JP2006306638A - AlN単結晶の製造方法 - Google Patents

AlN単結晶の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006306638A
JP2006306638A JP2005128206A JP2005128206A JP2006306638A JP 2006306638 A JP2006306638 A JP 2006306638A JP 2005128206 A JP2005128206 A JP 2005128206A JP 2005128206 A JP2005128206 A JP 2005128206A JP 2006306638 A JP2006306638 A JP 2006306638A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aln
single crystal
seed crystal
crystal substrate
nitride
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005128206A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4591183B2 (ja
Inventor
Kazuto Kamei
一人 亀井
Yoshihisa Shirai
善久 白井
Akihiro Yanai
昭博 八内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP2005128206A priority Critical patent/JP4591183B2/ja
Publication of JP2006306638A publication Critical patent/JP2006306638A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4591183B2 publication Critical patent/JP4591183B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Abstract

【課題】フラックス法により、欠陥の少ないAlN単結晶を大きな成長速度で製造可能なAlN単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】Cr、Mn、Fe、Co、Cu、およびNiから選択された1種以上からなる金属MとAlとを含むM−Al合金融液に、またはこれにさらにSiを添加したM−Si−Al合金融液に、窒化物(例、Si34、BN、AlN、TiN)を接触させた状態で、AlNと格子整合性を有する種結晶基板(例、バルクSiC単結晶)を接触させ、前記種結晶基板上にAlNをエピタキシャル成長させる。窒化物は、合金融液を収容する内坩堝として、または合金融液中に投入した板状体として使用することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、青色〜紫外領域の発光素子基板、高熱伝導性基板等として利用可能なAlN単結晶およびその製造法に関する。本発明により、低温で欠陥の少ないAlN単結晶を効率よく製造することが可能となる。
AlN(窒化アルミニウム)は、バンドギャップが6.2eVときわめて大きく、もしpn接合が実現すれば、青色〜紫外領域の発光ダイオードやレーザーといった新しい発光素子を作製することができる。また、大きなバンドギャップは、放射線下や高温下で動作する高耐圧の電力素子への適用を可能にする。さらに、AlNは負の電子親和力を示すことが知られており、高効率の電子放出素子としての応用も見込める。
AlNは、熱伝導性が約300W/m・Kときわめて高く、放熱性の基板として多結晶体については既に実用化が進んでいる。最近になって、青色発光素子として実用化された窒化ガリウムと結晶格子の整合性が良好であることから、そのバッファ層として利用され、発光素子の輝度向上に不可欠の材料となってきた。
これらの優れた特性を有するAlNを利用する際には、当然半導体シリコンと同様に、単結晶ウエハとして使用することが望ましい。しかし、現在までのところ、AlN単結晶ウエハの製造方法の開示は少なく、せいぜいCVD、MBE等の手法で薄膜を異種基板の上に合成して使用するものが多い。AlNのバルクウエハを得ることが困難であるのは、AlNが明確な融点を示さず、常圧下では2200〜2450℃もの高温で分解し、単純な融液の固化といった手法は使用できないからである。このような事情から単純な凝固以外の手法として昇華法やフラックス法といった方法が検討されている。
例えば、特開平10−53495号公報(特許文献1)には、アモルファス窒化物粉体を原料とする昇華法が提案されているが、昇華法では、連続的に大型結晶を育成することは困難である。
一方、溶媒中にAl、Nを溶解させ、何らかの方法で過飽和にしてAlNを晶出させ、SiCを種結晶基板としてエピタキシャル成長させ単結晶を得る方法として、単純なAl融液を使うセルフフラックス法が特開2004−189549号公報(特許文献2)に提案されている。しかし、実際にはAl融液が窒素と反応して表面にAlN被膜を形成するなどして融液の流動を阻害するため、連続的にAlN結晶を育成することは困難である。
別のフラックス法として、特開2003−119099号公報(特許文献3)には、窒素を含む非酸化性雰囲気中で、遷移金属元素を含むAl合金の溶融液からAlN単結晶を成長させる方法が記載されている。また、特開2003−335600号公報(特許文献4)には、2群の遷移金属元素を含有するAl合金融液を窒素雰囲気下で調製し、この融液の冷却または合金元素の蒸発によりAlN過飽和にしてAlN単結晶を晶出させる方法が記載されている。
特開平10−53495号公報 特開2004−189549号公報 特開2003−119099号公報 特開2003−335600号公報
上記特許文献4に記載の方法では、Al合金は、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Niから選ばれたA群金属と、Sc、Ti、V、Y、Zr、Nbから選ばれたB群金属の両方の金属元素を含有するAl−A−B合金である。A群金属元素はAl原子を均一に分散・溶解させるフラックスとして作用し、B群金属元素はN(窒素)との親和性が高く、Nを融液中に固定する作用を発揮する。一方、上記特許文献3に記載の方法では、Al合金はA群元素のみを含有する。
しかし、特許文献3、4に記載の手法では、窒素を常圧の雰囲気から供給して融液中に固定し、AlN溶液を形成するため、生成したAlN溶液中の窒素が飽和濃度に達するのに時間を要し、また、融液表面にAlNの強固な膜が生成して、融液内部へのさらなる窒素の溶解が阻害される。その結果、実用場面では、窒素が完全に飽和しないまま冷却されたり、温度勾配下に保持してAlNの成長を行う場合には成長界面に十分な窒素が供給されない恐れがある。そうなると、成長速度が小さい値となり、効率的にAlN単結晶を育成することができない。
本発明は、上述した問題点が解消されたAlN単結晶の製造方法、すなわち、フラックス法によって、欠陥の少ないAlN単結晶を大きな成長速度で製造することができるAlN単結晶の製造方法を提供することを課題とする。
本発明によれば、窒素源として、雰囲気の窒素ガスのみならず、溶液中に種々の窒化物を添加することによって、上記課題を解決することができる。
本発明は、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、およびNiから選択された1種以上からなる金属MとAlとを含むM−Al合金融液に、またはこれにさらにSiを添加したM−Si−Al合金融液に、窒化物を接触させた状態で、AlNと格子整合性を有する種結晶基板を接触させ、前記種結晶基板上にAlNをエピタキシャル成長させることを特徴とする、AlN単結晶の製造方法である。
金属Mは、AlとNを溶解させてAlN溶液を形成する主溶媒(フラックス)としての役割を果たす。それにより、比較的低い温度でAlN溶液を形成して、AlN単結晶の成長を行うことが可能となる。Siは、特にSiCを種結晶基板として使用する時に種結晶基板の溶解を抑制する作用を果たす。従って、種結晶基板がSiC単結晶である場合に合金融液にSiを含有させることが好ましいが、種結晶基板が他の材質である場合にもSiを含有させることができる。
合金融液に接触させる窒化物は、M−AlまたはM−Si−Al合金融液に接触させた際にその一部または全部が融液中に溶解して、実質的な量の窒素を溶液中に供給することにより合金融液への窒素源として作用する。そのような作用を示す任意の窒化物を使用することができるが、使用可能な窒化物を例示すると、AlN、BN、Cr2N、Fe2N、LaN、Li3N、Mg32、Mo2N、NbN、Si34、TaN、TiN、YN、ZrNなどが挙げられる。合金融液に安定して溶解する点から、Si34、BN、AlN、TiNを使用することが望ましい。窒化物は1種または2種以上を使用することができ、粉体、粒状、板状、ブロック状などいかなる形状であっても良い。或いは、図1に示すように、合金融液を収容する坩堝を窒化物から製作することができる。
坩堝以外の形状の場合には、窒化物を合金融液の内部に配置(例、投入)すればよい。窒化物の位置は、未溶解の窒化物へのAlNの析出を避けるために、種結晶基板から離れた位置とすることが好ましい。例えば、種結晶基板を合金融液の液面と接触させる典型的な単結晶成長例では、図2に示すように、窒化物を融液の底面に配置することができる。そのためには窒化物の形状は粉状以外とすることが好ましい。窒化物が坩堝である場合にも、図1からわかるように、窒化物と種結晶基板とは離間した位置にある。
本発明では、AlN溶液の形成に必要な窒素は、合金融液と接触させた窒化物から直接供給されるので、雰囲気中の窒素を固定するために窒素親和力の大きいSc、Ti、V、Y、ZrまたはNbを合金融液に添加する必要は無い。しかし、雰囲気が窒素を含有し、雰囲気からも窒素が合金融液中に溶け込む場合には、雰囲気からの窒素の溶解を促進するために、これらの1種または2種以上の元素を合金融液に添加してもよい。
合金融液の組成は、窒素が溶解してAlN溶液となった場合に、AlNが初晶として晶出するような組成であれば、いかなる組成であってもよい。合金融液中の金属M(Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Ni)の合計モル濃度を[M]、Alのモル濃度を[Al]、Siのモル濃度を[Si]として、金属Mの合計モル濃度は、0.2≦[Al]/[M]≦1.0の関係を満たすことが望ましい。この場合に大きな成長速度で均一にAlNが成長するからである。一方、Siのモル濃度は、0.13≦[Si]/[M]≦0.32の関係を満たすことが望ましい。Siのモル濃度が低すぎると、SiC種結晶基板の溶解の抑制効果が不十分となり、高すぎるとSiと黒鉛るつぼから溶解したCが反応してSiCとして晶出するなどにより、AlNの安定な成長を阻害する。より好ましくは、0.4≦[Al]/[M]≦0.6、0.2≦[Si]/[M]≦0.32である。
種結晶基板は、成長させるAlN単結晶と格子整合性を有する任意のバルク単結晶が使用できる。好ましい種結晶基板は昇華法で得られたSiC単結晶であるが、CDV法などの気相成長で得られたSiC単結晶でも良い。種結晶基板のSiCの結晶構造は、3C、4H、6H、15Rなど種々の多形から選んだ結晶形のものを必要に応じて使用することができる。また、その上でAlNがヘテロエピタキシャル成長し、かつ溶液中で安定な、SiC以外の異種基板(例、サファイア基板、AlN膜を数十〜数百nmコートした、いわゆるテンプレートSiC基板など)も種結晶基板として使用可能である。さらに、昇華法やHVPE法などの気相成長法で作成したAlN基板など、他の方法で得られたAlN基板を種結晶として、ホモエピタキシャル成長を行うことが可能であるのは言うまでも無い。
雰囲気は、窒素雰囲気とすることが望ましいが、Ar、Heなど窒素以外の不活性ガス雰囲気や窒素と不活性ガスとの混合雰囲気を用いても良い。窒素を含有する非酸化性雰囲気であると、窒化物の溶解に加えて、雰囲気からも窒素が供給される結果、AlNの飽和溶液をより迅速に形成することができる。
本発明のAlN単結晶の製造方法は、合金融液に温度勾配を設ける温度勾配法と、少なくとも種結晶基板周辺を均熱状態に保持しながら合金融液を冷却する温度変化法のいずれの方法にも適用可能である。
本発明によれば、窒素を合金融液と接触させた窒化物から供給するため、従来のように雰囲気から窒素を供給する場合に見られた、融液表面にAlNの強固な膜が生成して、窒素の融液への溶解が阻害されるという問題が起こらない。さらに、フラックスとして金属Mを使用することにより、比較的低温でAlNのバルク単結晶を成長させることができる。従って、本発明は、欠陥の少ない良質のAlNバルク単結晶を大きな成長速度で製造することを可能にし、AlNバルク単結晶製造の工業化の実現に大きく貢献する。
本方法の1実施形態では、金属Mを溶媒(フラックス)とし、まずこの溶媒をAl量に対して好適な比率で添加し、さらに窒化物を加え、窒素雰囲気下、黒鉛坩堝で加熱溶解して金属とAlを融解させて合金融液を形成する。この合金融液を高温に保持して、窒化物原料および雰囲気から窒素を融液中に溶解させて、AlNが飽和濃度に到達(またはそれに近づいた)AlN溶液を形成する。保持時間は、そのようなAlN濃度が得られるように設定する。その後、6H−SiC種結晶基板を融液と接触させ(例、融液中に浸漬するか、融液表面と接触させ)、溶液を過飽和状態にすることによって、AlNを種結晶基板上に成長させる。
坩堝は、黒鉛坩堝以外に、成長温度域で安定な他の材料からなる坩堝、例えばTa、W、Moなどの高融点金属からなる坩堝、を使用しても良い。また、所望の融液組成が実現されるなら、コールドクルーシブルやレビテーション法など、融液と直接接触する坩堝を使用しない方法の適用も可能である。
窒化物を坩堝として用いて融液と接触させる場合には、坩堝を二重構造とし、窒化物の坩堝を内坩堝とし、この内坩堝を黒鉛坩堝または他の坩堝の内部に配置することが好ましい。窒化物の内坩堝は上記の高温保持中に窒素が溶解して崩壊していく。
過飽和状態の実現方法は、飽和濃度のAlN溶液となった合金融液に種結晶基板を接触させた後、少なくとも種結晶基板の周辺は均熱状態に保持しながら冷却して、過冷却状態とすることによりAlN結晶を晶出させる温度変化法、ならびに温度勾配を有する融液の低温部(過冷却状態)に種結晶基板を接触させて、基板上にAlN結晶を晶出させる温度勾配法のいずれも可能である。温度勾配法では、通常はAlN溶液の上部を低温とする上下方向の温度勾配を形成する。温度変化法では、合金融液の融点以上の温度に昇温したのち、冷却速度0.01〜10℃/minで冷却するのが好ましい。温度勾配法では、合金融液の温度勾配を5〜100℃/cmとすることが好ましい。
結晶成長が終了したら、種結晶基板を引き上げて、基板上に成長したAlN単結晶を回収する。所望により、種結晶にAlN単結晶の成長を繰り返して行い、より大きなAlN単結晶を得ることもできる。
本例は、6H−SiCを種結晶基板とし、静置下での温度勾配法によるAlN単結晶の成長について例示する。
使用した結晶育成(成長)炉は高周波誘導加熱炉であり、これは、高周波コイルとの位置関係や断熱材を適宜使用することによって、融液表面近傍で50℃/cmの温度勾配が形成されるよう予め調整しておいた。高さ200mm、外径50mm、内径40mmの円筒形の黒鉛容器の中に、Si34焼結体で構成された、高さ40mm、外径39mm、内径30mmの内坩堝を挿入した。
Cu濃度57.1at%、Al濃度27at%、Si濃度15.9at%になるように秤量した融液原料を内坩堝内に装填した。その後、穿孔により差し込み口を形成した黒鉛蓋を、黒鉛容器の上部に装着した。別に、円柱状の黒鉛製の種結晶基板支持冶具の先端には10mm×10mm×0.35mm厚の6H−SiC単結晶基板((0001)面)を取り付けておいた。
この黒鉛容器と種結晶基板支持冶具を高周波誘導加熱炉にセットした後、炉内をまず5×10-2Torr以下まで真空引きした。真空引きの後、窒素(N2)の充填により炉内の雰囲気をN2に置換した。N2置換した後、炉内温度を10℃/minの速度で1850℃まで昇温させ、原料を融解させた後、この融解温度に1時間保持した。この温度保持中に、内坩堝および雰囲気から窒素が融液中に溶解して、AlN溶液が形成され、溶液中のAlN濃度はほぼ飽和濃度に達していた。
その後、種結晶基板支持冶具を黒鉛蓋の差し込み口から挿入し、溶液の湯面直下まで種結晶基板支持冶具を下ろして、図1に示すように種結晶基板を溶液中に浸漬させた。種結晶基板をこの接触状態に5時間保持して結晶成長を続けた後、種結晶基板支持具を融液から引き上げて、結晶成長を終了させた。
種結晶基板支持具に付着した残留溶液を硝酸、フッ酸の混合液を用いて溶解除去し、種結晶の断面を光学顕微鏡により観察して、AlN単結晶の成長状況を調査した。その結果、SiC基板上に均一にAlN単結晶がエピタキシャル成長していることが判明した。得られたエピタキシャル成長層の厚みからAlNの成長速度を算出すると、25μm/hrという大きな値であった。
本例は、6H−SiCを種結晶基板とし、温度変化法によるAlN単結晶の成長について例示する。
単結晶育成炉として使用した高周波誘導加熱炉は、高周波コイルとの位置関係や断熱材を適宜使用することによって、融液表面近傍で均熱帯が形成されるよう予め調整しておいた。高さ200mm、外径50mm、内径40mmの円筒形黒鉛容器の底部にSi34焼結体から構成された径39mm、厚さ5mmの円盤を挿入した。
Ni濃度73at%、Al濃度27at%になるように秤量した融液原料を坩堝中に装填した後、穿孔により差し込み口を形成した黒鉛蓋を黒鉛容器上部に装着した。別に、円柱状の黒鉛製の種結晶基板支持冶具端部に10mm×10mm×0.35mm厚の6H−SiC単結晶基板((0001)面)を取り付けた。
この黒鉛容器と種結晶基板支冶具を高周波誘導加熱炉にセットした後、炉内をまず5×10-2Torr以下まで真空引きした。真空引きの後、窒素(N2)の充填により炉内の雰囲気をN2に置換した。N2置換した後、炉内温度を溶解温度まで10℃/minで1850℃まで加熱して、原料を融解させた。この温度に1時間保持して、融液中に窒化物の円盤および雰囲気から窒素を溶解させて、AlN溶液を形成した。融液中のAlN濃度は実質的に飽和濃度に達していた。
その後、種結晶基板支持具を黒鉛蓋の差し込み口から挿入し、溶液の中心部まで種結晶基板支持冶具を下ろして、図2に示すように種結晶基板を溶液中に浸漬させた。種結晶基板を浸漬した後、1℃/minの速度で1550℃まで冷却した(冷却時間は5時間)。その後、種結晶基板支持具を溶液中から引き上げて、成長を終了させた。
種結晶基板支持具に付着した残留溶液を硝酸、フッ酸の混合液を用いて溶解除去し、種結晶の断面を光学顕微鏡により観察して、AlN単結晶の成長状況を調査した。その結果、SiC基板上に均一にAlN単結晶がエピタキシャル成長していることが判明した。得られたエピタキシャル成長層の厚みからAlNの成長速度を算出すると、17.5μm/hrという大きな値であった。
本例は、6H−SiCを種結晶基板とし、種々の窒化物を用いた静置下での温度勾配法によるAlN単結晶の成長について例示する。
結晶育成炉として使用した高周波誘導加熱炉は、高周波コイルとの位置関係や断熱材を適宜使用することにより、融液表面近傍で50℃/cmの温度勾配が形成されるよう予め調整しておいた。高さ200mm、外径50mm、内径40mmの円筒形の黒鉛容器内に窒化物焼結体で構成されている径39mm、厚さ5mmの円盤を挿入した。ここで、窒化物焼結体としては、Si34、BN、AlN、またはTiNの焼結体を使用した。
Cu濃度57.1at%、Al濃度27at%、Si濃度15.9at%になるように秤量した融液原料を内坩堝内に装填した。その後、穿孔により差し込み口を形成した黒鉛蓋を、黒鉛容器の上部に装着した。別に、円柱状の黒鉛製の種結晶基板支持冶具の先端には10mm×10mm×0.35mm厚の6H−SiC単結晶基板((0001)面)を取り付けておいた。
この黒鉛容器と種結晶基板支持冶具を高周波誘導加熱炉にセットした後、炉内をまず5×10-2Torr以下まで真空引きした。真空引きの後、窒素(N2)の充填により炉内の雰囲気をN2に置換した。N2置換した後、炉内温度を10℃/minの速度で1850℃まで昇温させ、原料を融解させた後、この融解温度に1時間保持した。この温度保持中に、内坩堝および雰囲気から窒素が融液中に溶解して、AlN溶液が形成され、溶液中のAlN濃度はほぼ飽和濃度に達していた。
その後、種結晶基板支持冶具を黒鉛蓋の差し込み口から挿入し、溶液の湯面直下まで種結晶基板支持冶具を下ろして、図2に示すように種結晶基板を溶液中に接触させた。種結晶基板をこの接触状態に5時間保持して結晶成長を続けた後、種結晶基板支持具を融液から引き上げて、結晶成長を終了させた。
種結晶基板支持具に付着した残留溶液を硝酸、フッ酸の混合液を用いて溶解除去し、種結晶の断面を光学顕微鏡により観察して、AlN単結晶の成長状況を調査した。参照として、窒化物を使用しない実験も実施して、成長速度を比較した。その結果を表1に示す。表1から、窒化物を使用すると、使用しない場合に比べて、2〜3倍またはそれ以上の大きな成長速度が得られることがわかる。
Figure 2006306638
本例は、6H−SiCを種結晶基板とし、溶媒の組成を変化させた静置下での温度勾配法によるAlN単結晶の成長について例示する。
結晶育成炉として使用した高周波誘導加熱炉は、高周波コイルとの位置関係や断熱材を適宜使用することにより、融液表面近傍で50℃/cmの温度勾配が形成されるよう予め調整しておいた。高さ200mm、外径50mm、内径40mmの円筒形の黒鉛容器内にSi34焼結体で構成された、高さ40mm、外径39mm、内径30mmの内坩堝を挿入した。
Cu、Al、Siの各原料を種々の混合比で秤量し、内坩堝の中に装填した。その後、穿孔により差し込み口を形成した黒鉛蓋を、黒鉛容器の上部に装着した。別に、円柱状の黒鉛製の種結晶基板支持冶具の先端には10mm×10mm×0.35mm厚の6H−SiC単結晶基板((0001)面)を取り付けておいた。
この黒鉛容器と種結晶基板支持冶具を高周波誘導加熱炉にセットした後、炉内をまず5×10-2Torr以下まで真空引きした。真空引きの後、窒素(N2)の充填により炉内の雰囲気をN2に置換した。N2置換した後、炉内温度を10℃/minの速度で1850℃まで昇温させ、原料を融解させた後、この融解温度に1時間保持した。この温度保持中に、内坩堝および雰囲気から窒素が融液中に溶解して、AlN溶液が形成され、溶液中のAlN濃度はほぼ飽和濃度に達していた。
その後、種結晶基板支持冶具を黒鉛蓋の差し込み口から挿入し、溶液の湯面直下まで種結晶基板支持冶具を下ろして、図1に示すように種結晶基板を溶液中に浸漬させた。種結晶基板をこの接触状態に5時間保持して結晶成長を続けた後、種結晶基板支持具を融液から引き上げて、結晶成長を終了させた。
種結晶基板支持具に付着した残留溶液を硝酸、フッ酸の混合液を用いて溶解除去し、種結晶の断面を光学顕微鏡により観察して、得られたエピタキシャル成長層の厚みから成長速度を算出し、成長速度を比較した。その結果を表2に示す。表2から、溶液中のCuのモル濃度を[Cu]、Alのモル濃度を[Al]、およびSiのモル濃度を[Si]とするとき、0.2≦[Al]/[Cu]≦1.0、0.13≦[Si]/[Cu]≦0.32、の関係を満たす場合、10m/hr以上のより大きな成長速度が得られていることがわかる。
Figure 2006306638
以上の実施例1〜4では、金属MについてCu,Niの例を示したが、Cr、Mn、Fe、Coを用いても、同様に欠陥の少ない良質のAlNバルク単結晶を大きな成長速度で製造することができる。
実施例で用いた単結晶育成装置を示す説明図である。 実施例で用いた別の単結晶育成装置を示す説明図である。

Claims (8)

  1. Cr、Mn、Fe、Co、Cu、およびNiから選択された1種以上からなる金属MとAlとを含むM−Al合金融液に、窒化物を接触させた状態で、AlNと格子整合性を有する種結晶基板を接触させ前記種結晶基板上にAlNをエピタキシャル成長させることを特徴とする、AlN単結晶の製造方法。
  2. 前記合金融液がさらにSiを含有するM−Si−Al合金融液であり、前記種結晶基板がSiC単結晶基板である、請求項1記載のAlN単結晶の製造方法。
  3. 前記合金融液中の金属Mの合計モル濃度を[M]、Alのモル濃度を[Al]とするとき、0.2≦[Al]/[M]≦1.0の関係を満たす、請求項1または2記載のAlN単結晶の製造方法。
  4. 前記合金融液中のSiのモル濃度を[Si]とするとき、0.13≦[Si]/[M]≦0.32の関係をさらに満たす、請求項2または3記載のAlN単結晶の製造方法。
  5. 前記窒化物が、Si34、AlN、BN、およびTiNから選択された1種以上である、請求項1〜4のいずれかに記載のAlN単結晶の製造方法。
  6. 前記合金融液の周囲雰囲気が窒素を含有する非酸化性雰囲気である、請求項1〜5のいずれかに記載のAlN単結晶の製造方法。
  7. 前記AlNのエピタキシャル成長が、合金融液に設けた温度勾配により達成される、請求項1〜6のいずれかに記載のAlN単結晶の製造方法。
  8. 前記AlNのエピタキシャル成長が、少なくとも種結晶基板周辺を均熱状態に保持しながら合金融液を冷却することにより達成される、請求項1〜6のいずれかに記載のAlN単結晶の製造方法。
JP2005128206A 2005-04-26 2005-04-26 AlN単結晶の製造方法 Expired - Fee Related JP4591183B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005128206A JP4591183B2 (ja) 2005-04-26 2005-04-26 AlN単結晶の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005128206A JP4591183B2 (ja) 2005-04-26 2005-04-26 AlN単結晶の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006306638A true JP2006306638A (ja) 2006-11-09
JP4591183B2 JP4591183B2 (ja) 2010-12-01

Family

ID=37473960

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005128206A Expired - Fee Related JP4591183B2 (ja) 2005-04-26 2005-04-26 AlN単結晶の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4591183B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009091225A (ja) * 2007-10-12 2009-04-30 Ngk Insulators Ltd 窒化物単結晶の製造方法
WO2012008545A1 (ja) * 2010-07-14 2012-01-19 住友金属鉱山株式会社 窒化アルミニウム結晶の製造方法
JP2014101235A (ja) * 2012-11-16 2014-06-05 Nagoya Univ AlN単結晶の製造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60122797A (ja) * 1983-12-07 1985-07-01 Toshiba Corp 窒化アルミニウム単結晶の製造方法
JP2003505331A (ja) * 1999-07-22 2003-02-12 クリー インコーポレイテッド 溶融体からの窒化アルミニウムのバルク単結晶の成長
JP2004189549A (ja) * 2002-12-12 2004-07-08 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 窒化アルミニウム単結晶の製造方法
JP2005082439A (ja) * 2003-09-08 2005-03-31 Sumitomo Metal Ind Ltd AlN単結晶の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60122797A (ja) * 1983-12-07 1985-07-01 Toshiba Corp 窒化アルミニウム単結晶の製造方法
JP2003505331A (ja) * 1999-07-22 2003-02-12 クリー インコーポレイテッド 溶融体からの窒化アルミニウムのバルク単結晶の成長
JP2004189549A (ja) * 2002-12-12 2004-07-08 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 窒化アルミニウム単結晶の製造方法
JP2005082439A (ja) * 2003-09-08 2005-03-31 Sumitomo Metal Ind Ltd AlN単結晶の製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009091225A (ja) * 2007-10-12 2009-04-30 Ngk Insulators Ltd 窒化物単結晶の製造方法
WO2012008545A1 (ja) * 2010-07-14 2012-01-19 住友金属鉱山株式会社 窒化アルミニウム結晶の製造方法
JP2012167001A (ja) * 2010-07-14 2012-09-06 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 窒化アルミニウム結晶の製造方法
US8735905B2 (en) 2010-07-14 2014-05-27 Sumitomo Metal Mining Co., Ltd. Method for producing aluminum nitride crystals
JP2014101235A (ja) * 2012-11-16 2014-06-05 Nagoya Univ AlN単結晶の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4591183B2 (ja) 2010-12-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7637998B2 (en) Method for producing single crystal silicon carbide
JP4647525B2 (ja) Iii族窒化物結晶の製造方法
JP4853449B2 (ja) SiC単結晶の製造方法、SiC単結晶ウエハ及びSiC半導体デバイス
JP5304793B2 (ja) 炭化珪素単結晶の製造方法
US8287644B2 (en) Method for growing silicon carbide single crystal
JP4100228B2 (ja) 炭化珪素単結晶とその製造方法
JP5068423B2 (ja) 炭化珪素単結晶インゴット、炭化珪素単結晶ウェハ及びその製造方法
WO2011024931A1 (ja) SiC単結晶ウエハーとその製造方法
US7520930B2 (en) Silicon carbide single crystal and a method for its production
JP4561000B2 (ja) 炭化珪素(SiC)単結晶の製造方法
JP5218348B2 (ja) 炭化珪素単結晶の製造方法
KR101152857B1 (ko) 탄화규소 단결정의 성장방법
JP2007261844A (ja) 炭化珪素単結晶の製造方法
JP2006131433A (ja) 炭化珪素単結晶の製造方法
JP4595909B2 (ja) 窒化アルミニウム単結晶の製造方法
JP4591183B2 (ja) AlN単結晶の製造方法
JP4151528B2 (ja) AlN単結晶の製造方法
JP2010077023A (ja) 炭化珪素単結晶及びその製造方法
JP4466293B2 (ja) 炭化珪素単結晶の製造方法
JP4089398B2 (ja) AlN単結晶の製造方法
WO2003087440A1 (fr) Monocristal de carbure de silicium et procede de fabrication correspondant
JP2000256091A (ja) 単結晶SiCの液相育成方法
JP4720672B2 (ja) 窒化アルミニウム単結晶の製造方法
WO2017086449A1 (ja) SiC単結晶の製造方法及びSiC単結晶インゴット

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070521

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090908

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091030

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100316

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100401

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100817

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100830

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130924

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4591183

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130924

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130924

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees