JP4601479B2 - マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の温間塑性加工特性を向上させる表面処理方法、該加工用金型へ付着する付着物の低減方法、温間塑性加工特性を向上させる方法、ならびに該材料の温間塑性加工特性向上剤 - Google Patents

マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の温間塑性加工特性を向上させる表面処理方法、該加工用金型へ付着する付着物の低減方法、温間塑性加工特性を向上させる方法、ならびに該材料の温間塑性加工特性向上剤 Download PDF

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Description

本発明は、材料表面を機械的表面研削処理または酸洗浄処理することにより、マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金材料の温間塑性加工特性を向上させる方法、該方法に用いる温間塑性加工特性向上剤などに関する。
マグネシウムは、実用的な構造用材料としては最も軽量(比重がアルミニウムの約2/3)であることに加えて、比強度、減衰能、電磁波シールド性等に優れることから、マグネシウムを主成分とするマグネシウム合金は、自動車部品、家電製品、コンピューター製品、航空・宇宙機器部品、原子力被覆材、陸上輸送機器、荷役機器、工業機械・工具類、通信機器、農林鉱業機械、事務機器、光学用機器、スポーツ用品等に使用されている。また、マグネシウムは、資源としても豊富であり、これに加えてリサイクル性が高いため、環境に対して優しく、さらなる需要の増加が見込まれる。特に最近では、軽量、電磁波シールド性を利用した携帯電話や携帯パソコン、環境低負荷を目的とした自動車部品として急速に採用され始めている。
マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金は、活性な金属であり、耐食性が低く、空気、水、化学薬品と接触すると腐食される(例えば、特許文献1参照)。例えば、マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金には、圧延や焼きなまし処理等によって影響を受けた表面層には酸化マグネシウムや水酸化マグネシウムなどの生成物が形成される。しかし、このような生成物が形成された材料を使用して温間プレス加工を行うと、加工を何回か繰り返すうちに金型に付着物が発生してそれ以上加工ができなくなるため、金型の交換または洗浄が必要であった。
特開平9−228062号公報
本発明は、温間塑性加工用機械への材料の付着を抑制し、材料の加工特性を向上させるための材料の表面処理方法、加工特性向上剤などの提供を目的とする。
本発明者らは、マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の表面を機械的表面研削処理または酸洗浄処理された材料を使用して温間塑性加工すると、材料の加工特性が向上すること、すなわち加工用機械への付着物の付着が抑制され、一の加工用機械において可能な加工回数が増加することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記の表面処理方法、材料、塑性加工品、加工特性向上剤、温間塑性加工用機械へ付着する付着物を低減する方法、温間塑性加工特性を向上させる方法などを提供するものである。
項1.マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の温間塑性加工特性を向上させる表面処理方法であって、該材料の表面を機械的表面研削処理または酸洗浄処理する事を特徴とする表面処理方法。
項2.前記塑性加工がプレス加工である項1に記載の表面処理方法。
項3.表面処理が機械的表面研削処理である項1または2に記載の表面処理方法。
項4.表面処理が酸洗浄処理である項1または2に記載の表面処理方法。
項5.酸洗浄処理が、0.01〜10重量%の酸を含有する酸水溶液で前記材料表面を洗浄するものである項1、2または4に記載の表面処理方法。
項6.酸洗浄処理の洗浄温度が−5℃〜70℃であることを特徴とする項1、2、4または5に記載の表面処理方法。
項7.酸洗浄処理が材料に処理液を噴霧する方法又は材料を処理液に浸漬する方法によるものである項1、2、4、5または6に記載の表面処理方法。
項8.酸洗浄処理時に、さらに、超音波処理、バブリング処理及び撹拌処理からなる群から選択される少なくとも1種の処理を併用することを特徴とする項1、2、4〜7のいずれかに記載の表面処理方法。
項9.項1〜8のいずれかに記載の表面処理方法により表面処理されたマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料。
項10.項9に記載の材料を塑性加工して得られるマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製の塑性加工品。
項11.筐体または内部機構部品が項10に記載の塑性加工品を含有する、移動情報端末。
項12.筐体または内部機構部品が項10に記載の塑性加工品を含有する、ノート型パソコン。
項13.筐体または内部機構部品が項10に記載の塑性加工品を含有する、映像機器。
項14.筐体または内部機構部品が項10に記載の塑性加工品を含有する、ロボット。
項15.筐体または内部機構部品が項10に記載の塑性加工品を含有する、情報記録および/または再生装置。
項16.筺体または内部機構部品が項10に記載の塑性加工品を含有する、ゲーム機器。
項17.酸を含有してなるマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製材料の温間塑性加工特性向上剤。
項18.前記塑性加工がプレス加工である項17に記載の温間塑性加工特性向上剤。
項19.酸含有量が0.01〜10重量%である項17または18に記載の温間塑性加工特性向上剤。
項20.酸が硝酸、塩酸、硫酸、塩素酸、過塩素酸、クエン酸、マロン酸、蓚酸、アスコルビン酸、プロピオン酸、蟻酸及び酢酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸である項17〜19のいずれかに記載の温間塑性加工特性向上剤。
項21.マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の表面を機械的表面研削処理または酸洗浄処理することを特徴とする、温間塑性加工用機械へ付着する付着物を低減する方法。
項22.項21に記載の方法により処理されたマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料。
項23.項22に記載の材料を塑性加工して得られるマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製の塑性加工品。
項24.マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の表面を機械的表面研削処理または酸洗浄処理することを特徴とする、前記材料の温間塑性加工特性を向上させる方法。
項25.項24に記載の方法により処理されたマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料。
項26.項25に記載の材料を塑性加工して得られるマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製の塑性加工品。
本発明の表面処理方法は、マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料(以下、単に材料と称することがある)の温間塑性加工特性を向上させるための表面処理方法であって、該材料の表面を機械的表面研削処理または酸洗浄処理することを特徴とする。
1.マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料
本発明の表面処理方法の被処理対象となる材料は、マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工用の材料である。該材料の表面は耐食性処理が施されてあってもよい。
マグネシウム合金の例としては、Mg−Al−Zn系合金、Mg−Zn−Zr系合金、Mg−Al系合金、Mg−希土類元素系合金などが挙げられるがこれらに限定されない。Mg−Al−Zn系合金としては、AZ31A、AZ31B、AZ31C、AZ61A、AZ80Aなどが挙げられる。Mg−Zn−Zr系合金としては、ZK51A、ZK61A、ZK60、M6、M5、M4などが挙げられる。Mg−Al系合金としては、AM100Aなどが挙げられる。Mg−希土類元素系合金としては、EZ33A、ZE41A、QE22Aなどが挙げられる。好ましいマグネシウム合金は、Mg−Al−Zn系合金、Mg−Zn−Zr系合金であり、より好ましいマグネシウム合金はMg−Al−Zn系合金であり、さらに好ましいマグネシウム合金は、AZ31A、AZ31B、AZ31Cである。
材料の形状、大きさなどは限定されないが、一般的には塑性加工に適した形状(板状、管状、棒状など)及び大きさが好ましい。したがって、塑性加工におうじて材料の材質、形状、大きさなどは適宜選択できる。材料が板材である場合、その厚みは、材質にもよるが、通常0.03〜5.0mm、好ましくは0.1〜3.0mmであるが、この範囲に限定されない。
2.機械的表面研削処理
機械的表面研削処理は材料の表面を機械的に研削し、表面の自然酸化膜を除去する。機械的表面研削処理としては、例えば、回転ブラシによる表面研削、研磨具とマグネシウム合金板表面との摺接による表面研削、あるいは研磨ベルトによる表面研削、ショットブラスト研磨、バレル研磨、ウェットブラスト研磨等を適用することができる。
回転ブラシによる表面研削では、ブラシの材質としてナイロン(ポリアミド系合成樹脂)等の合成樹脂にアルミナや炭化珪素等の研磨材粒子を分散させたものを使用するのが適当であり、マグネシウム合金板表面の凹凸や疵の程度並びに所望する研削量に応じて合成樹脂中に分散させる研磨材の量を調節するのが良い。また、回転ブラシの数、回転速度あるいはマグネシウム合金帯板への押し付け圧力等も、マグネシウム合金板表面の凹凸や疵の程度及び所望する研削量に応じて調節すれば良い。
研磨具との摺接による表面研削において適用される研磨具としては、セラミックス製の砥石,アルミナ等の研磨材を接着又は分散させたスポンジ状又は固形の樹脂、あるいはアルミナ等の研磨材粒子を分散させた樹脂製線材を束ねたブラシ等が挙げられる。研磨具の数や押し付け圧力等も、マグネシウム合金板表面の凹凸や疵の程度及び所望する研削量に応じて調節する必要がある。
研磨ベルトによる表面研削において適用される研磨ベルトとしては、アルミナ等の砥粒を接着した布製ベルトを使用することができる。なお、研磨ベルトの回転速度は高速である必要はなく、ベルトの目詰まりを防ぐためにはむしろ帯板の移動速度より遅い程度で回転させるのが良い。研磨ベルトの数,砥粒の粒度あるいは押し付け圧力等もマグネシウム合金板表面の凹凸や疵の程度及び所望する研削量に応じて調節すれば良いが、砥粒の粒度はJISのR6001に規定されている40〜240番程度のものが適当である。
3.温間塑性加工特性向上剤(表面処理剤)
本発明の温間塑性加工特性向上剤(以下、単に加工特性向上剤と称することがある)は、酸を含有し、マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の表面に適用されるものであって、該材料の温間塑性加工における加工特性(特に加工用機械への付着物の付着の抑制)を向上させる。これに対し、従来の酸洗処理は、材料の耐食性向上を目的としている点で相違する。
本発明の加工特性向上剤は、水を主体とし、酸を含有する。酸としては無機酸、有機酸、これらの混合物などが使用できる。無機酸としては、硝酸、塩酸、硫酸、塩素酸、過塩素酸などが例示され、有機酸としては、蟻酸、酢酸、蓚酸、クエン酸、アスコルビン酸、プロピオン酸、マロン酸などが例示され、1種単独または2種以上くみあわせることができる。これらの中でも好ましい酸は硝酸、過塩素酸、塩酸、硫酸、アスコルビン酸、ギ酸である。本発明の加工特性向上剤における酸の含有量は、酸の種類、被処理材料の材質、加工方法、加工機械などの条件に応じて適宜設定できるが、通常、0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜7重量%である。
本発明の加工特性向上剤のpHも適宜設定できるが、通常0.2〜4、好ましくは0.4〜2である。さらに、本発明の加工特性向上剤には、必要に応じて防錆剤、粘度調整剤、酸化防止剤、流動点降下剤、消泡剤、極圧剤、pH調整剤、防腐剤等を添加することが可能である。酸化防止剤としては、チオリン酸亜鉛、アミン類、フェノール類などが例示される。防錆剤としては、スルホン酸塩、アミン類、アルコール類、エステル類などが例示される。粘度調整剤としては、ポリメタクリル酸エステル、ポリイソブチレン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリアルキルスチレンなどが例示される。流動点降下剤としては、ポリメタクリル酸エステル、塩素化パラフィン−ナフタレン縮合物、オレフィン共重合体などが例示される。消泡剤としては、シリコーン油、金属セッケンなどが例示される。極圧剤としては、多価アルコール、モリブデン化合物、ホウ素化合物などが例示される。その他の成分としては、脂肪族カルボン酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、1,2−ヒドロキシオクタデカン酸ナトリウムなど)、芳香族カルボン酸塩(安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、イソフタル酸、テレフタル酸など)などが例示される。これらの成分の添加量、添加方法などは、無機酸の種類、被処理材料の材質、加工方法、加工機械などに応じて適宜設定できる。
4.酸洗浄処理
本発明の表面処理方法における酸洗浄処理は、マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の表面に、上記の本発明の加工特性向上剤を接触させることにより行う。
加工特性向上剤と材料との接触方法は、特に制限されず、ミスト、スプレー等による噴霧、刷毛塗り、ロールコーター等による塗布、浸漬などが可能である。接触に係る設備の簡潔性を考慮すると、浸漬が好ましく、その後の洗浄を考慮すると、噴霧が好ましい。
本発明の酸洗浄処理における加工特性向上剤の使用量は、材料の材質、形状、表面処理剤の種類、接触方法などによって適宜設定できるものであり特に限定されないが、通常、材料1mあたり1kg〜20kg、好ましくは2〜10kgである。
酸洗浄処理における処理温度は、特に制限されないが、通常−5℃〜70℃、好ましくは0〜60℃、より好ましくは0℃〜50℃、より一層好ましくは0℃〜40℃である。処理時間は接触方法により大きく左右され、特に制限されないが、通常5秒以上、好ましくは5秒〜120秒、より好ましくは5〜100秒である。
なお、酸洗浄処理には、超音波処理、バブリング処理、撹拌処理などを併用することができる。これらの処理を併用することによって、洗浄効果が向上する。また 本発明の表面処理方法(機械的表面研削処理も包含する)の効果をより向上させるために、本発明の表面処理剤による処理を施される前に、脱脂処理を受けていることが好ましい。脱脂処理は、一般に使用されている脱脂処理でよく、例えば、溶剤(アセトンなど)脱脂、アルカリ脱脂(NaOH水溶液など)、陰極電解脱脂、界面活性剤による脱脂、これらの組合せなどが挙げられる。
酸洗浄処理後、材料は水、純水等により洗浄され、必要に応じて乾燥されて、温間塑性加工に供される。
5.本発明の表面処理された材料
上記の機械的表面研削処理または酸洗浄処理を施されたマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料(以下、表面処理済み材料と称することがある)は、温間塑性加工特性が優れたものである。すなわち、この材料を使用して温間塑性加工を行うと、加工用機械への付着物の付着が抑制され、一の加工用機械において可能な加工回数が増加する。
6.温間塑性加工
上記の表面処理済み材料に、必要に応じて潤滑剤を塗布し、温間塑性加工を施し、所望の形状のマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製の製品が得られる。
表面処理済み材料に適用される温間塑性加工は、マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金に、圧縮、引張り、曲げ、せん断、絞り等の加工を施すことにより行われる。圧縮加工の例としては、(半)密閉型鍛造、すえ込み、押出し、圧延、回転しごき、しごきスピニング、スエージング等が挙げられる。引張り加工の例としては、引抜き、エンボス、ストレッチフォーミング、バルジング等が挙げられる。曲げ加工の例としては、ロール成形、直線曲げ、フランジ成形、カーリング等が挙げられる。せん断加工の例としては、プレスせん断、バイブロシャーリング、打抜き、シェービング、フライス削り、ホーニング等が挙げられる。本発明の処理方法により処理された材料は、これらの中でも絞り、引っ張り加工、曲げ加工、せん断加工に好適に使用され、より好適にはプレス絞り(浅絞り、深絞り)、曲げ加工、引っ張り加工に使用される。
例えば、温間プレス加工は、金型のダイを加熱し、必要に応じてパンチやしわ押さえも加熱を行い、常温もしくは所定の温度に材料を予熱したものに必要に応じて潤滑剤などを塗布し、所望のパンチ速度で加圧することによって行われる。
温間塑性加工の温度は、通常、100〜400℃、好ましくは120〜390℃である。また、プレス加工におけるプレス速度は、0.1mm/s〜60mm/s、好ましくは0.2mm/sから40mm/sである。
7.塑性加工品
上記の温間塑性加工によって表面処理済み材料が成型されて、所望の形状のマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製塑性加工品が製造される。本発明の塑性加工品の形状は特に制限されず、用途に応じて選択される。
また、本発明の塑性加工品は、最終的な製品に使用することができる。例えば、携帯電話、PHS、PDA(Personal Digital Assistance)などの移動情報端末;ノート型パソコン;デジタルビデオ、デジタルカメラなどの映像機器;産業ロボット、エンターテインメントロボット[例えば、AIBO、ASIMO、ピノ(いずれも登録商標)などの、人間や動物等を模したロボット]などのロボット;CDプレイヤー、MDプレイヤー、ポータブルカセットディスク、ポータブルDVDなどの情報記録及び/又は再生装置;家庭用ゲーム機器[例えば、プレイステーション、Xbox(いずれも登録商標)などのゲーム機器]などのゲーム機器等の筐体部分、内部構成部品(例えば、ゲーム機器の内部ピックアップ)などの用途に用いることができる。また、該塑性加工品は、自動車部品、航空宇宙産業用部品(人工衛星の筐体、太陽電池用パドルの支え、宇宙ステーションの構造材)などとしても使用することができる。
8.温間塑性加工用機械へ付着する付着物を低減する方法
本発明の温間塑性加工用機械へ付着する付着物を低減する方法は、マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の表面を機械的表面研削処理または酸洗浄処理することを特徴とする。この処理によって、温間塑性加工用機械へ付着する付着物の量が低減する。本方法に使用される材料、処理などの諸条件については、上記本発明の表面処理方法などについての説明が参照される。
9.温間塑性加工特性を向上させる方法
本発明の温間塑性加工特性を向上させる方法は、マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工材料の表面を機械的表面研削処理または酸洗浄処理することを特徴とする。この処理によって、温間塑性加工用機械へ付着する付着物の量が低減し、温間塑性加工特性が向上する。本方法に使用される材料、処理などの諸条件については、上記本発明の表面処理方法などについての説明が参照される。
本発明によれば、材料の温間塑性加工において、加工特性が向上する。すなわち、加工機械への材料の付着が大幅に低減し、加工機械(例えば金型)の交換、洗浄の頻度が大きく減少し、加工の効率が大きく向上する。また、1種類の材料でより幅広い限界絞り比に対応することができるため、加工自由度も向上する。
以下、実施例等により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1:加工特性向上剤の調製
表1に示す各酸を純水にて希釈し、以下の濃度の溶液を500ml作製した
Figure 0004601479
試験例1:温間プレス絞り加工試験1
実施例1で調製した加工特性向上剤でマグネシウム合金材料を下記の条件にて表面処理を施し、潤滑剤を刷毛塗りしてプレス加工した。各金型1個あたり10個の材料の加工を試みた。結果を表2に示す。なお、未処理材は、脱脂、酸洗浄処理、水洗、純水洗のいずれも行わず、潤滑剤を刷毛塗りしそのままプレス加工に供した材料である。表中の分数は分子が加工成功材料数、分母が加工提供材料数を示す。限界絞り比(LDR)は成型可能な円形ブランクの最大直径を絞りパンチ直径で割った値である。また、加工後に、金型に付着した付着物を定量した。結果を表3に示す。なお、ショット数は加工を試みた材料数を示す。
<マグネシウム合金材料>
材質:AZ31B(大阪富士工業株式会社製)
形状、大きさ、厚さなど:コイル材、板幅130mm、厚さ0.8mm
<表面処理>
材料を、アセトンで脱脂し、次いで加工特性向上剤に常温で浸漬し、次いで水で十分に洗浄し、次いで純水で十分に洗浄し、90℃で10分間乾燥した。
<温間プレス絞り加工>
プレス機:30t油圧プレス(アツギテクノ社製)
加工速度:21mm/s
金型条件:絞りダイ径 φ30mm
絞りパンチ径 φ28.4mm
ダイ絞りR 3.5mm
パンチ絞りR 1.5mm
ダイ設定温度 275℃
パンチ設定温度 160℃
<金型付着物の定量方法>
円筒絞りを所定個数(5個又は10個)行った金型をプレス機から取り外し、アセトンにて金型に付着した潤滑剤を脱脂する。その後、5%のクエン酸溶液50mlを用いて、型に付着した付着物を溶解させる。付着物が溶解した液をICP(高周波プラズマ発光分光分析装置、ICPS−7500、島津製作所製)にて分析した。
Figure 0004601479
Figure 0004601479
表2より、本発明の加工特性向上剤により表面処理された材料を使用してプレス加工すると、未処理材を使用した場合と比較して、加工できる材料数が大きく増加する。したがって、金型の洗浄又は交換の回数を大きく低減することができる。また、本発明の加工特性向上剤により表面処理された材料を使用すると、加工可能な限界絞り比の上限が広がる。したがって、この材料は加工の自由度が高いものである。
表3より、本発明の加工特性向上剤により表面処理された材料を使用してプレス加工すると、未処理材を使用した場合と比較して、金型に付着する付着物の量が大きく低減される。このため、表2に示されたように、加工できる材料数が大きく増加すると考えられる。
試験例2:温間プレス絞り加工試験2
実施例1で調製した混合酸を含有する加工特性向上剤でマグネシウム合金材料を下記の条件にて表面処理を施し、潤滑剤を刷毛塗りしてプレス加工した。なお、未処理材は、脱脂、酸洗浄処理、水洗、純水洗のいずれも行わず、潤滑剤を刷毛塗りしそのままプレス加工に供した材料である。各金型1個あたり4〜7個の材料の加工を試みた。結果を表4に示す。
<マグネシウム合金材料>
試験例1と同じ
<表面処理>
材料を、アセトンで脱脂し、次いでバッチ式エッチングマシン(山縣機械社製、YCE-10WS、スプレー圧0.15MPa)にて加工特性向上剤を材料にミスト噴霧し、その後、水による水洗を3回行い、その後純水による1分間の水洗を行い、90℃で10分間乾燥した。
<温間プレス絞り加工>
プレス機:30t油圧プレス(アツギテクノ社製)
加工速度:21mm/s
金型条件:絞りダイ径 φ30mm
絞りパンチ径 φ29mm
ダイ絞りR 3.5mm
パンチ絞りR 1.0mm
ダイ設定温度 275℃
パンチ設定温度 160℃
Figure 0004601479
本発明はマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間塑性加工分野において有用である。

Claims (18)

  1. マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間プレス加工材料の温間プレス加工特性を向上させる表面処理方法であって、該材料の表面を機械的表面研削処理または酸洗浄処理する事を特徴とする表面処理方法。
  2. 表面処理が機械的表面研削処理である請求項1に記載の表面処理方法。
  3. 表面処理が酸洗浄処理である請求項1に記載の表面処理方法。
  4. 酸洗浄処理が、0.01〜10重量%の酸を含有する酸水溶液で前記材料表面を洗浄するものである請求項1またはに記載の表面処理方法。
  5. 酸洗浄処理の洗浄温度が−5℃〜70℃であることを特徴とする請求項1、またはに記載の表面処理方法。
  6. 酸洗浄処理が材料に処理液を噴霧する方法又は材料を処理液に浸漬する方法によるものである請求項1、またはに記載の表面処理方法。
  7. 酸洗浄処理時に、さらに、超音波処理、バブリング処理及び撹拌処理からなる群から選択される少なくとも1種の処理を併用することを特徴とする請求項1、のいずれかに記載の表面処理方法。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の表面処理方法により表面処理されたマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間プレス加工材料。
  9. 請求項に記載の材料をプレス加工して得られるマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製のプレス加工品。
  10. 酸を含有してなるマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製材料の温間プレス加工特性向上剤。
  11. 酸含有量が0.01〜10重量%である請求項10に記載の温間プレス加工特性向上剤。
  12. 酸が硝酸、塩酸、硫酸、塩素酸、過塩素酸、クエン酸、マロン酸、蓚酸、アスコルビン酸、プロピオン酸、蟻酸及び酢酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸である請求項10または11に記載の温間プレス加工特性向上剤。
  13. マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間プレス加工材料の表面を機械的表面研削処理または酸洗浄処理することを特徴とする、温間プレス塑性加工用機械へ付着する付着物を低減する方法。
  14. 請求項13に記載の方法により処理されたマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間プレス加工材料。
  15. 請求項14に記載の材料をプレス加工して得られるマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製のプレス加工品。
  16. マグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間プレス加工材料の表面を機械的表面研削処理または酸洗浄処理することを特徴とする、前記材料の温間プレス加工特性を向上させる方法。
  17. 請求項16に記載の方法により処理されたマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製温間プレス加工材料。
  18. 請求項17に記載の材料をプレス加工して得られるマグネシウム金属および/またはマグネシウム合金製のプレス加工品。
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