水処理領域74は、例えば、フッ素樹脂などをノズルプレート50に被覆することで形成されている。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP )、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレンなどが用いられる。親水処理領域76は、例えば、アクリル酸やポリビニルアルコールなどの親水性樹脂、ポリアミド樹脂などをノズルプレート50に被覆することで形成されている。なお、本実施形態では、親水処理領域76が設けられているが、これに代えて、撥水処理をしない非撥水処理領域、又は撥水能力を弱めた低撥水処理領域などを設けてもよい。これにより、ノズル16から溢れたインクがノズル面17に留まりやすくなる。撥水能力を弱めた低撥水処理領域としては、例えば、SUSなどが用いられられる。撥水処理をしない非撥水処理領域としては、ノズルプレート50をそのまま処理せずに用いることができる。
図3に示すように、単位ヘッド14は、複数のノズル16が形成されたノズルプレート50の上方に、流路形成プレート52と、連通孔プレート54と、圧力室プレート56と、振動板58とが位置合わせして積層され、接着剤などの接合手段によって接合されている。
流路形成プレート52には、ノズル16と通じる複数の連通孔62が形成されており、連通孔プレート54には、複数の連通孔64が形成されている。これらのノズル16、連通孔62、及び連通孔64は互いに連通し、圧力室プレート56に形成された圧力室66に繋がっている。
一方、流路形成プレート52には、複数のインクプール68が形成されており、図示しないインク供給口からインクが供給されるようになっている。また、連通孔プレート54には、インクプール68と連結するように複数の供給孔70が形成されている。これらのインクプール68、供給孔70及び圧力室66は、流路形成プレート52と連通孔プレート54と圧力室プレート56が積層された状態で連通している。
また、振動板58の上部には、各圧力室66の上方に圧電素子60が取り付けられている。圧電素子60は、それぞれ図2に示す駆動ユニット72に設けられた回路基板(図示せず)に接続されており、回路基板(図示せず)から駆動電圧が印加されるように構成されている。
このような記録ヘッド12では、図3に示すように、インクプール68から供給孔70、圧力室66、連通孔64、連通孔62、ノズル16へと連続するインクの通路が形成されており、インクプール68に貯留されたインクは、供給孔70を経て圧力室66内に充填される。そして、回路基板(図示せず)から各圧電素子60に駆動電圧を印加すると、圧電素子60とともに振動板58が撓み変形し、圧力室66を膨張又は圧縮させる。これによって圧力室66に体積変化が生じると、圧力室66内に圧力波が発生する。この圧力波の作用によってインクが運動し、ノズル16から外部へインク滴が吐出される。
このインクジェット記録装置10では、ワイパーブレード18でワイピングを行う際、ワイピングを開始する直前に回路基板(図示せず)からノズル16の圧電素子60に、インク滴が吐出しない程度でインクがノズル面17に溢れるような状態となる電圧波形(駆動波形)の駆動電圧を印加する。その直後に駆動ユニット72(図2参照)は図1に示すモータ38を回転させ、ワイパーブレード18を矢印A方向に移動させてノズル面17のワイピングを行うように構成されている。
図5には、このワイピングの際に圧電素子60に印加する駆動電圧の電圧波形(駆動波形)の一例が示されている。また、図6及び図7には、この駆動電圧が圧電素子60に印加された際のノズル16のインクの挙動及びワイピング動作が順に示されている。
図5から分かるようにこの電圧波形は三角波であり、ノズル16の圧力室66を収縮させる方向へと電圧を上昇させ、次いで、圧力室66を膨張させる方向へと電圧を降下させる。ここで、この電圧波形の立ち上げ時間(上昇部分の時間)と立ち下げ時間(降下部分の時間)は、圧力室66の固有周期よりも長く設定されている。また、電圧波形の最大電位差は、印刷時(ノズル16からインクを吐出するとき)の電圧波形の電位差の1/2倍から1倍までの範囲に設定されており、電圧波形の印加周波数は、印刷時(ノズル16からインクを吐出するとき)の電圧波形の印加周波数の1/2倍から1倍までの範囲に設定されている。これにより、ノズル16からインク滴が吐出しない程度でインクがノズル面17に溢れるような状態を形成することが可能となる。
次に、上記インクジェット記録装置10の作用であって、ノズル面17のワイピング方法について説明する。
ここで、図6(A)〜図6(E)には、記録ヘッド12の断面図が示されている。また、図6(F)〜図6(J)には、図6(A)〜図6(E)に対応して記録ヘッド12のノズル面17を下方から見た図が示されている。
図6(A)、(F)に示すように、インクの吸引を行わず、ノズル面17が乾いた状態では、ノズル面17にインクミストによる汚れDが付着又は固着している。ワイピングを行う直前に、圧電素子60(図3参照)に図5に示す駆動電圧を印加する。この駆動電圧は、ノズル16からインク滴が吐出しない程度でインクが溢れるような電圧波形に設定されている。これにより、図6(B)、(G)に示すように、ノズル16の周囲のノズル面17にメニスカス面が凸状となるようなインク溢れ(Face Flood)80が発生し、図6(C)、(H)に示すように、このインク溢れ80が撥水処理領域74に溢れ出して大きくなる。図6(D)、(I)に示すように、インク溢れ80が親水処理領域76に溢れると、インクが親水処理領域76の外方向に広がる。そして、圧電素子60への駆動電圧の印加を停止すると、図6(E)、(J)に示すように、ノズル16の近傍の撥水処理領域74のインクはノズル16の内部に引き戻されるが、その周囲の親水処理領域76にインク80Aが残る。
このように構成した理由を以下に述べる。一般的にインクジェット記録装置10では、ノズル16の開口部からの不要なインク洩れを防止するため、圧力室66内のインクが負圧に保たれるように構成している。また、ノズル面17の不要なインク濡れやインク吐出方向性の向上を目的として、ノズル面17には撥水処理領域74が設けられている。その際、撥水処理領域74のみを設けた場合(親水処理領域76を設けない場合)には、圧電素子60に図5に示す駆動電圧を印加してインク溢れ80を発生させても、駆動電圧の印加を停止すると、ノズル面17に溢れ出たインクがノズル16の内部に戻ってしまう。溢れ出たインクがノズル16の内部に戻ると、ノズル面17のウエットワイピングを実現できない。このため、本実施形態のように、撥水処理領域74の周囲に親水処理領域76を設けることで、ノズル面17に溢れ出たインクが親水処理領域76に残留し、すべてのインクがノズル16の内部に引き戻されるのを回避できる。
そして、図7(A)に示すように、親水処理領域76にインク80Aが残った状態で、ワイパーブレード18を矢印A方向に移動させ、ノズル面17のワイピングを行う。
このワイピングによって、図7(B)に示すように、ノズル16から溢れ出たインクがワイパーブレード18で掻き取られ、インクがワイパーブレード18の先端部に溜まる。この状態でワイパーブレード18を矢印A方向に移動させることで、図7(C)に示すように、ワイパーブレード18とノズル面17との接触部がウエット状態に保たれ、ノズル面17がワイピングされる。このため、ノズル面17がドライ状態でワイピングされることがなく、摩擦によりノズル面17が傷つくことを防止できる。また、ウエットワイピングによりノズル面17の汚れDなどの固着物を除去することができる。
ここで、撥水処理領域74の幅Bと親水処理領域76の幅Cの好ましい値を求める実験を行った。
撥水処理領域74を段階的に表1に示す幅Bで形成し、印刷時の吐出状態と、駆動波形(Face Flood波形)を停止した後のインク溢れの状態を調べた。このとき、親水処理領域76は、適切な幅C(例えば50μm)に設定した。
Figure 2006315188
表1に示す評価は、吐出状態およびインク溢れの状態が共に極めて良好のときは◎、吐出状態とインク溢れの状態がほぼ良好で使用可能なときは○、吐出状態とインク溢れの状態のいずれかの性能が悪く使用に耐えないときは×として評価した。
表1に示すように、撥水処理領域74の幅Bは5μm〜50μmに設定したときに、吐出状態およびインク溢れの状態が共にほぼ良好であることが分かった。特に10μm〜20μmに設定したときに、吐出状態が正常吐出でインク溢れの状態も良好となり、満足できる性能が得られることが分かった。このため、撥水処理領域74の幅Bは5μm〜50μm、特に10μm〜20μmが好ましいことが分かる。
また、親水処理領域76を段階的に表2に示す幅Cで形成し、印刷時の吐出状態と、駆動波形(Face Flood波形)を停止した後のインク溢れの状態を調べた。このとき、撥水処理領域74は、適切な幅B(10μm〜20μm)に設定した。
Figure 2006315188
表2に示す評価は、吐出状態およびインク溢れの状態が共に極めて良好のときは◎、吐出状態とインク溢れの状態のいずれかの性能があまり良くないときは△、吐出状態とインク溢れの状態のいずれかの性能が性能が悪く使用に耐えないときは×として評価した。
表2に示すように、親水処理領域76の幅Cは、20μm以上に設定したときに吐出状態およびインク溢れの状態が共に良好な結果が得られることが分かった。また、ノズル16の開口部と撥水処理領域74以外のノズル面全体を親水処理領域とした場合も良好な結果が得られることが分かった。このため、親水処理領域76の幅Cは20μm以上に設定すれば良いことが分かる。
なお、上述の実施形態では、ノズル16の周囲に環状の撥水処理領域74および親水処理領域76を設けているが、この構成に限定するものではない。例えば、ノズル16の開口部と撥水処理領域74以外のノズル面全体を親水処理領域としてもよい。この構成でも、ノズル16から溢れたインクが親水処理領域に残留し、ウエットワイピングを実現できる。また、ワイパーブレード18の移動方向(矢印A方向)上流側にのみ親水処理領域を設けてもよい。この構成でも、ノズル16から溢れたインクが親水処理領域に残留するため、ワイパーブレード18の移動させたときにワイパーブレード18とノズル面17の接触部が濡れた状態となり、ウエットワイピングを実現できる。
なお、上述の実施形態では、ワイピング時の駆動電圧の電圧波形は図5に示す三角波であったが、これに限定するものではない。例えば台形波などでもよい。
以上のような実施形態のインクジェット記録装置は、用紙P上へ画像(文字を含む)を記録するものであったが、これに限定されるものではない。すなわち、記録媒体は紙に限定されるものでなく、また、吐出する液体もインクに限定されるものではない。例えば、高分子フィルムやガラス上にインクを吐出してディスプレイ用カラーフィルターを作成したり、溶接状態の半田を基板上に吐出して部品実装用のバンプを形成したりする等、工業用的に用いられる液滴吐出装置全般に含まれる。
本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置の主要部を示す部分斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置の記録ヘッド及びワイパーブレードを示す部分構成図である。 本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置の記録ヘッドを示す部分断面図である。 本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置の記録ヘッドのノズル面に形成された撥水処理領域および親水処理領域を示す平面図である。 ワイピング時にダミーノズルの圧電素子に印加する駆動電圧の電圧波形を示す図である。 駆動電圧の電圧波形を印加したときに記録ヘッドのノズル面に形成されるインク溢れの状態を示す断面図、及びノズル面を下から見た図である。 ワイピング時のインクジェット記録装置の動作を説明する図である。
符号の説明
10 インクジェット記録装置(液滴吐出装置)
12 記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)
14 単位ヘッド
16 ノズル
17 ノズル面
18 ワイパーブレード(ワイパー)
20 ワイパーホルダ
50 ノズルプレート
60 圧電素子
66 圧力室
74 撥水処理領域
76 親水処理領域
60 インク溢れ
B 撥水処理領域の幅
C 親水処理領域の幅
P 用紙

Claims (6)

  1. 液滴を吐出する複数のノズルを備え、前記ノズルが形成されたノズル面がワイピングされる液滴吐出ヘッドであって、
    前記ノズル面には、該ノズルの周辺に撥水処理領域が形成され、前記撥水処理領域の周辺に低撥水処理領域、非撥水処理領域、親水処理領域のうちのいずれか1つが形成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 前記撥水処理領域の幅は、5μm〜50μmに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
  3. 前記低撥水処理領域、前記非撥水処理領域、前記親水処理領域のうちのいずれか1つは、前記撥水処理領域の周辺に、幅が20μm以上となるように形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液滴吐出ヘッド。
  4. 前記低撥水処理領域、前記非撥水処理領域、前記親水処理領域のうちのいずれか1つは、前記撥水処理領域以外のノズル面全体に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出ヘッド。
  5. 前記低撥水処理領域、前記非撥水処理領域、前記親水処理領域のうちのいずれか1つは、前記ワイパーの移動方向上流側の前記ノズル面に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッド。
  6. 圧力室内の液体に駆動素子で圧力波を作用させて前記ノズルから液滴を吐出させる請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドと、
    前記ノズル面をワイピングするワイパーと、
    前記ワイパーによるワイピングを行う直前に、液体が吐出しない程度で液体が前記ノズル面に溢れるような駆動波形を前記駆動素子に印加する駆動波形印加手段と、
    を有することを特徴とする液滴吐出装置。
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