JP2006312734A - 色素組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
、重金属を含むものが多く、使用時及び廃棄後に毒性が問題となる可能性がある。一方、
有機顔料は、毒性の問題は無機顔料と比較して低いものの、その複雑な分子構造の構築に
必要な多段の化学反応を経て合成されるため、製造工程が複雑となり、製造コストが高く
なる。
【解決手段】チタンとジルコニウムのいずれか又は両方のアルコキシド、及び、フェノー
ル又はフェノール化合物との反応生成物からなることを特徴とする黄色系色素組成物。反
応生成物中に20〜80重量%の炭素、1〜20重量%のチタンとジルコニウムのいずれ
か又は両方、及び、10〜40重量%の酸素を含有する化合物を含む。チタンとジルコニ
ウムのいずれか又は両方のアルコキシド、及び、フェノール又はフェノール化合物を混合
して溶液又はスラリーを生じさせることにより製造する。
【選択図】図2
Description
用途に利用できる、新規な黄色系色素組成物に関する。
無機顔料は、重金属を含むものが多く、使用時及び廃棄後に毒性が問題となる可能性があ
る。最近では、毒性を低減した複合酸化物系の無機顔料が幾つか開発されている(特許文
献1〜3)。これらの複合酸化物系無機顔料を作製するためには、複数の酸化物原料を目
的に応じた比率となるよう、十分均一に混合する工程が必要である。また、無機顔料は調
製した原料混合物の加熱焼成によって作製されるため、通常、用途に応じた粒子径とする
ために粉砕の工程が必要である。一方、有機顔料は、毒性の問題は無機顔料と比較して低
いものの、その複雑な分子構造の構築に必要な多段の化学反応を経て合成されるため、製
造工程が複雑となり、製造コストが高くなる。
用途に利用できる、新規な黄色系色素組成物を提供することを目的とする。
なわち、チタンとジルコニウムのいずれか又は両方のアルコキシド、及び、フェノール又
はフェノール化合物を混合することによって黄色の溶液又はスラリーを生じさせることを
特徴とするものである。
ェノール又はフェノール化合物との反応生成物からなる黄色系色素組成物が得られる。こ
の反応生成物中の化合物を分析すると約20〜80重量%の炭素、約1〜20重量%のチ
タンとジルコニウムのいずれか又は両方、及び、約10〜40重量%の酸素が含有されて
いることが分かった。この反応生成物は、分光反射率が600〜800nmの波長では5
0%以上であり、かつ、400nmでは60%以下である。また、化合物は、X線回折ス
ペクトルにおいて非晶質構造を示す。
、煩雑な合成工程を経ることなく簡便に製造できる。
ール又はフェノール化合物を原料として用いる。また、均一な反応を生じさせるために、
これらを有機溶媒中で混合する、又は、溶媒に溶解又は希釈したチタンとジルコニウムの
いずれか又は両方のアルコキシド、及び、フェノール又はフェノール化合物を混合する方
が望ましい。フェノール又はフェノール化合物も、予め、溶媒に溶媒又は希釈してから混合する方が望ましい。
ール基の種類を問わない。アセト酢酸エチルなどによるキレート化などの処理を施したア
ルコキシドであってもよい。また、フェノール化合物としては種類を問わないが、フェノ
ール樹脂が適している。フェノール樹脂としては、ノボラック型とレゾール型のいずれで
もよく、液状のフェノール樹脂オリゴマーが特に好適である。固体のフェノール樹脂、又
は、他のフェノール化合物であっても、溶媒に可溶なものであれば用いることができる。
有機溶媒としては、用いるアルコキシド、及び、フェノール又はフェノール化合物と均一
に混合されるものであれば種類を問わないが、その中でも、メタノール、エタノール、イ
ソプロピルアルコールなどの低級アルコールが望ましい。
ールと反応させることにより製造される。そのため、単体のアルコキシドを得るためには
、未反応のアルコール分を分離精製する工程が必要である。しかし、本発明においては、
アルコールで希釈したアルコキシドも用いることができるため、未反応のアルコールを分
離精製していないアルコキシドを用いることにより、コスト的に有利となる。
ノール又はフェノール化合物の混合は、室温で行っても十分な反応を生じさせることがで
きる。混合に際しては十分に撹拌することが望ましい。混合によりただちに有色の溶液と
なるか有色の粒子が溶液中に析出する。十分な量の溶媒中で混合した場合には、この有色
の粒子が10μm以下の微細な粒子径となり、混合液全体が有色のスラリーとなる。所望
の基板上で反応させることにより、又は、スラリーを基板上で乾燥、定着させることによ
り、該基板上に色素皮膜を形成するなどの用途にも用いることができる。
件を適切に選択することによって、このような微細な粒子が直接析出できるために、粉砕
の工程を経ることなく、適度な粒子径の粉末として作製することができる。又は、有色ス
ラリーの溶媒を必要に応じて精製、調製することにより、粉末顔料の状態を経ることなく
、塗料やインクなどの液体色素組成物を製造することができる。スラリーの状態又は顔料
粉末の状態において、分散性や耐候性などの特性向上や光沢感発現のために、色素組成物
粒子表面にコーテイングや表面改質などを施してもよい。
に反応が生じて有色の溶液となるか有色の粒子が溶液中に析出するが、混合液中には未反
応のアルコキシド又はフェノール若しくはフェノール化合物が残存する可能性がある。そ
こで、アルコキシドをいくぶん過剰に混合し、その混合液中に水を添加して、残存してい
るアルコキシドを加水分解して、化学的に安定な化合物に変化させることができる。この
化合物を反応生成物中に適宜混合させることにより目的に応じた色彩に調整することがで
きる、又は、反応生成物中に混合したとしても色彩に影響を与えない。
化合物と同時に混合しても、チタン又はジルコニウムのアルコキシドとフェノール又はフ
ェノール化合物との反応が速いために、黄色系色素組成物を得ることはできるが、十分な
反応の後に残留アルコキシドを加水分解するために、チタン又はジルコニウムのアルコキ
シドとフェノール又はフェノール化合物とを混合した後、時間を置いてから水を添加する
ことが好ましい。
又はフェノール化合物を混合することによって生成することができるが、チタンとジルコ
ニウムの両方のアルコキシドを混合してから、フェノール又はフェノール化合物を混合す
ることによって生成することもできる。この場合において、チタンとジルコニウムのアル
コキシドの混合割合を適宜変化させることによって、目的に応じた色彩に調整することが
できる。また、本発明の色素組成物は、色彩に影響を与えない範囲で、又は、目的に応じ
た色彩に調整することを目的として他の元素を添加元素又は不純物として含むことができ
る。
に他の物質が混在していたとしても、十分に反応が生じる。そのため、必要に応じて、安
定剤、界面活性剤などをあらかじめ溶媒に混合した状態で、混合して反応を生じさせるこ
とができ、色素組成物の光学特性及び他の必要な特性を改善することができる。
)を20gのエタノールに加えて希釈した。一方、2gのチタニウムテトライソプロポキ
シドにエタノールを10g加えて希釈した。フェノール樹脂オリゴマーの希釈液を室温で
撹拌しながら、チタニウムテトライソプロポキシドの希釈液を少量ずつ混合したところ、
黄色の粒子が溶液中に析出し、鮮やかな黄色のスラリーとなった。このスラリーを60℃
で乾燥することにより、黄色の粉末が得られた。
、酸素(O)について分析したが、合計が100wt%に満たない残り3.2wt%は水素(
H)と考えられる。
特有のハローパターンを示している。この粉末の光学特性を分光光度計を用いて拡散反射
法により測定した。得られた分光反射率曲線を図2に示す。600〜800nmの波長で
は、70%以上の反射率を示し、400nmでは10%の反射率を示した。この特性は、
黄色顔料として好適であることを示している。また、この粉末試料について、FT−IR
で測定して得られたスペクトルを図10に示す。
て希釈した。一方、2.4gのチタニウムテトラ-n-ブトキシドにエタノールを10g加
えて希釈した。フェノール樹脂オリゴマーの希釈液を室温で撹拌しながら、チタニウムテ
トラ-n-ブトキシドの希釈液を少量ずつ混合したところ、黄色の粒子が溶液中に析出し、
鮮やかな黄色のスラリーとなった。このスラリーを60℃で乾燥することにより、黄色の
粉末が得られた。
示す。Ti、C、Oの合計が100wt%に満たない残り2.5wt%はHと考えられる。ま
た、X線回折図形は、実施例1と同様、非晶質物質特有のハローパターンを示している。
この粉末の分光反射率曲線を図3に示す。実施例1と同様、600〜800nmの波長で
は70%以上の反射率を示し、400nmでは10%の反射率を示した。この特性は、黄
色顔料として好適であることを示している。
て希釈した。一方、2gのチタニウムテトラ-n-プロポキシドにエタノールを10g加え
て希釈した。フェノール樹脂オリゴマーの希釈液を室温で撹拌しながら、チタニウムテト
ラ-n-プロポキシドの希釈液を少量ずつ混合したところ、黄色の粒子が溶液中に析出し、
鮮やかな黄色のスラリーとなった。このスラリーを60℃で乾燥することにより、黄色の
粉末が得られた。
示す。Ti、C、Oの合計が100wt%に満たない残り1.9wt%はHと考えられる。ま
た、X線回折図形は、実施例1及び2と同様、非晶質物質特有のハローパターンを示して
いる。この粉末の分光反射率曲線を図4に示す。600〜800nmの波長では60%以
上の反射率を示し、400nmでは10%の反射率を示した。この特性は、黄色顔料とし
て好適であることを示している。
て希釈した。一方、2gのチタニウムテトラエトキシドにエタノールを10g加えて希釈
した。フェノール樹脂オリゴマーの希釈液を室温で撹拌しながら、チタニウムテトラエト
キシドの希釈液を少量ずつ混合したところ、黄色の粒子が溶液中に析出し、鮮やかな黄色
のスラリーとなった。このスラリーを60℃で乾燥することにより、黄色の粉末が得られ
た。
示す。Ti、C、Oの合計が100wt%に満たない残り2.4wt%はHと考えられる。ま
た、X線回折図形は、実施例1〜3と同様、非晶質物質特有のハローパターンを示してい
る。この粉末の分光反射率曲線を図5に示す。600〜800nmの波長では60%以上
の反射率を示し、400nmでは10%の反射率を示した。この特性は、黄色顔料として
好適であることを示している。また、この粉末試料について、FT−IRで測定して得ら
れたスペクトルを図10に示す。
て希釈した。一方、4gのジルコニウムテトラ-n-プロポキシドにエタノールを10g加
えて希釈した。フェノール樹脂の希釈液を室温で撹拌しながら、ジルコニウムテトラ-n-
プロポキシドの希釈液を少量ずつ混合したところ、黄白色の粒子が溶液中に析出し、黄白
色のスラリーとなった。このスラリーを60℃で乾燥することにより、黄白色の粉末が得
られた。
。得られた分光反射率曲線を図6に示す。600〜800nmの波長では、60%以上の
反射率を示し、400nmでは、43%の反射率を示した。この特性は、黄白色顔料とし
て好適であることを示している。また、この粉末試料について、FT−IRで測定して得
られたスペクトルを図10に示す。
て希釈した。一方、1gのチタニウムテトラエトキシド、及び、1gのジルコニウムテト
ラ-n-プロポキシドを10gのエタノールに加えて希釈した。フェノール樹脂オリゴマー
の希釈液を室温で撹拌しながら、チタニウムテトラエトキシドとジルコニウムテトラ-n-
プロポキシドの混合希釈液を少量ずつ混合したところ、黄色の粒子が溶液中に析出し、鮮
やかな黄色のスラリーとなった。このスラリーを60℃で乾燥することにより、黄色の粉
末が得られた。
示す。Ti、C、Oに加え、ジルコニウム(Zr)についても分析した。Ti、C、O、
Zrの合計が100wt%に満たない残り2.0wt%はHと考えられる。また、X線回折図
形は、実施例1〜4と同様、非晶質物質特有のハローパターンを示している。この粉末の
分光反射率曲線を図7に示す。600〜800nmの波長では60%以上の反射率を示し
、400nmでは13%の反射率を示した。この特性は、黄色顔料として好適であること
を示している。
ライソプロポキシドにエタノールを20g加えて希釈した。フェノール溶液を室温で撹拌
しながら、チタニウムテトライソプロポキシドの希釈液を少量ずつ混合したところ、鮮や
かな黄色の溶液となった。この溶液を24時間静置したところ、溶液中に黄色の粒子が溶
液中に析出した。この析出物をエタノールで洗浄し、60℃で乾燥することにより、黄色
の粉末が得られた。
では約90%の反射率を示し、400nmでは13%の反射率を示した。この特性は、黄
色顔料として好適であることを示している。また、この粉末試料について、FT−IRで
測定して得られたスペクトルを図10に示す。
希釈した。この希釈液を室温で撹拌しながら、チタニウムテトライソプロポキサイドを1
0g加えたところ、黄色の粒子が溶液中に析出し、鮮やかな黄色のスラリーとなった。こ
のスラリーに精製水1gを混合した。混合前後において、外見上の変化は観察されなかっ
た。さらに、このスラリーを60℃で乾燥させることにより、黄色の粉末が得られた。
示す。Ti、C、Oの合計が100wt%に満たない残り5.1wt%はHと考えられる。ま
た、X線回折図形において、結晶性のピークは認められなかった。この粉末の分光反射率
曲線を図9に示す。600〜800nmの波長では70%以上の反射率を示し、400n
mでは13%の反射率を示した。この特性は、黄色顔料として好適であることを示してい
る。
図10に示す。参照のために、フェノール樹脂のスペクトルも併せて示した。また、これ
らのスペクトルにおける吸収帯の振動モードを解析した結果を表2にまとめた。
いると考えられる。また、チタンのアルコキシドを原料とした試料1、試料4、及び、試
料7においては、Ti−O結合によると考えられる吸収が認められた。ジルコニウムのアルコキシドを原料とした試料5においては、Zr−O結合によると考えられる吸収が認められた。
(比較例1)
た。この溶液に実施例1と同じ液状フェノール樹脂オリゴマーを3.4g加え、室温で撹
拌を続けたが、48時間経過後も混合溶液に色の変化はなく、また、析出物なども生じな
かった。
組成物に利用できる。本発明の方法により、有害元素を含まないこのような色素組成物を
煩雑な合成工程を経ることなく簡便に製造することができる。
Claims (10)
- チタンとジルコニウムのいずれか又は両方のアルコキシド、及び、フェノール又はフェノ
ール化合物との反応生成物からなることを特徴とする黄色系色素組成物。 - 反応生成物中に20〜80重量%の炭素、1〜20重量%のチタンとジルコニウムのいず
れか又は両方、及び、10〜40重量%の酸素を含有する化合物を含むことを特徴とする
請求項1記載の黄色系色素組成物。 - 分光反射率が600〜800nmの波長では50%以上であり、かつ、400nmでは6
0%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の黄色系色素組成物。 - 化合物がX線回折スペクトルにおいて非晶質構造を示すことを特徴とする請求項2又は請
求項3記載の黄色系色素組成物。 - チタンとジルコニウムのいずれか又は両方のアルコキシド、及び、フェノール又はフェノ
ール化合物を混合して溶液又はスラリーを生じさせることを特徴とする請求項1〜4のい
ずれかの黄色系色素組成物の製造方法。 - チタンとジルコニウムのいずれか又は両方のアルコキシド、及び、フェノール又はフェノ
ール化合物を有機溶媒中で混合して溶液又はスラリーを生じさせることを特徴とする請求
項1〜4のいずれかの黄色系色素組成物の製造方法。 - チタンとジルコニウムのいずれか又は両方のアルコキシド、フェノール又はフェノール化
合物、及び、水を混合して溶液又はスラリーを生じさせることを特徴とする請求項1〜4
のいずれかの黄色系色素組成物の製造方法。 - チタンとジルコニウムのいずれか又は両方のアルコキシド、フェノール又はフェノール化
合物、及び、水を有機溶媒中で混合して溶液又はスラリーを生じさせることを特徴とする
請求項1〜4のいずれかの黄色系色素組成物の製造方法。 - 請求項5〜8のいずれかにおいて生じた溶液又はスラリーを乾燥させることを特徴とする
請求項1〜4のいずれかの黄色系固体色素組成物の製造方法 - 請求項5〜8のいずれかのフェノール化合物がフェノール樹脂であることを特徴とする請
求項1〜4のいずれかの黄色系色素組成物の製造方法。
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