JP2006310169A - 無機分散型エレクトロルミネッセンス素子及び透明陽画像システム - Google Patents

無機分散型エレクトロルミネッセンス素子及び透明陽画像システム Download PDF

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Abstract

【課題】発色時に高い演色性を示す高輝度のエレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【解決手段】 蛍光体粒子を含有する蛍光体粒子層を有する分散型エレクトロルミネッセンス素子であって、発光時の輝度が300cd/m2以上、色温度が4000K以上6500K以下の範囲にあり、515nm以下と590nm以上とに少なくともそれぞれ発光ピークを有し、かつ該長波側発光ピークに対する650nmの発光強度が0.35以上である分散型エレクトロルミネッセンス素子。
【選択図】 なし

Description

本発明は、発光時に高い演色性を示すエレクトロルミネッセンス素子(以下、単にEL素子とも称する)、更には非発光時に白色反射面を提供するエレクトロルミネッセンス素子、およびそれを用いた透明陽画像システムに関するものである。該素子は、透過写真鑑賞において、非点灯時も点灯時も色再現性に優れた画像を提供することができる。また、照明光源としても非点灯時に白色に近い表面色を示し、カラーフィルターを載せれば、非点灯時の色味を自由に変えることができる。
エレクトロルミネッセンス素子は、高誘電体中に蛍光体粒子を分散してなる粒子分散型素子と、誘電体層間に蛍光体薄膜を挟んでなる薄膜型素子等の無機エレクトロルミネッセンス素子と有機エレクトロルミネッセンス素子に大別される。本発明は、主に、粒子分散型無機エレクトロルミネッセンス素子に関するものである。
分散型は、少なくとも一方が光透過性の一対の導電性電極シート間に、フッソ系ゴムあるいはシアノ基を有するポリマーのような高誘電性ポリマー中に蛍光体粉末を含んで成る発光層が設置された素子であり。さらに絶縁破壊を防ぐ為に高誘電性ポリマー中にチタン酸バリウムのような強誘電体の粉末を含んで成る誘電体層が設置されるのが通常の形態である。
粒子分散型素子は、素子構成時に高温プロセスを用いない為、プラスチックを基板としたフレキシブルな材料構成が可能であること、真空装置を使用しなくても比較的簡便な工程で、低コストで製造が可能であること、また発光色の異なる複数の蛍光体粒子を混合することで素子の発光色の調節が容易であるという特長を有し、バックライト、表示素子へ応用されている。しかしながら、現実には、充分な赤色発光が得られず、写真画像等の高画質な陽画媒体には不向きであった。また、蛍光染料等で赤色発光させようとすると非点灯時に発光面が赤ないし橙等の色になってしまい、透明洋画像の鑑賞には、適さなかった。また、照明用途としても、非点灯時に発光面が赤色に見えてしまうことは、デザイン性に欠けた。従ってこれらの問題を解決する技術が、望まれていた。
従来の分散型エレクトロルミネッセンス素子において白色発光を実現しようとする場合には、大きくは、以下の二つの方法を取っていた。
(1)橙色に発光するZnS:Cu、Cl、Mn付活蛍光体と青緑色に発光するZnS:Cu、Cl付活蛍光体を混合した。
(2)青緑発光のZnS:Cu、Cl蛍光体にこの光を吸収して580nm付近に発光するローダミン系の蛍光染料固体分散物を蛍光体層に混入することで、白色発光させた。
一方、特許文献1には、蛍光体粒子のサイズおよび分布と蛍光体層の膜厚の関係を一定条件に保つことで、高輝度のエレクトロルミネッセンス素子を提供できることが、記載されている。
特公平7−58636号公報
しかしながら、従来の白色発光を実現しようとする上記(1)の方法の場合には、非点灯時に発光面は、蛍光体の薄い黄緑を示し、白地に近い色となったが、橙色発光蛍光体の輝度が低く、200cd/m2以下の低輝度しか得られず、しかも600nm以上の赤成分が無いため、低い演色性しか得られなかった。また、上記(2)の方法の場合には、発光波長ピークは、590nm以下の場合、630nm以上の成分も少なく、演色性が悪い上に、蛍光染料の影響で非点灯時の発光面は、赤色ないし橙色を呈してしまい、例えば非発光時の透過媒体の鑑賞には適さず、平面光源として見ても、発光面表面が赤いために、デザイン性に欠け、用途が限られていた。
一方、上記特許文献1に記載される高輝度を得る方法では、エレクトロルミネッセンス素子を高輝度に発光させることは十分では無く、また、高輝度化しても極端に輝度半減寿命が短くなったり、大面積化すると輝度が低下し、更なる改良が望まれた。
また、通常これらのエレクトロルミネッセンス素子に用いられる蛍光体の平均粒子サイズは24μm〜30μm程度の大きさのものがほとんどである。小さい粒子を用いない理由としては、小サイズ化により低輝度化し耐久性が低下することが、当業界では良く知られている。しかしながら、20μmを越える粗大粒子は、発光むら(粒状)の悪化をもたらし、均一な面光源としての特徴を損なうことが多かった。
更に、通常用いられる蛍光体粉末は通常ZnSを母体としているものが一般的であるが、エレクトロルミネッセンス用蛍光体における異種の金属ドーパントは、通常付活材として発光中心に用いられる銅及びマンガンないし希土類元素から選択された少なくとも一種のイオン及び塩素、臭素、ヨウ素、及びアルミニウム等が挙げられる。これらは、発光中心を与えるか、もしくは銅のように、硫化銅を形成して電子(正孔)を発生させるなどの機能を有している。エレクトロルミネッセンス蛍光体の発光機構に関しては、明記されたものも少なくないが、その輻射発光過程の効率を上げる手段について開示されたものは、ほとんど無いか、本質的なメカニズムに関するものではなく、調節の範囲を開示したものとして従来知見に包含されてしまうものが多い。
エレクトロルミネッセンス素子の劣化による輝度低下を補う手段として、様々な電源技術が開示されている。しかしながら、これらのほとんどのものは、小サイズ、低電力の発光システムに関するもので、0.1m2以上、特に、0.5m2以上の大型パネルを発光させる大型電源80W以上の大型インバータ電源に関する知見は極めて少ない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明は、上記従来技術の有する課題を解決するものである。
本発明の課題は本発明を特定する下記の事項およびその好ましい態様により達成された。
(1)蛍光体粒子を含有する蛍光体粒子層を有する分散型エレクトロルミネッセンス素子であって、発光時の輝度が300cd/m2以上、色温度が4000K以上6500K以下の範囲にあり、515nm以下と590nm以上とに少なくともそれぞれ発光ピークを有し、かつ該長波側発光ピークに対する650nmの発光強度が0.35以上であることを特徴とする分散型エレクトロルミネッセンス素子。
(2)ヘイズ50%以上かつ全光線透過率70%以上の層またはフィルムを蛍光体粒子層の上部に有することを特徴とする上記(1)に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
(3)用いられる蛍光体粒子の平均球相当径が2μmから20μmの間にあり、平均球相当径の変動係数が40%以下であることを特徴とする上記(1)または(2)記載のエレクトロルミネッセンス素子。
(4)背面電極および蛍光染料層を有し、該蛍光染料層が、蛍光体粒子層と背面電極との間にあることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のエレクトロルミネッセンス素子。
(5)ヘイズ50%以上の層またはフィルムが、エレクトロルミネッセンス素子により発光時に透明陽画像を提供する画像フィルムの支持体部分と共通である上記(2)〜(4)のいずれかに記載のエレクトロルミネッセンス素子を用いた、透明陽画像システム。
本発明によれば、発色時に高い演色性を示すエレクトロルミネッセンス素子、更には非発光時に白色反射面を有するエレクトロルミネッセンス素子、特に0.1m2以上の大型パネルを発光させるに適したエレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
本発明のエレクトロルミネッセンス素子は、白色発光することが基本である。その場合の色温度は4000K以上6500K以下である。好ましいのは、5000K以上6000K以下である。その場合に発光輝度も重要な要因で、300cd/m2以上であることが必須である。より好ましいのは、400cd/m2以上であり、特に500cd/m2以上1200cd/m2以下が好ましい。輝度が低いと、通常の鑑賞において外光の影響を受け、本来の色温度を反映した白色が得られない。本発明の好適態様に従い、蛍光体粒子、透明導電膜および駆動電源回路を適宜設定することにより、300cd/m2以上の高輝度を達成することができる。
本発明のエレクトロルミネッセンス素子は、さらに発光波長に関し2波長ピーク型を有する発光である。短波側ピークは、515nm以下に発光波長を有し、特に485nm以上510nm以下に発光ピークを有することが好ましい。長波側ピークは、590nm以上に発光波長を有し、特に600nm以上620nm以下にピークがあることが好ましい。更に、この際、長波側のピ−ク強度に対して650nmの発光強度が、0.35以上であり、特に0.4以上0.65以下であることが好ましい。これ以外の強度の低いサブピークやショルダーは、本発明における2波長型ピークに関係しない。
本発明のエレクトロルミネッセンス素子の構成としては、少なくとも一方が透明な、対向する一対の電極で狭持した蛍光体物質(粒子)を含む蛍光体粒子層(発光層)を有する構成であることが好ましい。蛍光体粒子層の厚みは10μm以上60μm以下であることが好ましく、20μm以上55μm以下であることが特に好ましい。また、蛍光体物質を含む蛍光体粒子層と必要に応じて隣接させる無機誘電体物質を含む絶縁層との合計膜厚みが、該蛍光体粒子の平均粒子サイズの2倍〜10倍であることが好ましく、特に3倍から5倍であることが好ましい。
上記素子構成において電極間距離のバラツキを中心線平均粗さRaとして見たとき、蛍光体粒子層(発光層)厚みdに対して(d×1/8)以下の平滑性を有していることが好ましい。
また、通常分散型エレクトロルミネッセンス素子は、交流で駆動される。典型的には、100Vで50Hzから400Hzの交流電源を用いて駆動される。輝度は面積が小さい場合には、印加電圧ならびに周波数にほぼ比例して増加する。しかしながら、0.1m以上の大面積素子の場合、素子の容量成分が増大し、素子と電源のインピーダンスマッチングがずれたり、素子への蓄電荷に必要な時定数が大きくなるため、高電圧化や特に高周波化しても電力供給が十分に行われない状態になりやすい。特に0.25m以上の素子では、500Hz以上の交流駆動に対しては、しばしば駆動周波数の増大に対して印加電圧の低下がおこり、低輝度化が起こることがしばしば起こる。
これに対し本発明のエレクトロルミネッセンス素子は、0.1m以上の大サイズでも高い周波数の駆動が、可能で、高輝度化することが出来る。その場合、500Hz以上5KHzでの駆動が好ましく、より好ましくは、1KHz以上3KHz以下の駆動が好ましい。この様な、条件での駆動が可能になると、高輝度発光することができる。
本発明者らは上記状況の下、鋭意検討した結果、80W以上のエレクトロルミネッセンス素子を駆動する電源の場合には、電流検出して素子の劣化に伴う輝度の保証としては、電圧と周波数を上げることで電力を補い、輝度低下を抑制することが、最も好ましく、また総出力の上限を規制することで、素子の過熱等の問題を排除できることを見出した。
本発明の素子は、300cd/m2以上の高輝度発光させることが重要である。300cd/m2以下であると本発明の高色温度は、外光の影響で赤みにずれ、好ましい白色を呈することができない。より好ましくは、400cd/m2以上であり、特に好ましいのは、500cd/m2以上に光らせることである。
(蛍光体粒子)
本発明に用いるエレクトロルミネッセンス蛍光体粒子は、平均球相当直径が、好ましくは、2μm以上20μm以下で、さらに好ましくは、5μm以上18μm以下である。球相当直径の変動係数は、40%以下であることが好ましく、特に35%以下であることが好ましく、さらに好ましくは、5%以上30%以下である。その調製方法としては、焼成法、尿素溶融法、噴霧熱分解法、水熱合成法(Hydrothermal method)を好ましく用いることができる。
粒子サイズ、分布をコントロールする具体的方法としては、例えば焼成方では、フラックスの使用方法や篩による。水熱合成法では、過飽和度を制御することで再核発生を防止し、粒子サイズ分布を狭く保ちながら、サイズを調整することができる。
本発明の蛍光体粒子の平均サイズや変動係数は、例えば堀場製作所製・レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920のような、レーザー散乱による方法を用いることができる。ここで、平均粒径はメジアン径を指すものとする。
合成された粒子は、多重双晶構造を有することが好ましい。硫化亜鉛の場合、多重双晶(積層欠陥構造)の面間隔は、1nm〜10nmが好ましく、より好ましくは、2nm〜5nmが好ましい。この評価には、高倍率の透過電子顕微鏡を用いることができる。
本発明に利用可能な蛍光体微粒子は、当業界で広く用いられる焼成法(固相法)で形成することができる。例えば、硫化亜鉛の場合、液相法で10nm〜50nmの微粒子粉末(通常生粉と呼ぶ)を作成し、これを一次粒子として用い、これに付活剤と呼ばれる不純物を混入させて融剤とともに坩堝にて900℃〜1300℃の高温で30分〜10時間、第1の焼成をおこない、粒子を得る。
第1の焼成によって得られる中間蛍光体粉末をイオン交換水で繰り返し洗浄してアルカリ金属ないしアルカリ土類金属及び過剰の付活剤、共付活剤を除去する。
次いで、得られた中間体蛍光体粉末に第2の焼成をほどこす。第2の焼成は、第1の焼成より低温の500〜800℃で、また短時間の30分〜6時間の加熱(アニーリング)をする。
これら焼成により蛍光体粒子内には多くの積層欠陥が発生するが、微粒子でかつより多くの積層欠陥が蛍光体粒子内に含まれるように、第1の焼成と第2の焼成の条件を適宜選択することが好ましい。
また、第1の焼成物に、ある範囲の大きさの衝撃力を加えることにより、粒子を破壊することなく、積層欠陥の密度を大幅に増加させることができる。衝撃力を加える方法としては、中間蛍光体粒子同士を接触混合させる方法、アルミナ等の球体を混ぜて混合させる(ボールミル)方法、粒子を加速させ衝突させる方法、超音波を照射する方法、静水圧を利用する方法などを好ましく用いることができる。
これらの方法により、5nm以下の間隔で10層以上の積層欠陥を有する粒子を形成することができる。その頻度の評価法としては、粒子を乳鉢ですりつぶし、ほぼ0.2μm以下の厚みの砕片に砕いたものを加速電圧200KVの電子顕微鏡で観察した際に、5nm以下の間隔で10層以上の積層欠陥を含む破片粒子の頻度で評価することができる。もちろん粒子サイズが、0.2μmを下回る厚みの粒子は、破砕の必要は無く、そのまま観察する。
本発明の粒子は、この頻度が50%個を超えるものが好ましく、さらに好ましくは、70%を超えるものが好ましい。頻度は、高いほど良い。積層欠陥の間隔は、狭いほど良い。
その後、該中間蛍光体を、HCl等の酸でエッチングして表面に付着している金属酸化物を除去し、さらに表面に付着した硫化銅を、KCNで洗浄して除去する。続いて該中間蛍光体を乾燥してEL蛍光体を得る。
蛍光体粒子は、特許第2756044号公報や米国特許第6458512号明細書に記載のごとく0.01μm以上の金属酸化物や金属窒化物で構成される非発光シェル層で被覆されることにより、防水性・耐水性を付与することを好ましく行うことができる。
またWO02/080626に記載のごとく、発光中心を含むコア部と非発光のシェル部からなる2重構造化することで、光取り出し効率を高める技術を好ましく用いることができる。
蛍光体粒子は、粒子の表面に非発光シェル層を有することがより好ましい。このシェル層形成は、蛍光体粒子のコアとなる半導体微粒子の調製に引き続いて化学的な方法を用いて0.01μm以上の厚みで設置するのが好ましい。好ましくは0.01μm以上1.0μm以下である。
非発光シェル層は、酸化物、窒化物、酸窒化物や、母体蛍光体粒子上に形成した同一組成で発光中心を含有しない物質から作成することができる。また、母体蛍光体粒子材料上にエピタキシャルに成長させた、異なる組成の物質により形成することができる。
非発光シェル層の形成方法として、レーザー・アブレーション法、CVD法、プラズマCVD法、スパッタリングや抵抗加熱、電子ビーム法などと、流動油面蒸着を組み合わせた方法などの気相法と、複分解法、ゾルゲル法、超音波化学法、プレカーサーの熱分解反応による方法、逆ミセル法やこれらの方法と高温焼成を組み合わせた方法、水熱合成法、尿素溶融法、凍結乾燥法などの液相法や噴霧熱分解法なども用いることができる。
特に、蛍光体の粒子形成で好適に用いられる、水熱合成法、尿素溶融法や噴霧熱分解法は、非発光シェル層の合成にも適している。
蛍光体粒子の付活剤として銅、マンガン、銀、金及び希土類元素から選択された少なくとも一種のイオンを好ましく用いることができる。
本発明の蛍光体粒子には、亜鉛に対し1×10-7モル以上1×10-3モル以下のAu、Mo、W、Ptの少なくとも1種を含有していることが好ましい。特に3×10-6モル以上3×10-4モル以下が好ましい。
さらに好ましい状態としては、前述の量の範囲でAuを含み、さらにMo、Bi、Sb、W、Pt及び8族金属から選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含有することが、好ましい。これら2種目の金属イオンの好ましい添加量は、亜鉛に対し1×10-7モル以上1×10-3モル以下のAu、Mo、W、Ptの少なくとも1種を含有していることが好ましい。特に3×10-6モル以上3×10-4モル以下が好ましい。
共付活剤としては、塩素、臭素、ヨウ素、及びアルミニウムから選択された少なくとも一種のイオンを好ましく用いることができる。
エレクトロルミネッセント蛍光体について、さらに詳しく以下に述べる。
本発明に好ましく用いられる粒子の母体材料としては、具体的には第II族元素と第VI族元素とから成る群から選ばれる元素の一つあるいは複数と、第III族元素と第V族元素とから成る群から選ばれる一つあるいは複数の元素とから成る半導体の微粒子であり、必要な発光波長領域により任意に選択される。例えば、CdS,CdSe,CdTe,ZnS,ZnSe,ZnTe,CaS,MgS,SrS,GaP,GaAs及びそれらの混晶などが挙げられるが、ZnS,CdS,CaSなどを好ましく用いることができる。
さらに、粒子の母体材料としては、BaAl、CaGa、Ga、ZnSiO、ZnGaO、ZnGa,ZnGeO,ZnGeO,ZnAl,CaGa,CaGeO,CaGe,CaO,Ga,GeO,SrAl,SrGa,SrP,MgGa,MgGeO,MgGeO,BaAl,GaGe,BeGa,YSiO,YGeO,YGe,YGeO,Y、YS,SnO及びそれらの混晶などを好ましく用いることができる。
また、発光中心は、MnやCrなどの金属イオン及び、希土類を好ましく用いることができる。
このような、母体材料の選択により、いくつかの蛍光体を用いることで、実質的に、染料や蛍光染料を用いることなく、色度図上 0.3<x<0.4、0.3<y<0.4の範囲の白色発光を得ることもできる。
(透明導電性フィルム)
本発明の透明電極に好ましく用いられる透明導電性フィルムの表面抵抗値は、0.5Ω/□〜80Ω/□が好ましい。特に1Ω/□〜30Ω/□が好ましい。
透明導電性シート及び透明導電膜の表面抵抗率は、JIS K6911に記載の方法に準じて測定することができる。
透明導電性フィルムは、ポリエチレンテレフタレートやトリアセチルセルロースベース等の透明フィルム上に、インディウム・錫酸化物(ITO)や錫酸化物、酸化亜鉛等の透明導電性物質を蒸着、塗布、印刷等の方法で付着、成膜することで得られる。
透明電導電膜の調製法はスパッタ、真空蒸着等の気相法であっても良い。ペースト状のITO等を塗布やスクリーン印刷で作成したり、膜を過熱して成膜しても良い。
本発明のEL素子において、透明導電性膜には一般的に用いられる任意の透明電極材料が用いられる。例えば錫ドープ酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、亜鉛ドープ酸化錫などの酸化物、銀の薄膜を高屈折率層で挟んだ多層構造、ポリアニリン、ポリピロールなどの共役系高分子などが挙げられる。
しかしながら、これら単独では、十分に低抵抗化できない場合がある。その場合には、
例えば櫛型あるいはグリッド型等の網目状ないしストライプ状金属細線を配置して通電性を改善することが、好ましい。金属や合金の細線としては、銅や銀、アルミニウムが好ましく用いられる。この金属細線の太さは、任意であるが、0.5μm程度から20μmの間が好ましい。金属細線は、50μmから400μmの間隔のピッチで配置されていることが、好ましく、特に100μmから、300μmピッチが、好ましい。金属細線を配置することで、光の透過率が減少するが、この減少は出来るだけ小さいことが重要で、好ましくは、80%以上100未満の透過率を確保することが、好ましい。
金属細線は、メッシュを透明導電性フィルムに張り合わせてもよいし、予めマスク蒸着ないしエッチングによりフィルム上に形成した金属細線上に金属酸化物等を塗布、蒸着しても良い。また、予め形成した金属酸化物薄膜上に上記の金属細線を形成してもよい。
これとは、異なる方法となるが、金属細線の代わりに、100nm以下の平均厚みを有する金属薄膜を金属酸化物と積層して本発明に適した透明導電膜とすることができる、金属薄膜に用いられる金属としては、AuやIn、Sn、Cu、Niなど耐腐食性が高く、天延性等に優れたものが好ましいが、特にこの限りではない。
これらの複層膜は、高い光透過率を実現することが好ましく、70%以上特に好ましくは、80%以上の光透過率を有することが特に好ましい。光透過率を規定する波長は、550nmである。
(中間層)
本発明のエレクトロルミネッセンス素子は、透明電極層と蛍光体粒子層との間に少なくとも1層の中間層を有することが、耐久性が向上し、効率も上がり、発熱が抑えられて、特に発光色の変動が少なくなるため、好ましい。
中間層は有機高分子化合物または無機化合物、またはこれらが複合されていても良いが、有機高分子化合物を含む層を少なくとも1層有することが好ましい。
中間層の厚みは10nm以上100μm以下が好ましく、より好ましくは100nm以上30μm以下であり、特に好ましくは0.5μm以上10μm以下である。
中間層を形成する材料が有機高分子化合物である場合、使用できる高分子化合物としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリアミド類、ポリエーテルスルホン類、ポリビニルアルコール、プルランやサッカロース、セルロース等の多糖類、塩化ビニル、フッ素ゴム、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリル酸アミド類、ポリメタクリル酸アミド類、シリコーン樹脂、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルサッカロース、または多官能アクリル酸エステル化合物から得られる紫外光硬化型樹脂やエポキシ化合物やシアネート化合物から得られる熱硬化型樹脂が挙げられる。またこれらの混合物であってもよい。またここで使用する高分子化合物は絶縁体であっても導電体で有っても良い。
これら有機高分子化合物またはその前駆体は、適当な有機溶媒(例えば例えばジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、キシレンなど)に溶解し透明電極上あるいは発光粒子含有層に塗布して形成することができる。
中間層は実質的な透明性(好ましくは波長550nmの透過率が70%以上、より好ましくは80%以上)を有する範囲で、種々の機能を付与するための添加物を有していても良い。例えばチタン酸バリウム粒子などの誘電体、または酸化スズ、酸化インジウム、酸化スズ−インジウム、金属粒子などの導電体、または染料、蛍光染料、蛍光顔料、または本発明の効果を失わない程度(エレクトロルミネッセンス素子全体の輝度のうち30%以下)の発光体粒子を存在させても良い。
中間層は二酸化ケイ素、その他金属酸化物、金属窒化物などの無機化合物で有っても良い。無機化合物で中間層を形成する方法としては、スパッタ法、CVD法などが採用できる。中間層が無機化合物で形成されている場合、膜厚は10nm以上1μm以下が好ましく、より好ましくは10nm以上200nm以下である。
また中間層が無機化合物の層と有機高分子化合物の層の組み合わせで構成されているものも好ましい。
本発明においては少なくとも1層の有機高分子化合物を含んでなる厚み0.5μ以上10μ以下の中間層を有することが好ましく、該有機高分子化合物はポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリアミド類、ポリエーテルスルホン類、フッ素ゴム、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリル酸アミド類、ポリメタクリル酸アミド類、シリコーン樹脂、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルサッカロース、または多官能アクリル酸エステル化合物から得られる紫外光硬化型樹脂やエポキシ化合物やシアネート化合物から得られる熱硬化型樹脂から選ばれるものが好ましく、更にこれらのうち軟化点が70℃以上(より好ましくは100℃以上)のものが好ましい。これらから選ばれる複数の高分子化合物が組み合わされていることも好ましい。
中間層の有機高分子化合物が軟化点の高い(例えば200℃以上)である場合、透明電極層や発光粒子含有層との密着性を改良するなどの目的で、軟化点の低い有機高分子化合物を含む別な中間層を併用することも好ましい。
(白色・蛍光染料)
本発明のEL素子の用途は、特に限定されるものではないが、本発明の発光色は白色である。
発光色を白色とする方法としては、例えば、銅とのマンガンが付活され、焼成後に徐冷された硫化亜鉛蛍光体のように単独で白色発光する蛍光体粒子を用いる方法があるが、これは充分で無い。3原色または補色関係に発光する複数の蛍光体を混合する方法を用いることができる。(青−緑−赤の組み合わせなど)。具体的にには、硫化カルシウム、硫化カルシウム・ストロンチウム系の蛍光体などが好ましく用いられる。また、特開平7−166161号公報、特開平9−245511号公報、特開2002−62530号公報に記載の青色や青緑色発光の蛍光体と蛍光顔料や蛍光染料を用いて発光の一部を緑色や赤色に波長変換(発光)させて白色化する方法も好ましい。
しかしながら、515nm以下と590nm以上に発光ピークを有する様に設計することが、本発明では重要であり、そのための具体的施策としては、長波に発光する蛍光染料の固体分散物を選択することが必要である、具体的には、シンロイヒ社のFA−003やFZ6013などを好ましく用いることができるが、より好ましくは、さらに長波に発光を示す蛍光染料の比率を上げたり、新たに用いたりすることが好ましい。また蛍光体を微粒子化して平均球相当径が、20μm以下の粒子を用いることは、蛍光染料で発光した光の散乱を増やし、蛍光染料自身の自己吸収を増やすことで短波成分が減少し、590nm以上の発光成分が増加する効果を好ましく用いることができる。
さらに蛍光染料層を蛍光体粒子層の下層に形成したり、蛍光染料層に誘電体粒子を混ぜたりすることで、散乱に伴う自己吸収を増大させ、590nmよりもより長波に発光させる技術を好ましく用いることができる。
好ましい蛍光染料としては、ローダミン系の蛍光染料が代表であるが、これに限られるものではない。さらに、CIE色度座標(x,y)は、x値が0.30〜0.4の範囲で、かつy値が0.30〜0.40の範囲が好ましい。この範囲の白色が好ましく用いられる。
本発明の色温度は、4000K以上6500K以下であり、好ましくは4500K以上6000K以下である。色温度に関しては、日本理工出版会刊、照明学会編、「光の計測マニュアル」の第6章8節「測色」に詳しく記載されている。
本発明における白色の実現は、主な発光ピークとして2つのピーク波長を有する2波長ピーク型の発光を指す。具体的には、青緑領域の発光ピークと赤領域の発光ピークを持つ発光パターンを有することになる。この場合、青緑領域の発光ピークは、520nm以下にあり、また赤色領域の発光は、590nm以上にある。特に赤色発光のピークは、600nm以上にあることがより好ましい。
これらの染料層は、本発明においては、蛍光体層と後述する誘電体層との間に塗設されることが好ましい。これは、エレクトロルミネッセンス発光時に発生する蛍光体の発熱の影響を小さく出来ることに加え、多重反射により、蛍光染料の自己吸収による長波化効果をより大きくすることが出来るためである。この効果は、特に後述の高ヘイズ層またはフィルムを蛍光体層上部に設置した場合に、高ヘイズ層の特性が、特定の条件下で大きくなることを、本発明者らは、見出した。結果として、赤色の長波成分が増大し、赤色発光を増大することができる。
ここで、従来の分散型EL素子において発光粒子含有層と透明電極の間に層を設ける例としては、層間の密着性の改良に関するもの(特開平8−288066号公報)が知られているが、効率については何ら記載が無かった。また軟化点が200℃以下の熱可塑性樹脂を用いて中間層を形成するもの(特開平10−134963号公報)も知られていたが、この方法では高輝度を発生させる条件(例えば周波数800Hz以上、および電圧120V以上の駆動)において効果が十分でなかった。
(反射防止)
本発明のエレクトロルミネッセンス素子の発光層の上部には、発光層からの光線透過率が70%以上であり、外部からの光線に対するヘイズ値が30%以上に設計された光学層またはフィルム(光ヘイズ層またはフィルム)を有することが好ましい。特に該光学層またはフィルムの光線透過率は、80%以上が好ましい。ヘイズ値は、50%以上がより好ましい。光線透過率を規定する波長は、550nmの光に対する値で定義される。
これらの光透過率制御層は、フィルム状で本発明のエレクトロルミネッセンス素子上に貼り合せて用いても良いし、透明導電膜層の支持体の反対側に設定されてもよい。通常最外層となる防湿フィルム上に設定されても良い。
(背面電極)
光を取り出さない側の背面電極は、導電性の有る任意の材料が使用出来る。金、銀、白金、銅、鉄、アルミニウムなどの金属、グラファイトなどの中から、作成する素子の形態、作成工程の温度等により適時選択されるが、その中でも熱伝導率が高いことが重要で、好ましくは、2.0W/cm・deg以上であることであることが好ましい。
また、EL素子の周辺部に高い放熱性と通電性を確保するために、金属シートや金属メッシュを用いることも好ましい。
(封止・吸水)
本発明のEL素子は、最後に適当な封止材料を用いて、外部環境からの湿度の影響を排除するよう加工することが好ましい。素子の基板自体が十分な遮蔽性を有する場合には、作成した素子の上方に遮蔽性のシートを重ね、周囲をエポキシ等の硬化材料を用いて封止することが好ましい。また、面状素子をカールさせないために両面に遮蔽性シートを配しても良い。素子の基板が、水分透過性を有する場合は、両面に遮蔽性しーとを配する必要がある。
このような遮蔽性のシートは、ガラス、金属、プラスチックフィルム等の中から目的に応じて選択されるが、例えば特開平2003−249349号に開示されているような酸化珪素からなる層と有機高分子化合物からなる多層構成の防湿フィルムを好ましく用いることができるし、3フッ化塩化エチレン等も好ましく用いることができる。
上記封止工程は、特許公報63−27837号に記載の如く、真空ないし不活性ガス置換された雰囲気下で行うことが好ましく、封止工程実施前には、特開平5−166582号に記載の如く、含水分量を十分に低減することが重要である。
これらのEL素子を作成する際に、防湿フィルムより内部に、吸水層を設けることが、好ましい。給水層は、ナイロンやポリビニルアルコール等の吸水性が高く、水分保持能力
が高い素材からなることが、好ましい。透明性が、高いことも重要である。透明性さえ高ければ、セルロースや紙の様な素材も好ましく用いることが出来る。
特開平4−230996号や特開平11−260557号に記載の如くフィルムによる防湿だけでなく蛍光体粒子を金属酸化物や窒化物で被覆することで、防湿性を向上させることも好ましく併用することが出来る。
(誘電体層)
本発明のEL素子は、基本的には蛍光体粒子層(発光層)を、少なくとも一方が透明で、対向する一対の電極で挟持した構成をもち、発光層と電極の間に誘電体層を隣接することが好ましい。
本発明の誘電体物質は、薄膜結晶層であっても粒子形状であってもよい。またそれらの組合せであっても良い。誘電体物質を含む誘電体層は、蛍光体粒子層の片側に設けてもよく、また蛍光体粒子層の両側に設けることが好ましい。薄膜結晶層の場合は、基板にスパッタリング等の気相法で形成した薄膜であっても、BaやSrなどのアルコキサイドを用いたゾルゲル膜であっても良い。粒子形状の場合は、蛍光体粒子の大きさに対し十分に小さいことが好ましい。具体的には蛍光体粒子サイズの1/3〜1/1000の大きさが好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明には、特開平9−22781号に記載されている酸化セリウム等の無機化合物を用いることができるが、より好ましく、有機化合物を用いることができる。
本発明においては紫外線吸収剤としてモル吸光係数の高いトリアジン骨核を有する化合物を用いることが好ましく、例えば、以下の公報に記載の化合物を用いることができる。
これらは、写真感光材料に好ましく添加されるが、本発明でも有効である。例えば、特開昭46−3335号、同55−152776号、特開平5−197074号、同5−232630号、同5−307232号、同6−211813号、同8−53427号、同8−234364号、同8−239368号、同9−31067号、同10−115898号、同10−147577号、同10−182621号、独国特許第19739797A号、欧州特許第711804A号及び特表平8−501291号等に記載されている化合物を使用できる。
これらの紫外線吸収剤は、蛍光体粒子ならびに蛍光染料が、紫外線を吸収しない様に配置されることが重要であり、蛍光体粒子ならびに蛍光染料を分散したバインダー中に添加、分散したり、また透明電極層より外側の防湿フィルムや吸水フィルム中に添加して用いることができる。もちろんこれらのフィルム面上に紫外線吸収層として塗布して用いることもできる。
(バインダー)
蛍光体粒子層は、通常蛍光体粒子をバインダーに分散して用いる。バインダーとしては、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの樹脂を用いることができる。これらの樹脂に、BaTiOやSrTiOなどの高誘電率の微粒子を適度に混合して誘電率を調整することもできる。分散方法としては、ホモジナイザー,遊星型混練機,ロール混練機、超音波分散機などを用いることができる。
誘電体層は、誘電率と絶縁性が高く、且つ高い誘電破壊電圧を有する材料であれば任意のものが用いられる。これらは金属酸化物、窒化物から選択され、例えばTiO,BaTiO,SrTiO,PbTiO,KNbO3,PbNbO,Ta,BaTa26,LiTaO3,Y,Al,ZrO,AlON,ZnSなどが用いられる。これらは均一な膜として設置されても良いし、また粒子構造を有する膜として用いても良い。
蛍光体粒子層と誘電体層は、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、あるいはスプレー塗布法などを用いて塗布することが好ましい。特に、スクリーン印刷法のような印刷面を選ばない方法やスライドコート法のような連続塗布が可能な方法を用いることが好ましい。例えば、スクリーン印刷法は、蛍光体や誘電体の微粒子を高誘電率のポリマー溶液に分散した分散液を、スクリーンメッシュを通して塗布する。メッシュの厚さ、開口率、塗布回数を選択することにより膜厚を制御できる。分散液を換えることで、発光層や誘電体層のみならず、背面電極層なども形成でき、さらにスクリーンの大きさを変えることで大面積化が容易である。
(その他)
本発明の素子構成においては、基板、透明電極、背面電極、各種保護層、フィルター、光散乱反射層などを必要に応じて付与することができる。特に基板に関しては、ガラス基板やセラミック基板に加え、フレキシブルは透明樹脂シートを用いることができる。
本発明は、上記のような特徴を有する蛍光体粒子とEL素子構成を適宜組み合わせることが好ましく、それにより高輝度・高効率のEL素子を提供することができる。
透明陽画の材料としては、銀塩ポジフイルムやインクジェット記録フィルムなど透明ないし半透明フイルム上に形成されたポジ画像を好ましく用いることができる。
これら透明陽画フィルムとELフィルムを貼り合わせたり、位置合わせをして接合することで、システムが出来上がる。これらは、柱巻きや壁などに設置することができるだけでなく、ポリエチレンテレフタレートフイルムなどの透明な支持体やアクリル板で挟みこんで用いることができる。その他にも、保護板を用いるが、床に設置したり、天井に設置したりすることも可能である。
本発明のEL素子は、サインディスプレイと呼ばれる広告分野、表示灯、カラーリバーサルプリントの鑑賞などに好適に用いることができる。
以下、本発明の実施例により例証するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
<蛍光体粒子A>
平均粒子径30nmの硫化亜鉛(ZnS)粒子粉末25gと、硫酸銅をZnSに対し0.1モル%と塩化金酸を0.003モル%とNa2[Pt(OH)6]を0.005モル%添加した乾燥粉末に、融剤としてNaClおよびMgClと塩化アンモニウム(NH3Cl)粉末を適量、並びに酸化マグネシウム粉末を蛍光体粉末に対し20質量%アルミナ製ルツボに入れて1200℃で2.0時間焼成したのち降温した。そののち粉末を取り出し、ボールミルにて粉砕分散した。さらに超音波分散を行ったのち、ZnCl2 5gと硫酸銅をZnSに対し0.05モル%添加したのちMgCl2を1g加え、乾燥粉末を作成し、再度アルミナルツボに入れて700℃で6時間焼成した。このとき雰囲気として10%の酸素ガスをフローさせながら焼成を行なった。
焼成後の粒子は、再度粉砕し、40℃のHOに分散・沈降、上澄み除去を行なって洗浄したのち、塩酸10%液を加えて分散・沈降、上澄み除去を行い、不要な塩を除去して乾燥させた。さらに10%のKCN溶液を70℃に加熱して表面のCuイオン等を除去した。
さらに6Nの塩酸で粒子全体の10質量%に相当する表面層をエッチング除去した。
この様にして得られた粒子をさらに篩いにかけて、単分散・小サイズ粒子を取り出した。
このようにして得られた蛍光体粒子は、平均球相当経が15.0μm、変動係数が31%で、あった。また、すり鉢で粒子を粉砕し、厚みが0.2μm以下の砕片を取り出して、200KVの加速電圧条件で、その電子顕微鏡観察を行なったところ、砕片粒子の少なくとも80%以上が5nm間隔以下の積層欠陥を10枚以上有する部分を含んでいた。
<蛍光体粒子B>
蛍光体粒子Aの作製において、MgCl2の量と焼成温度・時間を調整し、篩がけを行わなかった以外は全く同様にして、平均球相当径24μmで変動係数43%の蛍光体粒子Bを作製した。
<蛍光体粒子C>
蛍光体粒子Aの作成において、篩がけを行わずに蛍光体を調製したところ、平均球相当径18μm粒子サイズの変動係数44%の蛍光体粒子Cを得た。
(蛍光体粒子層の形成)
平均粒子サイズが0.02μmのBaTiO微粒子を、30質量%の比率で有機溶媒に溶解したシアノレジン液に分散し、誘電体層厚みが25μmになるように厚み75μmのアルミシート上に塗布し、温風乾燥機を用いて120℃で1時間乾燥した。
上記蛍光体粒子Aを、シンロイヒ社製蛍光染料FA−001と300cd/m2の発光時にCIE色度座標でx=3.3±0.3 y=3.4±0.3となる様、30質量%濃度のシアノレジン液に分散し混練し、蛍光染料固体分散物の塗布量が、8g/m2になるようにかつ、上記の誘電体層上に厚みが50μmになるよう塗布した。
(中間層の形成)
上記蛍光体粒子層の上に、平均粒子サイズが0.02μmのBaTiO微粒子を誘電体層の場合の1/5の量、シアノレジン液に分散した塗布液を用い、2μmの厚みになるよう塗布して中間層を形成した。
(透明導電膜)
ITO(インジウムジンクオキサイド)を蒸着した表面抵抗30Ω/□で光透過率88%の導電性フィルムを作製し、その上にシアノレジンを0.1μm以下程度の厚みに印刷した。上記素子の透明電極部とアルミの背面電極部から、それぞれ厚み80μmの銅アルミシートを用いて外部接続用の端子を取り出した後、素子2枚のSiO2層を有する防湿フィルムと挟んで熱圧着した。素子のサイズは、発光面積が、0.5m2となるよう様に四角形成型した。このようにして作製した比較例の発光素子を試料1とした。
これに対し上記蛍光染料(シンロイヒ社製蛍光染料FA−001)を、シンロイヒ社製FA−003またはFZ6013に代えて調整した試料を、それぞれ試料2、試料3とした。さらに試料1において染料塗布量を2倍にした試料4を作成した。これらのサンプルを基本にして、駆動電圧と周波数の条件を140V、1.1KHz付近で駆動を行った。輝度は、いずれも500cd/m2にあわせた。このEL素子上に富士写真フィルム社製Gカラープリントに人物ならびに野菜サラダ(ブロッコリーとトマトを含む)、風景(赤、黄、緑、青の花や植物、青空を含む)等の写真をプリントした透過プリント材料を作成し載せ、鑑賞した。これらの結果を表1に示す。
発光波長ピーク及びピーク比、色温度が本発明の範囲を満たすものが、良好な結果が得られることが分かる。
Figure 2006310169
試料3において、駆動電圧を代えて輝度を調整し、輝度を、150cd/m2、250cd/m2、350cd/m2、450cd/m2、550cd/m2と代えて同様の鑑賞実験を行った。結果を表2に示す。発光波長ピーク及びピーク比、色温度が本発明の範囲を満たすもので輝度300cd/m2以上において、特に良好な結果が得られることが分かる。
Figure 2006310169
実施例2
実施例1において、試料2、3の蛍光染料を、蛍光体層ではなく、蛍光体層と誘電体層の間に実施例1の誘電体と混合した塗布液を作成して塗布することで染料を含有した高誘電体層としても機能する蛍光染料層を塗布した。厚みは、15μmとした。このとき誘電体層の塗布厚みは、15μmに減じた。これにより、散乱による蛍光染料の自己吸収増加での長波化が起こる。
この様にして作成したエレクトロルミネッセンス素子の1.1KHz140V印加時の演色指数を評価したところ表3の結果を得た。演色評価指数は、浜松フォトニクス社製を用いて評価した。
Figure 2006310169
実施例3
実施例1の試料2ないし3に対し、表4に示す反射防止フィルムを張ったところ、本発明の特性の範囲において、特に透過画像だけでなくエレクトロルミネッセンス素子を発光させない状態における反射画像鑑賞において、素子の特に蛍光染料の影響を抑制してオリジナルに近い良好な画像鑑賞ができることが確認された。環境照度は、600ルクスに設定した。また、透過画像についても良好な鑑賞画像が得られた。エレクトロルミネッセンスフィルムの輝度は、反射防止フィルム無しの時に、650cd/m2になるように駆動電圧と周波数で調整した。
Figure 2006310169
実施例4
実施例1の試料作成において蛍光体粒子Aに替えてBおよびCを用いた素子を作成した。
蛍光体粒子をB、Cに代えた場合には、同一駆動条件では、Aの場合と類似の良好な色再現性を示したが、輝度と粒状の点でAに劣った。輝度を補うために電圧と周波数を上げると輝度の問題は、解決したが、発熱が大きくなり、ELパネルの長期の経時での輝度低下とプリントの色変化が顕在化した。本発明の如く平均粒子径20μm以下の粒子を用いることが、画像鑑賞や効率、および耐久性の点で優れていることが明らかになった。
実施例5
実施例1の試料2、3に対して中間層を除去した試料7.8と中間層を厚み1μmのポリカーボネート及びシアノレジンの2:1混合層に変更した試料9、10を作成したところ、試料9,10は、各々2,3の試料に対し同一駆動条件で5%程度輝度が向上し、試料7、8は、長期の経時実験でエレクトロルミネッセンス素子の輝度低下が2倍ほど速い結果となった。すなはち、本発明の発光特性を有するエレクトロルミネッセンス素子においても、上記の如く、中間層として用いた厚み1μmのポリカーボネートの層が耐久性を2倍にしている。

Claims (5)

  1. 蛍光体粒子を含有する蛍光体粒子層を有する分散型エレクトロルミネッセンス素子であって、発光時の輝度が300cd/m2以上、色温度が4000K以上6500K以下の範囲にあり、515nm以下と590nm以上とに少なくともそれぞれ発光ピークを有し、かつ該長波側発光ピークに対する650nmの発光強度が0.35以上であることを特徴とする分散型エレクトロルミネッセンス素子。
  2. ヘイズ50%以上かつ全光線透過率70%以上の層またはフィルムを蛍光体粒子層の上部に有することを特徴とする請求項1記載のエレクトロルミネッセンス素子。
  3. 用いられる蛍光体粒子の平均球相当径が2μmから20μmの間にあり、平均球相当径の変動係数が40%以下であることを特徴とする請求項1または2記載のエレクトロルミネッセンス素子。
  4. 背面電極および蛍光染料層を有し、該蛍光染料層が、蛍光体粒子層と背面電極との間にあることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のエレクトロルミネッセンス素子。
  5. ヘイズ50%以上の層またはフィルムが、エレクトロルミネッセンス素子により発光時に透明陽画像を提供する画像フィルムの支持体部分と共通である請求項2ないし4のいずれかに記載のエレクトロルミネッセンス素子を用いた透明陽画像システム。
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