JP2006314222A - 低糖度栗甘露煮の製造方法 - Google Patents
低糖度栗甘露煮の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】栗甘露煮を使用して栗ご飯を作る場合、生むき栗を使用した場合と比べ甘すぎるという問題がある。また、栗甘露煮を材料する和菓子、洋菓子などにおいても糖度の低いあっさりとした甘味を有する栗が要望されている。本発明は、加圧加熱殺菌を行うことにより、pH調整剤や保存料を使用せずに常温で長期間保存可能でありかつ、栗の味を損なわない低糖度の栗甘露煮の製造方法を提供する。
【解決手段】低糖度栗甘露煮を製造するにあたり、栗甘露煮を水浸漬あるいは流水処理により、糖度を20%前後まで低下させた後、加圧加熱殺菌することにより、栗の味、食感、色を劣化させることなく、常温で長期間保存可能な低糖度栗甘露煮の製造方法を確立する。
【選択図】図2
【解決手段】低糖度栗甘露煮を製造するにあたり、栗甘露煮を水浸漬あるいは流水処理により、糖度を20%前後まで低下させた後、加圧加熱殺菌することにより、栗の味、食感、色を劣化させることなく、常温で長期間保存可能な低糖度栗甘露煮の製造方法を確立する。
【選択図】図2
Description
本発明は、常温で長期間保存可能な低糖度栗甘露煮の製造方法に関するものである。
栗甘露煮は、例えば、図1に示す工程に沿って製造されている。すなわち、まず原料となる生むき栗を流水で洗浄する(水洗工程)。ついで、亜硫酸塩、ミョウバンを溶解した温水に生むき栗を投入し、蒸気釜でゆっくり加熱し漂白する(漂白工程)。漂白した栗を流水で洗浄(水洗工程)した後、糖度60%の砂糖液に浸漬し、沸騰するまで加熱する。加熱終了後一晩放置し、砂糖液を栗に充分浸透させ栗の甘露煮とする(シロップ漬け工程)。甘露煮した栗を糖度50%の砂糖液とともに缶詰(缶詰工程)し、加熱殺菌(加熱殺菌工程)して栗甘露煮缶詰が製造される。缶詰された栗甘露煮を瓶または袋に小分け包装(小分け・包装工程)し糖度50%の砂糖液を充填して密封した後、加熱殺菌(加熱殺菌工程)することにより、栗甘露煮商品が製造される。
上記工程で製造された栗甘露煮商品は、和菓子、洋菓子、惣菜の原料として広く利用されているが、栗ご飯用の栗として利用した場合、生むき栗を使用した場合と比べ甘すぎるという問題点がある。そのため、pH調整剤を使用してpHを低下させることにより、保存性を高めた低糖度の栗甘露煮が製造されている。
真部孝明著、「水煮クリ果肉の硬度とペクチン質に及ぼす予備加熱の影響」、日本食品工業学会誌第27巻、183−187(1980)
真部孝明著、「水煮クリ果肉の硬度とペクチン質に及ぼす予備加熱の影響」、日本食品工業学会誌第27巻、183−187(1980)
栗甘露煮は高濃度の砂糖で水分活性を低くすることにより微生物の増殖を抑え、pH調整剤や保存料などの食品添加物を使用することなく常温で長期間保存することが可能である。しかしながら、栗甘露煮を炊込みご飯に使用して栗ご飯を作る場合、生むき栗を使用した場合と比べ甘すぎるという問題がある。また、最近の甘味に対する嗜好の変化において、栗甘露煮を材料とする和菓子、洋菓子などにも糖度の低いあっさりとした甘味を有する栗が要望されている。この問題を解決するため、糖度20%以下の栗甘露煮が製造されているが、水分活性が高くなり微生物の生育を抑制することができないため、pH調整剤を使用してpHを低下させることにより微生物の増殖を抑制している。しかし、pH調整剤を使用することにより、酸味を与え栗の味が損なわれている。
本発明はこのような事情に鑑み、pH調整剤や保存料を使用せずに常温で長期間保存可能でありかつ、栗の味、食感、色を損なわない低糖度の栗甘露煮の製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の低糖度栗甘露煮の製造方法は、糖度50%前後の栗甘露煮を水浸漬または流水処理することにより糖度を20%前後まで低下させた後、糖度20%の砂糖液とともに真空包装し加圧加熱殺菌することにより、低糖度の栗甘露煮を製造する。
本発明は低糖度栗甘露煮の製造工程において、栗甘露煮の糖度を20%前後まで低下させ、糖度20%の砂糖液を加え真空包装後加圧加熱殺菌を行うことにより、pH調整剤や保存料を使用せずに常温で長期間保存可能でありかつ、栗の味、食感、色を損なわない低糖度の栗甘露煮を製造することができる。
本発明の低糖度栗甘露煮の製造方法は、例えば、図2に示す工程に沿って行なわれる。すなわち、まず従来と同様の製造方法で栗甘露煮の缶詰を製造する。栗甘露煮の缶詰を開け(開缶工程)砂糖液を除いた後、水のはいったタンクに投入する。10℃以下の冷蔵庫で一晩浸漬(水浸漬工程)することにより、栗の糖度が15〜25%に低下する。上記水浸漬工程における水の量は、栗甘露煮100kgに対して100〜200リットルの範囲に設定されていることが好ましい。水の温度は、5〜15℃の範囲に設定されていることが好ましい。また、浸漬時間は8〜20時間の範囲に設定されていることが好ましい。
なお、栗甘露煮の糖度を低下する場合、流水に3〜6時間さらすことにより、短時間で糖度を低下させることも可能である。
最後に、糖度が15〜25%に低下した栗甘露煮をタンクから取り出し、糖度20%の砂糖液とともに自動包装機で真空包装(小分け・包装工程)した後、115〜125℃で15〜25分間加圧加熱殺菌(加圧加熱殺菌工程)することにより、低糖度の栗甘露煮商品が得られる。また、砂糖液の替わりに、トレハロースなど加圧加熱殺菌を行っても褐変しにくい非還元性の糖質を使用することもできる。
このようにして得られた低糖度栗甘露煮は、栗が本来有する味、食感、色を有し、常温で長期間保存可能な商品である。
250リットルの水のはいった500リットルタンクに栗甘露煮(中国産、M)200kgを投入し、5〜10℃の冷蔵庫で一晩浸漬した。翌日、栗の糖度が15〜25%に低下していることを確認した後、200gを包装材(140mm×210mm)に入れ糖度20%の砂糖液50gを加え真空包装した。最後に、120℃、20分間の加圧加熱殺菌(レトルト殺菌)を行い低糖度栗甘露煮商品を製造した。加圧加熱殺菌後の栗の硬さは、FUDOH RHEO METER NRM−2010J(不動工業株式会社製)を使用して各サンプル10個の破断応力を測定し平均値を求めた。また、色、食感、味は12人による官能試験により評価し、結果を表2に示した。加圧加熱殺菌後の栗の破断応力は、原料の栗甘露煮の3分の2に低下したが、栗ご飯用に炊き込み調理を行った場合適度な硬さを有し問題はなかった。また、色、食感も良好であっさりとした甘味を有していた。
250リットルの水のはいった500リットルタンクに栗甘露煮(中国産、M)200kgを投入し、17℃の流水(10リットル/分)で5時間処理した。流水処理により栗の糖度が15〜25%に低下していることを確認した後、200gを包装材(140mm×210mm)に入れ糖度20%の砂糖液50gを加え、真空包装した。最後に、120℃、20分間の加圧加熱殺菌(レトルト殺菌)を行い低糖度栗甘露煮商品を製造した。
実施例1で製造した低糖度栗甘露煮商品を35℃のふ卵器で14日間保存した後、容器包装詰加圧加熱殺菌食品の無菌試験の方法に従い無菌試験を行った結果、陰性であることを確認した。また、常温で6ヶ月間保存し、一ヶ月毎に無菌試験と味、色の変化を調べ、その結果を表2に示した。6ヶ月間常温で保存したサンプルは無菌試験において陰性であり、味、色の劣化も認められなかった。
低糖度栗甘露煮を製造するにあたり、従来の栗甘露煮を原料として水浸漬と加圧加熱殺菌のみの処理を行うことにより、pH調整剤や保存料を使用することなく栗ご飯などに利用できるむき栗を製造することができる。そのため、従来の製造設備をそのまま使用して製造することができ、適切な価格で提供可能である。また、生むき栗に比べ常温で長期間保存が可能であるため、和菓子や洋菓子などの材料としても幅広く利用可能なむき栗である。
Claims (2)
- 低糖度の栗甘露煮を製造するにあたり、糖度50%前後の栗甘露煮を水浸漬あるいは流水処理により糖度を20%前後に低下させ、加圧加熱殺菌することを特徴とする低糖度栗甘露煮の製造方法。
- 低糖度栗甘露煮を加圧加熱殺菌することにより、栗の味、食感、色を劣化させることなく、かつpH調整剤や保存料などの食品添加物を使用することなしに、常温で長期間保存可能な低糖度の栗甘露煮を製造することを特徴とする低糖度栗甘露煮の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005138276A JP2006314222A (ja) | 2005-05-11 | 2005-05-11 | 低糖度栗甘露煮の製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012055182A (ja) * | 2010-09-06 | 2012-03-22 | Chuon Co Ltd | 極軟加工栗およびその製造方法 |
CN103070435A (zh) * | 2013-01-29 | 2013-05-01 | 北京绿润食品有限公司 | 含气甘栗自动化加工方法 |
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2005
- 2005-05-11 JP JP2005138276A patent/JP2006314222A/ja active Pending
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