JP2006306985A - Cob実装用封止材の製造方法 - Google Patents

Cob実装用封止材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【解決手段】 (A)液状エポキシ樹脂、
(B)硬化剤、
(C)粒径128μm以上の粒子の含有率が1質量%以下であり、かつ平均粒径が5〜20μmである無機充填剤、
(D)非反応性有機ケイ素化合物で表面処理された、平均粒径が0.01〜0.1μmである無機充填剤
を含有する液状エポキシ樹脂組成物からなるCOB実装用封止材を製造するに際し、上記(A)〜(D)成分を混合し、混練した後、少なくとも得られた液状エポキシ樹脂組成物のチキソ性が低下し、次いでチキソ性が増加するチキソ性変動期間まで液状エポキシ樹脂組成物を熟成することを特徴とするCOB実装用封止材の製造方法。
【効果】 本発明の製造方法によるCOB実装用封止材は、塗布後の形状維持性が良好なため、封止後のリード線の露出を防止することができ、信頼性の高い半導体装置を与えることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、半導体装置を製造する際に用いられるリード線が、封止後、露出のないチップ・オン・ボード(COB)実装用封止材の製造方法に関する。
近年、電気機器の半導体の種類は多種あるが、最も普及し、製造工程の確立されたものは、基板の上に回路を載せたSiチップをその周辺の素子とリード線で結合するタイプや、プリンター等に用いられているローラー付近の細長い基板とSiチップとを結合するタイプである。
この封止目的は、上記リード線を種々の環境(使用地域に基づく)に耐えるべく封止し、リード線の腐食等による断線を防止するものであり、リード線がむき出しの状態では、寿命が非常に短くなってしまう。
この封止方法は、デバイス全体を覆ってしまうモールドタイプの他に、金型を必要としない液状封止材を必要な箇所に塗布し、リード線を封止するタイプ等があり、特に比較的簡易にかつ環境的にも適当な液状封止材としてCOB実装用封止材が知られている。
COB実装用封止材に要求される物性としては、信頼性に関連する機能はもちろん、その作業性に関連する流動性が非常に重要である。特にCOB実装用封止材は、リード線の形状より塗布後流動することなく、塗布直後の形状を保持する機能を必要とする。しかしながら、これまでのCOB実装用封止材は、塗布後、硬化まで放置されることが多く、その間リード線が露出するといった問題が発生しており、その対策が望まれていた。
なお、本発明に関連する先行文献としては、下記のものが挙げられる。
特公平6−60232号公報 特公平6−11840号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、COB実装用封止材の形状維持性に関連するチキソ性の挙動を把握し、塗布後の形状維持を制御することができ、かつ硬化後のリード線の露出を防止できる、信頼性の高い半導体製品を与えるCOB実装用封止材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、
(A)液状エポキシ樹脂、
(B)硬化剤、
(C)粒径128μm以上の粒子の含有率が1質量%以下であり、かつ平均粒径が5〜20μmである無機充填剤、
(D)非反応性有機ケイ素化合物で表面処理された、平均粒径が0.01〜0.1μmである無機充填剤
を含有する液状エポキシ樹脂組成物が、各要素原料の混合・混練後、一旦低下するチキソ性が再度高チキソ化する挙動を示し、これに基づき、上昇するチキソ性変動期間まで熟成期間を設け、これをCOB実装用封止材とすることにより、塗布後の形状維持を制御でき、硬化後のリード線の露出を防止し得ることを知見し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、
(A)液状エポキシ樹脂、
(B)硬化剤、
(C)粒径128μm以上の粒子の含有率が1質量%以下であり、かつ平均粒径が5〜20μmである無機充填剤、
(D)非反応性有機ケイ素化合物で表面処理された、平均粒径が0.01〜0.1μmである無機充填剤
を含有する液状エポキシ樹脂組成物からなるCOB実装用封止材を製造するに際し、上記(A)〜(D)成分を混合し、混練した後、少なくとも得られた液状エポキシ樹脂組成物のチキソ性が低下し、次いでチキソ性が増加するチキソ性変動期間まで液状エポキシ樹脂組成物を熟成することを特徴とするCOB実装封止材の製造方法を提供する。この場合、液状エポキシ樹脂組成物のチキソ性をアスペクト比で評価し、少なくとも液状エポキシ樹脂組成物のアスペクト比が低下から増加に変化する期間まで液状エポキシ樹脂組成物を熟成することができる。
本発明の製造方法によるCOB実装用封止材は、塗布後の形状維持性が良好なため、封止後のリード線の露出を防止することができ、信頼性の高い半導体装置を与えることができる。
液状エポキシ樹脂組成物
[(A)液状エポキシ樹脂]
本発明の液状エポキシ樹脂組成物に用いられる(A)成分の液状エポキシ樹脂は、COB実装用封止材に用いられる液状エポキシ樹脂であり、分子中2個以上のエポキシ基を有し、室温(25℃)で液状のものであるという条件を満たせば、分子構造、分子量等は特に限定されず、公知のエポキシ樹脂を全て用いることができる。
この(A)成分としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリフェノールプロパン型エポキシ樹脂等のトリフェノールアルカン型エポキシ樹脂;フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの液状エポキシ樹脂は1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
これらの中でも、特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。更に、下記構造で示されるエポキシ樹脂も好ましく使用することができる。
Figure 2006306985
また、この(A)成分の液状エポキシ樹脂中に含まれる全塩素含有量は、1,500ppm以下、特に1,000ppm以下であることが望ましい。また、液状エポキシ樹脂を50質量%含む水中における100℃×20時間の条件で抽出された塩素イオンの量が、10ppm以下であることが望ましい。前記全塩素含有量及び前記抽出塩素イオンの量が、前記上限以下であれば、耐湿性が良好であり、半導体装置の信頼性を損なうことがない。
[(B)硬化剤]
本発明の液状エポキシ樹脂組成物に用いられる(B)成分は、(A)成分の液状エポキシ樹脂を硬化させる成分である。この(B)成分としては、(A)成分中のエポキシ基と反応可能な官能基、例えば、フェノール性水酸基、アミノ基等の一価の基であれば、それを2個以上、また、例えば、酸無水物基等の実質上二価の基であれば、それを1個以上有する化合物であればよく、分子構造、分子量等は特に限定されず、公知のエポキシ樹脂硬化剤を全て使用することができる。
この(B)成分としては、例えば、1分子中にフェノール性水酸基を少なくとも2個以上有するフェノール樹脂が挙げられ、より具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;パラキシリレン変性ノボラック樹脂、メタキシリレン変性ノボラック樹脂、オルソキシリレン変性ノボラック樹脂等のキシリレン変性ノボラック樹脂;ビスフェノールA型樹脂、ビスフェノールF型樹脂等のビスフェノール型フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型樹脂、ビフェニルアラルキル型樹脂等のフェノール樹脂;トリフェノールメタン型樹脂、トリフェノールプロパン型樹脂等のトリフェノールアルカン型樹脂及びその重合体等のフェノール樹脂;ナフタレン環含有フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等がいずれも使用可能である。
(B)成分がアミンである場合としては、第1級又は第2級アミンが好ましく、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等の脂肪族アミン;メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族アミン等が挙げられる。
(B)成分が酸無水物である場合としては、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ピロメット酸二無水物、3,4−ジメチル−6−(2−メチル−1−プロペニル)−4−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、1−メチル−4−(1−メチルエチル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物等の、好ましくは分子内に脂肪族環又は芳香族環を1個又は2個有するとともに、酸無水物基(即ち、−CO−O−CO−基)を1個又は2個有する、炭素原子数4〜25個、好ましくは8〜20個程度の酸無水物が好適である。
(B)成分としては、上記のほかにジシアンジアミド、アジピン酸ヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジド等のカルボン酸ヒドラジドも使用することができる。
この(B)成分の硬化剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
この(B)成分の使用量は、上記(A)成分のエポキシ樹脂を硬化し得る硬化有効量であり、とりわけ通常の硬化条件において、所望の程度に十分に硬化させることができる量であって、過度の硬化により硬化物が脆くなり、リフロー時又は温度サイクル時にクラックが発生することがなく、かつ、硬化後に硬化剤由来の官能基が残存せず、硬化物のガラス転移点、封止性もしくは密着性等の特性を損なわないとの条件を満たせば、特に制限されるものではない。例えば、上記(A)成分中のエポキシ基1モルに対して、上記硬化剤中に含まれるフェノール性水酸基、アミノ基、酸無水物基等の官能基の量(但し、多価官能基の場合は一価の基が複数あるものとして換算する)が、通常、0.8〜1.2モル、好ましくは0.9〜1.1モル程度となる量の硬化剤を使用するのがよい。
[硬化促進剤]
本発明の液状エポキシ樹脂組成物には、上記(B)成分の硬化剤とともに、必要に応じて、硬化促進剤を組み合わせて使用することができる。この硬化促進剤としては、硬化反応を促進させるものならば特に限定されず、公知のものが全て使用することができ、例えば、イミダゾール化合物、第3級アミン化合物、有機リン系化合物等を挙げることができる。
イミダゾール化合物としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−へプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,2−ジエチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−アリル−4,5−ジフェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
これらの中でも、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,2−ジエチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールが好ましい。
また、第3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルトリメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン等の窒素原子に結合する置換基としてアルキル基やアラルキル基を有するアミン化合物;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7及びそのフェノール塩、オクチル酸塩、オレイン酸塩等のシクロアミジン化合物やその有機酸との塩;下記構造式で表される化合物等のシクロアミジン化合物と4級ホウ素化合物との塩又は錯塩等が挙げられる。
Figure 2006306985
また、有機リン系化合物としては、例えば、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(メトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニルトリルホスフィン、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン等のトリオルガノホスフィン化合物;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等の4級ホスホニウム塩等が挙げられる。
この硬化促進剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
なお、硬化促進剤を使用する場合には、硬化促進効果が発揮され、液状エポキシ樹脂組成物の保存安定性を損なうことがないとの観点から、(A)成分の液状エポキシ樹脂100質量部に対して、通常、10質量部以下、好ましくは0.01〜10質量部、特に0.5〜5質量部の範囲の量とするのがよい。
[(C)無機充填剤]
本発明の液状エポキシ樹脂組成物に用いられる(C)成分の無機充填剤は、得られる硬化物の熱膨張係数を小さくするため、及び基板と半導体チップとの間隙への本発明のサイドフィル材の侵入を制御するために配合される成分である。
この(D)成分としては、従来から公知の各種の無機充填剤を使用することができ、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ボロンナイトライド、アルミニウムナイトライド、シリコンナイトライド、マグネシア、マグネシウムシリケート等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
本発明では、(C)成分の平均粒径が5〜20μmであることが必要であり、好ましくは10〜15μmである。前記平均粒径が20μmを超えるとエポキシ樹脂組成物の流動に対する抵抗が大きくなるだけでなく、塗布後のリード線間の隙間に引っ掛かり、リード線内部にボイドを発生させる原因となる。また、平均粒径が5μm未満であるとエポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり、いずれにしても流動性が低下する。そして、エポキシ樹脂組成物の流動性が低下すると、シリンジ等を用いて実装適用する場合に、ディスペンス性に劣るものとなるので作業上支障をきたすおそれがある。
また、(C)成分中に含まれる粒径128μm以上の粒子の含有率が1質量%以下であることが必要であり、好ましくは0.5質量%以下である。前記含有率が1質量%を超えると、ディスペンス時にシリンジ等の先端ノズルに詰まりを生じて、作業上支障をきたすおそれがある。
なお、上記平均粒径及び粒径は、例えばレーザー光回折法による粒度分布測定により測定することができる。また、平均粒径はメジアン径として求めることができる。
この(C)成分の使用量は、本発明の液状エポキシ樹脂組成物の全量に対し、通常、60〜80質量%、好ましくは65〜75質量%の範囲とするのがよい。前記使用量が少なすぎると、得られる硬化物の熱膨張係数が大きくなり、耐熱衝撃試験において半導体チップからの剥離、クラック等を誘発させる場合があり、また、本発明のサイドフィル材の基板と半導体チップとの間隙への侵入を一定範囲内に制御することが困難となる場合がある。逆に前記使用量が多すぎると、粘度が高くなりすぎて、液状のエポキシ樹脂組成物を得ることが困難となる場合がある。
[(D)非反応性有機ケイ素化合物で表面処理された無機充填剤]
本発明の液状エポキシ樹脂組成物に用いられる(D)成分の非反応性有機ケイ素化合物で表面処理された無機充填剤は、本液状エポキシ樹脂組成物のマトリックス中に均一に分散され、硬化過程における液状成分のブリードの発生抑制、及び封止後の硬化物からの液状成分のブリードの発生を抑制するために配合される成分である。なお、前記非反応性有機ケイ素化合物とは、硬化反応に関与する官能基を有しない化合物であることを意味する。
また、この(D)成分は、その平均粒径が0.01〜0.1μmである無機充填剤が、非反応性有機ケイ素化合物で表面処理されているものであることが必要である。前記表面処理は、前記無機充填剤の分散性を向上させるために行われる。前記無機充填剤の平均粒径が0.01μm未満であるとエポキシ樹脂組成物の粘度が高くなって、液状のものが得られないか、液状状態を維持できない場合がある。また、0.1μmを超えると硬化前の封止物の形状維持が困難となるという問題がある。
平均粒径が0.01〜0.1μmである無機充填剤としては、例えば、アエロジル130、アエロジル200、アエロジル300(商品名、日本アエロジル(株)製)等のヒュームドシリカ;ニプシルVN−3−LP(商品名、日本シリカ工業(株)製)等の湿式シリカなどのシリカを非反応性有機ケイ素化合物で表面処理したものが好適に用いられる。なお、上記平均粒径については、上記(D)成分について記載の通りである。
また、非反応性有機ケイ素化合物としては、例えば、CH3Si(OCH33、(CH33SiOCH3、PhSi(OCH33、PhSiCH3(OCH32、{(CH33Si}2NH、CH3CH2Si(OCH33等(なお、前記Phはフェニル基を意味する)が挙げられる。
また、前記無機充填剤の表面処理方法としては、前記無機充填剤を予め前記非反応性有機ケイ素化合物を用いて処理しておいてもよく、また、本発明の液状エポキシ樹脂組成物の調製時に前記非反応性有機ケイ素化合物を添加・配合するインテグラルブレンド法によって表面処理を行ってもよいが、前記非反応性有機ケイ素化合物の使用量を抑制する点から、前者の方法の方が好ましい。
この(D)成分の使用量は、本発明の液状エポキシ樹脂組成物の全量に対し、通常、0.5〜5質量%、好ましくは2〜3質量%の範囲とするのがよい。前記使用量が少なすぎると、液状成分のブリードの発生を抑制することが困難となるおそれがあり、また、逆に、多すぎるとチキソ性が高くなり過ぎるため、エポキシ樹脂組成物の流動性が低下し、実質上液状のエポキシ樹脂組成物を得ることが困難となるおそれがある。
[他の配合成分]
本発明の液状エポキシ樹脂組成物には、上記各成分に加えて、必要に応じて他の成分を配合することができる。但し、得られるエポキシ樹脂組成物が液状であることが必要であり、かつ本発明の効果を損なうものであってはならない。
例えば、得られる硬化物の応力を緩和させるために、シリコーンゴム、シリコーンオイル、液状のポリブタジエンゴム等を配合してもよい。
また、表面処理剤、接着性向上用のシランカップリング剤、カーボンブラック等の顔料、染料、酸化防止剤、その他の添加剤を配合することができる。前記表面処理剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、テトラエトキシシラン等が挙げられ、無機充填剤成分の表面を疎水化処理し、樹脂成分との濡れ性向上に効果を発揮する。また、前記シランカップリング剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、KBM403(商品名、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
[液状エポキシ樹脂組成物の調製]
本発明の液状エポキシ樹脂組成物は、上記各成分を同時に、又は逐次的に、装置内へ投入し、必要により15〜25℃の範囲の冷却処理を行いながら、撹拌、溶解、混合、分散等の操作を行うことによって調製することができる。これらの撹拌、溶解、混合、分散等の操作に用いられる装置は特に限定されない。例えば、撹拌及び加熱装置を備えたライカイ機、3本ロールミル、ボールミル、プラネタリーミキサー等を用いることができる。また、前記装置の複数を適宜組み合わせてもよい。
[熟成工程]
本発明のポイントである熟成工程は、実際に塗布後チキソ性が低下せず、必要な形状が維持されるために設けられる工程である。本発明では、一般的に行われている混練後、その組成物のチキソ性の挙動である“一旦低下したチキソ性が、ある時点から上昇すること”を見出し、チキソ性の上昇過程で封止することで、リード線の露出防止を可能としたものである。
即ち、本発明において、熟成は上で得られた液状エポキシ樹脂組成物が、これを放置しておくとチキソ性が低下し、更に放置を続けると逆にチキソ性が増大していくが、このチキソ性の低下から増大に変動する期間以上、放置、熟成するものである。この場合、このチキソ性は、アスペクト比にて評価することができ、好適には、本発明のCOB実装用封止材を用いて封止された半導体装置の場合は、基板と該基板上に搭載された半導体チップとのリード線が封止後露出しないように、事前に液状エポキシ樹脂組成物のチキソ性を把握するために、アスペクト比を測定している。チキソ性を把握する手段としては、粘度の低回転と高回転の比で表現及び定量化するのが一般的には適用されるが、本発明では、より実際的な方法として下記方法を採用することができる。アスペクト比の測定方法は、ガラス板(1mm厚み)に組成物0.1gを静置させ、5分後に、事前に120℃に設定されたホットプレート上に、前記ガラスプレートを設置する。次に硬化後、冷却させ、硬化物の高さ(h)と直径(d)を測定する。アスペクト比とは、硬化物の高さ直径の比である(h/d)を意味する。
具体的には、熟成工程とは、温度0〜50℃で、熟成期間1日間〜1ヶ月間程度の条件で、静置しておく行為を示し、組成物の種類及びデバイスのリード線状態にもよるが、好ましくは、温度20〜30℃、熟成期間7〜20日間である。なお、静置状態は、反応を阻害する水分を遮断する意味で、二重のビニル袋等にタップしておき、乾燥剤を併置しておくことが好ましい。
このチキソ性の挙動の理由は、前記非反応性有機ケイ素化合物で表面処理された、平均粒径が0.01〜0.1μmである無機充填剤が組成物に分散される過程の挙動であり、製造初期ではこの微粒子が凝集して存在しているが、徐々に樹脂により一次粒子として存在するようになるためと考えられる。
熟成工程を経た液状エポキシ樹脂組成物は、COB実装用封止材として適用する際の作業性及び封止性の点から、25℃における粘度が10〜200Pa・sであることが好ましく、特に50〜150Pa・sであることが好ましい。
本発明の液状エポキシ樹脂組成物は、基板と該基板上に実装された半導体チップとの配線を封止するCOB実装用封止材として使用される。この適用方法、封止方法、硬化条件等については、公知の方法、条件等を採用することができる。
例えば、封止工程としては、シリンジ等のディスペンサーに本発明の液状エポキシ樹脂組成物をCOB実装用封止材として収容し、前記ディスペンサーから所要量のCOB実装用封止材を封止部位に供給した後に、製造ラインの運転の都合により所定の時間(1〜8時間)放置後、加熱硬化処理を施こすことを含む。前記加熱硬化処理の条件としては、通常、100〜200℃、特に120〜150℃で、通常、1〜5時間である。
以下、本発明を実施例及び比較例を示して具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
下記実施例及び比較例で使用した材料及び配合比は、下記の通りである。なお、製造方法は5Lのプラネタリーミキサーに各原料を配合し、混練・混合を行った。なお、熟成は組成物を2.5Ozシリンジに100g充填し、25℃の環境下で行い、粘度、アスペクト比、リード線封止後のリード線露出の有無を測定した。結果を表1に示す。
液状エポキシ樹脂組成物(COB実装用封止材)
(A)液状エポキシ樹脂
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:RE310(商品名、日本化薬(株)製)11.8質量%
(B)硬化剤
酸無水物:MH700(商品名、新日本理化(株)製)9質量%
硬化促進剤 マイクロカプセル化イミダゾール:HX−3741(商品名、旭化成ケミカルズ(株)製)0.5質量%
(C)無機充填剤
破砕シリカ((株)龍森製)(なお、各実施例又は比較例で用いた粉砕シリカの平均粒径は12μm、及び粒径128μm以上の粒子の含有率は0質量%である。)65質量%
(D)表面処理無機充填剤
ヒュームドシリカ:アエロジル130(商品名、日本アエロジル(株)製、平均粒径:0.15μm)をヘキサメチルシラザン:SE31(商品名、信越化学工業(株)製)で表面処理したもの 3質量%
シランカップリング剤:KBM403(商品名、信越化学工業(株)製)1質量%
<各種性能評価>
・粘度
得られた各エポキシ樹脂組成物の25℃における粘度(Pa・s)をBH型粘度計を用いて測定した。
・アスペクト比
アスペクト比の測定方法は、図1に示すように、ガラス板1(1mm厚み)に組成物0.1gを静置させ、5分後に、事前に120℃に設定されたホットプレート上に、前記ガラスプレートを設置する。次に硬化後、冷却させ、硬化物2の高さ(h)と直径(d)を測定する。アスペクト比とは、硬化物の高さ直径の比である(h/d)を意味する。
Figure 2006306985
* リード線露出評価:アスペクト比で0.18以下で生じるようなリード線を設置し、塗布後8時間における露出の有無をチェックした。
アスペクト比の測定方法の概略を示す図である。 熟成日数とアスペクト比との関係を示す図である。
符号の説明
1 ガラス板
2 硬化物
d 直径
h 高さ

Claims (2)

  1. (A)液状エポキシ樹脂、
    (B)硬化剤、
    (C)粒径128μm以上の粒子の含有率が1質量%以下であり、かつ平均粒径が5〜20μmである無機充填剤、
    (D)非反応性有機ケイ素化合物で表面処理された、平均粒径が0.01〜0.1μmである無機充填剤
    を含有する液状エポキシ樹脂組成物からなるCOB実装用封止材を製造するに際し、上記(A)〜(D)成分を混合し、混練した後、少なくとも得られた液状エポキシ樹脂組成物のチキソ性が低下し、次いでチキソ性が増加するチキソ性変動期間まで液状エポキシ樹脂組成物を熟成することを特徴とするCOB実装用封止材の製造方法。
  2. 液状エポキシ樹脂組成物のチキソ性をアスペクト比で評価し、少なくとも液状エポキシ樹脂組成物のアスペクト比が低下から増加に変化する期間まで液状エポキシ樹脂組成物を熟成するようにした請求項1記載の製造方法。
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