上述したいずれの技術をもってしても、記録信号品質の向上とオーバーライト繰り返し時の安定性を同時に満足するものは得られない。
また、上記方法では、量産される光ディスク記録装置を用いて光ディスクに実際に情報信号を記録しても以下のような理由により常に最適な条件を設定することは、実用上困難である。
すなわち、上記方法としては、光ディスクにおける代表的な再生信号である記録信号の振幅(未記録部からの信号のレベルと記録部からの信号のレベルとの差)値をモニターして個々の光ディスク記録装置に対して最適記録パワーを設定する方法が挙げられるが、記録信号の振幅値は、単に記録パワーだけでなく、光学ピックアップの開口数、リムインテンシティ(集光レンズに入射するレーザ光の強度分布)、光スポットのサイズや形状により、また、経時変化で光学系が汚染されることにより変化し、個々の光学ピックアップの間にオフセットが通常20%〜40%程度発生するので、上記オフセットの影響により最適記録パワーの設定値が大きくずれてしまう。このため、量産を前提として設計される光ディスク記録装置に対しては、実用上十分な精度(±5%程度)で最適記録パワーを設定することが極めて困難になっていた。
また、個々の光ディスク記録装置の間には同じ記録パワーでも記録信号のレベルが同じにならないなどのバラツキがあって光ディスク記録装置毎に記録パワーの微調整が必要であった。
本発明は、記録信号品質とオーバーライト繰り返し時の安定性の向上を達成することができ、信頼性及び汎用性の向上を達成でき、最適記録パワーを設定することができる情報記録再生方法、情報記録再生装置及び情報記録媒体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、電磁波を情報記録媒体に照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、前記情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である情報記録再生方法において、信号を変調して前記情報記録媒体にPWM記録方式により情報の記録を行う際に、変調後に所定の信号幅を有する信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波を第1のパワーレベルの連続電磁波とし、変調後に所定の信号幅を有する1信号の記録あるいは書き換えを行うときの記録波パルス列を、第1の時間幅と第2のパワーレベルを有するパルス部と、合計でクロック時間の時間幅を有する第3のパワーレベルの低レベルパルスと第4のパワーレベルの高レベルパルスとが交互に所定のデューティ比で所定回数連続するマルチパルス部と、第2の時間幅と第5のパワーレベルを有するパルス部とからなる電磁波パルス列とし、前記第1の時間幅、前記デューティ比、前記第2の時間幅の各々を線速に応じて設定する。このため、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができる。
請求項2に係る発明は、電磁波を情報記録媒体に照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、前記情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である情報記録再生方法において、信号を変調して前記情報記録媒体にPWM記録することにより情報の記録を行う際に、変調後の信号幅がnT(Tはクロック時間)である0信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波をパワーレベルeの連続電磁波とし、変調後の信号幅がnTである1信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波パルス列を、時間幅xとパワーレベルaを持つパルス部fpと、合計でTの時間幅を持つパワーレベルbの低レベルパルスとパワーレベルcの高レベルパルスとが交互にデューティ比yで計(n−n’)回連続するマルチパルス部mpと、時間幅zとパワーレベルdを持つパルス部opからなる電磁波パルス列とし、x,y,zを0.5T≦x≦2T、0.4≦y≦0.6、0.5T≦z≦1Tとし、n’をn’≦nの正の整数とし、(a及びc)>e>(b及びd)とする。このため、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができる。
請求項3に係る発明は、電磁波を情報記録媒体に照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、前記情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である情報記録再生装置において、信号を変調して情報記録媒体にPWM記録方式により情報の記録を行う記録手段と、この記録手段を制御する記録制御手段とを備え、信号を変調して情報記録媒体にPWM記録方式により情報の記録を行う際に、変調後に所定の信号幅を有する信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波を第1のパワーレベルの連続電磁波とし、変調後に所定の信号幅を有する1信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波パルス列を、第1の時間幅と第2のパワーレベルを持つパルス部と、合計でクロック時間の時間幅を有する第3のパワーレベルの低レベルパルスと第4のパワーレベルの高レベルパルスとが交互に所定のデューティ比で所定回数連続するマルチパルス部と、第2の時間幅と第5のパワーレベルを有するパルス部からなる電磁波パルス列とし、前記記録制御手段は、前記第1の時間幅、前記デューティ比、前記第2の時間幅の各々を線速に応じて設定するものであり、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する装置において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができる。
請求項4に係る発明は、電磁波を情報記録媒体に照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、前記情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である情報記録再生装置において、信号を変調して前記情報記録媒体にPWM記録方式により情報の記録を行う記録手段を備え、この記録手段は、変調後の信号幅がnT(Tはクロック時間)である0信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波をパワーレベルeの連続電磁波とし、変調後の信号幅がnTである1信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波パルス列を、時間幅xとパワーレベルaを持つパルス部fpと、合計でTの時間幅を持つパワーレベルbの低レベルパルスとパワーレベルcの高レベルパルスとが交互にデューティ比yで計(n−n’)回連続するマルチパルス部mpと、時間幅zとパワーレベルdを持つパルス部opからなる電磁波パルス列とし、x,y,zを0.5T≦x≦2T、0.4≦y≦0.6、0.5T≦z≦1Tとし、n’をn’≦nの正の整数とし、(a及びc)>e>(b及びd)とするものであり、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する装置において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができる。
請求項5に係る発明は、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、記録すべき信号を変調する方式をEFM変調方式或いはその改良変調方式とし、n’=2とする。このため、書き換え型コンパクトディスクに適した記録方法を提供できる。
請求項6に係る発明は、請求項3または4記載の情報記録再生装置において、前記記録手段は記録すべき信号をEFM変調方式或いはその改良変調方式で変調し、n’=2としたものであり、書き換え型コンパクトディスクに適した記録装置を提供できる。
請求項7に係る発明は、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、e/aもしくはe/cが0.3以上0.7以下となるように電磁波のパワーレベルを制御して信号の記録及び/又は書き換えを行う。このため、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において最適な記録パワーを得ることができる。
請求項8に係る発明は、請求項3または4記載の情報記録再生装置において、e/aもしくはe/cが0.3以上0.7以下となるように電磁波のパワーレベルを制御して信号の記録及び/又は書き換えを行わせる手段を備えたものであり、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する装置において最適な記録パワーを得ることができる。
請求項9に係る発明は、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、情報記録媒体の再生時の反射波強度により、x,y,zと、信号を再生するための電磁波のパワーレベルとを決定する。このため、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において最適な記録パルス波形を得ることができる。
請求項10に係る発明は、請求項3または4記載の情報記録再生装置において、情報記録媒体の再生時の反射波強度により、x,y,zと、信号を再生するための電磁波のパワーレベルとを決定する手段を備えたものであり、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において最適な記録パルス波形を得ることができる。
請求項11に係る発明は、請求項1または2記載の情報記録再生方法または請求項3または4記載の情報記録再生装置で用いられる情報記録媒体であって、少なくとも基板、耐熱性保護層、記録層を含むものであり、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項12に係る発明は、請求項11記載の情報記録媒体において、反射放熱層を含むものであり、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項13に係る発明は、請求項11記載の情報記録媒体において、前記耐熱性保護層は前記記録層を挟むように両側に設けられているものであり、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項14に係る発明は、請求項11記載の情報記録媒体において、前記基板と前記記録層との間に配置さけた前記耐熱性保護層の膜厚は500〜2500オングストロームであるものであり、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項15に係る発明は、請求項11記載の情報記録媒体において、前記記録層の上部に前記耐熱性保護層を設ける場合には、前記耐熱性保護層の膜厚を100〜1500オングストロームとするものであり、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項16に係る発明は、請求項11記載の情報記録媒体において、前記記録層の主な構成元素がAg、In、Sb、Teであるものであり、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項17に係る発明は、請求項11記載の情報記録媒体において、前記記録層の膜厚は100〜1000オングストロームであるものであり、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項18に係る発明は、請求項11記載の情報記録媒体において、前記基板は、ガラス、セラミックあるいは樹脂により構成されているものであり、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項19に係る発明は、請求項11記載の情報記録媒体において、前記耐熱性保護層の材料は、SiO,SiO2,ZnO,SnO2,Al2O2,TiO2,In2O2,MgO,ZrO2などの金属酸化物、Si2N4,AlN,TiN,BN,ZrNなどの窒化物、ZnS,In2S3,TaS4などの硫化物、SiC,TaC,B4C,WC,TiC,ZrCなどの炭化物、ダイヤモンドカーボンあるいはそれらの混合物であるものであり、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項20に係る発明は、請求項12記載の情報記録媒体において、前記反射放熱層は、Al,Auなどの金属材料、またはそれらの合金から構成されるものであり、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項21に係る発明は、請求項12記載の情報記録媒体において、前記反射放熱層の膜厚は300〜2000オングストロームであるものであり、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項22に係る発明は、請求項3または4記載の情報記録再生装置において、情報記録時に情報記録媒体を1.2m/s以上5.6m/s以下の回転線速度で回転させるものであり、書き換え型コンパクトディスクに適した記録条件を得ることができる。
請求項23に係る発明は、請求項1または2記載の情報記録再生方法または請求項3または4記載の情報記録再生装置で用いられる情報記録媒体であって、情報記録時に1.2m/s以上5.6m/s以下の回転線速度で回転させられるものであり、書き換え型コンパクトディスクに適した情報記録媒体を提供できる。
請求項24に係る発明は、請求項22記載の情報記録再生装置において、記録されるべき情報の一部を一時的に記憶する手段を備えたものであり、相変化型情報記録媒体を書き換え型コンパクトディスクに用いるシステムに用いられる情報記録媒体の汎用性と互換性を向上させることができると同時にシステムの信頼性を向上させることができる。
請求項25に係る発明は、請求項24記載の情報記録再生装置において、情報記録時の情報記録媒体の回転線速度を情報再生時の情報記録媒体の回転線速度よりも高くすることができる手段を備えたものであり、書き換え型コンパクトディスクに用いるシステムの汎用性と互換性を向上させることができる。
請求項26に係る発明は、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、xを1T≦x≦1.75Tとする。このため、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができ、かつ、情報記録媒体を基準線速で移動させる場合及び情報記録媒体を基準線速の2倍の速度で移動させる場合に共に記録部の先端側を品質良く安定に記録、書き換えすることができる。
請求項27に係る発明は、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、zを0.5T≦z≦1Tとする。このため、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができ、かつ、情報記録媒体を基準線速で移動させる場合及び情報記録媒体を基準線速の2倍の速度で移動させる場合に共に記録部の後端側を品質良く安定に記録、書き換えすることができる。
請求項28に係る発明は、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、情報記録媒体をコンパクトディスクの基準線速で移動させる場合にx,y,zを1T≦x≦1.75T、0.4≦y≦0.6、0.5T≦z≦1Tとする。このため、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができ、かつ、情報記録媒体を基準線速で移動させる場合及び情報記録媒体を基準線速の2倍の速度で移動させる場合に共に記録部全体を品質良く安定に記録、書き換えすることができる。
以上のように請求項1に係る発明によれば、電磁波を情報記録媒体に照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、前記情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である情報記録再生方法において、信号を変調して前記情報記録媒体にPWM記録方式により情報の記録を行う際に、変調後に所定の信号幅を有する信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波を第1のパワーレベルの連続電磁波とし、変調後に所定の信号幅を有する1信号の記録あるいは書き換えを行うときの記録波パルス列を、第1の時間幅と第2のパワーレベルを有するパルス部と、合計でクロック時間の時間幅を有する第3のパワーレベルの低レベルパルスと第4のパワーレベルの高レベルパルスとが交互に所定のデューティ比で所定回数連続するマルチパルス部と、第2の時間幅と第5のパワーレベルを有するパルス部とからなる電磁波パルス列とし、前記第1の時間幅、前記デューティ比、前記第2の時間幅の各々を線速に応じて設定するので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができる。
請求項2に係る発明によれば、電磁波を情報記録媒体に照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、前記情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である情報記録再生方法において、信号を変調して前記情報記録媒体にPWM記録することにより情報の記録を行う際に、変調後の信号幅がnT(Tはクロック時間)である0信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波をパワーレベルeの連続電磁波とし、変調後の信号幅がnTである1信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波パルス列を、時間幅xとパワーレベルaを持つパルス部fpと、合計でTの時間幅を持つパワーレベルbの低レベルパルスとパワーレベルcの高レベルパルスとが交互にデューティ比yで計(n−n’)回連続するマルチパルス部mpと、時間幅zとパワーレベルdを持つパルス部opからなる電磁波パルス列とし、x,y,zを0.5T≦x≦2T、0.4≦y≦0.6、0.5T≦z≦1Tとし、n’をn’≦nの正の整数とし、(a及びc)>e>(b及びd)とするので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができる。
請求項3に係る発明によれば、電磁波を情報記録媒体に照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、前記情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である情報記録再生装置において、信号を変調して情報記録媒体にPWM記録方式により情報の記録を行う記録手段と、この記録手段を制御する記録制御手段とを備え、信号を変調して情報記録媒体にPWM記録方式により情報の記録を行う際に、変調後に所定の信号幅を有する信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波を第1のパワーレベルの連続電磁波とし、変調後に所定の信号幅を有する1信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波パルス列を、第1の時間幅と第2のパワーレベルを持つパルス部と、合計でクロック時間の時間幅を有する第3のパワーレベルの低レベルパルスと第4のパワーレベルの高レベルパルスとが交互に所定のデューティ比で所定回数連続するマルチパルス部と、第2の時間幅と第5のパワーレベルを有するパルス部からなる電磁波パルス列とし、前記記録制御手段は、前記第1の時間幅、前記デューティ比、前記第2の時間幅の各々を線速に応じて設定するので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する装置において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができる。
請求項4に係る発明によれば、電磁波を情報記録媒体に照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、前記情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である情報記録再生装置において、信号を変調して前記情報記録媒体にPWM記録方式により情報の記録を行う記録手段を備え、この記録手段は、変調後の信号幅がnT(Tはクロック時間)である0信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波をパワーレベルeの連続電磁波とし、変調後の信号幅がnTである1信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波パルス列を、時間幅xとパワーレベルaを持つパルス部fpと、合計でTの時間幅を持つパワーレベルbの低レベルパルスとパワーレベルcの高レベルパルスとが交互にデューティ比yで計(n−n’)回連続するマルチパルス部mpと、時間幅zとパワーレベルdを持つパルス部opからなる電磁波パルス列とし、x,y,zを0.5T≦x≦2T、0.4≦y≦0.6、0.5T≦z≦1Tとし、n’をn’≦nの正の整数とし、(a及びc)>e>(b及びd)とするので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する装置において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができる。
請求項5に係る発明によれば、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、記録すべき信号を変調する方式をEFM変調方式或いはその改良変調方式とし、n’=2としたので、書き換え型コンパクトディスクに適した記録方法を提供できる。
請求項6に係る発明によれば、請求項3または4記載の情報記録再生装置において、前記記録手段は記録すべき信号をEFM変調方式或いはその改良変調方式で変調し、n’=2としたので、書き換え型コンパクトディスクに適した記録装置を提供できる。
請求項7に係る発明によれば、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、情報記録媒体から情報を再生する再生時に情報記録媒体から検知手段により検出した信号をDCカップリングし、このDCカップリングの出力レベルにおける高レベルI1と低レベルI2からm=(I1−I2)/I1×100を計算し、このmにより実質的にa及び/又はcを決定するので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において最適な記録パワーを得ることができる。
請求項8に係る発明によれば、請求項3または4記載の情報記録再生装置において、情報記録媒体から情報を再生する再生時に情報記録媒体から信号を検出する検出手段と、この検知手段により検出した信号をDCカップリングするDCカップリング手段と、このDCカップリング手段の出力レベルにおける高レベルI1と低レベルI2からm=(I1−I2)/I1×100を計算し、このmにより実質的にa及び/又はcを決定する手段とを備えたので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する装置において最適な記録パワーを得ることができる。
請求項9に係る発明によれば、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、情報記録媒体から情報を再生する再生時に情報記録媒体から検知手段により検出した信号をACカップリングし、このACカップリングの出力レベルにおける高レベルS1と低レベルS2からβ=(S1+S2)/(S1−S2)×100を計算し、このβにより実質的にe及び/又はa、cを決定するので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において最適な記録パワーを得ることができる。
請求項10に係る発明によれば、請求項3または4記載の情報記録再生装置において、情報記録媒体から情報を再生する再生時に情報記録媒体から信号を検出する検出手段と、この検知手段により検出した信号をACカップリングするACカップリング手段と、このACカップリングの出力レベルにおける高レベルS1と低レベルS2からβ=(S1+S2)/(S1−S2)×100を計算し、このβにより実質的にe及び/又はa、cを決定する手段とを備えたので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する装置において最適な記録パワーを得ることができる。
請求項11に係る発明によれば、請求項7または9記載の情報記録再生方法において、エラーを検出してエラーにより実質的にb及びdを決定するので、信頼性の高い信号記録方法を提供できる。
請求項12に係る発明によれば、請求項8または10記載の情報記録再生装置において、エラーを検出してエラーにより実質的にb及びdを決定する手段を備えたので、信頼性の高い信号記録装置を提供できる。
請求項13に係る発明によれば、請求項9または11記載の情報記録再生方法において、βが−2以上10以下となるように電磁波のパワーレベルを制御して信号の記録及び/又は書き換えを行うので、オーバーライト時に信頼性の高い最適な記録パワーを得ることができる。
請求項14に係る発明によれば、請求項10または12記載の情報記録再生装置において、βが−2以上10以下となるように電磁波のパワーレベルを制御して信号の記録及び/又は書き換えを行わせる手段を備えたので、オーバーライト時に信頼性の高い最適な記録パワーを得ることができる。
請求項15に係る発明によれば、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、e/aもしくはe/cが0.3以上0.7以下となるように電磁波のパワーレベルを制御して信号の記録及び/又は書き換えを行うので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において最適な記録パワーを得ることができる。
請求項16に係る発明によれば、請求項3または4記載の情報記録再生装置において、e/aもしくはe/cが0.3以上0.7以下となるように電磁波のパワーレベルを制御して信号の記録及び/又は書き換えを行わせる手段を備えたので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する装置において最適な記録パワーを得ることができる。
請求項17に係る発明によれば、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、情報記録媒体の再生時の反射波強度により、x,y,zと、信号を再生するための電磁波のパワーレベルとを決定するので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において最適な記録パルス波形を得ることができる。
請求項18に係る発明によれば、請求項3または4記載の情報記録再生装置において、情報記録媒体の再生時の反射波強度により、x,y,zと、信号を再生するための電磁波のパワーレベルとを決定する手段を備えたので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において最適な記録パルス波形を得ることができる。
請求項19記載の発明によれば、請求項1または2記載の情報記録再生方法または請求項3または4記載の情報記録再生装置で用いられる情報記録媒体であって、少なくとも基板、耐熱性保護層、記録層を含むので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項20記載の発明によれば、請求項19記載の情報記録媒体において、反射放熱層を含むので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項21記載の発明によれば、請求項19記載の情報記録媒体において、前記耐熱性保護層は前記記録層を挟むように両側に設けられているので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項22記載の発明によれば、請求項19記載の情報記録媒体において、前記基板と前記記録層との間に配置さけた前記耐熱性保護層の膜厚は500〜2500オングストロームであるので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項23記載の発明によれば、請求項19記載の情報記録媒体において、前記記録層の上部に前記耐熱性保護層を設ける場合には、前記耐熱性保護層の膜厚を100〜1500オングストロームとするので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項24記載の発明によれば、請求項19記載の情報記録媒体において、前記記録層の主な構成元素がAg、In、Sb、Teであるので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項25記載の発明によれば、請求項19記載の情報記録媒体において、前記記録層の膜厚は100〜1000オングストロームであるので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項26記載の発明によれば、請求項19記載の情報記録媒体において、前記基板は、ガラス、セラミックあるいは樹脂により構成されているので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項27記載の発明によれば、請求項19記載の情報記録媒体において、前記耐熱性保護層の材料は、SiO,SiO2,ZnO,SnO2,Al2O2,TiO2,In2O2,MgO,ZrO2などの金属酸化物、Si2N4,AlN,TiN,BN,ZrNなどの窒化物、ZnS,In2S3,TaS4などの硫化物、SiC,TaC,B4C,WC,TiC,ZrCなどの炭化物、ダイヤモンドカーボンあるいはそれらの混合物であるので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項28記載の発明によれば、請求項20記載の情報記録媒体において、前記反射放熱層は、Al,Auなどの金属材料、またはそれらの合金から構成されるので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項29記載の発明によれば、請求項20記載の情報記録媒体において、前記反射放熱層の膜厚は300〜2000オングストロームであるので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
請求項30記載の発明によれば、請求項3または4記載の情報記録再生装置において、情報記録時に情報記録媒体を1.2m/s以上5.6m/s以下の回転線速度で回転させるので、書き換え型コンパクトディスクに適した記録条件を得ることができる。
請求項31記載の発明によれば、請求項1または2記載の情報記録再生方法または請求項3または4記載の情報記録再生装置で用いられる情報記録媒体であって、情報記録時に1.2m/s以上5.6m/s以下の回転線速度で回転させられるので、書き換え型コンパクトディスクに適した情報記録媒体を提供できる。
請求項32記載の発明によれば、請求項30記載の情報記録再生装置において、記録されるべき情報の一部を一時的に記憶する手段を備えたので、相変化型情報記録媒体を書き換え型コンパクトディスクに用いるシステムに用いられる情報記録媒体の汎用性と互換性を向上させることができると同時にシステムの信頼性を向上させることができる。
請求項33記載の発明によれば、請求項32記載の情報記録再生装置において、情報記録時の情報記録媒体の回転線速度を情報再生時の情報記録媒体の回転線速度よりも高くすることができる手段を備えたので、書き換え型コンパクトディスクに用いるシステムの汎用性と互換性を向上させることができる。
請求項34記載の発明によれば、電磁波を情報記録媒体に照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、前記情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である情報記録再生方法において、前記情報記録媒体に対して記録パワーPを逐次変化させながら未記録部と記録部とからなるパターンに情報をテスト記録し、このテスト記録した情報を再生して記録パワーPに対応した記録信号振幅mをモニターし、規格化された傾斜g(P)を
g(P)=(Δm/m)/(ΔP/P)
ΔP:Pの近傍における微小変化量
Δm:mの近傍におけるΔPに対応した微小変化量
なる式で求め、前記規格化された傾斜g(P)に基づいて記録パワーの過不足を評価することにより最適記録パワーを決定して設定するので、情報記録再生装置が異なっても全て唯一の記録パワーをバラツキなく確実に設定することができて消去可能な回数の増大及び記録の信頼性向上を計ることができ、汎用性の高さと記録パワーの設定精度に優れている。
請求項35記載の発明によれば、電磁波を情報記録媒体に照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、前記情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である情報記録再生方法において、前記情報記録媒体に対して記録パワーPを逐次変化させながら未記録部と記録部とからなるパターンに情報をテスト記録し、このテスト記録した情報を再生して記録パワーPに対応した記録信号振幅mをモニターし、規格化された傾斜g(P)を
g(P)=(Δm/m)/(ΔP/P)
ΔP:Pの近傍における微小変化量
Δm:mの近傍におけるΔPに対応した微小変化量
なる式で求め、0.2〜2.0から選ばれる特定の値Sを設定し、前記規格化された傾斜g(P)がSに一致するような記録パワーPsを検出し、Psに対して1.0〜1.7を乗じて最適記録パワーを設定するので、最適記録パワーを更に高精度に設定することができ、情報記録再生装置を低コストにできる。
請求項36記載の発明によれば、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、xを1T≦x≦1.75Tとするので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができ、かつ、情報記録媒体を基準線速で移動させる場合及び情報記録媒体を基準線速の2倍の速度で移動させる場合に共に記録部の先端側を品質良く安定に記録、書き換えすることができる。
請求項37に係る発明によれば、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、zを0.5T≦z≦1Tとするので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができ、かつ、情報記録媒体を基準線速で移動させる場合及び情報記録媒体を基準線速の2倍の速度で移動させる場合に共に記録部の後端側を品質良く安定に記録、書き換えすることができる。
請求項38に係る発明によれば、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、情報記録媒体をコンパクトディスクの基準線速で移動させる場合にx,y,zを1T≦x≦1.75T、0.4≦y≦0.6、0.5T≦z≦1Tとするので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができ、かつ、情報記録媒体をコンパクトディスクの基準線速で移動させる場合及び情報記録媒体をコンパクトディスクの基準線速の2倍の速度で移動させる場合に共に記録部全体を品質良く安定に記録、書き換えすることができる。
図1は請求項2、4〜6記載の発明を適用した相変化型情報記録再生装置の実施形態における記録波のパルス波形を4T信号の例について模式的に示したものである。この実施形態は、図14に示すように相変化型光ディスクからなる相変化型情報記録媒体11をスピンドルモータからなる駆動手段12により回転駆動し、記録再生用ピックアップ13にて光源駆動手段としてのレーザ駆動回路14により半導体レーザからなる光源を駆動して該半導体レーザから図示しない光学系を介して情報記録媒体11に電磁波としてレーザ光を照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、情報記録媒体11からの反射光を記録再生用ピックアップ13で受光して情報記録媒体11に対する情報の記録や再生を行う。記録再生用ピックアップ13の最適記録パワーは記録パワー設定手段としての記録パワー設定回路15により設定される。
このように本実施形態は、記録再生用ピックアップ13にて電磁波としてレーザ光を相変化型情報記録媒体11に照射することにより該情報記録媒体11の記録層に相変化を生じさせ、情報記録媒体11に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である相変化型情報記録再生装置であり、記録すべき信号を変調部で変調して記録再生用ピックアップ13にて情報記録媒体に記録することにより情報の記録を行う記録手段を備えている。このピックアップ13を含む記録手段は、情報記録媒体の記録層に対してマークの幅として信号を記録するようにマークを記録する、いわゆるPWM記録方式で情報の記録を行う。記録手段は記録すべき信号を変調部にてクロックを用いて例えば書き換え型コンパクトディスクの情報記録に適したEFM(Eight−to−Fourteen Modulation)変調方式、あるいはその改良変調方式で変調する。
記録手段は、PWM記録を行う際に、変調後の信号幅がnT(nは所定の値、Tはクロック時間:信号の変調に用いるクロックの周期に相当する時間)である0信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録光をパワーレベルeの連続光とし、変調後の信号幅がnTである1信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録光のパルス列を、時間幅xとパワーレベルaを持つパルス部fpと、合計でTの時間幅を持つパワーレベルbの低レベルパルスとパワーレベルcの高レベルパルスとが交互にデューティ比yで計(n−n’)回連続するマルチパルス部mpと、時間幅zとパワーレベルdを持つパルス部opからなる電磁波パルス列とし、x,y,zを0.5T≦x≦2T、0.4≦y≦0.6、0.5T≦z≦1Tとし、nを1以上の正の整数とし、n’をn’≦nの正の整数とし、(a及びc)>e>(b及びd)とする。図1(b)はn’=1の場合、図1(c)はn’=2の場合、図1(c)はn’=3の場合である。
一般に、相変化型情報記録媒体における1信号(2値信号の‘1’の部分)の記録は、相変化型情報記録媒体の記録層にアモルファス部(アモルファス相)を形成することによって行われる。相変化型情報記録媒体の記録層におけるアモルファス相の形成には、記録層の融点以上への昇温と、その後の十分な冷却速度が必要である。ここに、パルス部fpは相変化型情報記録媒体の記録層を融点以上に昇温させて記録マークの先頭部を形成させ、マルチパルス部mpは記録層を昇温させて記録マークの中間部を形成させ、パルス部opは記録層を冷却させて記録マークの後端部を形成させる。相変化型情報記録媒体の線速を可変すれば相変化型情報記録媒体に対する電磁波照射量が変化して記録層の融点以上への昇温とその後の冷却速度が変化することになり、相変化型情報記録媒体の線速の可変で記録層の融点以上への昇温とその後の冷却速度を適切に設定することが有効である。
一方、相変化型情報記録媒体の記録層にPWM記録方式で情報の記録を行う場合には、記録マークのエッジ部に情報を持たせるので、記録層上の記録部と未記録部との境界が不明確になったり記録部が結晶化されて消去されたりすることを避けるため、記録層における記録を行いたい部分以外の部分に対しては熱の影響を抑えなければならない。
このように、記録層の記録すべき部分と常温に保つべき部分との昇温条件を明確に区別するためには、記録層で余剰な熱を発生させないこと、記録層の膜内での熱の伝導を低く抑えることが有効である。このようにすることにより、記録部と未記録部との境界が明確となり、ジッタが小さくて品質の良い記録信号を得ることができる。
記録手段が図1に示す記録波形を用いたことにより、これらの条件を満たす最適な記録条件を得ることが可能となり、相変化型情報記録媒体の記録層にPWM記録を行う場合に品質の良い記録マークを安定に記録、書き換えできる。ここに、好適な記録条件は、x,y,zを0.5T≦x≦2T、0.4≦y≦0.6、0.5T≦z≦1Tとし、(a及びc)>e>(b及びd)とすることである。
このように、この実施形態は、請求項2に係る発明の実施形態であって、電磁波を情報記録媒体に照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、前記情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である情報記録再生方法において、信号を変調して前記情報記録媒体にPWM記録することにより情報の記録を行う際に、変調後の信号幅がnT(Tはクロック時間)である0信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波をパワーレベルeの連続電磁波とし、変調後の信号幅がnTである1信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波パルス列を、時間幅xとパワーレベルaを持つパルス部fpと、合計でTの時間幅を持つパワーレベルbの低レベルパルスとパワーレベルcの高レベルパルスとが交互にデューティ比yで計(n−n’)回連続するマルチパルス部mpと、時間幅zとパワーレベルdを持つパルス部opからなる電磁波パルス列とし、x,y,zを0.5T≦x≦2T、0.4≦y≦0.6、0.5T≦z≦1Tとし、n’をn’≦nの正の整数とし、(a及びc)>e>(b及びd)とするので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができる。
また、この実施形態は、請求項4に係る発明の実施形態であって、電磁波を情報記録媒体に照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、前記情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である情報記録再生装置において、信号を変調して前記情報記録媒体にPWM記録方式により情報の記録を行う記録手段を備え、この記録手段は、変調後の信号幅がnT(Tはクロック時間)である0信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波をパワーレベルeの連続電磁波とし、変調後の信号幅がnTである1信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波パルス列を、時間幅xとパワーレベルaを持つパルス部fpと、合計でTの時間幅を持つパワーレベルbの低レベルパルスとパワーレベルcの高レベルパルスとが交互にデューティ比yで計(n−n’)回連続するマルチパルス部mpと、時間幅zとパワーレベルdを持つパルス部opからなる電磁波パルス列とし、x,y,zを0.5T≦x≦2T、0.4≦y≦0.6、0.5T≦z≦1Tとし、n’をn’≦nの正の整数とし、(a及びc)>e>(b及びd)とするので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する装置において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができる。
また、この実施形態は、請求項5に係る発明の実施形態であって、請求項2記載の情報記録再生方法において、記録すべき信号を変調する方式をEFM変調方式或いはその改良変調方式とし、n’=2としたので、書き換え型コンパクトディスクに適した記録方法を提供できる。
また、この実施形態は、請求項6に係る発明の実施形態であって、請求項4記載の情報記録再生装置において、前記記録手段は記録すべき信号をEFM変調方式或いはその改良変調方式で変調し、n’=2としたので、書き換え型コンパクトディスクに適した記録装置を提供できる。
また、上記実施形態において、x,y,zは、より好適な記録条件を得るには、相変化型情報記録媒体の反射光強度により決定するのが望ましい。請求項17、18に係る発明を適用した情報記録再生装置の実施形態では、上記実施形態において、情報記録媒体の再生時の反射光強度により、x,y,zと、信号を再生するための再生光のパワーレベルとを決定する手段を備えており、最適な記録パルス波形を得ることができる。
このように、請求項17に係る発明の実施形態では、請求項2記載の情報記録再生方法において、情報記録媒体の再生時の反射波強度により、x,y,zと、信号を再生するための電磁波のパワーレベルとを決定するので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において最適な記録パルス波形を得ることができる。
また、請求項18に係る発明の実施形態では、請求項4記載の情報記録再生装置において、情報記録媒体の再生時の反射波強度により、x,y,zと、信号を再生するための電磁波のパワーレベルとを決定する手段を備えたので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において最適な記録パルス波形を得ることができる。
請求項1、3に係る発明を適用した相変化型情報記録再生装置の実施形態では、上記請求項2、4〜6に係る発明の実施形態において、信号を変調して情報記録媒体にPWM記録方式により情報の記録を行う記録手段と、この記録手段を制御する記録制御手段とを備え、記録手段は信号を変調部により変調して記録再生用ピックアップ13にて情報記録媒体に記録することにより情報の記録を行う。
記録手段は、信号を変調して情報記録媒体にPWM記録方式により情報の記録を行う際に、変調後に所定の信号幅を有する0信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波を第1のパワーレベルeの連続電磁波とし、変調後に所定の信号幅nTを有する1信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波パルス列を、第1の時間幅xと第2のパワーレベルaを持つパルス部fpと、合計でクロック時間の時間幅Tを有する第3のパワーレベルbの低レベルパルスと第4のパワーレベルのc高レベルパルスとが交互に所定のデューティ比yで所定回数(n−n’)連続するマルチパルス部mpと、第2の時間幅zと第5のパワーレベルdを有するパルス部opからなる電磁波パルス列とする。記録制御手段は、記録部を制御することにより、時間幅x、デューティ比y、時間幅zの各々を情報記録媒体の線速に応じて設定する。
このように、本実施形態は、請求項1に係る発明の実施形態であって、電磁波を情報記録媒体に照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、前記情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である情報記録再生方法において、信号を変調して前記情報記録媒体にPWM記録方式により情報の記録を行う際に、変調後に所定の信号幅を有する信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波を第1のパワーレベルeの連続電磁波とし、変調後に所定の信号幅nTを有する1信号の記録あるいは書き換えを行うときの記録波パルス列を、第1の時間幅xと第2のパワーレベルaを有するパルス部fpと、合計でクロック時間の時間幅Tを有する第3のパワーレベルbの低レベルパルスと第4のパワーレベルcの高レベルパルスとが交互に所定のデューティ比yで所定回数(n−n’)連続するマルチパルス部mpと、第2の時間幅zと第5のパワーレベルdを有するパルス部opとからなる電磁波パルス列とし、前記第1の時間幅x、前記デューティ比y、前記第2の時間幅zの各々を線速に応じて設定するので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができる。
また、本実施形態は、請求項3に係る発明の実施形態であって、電磁波を情報記録媒体に照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、前記情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である情報記録再生装置において、信号を変調して情報記録媒体にPWM記録方式により情報の記録を行う記録手段と、この記録手段を制御する記録制御手段とを備え、信号を変調して情報記録媒体にPWM記録方式により情報の記録を行う際に、変調後に所定の信号幅を有する0信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波を第1のパワーレベルeの連続電磁波とし、変調後に所定の信号幅nTを有する1信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波パルス列を、第1の時間幅xと第2のパワーレベルaを持つパルス部fpと、合計でクロック時間の時間幅Tを有する第3のパワーレベルbの低レベルパルスと第4のパワーレベルcの高レベルパルスとが交互に所定のデューティ比yで所定回数(n−N’)連続するマルチパルス部mpと、第2の時間幅aと第5のパワーレベルdを有するパルス部opからなる電磁波パルス列とし、前記記録制御手段は、前記第1の時間幅x、前記デューティ比y、前記第2の時間幅zの各々を線速に応じて設定するので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する装置において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができる。
請求項5、6、17、18に係る発明は、上記請求項2、4〜6に係る発明の実施形態に適用した場合と同様に請求項1、3に係る発明の実施形態に適用することができる。
記録可能なコンパクトディスク(CD−R)では、一般に波長約780nm、NA0.5のピックアップを用いて情報の記録、再生を行うが、このピックアップを用いて相変化型情報記録媒体の反射光強度を反射率に換算した場合の換算値が低いほどxの値が小さい方が好ましく、その換算値が高いほどxが大きい方が好ましい。具体的には、xの値は、情報記録媒体の反射率がおよそ10〜15%であれば0.5T〜1T、情報記録媒体の反射率がおよそ15〜20%であれば0.75T〜1.25T、情報記録媒体の反射率がおよそ20〜25%であれば1T〜1.5T、情報記録媒体の反射率がおよそ25〜30%であれば1.25T〜2Tがより好適である。ここでの情報記録媒体の反射率の較正にはPhilips Consumer Electronics社が提供しているCD−R校正用ディスクを用いたが、実際に相変化型情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能であるドライブシステムでは、相変化型情報記録媒体の反射光強度を反射率に換算する必要はなく、相変化型情報記録媒体の反射光強度のみでのxの制御が可能である。
図2はb=dの場合のbとC1エラー(CD規格のエラー)との関係を示す。bはC1エラーのエラー率によって適値が存在することがわかる。bが大きすぎると、情報記録媒体の急冷条件が崩れるので、情報記録媒体に安定なアモルファスマークを記録することができなくなる。また、逆にbが小さすぎる場合は、昇温しにくくなるので、同一のa、cあるいはeで情報記録媒体にアモルファスマークを記録することが困難となり、感度に支障を来す。従って、記録時の情報記録媒体の線速度、情報記録媒体の使用環境、情報記録媒体の急冷・昇温構造、ピックアップの情報記録媒体に照射するビームの成形のばらつきなどによりb、dの適値が異なるが、それらのばらつきを補正してより信頼性の高い記録条件を得るためにb及びdの値を調節することは有効である。
請求項11、12に係る発明を適用した情報記録再生装置の実施形態では、後述する請求項7〜10に係る発明の実施形態において、C1エラーを検出してC1エラーにより実質的にb及びdを決定する手段を備えており、信頼性の高い信号記録を行うことができる。
このように、請求項11に係る発明の実施形態では、請求項7または9記載の情報記録再生方法において、エラーを検出してエラーにより実質的にb及びdを決定するので、信頼性の高い信号記録方法を提供できる。
また、請求項12に係る発明の実施形態では、請求項8または10記載の情報記録再生装置において、エラーを検出してエラーにより実質的にb及びdを決定する手段を備えたので、信頼性の高い信号記録装置を提供できる。
また、請求項7、8に係る発明を適用した情報記録再生装置の実施形態では、上記実施形態において、情報記録媒体から情報を再生する再生時に情報記録媒体から信号を検出する検出手段と、この検知手段により検出した信号をDCカップリングするDCカップリング手段と、このDCカップリング手段の出力レベルにおける高レベルI1と低レベルI2から
m=(I1−I2)/I1×100・・・(1)
を計算し、このmにより実質的にa及び/又はcを決定する手段とを備えている。
図3は式(1)で表わされるmと、a=cの場合のa及びeとの関係を示す。mは主にaのみに依存し、eにはほとんど依存しないことがわかる。この図から、mを検出することで十分な信号振幅を持つa及びbを選ぶことができ、エラーが少ない最適な記録パワーを得ることができて信頼性の高いシステムを確保できることがわかる。mの適値はシステム構成に依存するが、m≧0.5がエラー率などの信頼性を高めるためには適当である。
このように、請求項7に係る発明の実施形態では、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、情報記録媒体から情報を再生する再生時に情報記録媒体から検知手段により検出した信号をDCカップリングし、このDCカップリングの出力レベルにおける高レベルI1と低レベルI2からm=(I1−I2)/I1×100を計算し、このmにより実質的にa及び/又はcを決定するので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において最適な記録パワーを得ることができる。
また、請求項8に係る発明の実施形態では、請求項3または4記載の情報記録再生装置において、情報記録媒体から情報を再生する再生時に情報記録媒体から信号を検出する検出手段と、この検知手段により検出した信号をDCカップリングするDCカップリング手段と、このDCカップリング手段の出力レベルにおける高レベルI1と低レベルI2からm=(I1−I2)/I1×100を計算し、このmにより実質的にa及び/又はcを決定する手段とを備えたので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する装置において最適な記録パワーを得ることができる。
また、請求項9、10、13、14に係る発明を適用した情報記録再生装置の実施形態では、上記実施形態において、情報記録媒体から情報を再生する再生時に情報記録媒体から信号を検出する検出手段と、この検知手段により検出した信号をACカップリングするACカップリング手段と、このACカップリングの出力レベルにおける高レベルS1と低レベルS2から
β=(S1+S2)/(S1−S2)×100・・・(2)
を計算し、このβにより実質的にe及び/又はa、cを決定する手段とを備えている。
図4は式(2)で表わされるβと、a=cの場合のa及びeとの関係を示す。βはaにもeにも依存性を示すことがわかる。また、図4において、数字は低ジッタを保ちながら繰り返してオーバーライトできる安定性を示しており、数字が大きいほどオーバーライト可能回数が大きいことを示す。この図から、βを検出することで、最適な記録パワーによる最適なオーバーライト性能とシステムの信頼性を確保できる実質的なa、cおよびeの値を決定できることがわかる。
βの範囲は−2以上10以下が好適であるが、0以上8以下がより好適であり、2以上7以下が最適である。βとeの関係は、3T信号と11T信号の振幅から計算されるアシメトリとeとの関係とも類似しており、従ってβをアシメトリで代用することも可能である。しかし、3T信号の振れ幅の検出よりも11T信号の振れ幅の検出の方がシステム構成上容易であるため、βを用いるのが望ましい。
また、βは、a依存性が情報記録媒体によっては鈍感になる場合もあるが、eに対しては常に強い傾向がある。このことから、mの値を元に実質的にa及び/又はcを決定し、その後βの値を元にeを決定する方が、最適なオーバーライト性能とシステムの信頼性を確保できる上で適していると考えられる。また、実システム上、a〜eのパラメータを制御する際にe/aやe/cなどの他のパラメータを用いても実質的に同等であり、何ら問題はない。
このように、請求項9に係る発明の実施形態では、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、情報記録媒体から情報を再生する再生時に情報記録媒体から検知手段により検出した信号をACカップリングし、このACカップリングの出力レベルにおける高レベルS1と低レベルS2からβ=(S1+S2)/(S1−S2)×100を計算し、このβにより実質的にe及び/又はa、cを決定するので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において最適な記録パワーを得ることができる。
また、請求項10に係る発明の実施形態では、請求項3または4記載の情報記録再生装置において、情報記録媒体から情報を再生する再生時に情報記録媒体から信号を検出する検出手段と、この検知手段により検出した信号をACカップリングするACカップリング手段と、このACカップリングの出力レベルにおける高レベルS1と低レベルS2からβ=(S1+S2)/(S1−S2)×100を計算し、このβにより実質的にe及び/又はa、cを決定する手段とを備えたので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する装置において最適な記録パワーを得ることができる。
また、請求項13に係る発明の実施形態では、請求項9または11記載の情報記録再生方法において、βが−2以上10以下となるように電磁波のパワーレベルを制御して信号の記録及び/又は書き換えを行うので、オーバーライト時に信頼性の高い最適な記録パワーを得ることができる。
また、請求項14に係る発明の実施形態では、請求項10または12記載の情報記録再生装置において、βが−2以上10以下となるように電磁波のパワーレベルを制御して信号の記録及び/又は書き換えを行わせる手段を備えたので、オーバーライト時に信頼性の高い最適な記録パワーを得ることができる。
請求項15、16に係る発明を適用した情報記録再生装置の実施形態では、上記実施形態において、e/aもしくはe/cが0.3以上0.7以下となるように電磁波のパワーレベルを制御して信号の記録及び/又は書き換えを行わせる手段を備えており、上記実施形態と同様に最適な記録パワーを得ることができる。
このように、請求項15に係る発明の実施形態では、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、e/aもしくはe/cが0.3以上0.7以下となるように電磁波のパワーレベルを制御して信号の記録及び/又は書き換えを行うので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において最適な記録パワーを得ることができる。
また、請求項16に係る発明の実施形態では、請求項3または4記載の情報記録再生装置において、e/aもしくはe/cが0.3以上0.7以下となるように電磁波のパワーレベルを制御して信号の記録及び/又は書き換えを行わせる手段を備えたので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する装置において最適な記録パワーを得ることができる。
請求項30、31に係る発明を適用した情報記録再生装置の実施形態では、上記実施形態において、CD基準線速(CD1倍速)の1.2〜1.4m/s以上、4.8〜5.6m/s(CD4倍速)以下の回転速度で情報記録媒体を回転駆動手段により回転させる。情報記録媒体の回転線速度をこの線速領域とすることにより、既存のCDシステム(CDに対する情報の記録、再生を行うシステム)との互換性をとることができる。近年、特にCD−ROMプレーヤの領域ではCD−ROMの回転線速度を2倍速以上の高線速としたものが用いられているが、一方、音楽や動画(Video−CD)の分野では、リアルタイム再生が基本であるため、主にCD1倍速のものが用いられている。
このように、請求項30に係る発明の実施形態では、請求項3または4記載の情報記録再生装置において、情報記録時に情報記録媒体を1.2m/s以上5.6m/s以下の回転線速度で回転させるので、書き換え型コンパクトディスクに適した記録条件を得ることができる。
また、請求項31に係る発明の実施形態では、請求項1または2記載の情報記録再生方法または請求項3または4記載の情報記録再生装置で用いられる情報記録媒体であって、情報記録時に1.2m/s以上5.6m/s以下の回転線速度で回転させられるので、書き換え型コンパクトディスクに適した情報記録媒体を提供できる。
書き換え可能なCDシステムは、記録する情報を選ばないマルチメディアとして用いられるものであり、様々な種類のCDに対する情報の記録、再生、書き換えを行うものである。そのCDに対する情報の記録、再生、書き換えを行う際に、線速の異なる再生システムと記録システムとを組み合わせて用いることは不可避であり、再生時間と情報記録に要する時間との差を解消するための記憶手段が不可欠となる。
請求項32に係る発明を適用した情報記録再生装置の実施形態では、上記実施形態において、かかる記憶手段が主に半導体メモリで構成され、音楽用CDをリアルタイムで再生しながら、記憶手段を持つCD2倍速のシステムで情報を記録する際に、記録されるべき情報の一部を記憶手段に保存し、再生時間と情報記録に要する時間との差を解消することができる。
このように、請求項32に係る発明の実施形態では、請求項30記載の情報記録再生装置において、記録されるべき情報の一部を一時的に記憶する手段を備えたので、相変化型情報記録媒体を書き換え型コンパクトディスクに用いるシステムに用いられる情報記録媒体の汎用性と互換性を向上させることができると同時にシステムの信頼性を向上させることができる。
また、動画の編集等、リアルタイム再生が不必要な場合には情報記録に要する時間は短いことが要求されると同時に、同一の装置でCD1倍速のリアルタイム再生を必要とするシステム構成も十分に考えられ、この場合には情報記録時の情報記録媒体の回転速度が情報再生時の情報記録媒体の回転線速度よりも高くできる手段を持つシステムが望まれる。
そこで、請求項33に係る発明を適用した情報記録再生装置の実施形態では、上記実施形態において、情報記録時の情報記録媒体の回転線速度を情報再生時の情報記録媒体の回転線速度よりも高くすることができる手段を備えたものであり、書き換え型コンパクトディスクを用いたシステムの汎用性と互換性を高めることができる。
このように、請求項33に係る発明の実施形態では、請求項32記載の情報記録再生装置において、情報記録時の情報記録媒体の回転線速度を情報再生時の情報記録媒体の回転線速度よりも高くすることができる手段を備えたので、書き換え型コンパクトディスクに用いるシステムの汎用性と互換性を向上させることができる。
図5は請求項19〜29に係る発明を適用した情報記録媒体の実施形態を示す。この情報記録媒体は、上記実施形態で用いられるものであり、基板1上に耐熱性保護層2、記録層3、耐熱性保護層4、反射放熱層5が順次に設けられたものである。耐熱性保護層2、4は、必ずしも記録層3の両側に設ける必要はないが、基板1がポリカーボネート樹脂のように耐熱性が低い材料で構成されている場合には耐熱性保護層2を設けることが望ましい。
記録層3は、主な構成元素がAg、In、Sb、Teであり、各種気相成長法、たとえば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。記録層3の形成には、気相成長法以外にゾルゲル法のような湿式プロセスも適用可能である。記録層3の膜厚としては100〜1000Å、好適には150〜700Åとするのがよい。記録層3は、100Åより薄いと光吸収性能が著しく低下し、記録層としての役割をはたさなくなる。また、記録層3は、1000Åより厚いと、高速で均一な相変化が起こりにくくなる。
基板1の材料は、通常ガラス、セラミックスあるいは樹脂であり、樹脂基板が成形性、コストの点で好適である。その樹脂の代表例としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリルスチレン共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂などがあげられるが、基板1の材料には加工性、光学特性などの点でポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。また、基板1の形状としては、ディスク状、カード状あるいはシート状であってもよい。
耐熱性保護層2、4の材料としては、SiO、SiO2、ZnO、SnO2、Al2O3、TiO2、In2O3、MgO、ZrO2などの金属酸化物、Si3N4、AlN、TiN、BN、ZrNなどの窒化物、ZnS、In2S3、TaS4などの硫化物、SiC、TaC、B4C、WC、TiC、ZrCなどの炭化物、ダイヤモンドカーボンあるいはそれらの混合物が挙げられる。これらの材料は、単体で保護層とすることもできるが、お互いの混合物としてもよい。また、必要に応じて不純物を含んでいてもよい。但し、耐熱性保護層2、4の融点は記録層3の融点よりも高いことが必要である。
このような耐熱性保護層2、4は、各種気相成長法、たとえば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。耐熱性保護層2の膜厚としては、500〜2500Å、好適には1200〜2300Åとするのがよい。耐熱性保護層2は、500Åよりも薄くなると、耐熱性保護層としての機能をはたさなくなり、逆に2500Åよりも厚くなると、感度の低下をきたしたり、界面剥離を生じやすくなる。また、耐熱性保護層2は、必要に応じて多層化することもできる。
記録膜3の上部に配置される耐熱性保護層4の膜厚としては、100〜1500Å、好適には150〜1000Åとするのがよい。耐熱性保護層4は、100Åよりも薄くなると、耐熱性保護層としての機能をはたさなくなり、逆に1500Åよりも厚くなると、1.2〜5.6m/sのいわゆる低線速領域で使用した場合、C/Nや消去比の低下、ジッタの上昇等を生じて良好な特性が得られなくなる。また、耐熱性保護層4は、必要に応じて多層化することもできる。
反射放熱層5としては、Al、Auなどの金属材料、またはそれらの合金などを用いることができる。反射放熱層5は、必ずしも必要ではないが、過剰な熱を放出して情報記録媒体への熱負担を軽減するために設ける方が望ましい。このような反射放熱層5は各種気相成長法、たとえば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。反射放熱層5の膜厚としては、300〜2000Å、好適には500〜1500Åとするのがよい。
このように、本実施形態は、請求項19に係る発明の実施形態であって、請求項1または2記載の情報記録再生方法または請求項3または4記載の情報記録再生装置で用いられる情報記録媒体であって、少なくとも基板、耐熱性保護層、記録層を含むので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
また、本実施形態は、請求項20に係る発明の実施形態であって、請求項19記載の情報記録媒体において、反射放熱層を含むので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
また、本実施形態は、請求項21に係る発明の実施形態であって、請求項19記載の情報記録媒体において、前記耐熱性保護層は前記記録層を挟むように両側に設けられているので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
また、本実施形態は、請求項22に係る発明の実施形態であって、請求項19記載の情報記録媒体において、前記基板と前記記録層との間に配置さけた前記耐熱性保護層の膜厚は500〜2500オングストロームであるので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
また、本実施形態は、請求項23に係る発明の実施形態であって、請求項19記載の情報記録媒体において、前記記録層の上部に前記耐熱性保護層を設ける場合には、前記耐熱性保護層の膜厚を100〜1500オングストロームとするので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
また、本実施形態は、請求項24に係る発明の実施形態であって、請求項19記載の情報記録媒体において、前記記録層の主な構成元素がAg、In、Sb、Teであるので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
また、本実施形態は、請求項25に係る発明の実施形態であって、請求項19記載の情報記録媒体において、前記記録層の膜厚は100〜1000オングストロームであるので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
また、本実施形態は、請求項26に係る発明の実施形態であって、請求項19記載の情報記録媒体において、前記基板は、ガラス、セラミックあるいは樹脂により構成されているので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
また、本実施形態は、請求項27に係る発明の実施形態であって、請求項19記載の情報記録媒体において、前記耐熱性保護層の材料は、SiO,SiO2,ZnO,SnO2,Al2O2,TiO2,In2O2,MgO,ZrO2などの金属酸化物、Si2N4,AlN,TiN,BN,ZrNなどの窒化物、ZnS,In2S3,TaS4などの硫化物、SiC,TaC,B4C,WC,TiC,ZrCなどの炭化物、ダイヤモンドカーボンあるいはそれらの混合物であるので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
また、本実施形態は、請求項28に係る発明の実施形態であって、請求項20記載の情報記録媒体において、前記反射放熱層は、Al,Auなどの金属材料、またはそれらの合金から構成されるので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
また、本実施形態は、請求項29に係る発明の実施形態であって、請求項20記載の情報記録媒体において、前記反射放熱層の膜厚は300〜2000オングストロームであるので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
上記実施形態において、情報記録媒体に対する情報の記録、再生及び消去に用いる電磁波としては、レーザ光、電子線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波など種々のものを採用することが可能であるが、情報記録再生装置に取り付ける際に小型でコンパクトな半導体レーザによるレーザ光が最適である。
以下、本発明を実施形態によって具体的に説明する。但し、これらの実施形態は、本発明を何ら制限するものではない。
本発明の第1実施形態は、各請求項の発明を適用した情報記録再生装置の例であり、Ag−In−Sb−Te系を記録層として用いた情報記録媒体を駆動手段により2.8m/sで回転させ、記録手段により情報記録媒体にクロック周波数8.64MHzのEFM変調信号をPWM記録方式により記録した。ピックアップは記録手段、再生手段及び消去手段の一部を構成し、ピックアップに用いられている半導体レーザの発光波長が780nmで、ピックアップに用いられている対物レンズのNAは0.5である。情報記録媒体は、1.2nm厚のポリカーボネート樹脂からなる基板上に、180nm厚のZnS・SiO2層からなる耐熱性保護層、18nm厚のAg−In−Sb−Teからなる記録層、25nm厚のZnS・SiO2層からなる耐熱性保護層、100nm厚のAl合金からなる反射放熱層及びUVコート層を設けたものである。
図6は図1及び図7に示すxの1000回オーバーライト繰り返し後のジッタのパワーマージンに与える影響を示す。記録波形の各パラメータはy=0.5、z=0.65T、b=1mW(Pr)、d=1mW、e=6mW(Pe)、n’=2とした。この図から、xを適切に選ぶことによりマージンを広くとることができる条件を得ることができ、安定したオーバーライトの可能な信頼性の高いシステムを得ることができることがわかる。なお、図7において、PwはPw=a=cである。
本発明の第2実施形態は各請求項に係る発明を適用した情報記録再生装置の例であり、図8は第2実施形態において情報記録媒体の反射光強度から計算された反射率と好適なxの値との関係を示す。ここでの反射率の較正にはPhilips Consumer Electronics社が提供しているCD−R校正用ディスクを用いた。
第2実施形態では、情報記録媒体は、第1実施形態で用いたものと類似のものであるが、第1実施形態で用いたものとは各層の膜厚や基板の溝の形状等が異なっているものであり、第1実施形態で用いたものと異なる反射率を持つ情報記録媒体に作製した。情報記録媒体に情報記録を行うピックアップは、第1実施形態と同様に記録速度が各情報記録媒体に適した条件とした。
図8における好適なxの値は、ジッタが最良となる時のxとし、その他のパラメータもそれぞれの情報記録媒体に適したものを用いた。この図より、情報記録媒体の反射率と好適なxとの間には強い関係があり、情報記録媒体の反射率がおよそ10〜15%であれば0.5T〜1T、情報記録媒体の反射率がおよそ15〜20%であれば0.75T〜1.25T、情報記録媒体の反射率がおよそ20〜25%であれば1T〜1.5T、情報記録媒体の反射率がおよそ25〜30%であれば1.25T〜2Tがより好適であることがわかる。このように、用いられる情報記録媒体の反射率を検出することにより、最適なxの値を決定することができる。
本発明の第3実施形態は各請求項に係る発明を適用した情報記録再生装置の例であり、図9は第3実施形態において第1実施形態と同じ情報記録媒体を用いた場合のyとジッタとの関係を示す。第3実施形態では、ピックアップ及び記録速度は第1実施形態と同様とした。また、記録波形の各パラメータはx=1T、z=0.75T、a=12mW、b=1mW(Pr)、c=12mW、d=1mW、e=6mW、n’=2とした。この図から、yを適切に選ぶことにより、ジッタを低く抑える条件を得ることができ、信頼性の高いシステムを得ることができることがわかる。
本発明の第4実施形態は各請求項に係る発明を適用した情報記録再生装置の例であり、図10は第4実施形態におけるzとジッタとの関係を示す。第4実施形態では、第1実施形態と同じ情報記録媒体を用い、ピックアップ及び記録速度も第1実施形態と同様とした。また、記録波形の各パラメータはx=1.2T(図11参照)、y=0.5、a=12mW、b=1mW(Pr)、c=12mW、d=1mW、e=6mW、n’=2とした。この図から、zを適切に選ぶことにより、ジッタを低く抑える条件を得ることができ、信頼性の高いシステムを得ることができることがわかる。
本発明の第5実施形態は各請求項に係る発明を適用した情報記録再生装置の例であり、この第5実施形態において第1実施形態と同じ情報記録媒体を用いた場合の繰り返しオーバーライトの安定性とβ、aの関係を図4に示す。図4において数字は繰り返しオーバーライト可能回数のべき乗数を示す。即ち、3は繰り返しオーバーライト可能回数が1000回以上であることを示し、2は繰り返しオーバーライト可能回数が100回以上1000回未満であることを示し、1は繰り返しオーバーライト可能回数が100回以下であることを示す。この図から明らかなように、βが−2以上10以下の時に安定した繰り返しオーバーライト性能が得られている。
本発明の第6実施形態は各請求項に係る発明を適用した情報記録再生装置の例であり、この第6実施形態におけるbとC1エラーとの関係を示す。第6実施形態では、Ag−In−Sb−Te系を記録層として用いた情報記録媒体を駆動手段により2.8m/s、2.6m/s、2.4m/sの各線速で回転させ、記録手段により情報記録媒体にクロック周波数8.64MHzのEFM変調信号をPWM記録方式により記録した。情報記録媒体は、ポリカーボネート樹脂からなる基板上に、190nm厚のZnS・SiO2層からなる耐熱性保護層、18nm厚のAg−In−Sb−Teからなる記録層、25nm厚のZnS・SiO2層からなる耐熱性保護層、150nm厚のAl合金からなる反射放熱層及びUVコート層を設けたものである。
各線速での記録パワーは共通とし、a=c=12mW、e=6mW、b=d、n’=2とした。また、fp、mp、opのパラメータはそれぞれx=1T、y=0.5、z=0.75Tとした。bが大きすぎると、急冷条件が崩れるため安定なアモルファスマークが記録できなくなる。また、逆に、bが小さすぎると、昇温しにくくなるために同一のa、cあるいはeで情報を記録することが困難となり、感度に支障を来たす。この実施形態では、エラーの検出によりbの値を制御することで最適なbの条件を得ることができることがわかる。
請求項34に係る発明の一実施形態は、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、情報記録再生装置にて記録手段により情報記録媒体に対して記録パワーPを逐次変化させながら未記録部と記録部とからなるパターンに情報をテスト記録し、そのテスト記録した情報を再生手段により情報記録媒体から再生し、モニター手段によりその再生手段からの記録パワーPに対応した記録信号振幅(未記録部からの再生信号のレベルと記録部からの再生信号のレベルとの差)mをモニターし、記録パワー設定手段により規格化された傾斜g(P)を
g(P)=(Δm/m)(ΔP/P)
ΔP:Pの近傍における微小変化量
Δm:mの近傍におけるΔPに対応した微小変化量
なる式で求め、前記規格化された傾斜g(P)に基づいて記録パワーの過不足を評価することにより最適記録パワーを決定して設定する。
また、請求項35に係る発明の一実施形態は、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、情報記録再生装置にて記録手段により情報記録媒体に対して記録パワーPを逐次変化させながら未記録部と記録部とからなるパターンに情報をテスト記録し、この記録手段でテスト記録した情報を再生手段により情報記録媒体から再生し、モニター手段によりその再生手段からの記録パワーPに対応した記録信号振幅(未記録部からの再生信号のレベルと記録部からの再生信号のレベルとの差)mをモニターし、記録パワー設定手段により、規格化された傾斜g(P)を
g(P)=(Δm/m)(ΔP/P)
ΔP:Pの近傍における微小変化量
Δm:mの近傍におけるΔPに対応した微小変化量
なる式で求め、0.2〜2.0から選ばれる特定の値Sを設定し、前記規格化された傾斜g(P)がSに一致するような記録パワーPsを検出し、Psに対して1.0〜1.7を乗じて最適記録パワーを設定する。
この請求項34、35に係る発明の実施形態は、記録信号振幅mと記録パワーPとの関係により夫々規格化した変化率の比を用いることにより、個々の情報記録再生装置の間で生じ易いmとPの両方のオフセットの影響を受けずに最適記録パワーを設定でき、特に、量産を前提として設計される光ディスク装置等の情報記録再生装置に対して実用上十分な精度(±5%)で最適記録パワーを容易に設定できる。なお、ここでいう記録パワーPとは、図1におけるaまたはcのパワーレベルを示し、eのパワーレベルは固定値、またはaまたはcに比例したパワーレベルに設定されたものでよい。
次に、請求項34、35に係る発明の実施形態の理論的背景について説明する。標準の情報記録再生装置によって観測される標準の記録信号振幅m0と標準の記録パワーP0とが次の関係式
m0=m0(P0)
で与えられたとき、m0とP0の夫々対応した変化量Δm0、ΔP0を更に夫々m0、P0で規格化して求められる比率g0(P0)はP0の関数として次式
g0(P0)=(Δm0/m0)(ΔP0/P0)
で表わされる。ここで、g0(P0)は、m0のP0に対する規格化された傾斜を示すので、「規格化された傾斜」と呼ぶことにする。
この「規格化された傾斜」を用いることによる利点は、次式で与えられるような標準からずれた(オフセットを持った)一般の記録信号振幅mと記録パワーPとの関係
m(P)=km0(P)、P=qP0
k,q:ゼロでない定数
に対しても普遍性を持っていることにある。次の簡単な計算式
g(P)=(Δm/m)/(ΔP/P)
={Δ(km0)/(km0)}/{Δ(qP)/(qP)}
=(Δm0/m0)/(ΔPw/Pw)=g0(P0)
より明らかなように規格化された傾斜の値g(P)を観測する限り、常に標準の値g0(P0)と同じになる。
すなわち、g(P)の値はm及びPのオフセットの有無に拘らず保存される数値であるから、記録パワーの過不足の状態を普遍的に正確に表わしている数値であるといえる。従って、情報記録再生装置にて規格化された傾斜の値g(P)が同じになるように記録パワーPを設定して情報を記録すれば、異なる情報記録再生装置で情報を記録しても常に同一の記録状態で情報を記録できることになり、情報記録の再現性を重視する産業上の応用にとって極めて都合がよい。
当然、記録パワーPの値が大きくなるにつれてmの値が飽和し、g(P)がゼロに収束するのが一般的であるから、記録の過不足の状態をより正確に見出すには、g(P)の値を0.2〜2.0、好ましくは0.7〜1.7の範囲に設定しておき、これに対応するPの値の1.0〜1.7倍、好ましくは1.0〜1.5倍が最適記録パワーになるようにすると、効果的である。
次に、規格化された傾斜gを求めるための具体的方法について説明する。
規格化された傾斜gを求める一般形の式は、記録パワーPの微小変化ΔPに対応して記録信号振幅mの微小変化がΔmであるという表現として次式
g(P)=(Δm/m)/(ΔP/P)
で表わされる。
規格化された傾斜gを求める実用形の式は、i、i+1番目のテスト記録の記録パワーがP(i)、P(i+1)、記録信号振幅がm(i)、m(i+1)である時、次式
g[{P(i)+P(i+1)}/2]
=[{m(i+1)−m(i)}/{m(i+1)+m(i)}]/
[{P(i+1)−P(i)}/{{P(i+1)+P(i)}]
で表わされる。
規格化された傾斜gを求める他の実用形の式は、i−1、i、i+1番目のテスト記録の記録パワーがP(i−1)、P(i)、P(i+1)、記録信号振幅がm(i−1)、m(i)、m(i+1)であってP(i)={P(i+1)+P(i−1)}/2である時、次式
g(i)=[{m(i+1)−m(i−1)}/{m(i+1)+m(i−1)
}]/[{Pw(i+1)−Pw(i−1)}/{{Pw(i+1)
+Pw(i−1)}]
で表わされる。
図12は請求項34に係る発明の実施形態の作用効果の実例を示す。この実施形態と同様な3種類の異なる情報記録再生装置で記録再生した記録信号振幅mと記録パワーPとの関係は、図12に示すように記録信号振幅の飽和値がそれぞれ0.60、075、0.50と異なるため、夫々異なった曲線m(0)、m(1)、m(2)を描いており、一定の記録信号振幅レベルを基準にしても目標とする最適な記録パワーを一意的に決定することができず、曲線m(0)、m(1)、m(2)のずれに対応してバラツキが生じてしまう。更に、P>12mWでは、3本の曲線(0)、m(1)、m(2)がほぼ平行線になっているため、記録信号レベルの共通の基準を設定することさえ不可能である。
請求項34に係る発明の実施形態における規格化された傾斜gと記録パワーPとの関係については、規格化された傾斜gを前記定義式を用いて演算した結果は曲線(0)、m(1)、m(2)が全く重なっている。従って、規格化された傾斜gの曲線を用いて所定の判定レベル、例えばgset=0.25を与える記録パワーを決定すると、情報記録再生装置が異なっても全て唯一の記録パワーPsetをバラツキなく確実に設定することができる。すなわち、この実施形態では、記録可能な光学的情報記録媒体に対してテスト記録を行うことにより確実に最適な記録パワーを設定でき、消去可能な光学的情報記録媒体に対しては過剰な記録パワーの光を照射して記録膜に損傷を与えるようなことなく情報の記録を行うことができ、消去可能な回数を多くすることができるとともに、情報記録の信頼性を向上させることができる。さらに、個々の光学的情報記録再生装置の間において同じ記録パワーでも記録信号のレベルが同じにならないなどのバラツキに影響されることなく最適な記録パワーを自動的に設定することができ、低コストの光学的情報記録再生装置を実現できる。これは、請求項34に係る発明の実施形態の優れた作用効果を示すものであり、汎用性の高さと記録パワーの設定精度に優れていることを示している。
このように、請求項34に係る発明の実施形態では、電磁波を情報記録媒体に照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、前記情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である情報記録再生方法において、前記情報記録媒体に対して記録パワーPを逐次変化させながら未記録部と記録部とからなるパターンに情報をテスト記録し、このテスト記録した情報を再生して記録パワーPに対応した記録信号振幅mをモニターし、規格化された傾斜g(P)を
g(P)=(Δm/m)/(ΔP/P)
ΔP:Pの近傍における微小変化量
Δm:mの近傍におけるΔPに対応した微小変化量
なる式で求め、前記規格化された傾斜g(P)に基づいて記録パワーの過不足を評価することにより最適記録パワーを決定して設定するので、情報記録再生装置が異なっても全て唯一の記録パワーをバラツキなく確実に設定することができて消去可能な回数の増大及び記録の信頼性向上を計ることができ、汎用性の高さと記録パワーの設定精度に優れている。
図13は請求項35に係る発明の実施形態の作用効果の実例を示す。この実施形態の記録信号振幅mと記録パワーPとの関係、規格化された傾斜gと記録パワーPとの関係については請求項34に係る発明の実施形態の場合と同様である。請求項34に係る発明の実施形態では、最適記録パワーを設定する場合、記録信号振幅mが記録パワーに対して飽和するP>13mWの領域では、規格化された傾斜gは、その値そのものが当然に小さくなり、Pに対する変化もゆるやかになって外乱やノイズの影響を受けやすくなり、Pの検出精度が低下するという懸念がある。すなわち、Pの検出精度を上げるにはgの値が大きくPに対する変化が大きい(傾斜が大きい)条件を使った方がよい。
請求項35に係る発明の実施形態は、図13に特定の値SとしてS=10の例の作用効果が示されており、規格化された傾斜gの値がSに一致する記録パワーをPsとして検出する方法の作用効果が示されている。Psは実際の最適記録パワーPOPTよりも小さいので、この例ではPsを1.20倍してPOPTを設定している。上記特定の値Sとしては、ノイズの影響が少なくなるように0.2〜2.0から選べばよく、設定値Sに対応する記録パワーPsを高精度に検出できる。記録パワーPsの最適記録パワーPOPTからのずれは、1.0〜1.7倍の範囲で適当な数値に決めておき、この数値をPsに乗じて最適記録パワーPOPTを求めてから設定すればよい。従って、最適記録パワーを更に高精度に設定することができる。
このように、請求項35に係る発明の実施形態では、電磁波を情報記録媒体に照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、前記情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である情報記録再生方法において、前記情報記録媒体に対して記録パワーPを逐次変化させながら未記録部と記録部とからなるパターンに情報をテスト記録し、このテスト記録した情報を再生して記録パワーPに対応した記録信号振幅mをモニターし、規格化された傾斜g(P)を
g(P)=(Δm/m)/(ΔP/P)
ΔP:Pの近傍における微小変化量
Δm:mの近傍におけるΔPに対応した微小変化量
なる式で求め、0.2〜2.0から選ばれる特定の値Sを設定し、前記規格化された傾斜g(P)がSに一致するような記録パワーPsを検出し、Psに対して1.0〜1.7を乗じて最適記録パワーを設定するので、最適記録パワーを更に高精度に設定することができ、情報記録再生装置を低コストにできる。
請求項36〜38に係る発明の実施形態では、上記請求項1または2に係る発明の実施形態において、x,y,zを情報記録媒体の線速に応じて変えるx,y,z可変手段を設け、情報記録媒体をコンパクトディスクの基準線速の1.2〜1.4m/sで回転させる1倍速時と、情報記録媒体をコンパクトディスクの基準線速の2倍の速度(2.4〜2.8m/s)で回転させる2倍速時とでx,y,zをx,y,z可変手段により変えて同一の情報記録媒体を1倍速時でも2倍速時でも使用できるようにしたものである。x,y,z可変手段は、2倍速時にはx,y,zを上述のように0.5T≦x≦2T、0.4≦y≦0.6、0.5T≦z≦1Tとし、1倍速時にはx,y,zを1T≦x≦1.75T、0.4≦y≦0.6、0.5T≦z≦1Tとする。
請求項36〜38に係る発明の実施例は、請求項36〜38に係る発明の実施形態において、x,y,z可変手段が、x,y,zを最適値に設定し、つまり、2倍速時にxを1T、yを0.5T、zを0.5Tに設定して1倍速時にxを1T、yを0.5T、zを0.5Tに設定するようにしたものである。
ここに、パルス部fpは相変化型情報記録媒体の記録層を融点以上に昇温させて記録マークの先頭部を形成させ、マルチパルス部mpは記録層を昇温させて記録マークの中間部を形成させ、パルス部opは記録層を冷却させて記録マークの後端部を形成させ、また、相変化型情報記録媒体の線速を可変すれば相変化型情報記録媒体に対する電磁波照射量が変化して記録層の融点以上への昇温とその後の冷却速度が変化するので、x,y,zを情報記録媒体の線速に応じて変えることにより、情報記録媒体の線速が変化してもx,y,zを適切に設定して品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができ、同一の情報記録媒体を1倍速時でも2倍速時でも使用できる。
特に、xを情報記録媒体の線速に応じて変えれば、同一の情報記録媒体に対して1倍速時でも2倍速時でも記録マークの先頭部を品質良く安定に記録、書き換えすることができる。また、zを情報記録媒体の線速に応じて変えれば、同一の情報記録媒体に対して1倍速時でも2倍速時でも記録マークの後端部を品質良く安定に記録、書き換えすることができる。さらに、x,y,zを情報記録媒体の線速に応じて変えることで、同一の情報記録媒体に対して1倍速時でも2倍速時でも記録マーク全体を品質良く安定に記録、書き換えすることができる。
図15は上記請求項36〜38に係る発明の実施例の1倍速時でのマーク及びスペースの記録回数とジッタとの測定結果を示す。この図から上記請求項36〜38に係る発明の実施例では、1倍速時でのマーク及びスペースの記録回数が多くなるに従ってジッタが増加するが、x,y,zを上述のように情報記録媒体の線速に応じて変えることにより、記録回数がある程度多くなってもジッタを所定の許容レベル以下に押えることができる。
このように、請求項36に係る発明の実施形態では、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、xを1T≦x≦1.75Tとするので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができ、かつ、情報記録媒体を基準線速で移動させる場合及び情報記録媒体を基準線速の2倍の速度で移動させる場合に共に記録部の先端側を品質良く安定に記録、書き換えすることができる。
請求項37に係る発明の実施形態では、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、zを0.5T≦z≦1Tとするので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができ、かつ、情報記録媒体を基準線速で移動させる場合及び情報記録媒体を基準線速の2倍の速度で移動させる場合に共に記録部の後端側を品質良く安定に記録、書き換えすることができる。
請求項38に係る発明の実施形態では、請求項1または2記載の情報記録再生方法において、情報記録媒体をコンパクトディスクの基準線速で移動させる場合にx,y,zを1T≦x≦1.75T、0.4≦y≦0.6、0.5T≦z≦1Tとするので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができ、かつ、情報記録媒体をコンパクトディスクの基準線速で移動させる場合及びコンパクトディスクの情報記録媒体を基準線速の2倍の速度で移動させる場合に共に記録部全体を品質良く安定に記録、書き換えすることができる。
図1は本発明を適用した相変化型情報記録再生装置の実施形態における記録波のパルス波形を3T信号の例について模式的に示したものである。この実施形態は、図14に示すように相変化型光ディスクからなる相変化型情報記録媒体11をスピンドルモータからなる駆動手段12により回転駆動し、記録再生用ピックアップ13にて光源駆動手段としてのレーザ駆動回路14により半導体レーザからなる光源を駆動して該半導体レーザから図示しない光学系を介して情報記録媒体11に電磁波としてレーザ光を照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、情報記録媒体11からの反射光を記録再生用ピックアップ13で受光して情報記録媒体11に対する情報の記録や再生を行う。記録再生用ピックアップ13の最適記録パワーは記録パワー設定手段としての記録パワー設定回路15により設定される。
このように本実施形態は、記録再生用ピックアップ13にて電磁波としてレーザ光を相変化型情報記録媒体11に照射することにより該情報記録媒体11の記録層に相変化を生じさせ、情報記録媒体11に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である相変化型情報記録再生装置であり、記録すべき信号を変調部で変調して記録再生用ピックアップ13にて情報記録媒体に記録することにより情報の記録を行う記録手段を備えている。このピックアップ13を含む記録手段は、情報記録媒体の記録層に対してマークの幅として信号を記録するようにマークを記録する、いわゆるPWM記録方式で情報の記録を行う。記録手段は記録すべき信号を変調部にてクロックを用いて例えば書き換え型コンパクトディスクの情報記録に適したEFM(Eight−to−Fourteen Modulation)変調方式、あるいはその改良変調方式で変調する。
記録手段は、PWM記録を行う際に、変調後の信号幅がnT(nは所定の値、Tはクロック時間:信号の変調に用いるクロックの周期に相当する時間)である0信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録光をパワーレベルeの連続光とし、変調後の信号幅がnTである1信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録光のパルス列を、時間幅xとパワーレベルaを持つパルス部fpと、合計でTの時間幅を持つパワーレベルbの低レベルパルスとパワーレベルcの高レベルパルスとが交互にデューティ比yで計(n−n')回連続するマルチパルス部mpと、時間幅zとパワーレベルdを持つパルス部opからなる電磁波パルス列とし、x,y,zを0.5T≦x≦2T、0.4≦y≦0.6、0.5T≦z≦1Tとし、nを1以上の正の整数とし、n'をn'≦nの正の整数とし、(a及びc)>e>(b及びd)とする。図1(b)はn'=1の場合、図1(c)はn'=2の場合、図1(c)はn'=3の場合である。
一般に、相変化型情報記録媒体における1信号(2値信号の1'の部分)の記録は、相変化型情報記録媒体の記録層にアモルファス部(アモルファス相)を形成することによって行われる。相変化型情報記録媒体の記録層におけるアモルファス相の形成には、記録層の融点以上への昇温と、その後の十分な冷却速度が必要である。ここに、パルス部fpは相変化型情報記録媒体の記録層を融点以上に昇温させて記録マークの先頭部を形成させ、マルチパルス部mpは記録層を昇温させて記録マークの中間部を形成させ、パルス部opは記録層を冷却させて記録マークの後端部を形成させる。相変化型情報記録媒体の線速を可変すれば相変化型情報記録媒体に対する電磁波照射量が変化して記録層の融点以上への昇温とその後の冷却速度が変化することになり、相変化型情報記録媒体の線速の可変で記録層の融点以上への昇温とその後の冷却速度を適切に設定することが有効である。
一方、相変化型情報記録媒体の記録層にPWM記録方式で情報の記録を行う場合には、記録マークのエッジ部に情報を持たせるので、記録層上の記録部と未記録部との境界が不明確になったり記録部が結晶化されて消去されたりすることを避けるため、記録層における記録を行いたい部分以外の部分に対しては熱の影響を抑えなければならない。
このように、記録層の記録すべき部分と常温に保つべき部分との昇温条件を明確に区別するためには、記録層で余剰な熱を発生させないこと、記録層の膜内での熱の伝導を低く抑えることが有効である。このようにすることにより、記録部と未記録部との境界が明確となり、ジッタが小さくて品質の良い記録信号を得ることができる。
記録手段が図1に示す記録波形を用いたことにより、これらの条件を満たす最適な記録条件を得ることが可能となり、相変化型情報記録媒体の記録層にPWM記録を行う場合に品質の良い記録マークを安定に記録、書き換えできる。ここに、好適な記録条件は、x,y,zを0.5T≦x≦2T、0.4≦y≦0.6、0.5T≦z≦1Tとし、(a及びc)>e>(b及びd)とすることである。
このように、この実施形態は、電磁波を情報記録媒体に照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、前記情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である情報記録再生方法において、信号を変調して前記情報記録媒体にPWM記録することにより情報の記録を行う際に、変調後の信号幅がnT(Tはクロック時間)である0信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波をパワーレベルeの連続電磁波とし、変調後の信号幅がnTである1信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波パルス列を、時間幅xとパワーレベルaを持つパルス部fpと、合計でTの時間幅を持つパワーレベルbの低レベルパルスとパワーレベルcの高レベルパルスとが交互にデューティ比yで計(n−n')回連続するマルチパルス部mpと、時間幅zとパワーレベルdを持つパルス部opからなる電磁波パルス列とし、x,y,zを0.5T≦x≦2T、0.4≦y≦0.6、0.5T≦z≦1Tとし、n'をn'≦nの正の整数とし、(a及びc)>e>(b及びd)とするので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができる。
また、この実施形態は、電磁波を情報記録媒体に照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、前記情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である情報記録再生装置において、信号を変調して前記情報記録媒体にPWM記録方式により情報の記録を行う記録手段を備え、この記録手段は、変調後の信号幅がnT(Tはクロック時間)である0信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波をパワーレベルeの連続電磁波とし、変調後の信号幅がnTである1信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波パルス列を、時間幅xとパワーレベルaを持つパルス部fpと、合計でTの時間幅を持つパワーレベルbの低レベルパルスとパワーレベルcの高レベルパルスとが交互にデューティ比yで計(n−n')回連続するマルチパルス部mpと、時間幅zとパワーレベルdを持つパルス部opからなる電磁波パルス列とし、x,y,zを0.5T≦x≦2T、0.4≦y≦0.6、0.5T≦z≦1Tとし、n'をn'≦nの正の整数とし、(a及びc)>e>(b及びd)とするので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する装置において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができる。
また、この実施形態は、記録すべき信号を変調する方式をEFM変調方式或いはその改良変調方式とし、n'=2としたので、書き換え型コンパクトディスクに適した記録方法を提供できる。
また、この実施形態は、前記記録手段は記録すべき信号をEFM変調方式或いはその改良変調方式で変調し、n'=2としたので、書き換え型コンパクトディスクに適した記録装置を提供できる。
この実施形態において、信号を変調して情報記録媒体にPWM記録方式により情報の記録を行う記録手段と、この記録手段を制御する記録制御手段とを備え、記録手段は信号を変調部により変調して記録再生用ピックアップ13にて情報記録媒体に記録することにより情報の記録を行う。
記録手段は、信号を変調して情報記録媒体にPWM記録方式により情報の記録を行う際に、変調後に所定の信号幅を有する0信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波を第1のパワーレベルeの連続電磁波とし、変調後に所定の信号幅nTを有する1信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波パルス列を、第1の時間幅xと第2のパワーレベルaを持つパルス部fpと、合計でクロック時間の時間幅Tを有する第3のパワーレベルbの低レベルパルスと第4のパワーレベルのc高レベルパルスとが交互に所定のデューティ比yで所定回数(n−n')連続するマルチパルス部mpと、第2の時間幅zと第5のパワーレベルdを有するパルス部opからなる電磁波パルス列とする。記録制御手段は、記録部を制御することにより、時間幅x、デューティ比y、時間幅zの各々を情報記録媒体の線速に応じて設定する。
このように、本実施形態は、請求項1に係る発明の実施形態であって、電磁波を情報記録媒体に照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、前記情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である情報記録再生方法において、信号を変調して前記情報記録媒体にPWM記録方式により情報の記録を行う際に、変調後に所定の信号幅を有する信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波を第1のパワーレベルeの連続電磁波とし、変調後に所定の信号幅nTを有する1信号の記録あるいは書き換えを行うときの記録波パルス列を、第1の時間幅xと第2のパワーレベルaを有するパルス部fpと、合計でクロック時間の時間幅Tを有する第3のパワーレベルbの低レベルパルスと第4のパワーレベルcの高レベルパルスとが交互に所定のデューティ比yで所定回数(n−n')連続するマルチパルス部mpと、第2の時間幅zと第5のパワーレベルdを有するパルス部opとからなる電磁波パルス列とし、前記第1の時間幅x、前記デューティ比y、前記第2の時間幅zの各々を線速に応じて設定するので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができる。
また、本実施形態は、請求項3に係る発明の実施形態であって、電磁波を情報記録媒体に照射することにより該情報記録媒体の記録層に相変化を生じさせ、前記情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能である情報記録再生装置において、信号を変調して情報記録媒体にPWM記録方式により情報の記録を行う記録手段と、この記録手段を制御する記録制御手段とを備え、信号を変調して情報記録媒体にPWM記録方式により情報の記録を行う際に、変調後に所定の信号幅を有する0信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波を第1のパワーレベルeの連続電磁波とし、変調後に所定の信号幅nTを有する1信号の記録あるいは書き換えを行う時の記録波パルス列を、第1の時間幅xと第2のパワーレベルaを持つパルス部fpと、合計でクロック時間の時間幅Tを有する第3のパワーレベルbの低レベルパルスと第4のパワーレベルcの高レベルパルスとが交互に所定のデューティ比yで所定回数(n−N')連続するマルチパルス部mpと、第2の時間幅aと第5のパワーレベルdを有するパルス部opからなる電磁波パルス列とし、前記記録制御手段は、前記第1の時間幅x、前記デューティ比y、前記第2の時間幅zの各々を線速に応じて設定するので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する装置において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができる。
記録可能なコンパクトディスク(CD−R)では、一般に波長約780nm、NA0.5のピックアップを用いて情報の記録、再生を行うが、このピックアップを用いて相変化型情報記録媒体の反射光強度を反射率に換算した場合の換算値が低いほどxの値が小さい方が好ましく、その換算値が高いほどxが大きい方が好ましい。具体的には、xの値は、情報記録媒体の反射率がおよそ10〜15%であれば0.5T〜1T、情報記録媒体の反射率がおよそ15〜20%であれば0.75T〜1.25T、情報記録媒体の反射率がおよそ20〜25%であれば1T〜1.5T、情報記録媒体の反射率がおよそ25〜30%であれば1.25T〜2Tがより好適である。ここでの情報記録媒体の反射率の較正にはPhilips Consumer Electronics社が提供しているCD−R校正用ディスクを用いたが、実際に相変化型情報記録媒体に対する情報の記録、再生を行い、かつ、書き換えが可能であるドライブシステムでは、相変化型情報記録媒体の反射光強度を反射率に換算する必要はなく、相変化型情報記録媒体の反射光強度のみでのxの制御が可能である。
図2はb=dの場合のbとC1エラー(CD規格のエラー)との関係を示す。bはC1エラーのエラー率によって適値が存在することがわかる。bが大きすぎると、情報記録媒体の急冷条件が崩れるので、情報記録媒体に安定なアモルファスマークを記録することができなくなる。また、逆にbが小さすぎる場合は、昇温しにくくなるので、同一のa、cあるいはeで情報記録媒体にアモルファスマークを記録することが困難となり、感度に支障を来す。従って、記録時の情報記録媒体の線速度、情報記録媒体の使用環境、情報記録媒体の急冷・昇温構造、ピックアップの情報記録媒体に照射するビームの成形のばらつきなどによりb、dの適値が異なるが、それらのばらつきを補正してより信頼性の高い記録条件を得るためにb及びdの値を調節することは有効である。
図4は式(2)で表わされるβと、a=cの場合のa及びeとの関係を示す。βはaにもeにも依存性を示すことがわかる。また、図4において、数字は低ジッタを保ちながら繰り返してオーバーライトできる安定性を示しており、数字が大きいほどオーバーライト可能回数が大きいことを示す。この図から、βを検出することで、最適な記録パワーによる最適なオーバーライト性能とシステムの信頼性を確保できる実質的なa、cおよびeの値を決定できることがわかる。
βの範囲は−2以上10以下が好適であるが、0以上8以下がより好適であり、2以上7以下が最適である。βとeの関係は、3T信号と11T信号の振幅から計算されるアシメトリとeとの関係とも類似しており、従ってβをアシメトリで代用することも可能である。しかし、3T信号の振れ幅の検出よりも11T信号の振れ幅の検出の方がシステム構成上容易であるため、βを用いるのが望ましい。
また、βは、a依存性が情報記録媒体によっては鈍感になる場合もあるが、eに対しては常に強い傾向がある。このことから、mの値を元に実質的にa及び/又はcを決定し、その後βの値を元にeを決定する方が、最適なオーバーライト性能とシステムの信頼性を確保できる上で適していると考えられる。また、実システム上、a〜eのパラメータを制御する際にe/aやe/cなどの他のパラメータを用いても実質的に同等であり、何ら問題はない。
本発明を適用した情報記録再生装置の実施形態では、上記実施形態において、CD基準線速(CD1倍速)の1.2〜1.4m/s以上、4.8〜5.6m/s(CD4倍速)以下の回転速度で情報記録媒体を回転駆動手段により回転させる。情報記録媒体の回転線速度をこの線速領域とすることにより、既存のCDシステム(CDに対する情報の記録、再生を行うシステム)との互換性をとることができる。近年、特にCD−ROMプレーヤの領域ではCD−ROMの回転線速度を2倍速以上の高線速としたものが用いられているが、一方、音楽や動画(Video−CD)の分野では、リアルタイム再生が基本であるため、主にCD1倍速のものが用いられている。
このように、この情報記録再生装置において、情報記録時に情報記録媒体を1.2m/s以上5.6m/s以下の回転線速度で回転させるので、書き換え型コンパクトディスクに適した記録条件を得ることができる。
また、この情報記録再生装置で用いられる情報記録媒体であって、情報記録時に1.2m/s以上5.6m/s以下の回転線速度で回転させられるので、書き換え型コンパクトディスクに適した情報記録媒体を提供できる。
書き換え可能なCDシステムは、記録する情報を選ばないマルチメディアとして用いられるものであり、様々な種類のCDに対する情報の記録、再生、書き換えを行うものである。そのCDに対する情報の記録、再生、書き換えを行う際に、線速の異なる再生システムと記録システムとを組み合わせて用いることは不可避であり、再生時間と情報記録に要する時間との差を解消するための記憶手段が不可欠となる。
上記実施形態において、かかる記憶手段が主に半導体メモリで構成され、音楽用CDをリアルタイムで再生しながら、記憶手段を持つCD2倍速のシステムで情報を記録する際に、記録されるべき情報の一部を記憶手段に保存し、再生時間と情報記録に要する時間との差を解消することができる。
このように、情報記録再生装置において、記録されるべき情報の一部を一時的に記憶する手段を備えたので、相変化型情報記録媒体を書き換え型コンパクトディスクに用いるシステムに用いられる情報記録媒体の汎用性と互換性を向上させることができると同時にシステムの信頼性を向上させることができる。
また、動画の編集等、リアルタイム再生が不必要な場合には情報記録に要する時間は短いことが要求されると同時に、同一の装置でCD1倍速のリアルタイム再生を必要とするシステム構成も十分に考えられ、この場合には情報記録時の情報記録媒体の回転速度が情報再生時の情報記録媒体の回転線速度よりも高くできる手段を持つシステムが望まれる。
そこで、上記実施形態において、情報記録時の情報記録媒体の回転線速度を情報再生時の情報記録媒体の回転線速度よりも高くすることができる手段を備えたものであり、書き換え型コンパクトディスクを用いたシステムの汎用性と互換性を高めることができる。
このように、上記情報記録再生装置において、情報記録時の情報記録媒体の回転線速度を情報再生時の情報記録媒体の回転線速度よりも高くすることができる手段を備えたので、書き換え型コンパクトディスクに用いるシステムの汎用性と互換性を向上させることができる。
図5は本発明を適用した情報記録媒体の実施形態を示す。この情報記録媒体は、上記実施形態で用いられるものであり、基板1上に耐熱性保護層2、記録層3、耐熱性保護層4、反射放熱層5が順次に設けられたものである。耐熱性保護層2、4は、必ずしも記録層3の両側に設ける必要はないが、基板1がポリカーボネート樹脂のように耐熱性が低い材料で構成されている場合には耐熱性保護層2を設けることが望ましい。
記録層3は、主な構成元素がAg、In、Sb、Teであり、各種気相成長法、たとえば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。記録層3の形成には、気相成長法以外にゾルゲル法のような湿式プロセスも適用可能である。記録層3の膜厚としては100〜1000Å、好適には150〜700Åとするのがよい。記録層3は、100Åより薄いと光吸収性能が著しく低下し、記録層としての役割をはたさなくなる。また、記録層3は、1000Åより厚いと、高速で均一な相変化が起こりにくくなる。
基板1の材料は、通常ガラス、セラミックスあるいは樹脂であり、樹脂基板が成形性、コストの点で好適である。その樹脂の代表例としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリルスチレン共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂などがあげられるが、基板1の材料には加工性、光学特性などの点でポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。また、基板1の形状としては、ディスク状、カード状あるいはシート状であってもよい。
耐熱性保護層2、4の材料としては、SiO、SiO2、ZnO、SnO2、Al2O3、TiO2、In2O3、MgO、ZrO2などの金属酸化物、Si3N4、AlN、TiN、BN、ZrNなどの窒化物、ZnS、In2S3、TaS4などの硫化物、SiC、TaC、B4C、WC、TiC、ZrCなどの炭化物、ダイヤモンドカーボンあるいはそれらの混合物が挙げられる。これらの材料は、単体で保護層とすることもできるが、お互いの混合物としてもよい。また、必要に応じて不純物を含んでいてもよい。但し、耐熱性保護層2、4の融点は記録層3の融点よりも高いことが必要である。
このような耐熱性保護層2、4は、各種気相成長法、たとえば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。耐熱性保護層2の膜厚としては、500〜2500Å、好適には1200〜2300Åとするのがよい。耐熱性保護層2は、500Åよりも薄くなると、耐熱性保護層としての機能をはたさなくなり、逆に2500Åよりも厚くなると、感度の低下をきたしたり、界面剥離を生じやすくなる。また、耐熱性保護層2は、必要に応じて多層化することもできる。
記録膜3の上部に配置される耐熱性保護層4の膜厚としては、100〜1500Å、好適には150〜1000Åとするのがよい。耐熱性保護層4は、100Åよりも薄くなると、耐熱性保護層としての機能をはたさなくなり、逆に1500Åよりも厚くなると、1.2〜5.6m/sのいわゆる低線速領域で使用した場合、C/Nや消去比の低下、ジッタの上昇等を生じて良好な特性が得られなくなる。また、耐熱性保護層4は、必要に応じて多層化することもできる。
反射放熱層5としては、Al、Auなどの金属材料、またはそれらの合金などを用いることができる。反射放熱層5は、必ずしも必要ではないが、過剰な熱を放出して情報記録媒体への熱負担を軽減するために設ける方が望ましい。このような反射放熱層5は各種気相成長法、たとえば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。反射放熱層5の膜厚としては、300〜2000Å、好適には500〜1500Åとするのがよい。
このように、本実施形態は、情報記録媒体であって、少なくとも基板、耐熱性保護層、記録層を含むので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
また、本実施形態は、情報記録媒体において、反射放熱層を含むので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
また、本実施形態は、情報記録媒体において、前記耐熱性保護層は前記記録層を挟むように両側に設けられているので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
また、本実施形態は、情報記録媒体において、前記基板と前記記録層との間に配置さけた前記耐熱性保護層の膜厚は500〜2500オングストロームであるので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
また、本実施形態は、情報記録媒体において、前記記録層の上部に前記耐熱性保護層を設ける場合には、前記耐熱性保護層の膜厚を100〜1500オングストロームとするので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
また、本実施形態は、情報記録媒体において、前記記録層の主な構成元素がAg、In、Sb、Teであるので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
また、本実施形態は、情報記録媒体において、前記記録層の膜厚は100〜1000オングストロームであるので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
また、本実施形態は、情報記録媒体において、前記基板は、ガラス、セラミックあるいは樹脂により構成されているので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
また、本実施形態は、情報記録媒体において、前記耐熱性保護層の材料は、SiO,SiO2,ZnO,SnO2,Al2O2,TiO2,In2O2,MgO,ZrO2などの金属酸化物、Si2N4,AlN,TiN,BN,ZrNなどの窒化物、ZnS,In2S3,TaS4などの硫化物、SiC,TaC,B4C,WC,TiC,ZrCなどの炭化物、ダイヤモンドカーボンあるいはそれらの混合物であるので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
また、本実施形態は、情報記録媒体において、前記反射放熱層は、Al,Auなどの金属材料、またはそれらの合金から構成されるので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
また、本実施形態は、情報記録媒体において、前記反射放熱層の膜厚は300〜2000オングストロームであるので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録するのに最適な情報記録媒体を提供できる。
上記実施形態において、情報記録媒体に対する情報の記録、再生及び消去に用いる電磁波としては、レーザ光、電子線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波など種々のものを採用することが可能であるが、情報記録再生装置に取り付ける際に小型でコンパクトな半導体レーザによるレーザ光が最適である。
以下、本発明を実施形態によって具体的に説明する。但し、これらの実施形態は、本発明を何ら制限するものではない。
本発明の実施形態は、各請求項の発明を適用した情報記録再生装置の例であり、Ag−In−Sb−Te系を記録層として用いた情報記録媒体を駆動手段により2.8m/sで回転させ、記録手段により情報記録媒体にクロック周波数8.64MHzのEFM変調信号をPWM記録方式により記録した。ピックアップは記録手段、再生手段及び消去手段の一部を構成し、ピックアップに用いられている半導体レーザの発光波長が780nmで、ピックアップに用いられている対物レンズのNAは0.5である。情報記録媒体は、1.2nm厚のポリカーボネート樹脂からなる基板上に、180nm厚のZnS・SiO2層からなる耐熱性保護層、18nm厚のAg−In−Sb−Teからなる記録層、25nm厚のZnS・SiO2層からなる耐熱性保護層、100nm厚のAl合金からなる反射放熱層及びUVコート層を設けたものである。
図6は図1及び図7に示すxの1000回オーバーライト繰り返し後のジッタのパワーマージンに与える影響を示す。記録波形の各パラメータはy=0.5、z=0.65T、b=1mW(Pr)、d=1mW、e=6mW(Pe)、n'=2とした。この図から、xを適切に選ぶことによりマージンを広くとることができる条件を得ることができ、安定したオーバーライトの可能な信頼性の高いシステムを得ることができることがわかる。なお、図7において、PwはPw=a=cである。
本発明を適用した情報記録再生装置の他の例については、図8は該他の例において情報記録媒体の反射光強度から計算された反射率と好適なxの値との関係を示す。ここでの反射率の較正にはPhilips Consumer Electronics社が提供しているCD−R校正用ディスクを用いた。
この例では、情報記録媒体は、前例で用いたものと類似のものであるが、前例で用いたものとは各層の膜厚や基板の溝の形状等が異なっているものであり、前例で用いたものと異なる反射率を持つ情報記録媒体に作製した。情報記録媒体に情報記録を行うピックアップは、第1実施形態と同様に記録速度が各情報記録媒体に適した条件とした。
図8における好適なxの値は、ジッタが最良となる時のxとし、その他のパラメータもそれぞれの情報記録媒体に適したものを用いた。この図より、情報記録媒体の反射率と好適なxとの間には強い関係があり、情報記録媒体の反射率がおよそ10〜15%であれば0.5T〜1T、情報記録媒体の反射率がおよそ15〜20%であれば0.75T〜1.25T、情報記録媒体の反射率がおよそ20〜25%であれば1T〜1.5T、情報記録媒体の反射率がおよそ25〜30%であれば1.25T〜2Tがより好適であることがわかる。このように、用いられる情報記録媒体の反射率を検出することにより、最適なxの値を決定することができる。
図9は前例と同じ情報記録媒体を用いた場合のyとジッタとの関係を示す。ここでは、ピックアップ及び記録速度は前例と同様とした。また、記録波形の各パラメータはx=1T、z=0.75T、a=12mW、b=1mW(Pr)、c=12mW、d=1mW、e=6mW、n'=2とした。この図から、yを適切に選ぶことにより、ジッタを低く抑える条件を得ることができ、信頼性の高いシステムを得ることができることがわかる。
図10はzとジッタとの関係を示す。前例では、第1実施形態と同じ情報記録媒体を用い、ピックアップ及び記録速度も前例と同様とした。また、記録波形の各パラメータはx=1.2T(図11参照)、y=0.5、a=12mW、b=1mW(Pr)、c=12mW、d=1mW、e=6mW、n'=2とした。この図から、zを適切に選ぶことにより、ジッタを低く抑える条件を得ることができ、信頼性の高いシステムを得ることができることがわかる。
前例と同じ情報記録媒体を用いた場合の繰り返しオーバーライトの安定性とβ、aの関係を図4に示す。図4において数字は繰り返しオーバーライト可能回数のべき乗数を示す。即ち、3は繰り返しオーバーライト可能回数が1000回以上であることを示し、2は繰り返しオーバーライト可能回数が100回以上1000回未満であることを示し、1は繰り返しオーバーライト可能回数が100回以下であることを示す。この図から明らかなように、βが−2以上10以下の時に安定した繰り返しオーバーライト性能が得られている。
次にbとC1エラーとの関係を示す。ここでは、Ag−In−Sb−Te系を記録層として用いた情報記録媒体を駆動手段により2.8m/s、2.6m/s、2.4m/sの各線速で回転させ、記録手段により情報記録媒体にクロック周波数8.64MHzのEFM変調信号をPWM記録方式により記録した。情報記録媒体は、ポリカーボネート樹脂からなる基板上に、190nm厚のZnS・SiO2層からなる耐熱性保護層、18nm厚のAg−In−Sb−Teからなる記録層、25nm厚のZnS・SiO2層からなる耐熱性保護層、150nm厚のAl合金からなる反射放熱層及びUVコート層を設けたものである。
各線速での記録パワーは共通とし、a=c=12mW、e=6mW、b=d、n'=2とした。また、fp、mp、opのパラメータはそれぞれx=1T、y=0.5、z=0.75Tとした。bが大きすぎると、急冷条件が崩れるため安定なアモルファスマークが記録できなくなる。また、逆に、bが小さすぎると、昇温しにくくなるために同一のa、cあるいはeで情報を記録することが困難となり、感度に支障を来たす。この実施形態では、エラーの検出によりbの値を制御することで最適なbの条件を得ることができることがわかる。
本発明の実施形態において、x,y,zを情報記録媒体の線速に応じて変えるx,y,z可変手段を設け、情報記録媒体をコンパクトディスクの基準線速の1.2〜1.4m/sで回転させる1倍速時と、情報記録媒体をコンパクトディスクの基準線速の2倍の速度(2.4〜2.8m/s)で回転させる2倍速時とでx,y,zをx,y,z可変手段により変えて同一の情報記録媒体を1倍速時でも2倍速時でも使用できるようにしたものである。x,y,z可変手段は、2倍速時にはx,y,zを上述のように0.5T≦x≦2T、0.4≦y≦0.6、0.5T≦z≦1Tとし、1倍速時にはx,y,zを1T≦x≦1.75T、0.4≦y≦0.6、0.5T≦z≦1Tとする。
本発明の実施形態において、x,y,z可変手段が、x,y,zを最適値に設定し、つまり、2倍速時にxを1T、yを0.5、zを0.5Tに設定して1倍速時にxを1T、yを0.5、zを0.5Tに設定するようにしたものである。
ここに、パルス部fpは相変化型情報記録媒体の記録層を融点以上に昇温させて記録マークの先頭部を形成させ、マルチパルス部mpは記録層を昇温させて記録マークの中間部を形成させ、パルス部opは記録層を冷却させて記録マークの後端部を形成させ、また、相変化型情報記録媒体の線速を可変すれば相変化型情報記録媒体に対する電磁波照射量が変化して記録層の融点以上への昇温とその後の冷却速度が変化するので、x,y,zを情報記録媒体の線速に応じて変えることにより、情報記録媒体の線速が変化してもx,y,zを適切に設定して品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができ、同一の情報記録媒体を1倍速時でも2倍速時でも使用できる。
特に、xを情報記録媒体の線速に応じて変えれば、同一の情報記録媒体に対して1倍速時でも2倍速時でも記録マークの先頭部を品質良く安定に記録、書き換えすることができる。また、zを情報記録媒体の線速に応じて変えれば、同一の情報記録媒体に対して1倍速時でも2倍速時でも記録マークの後端部を品質良く安定に記録、書き換えすることができる。さらに、x,y,zを情報記録媒体の線速に応じて変えることで、同一の情報記録媒体に対して1倍速時でも2倍速時でも記録マーク全体を品質良く安定に記録、書き換えすることができる。
図15は1倍速時でのマーク及びスペースの記録回数とジッタとの測定結果を示す。この図から1倍速時でのマーク及びスペースの記録回数が多くなるに従ってジッタが増加するが、x,y,zを上述のように情報記録媒体の線速に応じて変えることにより、記録回数がある程度多くなってもジッタを所定の許容レベル以下に押えることができる。
このように、xを1T≦x≦1.75Tとするので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができ、かつ、情報記録媒体を基準線速で移動させる場合及び情報記録媒体を基準線速の2倍の速度で移動させる場合に共に記録部の先端側を品質良く安定に記録、書き換えすることができる。
zを0.5T≦z≦1Tとするので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができ、かつ、情報記録媒体を基準線速で移動させる場合及び情報記録媒体を基準線速の2倍の速度で移動させる場合に共に記録部の後端側を品質良く安定に記録、書き換えすることができる。
情報記録媒体をコンパクトディスクの基準線速で移動させる場合にx,y,zを1T≦x≦1.75T、0.4≦y≦0.6、0.5T≦z≦1Tとするので、相変化型情報記録媒体にPWM記録方式で情報を記録する方法において品質の良い信号を安定に記録、書き換えすることができ、かつ、情報記録媒体をコンパクトディスクの基準線速で移動させる場合及びコンパクトディスクの情報記録媒体を基準線速の2倍の速度で移動させる場合に共に記録部全体を品質良く安定に記録、書き換えすることができる。