JP2008058474A - 情報表示用パネル - Google Patents

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三博 西田
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Abstract

【課題】少なくとも3色の表示媒体を用いてエリアカラー表示をする際のカラー表示の制御が簡単な情報表示用パネルを提供する。
【解決手段】少なくとも三色、三種類の表示媒体3を用い、一色の表示媒体を正負の一方の帯電極性を有する表示媒体から構成し、その他の色の表示媒体の各別を正負の他方の帯電極性を有する表示媒体から構成し、隔壁により基板間に形成された各セル11内に、他方の帯電極性を有する表示媒体の数だけ、基板間の距離よりも短いリブ12により、背面基板側に各別の電極を有するサブセル11−1、11−2を形成し、前面基板側の電極と背面基板側の各別の電極との間に所定の電圧を印加することで、少なくとも3色以上の表示媒体のうちの一色の表示媒体のみを観察側の前面基板側に配置し、その色のカラー表示を可能に構成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、透明な前面基板と透明であることを要さない背面基板との間に、少なくとも光学的反射率と帯電性とを有した粒子で構成される表示媒体を封入し、各基板に設けた電極間に電圧を印加し、表示媒体に電界を与えることにより、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルに関するものである。
従来、透明な前面基板と透明であることを要さない背面基板との間に、少なくとも光学的反射率と帯電性とを有した粒子で構成される表示媒体を封入し、各基板に設けた電極間に電圧を印加し、表示媒体に電界を与えることにより、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルにおいて、少なくとも3色の表示媒体の間で、パネルの所定の領域毎に所定のカラーの表示を行うエリアカラー表示をするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−290178号公報
上述した特許文献1に画像表示装置として記載されている情報表示用パネルでは、駆動しきい値の異なる複数の粒子群を表示媒体として使用してカラー表示を行っている。そのため、同じ帯電極性を有する少なくとも2つの粒子群に対し、同じ帯電極性で駆動しきい値の差のみによりカラー表示の制御を行う必要があるため、カラー表示の制御が難しい問題があった。
本発明の目的は上述した問題点を解消して、少なくとも3色、三種類の表示媒体間でエリアカラー表示をする際のカラー表示の制御が簡単な情報表示用パネルを提供しようとするものである。
本発明の情報表示用パネルは、透明な前面基板と透明であることを要さない背面基板との間に、少なくとも光学的反射率と帯電性とを有した粒子で構成される表示媒体を封入し、各基板に設けた電極間に電圧を印加し、表示媒体に電界を与えることにより、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルにおいて、少なくとも三色、三種類の表示媒体を用い、一色の表示媒体を正負の一方の帯電極性を有する表示媒体から構成し、その他の色の表示媒体の各別を正負の他方の帯電極性を有する表示媒体から構成し、隔壁により基板間に形成された各セル内に、他方の帯電極性を有する表示媒体の数だけ、基板間の距離よりも短いリブにより、背面基板側に各別の電極を有するサブセルを形成し、前面基板側の電極と背面基板側の各別の電極との間に所定の電圧を印加することで、少なくとも3色以上の表示媒体のうちの一色の表示媒体のみを観察側の前面基板側に配置し、その色のカラー表示を可能に構成したことを特徴とするものである。
なお、本発明の情報表示用パネルの好適例として、前面基板側の電極および背面基板側の電極を、それぞれ互いに対向して直交するライン電極または互いにセル内で対向する個別電極から構成したこと、リブが、背面基板側から前面基板側に向かって幅が狭くなるクサビ状のリブであること、リブが、先端頂上がドーム状または屋根状の凸形状のリブであること、がある。
本発明によれば、少なくとも三色、三種類の表示媒体を用い、一色の表示媒体を正負の一方の帯電極性を有する表示媒体から構成し、その他の色の表示媒体の各別を正負の他方の帯電極性を有する表示媒体から構成し、隔壁により基板間に形成された各セル内に、他方の帯電極性を有する表示媒体の数だけ、基板間の距離よりも短いリブにより、背面基板側に各別の電極を有するサブセルを形成し、前面基板側の電極と背面基板側の各別の電極との間に所定の電圧を印加することで、少なくとも3色以上の表示媒体のうちの一色の表示媒体のみを観察側の前面基板側に配置し、その色のカラー表示を可能に構成したことで、少なくとも3色の表示媒体間でエリアカラー表示をする際のカラー表示の制御が簡単な情報表示用パネルおよびその製造方法を得ることができる。
まず、本発明の情報表示用パネルの基本的な構成について説明する。本発明の情報表示用パネルでは、対向する2枚の基板間に封入した少なくとも光学反射率と帯電性とを有する表示用粒子を以って構成される表示媒体に電界が付与される。付与された電界方向にそって、帯電した表示媒体が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、表示媒体が電界方向の変化によって移動方向を変えることにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体が、均一に移動し、かつ、表示情報を書き換える時あるいは表示した情報を継続して表示する時の安定性を維持できるように、情報表示用パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極や基板との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
本発明の対象となる情報表示用パネルにおける表示原理を、図1(a)、(b)に基づき説明する。
図1(a)、(b)に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種以上の表示媒体3(ここでは表示用白色粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wと表示用黒色粒子3Baの粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)を、基板1に設けた電極5と基板2に設けた電極6との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させ、黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行うか、あるいは、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。また、基板1、2との間に例えば格子状に隔壁4を設けセルを形成している。なお、図1(a)では基板上に個別電極を互いに対向して設け、図1(b)では基板上にライン電極を互いに対向して直交するように設けている。電極は基板の外側に設けてもよいし、基板内部に埋め込むように設けてもよい。また、図1(b)において、手前にある隔壁は省略している。
以上の説明は、粒子群からなる白色表示媒体3Wを粉流体からなる白色表示媒体に、粒子群からなる黒色表示媒体3Bを粉流体からなる黒色表示媒体に、それぞれ置き換えた場合も同様に適用することが出来る。粉流体については後述する。
図2(a)〜(d)はそれぞれ本発明の情報表示用パネルの一例を説明するための図である。図2(a)〜(d)に示す例において、図1(a)、(b)に示す例と同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。図2(a)〜(d)に示す例では、負の帯電極性を有する白色粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wと、正の帯電極性を有する黒色粒子3Baの粒子群からなる黒色表示媒体3Bと、正の帯電極性を有する赤色粒子3Raの粒子群からなる赤色表示媒体3Rと、からなる3色の表示媒体3を使用している。ここで、図2(a)では、前面電極6を個別前面電極6aとするとともに背面電極5をサブセル11−1、11−2に対応した個別背面電極5a−1、5a−2とから構成し、図2(b)では、前面電極6をライン前面電極6bとするとともに背面電極5をサブセル11−1、11−2に対応したライン背面電極5b−1、5b−2とから構成している。なお、正負の帯電極性、色の組合せは上述した例に限定されるものではない。また、同じ帯電極性の表示媒体(ここでは黒色表示媒体3Bと赤色表示媒体3R)は、同じ帯電特性(例えば同じしきい値電圧)を有していても良いし、異なる帯電特性を有していても良い。
図2(a)〜(d)に示す例において、本発明の特徴は、隔壁4から形成される1セル11内において、背面基板1側に基板1、2間の距離より短く上部が前面基板2と接しないリブ12を形成し、背面基板1側に背面電極5−1、5−2を各別に有する2つのサブセル11−1、11−2を形成し、同じ正帯電極性を有する黒色表示媒体3Bと赤色表示媒体3Rとを、2つのサブセル11−1、11−2内に各別に配置した点である。そして、前面基板2側の前面電極6と背面電極5−1、5−2との間に所定の電圧を印加することで、観察側である前面基板2側に一色の表示媒体3、ここでは白色表示媒体3W、を配置して、カラー表示を行っている。そのため、本例では、白色が表示される。
図3−1(a)〜(c)および図3−2(a)〜(b)はそれぞれ本発明の情報表示用パネルの他の例を説明するための図である。図3−1(a)〜(c)および図3−2(a)〜(b)に示す例において、図2(a)〜(d)に示す例と同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。図3−1(a)〜(c)および図3−2(a)〜(b)に示す例において、図2(a)〜(d)に示す例と異なる点は、負帯電極性の白色表示媒体3Wと、正帯電極性の赤色表示媒体3Rと、正の帯電極性を有する緑色表示媒体3Gaの粒子群からなる緑色表示媒体3Gと、正の帯電極性を有する青色表示媒体3BLaの粒子群からなる青色表示媒体3BLと、からなる4種の表示媒体3を使用した点、および、2つのリブ12−1、12−2を使用して1セル11内に3つのサブセル11−1〜11−3を形成し、3つのサブセル11−1〜11−3の各別に、正帯電極性の赤色表示媒体3R、緑色表示媒体3G、青色表示媒体3BLaを各別に配置した点である。なお、隔壁と隔壁との間に設ける本発明のリブ12−1、12−2は、図3−2(a)に示すように、セル内で完全に連続した構造となっていても、図3−2(b)に示すように、断続的に連続した構造となっていてもよいが、隔壁4とは接合されている構造とすることが好ましい。この断続した隔壁構造は、図2のリブ12に対しても適用できることはいうまでもない。
次に、本発明の情報表示用パネルの駆動方法について説明する。
図4(a)〜(c)はそれぞれ本発明の情報表示用パネルの駆動方法の一例を説明するための図である。図4(a)〜(c)に示す例では、図2(a)〜(d)に示す3色の表示媒体3を使用した例の駆動方法を説明するが、4種以上の表示媒体3の例でも基本的な駆動方法は同じである。
まず、図4(a)に示す初期状態を白色表示状態とし、共通の前面電極6bに例えば負の帯電極性を有する白色粒子3Waとは反対の正の電圧+V1を印加するとともに、ライン背面電極5b−1、5b−2の各々に正の帯電極性を有する黒色粒子3Baおよび赤色粒子3Raとは反対の負の電圧−V2、−V3をそれぞれ印加する。次に、上述した初期状態から図4(b)に示す黒色表示状態に変えるためには、共通の前面電極6bに負の電圧−V2を印加し、ライン背面電極5b−1に正の電圧+V1を印加し、ライン背面電極5b−2には負の電圧−V3を印加したままの状態とする。この場合、黒色表示媒体3Bは電気力線の広がりに従って前面基板2の全体に広がり、一方、前面基板2の白色表示媒体3Wはサブセル11−1に移動し、さらに、赤色表示媒体3Rはサブセル11−2に残り、これにより黒色表示を行うことができる。また、上述した初期状態から図4(c)に示す赤色表示状態をするためには、共通の前面電極6bに負の電圧−V3を印加し、ライン背面電極5b−1には負の電圧−V2を印加したままの状態とし、ライン背面電極5b−2に正の電圧+V1を印加する。この場合、赤色表示媒体3Rは電気力線の広がりに従って前面基板2の全体に広がり、一方、前面基板2の白色表示媒体3Wはサブセル11−2に移動し、さらに、黒色表示媒体3Bはサブセル11−1に残り、これにより赤色表示を行うことができる。本例では、ライン電極を例にとって説明したが、個別電極でも全く同じ駆動方法となる。
なお、一旦黒色表示をした後赤色表示にする場合、直接黒色表示から赤色表示とすることはできず、一度白色表示の初期状態に戻す必要がある。また、サブセル11−1、11−2の間に背の低いリブ12が存在するため、電圧印加の際の横方向の電界での表示媒体3の移動を防ぐことができる。また、上述した例ではリブ12は断面四角形の形状となっているが、好ましい態様として、図5(a)に示すような背面基板1側から前面基板2側に向かって幅が狭くなるクサビ状のリブ4−1や、図5(b)に示すように先端頂上が屋根状の凸形状のリブ4−2や、図5(c)に示すような先端頂上がドーム状の凸形状のリブ4−3とすることができる。
以下、本発明の情報表示用パネルを構成する各部材について説明する。
基板については、少なくとも一方の観察側前面基板は情報表示用パネル外側から表示媒体の色が確認できる透明な基板2であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。基板1は透明でも不透明でもかまわない。基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリルなどのポリマーシートや、金属シートのように可とう性のあるものや、ガラスシート、石英シートのような可とう性のないものが挙げられる。基板の厚みは、2〜5000μmが好ましく、さらに5〜2000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、5000μmより厚いと、薄型情報表示用パネルとする場合に不都合がある。
電極形成材料としては、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属類や酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、導電性酸化錫、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が例示され適宜選択して用いられる。電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布したりする方法が用いられる。観察側であり透明である必要のある前面基板2に設ける電極は透明である必要があるが、背面側基板1に設ける電極は透明である必要はない。いずれの場合もパターン形成可能で導電性である上記材料を好適に用いることができる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、3〜1000nm、好ましくは5〜400nmが好適である。背面側基板1に設ける電極の材質や厚みなどは上述した表示面側基板に設ける電極と同様であるが、光透過性がなくてもよい。また、この場合の外部電圧入力は、直流あるいは交流を重畳しても良い。
基板に設ける隔壁4については、その形状は表示にかかわる表示媒体の種類や、配置する電極の形状、配置により適宜最適設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は2〜100μm、好ましくは3〜50μmに、隔壁の高さは10〜100μm、好ましくは10〜50μmに調整される。
また、隔壁を形成するにあたり、対向する両基板1、2の各々にリブを形成した後に接合する両リブ法、片側の基板上にのみリブを形成する片リブ法が考えられる。この発明では、いずれの方法も好適に用いられる。
これらのリブからなる隔壁により形成されるセルは、図5に示すごとく、基板平面方向からみて四角状、三角状、ライン状、円形状、六角状が例示され、配置としては格子状やハニカム状や網目状が例示される。表示面側から見える隔壁断面部分に相当する部分(セルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、表示状態の鮮明さが増す。
ここで、隔壁の形成方法を例示すると、金型転写法、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、フォトリソ法、アディティブ法が挙げられる。いずれの方法もこの発明の情報表示用パネルに好適に用いることができるが、これらのうち、レジストフィルムを用いるフォトリソ法や金型転写法が好適に用いられる。隔壁と隔壁との間に設ける本発明のリブは、隔壁を作製するときに同時に作製することが好ましい。この場合、隔壁と同じ高さに形成した後、リブ部分を削って高さを低くする方法が片リブ法では用いられ、両リブ法では、一方の基板に隔壁、リブを同じ高さで形成し、もう一方の基板に、隔壁のみを形成し、基板同士を隔壁頂上で接合する方法を用いる。
次に、本発明の情報表示用パネルで表示媒体として例えば用いる粉流体について説明する。なお、本発明の情報表示用パネルで用いる粉流体の名称については、本出願人が「電子粉流体(登録商標):登録番号4636931」の権利を得ている。
本発明における「粉流体」は、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。例えば、液晶は液体と固体の中間的な相と定義され、液体の特徴である流動性と固体の特徴である異方性(光学的性質)を有するものである(平凡社:大百科事典)。一方、粒子の定義は、無視できるほどの大きさであっても有限の質量をもった物体であり、重力の影響を受けるとされている(丸善:物理学事典)。ここで、粒子でも、気固流動層体、液固流動体という特殊状態があり、粒子に底板から気体を流すと、粒子には気体の速度に対応して上向きの力が作用し、この力が重力とつりあう際に、流体のように容易に流動できる状態になるものを気固流動層体と呼び、同じく、流体により流動化させた状態を液固流動体と呼ぶとされている(平凡社:大百科事典)。このように気固流動層体や液固流動体は、気体や液体の流れを利用した状態である。本発明では、このような気体の力も、液体の力も借りずに、自ら流動性を示す状態の物質を、特異的に作り出せることが判明し、これを粉流体と定義した。
すなわち、本発明における粉流体は、液晶(液体と固体の中間相)の定義と同様に、粒子と液体の両特性を兼ね備えた中間的な状態で、先に述べた粒子の特徴である重力の影響を極めて受け難く、高流動性を示す特異な状態を示す物質である。このような物質はエアロゾル状態、すなわち気体中に固体状もしくは液体状の物質が分散質として安定に浮遊する分散系で得ることができ、本発明の情報表示用パネルで固体状物質を分散質とするものである。
本発明の情報表示用パネルは、少なくとも一方が透明な、対向する基板間に、例えば気体中に固体粒子が分散質として安定に浮遊するエアロゾル状態で高流動性を示す粉流体を封入するものであり、このような粉流体は、粉体の流動性を示す指数である安息角を形成しないほど流動性に富んだ状態を示すものであり、低電圧の印加等で形成される電界でクーロン力などにより容易に安定して移動させることができる。
本発明に表示媒体として例えば用いる粉流体とは、先に述べたように、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。この粉流体は、特にエアロゾル状態とすることができ、本発明の情報表示用パネルでは、気体中に固体状の物質が分散質として比較的安定に浮遊する状態を容易に作り出せる表示媒体として用いられる。
次に、本発明の対象となる情報表示用パネルにおいて表示媒体を構成する表示用有色粒子(以下、粒子ともいう)について説明する。表示用有色粒子は、そのまま該表示用有色粒子だけで構成して表示媒体としたり、その他の粒子と合わせて構成して表示媒体としたり、粉流体となるように調整したりして用いられる。
粒子は、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、従来と同様に、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。以下に、樹脂、荷電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
荷電制御剤(CCA)としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤としては例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等がある。
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等がある。
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。
上記した各種着色剤を配合して所望の色の表示用有色粒子を作製できる。
また、表示用有色粒子(以下、粒子ともいう)は平均粒子径d(0.5)が、1〜20μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために表示媒体としての移動に支障をきたすようになる。
更に本発明では、各粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各粒子のサイズが揃い、均一な表示媒体としての移動が可能となる。
さらにまた、各粒子の相関について、使用した粒子の内、最大径を有する粒子のd(0.5)に対する最小径を有する粒子のd(0.5)の比を50以下、好ましくは10以下とすることが肝要である。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに帯電特性の異なる粒子が互いに反対方向に動くので、互いの粒子サイズが近く、互いの粒子が当量ずつ反対方向に容易に移動できるようにするのが好適であり、それがこの範囲となる。
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
ここで、本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
表示用有色粒子の帯電量は当然その測定条件に依存するが、情報表示用パネルにおける表示用有色粒子の帯電量はほぼ、初期帯電量、隔壁との接触、基板との接触、経過時間に伴う電荷減衰に依存し、特に表示用有色粒子の帯電挙動の飽和値が支配因子となっているということが分かった。
本発明者らは鋭意検討の結果、ブローオフ法において同一のキャリア粒子を用いて、表示媒体に用いる粒子の帯電量測定を行うことにより、表示用有色粒子の適正な帯電特性値の範囲を評価できることを見出した。
更に、表示用有色粒子で構成する表示媒体を気中空間で駆動する乾式の情報表示用パネルに適用する場合には、基板間の表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下とすることが重要である。
この空隙部分とは、図1(a)、(b)において、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、電極5、6(電極を基板の内側に設けた場合)、表示媒体3の占有部分、隔壁4の占有部分、情報表示用パネルのシール部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように情報表示用パネルに封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、情報表示用パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
本発明の情報表示用パネルにおける基板と基板との間隔は、表示媒体が移動できて、コントラストを維持できればよいが、通常10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。
対向する基板間の空間における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体の移動に支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
本発明の情報表示用パネルは、ノートパソコン、電子手帳、PDA(Personal Digital Assistants)と呼ばれる携帯型情報機器、携帯電話、ハンディターミナル等のモバイル機器の表示部、電子ブック、電子新聞等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板(ホワイトボード)等の掲示板、電子卓上計算機、家電製品、自動車用品等の表示部、ポイントカード、ICカード等のカード表示部、電子広告、情報ボード、電子POP(Point Of Presence, Point Of Purchase advertising)、電子値札、電子棚札、電子楽譜、RF−ID機器の表示部のほか、POS端末、カーナビゲーション装置、時計など様々な電子機器の表示部に好適に用いられる。
なお、本発明に係る情報表示用パネルの駆動方式については、パネル自体にスイッチング素子を用いない単純マトリックス駆動型表示用パネルやスタティック駆動型表示用パネル、また、薄膜トランジスタ(TFT)で代表される三端子スイッチング素子あるいは薄膜ダイオード(TFD)で代表される二端子スイッチング素子を用いたアクティブマトリックス駆動型表示用パネルなど、種々のタイプの駆動方式を用いることができる。
(a)、(b)はそれぞれ本発明の情報表示用パネルの一例の構成を示す図である。 (a)〜(d)はそれぞれ本発明の情報表示用パネルの一例を説明するための図である。 (a)〜(c)はそれぞれ本発明の情報表示用パネルの他の例を説明するための図である。 (a)、(b)はそれぞれ本発明の情報表示用パネルの他の例を説明するための図である。 (a)〜(c)はそれぞれ本発明の情報表示用パネルの駆動方法の一例を説明するための図である。 (a)〜(c)はそれぞれ本発明の情報表示用パネルにおける隔壁の断面形状の一例を示す図である。 本発明の情報表示用パネルにおける隔壁の形状の一例を示す図である。
符号の説明
1、2 基板
3 表示媒体(粒子群、粉流体)
3W 表示用白色媒体
3Wa 表示用白色粒子
3B 黒色表示媒体
3Ba 表示用黒色粒子
3R 赤色表示媒体
3Ra 表示用赤色粒子
3G 緑色表示媒体
3Ga 表示用緑色粒子
3BL 青色表示媒体
3BLa 表示用青色粒子
4。4−1、4−2、4−3 隔壁
5、5−1、5−2、5−3 背面電極
5a−1、5a−2、5a−3 個別背面電極
5b−1、5b−2、5b−3 ライン背面電極
6 前面電極
6a 個別前面電極
6b ライン前面電極
11 セル
11−1、11−2、11−3 サブセル
12、12−1、12−2 リブ

Claims (4)

  1. 透明な前面基板と透明であることを要さない背面基板との間に、少なくとも光学的反射率と帯電性とを有した粒子で構成される表示媒体を封入し、各基板に設けた電極間に電圧を印加し、表示媒体に電界を与えることにより、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルにおいて、
    少なくとも三色、三種類の表示媒体を用い、一色の表示媒体を正負の一方の帯電極性を有する表示媒体から構成し、その他の色の表示媒体の各別を正負の他方の帯電極性を有する表示媒体から構成し、
    隔壁により基板間に形成された各セル内に、他方の帯電極性を有する表示媒体の数だけ、基板間の距離よりも短いリブにより、背面基板側に各別の電極を有するサブセルを形成し、
    前面基板側の電極と背面基板側の各別の電極との間に所定の電圧を印加することで、少なくとも3色以上の表示媒体のうちの一色の表示媒体のみを観察側の前面基板側に配置し、その色のカラー表示を可能に構成したことを特徴とする情報表示用パネル。
  2. 前記前面基板側の電極および背面基板側の電極を、それぞれ互いに対向して直交するライン電極または互いにセル内で対向する個別電極から構成したことを特徴とする請求項1に記載の情報表示用パネル。
  3. 前記リブが、背面基板側から前面基板側に向かって幅が狭くなるクサビ状のリブであることを特徴とする請求項1または2に記載の情報表示用パネル。
  4. 前記リブが、先端頂上がドーム状または屋根状の凸形状のリブであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報表示用パネル。


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