JP2006293150A - 情報表示用パネル - Google Patents

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Abstract

【課題】隔壁のクラック発生や基板からの剥がれを防止できるとともに、両基板間のギャップを適正に保つことができ、隔壁幅の細線化が容易な情報表示用パネルを提供する。
【解決手段】少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板1、2間の、隔壁4によって仕切られた複数のセル内に、表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルにおいて、隔壁の引っ張り弾性率を10〜100MPaとするとともに、隔壁の破断伸びを2〜500%とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間の、隔壁によって仕切られた複数のセル内に、表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルに関するものである。
従来より、液晶(LCD)に代わる情報表示装置として、電気泳動方式、エレクトロクロミック方式、サーマル方式、2色粒子回転方式等の技術を用いた情報表示装置が提案されている。
これら従来技術は、LCDと比較すると、通常の印刷物に近い広い視野角が得られる、消費電力が小さい、メモリー機能を有している等のメリットがあることから、次世代の安価な情報表示装置に使用可能な技術として考えられており、携帯端末用情報表示、電子ペーパー等への展開が期待されている。特に最近では、分散粒子と着色溶液から成る分散液をマイクロカプセル化し、これを対向する基板間に配置して成る電気泳動方式が提案され、期待が寄せられている。
しかしながら、電気泳動方式では、液中を粒子が泳動するために液の粘性抵抗により応答速度が遅くなるという問題がある。さらに、低比重の溶液中に酸化チタン等の高比重の粒子を分散させているため沈降しやすくなっており、分散状態の安定性維持が難しく、情報表示の繰り返し書き換えの安定性に欠けるという問題を抱えている。また、マイクロカプセル化にしても、セルサイズをマイクロカプセルレベルにして、見かけ上、上述した欠点が現れにくくしているだけであって、本質的な問題は何ら解決されていない。
一方、溶液中での挙動を利用する電気泳動方式に対し、溶液を使わず、導電性粒子と電荷輸送層とを基板の一部に組み入れる方式も提案され始めている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、電荷輸送層、さらには電荷発生層を配置するために構造が複雑化するとともに、導電性粒子に電荷を一定に注入することは難しいため、表示安定性に欠けるという問題もある。
上述した種々の問題を解決するための一方法として、少なくとも一方が透明である2枚の対向する基板間に、隔壁により互いに隔離されたセルを形成し、セル内に表示媒体を封入した後、表示媒体に電界を与え、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルが知られている。
趙 国来、外3名、"新しいトナーディスプレイデバイス(I)"、1999年7月21日、日本画像学会年次大会(通算83回)"Japan Hardcopy’99"論文集、p.249-252
上述した情報表示用パネルでは、隔壁の物理的特性を特に考慮していなかったが、隔壁が硬すぎると、パネルに対して曲げの力が加わった場合、隔壁にクラックが発生したり隔壁が基板から剥がれたりする問題があった。一方、隔壁が柔らかすぎると、両基板間のギャップを適正に保つことができず、また、隔壁幅の細線化が難しくなる問題があった。
本発明の目的は上述した問題点を解消して、隔壁にクラックが発生することや隔壁の基板からの剥がれを防止できるとともに、両基板間のギャップを適正に保つことができ、隔壁幅の細線化が容易な情報表示用パネルを提供しようとするものである。
本発明の情報表示用パネルは、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間の、隔壁によって仕切られた複数のセル内に、表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルにおいて、隔壁の引っ張り弾性率を10〜100MPaとするとともに、隔壁の破断伸びを2〜500%としたことを特徴とするものである。
なお、本発明の情報表示用パネルの好適例としては、基板が樹脂からなること、隔壁の引っ張り弾性率が20〜60MPaであるとともに、隔壁の破断伸びが2〜200%であること、がある。
本発明の情報表示用パネルによれば、隔壁の物理的特性として、隔壁の引っ張り弾性率を10〜100MPaとするとともに、隔壁の破断伸びを2〜500%としているため、隔壁にクラックが発生することや隔壁が基板から剥がれることを防止できるとともに、両基板間のギャップを適正に保つことができ、隔壁幅の細線化が容易となる。
まず、本発明の情報表示用パネルの基本的な構成について説明する。本発明の情報表示用パネルでは、対向する基板間に隔壁によって形成された複数のセル内に封入された表示媒体に電界が付与される。付与された電界方向に沿って、帯電した表示媒体が電界の力やクーロン力などによって引き寄せられ、それら表示媒体が電位の切り替えによる電界方向の変化によって移動方向が換わることにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体が、均一に移動し、かつ、表示情報の繰り返し書換え時あるいは表示情報保存時の安定性を維持できるように、情報表示用パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極との電気影像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
本発明の製造方法に従って製造した情報表示用パネルの例を、図1〜図3に基づき説明する。
図1に示す例では、それぞれが少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種類以上の表示媒体(ここでは粒子群からなる白色表示媒体3Wと粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)を、基板1と基板2との間に封入し、基板間に何らかの電圧印加手段を用いることにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させ、黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行うか、あるいは、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。なお、図1に示す例では、基板1、2との間に隔壁4を格子状に設け四角形状のセルを形成している(図の手前にある隔壁は省略している)。
図2に示す例では、それぞれが少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種類以上の表示媒体(ここでは粒子群からなる白色表示媒体3Wと粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)を、基板1に設けた電極5と基板2に設けた電極6との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させ、黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行うか、あるいは、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。なお、図2に示す例では、基板1、2との間に隔壁4を格子状に設け四角形状のセルを形成している(図の手前にある隔壁は省略している)。
図3に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される1種類の光学的反射率と帯電性とを有する表示媒体(ここでは粒子群からなる白色表示媒体3Wを示す)を、基板1に設けた電極5と電極6との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と平行に移動させ、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行うか、あるいは、電極6もしくは基板1を観察者に視認させて電極6もしくは基板1の色(白色表示媒体3Wとは異なる光学的反射率により発現される色)の表示を行っている。なお、図3に示す例では、基板1、2との間に隔壁4を格子状に設け四角形状のセルを形成している(図の手前にある隔壁は省略している)。
以上の説明は、粒子群からなる白色表示媒体3Wを粉流体からなる白色表示媒体に、粒子群からなる黒色表示媒体3Bを粉流体からなる黒色表示媒体に、それぞれ置き換えた場合も同様に適用することが出来る。
上述した情報表示用パネルにおいて、本発明は、隔壁の引っ張り弾性率を10〜100MPa(好ましくは20〜60MPa)とするとともに、隔壁の破断伸びを2〜500%(好ましくは2〜200%)としたことを特徴とする。
隔壁の引っ張り弾性率及び破断伸びを一定範囲とする理由は以下の通りである。まず、引っ張り弾性率は、100MPaを超えると曲げ等によって生じる応力により、クラックや剥がれ等が起こりやすくなるとともに、10MPa未満であると隔壁幅の細線化が難しく、基板間で適正ギャップを保つのが困難となる。また、破断伸びは、500%を超えるとと隔壁幅の細線化が難しく、基板間で適正ギャップを保つのが困難となるとともに、2%未満であると曲げ等によって生じる応力により、クラックや剥がれ等が起こりやすくなる。
また、本発明の情報表示用パネルでは、隔壁の物理的特性を規定しているが、基板を樹脂から構成した場合、本発明をより好適に適用することができる。基板として好適に用いられる材料としては高分子材料が挙げられ、高分子材料の例としては、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリウレタン等を使用することができる。また、必要に応じて、これら高分子材料にフィラーを混合した複合樹脂基板を用いることもできる。なお、実際の基板としては、それぞれの用途に応じて表示面側及び背面側の基板として、透明な材料や不透明な材料を適宜選択して基板とすることができる。
以下、本発明の対象となる情報表示用パネルを構成する各部材について説明する。
基板については、少なくとも一方の基板は情報表示用パネル外側から表示媒体の色が確認できる透明な基板2であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。基板1は透明でも不透明でもかまわない。基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリルなどのポリマーシートや、金属シートのように可とう性のあるもの、および、ガラス、石英などの可とう性のない無機シートが挙げられる。基板の厚みは、2〜5000μmが好ましく、さらに5〜2000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、5000μmより厚いと、薄型情報表示用パネルとする場合に不都合がある。
情報表示用パネルに電極を設ける場合の電極形成材料としては、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属類やITO、酸化インジウム、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が例示され適宜選択して用いられる。電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布したりする方法が用いられる。視認側であり透明である必要のある表示面側基板2に設ける電極6は透明である必要があるが、背面側基板1に設ける電極は透明である必要はない。いずれの場合もパターン形成可能で導電性である上記材料を好適に用いることができる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、3〜1000nm、好ましくは5〜400nmが好適である。背面側基板1に設ける電極5の材質や厚みなどは上述した表示面側基板に設ける電極6と同様であるが、透明である必要はない。なお、この場合の外部電圧入力は、直流あるいは交流を重畳しても良い。
基板に設ける隔壁4の高さや幅は表示にかかわる表示媒体の種類により適宜最適設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は2〜100μm、好ましくは3〜50μmに、隔壁の高さは10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。表示面側基板と背面側基板とを重ね合わせて得られる情報表示用パネルにおけるセル形状は、隔壁形状によって図4に例示するような様々な形状のものが用いられる。表示面側から見える隔壁断面部分に相当する部分(隔壁の幅によって形成されるセルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、表示画像の鮮明さが増す。
次に、本発明の情報表示用パネルで表示媒体として例えば用いる粉流体について説明する。なお、本発明の情報表示用パネルで用いる粉流体の名称については、本出願人が「電子粉流体(登録商標):登録番号4636931」の権利を得ている。
本発明における「粉流体」は、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。例えば、液晶は液体と固体の中間的な相と定義され、液体の特徴である流動性と固体の特徴である異方性(光学的性質)を有するものである(平凡社:大百科事典)。一方、粒子の定義は、無視できるほどの大きさであっても有限の質量をもった物体であり、重力の影響を受けるとされている(丸善:物理学事典)。ここで、粒子でも、気固流動層体、液固流動体という特殊状態があり、粒子に底板から気体を流すと、粒子には気体の速度に対応して上向きの力が作用し、この力が重力とつりあう際に、流体のように容易に流動できる状態になるものを気固流動層体と呼び、同じく、流体により流動化させた状態を液固流動体と呼ぶとされている(平凡社:大百科事典)。このように気固流動層体や液固流動体は、気体や液体の流れを利用した状態である。本発明では、このような気体の力も、液体の力も借りずに、自ら流動性を示す状態の物質を、特異的に作り出せることが判明し、これを粉流体と定義した。
すなわち、本発明における粉流体は、液晶(液体と固体の中間相)の定義と同様に、粒子と液体の両特性を兼ね備えた中間的な状態で、先に述べた粒子の特徴である重力の影響を極めて受け難く、高流動性を示す特異な状態を示す物質である。このような物質はエアロゾル状態、すなわち気体中に固体状もしくは液体状の物質が分散質として安定に浮遊する分散系で得ることができ、本発明の情報表示用パネルで固体状物質を分散質とするものである。
本発明の情報表示用パネルは、少なくとも一方が透明な、対向する基板間に、例えば気体中に固体粒子が分散質として安定に浮遊するエアロゾル状態で高流動性を示す粉流体を封入するものであり、このような粉流体は、低電圧の印加でクーロン力などにより容易に安定して移動させることができる。
本発明に表示媒体として例えば用いる粉流体とは、先に述べたように、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。この粉流体は、特にエアロゾル状態とすることができ、本発明の情報表示用パネルでは、気体中に固体状の物質が分散質として比較的安定に浮遊する状態で表示媒体として用いられる。
次に、本発明の情報表示用パネルにおいて表示媒体を構成する表示媒体用粒子(以下、粒子ともいう)について説明する。表示媒体用粒子は、そのまま該表示媒体用粒子だけで構成して表示媒体としたり、その他の粒子と合わせて構成して表示媒体としたり、粉流体となるように調整、構成して表示媒体としたりして用いられる。粒子には、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。以下に、樹脂、荷電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
荷電制御剤としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤としては例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等がある。
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等がある。
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。
また、本発明の粒子は平均粒子径d(0.5)が、0.1〜20μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために粒子の移動に支障をきたすようになる。
更に本発明では、各粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各粒子のサイズが揃い、均一な粒子移動が可能となる。
さらにまた、各粒子の相関について、使用した粒子の内、最大径を有する粒子のd(0.5)に対する最小径を有する粒子のd(0.5)の比を50以下、好ましくは10以下とすることが肝要である。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに帯電特性の異なる粒子が互いに反対方向に動くので、互いの粒子サイズが近く、互いの粒子が当量ずつ反対方向に容易に移動できるようにするのが好適であり、それがこの範囲となる。
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
ここで、本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
表示媒体用粒子の帯電量は当然その測定条件に依存するが、情報表示用パネルにおける表示媒体用粒子の帯電量はほぼ、初期帯電量、隔壁との接触、基板との接触、経過時間に伴う電荷減衰に依存し、特に表示媒体用粒子の帯電挙動の飽和値が支配因子となっているということが分かった。
本発明者らは鋭意検討の結果、ブローオフ法において同一のキャリア粒子を用いて、表示媒体用粒子の帯電量測定を行うことにより、表示媒体用粒子の適正な帯電特性値の範囲を評価できることを見出した。
更に、本発明において乾式の表示媒体(粒子群または粉流体)を乾式の情報表示用パネルに用いる場合には、表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下、更に好ましくは35%RH以下とすることが重要である。
この空隙部分とは、図1において、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、電極5、6(電極を設けた場合)、表示媒体3(粒子群あるいは粉流体)の占有部分、隔壁4の占有部分、情報表示用パネルのシール部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。 空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように情報表示用パネルに封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、情報表示用パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
本発明の情報表示用パネルにおける基板と基板との間隔は、表示媒体が移動できて、コントラストを維持できればよいが、通常10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。
表示媒体に粒子群または粉流体を用いる場合、対向する基板間の空間における粒子群又は粉流体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には粒子又は粉流体の移動の支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
以下、本発明、比較例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記に限定されるものではない。
種々の引っ張り弾性率と破断伸びを有する隔壁からなる情報表示用パネルを検討するために、以下のような実験を行った。
<隔壁材料の引っ張り弾性率と破断伸びの評価>
まず、隔壁を構成する材料を幅10mm、長さ70mmで切り出し、露光(1000mJ/cm)後ベーク(160℃で1時間)し、評価用サンプルとした。この評価サンプルについて、(株)レオテック製レオメータRT−3010D−CWを用いて、図5に示すようにして評価サンプルの両端を10mmずつ引っ張り試験機の治具でチャックし、引っ張り試験を行い、その結果から、引っ張り弾性率と破断伸びを求めた。
<情報表示用パネルの準備>
まず、図6に示すように、厚み125μm、125μm角のPET基板に、高さ40μm、幅15μmの隔壁を開口率が90%となるようにしてハニカム構造を形成した。それを対向基板と接着したものをサンプルとした。サンプルとして、以下の表1に示すように、種々の引っ張り弾性率と破断伸びとの組合せた特性を有する隔壁を用いて、種々のサンプルを準備した。
<情報表示パネルの評価>
準備したサンプルに対し、プレス試験と曲げ試験とを行い、サンプルの状態を評価した。まず、プレス試験による評価は、図7に示すように、サンプルに対し荷重1.0tを加え、加圧30分保持後開放し、隔壁の外観を顕微鏡にて観察することで行った。また、曲げ試験による評価は、図8に示すように、サンプルを直径20mmの円柱に押し付け、確度が90°になるよう曲げる工程を10回繰り返し、10回繰り返し後の隔壁の外観を顕微鏡にて観察することで行った。結果を以下の表1に示す。
Figure 2006293150
表1の結果から、隔壁の引っ張り弾性率を10〜100MPaとするとともに、隔壁の破断伸びを2〜500%とすると、プレス試験及び曲げ試験の結果の良好な情報表示用パネルを得られることがわかる。
本発明の情報表示用パネルは、ノートパソコン、PDA、携帯電話、ハンディターミナル等のモバイル機器の表示部、電子ブック、電子新聞等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、電卓、家電製品、自動車用品等の表示部、ポイントカード、ICカード等のカード表示部、電子広告、電子POP、電子値札、電子棚札、電子楽譜、RF−ID機器の表示部などに好適に用いられる。
本発明の情報表示用パネルの一例を示す図である。 はそれぞれ本発明の情報表示用パネルの他の例を示す図である。 はそれぞれ本発明の情報表示用パネルのさらに他の例を示す図である。 本発明の情報表示用パネルにおける隔壁の形状の一例を示す図である。 実施例における隔壁の引っ張り弾性率及び破断伸びの測定法を説明するための図である。 実施例における情報表示用パネルのサンプルの構成を説明するための図である。 実施例におけるプレス試験の要領を説明するための図である。 実施例における曲げ試験の要領を説明するための図である。
符号の説明
1、2 基板
3W 白色表示媒体
3B 黒色表示媒体
4 隔壁
5、6 電極

Claims (3)

  1. 少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間の、隔壁によって仕切られた複数のセル内に、表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルにおいて、隔壁の引っ張り弾性率を10〜100MPaとするとともに、隔壁の破断伸びを2〜500%としたことを特徴とする情報表示用パネル。
  2. 前記基板が樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の情報表示用パネル。
  3. 前記隔壁の引っ張り弾性率が20〜60MPaであるとともに、隔壁の破断伸びが2〜200%であることを特徴とする請求項1または2に記載の情報表示用パネル。


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