JP2006305603A - 押出成形方法及び押出成形装置 - Google Patents

押出成形方法及び押出成形装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 スプラインの大径部のダレが抑制される押出成形方法及び押出成形装置を提供する。
【解決手段】 ダイス4における、スプラインの小径部を成形する側のランド7の面粗度Rz1が、スプラインの大径部を成形する側のランド9の面粗度Rz2よりも粗く形成される。したがって、押出成形時における、スプラインの小径部を成形する側のランド7と被加工材との摩擦が増大されて、当該ランド7周辺の被加工材の塑性流動が抑制される。これにより、スプラインの大径部を成形する側のランド9周辺の被加工材が、スプラインの小径部を成形する側のランド7周辺の被加工材に向けて塑性流動するのが抑制されて、スプラインの大径部にダレが発生するのが防がれる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、押出成形方法及び押出成形装置に関して、特に、金属製の被加工材にスプラインを押出成形して形成する方法、及び該押出成形方法に用いられる押出成形装置に関する。
一般に、金属製の被加工材にスプラインを形成する場合には、歯切り工具や転造工具が用いられる。しかしながら、歯切り工具や転造工具による加工では、加工時間が長く生産性を高めることが困難であることに加えて、近年のスプライン軸に要求される機械的性質を実現するのが極めて難しい。そこで、従来から、押出成形によって金属製の被加工材にスプラインを形成することが行われている。押出によるスプラインの成形では、コンテナに挿入された被加工材にステムの推力によって圧縮力が付与されて、該被加工材が塑性流動しつつコンテナの他端に設けられたダイスに向けてステム推進方向へ押出される。しかしながら、押出によるスプラインの成形においては、被加工材の塑性流動域がダイス周辺に局在すると共に、スプラインの大径部(以下、単に大径部と称する。)よりもスプラインの小径部(以下、単に小径部と称する。)の方が断面減少率が大きいため、大径部、及び大径部と小径部とに連続する歯面(以下、単に歯面と称する。)に、軸心方向へ向けての引張力が作用して、これにより、大径部から小径部へ向けての塑性流動が起きて当該スプラインにダレ(ダイスに材料が十分に充填されないことによる成形欠陥)が生じる虞がある。
そこで、特許文献1には、小径部を形成するダイスのランドの歯面に歯筋方向に対して凹部と凸部とを形成して、凸部を凹部の下部に形成すると共に当該凸部を金型中心方向へ向けて突出させたスプライン軸成形用鍛造金型が開示されている。この鍛造金型では、まず、塑性流動された被加工材がランドの上方に充填されて、この時、小径部が成形されるのに伴って大径部及び歯面に金型中心方向への力が作用することにより、スプラインにダレが発生するが、さらに、成形が進行することで、凸部によってスプラインが最終寸法に成形される。しかしながら、上記特許文献1の鍛造金型では、ダイスのランドの歯面の形状が複雑になることから金型の製作が難しく、金型が高価になると共にダイスにおける凹部と凸部との段差部分の摩耗が相対的に大きいため、金型のメンテナンスサイクル及び寿命が短縮される。
特許 第2526579号公報(第2頁左欄36行目〜第2頁右欄24行目、図2)
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、第1の目的は、スプラインの大径部のダレが抑制される押出成形方法を提供することにある。
また、第2の目的は、スプラインの大径部のダレが抑制される押出成形装置を提供することにある。
上記第1の目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、コンテナに挿入された被加工材を圧縮してダイスに押出すことにより該被加工材の外周面にスプラインを成形する押出成形方法であって、ダイスにおけるスプラインの小径部を成形する側のランド周辺での被加工材の塑性流動を調節しつつ、被加工材をダイスに押出すことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の押出成形方法において、ダイスにおけるスプラインの小径部を成形する側のランドの面粗度を、スプラインの大径部を成形する側のランドの面粗度よりも粗く形成して、スプラインの小径部を成形する側のランド周辺における被加工材の塑性流動を抑制することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の押出成形方法において、ダイスにおけるスプラインの小径部を成形する側のランドの長さを、スプラインの大径部を成形する側のランドの長さよりも長く形成して、スプラインの小径部を成形する側のランド周辺における被加工材の塑性流動を抑制することを特徴とする。
上記第2の目的を達成するために、本発明のうち請求項4に記載の発明は、上記請求項1〜3のいずれかに記載の押出成形方法に用いられる押出成形装置であって、ダイスにおけるスプラインの小径部を成形する側のランドの面粗度が、スプラインの大径部を成形する側のランドの面粗度よりも粗く形成されることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の押出成形装置において、ダイスにおけるスプラインの小径部を成形する側のランドの長さが、スプラインの大径部を成形する側のランドの長さよりも長く形成されることを特徴とする。
したがって、請求項1に記載の発明では、ダイスにおけるスプラインの小径部を成形する側のランド周辺での被加工材の塑性流動を調節することにより、スプライン(被加工材)の大径部から小径部への被加工材の塑性流動が抑制される。
請求項2及び4に記載の発明では、ダイスにおけるスプラインの小径部を成形する側のランドの面粗度を、スプラインの大径部を成形する側のランドの面粗度よりも粗く形成することにより、スプライン(被加工材)の大径部から小径部への被加工材の塑性流動が抑制される。
請求項3及び5に記載の発明では、ダイスにおけるスプラインの小径部を成形する側のランドの長さを、スプラインの大径部を成形する側のランドの長さよりも長く形成することにより、スプライン(被加工材)の大径部から小径部への被加工材の塑性流動が抑制される。
スプラインの大径部のダレが抑制される押出成形方法及び押出成形装置を提供することができる。
本発明の一実施の形態を図1〜図7に基づいて説明する。図1に示されるように、本押出成形装置は、コンテナ2に挿入された被加工材3を圧縮してダイス4に押出すことにより該被加工材3の外周面にスプライン5を成形するものであって、図2及び図3に示されるように、上記ダイス4におけるスプライン5の小径部6を成形する側のランド7の面粗度が、上記スプライン5の大径部8を成形する側のランド9の面粗度よりも粗く形成されると共に、上記ダイス4における上記スプライン5の小径部6を成形する側のランド7の長さが、スプライン5の大径部8を成形する側のランド9の長さよりも長く形成される。これにより、本押出成形装置では、押出成形時における、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7周辺での被加工材3の塑性流動が抑制されて、スプライン5の大径部8を成形する側のランド9周辺の被加工材3が、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7周辺の被加工材に向けて塑性流動するのが抑制されることにより、スプライン5の大径部8におけるダレが防がれる構造になっている。
図1に示されるように、本押出成形装置は、一端(図1における上端)から被加工材3が挿入される上記コンテナ2と、該コンテナ2の他端に設けられるダイスホルダ10によって保持される上記ダイス4と、上記被加工材3の中空部に挿入されるマンドレル11と、該マンドレル11が中空部に挿入された上記被加工材3の端面を押圧して該被加工材3に成形圧力を付与するステム12と、スプライン5成形後の被加工材3をコンテナ2から抜出すためのノックアウトピン13と、を含んで構成される押出成形金型1を具備する。そして、本押出成形装置では、中空部にマンドレル11が挿入されて外周面が上記コンテナ2に拘束された被加工材3が、ラムによって駆動される上記ステム12の推力によって上記ダイス4に押出されることにより、当該被加工材3の先端部にスプライン5(軸)が成形される構造になっている。なお、スプライン5が成形された製品は、上記ノックアウトピン13を上昇(図1における上方向へ移動)させることにより、コンテナ2及びダイス4から抜出される。
図5及び図6に示されるように、上記ダイス4は、中空円筒状に形成されており、その中空部には、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7と、スプライン5の大径部8を成形する側のランド9とが、歯面を介して周方向へ交互に設けられる。また、上記ダイス4は、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7の面粗度Rz1(本実施の形態では、Rz1=1.6Z。)が、スプライン5の大径部8を成形する側のランド9の面粗度Rz2(本実施の形態では、Rz2=0.4Z。)よりも粗く形成される。これにより、本押出成形装置では、押出成形時における、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7と被加工材3との摩擦が増大されて、当該ランド7周辺の被加工材3の塑性流動が抑制される構造になっている。なお、上記ダイス4の歯面の面粗度は、上記スプライン5の大径部8を成形する側のランド9と同一の面粗度(本実施の形態では、0.4Z。)で形成される。
さらに、上記ダイス4は、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7の長さL1が、スプライン5の大径部8を成形する側のランド9の長さL2よりも長く形成される(L1>L2)。これにより、本押出成形装置では、押出成形の過程において、スプライン5先端部に成形された大径部8がスプライン5の大径部8を成形する側のランド9の拘束から解放された後も、スプライン5先端部に成形された小径部6がスプライン5の小径部6を成形する側のランド7によって拘束された状態が維持されて、当該ランド7周辺の被加工材3の塑性流動が抑制される構造になっている。
次に、本押出成形装置の作用を説明する。本押出成形装置では、前工程を以て中空軸状に形成された被加工材3の中空部にマンドレル11が挿入されると共に該被加工材3の外周面がコンテナ2によって拘束され状態で、当該被加工材3がステム12の推力によってダイス4に押出される。この押出成形時において、図7に示されるように、スプライン5の小径部6の断面減少率が大径部8の断面減少率よりも大きいため、従来、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7周辺の被加工材3の伸びに引張られることにより、スプライン5の大径部8を成形する側のランド9周辺の被加工材3がスプライン5の小径部6を成形する側のランド7周辺の被加工材3に向けて塑性流動される。他方、本押出成形装置では、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7の面粗度Rz1をスプライン5の大径部8を成形する側のランド9の面粗度Rz2よりも粗く形成した(Rz1>Rz2)ことにより、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7と被加工材3との摩擦力が増大されて、当該ランド7周辺の被加工材3の塑性流動が抑制される。
これにより、本押出成形装置では、スプライン5の大径部8を成形する側のランド9周辺の被加工材3が、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7周辺の被加工材3に向けて塑性流動するのが抑制されて、スプライン5の大径部8にダレが発生するのが防がれる。また、本押出成形装置では、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7の長さL1が、スプライン5の大径部8を成形する側のランド9の長さL2よりも長く形成されるため(L1>L2)、押出成形の過程において、スプライン5先端部に成形された大径部8がスプライン5の大径部8を成形する側のランド9の拘束から解放された後も、スプライン5先端部に成形された小径部6がスプライン5の小径部6を成形する側のランド7によって拘束される。これにより、本押出成形装置では、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7周辺の被加工材3の塑性流動が抑制されて、スプライン5の大径部8を成形する側のランド9周辺の被加工材3が、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7周辺の被加工材3に向けて塑性流動するのが抑制されることにより、スプライン5の大径部8にダレが発生するのが防がれる。
この実施の形態では以下の効果を奏する。
本押出成形装置では、ダイス4における、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7の面粗度Rz1が、スプライン5の大径部8を成形する側のランド9の面粗度Rz2よりも粗く形成されるため、押出成形時における、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7と被加工材3との摩擦が増大されて、当該ランド7周辺の被加工材3の塑性流動が抑制される。これにより、本押出成形装置では、スプライン5の大径部8を成形する側のランド9周辺の被加工材3が、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7周辺の被加工材3に向けて塑性流動するのが抑制されて、スプライン5の大径部8にダレが発生するのが防がれる。
本押出成形装置では、ダイス4における、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7の長さL1が、スプライン5の大径部8を成形する側のランド9の長さL2よりも長く形成される。これにより、本押出成形装置では、押出成形時における、スプライン5先端部に成形された大径部8がスプライン5の大径部8を成形する側のランド9の拘束から解放された後も、スプライン5先端部に成形された小径部6がスプライン5の小径部6を成形する側のランド7によって拘束されるため、スプライン5の大径部8を成形する側のランド9周辺の被加工材3が、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7周辺の被加工材3に向けて塑性流動するのが抑制されて、スプライン5の大径部8にダレが発生するのが防がれる。
なお、実施の形態は上記に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
本押出成形装置では、ダイス4における、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7の面粗度Rz1が、スプライン5の大径部8を成形する側のランド9の面粗度Rz2よりも粗く形成されると共に、ダイス4における、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7の長さL1が、スプライン5の大径部8を成形する側のランド9の長さL2よりも長く形成されることにより、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7周辺の被加工材3の塑性流動が抑制されて、スプライン5の大径部8にダレが発生するのが防がれるが、必要に応じて、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7の面粗度Rz1と、スプライン5の大径部8を成形する側のランド9の面粗度Rz2と、を同一の面粗度に形成すると共に、ダイス4における、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7の長さL1を、スプライン5の大径部8を成形する側のランド9の長さL2よりも長く形成して押出成形装置を構成してもよいし、或いは、ダイス4における、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7の長さL1と、スプライン5の大径部8を成形する側のランド9の長さL2と、を同一の長さに形成すると共に、ダイス4における、スプライン5の小径部6を成形する側のランド7の面粗度Rz1を、スプライン5の大径部8を成形する側のランド9の面粗度Rz2よりも粗く形成して押出成形装置を構成してもよい。
本実施の形態の説明図であって、中心線の左側はステムが下降端位置に位置する状態を示す図で、また、中心線の右側はノックアウトピンが上昇端位置に位置する状態を示す図である。 本実施の形態の説明図であって、被加工材がダイスに押出される直前の状態を示す一部を断面で表した図である。 本実施の形態の説明図であって、ダイスのランドを示す斜視図である。 本実施の形態の説明図であって、被加工材の先端に成形されたスプラインを示す斜視図である。 本実施の形態の説明図であって、ダイスを示す平面図である。 図5におけるA−A断面を示す図である。 本実施の形態の説明図であって、成形押出時の状態を示す図である。
符号の説明
1 押出成形金型、2 コンテナ、3 被加工材3 ダイス、5 スプライン、6 小径部、7 ランド(スプラインの小径部を成形する側のランド)、8 大径部、9 ランド(スプラインの大径部を成形する側のランド)

Claims (5)

  1. コンテナに挿入された被加工材を圧縮してダイスに押出すことにより該被加工材の外周面にスプラインを成形する押出成形方法であって、
    前記ダイスにおける前記スプラインの前記小径部を成形する側のランド周辺での前記被加工材の塑性流動を調節しつつ、前記被加工材を前記ダイスに押出すことを特徴とする押出成形方法。
  2. 前記ダイスにおける前記スプラインの前記小径部を成形する側のランドの面粗度を、前記スプラインの前記大径部を成形する側のランドの面粗度よりも粗く形成して、前記スプラインの前記小径部を成形する側のランド周辺における前記被加工材の塑性流動を抑制することを特徴とする請求項1に記載の押出成形用方法。
  3. 前記ダイスにおける前記スプラインの前記小径部を成形する側のランドの長さを、前記スプラインの前記大径部を成形する側のランドの長さよりも長く形成して、前記スプラインの前記小径部を成形する側のランド周辺における前記被加工材の塑性流動を抑制することを特徴とする請求項1又は2に記載の押出成形方法。
  4. 上記請求項1〜3のいずれかに記載の押出成形方法に用いられる押出成形装置であって、
    前記ダイスにおける前記スプラインの前記小径部を成形する側のランドの面粗度が、前記スプラインの前記大径部を成形する側のランドの面粗度よりも粗く形成されることを特徴とする押出成形装置。
  5. ダイスにおけるスプラインの小径部を成形する側のランドの長さが、前記スプラインの大径部を成形する側のランドの長さよりも長く形成されることを特徴とする請求項4に記載の押出成形装置。
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