JP2006298744A - Ga含有窒化物半導体単結晶、その製造方法、並びに該結晶を用いた基板およびデバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記(a)〜(c)の1以上を満たすGa含有窒化物半導体単結晶。(a)Ga含有窒化物半導体単結晶に波長450nmの光を照射して測定される最大反射率が20%以下であり、最大反射率と最小反射率との差が10%以内である。(b)カソードルミネッセンス法により測定される転位密度の最大値と最小値の比(最大値/最小値)が10以下である。(c)時間分解フォトルミネッセンス法により測定される寿命が95ps以上である。
【選択図】図1
Description
すなわち本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 一般式 BxAlyGazIn1-x-y-zNsPtAs1-s-t (式中、0≦x≦1、0≦y<1、0<z≦1、0<s≦1、0≦t<1)で表される組成を有し、且つ下記(a)、(b)及び(c)の少なくとも1つを満たすことを特徴とするGa含有窒化物半導体単結晶。
(a)Ga含有窒化物半導体単結晶に波長450nmの光を照射して測定される最小反射率が20%以下であり、最大反射率と最小反射率との差が10%以内である。
(b)カソードルミネッセンス法により測定される転位密度の最大値と最小値の比(最大値/最小値)が10以下である。
(c)時間分解フォトルミネッセンス法により測定される寿命が95ps以上である。
(2) 結晶内に下記(d)で定義される欠陥集中領域が存在しないことを特徴とする(1)に記載のGa含有窒化物半導体単結晶。
(d)格子欠陥が1010個/cm2以上であり、長さが2μm以上、幅が2μm以上、且つ高さが2μm以上の領域。
(3) 大きさが400mm2以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のGa含有窒化物半導体単結晶。
(4) 厚みが350μm以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のGa含有窒化物半導体単結晶。
(5) 結晶中に含まれる格子欠陥が108個/cm2未満であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のGa含有窒化物半導体単結晶。
(6) 六方晶又は立方晶であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のGa含有窒化物半導体単結晶。
(7) 組成がGaNであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のGa含有窒化物半導体単結晶。
(9) 元基板が単結晶であり、その格子定数がa軸方向に0.30nm〜0.36nmであり、c軸方向に0.48nm〜0.58nmであることを特徴とする(8)に記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
(10) 元基板のバンドギャップエネルギーが2.0eV〜6.5eVであることを特徴とする(8)又は(9)に記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
(11) 化合物半導体元基板が一般式 Bx'Aly'Gaz'In1-x'-y'-z'Ns'Pt'As1-s'-t' (式中、0≦x’≦1、0≦y’<1、0<z’≦1、0<s’≦1、0≦t’<1)で表される組成を有することを特徴とする(8)又は(9)に記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
(12) 元基板がサファイア、酸化亜鉛又は窒化ガリウムであることを特徴とする(8)に記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
(13) 元基板上に形成された初期窒化物半導体層上にGa含有窒化物半導体単結晶を成長させることを特徴とする(8)〜(12)のいずれかに記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
(14) 元基板上に形成された初期窒化物半導体層上に第1のGa含有窒化物半導体単結晶を成長させ、さらにその上に第2のGa含有窒化物半導体単結晶層を成長させることを特徴とする請求項13又は14に記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
(15) 初期窒化物半導体層の厚みが1μm〜200μmであることを特徴とする(13)に記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
(16) 初期窒化物半導体層が窒化ガリウムであることを特徴とする(13)又は(14)に記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
(17) 元基板及び/又は元基板上に形成される初期窒化物半導体層の表面粗さRaが1nm以下であることを特徴とする(8)〜(15)のいずれかに記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
(18) ハイドライド気相成長法によりGa含有窒化物半導体単結晶を成長させることを特徴とする(8)〜(16)のいずれかに記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
(19) Ga含有窒化物半導体単結晶の成長中に副生物として生成する塩化アンモニウム又は塩化アンモニウム含有ガスを400℃以上の温度に保ちながら排出することを特徴とする(8)〜(17)のいずれかに記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
(21) (19)に記載の半導体デバイス用基板を用いた発光デバイス。
(22) (19)に記載の半導体デバイス用基板を用いた電子デバイス。
本発明のGa含有窒化物半導体単結晶及びそれを用いたGa含有窒化物半導体単結晶基板は、下地基板の人工的な表面加工に起因する模様がなく、格子欠陥が108個/cm2未満である。本願において「下地基板の人工的な表面加工に起因する模様がない」とは、Ga含有窒化物半導体単結晶を成長させる際に用いる下地基板の表面に人工的に施された模様(凹凸)が原因となって形成される模様がGa含有窒化物半導体単結晶中に存在しないことを意味する。従来法にしたがって、表面に人工的な加工が施されている下地基板上にGa含有窒化物半導体単結晶を成長させると、結晶中に該加工模様の痕跡が残ってしまう。例えば、ストライプ状やドット状のマスクパターンを表面に形成した下地基板上にGa含有窒化物半導体単結晶を成長させると、結晶中にそのパターンと同じ周期で欠陥が残ってしまう。本発明のGa含有窒化物半導体単結晶及びそれを用いた窒化物半導体基板には、このような下地基板の表面パターンに起因する模様が存在しない。なお、本願において「下地基板」とは、本発明のGa含有窒化物半導体結晶を成長させる際に用いる基板全体を意味し、サファイアや酸化亜鉛などの元基板とは違う概念として定義される。下地基板は元基板のみからなるものであってもよいし、元基板上に初期窒化物半導体層などを形成したものであってもよい。
ストライプ状やドット状のマスクパターンを表面に形成した下地基板上にGa含有窒化物半導体結晶を成長させると、結晶中にそのパターンを反映して欠陥が集中することがある。本発明のGa含有窒化物半導体結晶は、それと同じような欠陥の集中がまったく見られないことが好ましい。
また、本発明のGa含有窒化物半導体結晶は、場所による単位面積あたりの転位密度の変動幅が1桁以内であることが好ましく、場所により転位密度が変わらないことがより好ましい。ここでいう単位面積とは、通常1cm2である。即ち、カソードルミネッセンス法により測定される転位密度の最大値と最小値の比(最大値/最小値)が10以下であることが好ましい。
本発明のGa含有窒化物半導体結晶は、カソードルミネッセンス法により測定される転位密度の最大値と最小値の比(最大値/最小値)が通常10以下、好ましくは5以下、より好ましくは3以下である。
PL寿命は、欠陥密度低減の観点から長ければ長いほどよく、好ましくは95ps以上、より好ましくは98ps以上、さらに好ましくは100ps以上、特に好ましくは120ps以上、最も好ましくは200ps以上である。
反射率は、例えば350nm〜700nmの波長をカバーできる光を窒化物半導体基板にあて、その裏面に光の強度を測定できる装置を設置し、基板にあてた光に対して何%が裏面を通り抜けたかを測定すればよい。ある波長の光を基板面内にできるだけ細かくあてて測定を行い、測定された最大反射率と最小反射率との差が10%以内になっていれば反射率に分布がないと判定する。即ち、本発明のGa含有窒化物半導体結晶は、波長450nmの光を照射して測定される最大反射率は、通常25%以内、好ましくは22%以内、より好ましくは20%以内である。本発明のGa含有窒化物半導体結晶は、波長450nmの光を照射して測定される最小反射率が、通常5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは12%以上である。また、波長450nmの光を照射して測定される最大反射率と最小反射率との差が、通常10%以内、好ましくは9%以内、より好ましくは8%以内である。
ここで、ストライプ状あるいはドット状の欠陥とは、格子欠陥が1010個/cm2以上であり、長さが2μm以上、幅が2μm以上、且つ高さが2μm以上の欠陥集中領域のことをいう。ドット状の欠陥とは、通常、長さが2μm〜10μm、幅が2μm〜10μmのものを意味する。
また、Ga含有窒化物半導体結晶は、結晶性の観点から(0002)面についてのωスキャンによるX線ロッキングカーブ(以下、(0002)×線ロッキングカーブという。)の半値幅が、通常150arcsec以下、好ましくは120arcsec以下、より好ましくは110arcsec以下である。 (0002)×線ロッキングカーブの半値幅が150arcsec以下であれば、結晶軸の傾きや結晶の反り等が実用範囲内になりやすい。
本発明のGa含有窒化物半導体結晶の製造方法は、特許請求の範囲に記載される条件を満たすGa含有窒化物半導体結晶を製造しうるものである限り特に制限されないが、以下において、好ましい製造方法について説明する。
また、本発明で使用する元基板の種類としては、2.0eV〜6.5eVのバンドギャップエネルギーを有する化合物半導体基板が好ましい。そのような化合物半導体基板として、例えば窒化アルミニウム、窒化ガリウム、酸化亜鉛、窒化インジウム等やその化合物が挙げられる。さらにこの範囲の物性ではないが、サファイア、SiC等も用いることができる。
また、立方晶系又は六方晶系に属する結晶構造を有する基板が好ましく、立方晶系の基板としては、Si、GaAs、InGaAs、GaP、InP、ZnSe、ZnTe、CdTd等を用いることができ、六方晶系の基板としては、サファイア、SiC、GaN、スピネル、ZnO等を用いることができる。
また、化合物半導体元基板の組成としては、一般式Bx'Aly'Gaz'In1-x'-y'-z'Ns'Pt'As1-s'-t' (式中、0≦x’≦1、0≦y’<1、0<z’≦1、0<s’≦1、0≦t’<1)で表される組成を有するものを用いることもできる。
特に好ましい基板は、酸化亜鉛基板、サファイア基板、窒化ガリウム基板である。これらは市販されているものを用いても構わない。
元基板は、その上に窒化物半導体結晶層を形成できる程度の厚みが必要である。元基板の厚みは、10μm以上であることが適当であり、100μm以上であることが好ましく、300μm以上であることがより好ましく、500μm以上あることがさらに好ましい。元基板の厚みの上限は特に制限はないが、厚すぎると除去するのに時間を要するため、2000μm以下であることが好ましく、1500μm以下であることがより好ましく、1000μm以下であることがさらに好ましい。
初期窒化物半導体結晶の成長は、後述する本発明の窒化物半導体結晶の成長方法とは異なる方法で行う。例えば、分子線エピタキシー法(MBE法)、有機金属気相成長法(MOCVD法)、PLD法(Pulsed Laser Deposition; J. Cryst. Growth, 237/239 (2002) 1153)、ハイドライド気相成長法(HVPE法)を挙げることができる。好ましいのはMBE法、MOCVD法およびPLD法であり、特に好ましいのはMBE法とMOCVD法である。
さらにMOCVD法やHVPE法では、一度に2インチ基板なら50枚を超える枚数を成長できる装置もあり、他の成長法に比べて現在では量産性が非常に優れているため工業有利である。
また、初期窒化物半導体層や上記の元基板の表面粗さ(Ra)は、1nm以下であることが好ましく、0.8nm以下であることがより好ましく、0.7nm以下であることがさらに好ましい。ここでいう表面粗さは中心線平均粗さ(Ra)のことであり、AFM(Atomic Force Microscopy)[原子間力顕微鏡]により表面の凹凸を測定することにより求めることができる。
形成するGa含有窒化物半導体結晶は、Gaと窒素を含有する半導体であれば特に制限はないが、特にBxAlyGazIn1-x-y-zNsPtAs1-s-t (式中、0≦x≦1、0≦y<1、0<z≦1、0<s≦1、0≦t<1)で表される組成であることが好ましい。ここで、xは好ましくは0≦x≦0.5、特に好ましくは0≦x≦0.25であり、yは好ましくは0≦y≦0.75、特に好ましくは0≦y≦0.5であり、zは好ましくは0.5≦z≦1、特に好ましくは0.75≦z≦1であり、sは好ましくは0.9≦s≦1、特に好ましくは0.95≦s≦1であり、tは好ましくは0≦t≦0.1、特に好ましくは0≦t≦0.05である。
例えば、GaN、InxGa1-xN(0≦x<1)、GaxAl1-xN(0<x≦1)、GaNzP1-z(0<z≦1)、GaNzAs1-z(0<z≦1)で表わされる結晶等が挙げられ、特に一般式(AlxGa1-x)yIn1-yN(0≦x<1、0≦y≦1)、(AlxGa1-x)yIn1-yNzP1-z(0≦x<1、0≦y≦1、0<z≦1)、(AlxGa1-x)yIn1-yNzAs1-z(0≦x<1、0≦y≦1、0<z≦1)で表わされる結晶であることが最も好ましい。
また、Ga含有窒化物半導体結晶は単結晶であり、六方晶又は立方晶であることが好ましい。
元基板として酸化亜鉛を使用した場合には、第1の窒化物半導体の成長温度T1は、第2の窒化物半導体の成長温度T2以下にすることが好ましく、元基板除去工程における処理温度T3に近い温度にすることが好ましい。特に好ましいのは、第1の窒化物半導体の成長温度T1と、元基板除去工程における処理温度T3を同一温度にする場合である。第1の窒化物半導体結晶層は、以後の工程で良質な第2の窒化物半導体結晶層を成長させるための成長起点となること、窒化物半導体の形成時の使用ガスとして塩化水素、フッ化水素、臭化水素、ヨウ化水素等のハロゲン化水素ガス、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ヒドラジン、メチルヒドラジン、ジメチルヒドラジン等の有機窒素化合物ガス(以下、これらをまとめて「使用ガス」ともいう。)を用い、元基板温度を1000℃以上の高温下で急激に反応させた場合、元基板が昇華し消失してしまうこと、及び使用ガスの反応は、元基板の表面又は側面のほんの一部分が、使用ガスの高温雰囲気に晒されるだけでも容易に起こり得ることを考慮して、温度T1の上限は900℃未満とすることが好ましく、850℃以下とすることがさらに好ましい。また、温度T1の下限は、500℃以上とすることが好ましく、650℃以上とすることがさらに好ましい。
また、第1の窒化物半導体結晶層又は第2の窒化物半導体結晶層を形成した後に、元基板と第1の窒化物半導体結晶層との界面にレーザー等を照射して界面を高温にさらすことにより、特に窒化ガリウムの窒素成分が抜けるため、界面に残ったGaを塩酸等で除去することができ、簡単に元基板を除去することができる。
まず、サファイア元基板上に、MBE法、MOCVD法、PLD法、HVPE法等により、通常0.1μm〜5.0μm、好ましくは0.3μm〜2.0μmの厚みの初期窒化物半導体層を形成する。
III族原料を塩化水素と反応させてIII族金属塩化物を生成する反応温度は、約850℃が好ましく、窒素原料と塩化水素とが出会う位置の温度と窒化物半導体を成長する位置の温度は略同じ温度であることが好ましく、例えば約1050℃であることが好ましい。成長時間は、目的とする膜厚にもよるが、通常100μm/時間〜150μm/時間が好ましく、例えば10mm成長する場合は65時間〜100時間程度である。
第2の窒化物半導体結晶の厚みは、前記第1の窒化物半導体結晶層の層厚と同様の厚みを採用することができるが、第1の窒化物半導体結晶の膜厚を比較的薄くしておき、第2の窒化物半導体結晶を比較的厚くしてもよい。
その他、本発明の目的を逸脱しない範囲内で、上記以外の工程をさらに実施することができる。
また、第1の窒化物半導体結晶層又は第2の窒化物半導体結晶層を形成した後に、元基板と第1の窒化物半導体結晶層との界面にレーザーを照射して界面を高温にさらすことにより、特に窒化ガリウムの窒素成分が抜けるため、界面に残ったGaを塩酸等で除去することができ、簡単に元基板を除去することができる。
本発明のGa含有窒化物半導体単結晶は、そのまま半導体デバイス用基板として使用してもよいし、さらに層を積層したり、物体に装着したりした上で半導体デバイス用基板として使用してもよい。本発明のGa含有窒化物半導体単結晶は、結晶欠陥が少なく、かつ良質な結晶性を備えているため、発光ダイオード、半導体レーザー等、特に青色、白色の発光デバイスやそれを用いたチップ及びモジュール、さらに電子デバイス等の半導体素子等に好適に用いられる。
本実施例1を図1に基づいて説明する。
表面が(0001)面からなる厚み500μm、一辺が2cmの正方形の酸化亜鉛元基板101を用意し、あらかじめ有機溶剤で洗浄することにより前処理した後、該酸化亜鉛元基板101をHVPE装置(反応器)に設置し、850℃に昇温した後、GaとHClの反応生成物であるGaClとNH3ガス(以下原料ガスという)を同時に導入して約2時間エピタキシャル成長させることにより、第1のGaN層102を約60μm堆積させて下地層103を形成した。
次に、下地層103をそのままの温度に維持したまま、NH3ガスを分圧で10%程度流すことによって酸化亜鉛元基板101をNH3ガスと反応させて昇華消失させた。
その後いったん温度を下げて、酸化亜鉛元基板101が消失した下地層103をHVPE装置から取り出し、図1(c)に示すように周辺に回り込んだGaNの結晶をダイシングにより除去して平板状にし、再びHVPE装置に入れた。温度を1050℃に昇温し、残った第1のGaN層102上に原料ガスを導入して約10時間エピタキシャル成長させることにより、第2のGaN層104を約1mm形成させ、GaN単結晶105を得た。
これにより、実施例1で得られたGaN単結晶が均質であり、反射率に分布がなく、光の散乱に分布がないことが裏付けられた。また、実施例1で得られたGaN単結晶には、従来法により得られたGaN単結晶のように欠陥が集中した状態は観測されなかった。
得られたGaN単結晶は、波長450nmの光を照射して測定される最大反射率が18.97%、最小反射率が15.94%であり、その差は10%以内であった。使用した反射率測定装置(SHIMADZU製 UV−3100P)は、光源としてハロゲンランプを用いているものであり、分光した後にサンプルの法線方法に対して5°の角度で光を照射し、その反射光を測定するものである。反射率は、入射光に対する反射光の比率である。
また、結晶内に欠陥集中領域は存在しなかった。
表面が(1−100)面からなる厚み500μm、一辺が2cmの正方形の酸化亜鉛元基板を用意し、あらかじめ有機溶剤で洗浄することにより前処理した後、該酸化亜鉛元基板をHVPE装置に設置し、850℃に昇温した後、原料ガスを導入して約2時間エピタキシャル成長させることにより、第1のGaN層を約60μm堆積させて下地層を形成した。
次に、下地層をそのままの温度に維持したまま、NH3ガスを分圧で10%程度流すことによって酸化亜鉛元基板をNH3ガスと反応させて昇華消失させた。
その後、温度を1050℃に昇温し、第1のGaN層上に原料ガスを導入して約10時間エピタキシャル成長させることにより、第2のGaN層を約1mm形成させ、GaN単結晶を得た。得られたGaN単結晶の表面モフォロジーは表面研磨の必要がないくらいに鏡面であった。また、得られたGaN単結晶は、下地基板に起因する人工的な加工模様がないため均質であり、欠陥がなくて非常に透明であった。
得られたGaN単結晶は、波長450nmの光を照射して測定される最大反射率が19%、最小反射率が16%であり、その差は10%以内であった。
また、結晶内に欠陥集中領域は存在しなかった。
表面が(11−20)面からなる厚み500μm、一辺が2cmの正方形の酸化亜鉛元基板を用意し、あらかじめ有機溶剤で洗浄することにより前処理した後、該酸化亜鉛元基板をHVPE装置に設置し、850℃に昇温した後、原料ガスを導入して約2時間エピタキシャル成長させることにより、第1のGaN層を約60μm堆積させて下地層を形成した。
次に、下地層をそのままの温度に維持したまま、NH3ガスを分圧で10%程度流すことによって酸化亜鉛元基板をNH3ガスと反応させて昇華消失させた。
その後、温度を1050℃に昇温し、第1のGaN層上に原料ガスを導入して約10時間エピタキシャル成長させることにより、第2のGaN層を約1mm形成させ、GaN単結晶を得た。得られたGaN単結晶の表面モフォロジーは実施例2とは異なり、成長した表面は(1−100)面と等価な面のファセットが顕著に出る表面状態になった。次に(11−20)面の表面研磨を行うことで鏡面に仕上げると、得られたGaN単結晶は下地基板に起因する人工的な加工模様がないため均質であり、欠陥がなくて非常に透明であった。
得られたGaN単結晶は、波長450nmの光を照射して測定される最大反射率が18.5%、最小反射率が15.7%であり、その差は10%以内であった。
また、結晶内に欠陥集中領域は存在しなかった。
表面が(0001)面からなる酸化亜鉛基板の代わりに、表面が(0001)面から<1−100>方向に2度傾斜した基板を使用した以外は実施例1と同様の工程を実施してGaN単結晶を得た。m軸方向へのステップフロー成長の効果で、表面モフォロジーはさらに改善された。
また、さらに(11−20)面から<1−100>方向へ傾斜した基板でも同じように表面モフォロジーの改善が見られた。得られたGaN単結晶は、下地基板に起因する人工的な加工模様がないため均質であり、欠陥がなくて透明であった。
得られたGaN単結晶は、波長450nmの光を照射して測定される最大反射率が18.0%、最小反射率が15.0%であり、その差は10%以内であった。
また、結晶内に欠陥集中領域は存在しなかった。
表面が(0001)面からなる厚み500μm、一辺が2cmの正方形の酸化亜鉛元基板を用意し、あらかじめ有機溶剤で洗浄することにより前処理した後、MBE装置で0.4μmの初期GaN層を成長した。そのサンプルをHVPE装置に設置し、850℃に昇温した後、原料ガスを導入して約2時間エピタキシャル成長させることにより、第1のGaN層を約60μm堆積させて下地層を形成した。
次に、下地層をそのままの温度に維持したまま、NH3ガスを分圧で10%程度流すことによって酸化亜鉛元基板をNH3ガスと反応させて昇華消失させた。
その後、温度を1050℃に昇温し、第1のGaN層上に原料ガスを導入して約10時間エピタキシャル成長させることにより、第2のGaN層を約1mm形成させ、GaN単結晶を得た。
得られたGaN単結晶は、下地基板に起因する人工的な加工模様がないため均質であり、欠陥がなくて非常に透明であった。
また、結晶内に欠陥集中領域は存在しなかった。
表面が(0001)面からなる厚み500μm、一辺が2cmの正方形の酸化亜鉛元基板を用意し、あらかじめ有機溶剤で洗浄することにより前処理した後、MBE装置で0.4μmの初期GaN層を成長した。そのサンプルをHVPE装置に設置し、1050℃に昇温した後、原料ガスを導入して約2時間エピタキシャル成長させることにより、第1のGaN層を約60μm堆積させて下地層を形成した。
次に、下地層をそのままの温度に維持したまま、NH3ガスを分圧で10%程度流すことによって酸化亜鉛元基板をNH3ガスと反応させて昇華消失させた。
その後、温度を1050℃に維持し、第1のGaN層上に原料ガスを導入して約10時間エピタキシャル成長させることにより、第2のGaN層を約1mm形成させ、GaN単結晶を得た。
得られたGaN単結晶は、下地基板に起因する人工的な加工模様がないため均質であり、欠陥がなくて非常に透明であった。
また、結晶内に欠陥集中領域は存在しなかった。
表面が(0001)面からなる厚み500μm、一辺が2cmの正方形の酸化亜鉛元基板を用意し、あらかじめ有機溶剤で洗浄することにより前処理した後、MBE装置で初期GaN層を0.4μm成長した。そのサンプルをHVPE装置に設置し、1050℃に昇温した後、原料ガスを導入して約10時間エピタキシャル成長させることにより、GaN層を約1mm形成させ、GaN単結晶を得た。下地の酸化亜鉛基板はGaN単結晶の成長中に自然に消失した。
得られたGaN単結晶は、下地基板に起因する人工的な加工模様がないため均質であり、欠陥がなくて非常に透明であった。
得られたGaN単結晶は、波長450nmの光を照射して測定される最大反射率が18.7%、最小反射率が15.7%であり、その差は10%以内であった。
また、結晶内に欠陥集中領域は存在しなかった。
表面が(0001)面からなる厚み430μm、直径2インチのサファイア基板を用意し、あらかじめ有機溶剤で洗浄することにより前処理した後、MOCVD装置で2μmの初期GaN層を成長した。そのサンプルをHVPE装置に設置し、1050℃に昇温した後、初期GaN層上に原料ガスを導入して約24時間エピタキシャル成長させることにより、GaN層を2.5mm形成した。成長後のサファイア基板はGaN層とのストレスから粉々に割れており、簡単にサファイア基板から独立したGaN単結晶を得ることができた。得られたGaN単結晶は、下地基板に起因する人工的な加工模様がないため均質であり、欠陥が極めて少なくて非常に透明であった。得られたGaN単結晶の(0002)X線ロッキングカーブの半値幅を測定したところ80arcsecであった。
得られたGaN単結晶は、波長450nmの光を照射して測定される最大反射率が18.9%、最小反射率は15.9%であり、その差は10%以内であった。
カソードルミネッセンス(CL)法により測定される結晶表面の転位密度の最大値は2.0×107cm-2、最小値は8.8×106cm-2であり、その比(最大値/最小値)は2.3であった。
カソードルミネッセンス観察装置として、Gatan UK製 MONOCL3+を使用し、加速電圧10kVで測定した。また、CL法による測定で転位密度が8.8×106cm-2であった箇所をTEM観察(使用装置:FEI製 TECNAI G2 F20、加速電圧200kV)したところ、転位密度は8.6×106cm-1であった。
また、結晶内に欠陥集中領域は存在しなかった。
表面が(0001)面からなる厚み430μm、直径2インチのサファイア基板を用意し、あらかじめ有機溶剤で洗浄することにより前処理した後、HVPE装置で1050℃で1時間成長し、5μmの初期GaN層を成長した。初期GaN膜の表面粗さ(Ra)は、0.7nmであった。次に初期GaN層上に原料ガスを導入して約24時間エピタキシャル成長させることにより、GaN層を2.5mm形成した。成長後には実施例8と同様に簡単にGaN単結晶を得ることができた。得られたGaN単結晶は、下地基板に起因する人工的な加工模様がないため均質であり、欠陥が極めて少なくて非常に透明であった。得られたGaN単結晶の(0002)X線ロッキングカーブの半値幅を測定したところ100arcsecであった。
得られたGaN単結晶は、波長450nmの光を照射して測定される最大反射率が18.9%、最小反射率が15.9%であり、その差は10%以内であった。
時間分解フォトルミネッセンス法により測定される寿命は200psであった。
また、結晶内に欠陥集中領域は存在しなかった。
表面が(0001)面からなる厚み430μm、直径2インチのサファイア基板を用意し、あらかじめ有機溶剤で洗浄することにより前処理した後、MOCVD装置で2μmの初期GaN層を成長した(サンプルA)。そのサンプルをHVPE装置に設置し、1050℃に昇温した後、初期GaN層上に原料ガスを導入して約5時間エピタキシャル成長させることにより、GaN層を0.5mm形成し、GaN単結晶を得た(サンプルB)。
得られたGaN単結晶は、下地基板に起因する人工的な加工模様がないため均質であり、欠陥が少なくて非常に透明であった。サンプルAとサンプルBの表面の両方について室温で時間分解フォトルミネッセンス(TRPL)測定を行った。時間分解フォトルミネッセンスの測定条件は以下の通りとした。
励起波長:294nm
パルス幅:250fs
繰り返し:76MHz
励起強度:15nJ/cm-2
スポット径:〜100μm
PL寿命の測定結果は、サンプルAが90psであったのに対して、サンプルBは400psであった。
また、各サンプルの欠陥密度をカソードルミネッセンス(CL)法で測定したところ、サンプルAが3.5×108cm-2であったのに対して、サンプルBは1.7×107cm-2であった。
得られたGaN単結晶は、波長450nmの光を照射して測定される最大反射率が19.2%、最小反射率が16.1%であり、その差は10%以内であった。
カソードルミネッセンス法により、GaN単結晶中心近傍で測定した転位密度の最大値は1.7×10-7cm-2、最小値は1.5×10-7cm-2であった。
また、結晶内に欠陥集中領域は存在しなかった。
表面が(0001)面からなる厚み500μm、直径2cmの酸化亜鉛元基板を用意し、あらかじめ有機溶剤で洗浄することにより前処理した後、該酸化亜鉛元基板をHVPE装置に設置し、850℃に昇温した後、GaとHClの反応生成物であるGaClと、5族ガスとしてNH3ガスとPH3(ホスフィン)とを同時に導入して、約2時間エピタキシャル成長させることにより、GaNP層を約60μm堆積させて下地層を形成した。酸化亜鉛元基板とGaNP層とが格子整合するように、NH3とPH3の流量をそれぞれ調整した。
次に、下地層をそのままの温度に維持したまま、NH3ガスを分圧で10%程度流すことによって、酸化亜鉛元基板をNH3ガスと反応させて昇華消失させた。
その後、一旦温度を下げて、酸化亜鉛元基板が消失した下地層をHVPE炉から取り出し、周辺に回り込んだGaNPの結晶をダイシングにより除去して平板状にし、再びHVPE装置に入れた。温度を1050℃に昇温し、残ったGaNP層上に、GaとHClの反応生成物であるGaClと、5族ガスとしてNH3ガスとPH3(ホスフィン)とを同時に導入して約10時間エピタキシャル成長させることにより、GaNP結晶層を約1mm形成させ、GaNP単結晶を得た。得られたGaN単結晶を光学顕微鏡及び蛍光顕微鏡で観察した結果、全面が均質であることが確認された。
得られたGaNP単結晶は、波長450nmの光を照射して測定される最大反射率が16.5%、最小反射率が15%であり、その差は10%以内であった。また、これまでの結晶同様に欠陥集中領域は存在しなかった。
表面が(0001)面からなる厚み500μm、一辺が2cmの正方形の酸化亜鉛元基板を用意し、あらかじめ有機溶剤で洗浄することにより前処理した。次いで、該酸化亜鉛元基板をHVPE装置に設置し、基板温度を650℃に昇温した後、原料ガスをHVPE装置に同時に導入して約2時間エピタキシャル成長させ、第1のGaN層を約60μm堆積させることにより下地層を形成した。
次に、基板温度の設定をそのまま650℃に維持し、NH3ガスを分圧で10%程度流すことによって酸化亜鉛元基板をNH3ガスと反応させたが、元基板は昇華消失しなかった。
その後、基板温度を1050℃に昇温し、第1のGaN層上に原料ガスを導入して約10時間エピタキシャル成長させて、第2のGaN層を約1mm形成させた。得られたGaN単結晶には、元基板との熱膨張係数の差によるクラックが入っており、透明性の悪いものであった。
102 第1のGaN層
103 下地層
104 第2のGaN層
105 GaN単結晶
Claims (22)
- BxAlyGazIn1-x-y-zNsPtAs1-s-t (式中、0≦x≦1、0≦y<1、0<z≦1、0<s≦1、0≦t<1)で表される組成を有し、且つ下記(a)、(b)及び(c)の少なくとも1つを満たすことを特徴とするGa含有窒化物半導体単結晶。
(a)Ga含有窒化物半導体単結晶に波長450nmの光を照射して測定される最大反射率が20%以下であり、最大反射率と最小反射率との差が10%以内である。
(b)カソードルミネッセンス法により測定される転位密度の最大値と最小値の比(最大値/最小値)が10以下である。
(c)時間分解フォトルミネッセンス法により測定される寿命が95ps以上である。 - 結晶内に下記(d)で定義される欠陥集中領域が存在しないことを特徴とする請求項1に記載のGa含有窒化物半導体単結晶。
(d)格子欠陥が1010個/cm2以上であり、長さが2μm以上、幅が2μm以上、且つ高さが2μm以上の領域。 - 大きさが400mm2以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のGa含有窒化物半導体単結晶。
- 厚みが350μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のGa含有窒化物半導体単結晶。
- 結晶中に含まれる格子欠陥が108個/cm2未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のGa含有窒化物半導体単結晶。
- 六方晶又は立方晶であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のGa含有窒化物半導体単結晶。
- 組成がGaNであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のGa含有窒化物半導体単結晶。
- 元基板上にGa含有窒化物半導体単結晶を成長させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
- 元基板が化合物半導体単結晶であり、その格子定数がa軸方向に0.30nm〜0.36nmであり、c軸方向に0.48nm〜0.58nmであることを特徴とする請求項8に記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
- 元基板のバンドギャップエネルギーが2.0eV〜6.5eVであることを特徴とする請求項8又は9に記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
- 元基板が一般式Bx'Aly'Gaz'In1-x'-y'-z'Ns'Pt'As1-s'-t' (式中、0≦x’≦1、0≦y’<1、0<z’≦1、0<s’≦1、0≦t’<1)で表される組成を有することを特徴とする請求項8又は9に記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
- 元基板がサファイア、酸化亜鉛又は窒化ガリウムであることを特徴とする請求項8に記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
- 元基板上に形成された初期窒化物半導体層上にGa含有窒化物半導体単結晶を成長させることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
- 初期窒化物半導体層の厚みが0.1μm〜5.0μmであることを特徴とする請求項13に記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
- 元基板上に形成された初期窒化物半導体層上に第1のGa含有窒化物半導体単結晶を成長させ、さらにその上に第2のGa含有窒化物半導体単結晶層を成長させることを特徴とする請求項13又は14に記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
- 初期窒化物半導体層が窒化ガリウムであることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
- 元基板及び/又は元基板上に形成される初期窒化物半導体層の表面粗さRaが1nm以下であることを特徴とする請求項8〜16のいずれか1項に記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
- ハイドライド気相成長法によりGa含有窒化物半導体単結晶を成長させることを特徴とする請求項8〜17のいずれか1項に記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
- Ga含有窒化物半導体単結晶の成長中に副生物として生成する塩化アンモニウム又は塩化アンモニウム含有ガスを400℃以上の温度に保ちながら排出することを特徴とする請求項8〜18のいずれか1項に記載のGa含有窒化物半導体単結晶の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のGa含有窒化物半導体単結晶を含む半導体デバイス用基板。
- 請求項20に記載の半導体デバイス用基板を用いた発光デバイス。
- 請求項20に記載の半導体デバイス用基板を用いた電子デバイス。
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