JP2006306070A - 光学記録媒体、金属錯体化合物及び有機色素化合物 - Google Patents

光学記録媒体、金属錯体化合物及び有機色素化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】短波長レーザ光により高密度の光情報の記録再生が可能であり、耐光性が改善された記録層を有する光学記録媒体を提供すること。
【解決手段】有機色素化合物を含有する記録層を備える光学記録媒体であって、記録層には、カップラー成分として6−ヒドロキシ−2−ピリドン構造を有し、ジアゾ成分としてイソキサゾール、1、2、4−トリアゾールまたはピラゾール構造を有し、下記一般式[I]〜一般式[III]で示されるピリドンアゾ化合物と、これと配位するニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、銅、マンガン等の2価の金属のイオンとから構成される金属錯体化合物が含有される。

Figure 2006306070

(一般式[I]〜一般式[III]中、R〜R10は、それぞれ独立に、水素原子または1価の官能基である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、光学記録媒体等に関し、より詳しくは、青色レーザ光に対応が可能な耐光性に優れた光学記録媒体等に関する。
現在、CD−R/RW、DVD−R/RW、MO等の各種光学記録媒体は、大容量の情報を記憶でき、ランダムアクセスが容易であるために、コンピュータ等の情報処理装置における外部記憶装置として広く認知され普及している。これらの中で、CD−RやDVD−Rに代表される、有機色素化合物が含有される記録層を設けた有機色素系光記録媒体は、低コストで且つ製造も容易であるという点で、優位性を有するものと考えられている。
一方、取り扱われる情報量の増大により、媒体の記録密度を高めることが望まれ、近年、開発が著しい青色レーザ光等の発振波長の短いレーザ光を用いた高密度の記録再生可能な光学記録媒体が提唱されつつある。
しかし、一般に、CD−RやDVD−R等として市販されている光学記録媒体の場合、例えば、CD−Rは波長780nm程度のレーザ光による記録・再生に適するように、またDVD−Rは波長600〜700nm程度のレーザ光による記録・再生に適するように設計されている。このような、比較的長波長のレーザ光を用いる光学的記録・再生用に適合する記録媒体では、より短波長のレーザ光を用いて記録・再生すると、反射率が低く記録・再生ができないという問題を有している。
このようなCD−RやDVD−R用の記録用の色素としては、例えば、含金属アゾ錯体化合物を光学記録媒体として用いたものが使用されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
国際公開第91/18950号公報 特開平9−277703号公報 特開平8−295811号公報
前述の特許文献1や特許文献2に記載されている光学記録媒体においては、一般的に、CD−RやDVD−Rで用いられるアゾ化合物のカップラー成分として、N、N−ジアルキルアニリン骨格を有するものが用いられている。
このN、N−ジアルキルアニリン骨格を用いるとモル吸光係数が非常に大きい色素を得ることができ有用であるが、これらのカップラー成分を用いた含金属アゾ錯体は、溶液のλmaxは500nm以上である。このため、この色素が含有される塗布膜の吸収スペクトルは、青色レーザー光や波長350nm近傍のレーザー光による記録には十分な吸収が得られないことを示す。即ち、吸収極大波長が長すぎるのである。例えば、青色レーザーの発振中心波長であるレーザ波長である405nm付近には、ほとんど吸収スペクトルが観察されず、青色レーザー光に対する感度が低い傾向があるという問題を有する。そのため、より短波長側に大きな吸収をもつカップラー成分が必要となる。
一方、特許文献3に記載されているような、ピリドン系カップラー成分を用いた化合物は、特許文献1や特許文献2に記載される化合物より短い波長にλmaxを有することが知られている。しかし本発明者らの検討により、特許文献3に記載された化合物は、ジアゾ成分としてベンゾチアゾールやチアゾールやピリジンを有するものであっても、吸収極大波長が長すぎるために、波長405nm付近((405nm−10nm)以上(405nm+5nm)以下)の吸収は少なく、色素としての性能の向上は期待できないことがわかった。そこで上記波長域で記録するためには、より短波長の吸収に適したジアゾ成分とカップラー成分の組み合わせが必要なのである。
本発明は、このような、例えば短波長の青色レーザ光等によってDVDよりも高密度の光情報の記録再生が行われる光学記録媒体を開発する際に浮き彫りになった問題を解決するためになされたものである。
即ち、本発明の目的は、350nm以上530nm以下の短波長のレーザ光、例えば、385nm以上410nm以下のレーザー光によって高密度の光情報の記録再生が可能な光学記録媒体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、光学記録媒体の記録層等に好適な金属錯体化合物を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、耐光性が改善された有機色素化合物を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明では、含金属ピリドンアゾ化合物を含有する有機色素化合物を使用している。
即ち、本発明によれば、基板と、基板上に直接又は他の層を介して設けられ、光が照射されることにより情報の記録及び/又は再生が可能な記録層と、を有し、記録層は、6−ヒドロキシ−2−ピリドン構造からなるカップラー成分と、イソキサゾール、トリアゾール、ピラゾールから選ばれるいずれか1種のジアゾ成分と、を有する有機色素化合物と、有機色素化合物が配位する金属イオンと、から構成される金属錯体化合物を含有することを特徴とする紫外レーザから青色レーザ波長域(特に、350nm〜530nm)の短波長のレーザ光用の光学記録媒体が提供される。
本発明が適用される光学記録媒体の記録層には、前述した有機色素化合物と所定の金属イオンとから構成される金属錯体化合物が含有される。本発明においては、金属錯体化合物を構成する有機色素化合物が、下記一般式[I]〜一般式[III]で示されるピリドンアゾ化合物であることを特徴としている。
Figure 2006306070
(一般式[I]〜一般式[III]中、R〜R10は、それぞれ独立に、水素原子または1価の官能基である。)
一般式[I]〜一般式[III]におけるR〜R10として、具体的には水素原子の他、以下に示す1価の官能基が好ましい。
即ち、Rは、水素原子、直鎖または分岐のアルキル基、環状アルキル基、ヒドロキシル基、直鎖または分岐のアルコキシ基、飽和または不飽和の複素環基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アミノ基、アシルアミノ基から選ばれるいずれか1種であることが好ましい。
〜R、R〜Rは、水素原子、炭素数1〜炭素数18の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数3〜炭素数18の環状アルキル基、炭素数2〜炭素数18の直鎖又は分岐のアルケニル基、飽和または不飽和の複素環基、炭素数6〜炭素数18のアリール基、炭素数7〜炭素数20のアラルキル基、炭素数1〜炭素数18の直鎖又は分岐のアルコキシ基、炭素数1〜炭素数18の直鎖又は分岐のアルキルチオ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、ヒドロキシ基、ホルミル基、アシル基、アミノ基、アシルアミノ基、カーバメート基、カルボン酸エステル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、スルファモイル基、スルホン酸エステル基、スルホンアミド基から選ばれるいずれか1種であることが好ましい。
、R10は、水素原子、直鎖または分岐のアルキル基、環状アルキル基、アシル基から選ばれるいずれか1種であることが好ましい。
また、金属錯体化合物を構成する金属イオンは、周期表の3族〜12族から選ばれる2価の金属のイオンであることが好ましい。さらに、金属イオンは、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、銅、マンガンから選ばれる少なくとも1種の金属のイオンであることが好ましい。ここで、周期表は長周期型である。
2価の金属のイオンと一般式[I]〜一般式[III]で示されるピリドンアゾ化合物とを組み合わせた含金属ピリドンアゾ化合物を用いることにより、光学記録媒体の記録層の耐光性を向上させることができる。
尚、本発明の光学記録媒体の記録再生に用いられる光は、波長が350nm〜530nmのレーザ光であり、385nm〜410nmの半導体レーザ光が具体例として挙げられる。
次に、本発明は、有機色素を含有する記録層を備える光学記録媒体であって、有機色素は、下記一般式[I]〜一般式[III]で示されるピリドンアゾ化合物と、ピリドンアゾ化合物が配位し、周期表の3族〜12族から選ばれる2価の金属のイオンと、からなる金属錯体化合物を含有することを特徴とする光学記録媒体として把握することができる。
Figure 2006306070
(一般式[I]〜一般式[III]中、R〜R10は、それぞれ独立に、水素原子または1価の官能基である。)
ここで、一般式[I]〜一般式[III]で示されるピリドンアゾ化合物は、分子量が1000以下であることが好ましい。
また、本発明によれば、周期表の3族〜12族から選ばれる2価の金属のイオンと、これらの金属のイオンと配位し、下記一般式[I]で表されるピリドンアゾ化合物と、を含有することを特徴とする金属錯体化合物が提供される。
Figure 2006306070
(一般式[I]中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子または1価の官能基である。)
即ち、本発明が適用される金属錯体化合物は、一般式[I]で示されるピリドンアゾ化合物と、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、銅、マンガン等の2価の金属と、が配位した構造を有することにより、波長500nm以下で最大吸収波長が得られる有機色素として用いることができる。
さらに、本発明によれば、2価の金属のイオン及びピリドンアゾ化合物からなる金属錯体化合物を含有する有機色素化合物であって、ピリドンアゾ化合物は、6−ヒドロキシ−2−ピリドン構造からなるカップラー成分と、イソキサゾールからなるジアゾ成分と、を有することを特徴とする有機色素化合物が提供される。
即ち、本発明が適用される有機色素化合物は、特定のカップラー成分とジアゾ成分とを組み合わせた構造を有するピリドンアゾ化合物を用い、これと、2価の金属とを配位させることにより、耐光性に優れた性質を得ることができる。
本発明が適用される光学記録媒体によれば、短波長のレーザ光によって高感度で高密度の光情報の記録再生が可能である。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態と記す)について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、使用する図面は、本実施の形態を説明するために使用するものであり、実際の大きさを表すものではない。
尚、一般式[I]〜一般式[III]で表すピリドンアゾ化合物における1価の官能基R〜R10は、必要に応じて置換基を有していてもよい。但し、その場合の「置換基」、又は後述する「置換されてもよい」、「置換基を有していてもよい」なる記載における「置換基」は、カルボキシル基、スルホン酸基等の酸性の水溶性基を含まない。一般式[I]〜一般式[III]で表すピリドンアゾ化合物中にカルボキシル基、スルホン酸基等の水溶性基が含まれると、有機溶媒への溶解性が低下するので好ましくない。また、光学記録媒体の記録層の耐水性が低下、安定な膜を形成することが困難となる。
また、「必要に応じて」とは、一般式[I]〜一般式[III]で表すピリドンアゾ化合物の有機溶媒への溶解性及び特定の波長域での吸収に大きく影響するものではないが、有機溶媒への溶解性や特定の波長域での吸収を微調整する目的で、あるいは、製造工程上のメリット、例えば、合成に使用する試薬調達の容易性、コスト等の点から適宜選択されることを意味する。
(ピリドンアゾ化合物)
本実施の形態が適用される光学記録媒体に使用される、金属イオンと上記一般式[I]〜一般式[III]で示されるピリドンアゾ化合物(以下、単に、ピリドンアゾ化合物と記すことがある。)とからなる含金属ピリドンアゾ化合物は、波長350nm〜530nmの青色光領域に適度の吸収を有し、青色レーザ光による記録に適し、実用に耐えうる耐光性を有する有機色素化合物として用いることができる。
前記一般式[I]〜一般式[III]で表されるピリドンアゾ化合物において、一般に、アゾ基(−N=N−)の左側の複素芳香環が、ジアゾ成分と呼ばれ、右側の6−ヒドロキシ−2−ピリドン構造が、カップラー成分と呼ばれる。
ここで、一般式[I]〜一般式[III]で表されるピリドンアゾ化合物におけるジアゾ成分としては、例えば、イソキサゾール、1、2、4−トリアゾール、ピラゾール等である。
この中、トリアゾールは互変異性構造をとり、以下に示すような、一般式[II]’、一般式[II]’’の構造もとるが、代表例として一般式[II]の構造を記載している。
Figure 2006306070
ここで、一般式[II]’、一般式[II]’’では、便宜上、R’’等と記載したが、これらはRと同じ官能基を用いる。また、R’’は、Rと同じ官能基を用いる。
これらのジアゾ成分の中で、同一のカップラーと組み合わせた場合、一般に、一般式[I]<一般式[II]<一般式[III]の順に、波長400nm〜500nmの波長域での吸収極大波長が長波長側にシフトする傾向が見られる。波長405nmの吸収を大きくして感度を向上させる目的では、一般式[I]の構造が特に好ましい。
次に、一般式[I]〜一般式[III]で表すピリドンアゾ化合物における1価の官能基R〜R10について説明する。
一般式[I]〜一般式[III]で表すピリドンアゾ化合物において、Rは、水素原子、又は直鎖または分岐のアルキル基、環状アルキル基、ヒドロキシ基、直鎖または分岐のアルコキシ基、飽和または不飽和の複素環基、アリール基、アラルキル基、−COR11で表されるアシル基、−NR1213で表されるアミノ基、−NHCOR14で表されるアシルアミノ基から選ばれるいずれか1種の官能基を表す。
の好ましい官能基としては、水素原子、炭素数1〜炭素数12の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数3〜炭素数10の環状アルキル基、飽和または不飽和の複素環基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜16のアラルキル基、−NR1213(この場合、R12とR13は水素原子を除く)で表されるアミノ基、−NHCOR14で表されるアシルアミノ基等が挙げられる。これらのうち、Rとしてアシルアミノ基の場合とRとしてアリール基の場合を除き、溶解性は比較的良い。
〜R、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、又はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−へプチル基等の置換されてもよい炭素数1〜炭素数18の直鎖又は分岐のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の置換されてもよい炭素数3〜炭素数18の環状アルキル基;ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の置換されてもよい炭素数2〜炭素数18の直鎖又は分岐のアルケニル基;2−チエニル基、2−ピリジル基、4−ピペリジル基、モルホリノ基等の置換されてもよい飽和または不飽和の複素環基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等の置換されてもよい炭素数6〜炭素数18のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の置換されてもよい炭素数7〜炭素数20のアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の置換されてもよい炭素数1〜炭素数18の直鎖又は分岐のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基等の置換されてもよい炭素数1〜炭素数18の直鎖又は分岐のアルキルチオ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;メルカプト基;ヒドロキシ基;ホルミル基;−COR11で表されるアシル基;−NR1213で表されるアミノ基;−NHCOR14で表されるアシルアミノ基;−NHCOOR15で表されるカーバメート基;−COOR16で表されるカルボン酸エステル基;−OCOR17で表されるアシルオキシ基;−CONR1819で表されるカルバモイル基;−SO20で表されるスルホニル基;−SOR21で表されるスルフィニル基;−SONR2223で表されるスルファモイル基;−SO24で表されるスルホン酸エステル基;−NHSO25で表されるスルホンアミド基から選ばれるいずれか1種の官能基である。
また、R、R10は、水素原子、直鎖または分岐のアルキル基、環状アルキル基、アシル基から選ばれるいずれか1種の官能基である。
ここで、R11、R14〜R17、R20、R21、R24、R25は、それぞれ独立して、炭化水素基又は複素環基を表す。また、R12、R13、R18、R19、R22、R23は、それぞれ独立して、水素原子、炭化水素基、複素環基のいずれか1種を表す
。これらは必要に応じて置換されてもよい。
具体的には、R11〜R25で表される炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−へプチル基等の炭素数1〜炭素数18の直鎖又は分岐のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の炭素数3〜炭素数18の環状アルキル基;ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜炭素数18の直鎖又は分岐のアルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数3〜炭素数18の環状アルケニル基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜炭素数20のアラルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等の炭素数6〜炭素数18アリール基等が挙げられる。
これらの炭化水素基のアルキル鎖部分及びアリール基部分は、後述するR〜Rのアルキル鎖部分が有し得る置換基で更に置換されていてもよい。これらの置換基の位置は特に限定されず、置換基の数も無置換から複数個まで可能である。複数の置換基を有する場合、同種でもよく、また異なってもよい。
また、R11〜R25で表される複素環基としては、例えば、4−ピペリジル基、モルホリノ基、2−モルホリニル基、ピペラジル基等の飽和複素環;2−フリル基、2−ピリジル基、2−チアゾリル基、2−キノリル基等の芳香族複素環等が挙げられる。これらの複素環基は、複数のヘテロ原子を含んでいても、さらに、置換基を有していてもよく、また結合位置も限定されない。複素環基として好ましい構造のものは、5〜6員環の飽和複素環、5〜6員環の単環及びその2縮合環の芳香族複素環が挙げられる。
次に、前述した、アシル基、アミノ基、アシルアミノ基、カーバメート基、カルボン酸エステル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、スルファモイル基、スルホン酸エステル基、スルホンアミド基について、具体的な化合構造を例示する。
アシル基(−COR11)としては、以下の構造の官能基等が挙げられる。
Figure 2006306070
アミノ基(−NR1213)としては、以下の構造の官能基等が挙げられる。
Figure 2006306070
アシルアミノ基(−NHCOR14)としては、以下の構造の官能基等が挙げられる。
Figure 2006306070
カーバメート基(−NHCOOR15)としては、以下の構造の官能基等が挙げられる。
Figure 2006306070
カルボン酸エステル基(−COOR16)としては、以下の構造の官能基等が挙げられる。
Figure 2006306070
アシルオキシ基(−OCOR17)としては、以下の構造の官能基等が挙げられる。
Figure 2006306070
カルバモイル基(−CONR1819)としては、以下の構造の官能基等が挙げられる。
Figure 2006306070
スルホニル基(−SO20)としては、以下の構造の官能基等が挙げられる。
Figure 2006306070
スルフィニル基(−SOR21)としては、以下の構造の官能基等が挙げられる。
Figure 2006306070
スルファモイル基(−SONR2223)としては、以下の構造の官能基等が挙げられる。
Figure 2006306070
スルホン酸エステル基(−SO24)としては、以下の構造の官能基等が挙げられる。
Figure 2006306070
スルホンアミド基(−NHSO25)としては、以下の構造の官能基等が挙げられる。
Figure 2006306070
前述した一般式[I]〜一般式[III]で表すピリドンアゾ化合物において、R〜R10が示す直鎖又は分岐のアルキル基、環状アルキル基、直鎖又は分岐のアルケニル基、環状アルケニル基、直鎖又は分岐のアルコキシ基、直鎖又は分岐のアルキルチオ基となる場合のアルキル鎖部分、及びR11〜R25が示すアルキル基のアルキル鎖部分は、更に置換基を有していてもよい。
このような置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜炭素数10のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、メトキシブトキシ基等の炭素数2〜炭素数12のアルコキシアルコキシ基;メトキシメトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、エトキシエトキシメトキシ基等の炭素数3〜炭素数15のアルコキシアルコキシアルコキシ基;フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜炭素数12のアリールオキシ基;アリルオキシ基、ビニルオキシ基等の炭素数2〜炭素数12のアルケニルオキシ基等が例示される。
更に、他の置換基として、2−チエニル基、2−ピリジル基、4−ピペリジル基、モルホリノ基等の複素環基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシル基;メルカプト基;メチルメルカプト基、エチルメルカプト基等のアルキルチオ基;アミノ基、N、N−ジメチルアミノ基、N、N−ジエチルアミノ基等の炭素数1〜炭素数10のアルキルアミノ基;メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、n−プロピルスルホニルアミノ基等の炭素数1〜炭素数6のアルキルスルホニルアミノ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基等のアルキルカルボニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル等の炭素数2〜炭素数7のアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基等の炭素数2〜炭素数7のアルキルカルボニルオキシ基;メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基等の炭素数2〜炭素数7のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
尚、これらの置換基の結合位置は特に限定されず、置換基の数も無置換から複数個まで可能である。複数の置換基を有する場合、同種でも異なってもよい。
〜R、R〜Rは、特に限定されるものではないが、合成の容易さや塗布溶媒への溶解性などの点から、以下のものが好ましい。
即ち、水素原子、炭素数1〜炭素数12の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数3〜炭素数10の環状アルキル基、炭素数2〜炭素数12の直鎖又は分岐のアルケニル基、炭素数6〜炭素数18のアリール基、飽和または不飽和の複素環基、炭素数7〜炭素数18のアラルキル基、炭素数1〜炭素数12の直鎖又は分岐のアルコキシ基、炭素数1〜炭素数12の直鎖又は分岐のアルキルチオ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、ヒドロキシ基、ホルミル基、−COR11で表されるアシル基、−NR1213で表されるアミノ基、−NHCOR14で表されるアシルアミノ基、−NHCOOR15で表されるカーバメート基、−COOR16で表されるカルボン酸エステル基、−OCOR17で表されるアシルオキシ基、−CONR1819で表されるカルバモイル基、−SO20で表されるスルホニル基、−SOR21で表されるスルフィニル基、−SONR2223で表されるスルファモイル基、−SO24で表されるスルホン酸エステル基及び−NHSO25で表されるスルホンアミド基等が挙げられる。上記のうち、R〜Rとして、合成上や溶解性の面から、直鎖又は分岐のアルキル基、環状アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、メルカプト基、ヒドロキシ基、アシル基、カルボン酸エステル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基等が好ましいものとして挙げられる。
これらの中でも、Rの、特に好ましいものとしては、水素原子、炭素数1〜炭素数12の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数3〜炭素数10の環状アルキル基、炭素数7〜炭素数18のアラルキル基、炭素数1〜炭素数12の直鎖又は分岐のアルコキシ基、炭素数6〜炭素数18のアリール基、飽和または不飽和の複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、−COR11で表されるアシル基、−NR1213で表されるアミノ基、−NHCOR14で表されるアシルアミノ基、−NHCOOR15で表されるカーバメート基、−COOR16で表されるカルボン酸エステル基、−OCOR17で表されるアシルオキシ基、−CONR1819で表されるカルバモイル基、−SO20で表されるスルホニル基、−SOR21で表されるスルフィニル基、−NHSO25で表されるスルホンアミド基等が挙げられる。
また、Rの好ましいものとしては、水素原子、炭素数1〜炭素数12の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数3〜炭素数10の環状アルキル基、炭素数2〜炭素数12の直鎖又は分岐のアルケニル基、炭素数6〜炭素数18のアリール基、飽和または不飽和の複素環基、炭素数7〜炭素数18のアラルキル基、炭素数1〜炭素数12の直鎖又は分岐のアルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、−COR11で表されるアシル基、−NR1213で表されるアミノ基、−NHCOR14で表されるアシルアミノ基、−NHCOOR15で表されるカーバメート基、−COOR16で表されるカルボン酸エステル基、−OCOR17で表されるアシルオキシ基、−CONR1819で表されるカルバモイル基、−NHSO25で表されるスルホンアミド基等が挙げられる。
尚、R、Rには、有機溶媒への溶解性、吸収極大波長への影響の他に、合成のしやすさの観点等から、それぞれ、上記の官能基が選択できる。例えば、上述の中では、合成や溶解性のメリット面からは、直鎖又は分岐のアルキル基、環状アルキル基、ヒドロキシ基、アシル基、アミノ基、カルボン酸エステル基、アシルオキシ基、カルバモイル基等が好ましいものとして挙げられる。
、R10の好ましいものとしては、水素原子、直鎖または分岐のアルキル基、環状アルキル基、−COR11で表されるアシル基を表す。これらの中でも、水素原子、炭素数1〜炭素数8の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数3〜炭素数8の環状アルキル基、−COR11で表されるアシル基等が挙げられる。
これらの中でも、Rの特に好ましいものとしては、水素原子、炭素数1〜炭素数8の直鎖または分岐のアルキル基である。R10の特に好ましいものとしては、炭素数1〜炭素数8の直鎖または分岐のアルキル基である。尚、R、R10は、溶解性、吸収極大波長及び吸光度の大きさに影響する場合がある。これらのR〜R10は、必要に応じて置換されてもよい。
特に、ジアゾ成分と本発明のカップラー骨格である6−ヒドロキシー2−ピリドン構造からなる金属錯体化合物との組み合わせによっては、耐光性が左右されることがわかった。耐光性は一般式[II]を有する本発明の金属錯体化合物、即ち、ジアゾ成分がトリアゾールであるが安定して良好であり、それに一般式[III]を有する本発明の金属錯体化合物、そして一般式[I]を有する本発明の金属錯体化合物が次ぐ、という傾向が見られる。さらに、耐光性はそれらの置換基であるR〜R10と相関が見られることがある、ということもわかった。ただし、本発明で述べる耐光性は、溶解性があまりよくないために、結果的に耐光性がよくない結果となる場合を含む。これらの結果を表1に示す。耐光性が安定して良好である一般式[II]を有する本発明の金属錯体化合物の場合には、R〜R、R〜Rは前記記載のものの中から選択されるのであれば、いずれも良好な耐光性を有する。それに対して、一般式[III]を有する本発明の金属錯体化合物、そして一般式[I]を有する本発明の金属錯体化合物においては、それぞれの置換基Rには、以下に示すように、溶解性に好ましくない、あるいは、耐光性に好ましくない特定の組み合わせがあるのである(表1参照)。
前記有機色素化合物が、下記一般式[I]で示されるピリドンアゾ化合物であることを特徴とする光学記録媒体において、
Figure 2006306070
一般式[I]中、Rは無置換のアミノ基(―NH)を除く1価の官能基であることが好ましい。また、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子または1価の官能基であることが好ましい。即ち、Rが無置換のアミノ基(―NH)の場合には、置換基R〜Rとの組み合わせによってはやや溶解性が低下し、その結果、耐光性が低下する可能性がある。
また、Rとしてのシアノ基、Rとしてのアルキル基の組み合わせは、より好ましい傾向が見られる。
また、前記有機色素化合物が、下記一般式[IV]で示されるピリドンアゾ化合物であることを特徴とする光学記録媒体において、
Figure 2006306070
一般式[IV]中、R31は水素原子を除く1価の官能基であることが好ましい。また、R26〜R30は、それぞれ独立に、水素原子または1価の官能基であることが好ましい。
31を水素原子とすると、溶解性が低下し、耐光性が悪化する可能性がある。
また、R27としてのシアノ基、R28としてのアルキル基の組み合わせは、より好ましい傾向が見られる。
上記の好ましくない組み合わせを除けば、すでに述べた一般式[I]〜[III]における好ましいR〜R10、R〜R10に対応するR26〜R31との組み合わせを用いれば、良い耐光性が得られる。
(金属イオン)
次に、金属イオンについて説明する。
一般式[I]〜一般式[III]で表すピリドンアゾ化合物と配位して含金属ピリドンアゾ化合物を形成する金属としては、ピリドンアゾ化合物との配位形成能力があれば特に限定されず、遷移元素、典型元素から選択される。金属の酸化数は限定されない。また、後述する金属錯体化合物において、金属とピリドンアゾ化合物との比は特に限定されない。また、金属及びピリドンアゾ化合物以外に、金属錯体化合物は、電荷を有する対イオンを含む形で錯体を形成してもよい。
金属とピリドンアゾ化合物とが形成する錯体構造の好ましい構造としては、ピリドンアゾ化合物が(−1)価の電荷をもつ3座配位子となるため、錯体の形成しやすさから、2価の金属1個に対しピリドンアゾ化合物2個の割合で配位した構造が好ましい。即ち、一般式[I]〜一般式[III]で表すピリドンアゾ化合物とともに金属錯体を形成する金属イオンは、周期表(長周期型)の3族〜12族から選ばれる2価の金属であることが好ましい。これらの2価の金属の中でも、特に、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、銅及びマンガンから選ばれる少なくとも1種の金属が特に好ましい。
尚、含金属ピリドンアゾ化合物としては、複数種のピリドンアゾ化合物が金属に配位した構造でもよい。また、後述する光学記録媒体の記録層に、複数種の含金属ピリドンアゾ化合物を含有していてもよい。
一般式[I]〜一般式[III]で表されるピリドンアゾ化合物の分子量は、好ましい範囲としては、1000以下、特に好ましくは700以下である。分子量が過度に大きいとグラム吸光係数が減少し、色素の量に対して吸収が小さくなるので好ましくはない。
一般式[I]〜一般式[III]で表されるピリドンアゾ化合物の好ましい例としては、具体的には、下記に示された(1)〜(57)の化合物が挙げられる。
一般式[I]で表されるピリドンアゾ化合物としては、例えば、下記(1)〜(20)の化合物が挙げられる。
Figure 2006306070
Figure 2006306070
一般式[II]で表されるピリドンアゾ化合物としては、例えば、下記(21)〜(30)の化合物が挙げられる。
Figure 2006306070
一般式[III]で表されるピリドンアゾ化合物としては、例えば、下記(31)〜(40)の化合物が挙げられる。
Figure 2006306070
さらに、一般式[I]〜一般式[III]で表されるピリドンアゾ化合物として、例えば、下記(41)〜(57)の化合物が挙げられる。
Figure 2006306070
Figure 2006306070
(光学記録媒体)
次に、本実施の形態が適用される光学記録媒体について説明する。
本実施の形態が適用される光学記録媒体は、少なくとも、基板と、一般式[I]〜一般式[III]で表されるピリドンアゾ化合物の金属錯体化合物を含有する記録層とから構成される。尚、必要に応じて、更に下引き層、反射層、保護層等を設けても良い。
図1は、本実施の形態が適用される光学記録媒体を説明する図である。図1(a)は、第1の実施の形態であり、図1(b)は、第2の実施の形態である。
(第1の実施の形態)
図1(a)に示される光学記録媒体10は、光透過性材料からなる基板1と、基板1上に設けられた記録層2と、記録層2上に積層された反射層3及び保護層4とが順番に積層されている。光学記録媒体10は、基板1側から照射されるレーザ光により、情報の記録・再生が行われる。
尚、説明の便宜上、光学記録媒体10において、保護層4が存在する側を上方、基板1が存在する側を下方とし、これらの方向に対応する各層の各面を、それぞれ各層の上面及び下面とする。
基板1は、基本的に記録光及び再生光の波長において透明な材料であれば、様々な材料を使用することができる。具体的には、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に、非晶質ポリオレフィン)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂;ガラスが挙げられる。また、ガラス上に光硬化性樹脂等の放射線硬化性樹脂からなる樹脂層を設けた構造が挙げられる。中でも、高生産性、コスト、耐吸湿性等の観点からは、射出成型法にて使用されるポリカーボネート樹脂、耐薬品性及び耐吸湿性等の観点からは、非晶質ポリオレフィンが好ましい。更に、高速応答等の観点からは、ガラスが好ましい。
樹脂製の基板1を使用した場合、又は、記録層と接する側(上側)に樹脂層を設けた基板1を使用した場合には、上面に、記録再生光の案内溝やピットを形成してもよい。案内溝の形状としては、光学記録媒体10の中心を基準とした同心円状の形状やスパイラル状の形状が挙げられる。スパイラル状の案内溝を形成する場合には、溝ピッチが0.2〜1.2μm程度であることが好ましい。
記録層2は、基板1の上側に直接、又は必要に応じて基板1上に設けた下引き層等の上側に形成され、一般式[I]〜一般式[III]で表されるピリドンアゾ化合物の金属錯体化合物が含まれる。記録層2の成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等、一般に行なわれている様々な薄膜形成法が挙げられる。量産性やコストの観点からは、スピンコート法が好ましく、均一な厚みの記録層2が得られるという観点からは、塗布法よりも真空蒸着法等の方が好ましい。スピンコート法による成膜の場合、回転数は500〜15000rpmが好ましい。また、場合によっては、スピンコートの後に、加熱する、溶媒蒸気にあてる等の処理を施しても良い。
ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等の塗布法により記録層2を形成する場合に、一般式[I]〜一般式[III]で表されるピリドンアゾ化合物の金属錯体化合物を溶解させて基板1に塗布するために使用する塗布溶媒は、基板1を侵食しない溶媒であれば特に限定されない。
具体的には、例えば、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;n−ヘキサン、n−オクタン等の鎖状炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、シクロオクタン等の環状炭化水素系溶媒;テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシカルボン酸エステル系溶媒等が挙げられる。
真空蒸着法を用いる場合には、例えば、一般式で表される化合物と、必要に応じて他の色素や各種添加剤等の記録層成分とを、真空容器内に設置されたるつぼに入れ、この真空容器内を適当な真空ポンプで10−2〜10−5Pa程度にまで排気した後、るつぼを加熱して記録層成分を蒸発させ、るつぼと向き合って置かれた基板上に蒸着させることによって、記録層2を形成する。
また、記録層2には、一般式[I]〜一般式[III]で表されるピリドンアゾ化合物の金属錯体化合物に加えて、安定性や耐光性の向上のために、一重項酸素クエンチャーとして遷移金属キレート化合物(例えば、アセチルアセトナートキレート、ビスフェニルジチオール、サリチルアルデヒドオキシム、ビスジチオ−α−ジケトン等)等を含有させたり、記録感度の向上のために、金属系化合物等の記録感度向上剤を含有させたりしても良い。
ここで、金属系化合物とは、遷移金属等の金属が、原子、イオン、クラスター等の形で化合物に含まれるものを言い、例えば、エチレンジアミン系錯体、アゾメチン系錯体、フェニルヒドロキシアミン系錯体、フェナントロリン系錯体、ジヒドロキシアゾベンゼン系錯体、ジオキシム系錯体、ニトロソアミノフェノール系錯体、ピリジルトリアジン系錯体、アセチルアセトナート系錯体、メタロセン系錯体、ポルフィリン系錯体のような有機金属化合物が挙げられる。金属原子としては特に限定されないが、遷移金属であることが好ましい。
尚、記録層2には、必要に応じて、一般式[I]〜一般式[III]で表されるピリドンアゾ化合物の金属錯体化合物を複数種類併用しても良い。更に、記録層2には、ピリドンアゾ化合物の金属錯体化合物に加え、必要に応じて他系統の色素を併用することもできる。
他系統の色素としては、主として記録用レーザ光の発振波長域に適度な吸収を有するものであればよく、特に制限されない。また、CD−R等に使用され、770nm〜830nmの波長帯域中に発振波長を有する近赤外レーザ光を用いた記録・再生に適する色素や、DVD−R等に使用され、620nm〜690nmの波長帯域中に発振波長を有する赤色レーザ光を用いた記録・再生に適する色素等を、ピリドンアゾ化合物と併用して記録層2に含有させることにより、異なる波長帯域に属する複数種のレーザ光を用いた記録・再生に対応する光学記録媒体10を製造することもできる。また、上記CD−RあるいはDVD−Rの色素の中で耐光性が良好なものを選び、本発明の化合物に混合することにより、耐光性をさらに向上させることが可能となる。
一般式[I]〜一般式[III]で表されるピリドンアゾ化合物の金属錯体化合物以外の他系統の色素としては、例えば、含金属アゾ系色素、ベンゾフェノン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、シアニン系色素、アゾ系色素、スクアリリウム系色素、含金属インドアニリン系色素、トリアリールメタン系色素、メロシアニン系色素、アズレニウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、キサンテン系色素、オキサジン系色素、ピリリウム系色素等が挙げられる。
更に、必要に応じて、バインダー、レベリング剤、消泡剤等を併用することもできる。好ましいバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ケトン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられる。
記録層2の膜厚は、記録方法等により適した膜厚が異なる為、特に限定するものではないが、記録を可能とするためにはある程度の膜厚が必要とされるため、通常、少なくとも1nm以上であり、好ましくは5nm以上である。但し、通常300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下である。記録層2の膜厚が過度に厚いと、良好な記録が行えないおそれがある。
反射層3は、記録層2の上に形成されている。反射層3の膜厚は、好ましくは50nm〜300nmである。反射層3の材料としては、再生光の波長において十分高い反射率を有する材料、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Pd等の金属を、単独あるいは合金にして用いることができる。これらの中でもAu、Al、Ag、Cuは反射率が高く、反射層3の材料として適している。また、これらの金属を主成分とした上で、加えて他の材料を含有させても良い。ここで主成分とは、含有率が50%以上のものをいう。主成分以外の他の材料としては、例えば、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Cu、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi、Ta、Ti、Pt、Pd、Nd等の金属及び半金属を挙げることができる。
これらの金属及び半金属の中でも、Agを主成分とするものは、コストが安い点、高反射率が出やすい点、後述する印刷受容層を設けた場合に地色が白く美しいものが得られる点等から、特に好ましい。例えば、AgにAu、Pd、Pt、Cu、及びNdから選ばれる一種以上を0.1原子%〜5原子%程度含有させた合金は、高反射率、高耐久性、高感度且つ低コストであり好ましい。具体的には、例えば、AgPdCu合金、AgCuAu合金、AgCuAuNd合金、AgCuNd合金等である。金属以外の材料としては、低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、これを反射層3として用いることも可能である。
反射層3を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、基板1の上や反射層3の下に、反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために、公知の無機系又は有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
保護層4は、反射層3の上に形成される。保護層4の材料は、反射層3を外力から保護するものであれば、特に限定されない。有機物質の材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等を挙げることができる。また、無機物質としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、MgF、SnO等が挙げられる。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いる場合は、適当な溶剤に溶解して調製した塗布液を反射層3の上に塗布して乾燥させれば、保護層4を形成することができる。UV硬化性樹脂を用いる場合は、そのまま反射層3の上に塗布するか、又は適当な溶剤に溶解して調製した塗布液を反射層3の上に塗布し、UV光を照射して硬化させることによって、保護層4を形成することができる。
UV硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリレート系樹脂を用いることができる。これらの材料は、単独で用いても、複数種を混合して用いても良い。また、保護層は、単層として形成しても、多層として形成してもよい。
保護層4の形成方法としては、記録層2と同様に、スピンコート法やキャスト法等の塗布法や、スパッタリング法や化学蒸着法等の方法が用いられるが、中でもスピンコート法が好ましい。保護層4の膜厚は、その保護機能を果たすためにはある程度の厚みが必要とされるため、一般に0.1μm以上であり、好ましくは3μm以上である。但し、通常100μm以下であり、好ましくは30μm以下である。保護層4の膜厚が過度に厚いと、効果が変わらないだけでなく保護層4の形成に時間を要し、またコストが高くなるおそれがある。
上述したように、光学記録媒体10の層構造として、基板1、記録層2、反射層3、保護層4をこの順に積層して成る構造を例に採って説明したが、この他の層構造を採っても構わない。
例えば、上例の層構造における保護層4の上面に、又は上例の層構造から保護層4を省略して反射層3の上面に、更に別の基板1を貼り合わせてもよい。この際の基板1は、何ら層を設けていない基板そのものであってもよく、貼り合わせ面又はその反対面に反射層3等任意の層を有するものでも良い。また、同じく上例の層構造を有する光学記録媒体10や、上例の層構造から保護層4を省略した光学記録媒体10を、それぞれの保護層4及び/又は反射層3の上面を相互に対向させて2枚貼り合わせてもよい。
(第2の実施の形態)
次に、光学記録媒体の第2の実施の形態について説明する。
図1(b)は、光学記録媒体の第2の実施の形態を説明する図である。第1の実施の形態の光学記録媒体10と共通する部分は同じ符号を付し、説明を省略する。
図1(b)に示される光学記録媒体20は、光透過性材料からなる基板1と、基板1上に設けられた反射層3と、反射層3上に積層された記録層2及び保護被膜5とが順番に積層されている。光学記録媒体20は、保護被膜5側から照射されるレーザ光により、情報の記録・再生が行われる。
保護被膜5は、フィルム又はシート状のものを接着剤によって貼り合わせてもよく、また、前述の保護層4と同様の材料を用い、成膜用の塗液を塗布し硬化又は乾燥することにより形成しても良い。保護被膜5の厚さは、その保護機能を果たすためにはある程度の厚さが必要とされるため、一般に0.1μm以上であり、好ましくは3μm以上である。但し、通常、300μm以下、好ましくは200μm以下である。保護被膜5が過度に厚いと、効果が変わらないだけでなく保護被膜5の形成に時間を要し、また、コストが高くなるおそれがある。
尚、記録層2、反射層3等の各層は通常、前述の光学記録媒体10と同様のものが用い得る。但し、本層構成では基板1は透明である必要はなく、従って、前述の材料以外にも、不透明な樹脂、セラミック、金属(合金を含む)等が用いられる。このような層構成においても、上記各層間には、本発明の特性を損なわない限り、必要に応じて任意の層を有してよい。
ところで、光学記録媒体10、20の記録密度を高めるための一つの手段として、対物レンズの開口数を増大させることが挙げられる。これにより、情報記録面に集光される光スポットを微小化できる。しかしながら、対物レンズの開口数が増大すると、記録・再生を行うためにレーザ光を照射した際に、光学記録媒体10、20の反り等に起因する光スポットの収差が大きくなりやすいため、良好な記録再生信号が安定して得られない場合がある。
このような収差は、レーザ光が透過する透明基板や保護被膜の膜厚が厚いほど大きくなりやすいので、収差を小さくするためには基板や保護被膜をできるだけ薄くするのが好ましい。ただし、通常、基板1は、光学記録媒体10、20の強度を確保するためにある程度の厚みを要するので、この場合、光学記録媒体20の構造(基板1、反射層3、記録層2、保護被膜5なる基本的層構成の光学記録媒体20)を採用するのが好ましい。光学記録媒体10の基板1を薄くするのに比べると、光学記録媒体20の保護被膜5は薄くしやすいため、好ましくは光学記録媒体20を用いる。
但し、光学記録媒体10の構造(基板1、記録層2、反射層3、保護層4なる基本的層構成の光学記録媒体10)であっても、記録・再生用レーザ光が通過する透明な基板1の厚さを50μm〜300μm程度にまで薄くすることにより、収差を小さくして使用できるようになる。
また、他の各層の形成後に、記録・再生レーザ光の入射面(通常は、基板1の下面)に、表面の保護やゴミ等の付着防止の目的で、紫外線硬化樹脂層や無機系薄膜等を成膜形成してもよく、記録・再生レーザ光の入射面ではない面(通常は、反射層3や保護層4の上面)に、インクジェット、感熱転写等の各種プリンタ、あるいは各種筆記具を用いて記入や印刷が可能な印刷受容層を設けてもよい。
本実施の形態が適用される光学記録媒体10、20において、情報の記録・再生のために使用するレーザ光は、高密度記録を実現する観点から波長が短いほど好ましいが、特に、波長350nm〜530nmのレーザ光が好ましい。かかるレーザ光の代表例として、中心波長405nm、410nm、515nmのレーザ光が挙げられる。
波長350nm〜530nmのレーザ光は、波長405nm、410nmの青色又は515nmの青緑色の高出力半導体レーザ光を使用することによって得られる。また、その他にも、例えば、(a)基本発振波長が740〜960nmの連続発振可能な半導体レーザ光、及び(b)半導体レーザ光によって励起される基本発振波長740nm〜960nmの連続発振可能な固体レーザ光の何れかの発振レーザ光を、第二高調波発生素子(SHG)により波長変換することによっても得られる。
尚、SHGとしては、反転対称性を欠くピエゾ素子であればいかなるものでもよいが、KDP、ADP、BNN、KN、LBO、化合物半導体等が好ましい。第二高調波の具体例として、基本発振波長が860nmの半導体レーザ光の場合には、その基本発振波長の倍波である430nm、また、半導体レーザ光励起の固体レーザ光の場合には、CrドープしたLiSrAlF結晶(基本発振波長860nm)からの倍波の430nm等が挙げられる。
本実施の形態が適用される光学記録媒体10、20に、情報の記録を行なう際には、記録層2に対して(通常は、基板1側から基板1を透過させ)、通常、0.4μm〜0.6μm程度に集束したレーザ光を照射する。記録層2のレーザ光が照射された部分は、レーザ光のエネルギーを吸収することによって分解、発熱、溶解等の熱的変形を起こすため、光学的特性が変化する。
記録層2に記録された情報の再生を行なう際には、同じく記録層2に対して(通常は、記録時と同じ方向から)、よりエネルギーの低いレーザ光を照射する。記録層2において、光学的特性の変化が起きた部分(すなわち、情報が記録された部分)の反射率と、変化が起きていない部分の反射率との差を読みとることにより、情報の再生が行なわれる。
以下に実施例に基づき、本実施の形態をさらに具体的に説明する。尚、本実施の形態はその要旨を越えない限り、これら実施例によって限定されるものではない。
(ピリドンアゾ化合物の合成方法)
前述した一般式[I]〜一般式[III]で表されるピリドンアゾ化合物の合成方法については特に限定されるものではないが、例えば、6−ヒドロキシ−2−ピリドン構造の一般的な製法を下記に示す。
(1)シアノアセトアミド誘導体とβ−ケトエステルとの縮合
最も一般的な製法としては、下記のように、シアノアセトアミド誘導体とβ−ケトエステルとを(ジャーナル オブ ヘテロサイクリック ケミストリー「J.Heterocyclic.Chem.,」32,979(1995)等)、または、シアノ酢酸エチルとアミンとβ−ケトエステルとを(ダイズ アンド ピグメンツ「Dyes&Pigments」,15,69(1991))、塩基性触媒の存在下、加熱することにより、3−シアノ−6−ヒドロキシ−2−ピリドンを合成する方法が知られている。ここで、シアノアセトアミド誘導体におけるアミンのRを変更することによりRに置換基を導入でき、また、β−ケトエステルのRを変更することでも置換基を導入することができる。
Figure 2006306070
(2)1、3−ジメチルウラシルとマロン酸アミド誘導体との縮合
また、下記のように(ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエティ「J.A.C.S.101」(15),4423(1979))、1、3−ジメチルウラシルとマロン酸アミド誘導体とを用いることにより、3−置換−2、6−ジヒドロキシピリジンを合成することができる。
Figure 2006306070
(3)フェニルプロピオル酸のMichael付加
また、下記のように(薬学雑誌、99(6)、588(1979))、N−アリルフェニルプロピオル酸アミドとシュウ酸ジエチルとの反応により合成できる。
Figure 2006306070
その他、市販の試薬で2、6−ジヒドロキシピリジン構造をもつ化合物を出発原料に用いて反応して置換基を導入することができる。
以上にして得られた6−ヒドロキシ−2−ピリドン化合物を、ジアゾ化した複素芳香環アミンとジアゾカップリングすることにより、前記一般式[I]〜一般式[III]で表されるピリドンアゾ化合物を得ることができる。そして、このピリドンアゾ化合物を金属と錯形成させることにより含金属ピリドンアゾ化合物(ピリドンアゾ化合物の金属錯体化合物)を得ることができる。
(実施例1)
(a)合成例
(a−1)
下記構造式[1]で表されるシアノ酢酸エチル22.63g(0.2モル)、構造式[2]で表される3−オキソブタン酸エチル26.03g(0.2モル)、構造式[3]で表されるn−ブチルアミン14.63g(0.2モル)をエタノール20ml中に溶解させ、ピペリジン6mlを滴下した後、撹拌条件下26時間半還流を行った。反応液は冷却後、10%塩酸水溶液200mlにあけて撹拌すると固体が析出した。析出した化合物はろ別し、水洗した後、ヘキサン100ml溶液に懸濁させ、30分程度撹拌した後にろ過をし、ろ過物は真空中で加熱乾燥させて、下記の化合物[4](1−n−ブチル−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−2−ピリドン)11.3g(収率27.4%)を得た。
Figure 2006306070
Figure 2006306070
下記構造式[5]で示される3−アミノ−5−メチルイソキサゾール2.94g(0.03mol)を酢酸30ml、プロピオン酸10ml、濃硫酸2ml溶液中に撹拌溶解させ、0〜5℃に冷却した。ここに43%ニトロシル硫酸10.62gを10℃以下を保つように滴下してジアゾ化し、ジアゾ液を調製した。
Figure 2006306070
一方、別の容器に、前記化合物[4]6.8g(0.033mol)、酢酸ナトリウム9g、尿素1.2gをメタノール100ml、水20ml中に撹拌溶解させ、塩酸でpHを5に調整して0〜5℃に冷却した。この溶液に、予め調製したジアゾ液を5℃以下で、14%アンモニア水溶液でpH4〜5に保ちながら滴下した。滴下終了後、30分撹拌を行い、反応液をろ過した。ろ過物は無機塩を除くために水500mlに懸濁させ、30分程度撹拌、ろ過した。さらにろ過物をメタノール200mlに懸濁させ撹拌、ろ過してこれを真空中で加熱乾燥させ、例示化合物(41)で示される化合物7.74g(収率81.8%)を得た。この化合物のMS測定を行い、m/z=315を確認した。
Figure 2006306070
(a−2)NMR結果
また、1H−NMR(CDCl(δ=ppm)270MHz)を測定したところ、0.96(3H、t、N−CHCHCH CH )、1.37(2H、sextet、N−CHCH CH CH)、1.59(2H、m、N−CH CH CHCH)、2.48(3H、s、5’−CH)、2.55(3H、s、4−CH)、3.96(2H、t、N−CH CHCHCH)、6.3(1H、s、4’−H)と目的の化合物と一致するピークであった。
この例示化合物(41)のクロロホルム中でのλmax=391nm、モル吸光係数は3.5×10であった。
例示化合物(41)3.78g(0.012モル)をテトラハイドロフラン100mlに撹拌溶解し、不溶物が混ざらないようにろ過した後、ろ液に酢酸ニッケル1.79g(0.0072モル)/メタノール27ml溶液を滴下した。反応液は1時間撹拌し、その後イソプロピルエーテル500mlを加えて固体を析出させ、ろ過した。ろ過物は水100ml中に懸濁させ、30分程度撹拌してろ過した。ろ過物はイソプロピルエーテルで洗浄し、真空中で加熱乾燥させ、下記構造式[6]で示される含金属ピリドンアゾ化合物2.91g(収率70.6%)を得ることができた(金属錯体化合物(58)とする)。この化合物のクロロホルム中のλmax=435.5nm、モル吸光係数は5.6×10であった。
Figure 2006306070
(b)光学記録媒体の評価
金属錯体化合物(58)(=構造式[6]で示される含金属ピリドンアゾ化合物)をオクタフルオロペンタノールに溶解し、1wt%に調整した。これをろ過して出来た溶解液を直径120mm、厚さ1.2mmの射出成形型ポリカーボネート樹脂基板上に滴下し、スピンコート法により塗布(500rpm)し、塗布後100℃で30分間乾燥した。この塗布膜の最大吸収波長(λmax)は442.5nmであった。
図2は、金属錯体化合物(58)の塗布膜の吸収スペクトルである。
この金属錯体化合物(58)を塗布したディスクの切片を、耐光性試験機(株式会社東洋精機製作所製:サンテストXLS+)を使用して、Xeランプを63℃、550mWで40時間照射した。その後、UV測定器で、Xeランプ照射前のλmaxの吸光度(I)と、Xeランプ照射後のλmaxの吸光度(I)と、をそれぞれ測定した。次に、Iに対するIの割合(I/I)(%)を求め、耐光性を評価した(数値が大きいほど耐光性が良好である)。
その結果、金属錯体化合物(58)の耐光性((I/I)(%))は、63.2%であり、波長500nm以下に最大吸収波長(λmax)を有する色素膜としては極めて良好な耐光性を示した。
また、別に金属錯体化合物(58)を塗布した基板を、85℃、相対湿度85%の条件下、恒温恒湿漕内に200時間静置した。その後、スペクトルを測定し、恒温恒湿漕内に静置する前と吸収強度(試験前のλmaxと同波長)の比較を行い、保存安定性の評価を行った。その結果、97.3%と極めて良好であった。
また、このように形成した塗布膜上に、必要に応じてスパッタリング法にてAg等を成膜して反射層を形成し、さらに紫外線硬化樹脂をスピンコート等にて塗布・UV照射により硬化させて保護層を形成し、光学記録媒体とすることができる。この光学記録媒体は、塗布膜のλmaxの値より、例えば中心波長405nmの半導体レーザ光による記録再生が可能である。即ち、金属錯体化合物(58)の含金属ピリドンアゾ化合物が、青色レーザ光の記録に対して、有効な構造の化合物であることが分かる。
尚、光学記録媒体は以下のとおり調製した。
前述の金属錯体化合物(58)をオクタフルオロペンタノールに溶解し、1.4wt%に調整した。これをろ過してできた溶解液をトラックピッチ400nm、溝幅200nm、溝深さ70nmの溝を持つ直径120mm、厚さ0.6mmの射出成型ポリカーボネート樹脂基板に滴下し、スピンコート法により塗布した。尚、塗布は、回転数600rpmから4900rpmへ25秒かけて回転数を上げ、4900rpmで5秒間保持して行った。更に100℃で30分間乾燥し、記録層とした。
次いで、スパッタリング法にて銀合金を100nmの厚さで成膜し、反射層を形成した。その後、UV硬化性樹脂からなる保護コート剤をスピンコート法により塗布し、UV光を照射して厚さ5μmの保護層を形成させた。更に、遅延硬化型接着剤を用いて、保護層のある面に、厚さ0.6mmのポリカーボネート製基板を接着して、評価用の光学記録媒体を調製した。
(c)記録例
前述した評価用の光学記録媒体を線速度6.61m/secで回転させながら、波長405nm(対物レンズの開口数NA=0.65)のレーザ光で、8Tマーク/8Tスペースの単一周波数信号を溝上に記録した。尚、Tは、周波数65MHzに対応する基準クロック周期である。記録パルスストラテジーとして、分割パルス数はマーク長をnTとして(n−1)、先頭記録パルス幅2T、後続記録パルス幅0.6T、バイアスパワー1.5mW、再生パワー0.4mW、記録パワーを可変とした。その結果、7mWで変調度51%の信号が記録できた。変調度は、パルスストラテジー等記録条件の最適化によって、より大きくなると考えられる。
(実施例2)
(a)製造例
下記シトラジン酸[7]18.61gをエタノール500ml中に懸濁させ、撹拌条件下、濃硫酸27mlを室温で滴下し、その後4時間還流させた。反応液は冷却後、水1000ml中に放出し、固体を析出させた。析出物はろ別し、水で洗浄し真空中で乾燥させ、下記化合物[8]を14.88g合成した(収率67.7%)。
Figure 2006306070
Figure 2006306070
次に、下記構造式[9]で示される3−アミノ−5−tert―ブチルイソキサゾール3.5g(0.025mol)を酢酸25ml、プロピオン酸8.3ml、濃硫酸1ml溶液中に撹拌溶解させ、0〜5℃に冷却した。ここに43%ニトロシル硫酸8.85gを10℃以下を保つように滴下してジアゾ化し、ジアゾ液を調製した。
Figure 2006306070
一方、別の容器に前記化合物[4]4.81g(1.05等量)、酢酸ナトリウム7.5g、尿素1gをメタノール100ml、水25ml中に懸濁させ、塩酸でpHを5に調整して0〜5℃に冷却した。この溶液に、予め調製したジアゾ液を5℃以下で、14%アンモニア水溶液でpH4〜5に保ちながら滴下した。滴下終了後、30分撹拌を行い、反応液をろ過した。ろ過物は無機塩を除くために水500mlに懸濁させ、30分程度撹拌、ろ過した。さらに、ろ過物をメタノール1500mlに懸濁させ撹拌、ろ過してこれを真空中で加熱乾燥させ、前述した例示化合物(42)6.69g(収率80%)を得た。例示化合物(42)のクロロホルム中のλmax=379.5nm、モル吸光係数は3.1×10であった。
Figure 2006306070
例示化合物(42)で示される化合物2.0g(0.006モル)をテトラハイドロフラン40mlに撹拌溶解し、不溶物が混ざらないようにろ過した後、ろ液に酢酸ニッケル0.9g(0.0036モル)/メタノール13ml溶液を滴下した。反応液を1時間撹拌し、その後、反応液をナスフラスコに移してエバポレーターで溶媒を留去し、乾固させた。得られた固体は未反応の酢酸ニッケルを取り除くために水60ml中に懸濁、撹拌して、ろ過した。ろ過物はイソプロピルエーテルで洗浄し、真空中で加熱乾燥させ、下記構造式[10]で示される含金属ピリドンアゾ化合物2.14g(収率98.2%)を得ることができた(金属錯体化合物(59)とする。)。この化合物のクロロホルム中のλmax=425nm、モル吸光係数は4.0×10であった。
Figure 2006306070
(b)光学記録媒体の評価
前述した金属錯体化合物(59)(=構造式[10]で示される含金属ピリドンアゾ化合物)をオクタフルオロペンタノールに溶解し、1wt%に調整した。これをろ過して出来た溶解液を直径120mm、厚さ1.2mmの射出成形型ポリカーボネート樹脂基板上に滴下し、スピンコート法により塗布し、塗布後100℃で30分間乾燥した。この塗布膜の最大吸収波長(λmax)は436.5nmであった。
図3は、金属錯体化合物(59)の吸収スペクトルである。
尚、光学記録媒体は以下のとおり調製した。
この色素を塗布したディスクの切片を、実施例1と同様にして耐光性試験機(株式会社東洋精機製作所製:サンテストXLS+)を使用して、Xeランプを63℃、550mWで40時間照射して耐光性を評価した。
その結果、含金属ピリドンアゾ化合物である金属錯体化合物(59)の耐光性は59%であり、波長500nm以下に最大吸収波長(λmax)を有する色素膜としては極めて良好な耐光性を示した。
また、別に金属錯体化合物(59)を塗布した基板を、実施例1と同様に85℃、相対湿度85%の条件下、恒温恒湿漕内に200時間静置した。その後スペクトルを測定し、保存安定性の評価を行った結果、68.9%であった。
前述の金属錯体化合物(59)をテトラフルオロペンタノールに溶解し、0.9wt%に調整した。これをろ過してできた溶解液をトラックピッチ400nm、溝幅200nm、溝深さ70nmの溝を持つ直径120mm、厚さ0.6mmの射出成型ポリカーボネート樹脂基板に滴下し、スピンコート法により塗布した。尚、塗布は、回転数600rpmから4900rpmへ25秒かけて回転数を上げ、4900rpmで5秒間保持して行った。更に100℃で30分間乾燥し、記録層とした。次いで、スパッタリング法にて銀合金を100nmの厚さで成膜し、反射層を形成した。その後、UV硬化性樹脂からなる保護コート剤をスピンコート法により塗布し、UV光を照射して厚さ5μmの保護層を形成させた。更に、遅延硬化型接着剤を用いて、保護層のある面に、厚さ0.6mmのポリカーボネート製基板を接着して、評価用の光学記録媒体を調製した。
(c)記録例
前述した評価用の光学記録媒体を線速度6.61m/secで回転させながら、波長405nm(対物レンズの開口数NA=0.65)のレーザ光で、8Tマーク/8Tスペースの単一周波数信号を溝上に記録した。尚、Tは、周波数65MHzに対応する基準クロック周期である。記録パルスストラテジーとして、分割パルス数はマーク長をnTとして(n−1)、先頭記録パルス幅2T、後続記録パルス幅0.75T、バイアスパワー2.4mW、再生パワー0.4mW、記録パワーを可変とした。その結果、8mWで変調度42%の信号が記録できた。変調度は、パルスストラテジー等記録条件の最適化によって、より大きくなると考えられる。
(実施例3〜実施例16)
以下、前記の合成法と同様の方法で、金属錯体化合物(60)〜金属錯体化合物(73)を合成し、実施例1と同様にして塗布膜を形成し塗布膜の吸収スペクトルを測定した。これらの化合物の、溶液中(クロロホルム)の最大吸収波長(λmax)、モル吸光係数、塗布膜の最大吸収波長(λmax)(但し、塗布溶媒は、オクタフルオロペンタノールを使用した。)を測定した。
(実施例17)
(a)合成例
実施例1と同様の反応条件で、アミンとして下記構造式[11]で表される2−エトキシエチルアミンを用いて、下記構造式[12]で表される化合物を得た。
Figure 2006306070
次に、下記構造式[13]で示される3−アミノ−5−メチルピラゾール2.5g(0.0258mol)を、水75ml、濃塩酸12.5g溶液中に撹拌溶解させ、0℃〜5℃に冷却した。ここに亜硝酸ナトリウム1.96g/水6ml溶液を10℃以下を保つように滴下してジアゾ化した。
Figure 2006306070
一方、別の容器に前述した構造式[12]で表される化合物5.21g(0.0235mol)と、尿素1.0gとをメタノール100mlに撹拌溶解させ、0〜5℃に冷却した。この溶液に先ほどのジアゾ液を0℃以下で滴下した。滴下終了後、30分撹拌を行い、反応液を濾過した。濾過物は無機塩を除くために水500mlに懸濁させ、30分程度撹拌、ろ過した。これを真空中で加熱乾燥させ、下記構造式[14]で示される化合物6.48g(収率83%)を得た。この化合物は、クロロホルム溶液中のλmax=423.5nm、モル吸光係数は3.7×10であった。
Figure 2006306070
続いて、前述した構造式[14]で示される化合物1g(0.003mol)をTHF40mlに溶解させ、反応容器を氷浴で冷却した。ここに水素化ナトリウム(油性、60%品)0.15g(0.0036mol)と、下記構造式[15]で表されるp−トルエンスルホン酸−n−プロピル1.3g(0.006mol)を加え、70℃に昇温して4時間半撹拌、その後さらに水素化ナトリウム0.3g、p−トルエンスルホン酸−n−プロピル2.6gを加え2時間反応させ、冷却した。反応液は水中に放出し、pHを中性に調節した後、ろ過を行った。
Figure 2006306070
得られた固体は半油状であり、これをTHFに溶解させてエバポレーターで溶媒を留去したところ固形物が得られ、これをイソプロピルエーテルで洗浄、ろ過し、固体を真空中で乾燥させ、例示化合物(55)として示したピリドンアゾ化合物0.79g(収率63%)が得られた。
この例示化合物(55)として示したピリドンアゾ化合物は、クロロホルム溶液中のλmax=437nm、モル吸光係数は4.4×10であった。
得られた例示化合物(55)として示したピリドンアゾ化合物は、実施例1と同様の方法でニッケル錯体を合成し、下記化合物[16](金属錯体化合物(74)とする)を得た。この金属錯体化合物(74)は、クロロホルム溶液中のλmax=466nm、492nm、モル吸光係数は8.5×10、8.5×10であった。
Figure 2006306070
(b)光学記録媒体の評価
金属錯体化合物(74)をオクタフルオロペンタノールに溶解し、1wt%に調整した。これを濾過して出来た溶解液を直径120mm、厚さ0.6mmの射出成形型ポリカーボネート樹脂基板上に滴下し、スピンコート法により塗布(500rpm)し、塗布後100℃で30分間乾燥した。この塗布膜の最大吸収波長(λmax)は469.5、500nmであった。
また、図4は、金属錯体化合物(74)の塗布膜の吸収スペクトルである。図4に示したように、金属錯体化合物(74)は、実施例1における金属錯体化合物(58)と比べて、より長波長側にλmaxがあるが、405nmにもある程度の吸収があり、光学記録媒体用の色素として使用できることが分かる。
(実施例18)
(a)合成例
実施例1と同様の反応条件で、アミンとして下記構造式[17]で表されるn−ヘキシルアミンを用いて、下記構造式[18]で表される化合物を得た。
Figure 2006306070
次に、下記構造式[19]で示される3−アミノ−5−トリフルオロメチル−1,2,4(H)−トリアゾール6.08g(0.04mol)を、酢酸15ml、プロピオン酸5ml、濃硫酸4ml中に溶解させ、0℃〜5℃に冷却した。ここにニトロシル硫酸14gを10℃以下を保つように滴下してジアゾ化してジアゾ液を調製した。
Figure 2006306070
一方、別の容器に前述した構造式[18]で表される化合物10.5g(0.045mol)と、尿素1.5g及び酢酸ナトリウム15gとを、メタノール100ml+水10mlに撹拌溶解させ、0℃〜5℃に冷却した。この溶液に、前述したジアゾ液を5℃以下で滴下した。滴下終了後、30分撹拌を行い、反応液を濾過した。濾過物は無機塩を除くために水600mlに懸濁させ、30分程度撹拌、ろ過した。さらにろ過物をメタノール200mlに懸濁させ撹拌、ろ過し、これを真空中で加熱乾燥させ、下記構造式[20]で示される化合物7.84g(収率49%)を得た。この化合物は、クロロホルム溶液中のλmax=391.5nm、モル吸光係数は3.0×10であった。
Figure 2006306070
前述した構造式[20]で表される化合物2g(0.005mol)と、炭酸カリウム1.4gとを、N−メチル−2−ピロリドン20mlに懸濁溶解させ、90℃に加熱した。ここに1−ブロモブタン2.1g(0.015mol)を加え、1時間加熱した。その後、反応液を冷却し、水中に放出し、析出した固体を濾別し、メタノールで懸濁させ撹拌、ろ過をして得られた固体を真空中で乾燥させ、例示化合物(56)として示したピリドンアゾ化合物1.31g(収率58%)を得た。このピリドンアゾ化合物は、クロロホルム中のλmax=480nm、モル吸光係数は2.7×10であった。
得られた例示化合物(56)として示したピリドンアゾ化合物は、実施例1と同様の方法でニッケル錯体を合成し、下記構造式[21]で表される化合物(金属錯体化合物(75)とする)を得た。この金属錯体化合物(75)は、クロロホルム溶液中のλmax=463、491.5nm、モル吸光係数は8.2×10、8.0×10であった。
Figure 2006306070
(b)光学記録媒体の評価
金属錯体化合物(75)をオクタフルオロペンタノールに溶解し、1wt%に調整した。これを濾過して出来た溶解液を直径120mm、厚さ0.6mmの射出成形型ポリカーボネート樹脂基板上に滴下し、スピンコート法により塗布(500rpm)し、塗布後100℃で30分間乾燥した。この塗布膜の最大吸収波長(λmax)は469.5、500nmであった。
図5は、金属錯体化合物(75)の塗布膜の吸収スペクトルである。図5に示したように、実施例1における金属錯体化合物(58)と比べ、長波長側にλmaxがあるが、405nmにもある程度の吸収があり、光学記録媒体用の色素として使用できることが分かる。
また、このように形成した塗布膜上に、必要に応じてスパッタリング法にてAg等を成膜して反射層を形成し、さらに紫外線硬化樹脂をスピンコート等にて塗布・UV照射により硬化させて保護層を形成し、光学記録媒体とすることができる。
この光学記録媒体は、塗布膜のλmaxの値より、例えば、中心波長405nmの半導体レーザ光による記録再生が可能である。即ち、2価の遷移金属と一般式[I]〜一般式[III]で示されるピリドンアゾ化合物とからなる含金属ピリドンアゾ化合物が、青色レーザ光の記録に対して、有効な構造の化合物であることが分かる。
(実施例19)
実施例1の合成法と同様の方法で、前述した例示化合物(57)として示したピリドンアゾ化合物を用いて金属錯体化合物(76)を合成し、実施例1と同様にして、溶液中(クロロホルム)の最大吸収波長(λmax)、モル吸光係数、塗布膜の最大吸収波長(λmax)(但し、塗布溶媒は、オクタフルオロペンタノールを使用した。)を測定した。
尚、実施例1〜実施例19において調製した金属錯体化合物の、溶液中(クロロホルム)の最大吸収波長(λmax)、モル吸光係数、塗布膜の最大吸収波長(λmax)(但し、塗布溶媒は、オクタフルオロペンタノールを使用した。)の測定結果を表1に示す。
Figure 2006306070
(比較例1)
比較のため、下記に示される化合物[13]を合成し、光学記録媒体としての評価を行った。
(a)製造例
下記構造式で示される2−アミノ−6−メチルベンゾチアゾール(株式会社東京化成製)(以下、化合物[11])を類似の方法でジアゾ化し、実施例1と同様の条件で、カップリングして合成した化合物[12]は、クロロホルム中でのλmaxは453.5nm、モル吸光係数は3.2×10であった。
さらに、化合物[12]を酢酸ニッケルで含金化した下記構造式[13]で表される含金属ピリドンアゾ化合物は、クロロホルム溶液中のλmaxは524nm、モル吸光係数は7.4×10であった。
Figure 2006306070
Figure 2006306070
Figure 2006306070
(b)光学記録媒体例
前述した構造式[13]で表される含金属ピリドンアゾ化合物をオクタフルオロペンタノールに溶解し、1wt%に調整したが、溶解性が低く半分ほどの不溶物があった。これをろ過し、得られた溶解液を直径120mm、厚さ0.6mmの射出成形型ポリカーボネート樹脂基板上に滴下し、スピンコート法により塗布(500rpm)し、塗布後100℃で30分間乾燥した。この塗布膜の最大吸収波長(λmax)は542.5nmであった。しかし、波長405nmには吸収がわずかしかなく、中心波長405nmのレーザ光に対して記録が期待できないことが分かる。
尚、図6は、構造式[13]で表される含金属ピリドンアゾ化合物の塗布膜の吸収スペクトルである。図6に示した結果から、構造式[13]で表される含金属ピリドンアゾ化合物は、含金属ピリドンアゾ化合物であっても、ジアゾ成分として、イソキサゾール、1、2、4−トリアゾールまたはピラゾールを選択しない場合は、青色レーザ光の記録に対して、不十分な色素化合物であることが分かる。
(比較例2)
比較のため、下記に示される構造式[15]で表される含金属ピリドンアゾ化合物を合成し、光学記録媒体としての評価を行った。
(a)製造例
2−アミノ−5−メチル−1、3、4−チアジアゾール(株式会社東京化成製)を類似の方法でジアゾ化し、実施例1と同様の条件で、カップリングして合成した下記化合物[14]は、クロロホルム中でのλmaxは409.5nm、モル吸光係数は3.0×10であった。
Figure 2006306070
化合物[14]を同様に酢酸ニッケルで含金化した構造式[15]で表される含金属ピリドンアゾ化合物は、クロロホルム溶液中のλmaxは494nm、モル吸光係数は7.1×10であった。
図7は、構造式[15]で表される含金属ピリドンアゾ化合物の吸収スペクトルである。図7に示した結果から、構造式[15]で表される含金属ピリドンアゾ化合物は、波長405nm付近は吸収の末端にあたり、記録特性があまり期待できないことが分かる。
Figure 2006306070
(b)光学記録媒体例
構造式[15]で表される含金属ピリドンアゾ化合物をオクタフルオロペンタノールに溶解し、1wt%に調整したが、溶解性が低くほとんど溶解しなかった。これをろ過し、得られた溶解液を直径120mm、厚さ0.6mmの射出成形型ポリカーボネート樹脂基板上に滴下し、スピンコート法により塗布(500rpm)し、塗布後100℃で30分間乾燥した。しかし、溶解性が低いため塗布膜の吸収スペクトルは得られなかった。
(比較例3)
比較のため、下記構造式[16]で表される含金属アゾ錯体化合物を合成し、光学記録媒体としての評価を行った。
(a)製造例
前述した特許文献2(特開平9−277703号公報)を参考に、m−N、N−ジエチルアニリンを原料に合成された下記構造式[16]で表される化合物は、クロロホルム溶液中でのλmaxは552.5nm、516nmの2つの吸収ピークがあり、それぞれ、モル吸光係数は、1.1×10、8.6×10であった。
図8は、構造式[16]で表される含金属アゾ錯体化合物のクロロホルム溶液中の吸収スペクトルである。
Figure 2006306070
(b)光学記録媒体例
前述した構造式[16]で表される含金属アゾ錯体化合物をオクタフルオロペンタノールに溶解し、1wt%に調整した。これをろ過して得られた溶解液を、直径120mm、厚さ0.6mmの射出成形型ポリカーボネート樹脂基板上に滴下し、スピンコート法により塗布(500rpm)し、塗布後100℃で30分間乾燥した。この塗布膜の最大吸収波長(λmax)は565.5nm、524.5nmであった。
構造式[16]で表される含金属アゾ錯体化合物の吸収スペクトルから、ジアゾ成分としてイソキサゾールを有する構造であっても、波長405nm付近の吸収がほとんどないことが分かる。
この結果、構造式[16]で表される含金属アゾ錯体化合物は、イソキサゾールをジアゾ成分に有する含金属アゾ錯体化合物であっても、カップラー成分としてピリドン骨格を持たないものは、青色レーザ光の記録に対して、不十分な色素化合物であることが分かる。
(実施例20〜実施例27)
実施例1の合成法と同様の方法で、例示化合物(57)と、以下の例示化合物(58)〜例示化合物(63)として示したピリドンアゾ化合物を用いて金属錯体化合物(77)〜金属錯体化合物(84)を合成し、実施例1と同様にして、溶液中(クロロホルム)の最大吸収波長(λmax)、モル吸光係数、塗布膜の最大吸収波長(λmax)(但し、塗布溶媒は、オクタフルオロペンタノールを使用した。)を測定した。その測定結果を表1に示す。
耐光性、すなわち色素保持率(表1のI/I(%))は、本発明の記載する短波長域での記録再生においては、従来知られているかかる短波長記録再生用の有機色素が10%未満であることを鑑みると、耐光性、即ち前記色素保持率が60%以上あれば、極めて良好であるということができる。
そのような評価基準からすれば、表1に記載する金属錯体化合物は極めて良好であるといえる。その中で、実施例23、実施例26、実施例27は従来知られている色素よりは耐光性が良好で、十分実用可能な良い耐光性を示す化合物である。しかしながらしいていえば、表1のその他の金属錯体化合物よりはやや悪い傾向が見られる。
即ち、実施例23(耐光性19.0%)は実施例1(耐光性63.2%)と比べると、前述のように、一般式[I]のRが無置換のアミノ基(―NH)があまり良くないことが示唆される。とはいえ、実施例23としても、従来のものよりは十分良好なレベルであり、置換基R〜Rとの組み合わせにより、溶解性を向上させ耐光性を改善することは可能である。
また、実施例26(耐光性14.5%)、実施例27(耐光性42.3%)は実施例25(耐光性67.5%)と比較するとわかるように、一般式[III]のR10として水素原子とする場合に、耐光性が劣化することが示唆される。さらに、実施例26と実施例27、及び、実施例25(耐光性67.5%)と実施例17(耐光性89%)とを比べると、一般式[III]のRが水素原子であり、かつ、Rがカルボン酸エステルとする組み合わせは、耐光性を劣化させる可能性があることがわかる。また、表1中の銅錯体(実施例22)は、表1の他の金属錯体化合物よりはやや悪い傾向があることがわかるが、いずれにせよ、従来知られている青色レーザーなどの短波長用有機色素に比べれば、極めて良好な化合物であるといえる。
Figure 2006306070
尚、本出願は、2005年3月29日付きで出願された日本出願(特願2005−95905号)に基づいており、その全体が引用により援用される。
本実施の形態が適用される光学記録媒体を説明する図である。図1(a)は、第1の実施の形態であり、図1(b)は、第2の実施の形態である。 金属錯体化合物(58)(実施例1)の塗布膜の吸収スペクトルである。 金属錯体化合物(59)(実施例2)の塗布膜の吸収スペクトルである。 金属錯体化合物(74)(実施例17)の塗布膜の吸収スペクトルである。 金属錯体化合物(75)(実施例18)の塗布膜の吸収スペクトルである。 構造式[13]で表される含金属ピリドンアゾ化合物(比較例1)の塗布膜の吸収スペクトルである。 構造式[15]で表される含金属ピリドンアゾ化合物(比較例2)のクロロホルム溶液中の吸収スペクトルである。 構造式[16]で表される含金属アゾ錯体化合物(比較例3)のクロロホルム溶液中の吸収スペクトルである。
符号の説明
1…基板、2…記録層、3…反射層、4…保護層、5…保護被膜、10,20…光学記録媒体

Claims (14)

  1. 基板と、
    前記基板上に直接又は他の層を介して設けられ、波長が350nm以上530nm以下のレーザ光が照射されることにより情報の記録及び/又は再生が可能な記録層と、を有し、
    前記記録層は、
    6−ヒドロキシ−2−ピリドン構造からなるカップラー成分と、イソキサゾール、トリアゾール、ピラゾールから選ばれるいずれか1種のジアゾ成分と、を有する有機色素化合物と、
    前記有機色素化合物が配位する金属イオンと、から構成される金属錯体化合物を含有することを特徴とする光学記録媒体。
  2. 前記有機色素化合物は、下記一般式[I]〜一般式[III]で示されるピリドンアゾ化合物であることを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。
    Figure 2006306070
    (一般式[I]〜一般式[III]中、R〜R10は、それぞれ独立に、水素原子または1価の官能基である。)
  3. 前記一般式[I]〜一般式[III]における前記R〜R10は、
    は、
    水素原子、直鎖または分岐のアルキル基、環状アルキル基、ヒドロキシル基、直鎖または分岐のアルコキシ基、飽和または不飽和の複素環基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アミノ基、アシルアミノ基から選ばれるいずれか1種を表わし、
    〜R、R〜Rは、
    水素原子、炭素数1〜炭素数18の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数3〜炭素数18の環状アルキル基、炭素数2〜炭素数18の直鎖又は分岐のアルケニル基、飽和または不飽和の複素環基、炭素数6〜炭素数18のアリール基、炭素数7〜炭素数20のアラルキル基、炭素数1〜炭素数18の直鎖又は分岐のアルコキシ基、炭素数1〜炭素数18の直鎖又は分岐のアルキルチオ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、ヒドロキシ基、ホルミル基、アシル基、アミノ基、アシルアミノ基、カーバメート基、カルボン酸エステル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、スルファモイル基、スルホン酸エステル基、スルホンアミド基から選ばれるいずれか1種を表わし、
    、R10は、
    水素原子、直鎖または分岐のアルキル基、環状アルキル基、アシル基から選ばれるいずれか1種を表すことを特徴とする請求項2記載の光学記録媒体。
  4. 前記金属イオンは、周期表の3族〜12族から選ばれる2価の金属のイオンであることを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。
  5. 前記金属イオンは、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、銅、マンガンから選ばれる少なくとも1種の金属のイオンであることを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。
  6. 前記光は、波長が385nm〜410nmのレーザ光であることを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。
  7. 有機色素を含有する記録層を備える光学記録媒体であって、
    前記有機色素は、
    下記一般式[I]〜一般式[III]で示されるピリドンアゾ化合物と、
    前記ピリドンアゾ化合物が配位し、周期表の3族〜12族から選ばれる2価の金属のイオンと、からなる金属錯体化合物を含有することを特徴とする光学記録媒体。
    Figure 2006306070
    (一般式[I]〜一般式[III]中、R〜R10は、それぞれ独立に、水素原子または1価の官能基である。)
  8. 前記ピリドンアゾ化合物は、分子量が1000以下であることを特徴とする請求項1または7記載の光学記録媒体。
  9. 周期表の3族〜12族から選ばれる2価の金属のイオンと、
    前記金属のイオンと配位し、下記一般式[I]で表されるピリドンアゾ化合物と、を含有することを特徴とする金属錯体化合物。
    Figure 2006306070
    (一般式[I]中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子または1価の官能基である。)
  10. 前記金属は、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、銅、マンガンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項9記載の金属錯体化合物。
  11. 2価の金属のイオン及びピリドンアゾ化合物からなる金属錯体化合物を含有する有機色素化合物であって、
    前記ピリドンアゾ化合物は、
    6−ヒドロキシ−2−ピリドン構造からなるカップラー成分と、
    イソキサゾールからなるジアゾ成分と、を有することを特徴とする有機色素化合物。
  12. 前記金属のイオンは、周期表の3族〜12族から選ばれる金属のイオンであることを特徴とする請求項11記載の有機色素化合物。
  13. 前記有機色素化合物が、下記一般式[I]で示されるピリドンアゾ化合物であることを特徴とする請求項1または7記載の光学記録媒体。
    Figure 2006306070
    (一般式[I]中、Rは無置換のアミノ基(―NH)を除く1価の官能基である。また、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子または1価の官能基である。)
  14. 前記有機色素化合物が、下記一般式[IV]で示されるピリドンアゾ化合物であることを特徴とする請求項1または7記載の光学記録媒体。
    Figure 2006306070
    (一般式[IV]中、R31は水素原子を除く1価の官能基である。また、R26〜R30は、それぞれ独立に、水素原子または1価の官能基である。)
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