JP2006299286A - マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の温間塑性加工特性を向上させる表面処理方法、該加工用金型へ付着する付着物の低減方法、温間塑性加工特性を向上させる方法、ならびに該材料の温間塑性加工特性向上剤 - Google Patents
マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の温間塑性加工特性を向上させる表面処理方法、該加工用金型へ付着する付着物の低減方法、温間塑性加工特性を向上させる方法、ならびに該材料の温間塑性加工特性向上剤 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の温間塑性加工特性を向上させる表面処理方法であって、該材料の表面を機械的表面研削処理または酸洗浄処理する事を特徴とする表面処理方法、該表面処理方法により表面処理された材料、並びに該材料を塑性加工して得られるマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製の塑性加工品。
【効果】材料の温間塑性加工において、加工機械への材料の付着が大幅に低減し、加工機械(例えば金型)の交換、洗浄の頻度が大きく減少し、加工の効率が大きく向上する。また、1種類の材料でより幅広い限界絞り比に対応することができるため、加工自由度も向上する。
【選択図】なし
Description
項1.マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の温間塑性加工特性を向上させる表面処理方法であって、該材料の表面を機械的表面研削処理または酸洗浄処理する事を特徴とする表面処理方法。
項2.前記塑性加工がプレス加工である項1に記載の表面処理方法。
項3.表面処理が機械的表面研削処理である項1または2に記載の表面処理方法。
項4.表面処理が酸洗浄処理である項1または2に記載の表面処理方法。
項5.酸洗浄処理が、0.01〜10重量%の酸を含有する酸水溶液で前記材料表面を洗浄するものである項1、2または4に記載の表面処理方法。
項6.酸洗浄処理の洗浄温度が−5℃〜70℃であることを特徴とする項1、2、4または5に記載の表面処理方法。
項7.酸洗浄処理が材料に処理液を噴霧する方法又は材料を処理液に浸漬する方法によるものである項1、2、4、5または6に記載の表面処理方法。
項8.酸洗浄処理時に、さらに、超音波処理、バブリング処理及び撹拌処理からなる群から選択される少なくとも1種の処理を併用することを特徴とする項1、2、4〜7のいずれかに記載の表面処理方法。
項9.項1〜8のいずれかに記載の表面処理方法により表面処理されたマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料。
項10.項9に記載の材料を塑性加工して得られるマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製の塑性加工品。
項11.筐体または内部機構部品が項10に記載の塑性加工品を含有する、移動情報端末。
項12.筐体または内部機構部品が項10に記載の塑性加工品を含有する、ノート型パソコン。
項13.筐体または内部機構部品が項10に記載の塑性加工品を含有する、映像機器。
項14.筐体または内部機構部品が項10に記載の塑性加工品を含有する、ロボット。
項15.筐体または内部機構部品が項10に記載の塑性加工品を含有する、情報記録および/または再生装置。
項16.筺体または内部機構部品が項10に記載の塑性加工品を含有する、ゲーム機器。
項17.酸を含有してなるマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製材料の温間塑性加工特性向上剤。
項18.前記塑性加工がプレス加工である項17に記載の温間塑性加工特性向上剤。
項19.酸含有量が0.01〜10重量%である項17または18に記載の温間塑性加工特性向上剤。
項20.酸が硝酸、塩酸、硫酸、塩素酸、過塩素酸、クエン酸、マロン酸、蓚酸、アスコルビン酸、プロピオン酸、蟻酸及び酢酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸である項17〜19のいずれかに記載の温間塑性加工特性向上剤。
項21.マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の表面を機械的表面研削処理または酸洗浄処理することを特徴とする、温間塑性加工用機械へ付着する付着物を低減する方法。
項22.項21に記載の方法により処理されたマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料。
項23.項22に記載の材料を塑性加工して得られるマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製の塑性加工品。
項24.マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の表面を機械的表面研削処理または酸洗浄処理することを特徴とする、前記材料の温間塑性加工特性を向上させる方法。
項25.項24に記載の方法により処理されたマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料。
項26.項25に記載の材料を塑性加工して得られるマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製の塑性加工品。
本発明の表面処理方法の被処理対象となる材料は、マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工用の材料である。該材料の表面は耐食性処理が施されてあってもよい。
機械的表面研削処理は材料の表面を機械的に研削し、表面の自然酸化膜を除去する。機械的表面研削処理としては、例えば、回転ブラシによる表面研削、研磨具とマグネシウム合金板表面との摺接による表面研削、あるいは研磨ベルトによる表面研削、ショットブラスト研磨、バレル研磨、ウェットブラスト研磨等を適用することができる。
本発明の温間塑性加工特性向上剤(以下、単に加工特性向上剤と称することがある)は、酸を含有し、マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の表面に適用されるものであって、該材料の温間塑性加工における加工特性(特に加工用機械への付着物の付着の抑制)を向上させる。これに対し、従来の酸洗処理は、材料の耐食性向上を目的としている点で相違する。
本発明の表面処理方法における酸洗浄処理は、マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の表面に、上記の本発明の加工特性向上剤を接触させることにより行う。
上記の機械的表面研削処理または酸洗浄処理を施されたマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料(以下、表面処理済み材料と称することがある)は、温間塑性加工特性が優れたものである。すなわち、この材料を使用して温間塑性加工を行うと、加工用機械への付着物の付着が抑制され、一の加工用機械において可能な加工回数が増加する。
上記の表面処理済み材料に、必要に応じて潤滑剤を塗布し、温間塑性加工を施し、所望の形状のマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製の製品が得られる。
上記の温間塑性加工によって表面処理済み材料が成型されて、所望の形状のマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製塑性加工品が製造される。本発明の塑性加工品の形状は特に制限されず、用途に応じて選択される。
本発明の温間塑性加工用機械へ付着する付着物を低減する方法は、マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の表面を機械的表面研削処理または酸洗浄処理することを特徴とする。この処理によって、温間塑性加工用機械へ付着する付着物の量が低減する。本方法に使用される材料、処理などの諸条件については、上記本発明の表面処理方法などについての説明が参照される。
本発明の温間塑性加工特性を向上させる方法は、マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の表面を機械的表面研削処理または酸洗浄処理することを特徴とする。この処理によって、温間塑性加工用機械へ付着する付着物の量が低減し、温間塑性加工特性が向上する。本方法に使用される材料、処理などの諸条件については、上記本発明の表面処理方法などについての説明が参照される。
表1に示す各酸を純水にて希釈し、以下の濃度の溶液を500ml作製した
実施例1で調製した加工特性向上剤でマグネシウム合金材料を下記の条件にて表面処理を施し、潤滑剤を刷毛塗りしてプレス加工した。各金型1個あたり10個の材料の加工を試みた。結果を表2に示す。なお、未処理材は、脱脂、酸洗浄処理、水洗、純水洗のいずれも行わず、潤滑剤を刷毛塗りしそのままプレス加工に供した材料である。表中の分数は分子が加工成功材料数、分母が加工提供材料数を示す。限界絞り比(LDR)は成型可能な円形ブランクの最大直径を絞りパンチ直径で割った値である。また、加工後に、金型に付着した付着物を定量した。結果を表3に示す。なお、ショット数は加工を試みた材料数を示す。
<マグネシウム合金材料>
材質:AZ31B(大阪富士工業株式会社製)
形状、大きさ、厚さなど:コイル材、板幅130mm、厚さ0.8mm
<表面処理>
材料を、アセトンで脱脂し、次いで加工特性向上剤に常温で浸漬し、次いで水で十分に洗浄し、次いで純水で十分に洗浄し、90℃で10分間乾燥した。
<温間プレス絞り加工>
プレス機:30t油圧プレス(アツギテクノ社製)
加工速度:21mm/s
金型条件:絞りダイ径 φ30mm
絞りパンチ径 φ28.4mm
ダイ絞りR 3.5mm
パンチ絞りR 1.5mm
ダイ設定温度 275℃
パンチ設定温度 160℃
<金型付着物の定量方法>
円筒絞りを所定個数(5個又は10個)行った金型をプレス機から取り外し、アセトンにて金型に付着した潤滑剤を脱脂する。その後、5%のクエン酸溶液50mlを用いて、型に付着した付着物を溶解させる。付着物が溶解した液をICP(高周波プラズマ発光分光分析装置、ICPS−7500、島津製作所製)にて分析した。
実施例1で調製した混合酸を含有する加工特性向上剤でマグネシウム合金材料を下記の条件にて表面処理を施し、潤滑剤を刷毛塗りしてプレス加工した。なお、未処理材は、脱脂、酸洗浄処理、水洗、純水洗のいずれも行わず、潤滑剤を刷毛塗りしそのままプレス加工に供した材料である。各金型1個あたり4〜7個の材料の加工を試みた。結果を表4に示す。
<マグネシウム合金材料>
試験例1と同じ
<表面処理>
材料を、アセトンで脱脂し、次いでバッチ式エッチングマシン(山縣機械社製、YCE-10WS、スプレー圧0.15MPa)にて加工特性向上剤を材料にミスト噴霧し、その後、水による水洗を3回行い、その後純水による1分間の水洗を行い、90℃で10分間乾燥した。
<温間プレス絞り加工>
プレス機:30t油圧プレス(アツギテクノ社製)
加工速度:21mm/s
金型条件:絞りダイ径 φ30mm
絞りパンチ径 φ29mm
ダイ絞りR 3.5mm
パンチ絞りR 1.0mm
ダイ設定温度 275℃
パンチ設定温度 160℃
Claims (26)
- マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の温間塑性加工特性を向上させる表面処理方法であって、該材料の表面を機械的表面研削処理または酸洗浄処理する事を特徴とする表面処理方法。
- 前記塑性加工がプレス加工である請求項1に記載の表面処理方法。
- 表面処理が機械的表面研削処理である請求項1または2に記載の表面処理方法。
- 表面処理が酸洗浄処理である請求項1または2に記載の表面処理方法。
- 酸洗浄処理が、0.01〜10重量%の酸を含有する酸水溶液で前記材料表面を洗浄するものである請求項1、2または4に記載の表面処理方法。
- 酸洗浄処理の洗浄温度が−5℃〜70℃であることを特徴とする請求項1、2、4または5に記載の表面処理方法。
- 酸洗浄処理が材料に処理液を噴霧する方法又は材料を処理液に浸漬する方法によるものである請求項1、2、4、5または6に記載の表面処理方法。
- 酸洗浄処理時に、さらに、超音波処理、バブリング処理及び撹拌処理からなる群から選択される少なくとも1種の処理を併用することを特徴とする請求項1、2、4〜7のいずれかに記載の表面処理方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の表面処理方法により表面処理されたマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料。
- 請求項9に記載の材料を塑性加工して得られるマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製の塑性加工品。
- 筐体または内部機構部品が請求項10に記載の塑性加工品を含有する、移動情報端末。
- 筐体または内部機構部品が請求項10に記載の塑性加工品を含有する、ノート型パソコン。
- 筐体または内部機構部品が請求項10に記載の塑性加工品を含有する、映像機器。
- 筐体または内部機構部品が請求項10に記載の塑性加工品を含有する、ロボット。
- 筐体または内部機構部品が請求項10に記載の塑性加工品を含有する、情報記録および/または再生装置。
- 筺体または内部機構部品が請求項10に記載の塑性加工品を含有する、ゲーム機器。
- 酸を含有してなるマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製材料の温間塑性加工特性向上剤。
- 前記塑性加工がプレス加工である請求項17に記載の温間塑性加工特性向上剤。
- 酸含有量が0.01〜10重量%である請求項17または18に記載の温間塑性加工特性向上剤。
- 酸が硝酸、塩酸、硫酸、塩素酸、過塩素酸、クエン酸、マロン酸、蓚酸、アスコルビン酸、プロピオン酸、蟻酸及び酢酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸である請求項17〜19のいずれかに記載の温間塑性加工特性向上剤。
- マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の表面を機械的表面研削処理または酸洗浄処理することを特徴とする、温間塑性加工用機械へ付着する付着物を低減する方法。
- 請求項21に記載の方法により処理されたマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料。
- 請求項22に記載の材料を塑性加工して得られるマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製の塑性加工品。
- マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の表面を機械的表面研削処理または酸洗浄処理することを特徴とする、前記材料の温間塑性加工特性を向上させる方法。
- 請求項24に記載の方法により処理されたマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料。
- 請求項25に記載の材料を塑性加工して得られるマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製の塑性加工品。
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