JP2006297539A - ウォームホイール及びその加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ウォームとウォームホイールの噛合いを「面」当たりに近くすることにより、摩耗耐久性能を向上すること。
【解決手段】 ウォームホイール1を、ウォームより大きな径の台形形状切削刃を持つホブカックー2によって加工するに際して、ホブカッター2の台形形状の切削刃は、従来例に比べて、その刃先及び刃元を薄くするような修整が施してある。そのため、使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工したウォームホイール1に近い形状が得られ、したがって、ウォームとウォームホイール1間で、「面」当たりに近い噛合いを実現できる。
【選択図】 図4
【解決手段】 ウォームホイール1を、ウォームより大きな径の台形形状切削刃を持つホブカックー2によって加工するに際して、ホブカッター2の台形形状の切削刃は、従来例に比べて、その刃先及び刃元を薄くするような修整が施してある。そのため、使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工したウォームホイール1に近い形状が得られ、したがって、ウォームとウォームホイール1間で、「面」当たりに近い噛合いを実現できる。
【選択図】 図4
Description
本発明は、電動パワーステアリング装置等に使用される、例えば樹脂製のウォームホイール及びその加工方法に関する。
電動パワーステアリング装置等に使用される樹脂製のウォームホイールを加工する際には、使用時に組み合わされるウォームと同一形状の切削刃を持ち、ウォームと同一外径のホブカッターを用いて加工することにより、摩耗耐久性能に優れた理想的な歯形を得ることができる。
しかしながら、そのようなホブカッターでは、加工効率が低い、或いは工具寿命が短く、経済性が悪いため、実用的ではない。
そこで、台形形状の切削刃を持ち使用時に組み合わされるウォームより大きな径のホブカッターで加工するのが一般的である。
そのような大径の台形形状切削刃を持つホブカッターで加工されたウォームホイールは、ウォームとの噛合いが「点」当たりに近く、摩耗しやすいという問題がある。
特許文献1では、ウォームホイールの歯元側圧力角を歯先側圧力角より小さくすることによりギヤの局部当たりを抑制し、摩耗対策としている。
すなわち、特許文献1では、「ウォームとウォームホイールの少なくとも一方において、噛み合いピッチ円径に対して歯元側の圧力角を、歯先側の圧力角より小さくすることで、磨耗している箇所を逃がすような歯形状とできることが判明し、又そうすることで、実際に局部摩耗を低減できることも確認された。かかる圧力角の差は、大きすぎると悪影響が生じるので、2度以内であると好ましい。更に、ピッチ円径に対して歯元側の圧力角が、歯先側の圧力角より小さくなっている限り、歯断面が異なる円弧(直線を含む)を滑らかに連結して形成されるような形状でよい。」と開示している。
具体的には、図9に示すように、ウォーム21の圧力角αnは一定で16°である。一方、ウォームホイール22の圧力角αnは、噛み合いピッチ円径を挟んで歯元側が15°、歯先側が16°となっている。
なお、図9は、従来の特許文献1に開示してあるウォームとウォームホイールの歯形状を示す図である。
また、特許文献2では、使用時に組み合わされるウォームを基準としてピッチ円径、条数を独自に設定し、前記ウォームの歯形と共役な歯形と、前記ウォームと等しい進み角を具える切れ刃を有するホブにより、ウォームホイールの歯面を修整し、滑らかな噛合いを得るとしている。
特開2002−139127号公報
特開2003−136331号公報
しかしながら、特許文献1の対策では、ギヤの局部当たりを抑制することはできても、ウォームとの噛合いは「点」当たりに近く、特に、重荷重の場合には、ウォームホイールの摩耗を防止するのは難しい。
また、特許文献2の対策も、ウォームとの噛合いは、「点」当たりに近く、ウォームホイールの摩耗を防止するものではない。
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、ウォームとウォームホイールの噛合いを「面」当たりに近くすることにより、摩耗耐久性能を向上することができる、ウォームホイール及びその加工方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1に係るウォームホイールの加工方法は、ウォームホイールを、台形形状の切削刃を持ち使用時に組み合わされるウォームより大きな径のホブカッターによって、加工するウォームホイールの加工方法に於いて、
前記ホブカッターの台形形状の切削刃は、その刃先及び刃元を薄くするような修整が施してあることを特徴とする。
前記ホブカッターの台形形状の切削刃は、その刃先及び刃元を薄くするような修整が施してあることを特徴とする。
本発明の請求項2に係るウォームホイールは、前記請求項1に記載したホブカッターによって、加工して製造したことを特徴とする。
本発明によれば、ホブカッターの台形形状の切削刃は、その刃先及び刃元を薄くするような修整が施してあることから、使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工したウォームホイールに近い形状が得られる。
したがって、ウォームとウォームホイール間で、「面」当たりに近い噛合いを実現し、摩耗耐久性能に優れたウォームホイールが得られる。
以下、本発明の実施の形態に係るウォームホイール及びその加工方法を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係り、台形形状切削刃を持つホブカッターを用いたウォームホイール1の加工の模式図である。
本実施の形態は、図1に示すウォームより大きな径の台形形状切削刃を持つホブカッター2による加工において、以下のように切削刃の形状に修整を加えるものである。
まず、ウォームより大きな径の台形形状切削刃を持つホブカッター2により加工される軸直角中央断面における歯形形状を算出する。
これは、ホブ加工における台形形状切削刃上の点群の軌跡を計算し、その重ね合わせが除去される部分であり、残るのが加工される歯形形状とする計算法により求めることが出来る。
図2は、圧力角14.5°、モジュール2.65、歯数37、基準ピッチ円直径103.92mmのウォームホイールについて台形形状切削刃を持つホブカッターにより加工される歯形を算出した例であり、図2(a)は、軸直角断面における歯形をはすば歯車の理論インボリュート歯形と比較したもの、図2(b)は両者の差を拡大して示したものである。
図2(b)に示すように、台形形状切削刃を持つホブカッターにより加工される歯形は、理論インボリュート歯形に対して歯先側で30μm弱、歯元側で50μm程度肉厚の中間となっている。
次に、使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工した理想的なウォームホイールの軸直角中央断面における歯形形状を算出する。
これは、台形形状切削刃の場合と同様に切削刃上の点群の軌跡を計算し、その重ね合わせが除去される部分であり、残るのが加工される歯形形状とする計算法により求めることが出来る。
図3は、圧力角14.5゜、モジュール2.65、歯数37、基準ピッチ円直径103.92mmのウォームホイールについて使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工される歯形を算出した例であり、図3(a)は、軸直角断面における歯形をはすば歯車の理論インボリュート歯形と比較したもの、図3(b)は、両者の差を拡大して示したものである。
図3(b)に示すように、ウォームと同一形状、同一サイズをした工具により加工される歯形は、理論インボリュート歯形に対して歯先側で70μm程度、歯元側で120μm程度肉厚の中凹となっており、ウォームとの噛合いが図2に示した台形形状切削刃を持つホブカッダーにより加工される歯形よりも「面」当たりに近くなることを示している。
最後に、軸直角中央断面において使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工した理想的なウォームホイールの歯形と同形状になるように、ウォームより大きな径の台形形状切削刃を持つホブカッターの切削刃形状を修整する。
図4は、台形形状切削刃の修整を模式的に示したものである。
使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工した理想的なウォームホイールの歯形は、歯先側、歯元側が肉厚なので、切削刃は、逆に、刃先側、刃元側を薄くすればよい。
図2(b)及び図3(b)に示したように使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工される歯形は、台形形状切削刃を持つホブカッターにより加工される歯形と比較して、歯先側が約40μm、歯元側が約70μm余分に肉厚となっている。
そこで、第1段階として、台形形状切削刃の刃先側を70μm、刃元側を40μm薄くする修整を加える。
第2段階として、修整した切削刃形状で加工される歯形を計算し、使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工した理想的なウォームホイールの歯形形状と比較し、その差を小さくするように更に修整を加える。
以上を繰り返すことにより、軸直角中央断面において使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工した理想的なウォームホイールと同様の歯形形状を得るための切削刃形状を求めることが出来る。
図5は、軸直角中央断面において図2に示した台形形状切削刃を持つホブカッターにより加工される歯形を、図3に示した使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工される歯形と同様の形状となるように修整したホブカッターの切削刃形状の例である。
図5に示すように、刃先側を約150μm、刃元側を約60μm薄くすることにより、軸直角中央断面において使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工される歯形と同様の形状が得られた。
図6は、修整を加えたホブカッターで加工することにより得られる軸直角中央断面歯形形状と使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工したウォームホイールの軸直角中央断面歯形形状を示した図である。
そのように修整を加えた切削刃6を持つホブカッターで加工することにより、図6に示すように、軸直角中央断面において使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工した理想的なウォームホイールの軸直角中央断面形状4に近い歯形形状7が得られる。
図7は、台形形状切削刃を持つホブカッターで加工したウォームホイールの軸直角中央断面歯形形状と使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工したウォームホイールの軸直角中央断面歯形形状を示した図である。
この歯形は、図7に示す通常の台形形状切削刃を持つホブカッターで加工したウォームホイールの軸直角中央断面歯形形状3と比較して歯先、歯元の肉が厚くウォームとの噛合いが「面」当たりに近くなるように修整されていることを示している。
図8は、修整を加えたホブカッターで加工することにより得られる中央から離れた断面の軸直角断面歯形形状を示した図である。
ただし、図8に示すように、中央から離れた断面においては、上記の修整を加えたホブカッターで加工した歯形8は使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工したウォームホイールの歯形9より歯が厚い部分10が生じる。
これは、実際にこのウォームホイールをウォームと噛合わせた際に干渉が生じることを示している。
しかし、摩耗耐久性能が問題となるような重荷重下では弾性変形によりこのような干渉がある程度吸収されるので、弾性変形により吸収できる程度の干渉量となるように歯形の修整量を決めればよい。
弾性変形により吸収できる干渉量は使用条件によって異なるので、修整量ゼロから軸直角中央断面において使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工される歯形と同様の形状が得られるような修整量の範囲内で、面圧分布を求める解析或いは実機によるテストで問題ない修整量を確認し、修整量を決定すればよい。
以上から、本実施の形態に於いては、このようにウォームより大きな径のホブカッターにおいて台形形状の工具の刃先、刃元を薄くする修整を加えることにより、使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工したウォームホイールに近い形状を得ることができ、ウォームとウォームホイール間で「面」当たりに近い噛合いとなる摩耗耐久性能に優れたウォームホイールが得られる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されず、種々変形可能である。
1:ウォームホイール
2:台形形状切削刃を持つホブカッター
3:台形形状切削刃を持つホブカッターで加工したウォームホイールの軸直角中央断面歯形形状
4:使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工したウォームホイールの軸直角中央断面歯形形状
5:台形形状切削刃
6:修整を加えた切削刃
7:修整を加えたホブカッターで加工することにより得られる軸直角中央断面歯形形状
8:修整を加えたホブカッターで加工することにより得られる中央から離れた断面の軸直角断面歯形形状
9:使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工することにより得られる中央から離れた断面の軸直角断面歯形形状
10:修整を加えたホブカッターで加工することにより得られる軸直角断面歯形形状と使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工することにより得られる軸直角断面歯形形状間の中央から離れた断面における干渉部
21:ウォーム
22:ウォームホイール
2:台形形状切削刃を持つホブカッター
3:台形形状切削刃を持つホブカッターで加工したウォームホイールの軸直角中央断面歯形形状
4:使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工したウォームホイールの軸直角中央断面歯形形状
5:台形形状切削刃
6:修整を加えた切削刃
7:修整を加えたホブカッターで加工することにより得られる軸直角中央断面歯形形状
8:修整を加えたホブカッターで加工することにより得られる中央から離れた断面の軸直角断面歯形形状
9:使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工することにより得られる中央から離れた断面の軸直角断面歯形形状
10:修整を加えたホブカッターで加工することにより得られる軸直角断面歯形形状と使用時に組み合わされるウォームと同一形状、同一サイズをした工具で加工することにより得られる軸直角断面歯形形状間の中央から離れた断面における干渉部
21:ウォーム
22:ウォームホイール
Claims (2)
- ウォームホイールを、台形形状の切削刃を持ち使用時に組み合わされるウォームより大きな径のホブカッターによって、加工するウォームホイールの加工方法に於いて、
前記ホブカッターの台形形状の切削刃は、その刃先及び刃元を薄くするような修整が施してあることを特徴とするウォームホイールの加工方法。 - 前記請求項1に記載したホブカッターによって、加工して製造したことを特徴とするウォームホイール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005122600A JP2006297539A (ja) | 2005-04-20 | 2005-04-20 | ウォームホイール及びその加工方法 |
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Publications (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN108591368A (zh) * | 2018-06-01 | 2018-09-28 | 江苏理工学院 | 一种双蜗杆点线啮合传动机构 |
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2005
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CN108626335B (zh) * | 2018-06-01 | 2023-04-28 | 江苏理工学院 | 一种点线啮合蜗杆传动机构 |
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