視野角を狭小化させた従来の表示装置では、ユーザ自身も斜め方向から画面表示を見ることができなくなり、表示画面に重要な情報が表示されていることに気付くのが遅れてしまうという問題があった。例えば、携帯電話機では、不在着信や未読メールに関する情報をユーザに迅速に知らせるため、不在着信情報やメール未読情報が画面表示されるものが多い。ところが、表示装置の視野角を狭小化させた状態で、机上に携帯電話機が置かれているような場合、ユーザ自身も画面表示をみることができず、不在着信情報やメール未読情報が表示されていることに気付くのが遅れてしまうという問題があった。
また、携帯電話機では、通常、着信時やメール受信時に、ユーザの注意を喚起するために鳴動音又は振動による呼出動作が行われる。このとき、当該呼出動作によって周囲の第三者の注意も引き付けられ、第三者が、携帯電話機の表示画面を無意識的に覗き込んでしまう場合がある。表示装置の視野角を予め狭小化させておければ、このような場合であっても覗き見を防止することができる。しかしながら、着信やメール受信がいつ発生するのかをユーザは予測することができないことから、常時、表示画面を狭視野角にしておかなければならないという問題があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、斜め方向からの画面表示の覗き見を抑制しつつ、画面表示に関連する所定の情報を斜め方向から認識可能に表示する携帯情報端末装置を提供することを目的とする。特に、ユーザのみが認識可能となるように、上記所定の表示情報を表示する携帯情報端末装置を提供することを目的とする。
また、通話機能や電子メール通信機能を有する携帯情報端末装置において、斜め方向からの画面表示の覗き見を抑制しつつ、不在着信や未読メールに関する情報を斜め方向から認識可能に表示する携帯情報端末装置を提供することを目的とする。
さらに、通話機能を有する携帯情報端末装置において、着信時に表示装置の視野角を狭小化させ、着信呼出中やその後の画面表示について斜め方向からの覗き見を防止する携帯情報端末装置を提供することを目的とする。
また、電子メール通信機能を有する携帯情報端末装置において、メール受信時に表示装置の視野角を狭小化させ、メール受信中やその後の画面表示について斜め方向からの覗き見を防止する携帯情報端末装置を提供することを目的とする。
第1の本発明による携帯情報端末装置は、表示装置における表示情報を指定する表示制御装置と、上記表示装置の視野角を制御する視野切替装置とを備え、上記視野切替装置が、上記表示エリアを広視野角で閲覧させる広視野モード及び上記表示エリアを狭視野角で閲覧させる狭視野モードを切り替えるモード切替手段と、上記表示装置の表示エリア内の一部であって、その視野角を独立して制御可能なパターン領域とを有し、広視野モード時に表示エリア内の視野角を一致させ、狭視野モード時には、上記表示情報に基づいて、上記パターン領域及びその他の領域の視野角を一致させ、あるいは、異ならせるように構成される。
この様な構成により、狭視野モード時に、表示エリアの視野角を狭小化させて斜め方向からの覗き見を抑制するとともに、表示エリア内の視野角差に起因して斜め方向から視認可能なパターンを表示させることができる。従って、狭視野モード時にその視野角外から表示装置を見ているユーザに対し、視野角差によるパターンを視認させ、パターン表示の有無によって、所定の表示情報を知らせることができる。
第2の本発明による携帯情報端末装置は、表示装置における表示情報を指定する表示制御装置と、上記表示装置の視野角を制御する視野切替装置とを備え、上記視野切替装置が、上記表示エリアを広視野角で閲覧させる広視野モード及び上記表示エリアを狭視野角で閲覧させる狭視野モードを切り替えるモード切替手段と、上記表示装置の表示エリア内の一部であって、その視野角を独立して制御可能な2以上のパターン領域と、上記表示情報に基づいて、上記パターン領域を選択するパターン選択手段とを備え、広視野モード時に表示エリア内の視野角を一致させ、狭視野モード時には、上記パターン選択手段によって選択されたパターン領域及びその他の領域の視野角を異ならせるように構成される。
この様な構成により、狭視野モード時に、表示エリア内の視野角差に起因して斜め方向から視認可能なパターンを表示情報に基づいて選択することができる。このため、狭視野モード時にその視野角外から表示装置を見ているユーザに対し、2以上のパターンから選択されたいずれかのパターンを視認させ、パターンの種類によって、所定の表示情報を知らせることができる。
例えば、斜め方向から視認可能なパターンを利用して、重要性や緊急性の高い表示情報を示すことができる。その際、具体的な情報ではなく、当該情報が画面表示されていることだけを上記パターンによって示し、視野角内の方向からの画面表示の確認をユーザに促すようにしてもよい。なお、上記パターン表示は、文字などのように、第三者がその意味を理解することができる有意な表示であってもよいが、幾何学模様などのように、ユーザのみが理解できる有意でない形状であってもよい。
第3の本発明による携帯情報端末装置は、上記構成に加えて、着信信号を受信する無線通信手段を備え、上記表示制御装置が、上記表示装置における不在着信情報の表示制御を行い、上記パターン選択手段が、上記不在着信情報に基づいて上記パターン領域を選択するように構成される。
この様な構成により、狭視野モード時に表示装置を斜め方向から見ているユーザに対し、不在着信に関する情報を示すことができる。例えば、不在着信情報が画面表示されていることを上記パターンを利用して示し、当該不在着信情報の確認をユーザに促すことができる。なお、不在着信情報とは、着信信号の受信時における呼出動作に対し、ユーザがオフフックキー操作などの応答操作を行わなかった着信に関する情報である。
第3の本発明による携帯情報端末装置は、上記構成に加えて、上記モード切替手段が、着信信号の受信時に上記表示エリアを広視野モードから狭視野モードに切り替えるように構成される。
この様な構成により、広視野モード時に着信があった場合に、狭視野モードに自動的に移行させることができる。このため、机上に放置されている携帯情報端末装置に着信があったような場合に、着信呼出中に画面表示される発信元情報や、その後に画面表示される不在着信情報を斜め方向から覗き見られるのを抑制することができる。特に、呼出動作によって注意を引き付けられた第三者が、無意識的に上記画面表示を覗き見るのを抑制することができる。
第4の本発明による携帯情報端末装置は、上記構成に加えて、電子メールを受信する無線通信手段を備え、上記表示制御装置が、上記表示装置における電子メール未読情報の表示制御を行い、上記パターン選択手段が、上記電子メール未読情報に基づいて、上記パターン領域を選択するように構成される。
この様な構成により、狭視野モード時に表示装置を斜め方向から見ているユーザに対し、未読メールに関する情報を示すことができる。例えば、電子メール未読情報が画面表示されていることを上記パターンを利用して示し、当該電子メール未読情報の確認をユーザに促すことができる。なお、未読メールとは、受信後にユーザが閲覧していない電子メールであり、電子メール未読情報とは、未読メールに関する情報である。
第5の本発明による携帯情報端末装置は、上記構成に加えて、上記モード切替手段が、電子メールの受信時に上記表示エリアを広視野モードから狭視野モードに切り替えるように構成される。
この様な構成により、広視野モード時に電子メールを受信した場合に、狭視野モードに自動的に移行させることができる。このため、机上に放置されている携帯情報端末装置が電子メールを受信したような場合に、メール受信中に画面表示される送信元情報や、メール受信後に画面表示される電子メール未読情報を斜め方向から覗き見られるのを抑制することができる。特に、呼出動作によって注意を引き付けられた第三者が、無意識的に上記画面表示を覗き見るのを抑制することができる。
第1及び第2の本発明による携帯情報端末装置は、表示エリアを狭視野角で閲覧させる狭視野モード時に、表示装置の表示情報に基づいて、表示エリア内のパターン領域及びその他の視野角を異ならせている。このため、斜め方向からの画面表示の覗き見を抑制しつつ、画面表示に関連する所定の情報を斜め方向から認識可能にすることができる。つまり、斜め方向から視認されるパターンの有無又は種類によって、所定の表示情報については斜め方向からも認識可能にすることができる。このパターンは、ユーザのみが認識可能なものであってもい。
第3の本発明による携帯情報端末装置は、表示装置に表示される不在着信情報に基づいて、表示エリア内のパターン領域を選択している。このため、斜め方向からの画面表示の覗き見を抑制しつつ、不在着信に関する情報を斜め方向から認識可能に表示することができる。
第4の本発明による携帯情報端末装置は、表示装置に表示される電子メール未読情報に基づいて、表示エリア内のパターン領域を選択している。このため、斜め方向からの画面表示の覗き見を抑制しつつ、未読メールに関する情報を斜め方向から認識可能に表示することができる。
第5の本発明による携帯情報端末装置は、着信信号の受信時に、表示エリアを広視野モードから狭視野モードに切り替え、表示装置の視野角を狭小化させている。このため、着信呼出中やその後の画面表示について斜め方向からの覗き見を抑制することができる。
第6の本発明による携帯情報端末装置は、電子メールの受信時に、表示エリアを広視野モードから狭視野モードに切り替え、表示装置の視野角を狭小化させている。このため、メール受信中やその後の画面表示について斜め方向からの覗き見を抑制することができる。
図1は、本発明の実施の形態による携帯情報端末装置の一例を示した外観図であり、携帯情報端末装置の一例として携帯電話機1が示されている。この携帯電話機1は、いわゆる折り畳み式の携帯電話機であり、表示筐体100及び操作筐体200がヒンジ部300を介して連結され、表示筐体100及び操作筐体200の一面を対向させて折り畳むことができる。
表示筐体100は、折り畳み時に内側となる筐体面にメイン表示部101及び受話用レシーバ103が配置され、外側となる筐体面にサブ表示部102及びカメラ104が配置されている。また、操作筐体200は、折り畳み時に内側となる筐体面に多数の操作キー201及び送話用マイクロフォン203が配置されている。このような折り畳み式携帯電話機1は、コンパクトに折り畳んだ状態で携帯することができ、筐体を展開させれば、メイン表示部101を見ながら、操作キー201を押下操作することができる。
メイン表示部101は、一般に縦長の矩形形状からなる表示エリアを有し、この表示エリア内に個人情報を含む様々な情報が表示される。このような表示が第三者によって覗き見られるのを防止するため、メイン表示部101は、左右方向の視野角を可変制御することができる。ここでは、表示エリアを広視野角で閲覧させる広視野モードと、狭視野角で閲覧させる狭視野モードとを切り替えることができるものとする。
携帯電話機のメイン表示部101は、テレビ受像装置や据置型の情報端末装置に比べて表示エリアの面積が小さく、また、手に持って使用するためにユーザの目と表示エリアとの位置関係が概ね一定であることから、視野角制御に適している。また、携帯電話機は、メイン表示部101をある程度立てた状態で使用されることから、左右方向の視野角を狭小化させれば、覗き見を効果的に防止することができる。
操作キー201には、ユーザがメイン表示部101の視野角の切り替えを指示するためのプライバシースイッチ202が含まれる。メイン表示部101が、斜め方向からも良好に視認できる広視野モードである場合に、ユーザがプライバシースイッチ202を操作すれば、メイン表示部101は、斜め方向からは容易に視認できない狭視野モードとなる。その後、ユーザがプライバシースイッチ202を再び操作すれば、メイン表示部101は広視野モードに戻る。
なお、本実施の形態では、メイン表示部101について視野角制御を行う場合の例について説明するが、サブ表示部102についても、同様の視野角制御を適用することができる。また、本実施の形態では、左右方向の視野角を制御する場合の例について説明するが、同様にして、上下方向の視野角を制御することもできる。
図2は、狭視野モードのメイン表示部101の見え方の一例を示した説明図である。図中の(a)には、狭視野モードにおける視野角内の視点からメイン表示部101を見た場合のイメージが示されている。また、図中の(b)には、広視野モードでは視野角内となるが、狭視野モードでは視野角外となる視点から斜めに見た場合のイメージが示されている。
広視野モードの場合、広視野モードにおける視野角内の視点からメイン表示部101を見れば、当然のことではあるが、画面表示を良好に視認することができる。同様にして、狭視野モードの場合にも、狭視野モードにおける視野角内の視点からメイン表示部101を見れば、図中の(a)に示した通り、画面表示を良好に視認することができる。なお、狭視野モードでは、広視野モードの場合に比べて多少の色品質等の低下を伴うが、概ね良好に視認することができる。
一方、狭視野モードにおける視野角外となる視点から、狭視野モードのメイン表示部101を見た場合、図中の(b)に示した通り、コントラストが低下して画面表示が見え難くなっている。狭視野モードでは、画面表示が完全に見えない状態であることが理想的であるが、少なくとも画面表示を注視しなければ表示情報を認識できない状態となっていればよい。例えば、メイン表示部101を何気なく見てしまったような第三者の覗き見に対しては、コントラストを低下させるだけでも十分な抑制効果が得られる。
図3は、狭視野モードのメイン表示部101の見え方の他の例を示した説明図であり、不在着信情報を含む待ち受け画面が表示されている場合が示されている。図中の(a)には、視野角内の視点からメイン表示部101を見た場合のイメージが示されている。また、図中の(b)には、広視野モードでは視野角内となるが、狭視野モードでは視野角外となる視点から斜めに見た場合のイメージが示されている。
図中の(a)に示した通り、視野角内の視点から見た場合には、不在着信情報が表示されている画面表示を良好に視認することができる。ここでは、不在着信情報として「不在着信あり」の文字列が表示されているが、このような文字表示に代えて、予め定められた不在着信アイコンを表示してもよい。
一方、視野角外の視点から見た場合、図中の(b)に示した通り、本来の画面表示は低コントラストでしか見えず、これに重畳させた複数の縦ストライプからなるパターンが高コントラストで見える。従って、視野角外からメイン表示部101を見ているユーザは、画面表示が見えなくても、縦ストライプのパターンによって不在着信情報が画面表示されていることを知ることができる。
この縦ストライプパターンは、メイン表示部101の表示エリア内において部分的に視野角を異ならせることによって実現される。狭視野モードのメイン表示部101は、不在着信情報を表示している場合、縦ストライプからなるパターン領域については広視野角の状態を維持したまま、その他のバックグランド領域のみを狭視野角化している。このため、斜め方向から見た場合、当該パターン領域は明るいままで、バックグランド領域のみが暗くなり、低コントラストの表示エリア内に、高コントラストのパターンが浮かび上がって見える。
なお、このパターン領域内だけに注目すれば、表示エリア全体を狭視野化する場合に比べて画面表示が見え易くなっているが、パターン領域の形状を工夫することによって、覗き見の抑制効果に顕著な影響は及ぼさないようにすることができる。例えば、縦ストライプの幅を細くし、画面表示中の文字フォントが完全に包含されないようにすればよい。特に、パターン幅は、最小サイズの文字フォントの幅よりも細くなっていることが望ましい。
図4は、狭視野モードのメイン表示部101の見え方の他の例を示した説明図であり、電子メール未読情報を含む待ち受け画面が表示されている場合が示されている。図中の(a)には、視野角内の視点からメイン表示部101を見た場合のイメージが示されている。また、図中の(b)には、広視野モードでは視野角内となるが、狭視野モードでは視野角外となる視点から斜めに見た場合のイメージが示されている。
図中の(a)に示した通り、視野角内の視点から見た場合には、電子メール未読情報が表示されている画面表示を良好に視認することができる。ここでは、電子メール未読情報として「未読メールあり」の文字列が表示されているが、このような文字表示に代えて、予め定められたメール未読アイコンを表示してもよい。
一方、視野角外の視点から見た場合、図中の(b)に示した通り、本来の画面表示は低コントラストでしか見えず、これに重畳させた複数の横ストライプからなるパターンが高コントラストで見える。従って、視野角外からメイン表示部101を見ているユーザは、画面表示が見えなくても、横ストライプのパターンによって電子メール未読情報が画面表示されていることを知ることができる。なお、この横ストライプパターンも、上記縦ストライプパターンと同様、メイン表示部101の表示エリア内において部分的に視野角を異ならせることによって実現される。
図5は、狭視野モードのメイン表示部101の見え方の他の例を示した説明図であり、不在着信情報及び電子メール未読情報を含む待ち受け画面が表示されている場合が示されている。図中の(a)には、視野角内の視点からメイン表示部101を見た場合のイメージが示されている。また、図中の(b)には、広視野モードでは視野角内となるが、狭視野モードでは視野角外となる視点から斜めに見た場合のイメージが示されている。
図中の(a)に示した通り、視野角内の視点から見た場合には、不在着信情報及び電子メール未読情報が表示されている画面表示を良好に視認することができる。一方、視野角外の視点から見た場合、図中の(b)に示した通り、本来の画面表示は低コントラストでしか見えず、これに重畳させた市松模様のパターンが高コントラストで見える。従って、視野角外からメイン表示部101を見ているユーザは、画面表示が見えなくても、市松模様パターンによって不在着信情報及び電子メール未読情報が画面表示されていることを知ることができる。なお、この市松模様パターンは、上記縦ストライプパターン及び横ストライプパターンを組み合わせることによって実現される。
この様にして、狭視野モードのメイン表示画面101を斜め方向から見ているユーザに対し、不在着信情報や電子メール未読情報を知らせることができる。つまり、狭視野モードの場合、ユーザ自身も斜め方向から画面表示を見ることができないが、画面表示に重畳されているパターンによって、不在着信情報及び電子メール未読情報がそれぞれ画面表示されていることを知らせることができる。
表示エリア内の視野角差によって表示されるパターンは、図3〜図5に示したような幾何学模様に代えて、不在着信情報や電子メール未読情報であることを意味する文字やアイコンの形状にすることもできる。つまり、有意な形状のパターンにすることもできる。ただし、不在着信情報や電子メール未読情報に予め対応づけられた有意でない形状にすることによって、ユーザのみが認識できるようにすることが望ましい。
図6は、メイン表示部101の一構成例を示した断面図であり、図1のA−A断面が示されている。このメイン表示部101は、視野切替パネル2及び液晶表示装置5によって構成される。液晶表示装置5の表示画面上には、視野切替パネル2の表示透過面が配置されており、この表示透過面の視野角を切り替えることによって、メイン表示部101の視野角が切り替えられる。
液晶表示装置5は、表示用液晶パネル3及びバックライト4からなる周知の表示装置である。表示用液晶パネル3は、2枚の絶縁性透明基板(例えばガラス基板)32a,32b間に液晶34が封入されている。また、各基板32a,32bの外面には偏光板31a,31bがそれぞれ配置され、内面には透明電極(例えばITO電極)33a,33bがそれぞれ形成されている。例えば、一般的なTFT方式の液晶表示装置であれば、前面側の電極33aとして共通電極が形成され、背面側の電極33bとして多数の画素電極が形成されている。
バックライト4は、透過型の表示用液晶パネル3に対し、背面側から光を供給する光源である。表示用液晶パネル3は、各画素電極の電位を制御して、バックライト4からの入射光を透過させるか否かを画素ごとに制御して、文字や画像を表示している。つまり、上記画素電極の配置されている基板32b上の領域が表示エリアに相当し、当該表示エリア内の位置に応じて光の透過率を異ならせることにより、文字や図形等からなる情報が表示される。
一方、視野切替パネル2は、光の進行方向に応じて透過率を異ならせることによって、視野角の可変制御を実現している。なお、液晶表示装置5からの光を透過させる領域、つまり、液晶表示装置5の表示エリアに対応した視野切替パネル2上の領域を表示透過面と呼ぶことにする。
この視野切替パネル2は、2枚の絶縁性透明基板(例えばガラス基板)22a,22b間に液晶24が封入され、前面側の基板22aの外面には偏光板21が配置され、各基板22a,22bの内面には透明電極(例えばITO電極)23a,23bがそれぞれ形成されている。つまり、表示用液晶パネル3の偏光板31aを加えれば、表示用液晶パネル3と同様の構成となる。
偏光板21,31aは、互いに透過軸が一致するように配置されており、表示用液晶パネル3からの入射光は、液晶24において偏光面が変動しなければ、視野切替パネル2を透過することができる。液晶24では、透過光の光軸が正面方向となす角度に応じて、当該透過光の偏光面が回転するため、所定の視野角よりも外側に向けて液晶24中を斜めに進む入射光は、偏光板21において遮断される。
図7及び図8は、視野角制御の原理について説明するための図であり、図7は、広視野モードにおける様子を示した模式図であり、図中の(a)は斜視図、(b)はC矢示図である。また、図8は、狭視野モードにおける様子を示した模式図であり、図中の(a)は斜視図、(b)はD矢示図である。
メイン表示部101は、偏光板21,31aの透過軸a1,a2をともに表示画面の上下方向と一致させ、これらの偏光板21,31a間に配置された液晶分子24e(液晶24の分子)の配向方向を制御することによって、表示画面の左右方向に関する視野角を変化させている。
広視野モードでは、透過軸a1,a2と平行になるように液晶分子24eが配向されている(図7参照)。このとき、視野切替パネル2を正面の視点e1から見た場合であっても、この視点e1に対して左右方向に角度αを有する視点e2から見た場合であっても、液晶分子24eの方向は、透過軸a1,a2に一致して見える。従って、光の進行方向にかかわらず、表示用液晶パネル3からの入射光は、液晶24において複屈折されず、偏光板21を透過することができる。メイン表示部101の視野角は、この場合に最も広くなり、表示用液晶パネル3の視野角と一致する。
一方、狭視野モードでは、電極23a,23b間に電界を形成して、液晶分子24eを図7の状態から回転させ、透過軸a1,a2に対して角度θをなすように配向させている(図8参照)。ただし、液晶分子24eは、上記回転によって前後方向に傾けられるのみであり、表示画面上への投影像は、依然として透過軸a1,a2と平行になるように保たれている。つまり、表示画面に垂直で透過軸a1,a2に平行な面内において、液晶分子24eを回転させている。
このような狭視野モードの視野切替パネル2を正面の視点e1から見れば、広視野モードの場合と同様、液晶分子24eの方向は透過軸a1,a2の方向と一致しているが、視点e1に対して左右方向に角度αを有する視点e2から見れば、液晶分子24eの方向が透過軸a1,a2と角度βをなしている。このため、視点e2へ向かう光は、液晶24において角度βに応じて偏光面が回転し、偏光板21において減衰され、あるいは、遮断される。この角度βは、角度θ及び角度αに応じて変化するため、角度θに応じた視野角が得られる。
従って、視野切替パネル2の視野角は、液晶分子24eが透過軸a1,a2となす角度θに応じて、リニアに変化させることができる。ただし、本実施の形態では、電極23a,23bを同一電位とする広視野モードと、電極23a,23bを異なる電位とする狭視野モードとを切り替え制御するものとする。
図9は、図6の視野切替パネル2の電極23a,23bの一構成例を示した図である。電極23a,23bは、それぞれパターン領域と、これらのパターン領域を除くバックグランド領域とに分割され、それぞれの領域が独立した電極片として構成されている。これらの電極片は、隣接する電極片との間に僅かな隙間(例えば最小12μm)が設けられ、互いに絶縁されている。
前面側の電極23aには、多数の縦ストライプからなるパターン領域が形成されている。このパターン及びその他のバックグランドは、それぞれが独立した電極片として形成され、異なる電位に制御することができる。ここでは、バックグランドが電極端子Ta0に、縦ストライプパターンが電極端子Ta1にそれぞれ接続されている。
また、背面側の電極23bには、多数の横ストライプからなるパターン領域が形成されている。このパターン及びその他のバックグランドは、それぞれが独立した電極片として形成され、異なる電位に制御することができる。ここでは、バックグランドが電極端子Tb0に、横ストライプパターンが電極端子Tb1にそれぞれ接続されている。
このような電極端子Ta0、Ta1,Tb0,Tb1に対し、2種類の電圧レベル(例えば0V及び3V)のいずれかを印加すれば、対向する電極片の電位が異なる領域については狭視野角となり、電位が同一となる領域については広視野角となる。従って、各電極端子に印加する電圧レベルの組み合わせに応じて、表示エリア内の視野角を部分的に異ならせることができる。
例えば、全ての電極端子Ta0,Ta1,Tb0,Tb1に低レベル(0V)を印加した場合、表示透過面の全体が広視野角となる。また、前面側の電極端子Ta0,Ta1に高レベル(3V)、背面側の電極端子Tb0,Tb1に低レベル(0V)を印加した場合、表示透過面の全体が狭視野角となり、表示透過面は、図2の(b)に示した状態となる。
電極端子Ta0に高レベル(3V)、その他の電極端子Ta1,Tb0,Tb1に低レベル(0V)を印加した場合、電極端子Ta1に接続された縦ストライプパターンの領域には電界が形成されずに広視野角となり、その他の領域には電界が形成されて狭視野角となる。従って、表示透過面は、図3の(b)に示した状態となる。
また、電極端子Tb0に高レベル、電極端子Ta0,Ta1,Tb0に低レベルを印加した場合には、電極端子Tb1に接続された横ストライプパターンの領域が広視野角となり、その他の領域は狭視野角となる。つまり、表示透過面は、図4の(b)に示した状態となる。
また、電極端子Ta0,Tb1に高レベル、電極端子Ta1,Tb0に低レベルを印加した場合には、縦ストライプ及び横ストライプを組み合わせた市松模様のパターン領域が広視野角となり、その他の領域は狭視野角となり、表示透過面は、図5の(b)に示した状態となる。なお、縦ストライプ及び横ストライプが重複している領域については、電界が形成され、狭視野角となっている。
図10は、図1に示した携帯電話機1の内部構成の一例を示したブロック図である。主制御部400は、携帯電話機1の主要な動作を制御するプロセッサである。ここでは、受話用レシーバ103、カメラ104、操作キー201、送話用マイクロフォン203、無線通信部401、視野角コントローラ402及びLCDコントローラ403の制御を行っている。
無線通信部401は、図示しない基地局との間で電波の送受信を行って、通話信号や電子メールの送受信を行っている。無線通信部401が基地局から着信信号や電子メールを受信した場合、当該信号が主制御部400へ出力される。主制御部400は、この信号に基づいて鳴動音や振動による呼出動作を行って、着信やメール受信があったことをユーザに知らせる。
LCDコントローラ403は、メイン表示部101及びサブ表示装置102に駆動信号を供給している。視野角コントローラ402は、視野切替パネル2に駆動信号を供給しており、視野切替パネル2とともに視野切替装置を構成している。
フラグ記憶部404は、不在着信フラグ及び電子メール未読フラグを保持している。不在着信フラグは、着信呼出中にユーザがオフフック操作などの応答操作を行わなかった場合にセットされ、その後のユーザによる解除操作によってクリアされる。また、電子メール未読フラグは、電子メールの受信時にセットされ、その後のユーザによるメール閲覧操作によってクリアされる。
主制御部400は、LCDコントローラ403へ表示情報を出力し、メイン表示部101及びサブ表示部102の画面表示を制御している。フラグ記憶部404の不在着信フラグがオン状態の場合、不在着信情報を含む表示情報がLCDコントローラ403へ出力され、メイン表示部101に不在着信情報が表示される。同様にして、未読メールフラグがオン状態の場合、電子メール未読情報を含む表示情報がLCDコントローラ403へ出力され、メイン表示部101に電子メール未読情報が表示される。
また、主制御部400は、視野角コントローラ402に視野制御情報を出力し、モード切り替えや、狭視野モードにおけるパターンを指示している。例えば、主制御部400は、プライバシースイッチ202の操作信号に基づいて、広視野モード及び狭視野モードを交互に切り替えている。また、広視野モード時に着信信号や電子メールを受信した場合には、狭視野モードへの切り替えを行う。さらに、狭視野モードにおけるパターン選択は、不在着信フラグ及び電子メール未読フラグに基づいて行われる。
図11は、図10の視野角コントローラ402の一構成例を示したブロック図である。この視野角コントローラ402は、電圧制御部410、PWM発生回路411、インバータ412、4個のスイッチング素子413及び4個のアンプ414によって構成される。
PWM発生回路411は、視野切替パネル2を交流駆動するためのパルス信号を生成している。例えば、周波数70Hzのパルス信号を生成している。インバータ412は、このパルス信号(非反転信号)を反転させた反転信号を生成している。4個のスイッチング素子413は、これらの非反転信号及び反転信号のいずれか一方を選択して出力している。各スイッチング素子413の出力信号は、対応するアンプ414において所定の電圧レベルに増幅された後、電極端子Ta0,Ta1,Tb0,Tb1にそれぞれ出力される。
図12のステップS101〜S108は、着信処理の一例を示したフローチャートである。この着信処理は、無線通信部401が基地局からの着信信号を受信した場合に、主制御部400によって実行される。着信信号の受信時にメイン表示部101が広視野モードであれば、狭視野モードへの切り替えが行われる(ステップS101)。このモード切り替え後に、メイン表示部101に発信元などの着信情報が表示されるとともに、鳴動音や振動による呼出動作が行われる(ステップS102,S103)。このため、呼出動作によって注意を引き付けられた第三者が、メイン表示部101に表示された着信情報を覗き見るのを抑制することができる。
上記呼出動作中にオフフック操作が行われた場合には、メイン表示部101は広視野モードに戻り、通話が開始される(ステップS104〜S106)。一方、呼出動作終了までに、ユーザがオフフック操作を行わなかった場合、フラグ記憶部404の不在着信フラグをセットして、当該着信処理を終了する(ステップS107,S108)。その後は、ユーザが不在着信フラグをクリアし、あるいは、プライバシースイッチ202を操作するまでの間、メイン表示部101は狭視野モードとなる。
図13のステップS201〜S204は、メール受信処理の一例を示したフローチャートである。このメール受信処理は、無線通信部401が基地局からの電子メールを受信した場合に、主制御部400によって実行される。電子メールの受信時にメイン表示部101が広視野モードであれば、狭視野モードに切り替えられる(ステップS201)。その後の一定時間、メイン表示部101に送信元などのメール受信情報が表示されるとともに、鳴動音や振動による呼出動作が行われる(ステップS202,S203)。このため、呼出動作によって注意を喚起された第三者が、メイン表示部101に表示されたメール受信情報を覗き見るのを抑制することができる。また、この呼出動作中に当該電子メールの閲覧が行われなかった場合には、フラグ記憶部404の電子メール未読フラグをセットして、当該メール受信処理を終了する(ステップS204)。