JP2006298762A - 金属性セラミック粉末の製造法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 炭化チタン(TiC)の含有量が1wt%以下であることを特徴とするチタンシリコンカーバイド(Ti3SiC2)からなる金属性セラミック粉末並びにチタン(Ti)、シリコン(Si)、炭化チタン(TiC)の混合粉末を真空加熱することを特徴とする金属性セラミック粉末の製造法及びチタン(Ti)、炭化珪素(SiC)、カーボン(C)の混合粉末を真空加熱することを特徴とする金属性セラミック粉末の製造法。
【選択図】 図1
Description
現在、航空宇宙分野や高効率ガスタービン・エンジンなどにおいては超合金や、グラファト、炭化珪素、窒化珪素、サイアロンなどのセラミックスが用いられているが、超合金では耐熱性が劣り、セラミックスの場合は加工性が悪いことが実用上の問題となっている。
また、チタン(Ti)、シリコン(Si)およびグラファイト(C)混合粉末から燃焼合成(SHS)法も試みられた。これらの方法では、いずれもセラミックである炭化チタン(TiC)相が多量に残留して性質が劣化することが問題となっている。
従来のTi3SiC2粉末の合成に関する文献の一覧を表1に示す。表1の右端に対応する非特許文献1〜非特許文献4の番号を示す。
2.加熱合成により得られた上記1記載の金属性セラミック粉末
3.チタン(Ti)、シリコン(Si)、炭化チタン(TiC)の混合粉末を真空加熱することを特徴とする金属性セラミック粉末の製造法
4.チタン(Ti)、炭化珪素(SiC)、カーボン(C)の混合粉末を真空加熱することを特徴とする金属性セラミック粉末の製造法
5.焼結温度700〜1400°C、加熱保持時間5分〜240分で、固相反応により金属性セラミックを合成することを特徴とする上記3又は4記載の金属性セラミック粉末の製造法
6.焼結温度1200〜1350°C、焼結時間120分〜180分で、固相反応により金属性セラミック粉末を合成することを特徴とする上記5記載の金属性セラミック粉末の製造法
7.炭化チタン(TiC)の含有量が1wt%以下であることを特徴とする上記3〜6のそれぞれに記載のチタンシリコンカーバイド(Ti3SiC2)からなる金属性セラミック粉末の製造方法
を提供する。
また、チタン(Ti)、炭化珪素(SiC)、カーボン(C)の粉末を混合し、真空加熱合成方法によって、第二相含有量の少ない金属性セラッミク材料であるチタンシリコンカーバイド粉末(Ti3SiC2)を製造する方法を見出した。
これによって得られたチタンシリコンカーバイド粉末の組織には、炭化チタン(TiC)含有量が1wt%以下である均一な組織の優れた特性を有するチタンシリコンカーバイド粉末が得られる。
この混合粉末をアルミナの坩堝に装入して、真空加熱法によって合成する。合成は真空において実施し、加熱温度は700°Cから1400°Cの範囲で行う。
焼結温度は1200°C未満では反応が十分でなく、未反応の炭化チタン(TiC)が多量に存在するので好ましくない。また、焼結温度が1400°Cを超えるとできたチタンシリコンカーバイド(Ti3SiC2)の分解によって炭化チタン(TiC)の量が増加し、エネルギーの消費量も増すので無駄である。より好ましい加熱温度は、加熱結温度1200〜1350°Cである。
まず原料として用いられるチタン(Ti)粉末28.6at%、シリコン(Si)粉末28.6at%および炭化チタン(TiC)粉末42.8at%をアルゴン雰囲気の容器で24時間を混合した。これらの粉末は、目的とするチタンシリコンカーバイド(Ti3SiC2)の単一相になるように配合したものである。
この混合粉末をアルミナ坩堝に装入して、真空炉を用いて加熱する。合成は真空において実施し、合成温度1100°C、1200℃、1210°C、1250°C、1300°C、1400°Cの6段階の範囲で、それぞれ120分間の加熱を実施した。
表2は加熱保持温度1100°C〜1400°C、120分間加熱合成した金属性セラミック材料チタンシリコンカーバイドTi3SiC2相含有量を示す。1250°Cで合成した粉末の中にほぼ(Ti3SiC2)相の含有量が99%以上になっていることが分かる。
原料として用いられるチタン(Ti)粉末24.4at%、シリコン(Si)粉末26.8at%および炭化チタン(TiC)粉末48.8at%を実施例1と同様な方法で混合する。
この混合粉末をアルミナ坩堝に装入して、真空炉を用いて加熱する。合成は真空において実施し、合成温度1100°C、1200°C、1250°C、1300°Cの4段階の範囲で、それぞれ120分間の加熱を実施した。
また、同様の混合粉末について、焼結温度1250°Cに設定し、焼結時間30分間、60分間、120分間、240分間の4段階に分けて加熱を実施した。
表3は1100°C〜1300°Cの温度範囲で2時間加熱処理によって合成した化合物粉末の中に金属性セラミック材料チタンシリコンカーバイドTi3SiC2相含有量を示す。1250°C以上の温度で合成した材料の中に99.9%のTi3SiC2相を含むことが分かる。
表4は1250°Cにおいて加熱合成の際に加熱保持時間が合成した粉末のTi3SiC2相含有量への影響を示す。120分間以上の保持時間をすれば、合成した材料の中に99.9%のTi3SiC2相を含むことが分かる。
図2は1250°Cで2時間合成して99.9%のTi3SiC2相を含む化合物の粉末の走査型電子顕微鏡の写真を示す。サイズ数ミクロンのTi3SiC2粉末粒子が合成できたことがわかる。
原料として用いられるチタン(Ti)粉末62.5at%、炭化珪素(SiC)粉末25.0at%およびカーボン(C)粉末12.5at%を実施例1と同様の方法で混合する。これらの粉末は、目的とするチタンシリコンカーバイド(Ti3SiC2)の単一相になるように配合したものである。
この混合粉末をアルミナ坩堝に装入して、真空炉を用いて加熱する。合成は真空において実施し、合成温度1200°C、1210°C、1250°C、1300°C、1400°Cの5段階の範囲で、それぞれ120分間の加熱を実施した。
表5は1200°C〜1400°Cの温度範囲で2時間加熱処理によって合成した化合物粉末の中に金属性セラミック材料チタンシリコンカーバイドTi3SiC2相含有量を示す。1300°C以上の温度で合成した材料の中に99.9%のTi3SiC2相を含むことが分かる。
比較のために、従来技術であるTi粉、Si粉及びC粉を用いて、原料として用いられるチタン(Ti)粉末50.0at%、シリコン(Si)粉末16.7at%およびカーボン(C)粉末33.3at%を実施例1と同様な方法で混合する。
この混合粉末をアルミナ坩堝に装入して、真空炉を用いて加熱する。合成は真空において実施し、合成温度1200°C、1210°C、1250°C、1300°C、1400°Cの5段階の範囲で、それぞれ120分間の加熱を実施した。
加熱合成した粉末の相組成をX線回折で分析し、顕微鏡によるミクロ組織特性を調べた。表6は1200°C〜1400°Cの温度範囲で2時間加熱処理によって合成した粉末の中に金属性セラミック材料チタンシリコンカーバイドTi3SiC2相含有量を示す。いずれの温度においてもTi3SiC2相の含有量が90%を越すことがない。また、1300°Cで最も高いTi3SiC2相の含有量が88.5%にしか達しないことが分かる。
比較のために、従来技術であるTi粉、Si粉及びC粉を用いて、原料として用いられるチタン(Ti)粉末50.0at%、シリコン(Si)粉末20.0at%およびカーボン(C)粉末30.0at%を実施例1と同様な方法で混合した。
この混合粉末をアルミナ坩堝に装入して、真空炉を用いて加熱する。合成は真空において実施し、合成温度1200°C、1210°C、1250°C、1300°C、1400°Cの5段階の範囲で、それぞれ120分間の加熱を実施した。
表7は1200°C〜1400°Cの温度範囲で2時間加熱処理によって合成した粉末の中に金属性セラミック材料チタンシリコンカーバイドTi3SiC2相含有量を示す。いずれの温度においてもTi3SiC2相の含有量が95%を越すことがない。また、1250°Cで最も高いTi3SiC2相の含有量が94.4%にしか達しないことが分かる。
比較のために上記表1の文献を見ると、各種プロセスによりTi3SiC2粉末合成に関する文献の実験結果において、いずれの場合もTi3SiC2相の含有量が低いことが分かる。最も良い結果でも、82.5%のTi3SiC2相を含むことが分かった。
Claims (7)
- 炭化チタン(TiC)の含有量が1wt%以下であることを特徴とするチタンシリコンカーバイド(Ti3SiC2)からなる金属性セラミック粉末。
- 加熱合成により得られた請求項1記載の金属性セラミック粉末。
- チタン(Ti)、シリコン(Si)、炭化チタン(TiC)の混合粉末を真空加熱することを特徴とする金属性セラミック粉末の製造法。
- チタン(Ti)、炭化珪素(SiC)、カーボン(C)の混合粉末を真空加熱することを特徴とする金属性セラミック粉末の製造法。
- 焼結温度700〜1400°C、加熱保持時間5分〜240分で、固相反応により金属性セラミックを合成することを特徴とする請求項3又は4記載の金属性セラミック粉末の製造法。
- 焼結温度1200〜1350°C、焼結時間120分〜180分で、固相反応により金属性セラミック粉末を合成することを特徴とする請求項5記載の金属性セラミック粉末の製造法。
- 炭化チタン(TiC)の含有量が1wt%以下であることを特徴とする請求項3〜6のそれぞれに記載のチタンシリコンカーバイド(Ti3SiC2)からなる金属性セラミック粉末の製造方法。
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