JP2006312460A - 駆動車輪用軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 車輪軸受部と等速自在継手部とを備え等速自在継手部の外側継手部材50の回転を車輪軸受部の内方部材40に伝えるようにした駆動車輪用軸受装置に最適な焼入れパターンを提供する。
【解決手段】 外側継手部材50のステム部54に、内方部材40に嵌合されるセレーション軸部57を焼入れ硬化させて形成し、かつ、端部に焼入れ硬化されない未焼入れの部分を残し、その端部をかしめる(54”)ことにより内方部材40と外側継手部材50を結合する。
【選択図】 図1

Description

本発明は自動車の駆動車輪用の軸受ユニット、より詳しくは、ハブ輪(駆動車輪車軸)と等速自在継手の外方継手部材と車輪用軸受とをユニット化した駆動車輪用軸受装置に関する。本発明の駆動車輪用軸受装置は、FR車(前置エンジン後輪駆動車)の後輪、FF車(前置エンジン前輪駆動車)の前輪、4WD車(四輪駆動車)の全輪等の駆動車輪を、懸架装置に対して回転自在に支持するために利用するものである。
自動車のエンジンから駆動車輪に動力を伝達する動力伝達系は、エンジンと車輪との相対位置関係の変化による角度変位と軸方向変位に対応する必要があるため、たとえば図5に示すように、エンジン側と駆動車輪側との間にドライブシャフトDを介装し、ドライブシャフトDの一端を摺動型等速自在継手J1を介してディファレンシャルに連結し、他端を固定型等速自在継手J2を介して駆動車輪の車軸(ハブ輪)に連結している。摺動型等速自在継手J1のいわゆるプランジングによって軸方向の変位が吸収される。これに対して固定型等速自在継手J2は角度変位のみが可能である。
固定型等速自在継手J2は、ハブ輪3に結合された外側継手部材4と、ドライブシャフトDの前記他端に取り付けられた内側継手部材17と、外側継手部材4および内側継手部材17のトラック溝間に組み込まれ、保持器で保持された複数のトルク伝達ボール18とを主要な構成要素としている。ハブ輪3は転動体11を介して回転自在に支持され、このハブ輪3に駆動車輪のホイールが固定される。駆動車輪用軸受装置Hはハブ輪3と等速自在継手J2と車輪用軸受をユニット化して構成されるものである。
駆動車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するための駆動車輪用軸受装置は各種提案されている。操舵輪であると同時に駆動車輪でもあるFF車あるいは4WD車の前輪を支持するための駆動車輪用軸受装置は、等速自在継手と組み合わせて、駆動車輪に付与された舵角に拘らず、ドライブシャフトの回転を駆動車輪に対して円滑に等速で伝達する必要がある。また、FR車、4WD車の後輪を支持する車輪用軸受装置も、場合によっては等速自在継手と組み合わせる場合がある。
このような等速自在継手と組み合わせて、しかも比較的小型かつ軽量に構成できる駆動車輪用軸受装置の一例が特開平7−317754号公報に記載されている。図6はその従来構造を示す。車両へ組み付けた状態で、懸架装置に支持され回転しない外方部材1は、外周に懸架装置に支持させるための取付けフランジ2を有し、内周面に複列の外側軌道面23を有する。外方部材1の内側に、ハブ輪3と外側継手部材4を組み合わせて配置してある。ハブ輪3は車輪を支持するための取付けフランジ6を有し、外周部分に第一の内側軌道面7を形成してある。また、ハブ輪3は、取付けフランジ6に車輪を取り付ける際に車輪をハブ輪3に対して位置決めするための位置決め用円筒部22を備えている。外側継手部材4はマウス部9と円筒部8とからなり、円筒部8にハブ輪3を外嵌し、中間部外周面に第二の内側軌道面10を形成してある。第一および第二の内側軌道面7,10と、複列の外側軌道面23との間に複列の転動体11を組み込んで外方部材1の内側にハブ輪3および外側継手部材4を回転自在に支持させてある。
ハブ輪3の内周面と外側継手部材4の円筒部8の外周面との互いに整合する位置にそれぞれ係止溝12,13を形成するとともに、両係止溝12,13に掛け渡して止め輪14を装着することにより、ハブ輪3が外側継手部材4から抜け出るのを防止している。さらに、符号16で示すように、外側継手部材4の一端面(図6の左端面)外周縁部と、ハブ輪3の内周面に形成した段部15の内周縁部とを溶接して、ハブ輪3と外側継手部材4とを結合している。
外方部材1の両端開口部とハブ輪3および外側継手部材4との間には、ステンレス鋼板等の金属製で略円筒状のカバー19a,19bと、ゴム、エラストマー等の弾性材製で円環状のシールリング20a,20bとを設けている。これらカバー19a,19bおよびシールリング20a,20bは、複数の転動体11を設置した部分と外部とを遮断し、この部分に存在するグリースが外部に漏出するのを防止すると共に、この部分に雨水、塵芥等の異物が進入することを防止する。また、外側継手部材4の中間部内側には、内側継手部材4の内側を塞ぐ隔壁21を設けて、内側継手部材4の先端開口から内側に入り込んだ異物が、マウス部9の内部にまで達することを防止している。
上述の構成よりなる駆動車輪用軸受装置は、外方部材1の取付けフランジ2により外方部材1を懸架装置に取り付け、ハブ輪3の取付けフランジ6に駆動車輪を取り付ける。また、エンジンからの回転動力を伝えるドライブシャフト(D:図5参照)の端部を、等速自在継手の内側継手部材17とスプライン嵌合させる。自動車の走行時には、内側継手部材17の回転を、複数のボール18を介して外側継手部材4およびハブ輪3に伝達し、駆動車輪を回転させる。
図6に示した従来構造の場合には、ハブ輪3と外側継手部材4との結合強度を確保することが難しく、実用化が難しい。その理由は次のとおりである。ハブ輪3と外側継手部材4との結合部には、自動車を走行させるために大きなトルクが加わる。このように大きなトルクに拘らず、当該結合部でハブ輪3と外側継手部材4との相対回転を防止するためには、両者3,4を嵌合させただけでは不十分である。したがって、実際には溶接部16でトルクを支承する必要がある。そして、溶接部16の強度を十分に確保するためには厚肉の全周肉盛り溶接にすることが望ましい。しかしながら、溶接部16の近傍にはアウトボード側の内側軌道面7が存在するため、溶接部16を厚肉の全周肉盛り溶接にすると、内側軌道面7部分に熱変形による歪みが発生し、駆動車輪用軸受装置としての性能が悪化するおそれがある。具体的には、運転時に振動が発生やすくなるほか、十分な耐久性が得られない。また、溶接時の熱により、内側軌道面7の焼きが戻ってしまって硬度が十分に維持できなくなり、転がり疲れ寿命の低下につながる。
また、とくにインボード側の内側軌道面10に関しては、車両の急旋回時などに大きなモーメント荷重を受けることに加えて、外側継手部材4の、トルク伝達ボール18がトルクを伝達しながら転動するトラック溝の近傍に位置しているため、発熱による影響を受ける。しかも、インボード側ゆえにアウトボード側に比べて良好な放熱状態が得にくいことから、非常に厳しい荷重条件が要求される。
本発明の目的は、上述のような従来の技術における問題点を解消して、小型かつ軽量で、しかも耐久性を向上させた駆動車輪用軸受装置を提供することにある。
請求項1の発明は、車体に取り付ける取付けフランジを有する外方部材と、車輪を取り付ける車輪取付けフランジを有する内方部材との間に転動体を組み込んで、前記内方部材を回転自在に支持した車輪軸受部と、
ドライブシャフトの一端に設けられ、内周にトラック溝が形成された外側継手部材と、外側継手部材のトラック溝と対向するトラック溝が外周に形成された内側継手部材と、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に組み込まれたボールとからなる等速ジョイント部とを備え、
等速ジョイント部の外側継手部材の回転を車輪軸受部の内方部材に伝えるようにした駆動車輪用軸受装置において、
外側継手部材には、内方部材に嵌合されるセレーション部が焼入れ硬化して形成され、かつ、端部にかしめ部を有し、前記かしめ部は焼入れ硬化されていないことを特徴とする駆動車輪用軸受装置である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の駆動車輪用軸受装置において、前記転動体を複列とし、外方部材に複列の外側軌道面を設け、前記複列の外側軌道面と対向する複列の内側軌道面のうちの一方を内方部材に、他方を外側継手部材に配置したことを特徴とする。ここで、周知のとおりセレーションに代えてスプラインを採用することも可能であるため、セレーションというときはセレーションまたはスプラインを意味するものとする。
請求項3の発明は、請求項2に記載の駆動車輪用軸受装置において、外側継手部材の外表面のうち、前記他方の内側軌道面部分からセレーション部まで連続した焼入れ硬化層が形成されていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3の駆動車輪用軸受装置において、外側継手部材を構成する材料が炭素量0.45重量%以上の炭素鋼であることを特徴とする。外側継手部材を構成する材料に、炭素量が0.45重量%以上、好ましくは0.5〜0.7重量%の炭素鋼を使用することにより、外側継手部材に、熱処理によって所望の焼入れ硬化層を形成した部分と、かしめを可能ならしめる延性を保持した部分とを持たせることができる。また、外側継手部材を炭素含有量が0.45重量%以上である炭素鋼製とすることにより、外側継手部材に形成された前記他方の内側軌道面(インボード側内側軌道面)の転がり疲れ寿命(剥離寿命)を、転動体から繰り返し加えられる負荷に拘らず、十分に確保できる。すなわち、転がり疲れ寿命を確保するためには、インボード側内側軌道面の表面部分の硬度をたとえばHv550〜900程度に高くする必要がある。この表面部分の硬度が低いと、インボード側内側軌道面の転がり疲れ寿命が短くなる。外側継手部材を炭素含有量が0.45重量%未満の炭素鋼により造った場合には、仮にインボード側内側軌道面に焼入れ処理を施しても、必要とする硬度が得られない。これに対して、請求項4の発明の場合には、外側継手部材を炭素含有量が0.45重量%以上の炭素鋼製とするとともにインボード側内側軌道面部分を焼入れ処理により硬化させているため、インボード側内側軌道面部分の硬度を十分に高くして、インボード側内側軌道面部分の転がり疲れ寿命の確保が図れる。このようにしてインボード側内側軌道面部分の転がり疲れ寿命を確保した場合でも、外側継手部材の軸端部は焼入れ処理を施すことなく生のままとしてある。したがって、外側継手部材とハブ輪とを結合するためのかしめ部の加工が面倒になることはない。
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の駆動車輪用軸受装置において、外側継手部材の焼入れ硬化前の硬度がHv200〜300であることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の駆動車輪用軸受装置において、内方部材の内表面に焼入れ硬化層が形成されていることを特徴とする。内方部材の内表面に焼入れ硬化層が形成されていることにより、外側継手部材の軸端部のかしめ加工に伴って内方部材に大きな荷重が加わった場合でも、内方部材の変形を防止して、軸受すきま(正または負)が所望値からずれることを防止できる。すなわち、外側継手部材の軸端部をかしめ広げてかしめ部を形成するには、この軸端部に、直径方向外方に向く大きな荷重を付与する必要がある。その結果、かしめ部の形成作業に伴って内方部材の内周面および端面に、大きな面圧が作用する。したがって、内方部材の硬度が低いと、上記面圧によって内方部材が変形して軸受すきまが所望値からずれてしまう。これに対して請求項5の発明では、内方部材の内表面に焼入れ硬化層を形成してあるため、内方部材の硬度が十分に高く、上記大きな面圧に拘らず、内方部材が変形することを防止して、軸受すきまを所望値に保つことできる。また、内方部材の外周面に形成された上記一方の内側軌道面(アウトボード側内側軌道面)の直径が変化したり、形状精度(真円度、断面形状)が悪化することを防止して、アウトボード側内側軌道面の転がり疲れ寿命の低下防止を図れる。
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の駆動車輪用軸受装置において、等速自在継手部が、球面状内周面に軸方向に延びる8本の曲線状のトラック溝を形成した外側継手部材と、球面状外周面に軸方向に延びる8本の曲線状のトラック溝を形成した内側継手部材と、対をなす外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝とで形成される8本のボールトラックに1個ずつ組み込まれたトルク伝達ボールと、すべてのトルク伝達ボールを同一平面内に保持する保持器とで構成されていることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項7に記載の駆動車輪用軸受装置において、トルク伝達ボールのピッチ円径(PCDBALL)とトルク伝達ボールの直径(DBALL)との比(r1=PCDBALL/DBALL)が3.3以上5.0以下(3.3≦r1≦5.0)であることを特徴とする。ここで、トルク伝達ボールのピッチ円径(PCDBALL)は、外側継手部材のトラック溝の中心または内側継手部材のトラック溝の中心とトルク伝達ボールの中心とを結ぶ線分の長さの2倍である(PCDBALL=2×PCR)。外側継手部材のトラック溝の中心とトルク伝達ボールの中心とを結ぶ線分の長さと、内側継手部材のトラック溝の中心とトルク伝達ボールの中心とを結ぶ線分の長さは相等しい。これにより、継手の等速性が確保される。以下、この寸法を「PCR」という。3.3≦r1≦5.0とした理由は、外側継手部材等の強度、継手の負荷容量および耐久性を、6個のトルク伝達ボールを使用したものと同等以上に確保するためである。すなわち、等速自在継手においては、限られたスペースの範囲で、トルク伝達ボールのピッチ円径(PCDBALL)を大幅に変更することは困難である。そのため、r1の値は、主にトルク伝達ボールの直径(DBALL)に依存することになる。比r1が3.3より小さい場合(r1<3.3)、これは主に直径DBALLが大きい場合であるが、外側継手部材、内側継手部材その他の部品の肉厚が薄くなりすぎて、強度の点で懸念が生じる。逆に。比r1が5.0を越えると(r1>5.0)、これは主にトルク伝達ボールの直径DBALLが小さい場合であるが、負荷容量が小さくなり、耐久性の点で懸念が生じる。また、直径DBALLが小さくなると接触部分の接触楕円が小さくなるため、トルク伝達ボールとトラック溝との接触部分の面圧が上昇し、トラック溝の溝肩エッジ部分の欠け等の要因になることが懸念される。3.3≦r1≦5.0の範囲とすることにより、外側継手部材の強度、等速自在継手の負荷容量および耐久性を6個のトルク伝達ボールを使用したものと同等以上に確保することができる。
請求項9の発明は、請求項8に記載の駆動車輪用軸受装置において、外側継手部材の外径(DOUTER)と、内側継手部材の軸孔に形成された歯型のピッチ円径(PCTSERR)との比r2(=DOUTER/PCTSERR)が2.5以上3.5以下(2.5≦r2≦3.5)であることを特徴とする。2.5≦r2≦3.5とした理由は次のとおりである。すなわち、内側継手部材の歯型のピッチ円径(PCDSERR)は、相手軸の強度等との関係で大幅に変更することはできない。そのため、r2の値は主に外側継手部材の外径(DOUTER
)に依存することになる。比r2の値が2.5より小さいと、これは主に外径DOUTER
が小さい場合であるが、外側継手部材、内側継手部材その他の各部品の肉厚が薄くなりすぎて、強度の点で懸念が生じる。一方、比r2の値が3.5を越えると、これは主に外径DOUTERが大きい場合であるが、寸法的な面等から実用上の問題が生じることがあり、また、コンパクト化という目的も達成できない。2.5≦r2≦3.5とすることにより、外側継手部材等の強度および継手の耐久性を6個のトルク伝達ボールを使用したものと同等以上に確保することができ、かつ、実用上の要請も満足できる。とくに、2.5≦r2>3.2とすることにより、外形寸法をコンパクト化できるというメリットがある。なお、6個のトルク伝達ボールを使用したものでは一般にr2≧3.2である。
請求項10の発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の駆動車輪用軸受装置において、外側継手部材の軸部の少なくとも端部に中空円筒部を設けたことを特徴とする。
請求項11の発明は、請求項10に記載の駆動車輪用軸受装置において、前記中空円筒部が外側継手部材の軸部を貫通してマウス部の底と連通していることを特徴とする。
請求項12の発明は、車体に取り付けるための取付けフランジを有する外方部材と、車輪を取り付けるための車輪取付けフランジを有するハブ輪との間に転動体を組み込んで、ハブ輪を回転自在に支持した軸受部と、
内周にトラック溝が形成された外側継手部材と、外周に外側継手部材のトラック溝と対向するトラック溝が形成された内側継手部材と、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に組み込まれたボールとからなり、ドライブシャフトの一端に設けられる等速自在継手部とを備え、
等速自在継手部の外側継手部材と軸受部のハブ輪を互いに嵌合させ、外側継手部材の回転をハブ輪に伝えるようにした駆動車輪用軸受装置において、
前記嵌合部分が、はめあい部とセレーション部とで形成されており、互いに嵌合した外側継手部材とハブ輪のうちの内側嵌合部材の端部をかしめて両者を固定したことを特徴とする駆動車輪用軸受装置である。
請求項13の発明は、請求項12に記載の駆動車輪用軸受装置において、はめあい部の長さがセレーション部の長さよりも短いことを特徴とする。このようにはめあい部の長さLFとセレーション部の長さLSとの関係をLS>LFとすることにより、ハブ輪に外方継手部材を組み付ける際に、まずセレーション部が噛み合い始め、周方向の位相が合った後、はめあい部に入るため、圧入操作が容易となる。
請求項14の発明は、請求項12または13に記載の駆動車用軸受装置において、はめあい部の長さがはめあい部軸径の1/4以上であることを特徴とする。はめあい部には軸受のラジアル荷重が負荷されるので、はめあい部軸径の1/4を下回る場合、面圧が高くなり、問題となる。
請求項15の発明は、請求項12乃至14のいずれかに記載の駆動車用軸受装置において、はめあい部の締め代が0以上60μm以下であることを特徴とする。はめあい部の締め代の下限については、軸受支持剛性の面から0μm≦Sとし、上限については、セレーション部とはめあい部を合わせた圧入力がナットの軸力以下となるようS≦60μmとしたものである。
以上説明したところから明らかなように、本発明によれば、互いに嵌合する内方部材(ハブ輪)および外側継手部材のうち、内側嵌合部材の外周面の端部に低硬度の未焼入れ領域を設けたことにより、当該端部をかしめて両部材を結合するタイプの駆動車輪用軸受装置に最適な焼入れパターンが得られる。すなわち、転動体が転動する軌道面とくに内側軌道面部分に耐寿命性を付与し、その一方で、端部に未焼入れ領域を設けておくことによって、内方部材と外側継手部材との結合手段としての当該部分の安定したかしめを可能ならしめるので、予圧抜けのない、コンパクトな構成の駆動車輪用軸受装置が得られる。また、内方部材と外側継手部材との結合を溶接によらないため、軌道面に熱歪みが発生するなどの不具合が解消する。両者間のトルク伝達はセレーション部によって確実に達成される。
また、等速自在継手の外側継手部材に軌道面(インボード側内側軌道面)を形成することにより、軸方向寸法が10%以上コンパクトとなる。自動車の旋回半径は、固定式等速自在継手の最大作動角によって制約される。そのため、最近は旋回半径を小さくするために作動角のより大きく取れる等速自在継手が求められている。本発明の駆動車輪用軸受装置は、軸方向にコンパクトになっており固定式等速自在継手の作動中心をキングピン中心に一致させることができ、自動車の旋回半径を小さくすることができる。
8個のトルク伝達ボールを使用する等速自在継手を採用することにより、6個のトルク伝達ボールを使用する等速自在継手に比べて軽量・コンパクト、低発熱、高効率が達成され、車輪用軸受と一体化していることと上記軸方向コンパクト化とが相俟って軽量化が図られる。自動車全体の重量を低減することは、環境保護、省エネといった観点から非常に重要になっている。駆動車輪用軸受装置のように車輪部に使用される部品にあっては、バネ下重量の軽減につながり、自動車の操縦安定性を大きく向上させ、快適性に寄与する。また、回転力伝達時のトルク損失が約30%改善され、特に大きな作動角を取った時その効果はさらに改善される。運転時の等速自在継手からの発熱も比較品に比べ約20℃低減できるため、等速自在継手の外側継手部材に軌道面を形成しても、軸受寿命に対する影響を少なくすることができた。中空構造の採用によって、等速自在継手および軸受部の放熱性を向上させるため、等速自在継手および軸受部の耐久寿命を大きく向上させ信頼性が増す。
以下、図面に示す実施の形態を説明する。
図1に示す実施の形態では、駆動車輪用軸受装置は車輪軸受部と等速自在継手部とで構成され、等速自在継手部の外側継手部材50の回転を車輪軸受部の内方部材40に伝えるようにしている。車輪軸受部は、外方部材30と内方部材40との間に転動体60を組み込んで内方部材40を回転自在に支持している。等速自在継手部は、外側継手部材50と、内側継手部材70と、外側継手部材50と内側継手部材70との間にトルク伝達要素として組み込まれたトルク伝達ボール73と、トルク伝達ボールを保持する保持器74とからなる。車輪軸受部の複列の内側軌道面41,52は内方部材40と外側継手部材50に配分的に設けている。つまり、アウトボード側の内側軌道面41を内方部材40に形成し、インボード側の内側軌道面52を外側継手部材50に形成してある。ここで、アウトボード側とは自動車へ組み付けた状態で幅方向外寄りとなる側をいい、図1〜図6の各図では左側となる。反対にインボード側とは幅方向内寄りとなる側をいい、図1〜図6の各図では右側となる。この複列の内側軌道面41,52と、外方部材30に設けられた複列の外側軌道面32との間に複列の転動体60が組み込まれている。ここでは転動体としてボールを使用する場合を例示してあるが、円すいころを使用することもできる。外方部材30の両端開口部にシール36,38が装着され、内部に充填したグリースの漏洩ならびに外部からの水や異物の侵入を防止するようになっている。
車輪軸受部について詳細に説明すると、外方部材30は内周に複列の外側軌道面32を形成するとともに、外周に車体に取り付けるための取付けフランジ34を備えている。内方部材40はハブ輪と称される部品であって、駆動車輪(図5参照)を取り付けるための取付けフランジ42を備え、この取付けフランジ42の円周方向等間隔位置に、ホイールディスクを固定するためのハブボルト43を植え込んである。取付けフランジ42の基端部付近から内側軌道面41に至る部分は、シール36のシールリップが摺接するシール面44となる。また、内方部材40のインボード側の端面45は外側継手部材50の肩面53との突合せ面となる。内方部材40は軸心部に貫通孔を有しており、この貫通孔には円筒形のはめあい部46とセレーション孔部47が、突合せ面45側からはめあい部46、セレーション孔部47の順で連成されている。
外周にインボード側内側軌道面52を有する外側継手部材50は、マウス部51とステム部54とからなり、ステム部54にて内方部材40と嵌合している。はめあい部46のマウス部側端部から半径方向に立ち上がった肩面53が前述のとおり内方部材40の端面45との突合せ面となる。ステム部54の端部を半径方向外方に拡開させて符号54”で示すようにかしめることにより、内方部材40と外側継手部材50とを結合してある。ここではステム部54を全長にわたって中空としてあるが、既述の図6の従来技術のように部分的に中実となっていてもよい。また、中実のステム部の軸端部に凹所を設けることによってかしめのための端部を形成してもよい。中空の空間部分が多いほど、軽量化が図れることに加えて、放熱効果が得られるため、軸受の耐久性が向上するという有利さがある。
外側継手部材50のマウス部51内に、内側継手部材70、トルク伝達ボール73、保持器74が組み込まれる。内側継手部材70はエンジンからの動力を伝達するドライブシャフト(D:図5参照)とセレーション嵌合するようにセレーション孔78を形成してあり、外球面71の円周方向等間隔位置に外側継手部材50のトラック溝59と対をなすトラック溝72を備えている。外側継手部材50のトラック溝59と内側継手部材70のトラック溝72との間にトルク伝達ボール73が介在して両者間でトルクを伝達する。各トルク伝達ボール73は保持器74のポケット75内に組み込んである。保持器74は外側継手部材50のマウス部51の内球面58と内側継手部材70の外球面71との間に介在し、すべてのトルク伝達ボール73を同一平面内に保持することによって継手の等速性を担保する役割を果たす。
外側継手部材50のステム部54には、内方部材40のはめあい部46およびセレーション孔部47とそれぞれ対応する軸方向位置に、はめあい部56およびセレーション軸部57が形成されている。そして、内方部材40の貫通孔から突出したステム部54の端部を外径側に拡径させてかしめることにより、内方部材40と外側継手部材50とが結合される。セレーション部47,57はねじれ角がつけてあり、噛合い歯間を締め代にして円周方向ガタをなくしている。この場合、セレーション部47,57によりトルクの伝達が行われる。また、はめあい部46,56によって、複列の内側軌道面41,52の心出しがなされる。この心出しは、複列の内側軌道面41,52が別々の部材すなわち内方部材40と外側継手部材50とに配分的に形成されていることから、当該軸受装置の良好な軸受性能を発揮させる上で重要な意義を有する。また、内方部材40と外側継手部材50との突合せ面45,53の軸方向位置は複列の内側軌道面41,52間の距離を左右する。したがって、これらの突合せ面45,53のいずれか一方または両方の加工量を加減することによって軸受すきま(正または負)の調整をすることができる。
はめあい部46,56の長さLfとセレーション部47,57の長さLsとの関係をLf<Lsとする。これにより、セレーション部47,57の噛合い始めがはめあい部よりも先行することとなるので、セレーション部47,57の周方向位相合わせが容易となる。
図示するように、はめあい部46,56を複列の転動体60間に配置することで、はめあい部の締め代により内方部材40の外径に変化が生じても内側軌道面に影響を与える心配がなくなる。はめあい部46,56の締め代Sは0μm≦S≦60μmの範囲に設定する。下限を0μmとしたのは、はめあい部46,56とセレーション部47,57とを合わせた圧入力がかしめ部による軸力以下となるようにしてかしめ部による結合を有効にするためである。
図1の中心線より下半分では断面を表わすハッチングを省略し、代わりに、焼入れ硬化層をハッチングで表わしてある。内方部材40は炭素鋼を使用して鍛造加工により成形され、ハッチングで表された部分、すなわち、車輪取付けフランジ42の基端部付近から始まってシール面44、アウトボード側内側軌道面41、外側継手部材50との突合せ面である端面45、外側継手部材50との嵌合部であるはめあい部46およびセレーション孔部47にかけて、焼入れ処理を施してHv510〜900程度の硬化層を形成させる。焼入れ硬化層を形成させる部分のうち、車輪取付けフランジ42の基端部分は、車輪を固定した車輪取付けフランジ42から受けるモーメント荷重に拘らず、基端部分の変形やフランジの面振れを防止するために硬化させる。シール面44は、上記基端部と重複する部分もあるが、シール36のシールリップが摺接する部分であるため、摩擦抵抗を少なくするとともに所期のシール効果を発揮させ、かつ、耐摩耗性を付与するために硬化させる。内側軌道面41部分は、転動体60と接触することにより大きな面圧が発生するため、転がり疲れ寿命を確保するために硬化させる。端面45は外側継手部材50との突合せ面であり、しかも、内側軌道面41,52間の距離を左右する部分であることから、寸法精度の維持、フレッティング摩耗の防止のために硬化させる。なお、内側軌道面41部分から端面45にかけての外周面部分は、内側軌道面41部分の硬化層と相俟って転動体60から受けるラジアル荷重に拘らず内側軌道面41が変形するのを防止するのに役立つように硬化させる。内周面のうち、はめあい部46は外側継手部材50のはめあい部56との嵌合締め代に耐えて内側軌道面41の変形を防止するため、さらには、耐クリープ性、耐フレッティング性を付与するために硬化させる。セレーション孔部47は外側継手部材50のセレーション軸部57との間でトルクを伝達する働きをするため、所定の強度(歯欠け防止など)を付与するために硬化させる。セレーション孔部47から内方部材40の端面にかけての部分は、外側継手部材50の端部をかしめる際に内方部材40に加わる荷重に拘らず、変形を防止するために硬化させる。
外側継手部材50を構成する材料としては、炭素含有量が0.45〜1.10重量%の炭素鋼とし、少なくとも端部(54”)の硬度をHv200〜300とする。これにより、インボード側内側軌道面52部分やマウス部51のトラック溝59部分に要求される硬度(Hv510〜900)を確保し、しかも、かしめ作業を十分に行える。すなわち、かしめ部54”を形成する前の端部の硬度がHv300を越えると、端部をかしめる際に、形成されたかしめ部54”にクラックが発生したり、かしめが不十分となってかしめ部54”と内方部材40とが密着しなくなって内方部材40と外側継手部材50との結合力が不足したりする。また、かしめ部54”を形成するために要する荷重が過大になって、かしめ作業に伴って内側軌道面41や転動体60に圧痕等の損傷を生じやすくなるほか、各部の寸法精度が悪化する可能性を生じる。外側継手部材50を構成する炭素鋼の炭素含有量が1.10を越えると、かしめ部54”を形成する前の端部の硬度をHv300以下に抑えることが難しくなるためである。逆に、端部の硬度がHv200に達しないと、形成したかしめ部54”の硬度を確保できず、やはりこのかしめ部による結合力が不足する。外側継手部材50を構成する炭素鋼の炭素含有量が0.45重量%を下回ると、インボード側内側軌道面52部分に要求される硬さ(Hv510〜900)を確保できず、この内側軌道面部分の寿命が低下する。
外側継手部材50の外周面には図1の下半分においてハッチングで表されるように焼入れ硬化層を形成させてある。マウス部51については、トルク伝達ボール73が転動する部分であるトラック溝59は、耐寿命性を付与するため硬化させてある。シール面55はシール38のシールリップが摺動する部分であるため、摩擦抵抗を少なくするとともに所期のシール効果を発揮させ、かつ、耐摩耗性を付与するために硬化させる。内側軌道面52部分は、転動体60が転動する軌道であるため、転動体60から受けるラジアル荷重、スラスト荷重に耐える寿命を保持させるために硬化させる。肩面53は内方部材40との突合せ面であり、しかも、内側軌道面41,52間の距離を左右する部分であることから、寸法精度の維持、フレッティング摩耗の防止のために硬化させる。ステム部54の外周面のうち、はめあい部56およびセレーション軸部57は、内方部材40のはめあい部46およびセレーション孔部47と同様に耐クリープ性、耐フレッティング性などを付与するために硬化させる。一方、ステム部54の端部は、かしめを行なう部分であるため延性が必要となる。したがって、かしめを可能ならしめるため端部には焼入れ処理を施さず未焼入れ部分として残してある。
このように、外側継手部材50は、インボード側内側軌道面52部分を焼入れ処理により硬化させているため、この内側軌道面の転がり疲れ寿命を十分に確保できる。一方、端部には焼入れ処理を施すことなく、生のままとしているため、端部を塑性変形させるために要する力が徒に大きくなったり、あるいは端部を塑性変形させる場合に端部(かしめ部54”)に亀裂等の損傷が発生しやすくなることはない。したがって、上述のようにインボード側内側軌道面52部分の硬度を高くして転がり疲れ寿命を確保した場合でも、外側継手部材50と内方部材40とを結合するためのかしめ部の加工が面倒になることはない。しかも、内方部材40の内周面の全長にわたって硬化層を形成させているため、かしめ部の加工に伴って内方部材40に大きな荷重が加わった場合でも、内方部材40の変形を防止して、軸受内部すきまが所望値からずれることを防止できる。また、内方部材40の外周面に形成したアウトボード側内側軌道面41の直径が変化したり、精度が悪化することを防止して、この内側軌道面41の転がり疲れ寿命の低下防止を図れる。
上述の焼入れ硬化層は、必要とする部分ごとに不連続に形成してもよいが、隣り合う焼入れ硬化層同士を連続させることにより、内方部材40および外側継手部材50の強度および耐久性の向上に役立つばかりでなく、焼入れ処理の作業能率もよい。
焼入れ処理方法は、高周波焼入れ、浸炭焼入れ、レーザ焼入れ等の周知の技術から適宜選択することができる。なお、上述のような焼入れパターンで熱処理を施すためには高周波焼入れが適している。表面硬化処理としての高周波熱処理は、誘導加熱の特色を有効に生かして硬化層を自由に選定し、耐摩耗性を与えたり疲労強度を改善することができる。誘導加熱は、電磁誘導現象を利用して金属内で電気エネルギを直接熱エネルギに変えて発熱させる方法で、これを利用した高周波熱処理には多くの特徴がある。とくに、局部加熱ができ、硬化層深さの選定が自由であり、また硬化層以外には著しい熱影響を与えないよう制御できるので、母材の性能を保持できる。
また、このような焼入れ処理を施す内方部材40および外側継手部材50の材料としては、炭素量が0.45%以上、好ましくは0.5〜0.7%の炭素鋼が適している。硬化層の表面硬度はHv510以上、好ましくはHv650〜800の範囲とする。未焼入れ部の硬度は、たとえばHv200〜300の範囲とすることにより、かしめ加工が可能な延性を保持させることができる。
図1の実施の形態では、ステム部54の端部外周をしごくことによってかしめ加工を行っているが、図2に示すように、ステム部54の少なくとも端部に中空円筒部54’を形成しておき、その中空円筒部54’を半径方向外側に向けて拡径させることによりかしめ部54”を形成させることも可能である。この場合、図示のように内方部材40の端部内壁48が端面に近づくほど大径となった円錐面形状に形成されていると、かしめ作業が容易となるばかりでなく内方部材40の変形を防止して確実な結合が達成される。また、図1と同様に下半分においてハッチングで表されるように焼入れ硬化層を形成させてある。
上述の実施の形態はいずれも、互いに嵌合する内方部材40と外側継手部材50のうち、外側継手部材50のステム部54を内側に位置する部材すなわち内側嵌合部材としたものであるが、逆に、図3に示すように内方部材40を内側嵌合部材とした構成も可能である。この場合、図3のその他の部分の構成および作用は上述の図1および図2と同様であるため説明を省略する。
等速自在継手については、トルク伝達ボールの数は6個が従来一般的であったが、図4に示すように、8個のトルク伝達ボール73を使用したタイプを採用することもできる。この等速自在継手は、図示するように、外側継手部材50と、内側継手部材70と、複数のトルク伝達ボール73と、保持器74とを主要な構成要素としている。外側継手部材50は球面状の内周面58を有し、その円周方向等間隔位置に、軸方向に延びる8本のトラック溝59を形成してある。内側継手部材70は球面状の外周面71を有し、その円周方向等間隔位置に、軸方向に延びる8本のトラック溝72を形成してある。内側継手部材70は軸心部にドライブシャフトDと連結するためのセレーション孔78を有する。外側継手部材50のトラック溝59と内側継手部材70のトラック溝72とは対をなして8本のボールトラックを形成し、各対のボールトラックに1個ずつトルク伝達ボール73が組み込まれる。すべてのトルク伝達ボール73は保持器74によって同一平面内に保持される。
外側継手部材50のトラック溝59の曲率中心O1は内周面58の球面中心に対して、内側継手部材70のトラック溝72の曲率中心O2は外周面71の球面中心に対して、それぞれ、軸方向で反対側に、曲率中心O1は継手の開口側に、曲率中心O2は継手の奥側に、等距離Fだけオフセットしている。そのため、一対のトラック溝59,72で形成されるボールトラックは継手の開口側に向かって開いた楔形状を呈する。
保持器74の外周面76の球面中心、および、保持器70の外周面76の案内面となる外側継手部材50の内周面58の球面中心は、いずれも、トルク伝達ボール73の中心O3を含む継手中心面O内にある。また、保持器74の内周面77の球面中心、および、保持器74の内周面77の案内面となる内側継手部材70の外周面71の球面中心は、いずれも、継手中心面O内にある。それゆえ、外側継手部材50の上記オフセット量Fは、トラック溝59の曲率中心O1と継手中心面Oとの間の軸方向距離、内側継手部材70の上記オフセット量Fは、トラック溝72の曲率中心O2と継手中心面Oとの間の軸方向距離になり、両者は相等しい。外側継手部材50のトラック溝59の曲率中心O1と内側継手部材70のトラック溝72の曲率中心O2とは、継手中心面Oに対して軸方向に等距離(F)だけ反対側(トラック溝59の中心O1は継手の開口側、トラック溝72の中心O2は継手の奥側)にずれた位置にある。外側継手部材50のトラック溝59の曲率中心O1とトルク伝達ボール73の中心O3を結ぶ線分の長さ、内側継手部材70のトラック溝72の中心O2とトルク伝達ボール73の中心O3を結ぶ線分の長さが、それぞれPCRであり、両者は等しい。
外側継手部材50と内側継手部材70とが角度θだけ角度変位すると、保持器74に案内されたトルク伝達ボール73は常にどの作動角θにおいても、角度θの二等分面(θ/2)内に維持され、継手の等速性が確保される。
ここでは、上記構成に加え、継手の主要寸法を次のような値に設定している。すなわち、(1)トルク伝達ボール73のピッチ円径PCDBALL(PCDBALL=2×PCR)と直径DBALLとの比r1(=PCTBALL/DBALL)は、3.3≦r1≦5.0の範囲、好ましくは、3.5≦r1≦5.0(3.5<r1≦5.0)の範囲内の値に設定するのが、外側継手部材等の強度保持、負荷容量の確保、耐久性の確保の点から好ましいが、この実施例では、r1=3.93に設定してある。また、(2)外側継手部材50の外径DOUTERと内側継手部材70のセレーション78のピッチ円径PCDSERRとの比r2(=DOUTE/PCDSERR)を2.5≦r2≦3.5、たとえば、2.5≦r2<3.5の範囲内の値に設定してある。なお、上記(1)の構成は単独で採用してもよい。
この実施の形態の等速自在継手は、トルク伝達ボール73の数が8であり、6個のトルク伝達ボールを使用した等速自在継手に比べて、継手の全負荷容量に占めるトルク伝達ボール1個当たりの負荷割合が少ないので、トルク伝達ボール73の直径DBALLを小さくし、外側継手部材50の肉厚および内側継手部材70の肉厚を6個ボールの等速自在継手と同程度に確保することが可能である。また、比r2(=DOUTER/DSERR)を小さくし(2.5≦r2<3.2)、6個ボールの等速自在継手と同等以上の強度、負荷容量および耐久性を確保しつつ、より一層のコンパクト化を図ることができる。トラック溝59,72のオフセット量Fは次のような値に設定するとよい。前述したように、トラック溝59,72のオフセット量Fは、比r1(=F/PCR)が、0.069≦R1≦0.121の範囲になるように設定するのが、許容負荷トルクの確保、保持器強度の確保、トラック荷重の低減、耐久性の確保、最大作動角の確保の点から好ましいが、この実施の形態では、R1=0.104(または0.14)であり、6個ボールの等速自在継手よりもかなり小さい。そして、車輪用軸受と一体化した構造とすることで軸方向コンパクト化と相俟って10%以上の軽量化を図ることができる。
実施の形態を示す駆動車輪用軸受装置の縦断面図である。 別の実施の形態を示す駆動車輪用軸受装置の要部縦断面図である。 別の実施の形態を示す駆動車輪用軸受装置の縦断面図である。 (A)は等速自在継手の縦断面図、(B)は横断面図である。 自動車の駆動車輪まわりの縦断面図である。 従来の技術を示す半断面図である。
符号の説明
30 外方部材
32 外側軌道面
40 内方部材(ハブ輪)
41 アウトボード側内側軌道面
45 端面(突合せ面)
46 はめあい部
47 セレーション孔部
48 端部内壁
50 外側継手部材
52 インボード側内側軌道面
53 肩面(突合せ面)
54 ステム部
54’ 中空円筒部
54” かしめ部
56 はめあい部
57 セレーション軸部
59 トラック溝
60 転動体
70 内側継手部材
73 トルク伝達ボール
74 保持器

Claims (15)

  1. 車体に取り付ける取付けフランジを有する外方部材と、車輪を取り付ける車輪取付けフランジを有する内方部材との間に転動体を組み込んで、前記内方部材を回転自在に支持した車輪軸受部と、
    ドライブシャフトの一端に設けられ、内周にトラック溝が形成された外側継手部材と、外側継手部材のトラック溝と対向するトラック溝が外周に形成された内側継手部材と、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に組み込まれたボールとからなる等速ジョイント部とを備え、
    等速ジョイント部の外側継手部材の回転を車輪軸受部の内方部材に伝えるようにした駆動車輪用軸受装置において、
    外側継手部材には、内方部材に嵌合されるセレーション部が焼入れ硬化して形成され、かつ、端部にかしめ部を有し、前記かしめ部は焼入れ硬化されていないことを特徴とする駆動車輪用軸受装置。
  2. 前記転動体を複列とし、外方部材に複列の外側軌道面を設け、前記複列の外側軌道面と対向する複列の内側軌道面のうちの一方を内方部材に、他方を外側継手部材に配置したことを特徴とする請求項1に記載の駆動車輪用軸受装置。
  3. 外側継手部材の外表面のうち、前記他方の内側軌道面部分からセレーション部まで連続した焼入れ硬化層が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の駆動車輪用軸受装置。
  4. 外側継手部材を構成する材料が炭素含有量0.45重量%以上の炭素鋼であることを特徴とする請求項3に記載の駆動車輪用軸受装置。
  5. 外側継手部材の焼入れ硬化前の硬度がHv200〜300であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の駆動車輪用軸受装置。
  6. 内方部材の内表面に焼入れ硬化層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の駆動車輪用軸受装置。
  7. 等速自在継手部が、球面状内周面に軸方向に延びる8本の曲線状のトラック溝を形成した外側継手部材と、球面状外周面に軸方向に延びる8本の曲線状のトラック溝を形成した内側継手部材と、対をなす外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝とで形成される8本のボールトラックに1個ずつ組み込まれたトルク伝達ボールと、すべてのトルク伝達ボールを同一平面内に保持する保持器とで構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の駆動車輪用軸受装置。
  8. トルク伝達ボールのピッチ円径とトルク伝達ボールの直径との比の値が3.3以上5.0以下であることを特徴とする請求項7に記載の駆動車輪用軸受装置。
  9. 外側継手部材の外径と、内側継手部材の軸孔に形成された歯型のピッチ円径との比の値が2.5以上3.5以下であることを特徴とする請求項8に記載の駆動車輪用軸受装置。
  10. 外側継手部材の軸部の少なくとも端部に中空円筒部を設けたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の駆動車輪用軸受装置。
  11. 前記中空円筒部が外側継手部材の軸部を貫通してマウス部の底と連通していることを特徴とする請求項10に記載の駆動車輪用軸受装置。
  12. 車体に取り付けるための取付けフランジを有する外方部材と、車輪を取り付けるための車輪取付けフランジを有するハブ輪との間に転動体を組み込んで、ハブ輪を回転自在に支持した軸受部と、
    内周にトラック溝が形成された外側継手部材と、外周に外側継手部材のトラック溝と対向するトラック溝が形成された内側継手部材と、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に組み込まれた転動体とからなり、ドライブシャフトの一端に設けられる等速自在継手部とを備え、
    等速自在継手部の外側継手部材と軸受部のハブ輪を互いに嵌合させ、外側継手部材の回転をハブ輪に伝えるようにした駆動車輪用軸受装置において、
    前記嵌合部分が、はめあい部とセレーション部とで形成されており、互いに嵌合した外側継手部材とハブ輪のうちの内側嵌合部材の端部をかしめて両者を固定したことを特徴とする駆動車輪用軸受装置。
  13. はめあい部の長さがセレーション部の長さよりも短いことを特徴とする請求項12に記載の駆動車輪用軸受装置。
  14. はめあい部の長さがはめあい部軸径の1/4以上であることを特徴とする請求項12または13に記載の駆動車輪用軸受装置。
  15. はめあい部の締め代が0以上60μm以下であることを特徴とする請求項12乃至14のいずれかに記載の駆動車輪用軸受装置。
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