JP2006291902A - ピストン機関 - Google Patents

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大作 澤田
Shinichi Mitani
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Abstract

【課題】ピストンの往復運動を回転運動に変換する熱機関において、ピストンに対する加工を最小限に抑えること。
【解決手段】このピストン機関1は、シリンダ2内をピストン3が往復運動するピストン機関である。このピストン機関1は、シリンダ2の一端が接続されるクランクケース4と、シリンダ2に設けられる作動空間開口部13sとクランクケース開口部13cと、両者を接続する連通通路12とを備える。そして、ピストン3が中立位置、すなわちピストン3のストロークの中心位置にあるときには、作動空間開口部13sが作動空間2Iに開口し、また、クランクケース開口部13cはクランクケース内部空間4Iに開口する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シリンダ内をピストンが往復するピストン機関に関する。
近年、乗用車やバス、トラック等の車両に搭載される内燃機関の排熱や工場排熱を回収するための熱機関として、理論熱効率に優れたスターリングエンジンが注目されてきている。特許文献1には、冷熱の発生を目的としたスターリングエンジンが開示されている。これは、ピストンに空気流通通路を設け、ピストンが釣り合い位置にきたときに、作動空間とピストン背面空間とが前記空気流通通路を通じて連通し、ピストンの往復運動時における中心位置を安定化するスターリングエンジンである。
特開2002−130853号公報
しかし、特許文献1に開示されている技術では、ピストンに空気流通通路を設けるため、ピストンに加工が必要となる。排熱回収を目的として用いられる熱機関では、内燃機関の排ガスのような低質の熱源を用いるため、熱機関の内部摩擦を低減しないと、熱源から取り出される動力は極めて少なくなるか、あるいは動力を取り出すことができない。このため、このような目的に用いる熱機関では、ピストンとシリンダとの間に空気軸受を設けたり、薄肉のピストンを用いて軽量化したりして、機関効率の向上を図っている。
特許文献1に開示された技術では、ピストン表面に空気流通通路を設けるため、ピストンの表面に加工が必要である。このため、薄肉化したピストンの表面には空気流通通路の加工が困難であり、また、ピストンの表面に空気流通通路を設けると、空気軸受の機能に影響を与える。また、熱機関において、シリンダの一端が接続されるケース体(例えばクランクケース)を加圧するとともに、熱機関の負荷に応じて、ケース体の内圧を変化させる技術があるが、作動空間内の圧力の応答速度が遅いという問題がある。
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ピストンの往復運動を回転運動に変換する熱機関において、ピストンに対する加工を最小限に抑えること、ケース体の内圧変化に対する作動空間内の圧力の応答速度を向上させることのうち少なくとも一つを達成できるピストン機関を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明に係るピストン機関は、シリンダ内をピストンが往復運動するピストン機関であって、前記シリンダの一端が接続されるケース体と、前記シリンダ内の作動空間に設けられる作動空間開口部、及び前記ケース体の内部空間に設けられるケース体開口部と、前記作動空間開口部と前記ケース体開口部とを接続する連通通路と、を含み、前記ピストンが予め定めた特定位置にあるときには、前記作動空間開口部及び前記ケース体開口部の両方が同時に開口して、前記作動空間と前記ケース体の内部空間とが連通することを特徴とする。
次の本発明に係るピストン機関は、所定の位相差をもって往復運動する一対のピストンを備えるピストン機関であって、前記ピストンの上死点側における特定位置において、前記ピストンが内部を往復運動するシリンダ内の作動空間と、前記シリンダの一端が接続されるケース体の内部空間とを連通させる第1連通通路と、前記ピストンの下死点側における特定位置において、前記ピストンが内部を往復運動するシリンダ内の作動空間と前記ケース体の内部空間とを連通させる第2連通通路と、を含むことを特徴とする。
次の本発明に係るピストン機関は、前記ピストン機関において、前記第1連通通路と前記第2連通通路とは、それぞれ異なる前記ピストンに対して設けられることを特徴とする。
次の本発明に係るピストン機関は、前記ピストン機関において、前記第1連通通路と前記第2連通通路とは、同一の前記ピストンに対して設けられることを特徴とする。
次の本発明に係るピストン機関は、前記ピストン機関において、前記第1連通通路には、前記ケース体の内部空間から前記作動空間へ向かう気体の流れのみを許容し、前記作動空間から前記ケース体の内部空間へ向かう気体の流れを遮断する第1逆流防止手段が備えられ、前記第2連通通路には、前記作動空間から前記ケース体の内部空間へ向かう気体の流れのみを許容し、前記ケース体の内部空間から前記作動空間へ向かう気体の流れを遮断する第2逆流防止手段が備えられることを特徴とする。
次の本発明に係るピストン機関は、前記ピストン機関において、前記特定位置は、前記ピストン機関の定常運転時において、前記シリンダ内の作動空間内における圧力と前記ケース体の内部における平均圧力とが一致するときの前記ピストンの位置であることを特徴とする。
次の本発明に係るピストン機関は、前記ピストン機関において、前記特定位置よりも進角側で、前記作動空間開口部及び前記ケース体開口部の両方が同時に開口して、前記作動空間と前記ケース体の内部空間とが連通することを特徴とする。
この発明によれば、ピストンの往復運動を回転運動に変換する熱機関において、ピストンに対する加工を最小限に抑えること、ケース体の内圧変化に対する作動空間内の圧力の応答速度を向上させることのうち少なくとも一つを達成できる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記発明を実施するための最良の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
なお、以下においては、ピストン機関の一例として熱機関であるスターリングエンジンを取り上げるが、この発明を適用できるピストン機関はこれに限定されるものではない。また、以下においては、スターリングエンジンを用いて車両等に搭載される内燃機関の排熱を回収する例を説明するが、排熱の回収対象は内燃機関に限られない。例えば工場やプラント、あるいは発電施設の排熱を回収する場合にも本発明は適用できる。
この実施例に係るピストン機関は、ピストンが予め定めた特定位置にあるときには、前記作動空間に開口する作動空間開口部、及び前記ケース体の内部空間に開口するケース体開口部と、前記作動空間開口部と前記ケース体開口部とを接続する連通通路とを備える点に特徴がある。ピストンの特定位置は、ピストン機関の定常運転時において、シリンダ内の作動空間内における圧力と前記ケース体の内部における平均圧力とが一致するときのピストンの位置である。例えば、ピストンの中立位置がこれに相当する。なお、「一致」には、完全な一致のみならず、ピストン機関の設計や製造上含まれる誤差を考慮したばらつきは含まれる趣旨である。
図1は、この実施例に係るピストン機関を示す断面図である。この実施例に係るピストン機関1は、いわゆるディスプレーサ型のスターリングエンジンである。なお、この発明が適用できるスターリングエンジンの形式は、ディスプレーサ型に限られない。このピストン機関1は熱機関であり、例えば、内燃機関とともに車両に搭載されて、内燃機関から排出される排ガスを熱源として駆動する。すなわち、この実施例において、ピストン機関1は、内燃機関の排熱回収装置として用いられる。
ピストン機関1が備えるディスプレーサ7は、ディスプレーサシリンダ7Tと、この内部を往復運動するディスプレーサピストン7Pと、ヒータ7H、再生器7R及び冷却器7Cで構成される熱交換器7HEとを備える。ディスプレーサシリンダ7T、及び熱交換器7HE内には、ピストン機関1の作動流体(この実施例では気体であり、空気)が満たされている。ディスプレーサシリンダ7Tは、ディスプレーサピストン7Pによって熱交換器7HEのヒータ7H側の空間(高温空間)と、冷却器7C側の空間(低温空間)とに仕切られる。そして、冷却器7C側の空間と、シリンダ2とは作動流体通路8で接続されており、ディスプレーサシリンダ7T内の作動流体がシリンダ2内の作動空間2Iへ導かれる。ここで、シリンダ2内の空間であって、ピストン3とシリンダヘッド2hとの間に形成される空間は作動空間2Iである。
ヒータ7Hには内燃機関の排ガスが供給されて加熱される。ディスプレーサピストン7Pは、ディスプレーサコネクティングロッド7Kによってクランク軸5に連結されており、ピストン3と所定の位相差で往復運動するように構成される。ピストン機関1は、シリンダ(パワーシリンダ)2と、シリンダ2内を往復運動するピストン(パワーピストン)3と、ピストン3の往復運動を回転運動に変換するクランク軸5と、ピストン3とクランク軸5とを連結するコネクティングロッド6と、ケース体であるクランクケース4とを備える。クランクケース4は、クランク軸5を内部に回転可能に支持して格納する。シリンダ2は、一端がクランクケース4と接続されている。そして、ピストン機関1が内燃機関の排熱を回収することによって生み出した出力は、クランク軸5から取り出される。
なお、この実施例に係るピストン機関1は、ピストン3の往復運動が、クランク軸5によって回転運動に変換されるが、ピストン3の往復運動をそのまま出力として取り出すようなピストン機関であってもよい。例えば、この実施例に係るピストン機関は、ピストン3の往復運動を、リニアモータを発電機として利用することによって取り出すようなピストン機関であってもよい。
このピストン機関1は、圧力調整手段によってクランクケース4内が加圧される。ここで、この実施例においてクランクケース4内を加圧する気体は、ピストン機関1の作動流体(この実施例では空気)と同じ種類の気体である。この実施例に係るピストン機関1が備える圧力調整手段は、圧力供給装置11と、切替弁9とを含んで構成される。圧力供給装置11には、例えばコンプレッサや高圧の気体を蓄えた蓄圧ボンベ等を用いることができる。切替弁9には、圧力供給装置11と加圧気体通路10とが接続されている。加圧気体通路10は、ピストン機関1のクランクケース4に接続されている。
切替弁9は、圧力供給装置11とクランクケース4内との連通、及びクランクケース4内と大気との連通を切り替えることができる。クランクケース内圧力Pcを増加させたい場合、切替弁9は、圧力供給装置11とクランクケース4内とを連通させる。すると、圧力供給装置11から切替弁9及び加圧気体通路10を通ってクランクケース4内へ気体が供給される。これによって、クランクケース内圧力Pcが増加する。クランクケース内圧力Pcを低下させたい場合、切替弁9は、クランクケース4内と大気とを連通させる。すると、クランクケース4内の気体は、加圧気体通路10及び切替弁9を通って大気中へ放出される。これによって、クランクケース4内の圧力が低下する。これによって、ピストン機関1の起動、停止時や、ピストン機関1の負荷に応じて、クランクケース内の平均圧力(以下平均クランクケース内圧力)Pcmを変更できる。
図1に示すように、ピストン3は、シリンダ2内に空気軸受GBを介して浮いた状態で支持されている。空気軸受GBを構成するために、ピストン3とシリンダ2との間隔は、ピストン3及びシリンダ2の全周にわたって数十μmとする。すなわち、ピストンリングを使用せず、また潤滑油も使用しないで、ピストン3をシリンダ2内で往復運動させる構造である。これによって、ピストン3とシリンダ2との摩擦を低減して、ピストン機関1の熱効率を向上させることができる。また、ピストン3とシリンダ2との摩擦を低減することにより、内燃機関から排熱を回収するような低温度差の運転条件下においてもピストン機関1を運転することができる。
図2は、この実施例に係るピストン機関の作動空間内における作動流体の時間に対する圧力変化を示す説明図である。図2に示すように、ピストン機関1の作動空間2I内における作動流体の圧力(以下作動空間内圧力)Psは、ピストン3の往復運動にともなって変化する。ここで、作動空間内圧力Psの平均値(平均作動空間内圧力)Psmは、定常状態になると平均クランクケース内圧力Pcmとほぼ等しくなる。ここで、ピストン機関1の起動、停止時や、ピストン機関1の負荷に応じてクランクケース内圧力Pcが変更されて、平均クランクケース内圧力Pcmは変化する。このため、平均作動空間内圧力Psmは、平均クランクケース内圧力Pcmに追従して変化する。なお、平均クランクケース内圧力Pcmは、クランクケース4の内部空間(以下クランクケース内部空間)4Iにおける平均圧力である。
従来のクランクケース4内を加圧する形式のピストン機関1においては、平均作動空間内圧力Psmが平均クランクケース内圧力Pcmに追従して変化する応答速度が低い。このため、平均クランクケース内圧力Pcmを急速に増加させると、コネクティングロッド6やクランク軸5といったピストン機関1の運動系を構成する部品に想定外の過大な荷重が作用するおそれがあった。したがって、従来のクランクケース4内を加圧する形式のピストン機関1においては、極めて遅い速度で平均クランクケース内圧力Pcmを増加させる必要があった。
これを回避するため、この実施例に係るピストン機関1は、図1に示すように、ピストン3が予め定めた特定位置にあるときには、作動空間2Iとクランクケース4内とを連通させる連通通路12を備える。そして、ピストン3が特定の位置にきたときに作動空間2Iとクランクケース内部空間4Iとを連通させて、両空間内の気体を迅速に移動させる。
これによって、平均クランクケース内圧力Pcmの変化に対する平均作動空間内圧力Psmの応答速度を向上させることができる。また、平均作動空間内圧力Psmの応答速度が向上するので、平均クランクケース内圧力Pcmを変化させたときにおいて、ピストン機関1の運動系を構成する部品に作用する荷重を、想定される荷重の範囲内に、ほぼ収めることができる。なお、連通通路の数は1本に限定されるものではなく、シリンダ2の周方向に対して複数設けてもよい。次に、作動空間2Iとクランクケース内部空間4Iとを連通させる手法について説明する。なお、次の説明においては、適宜図1、図2を参照されたい。
図3は、この実施例に係るピストン機関が備えるピストンの変位量とクランク軸の回転角度との関係を示す説明図である。図3では、ピストン3の変位をYPで表し、ピストン3の中立位置、ピストン3に作用する加速度が0になる位置におけるピストン3の変位YP及びクランク軸5の回転角度(以下クランク角度)CAを0とする。ピストン機関1が備えるピストン3はシリンダ2内を往復運動するので、図3に示すように、クランク角度CAの増加にともなって、ピストン3の変位YPは正弦波状に変化する。
この実施例においては、ピストン3が予め定めた特定位置にあるとき、すなわち、ピストン機関1の定常運転において、作動空間内圧力Psが平均クランクケース内圧力Pcmと等しくなるときのピストン3の位置にあるときに、作動空間2Iとクランクケース内部空間4Iとを連通させる。これは、正弦波状に変化する作動空間内圧力Psと、ほぼ一定の値で推移する平均クランクケース内圧力Pcmとが交差する箇所に相当する(図2参照)。このようにすることで、ピストン機関1の定常運転時において作動空間2I内とクランクケース4内とが連通しても、作動空間2I内の圧力と、クランクケース内部空間4Iの圧力とは釣り合いがとれているので、両者の間で気体の移動はほとんど発生しない。
一方、図2に示すように、例えば、ピストン機関1の負荷が変動して平均クランクケース内圧力をPcm'に変更した場合、作動空間2I内とクランクケース内部空間4Iとが連通すると、両者の圧力の差圧によって気体が連通通路12を流れる。これによって、作動空間2I内とクランクケース内部空間4Iとの間に気体の移動が発生する。作動空間2I内とクランクケース内部空間4Iとの連通時に発生するこの気体の移動は、平均作動空間内圧力Psmが平均クランクケース内圧力Pcmと等しくなるまで継続する。連通通路12を流れる気体の流量は、空気軸受GBを通過する気体の流量よりも十分に大きいので、平均作動空間内圧力Psmは、変化後の平均クランクケース内圧力Pcm'へ速やかに変化する。
なお、ピストン機関1が定常運転をしているときに、作動空間内圧力Psが平均クランクケース内圧力Pcmと等しくなるピストン3の位置は、中立位置である。すなわち、TDC(Top Dead Center:上死点)あるいはBDC(Bottom Dead Center:下死点)前後の概略π/2(90度)の位置である(図3)。なお、ピストン3の中立位置は、ピストン3のストロークの中心位置でもある。
ここで、図1に示すように、連通通路12はシリンダ2及びクランクケース4の外部に設けられ、かつ作動空間2Iに設けられた作動空間開口部13sとクランクケース4に設けられたクランクケース開口部(ケース体開口部)13cとを接続する。このピストン機関1は、シリンダ2及びクランクケース4の外部に連通通路12を設けるので、ピストン3の側面等に余分な加工をする必要はない。この実施例に係るピストン機関1は、ピストン3を空気軸受GB(図1)によって支持するが、ピストン3の側面等に対する加工が不要になるため、空気軸受の負荷能力に与える影響を最小限にできる。また、ピストン3に余分な加工が不要になる結果、ピストン3のバランスも合わせやすくなる。
作動空間開口部13sとクランクケース開口部13cとは、ピストン機関1が定常運転をしている場合において、作動空間内圧力Psが平均クランクケース内圧力Pcmと等しくなる時期(すなわちピストン3が中立位置にきたとき)に、作動空間2Iとクランクケース内部空間4Iとを連通させるように、開口位置が決定される。なお、作動空間開口部13s及びクランクケース開口部13cの開口部形状は、一般には円形であるが、これに限定されるものではない。例えば、楕円形でもよいし、四角形や三角形等の多角形でもよい。前記開口部形状は、連通通路12やピストン機関1の仕様に応じて、適宜設定することができる。
なお、作動空間開口部13sとクランクケース開口部13cとの開口位置は、ピストン3の運動方向におけるピストン長さlpにも依存する。すなわち、作動空間開口部13sとクランクケース開口部13cとの最大開口間隔lcがピストン長さlpよりも小さい場合には、ピストン3が中立位置にきたときであっても作動空間2Iとクランクケース内部空間4Iとは連通しない。したがって、前記最大開口間隔lcは、ピストン長さlpよりも大きくする必要がある。ここで、作動空間開口部13sとクランクケース開口部13cとの最大開口間隔lcとは、ピストン3の運動方向における作動空間開口部13sとクランクケース開口部13cとの最大間隔をいう。
上記構成により、ピストン3がその中立位置近傍に移動してくると、作動空間開口部13sとクランクケース開口部13cとが連通通路12によって連通する。これによって、平均クランクケース内圧力Pcmが変化した場合には、平均作動空間内圧力Psmが、変化後の平均クランクケース内圧力Pcmと同じ値へ、迅速に変化する。ピストン3が中立位置近傍からさらに移動すると、作動空間開口部13s又はクランクケース開口部13cのいずれか一方がピストン3によって閉じられるので、作動空間開口部13sとクランクケース開口部13cとは非連通となる。これによって、必要以上に気体が移動することを抑制できる。このように、このピストン機関1では、ピストン3によって、作動空間開口部13sとクランクケース開口部13cとを開閉する。このため、作動空間開口部13sとクランクケース開口部13cとは、ピストン3のストロークの範囲内に配置される。
連通通路12は、ある程度の長さを有しており、また、作動空間2Iやクランクケース4内の気体には慣性がある。したがって、作動空間2Iとクランクケース内部空間4Iとの連通期間が短い場合、両空間で十分な気体の移動が発生せず、平均作動空間内圧力Psmの応答速度が低下するおそれがある。これを回避するため、作動空間2Iとクランクケース内部空間4Iとの連通開始時期を、ピストン3の中立位置に相当する時期よりも早くしてもよい。すなわち、作動空間2Iとクランクケース内部空間4Iとを、ピストン3の特定位置、すなわちピストン3の中立位置よりも進角側で連通させてもよい。図3に示す例においては、ピストン3が一往復する間に、クランク角度CA=0、πで、作動空間2Iとクランクケース内部空間4Iとが連通する。例えば、クランク角度CA=0のときにはΔθ1だけ早く、クランク角度CA=πのときにはΔθ2だけ早く作動空間2Iとクランクケース内部空間4Iとを連通させる。
このように、ピストン3の中立位置よりも早い時期(進角側)で作動空間2Iとクランクケース内部空間4Iとを連通させることにより、連通時間が長くなるので、連通通路12内を気体が移動する時間を確保できる。これによって、作動空間2Iとクランクケース内部空間4Iとで必要十分な気体を移動させて、平均クランクケース内圧力Pcmの変化に対する平均作動空間内圧力Psmの応答速度を向上させることができる。
なお、連通開始時期が、ピストン3の中立位置よりも早くなりすぎると(過進角)、作動空間2Iとクランクケース内部空間4Iとの間で必要以上に気体が移動する結果、ピストン機関1の動作やピストン機関1の運動系構成部品に影響を与えるおそれがある。したがって、連通開始時期は、このような影響が許容範囲に抑えられる範囲内で決定する。例えば、ピストン機関1の運動系構成部品に作用する荷重が許容できる範囲で、連通開始時期を早くする。上記Δθ1とΔθ2とは、このような観点から決定されるものであり、両者は同じ値でもよいし、異なる値でもよい。
(変形例)
図4は、この実施例に係るピストン機関の変形例を示す説明図である。このピストン機関1aは、上記実施例に係るピストン機関1と略同様の構成であるが、ピストン3aの側面に設けたピストン開口部14を通して、作動空間2Iとクランクケース内部空間4Iとを連通させる点が異なる。このピストン機関1aも、上記ピストン機関1と同様の作用、効果を奏する。また、このピストン機関1aが備えるピストン3aは、側面にピストン開口部14が形成されるが、この加工は単なる穿孔加工なので、容易に加工できる。また、ピストン3aの加工は必要最小限で済むので、空気軸受の負荷能力に与える影響を最小限にできる。
上記実施例に係るピストン機関1では、ピストン3のピストン長さlpよりも、作動空間開口部13sとクランクケース開口部13cとの最大開口間隔lcが大きい必要があった。しかしこの変形例に係るピストン機関1aは、ピストン開口部14が、作動空間開口部13s又はクランクケース開口部13cのいずれか一方と重なったときに、他方が作動空間2I又はクランクケース内部空間4Iに開口していればよい。このため、前記最大開口間隔lcを、上記実施例に係るピストン機関1よりも小さくできる。
特に、ピストン開口部14をピストン長さlpの中間に設ければ、前記最大開口間隔lcは、上記実施例に係るピストン機関1の半分程度にすることができる。これによって、連通通路12の長さを短くできるので、平均クランクケース内圧力Pcmの変化に対する平均作動空間内圧力Psmの応答速度をより向上させることができる。また、シリンダ2等の外側に配置する連通通路12の長さを短くできるので、ピストン機関1aの外径寸法をその分コンパクトにできる。
以上、この実施例及び変形例に係るピストン機関は、このピストン機関1は、シリンダ2及びクランクケース4の外部に連通通路12を設けるので、ピストン3の側面等に余分な加工をする必要はない。また、ピストンの中立位置近傍で、作動空間とクランクケース内部空間とを連通させる。これによって、平均クランクケース内圧力の変化に対する平均作動空間内圧力の応答速度を向上させることができる。また、余分な気体の移動を最小限に抑えることができるので、ピストン機関の運転や運動系構成部品に与える影響を最小限に抑えることができる。なお、この実施例及び変形例で開示した構成と同様の構成を備えるものは、この実施例及びその変形例の同様の作用、効果を奏する。また、この実施例及び変形例で開示した構成は、以下の実施例においても適宜適用できる。
実施例2に係るピストン機関は、実施例1に係るピストン機関と略同様の構成であるが、ディスプレーサを有さない、いわゆるα型のスターリングエンジンである点が異なる。
まず、この実施例に係るピストン機関の構成について簡単に説明する。
図5は、この実施例に係るピストン機関を示す説明図である。この実施例に係るピストン機関1bは、いわゆるα型のスターリングエンジンである。ピストン機関1bは、高温側シリンダ(第1シリンダ)2Hと、この内部に収められて往復運動する高温側ピストン(第1ピストン)3Hと、高温側ピストン3Hの往復運動をクランク軸5へ伝達する高温側コネクティングロッド6Hとを含む。また、ピストン機関1bは、低温側シリンダ(第2シリンダ)2Lと、この内部に収められて往復運動する低温側ピストン(第2ピストン)3Lと、低温側ピストン3Lの往復運動をクランク軸5へ伝達する低温側コネクティングロッド6Lとを含む。ここで、低温側ピストン3Lは、高温側ピストン3Hに対して、所定の位相差(例えば、クランク角でπ/2(90度)程度)が設けられている。
高温側シリンダ2Hの一端部、及び低温側シリンダ2Lの一端部は、ケース体であるクランクケース4に接続されている。クランクケース4は、内部にクランク軸5を格納している。この実施例におけるピストン機関1bでは、実施例1に係るピストン機関1(図1)と同様に、クランクケース4の内部を圧力調整手段によって加圧し、また、クランクケース内圧力Pcを調整できるように構成される。
高温側シリンダ2Hと低温側シリンダ2Lとは、ヒータ7Hと再生器7Rと冷却器7Cとで構成される熱交換器7HEによって接続されている。ヒータ7Hの一端は高温側シリンダ2Hに接続され、他端は再生器7Rに接続される。再生器7Rは、一端がヒータ7Hに接続され他端は冷却器7Cに接続される。冷却器7Cの一端は再生器7Rに接続され、他端は低温側シリンダ2Lに接続される。また、高温側シリンダ2Hと低温側シリンダ2Lとには作動流体(ここでは空気)が封入されており、ヒータ7Hから供給される熱によってピストン機関1bを駆動する。
高温側シリンダ2H内であって、高温側ピストン3Hとヒータ7Hとの間の空間は、高温側作動空間(第1作動空間)2IHである。また、低温側シリンダ2L内であって、低温側ピストン3Lと冷却器7Cとの間の空間は、低温側作動空間(第2作動空間)2ILである。高温側シリンダ2Hには、高温側作動空間2IHに開口する高温側作動空間開口部(第1作動空間開口部)13Hs、及びクランクケース内部空間4Iに開口する高温側クランクケース開口部(第1クランクケース開口部)13Hcが設けられる。また、低温側シリンダ2Lには、低温側作動空間(第2作動空間開口部)2ILに開口する低温側作動空間開口部13Ls、及びクランクケース内部空間4Iに開口する低温側クランクケース開口部(第2クランクケース開口部)13Lcが設けられる。
高温側作動空間開口部(第1作動空間開口部)13Hs、及び高温側クランクケース開口部(第1クランクケース開口部)13Hcは、高温側ピストン3Hの上死点側における特定位置において、高温側作動空間(第1作動空間)2IHとクランクケース内部空間4Iとを連通させる。また、低温側作動空間開口部(第2作動空間開口部)13Ls、及び低温側クランクケース開口部(第2クランクケース開口部)13Lcは、低温側ピストン3Lの下死点側における特定位置において、低温側作動空間(第2作動空間)2ILとクランクケース内部空間4Iとを連通させる。ここで、特定位置とは、ピストン機関1bの定常運転時において、ピストン機関1bの作動空間内における圧力(作動空間内圧力Ps)とクランクケース内部空間4Iにおける平均圧力(平均クランクケース内圧力Pcm)とが等しくなるときの、高温側ピストン3H又は低温側ピストン3Lの位置である。
高温側作動空間開口部13Hsと高温側クランクケース開口部13Hcとは、高温側連通通路(第1連通通路)12Hによって接続されている。高温側連通通路12Hには、クランクケース内部空間4Iから高温側作動空間2IHへの気体の流れのみを許容し、高温側作動空間2IHからクランクケース内部空間4Iへの気体の流れを遮断する高温側逆止弁(第1逆流防止手段)15Hが設けられる。
また、低温側作動空間開口部13Lsと低温側クランクケース開口部13Lcとは、低温側連通通路(第2連通通路)12Lによって接続されている。低温側連通通路12Lには、クランクケース内部空間4Iから低温側作動空間2ILへの気体の流れを遮断し、低温側作動空間2ILからクランクケース内部空間4Iへの気体の流れのみを許容する低温側逆止弁(第2逆流防止手段)15Lが設けられる。
この実施例に係るピストン機関1bにおいて、高温側連通通路12H及び低温側連通通路12Lは、必ずしも高温側シリンダ2H及び低温側シリンダ2Lの外部に配置する必要はない。しかし、高温側連通通路12H及び低温側連通通路12Lを高温側シリンダ2H及び低温側シリンダ2Lの外部に配置すれば、実施例1で説明したものと同様の作用、効果を得ることができる。
この実施例に係るピストン機関1bは、例えば車両において、ガソリンエンジンのような内燃機関とともに用いられて、内燃機関の排気ガスを熱源として駆動される。この場合、ピストン機関1bのヒータ7Hは、車両に搭載される内燃機関の排気管内部に配置される。そして、内燃機関の排気ガスから回収した熱エネルギにより作動流体が加熱されて、ピストン機関1bが作動する。
図5に示すように、高温側ピストン3Hと低温側ピストン3Lとは、高温側シリンダ2Hと低温側シリンダ2L内に空気軸受GBを介して、シリンダ内に浮いた状態で支持されている。空気軸受GBについては上記実施例1で説明した通りなので、ここでは説明を省略する。
高温側ピストン3H、低温側ピストン3Lの往復運動は、それぞれ高温側コネクティングロッド6H、低温側コネクティングロッド6Lによってクランク軸5に伝達され、ここで回転運動に変換される。クランク軸5は、クランクケース4の内部に軸受20を介して支持されている。クランク軸5の端部は、シール部21を介してクランクケース4の外部へ突出しており、ピストン機関1の出力は、ここから取り出される。
図6は、この実施例に係るピストン機関の作動空間内圧力の変化を示す説明図である。図6の細い実線は、クランク角度CAに対する高温側ピストン3Hの変位を表し、点線はクランク角度CAに対する低温側ピストン3Lの変位を表す。また、図6の太い実線は、このピストン機関1bにおける作動空間内圧力Psの変化を示す。
このピストン機関1bは、いわゆるα型のスターリングエンジンなので、図6に示すように、高温側ピストン3Hと低温側ピストン3Lとは、所定の位相(この例では約π/2(90度))分ずれて動作する。このため、図6に示すように、高温側ピストン3Hの変位に対して、低温側ピストン3Lの変位は約π/2(90度)ずれて変化する。これによって、このピストン機関1bの作動空間内圧力Psは、図6の太い実線(Ps)のように変化する。図6に示すように、このピストン機関1bのような、いわゆるα型のスターリングエンジンでは、高温側及び低温側ピストン3H、3Lの上死点、下死点と、ピストン機関1bの作動空間内圧力Psの最大値Ps_Max、最小値Ps_Minとは一致しない。
この実施例においても、ピストン機関1bが定常運転をしているときにおいて、作動空間内圧力Psが平均クランクケース内圧力Pcmと等しくなるピストンの位置で、高温側又は低温側作動空間2IH、2ILとクランクケース内部空間4Iとを連通させる。これは、正弦波状に変化する作動空間内圧力Psと、ほぼ一定の値で推移する平均クランクケース内圧力Pcmとが交差する時期に相当する(図6参照)。このようにすることで、ピストン機関1bの定常運転時において高温側又は低温側作動空間2IH、2IL内とクランクケース内部空間4Iとが連通しても、高温側又は低温側作動空間2IH、2IL内の圧力と、クランクケース内部空間4Iの圧力とは釣り合いがとれているので、両者の間で気体の移動は発生しない。
一方、例えば、ピストン機関1bの負荷が変動して平均クランクケース内圧力が変化した場合、高温側又は低温側作動空間2IH、2IL内とクランクケース内部空間4Iとが連通すると、両者の圧力の差圧によって、気体が高温側又は低温側連通通路12H、12Lを流れる。これによって、高温側又は低温側作動空間2IH、2IL内とクランクケース内部空間4Iとの間に気体の移動が発生する。高温側又は低温側作動空間2IH、2IL内とクランクケース内部空間4Iとの連通時に発生するこの気体の移動は、平均作動空間内圧力Psmが平均クランクケース内圧力Pcmと等しくなるまで継続する。これによって、平均作動空間内圧力Psmは、変化後の平均クランクケース内圧力へ速やかに変化する。
この実施例に係るピストン機関1b、すなわち、α型のスターリングエンジンにおいては、定常運転時において作動空間内圧力Psと平均クランクケース内圧力Pcmとが等しくなる時期は、高温側又は低温側ピストン3H、3Lが中立位置にあるときでなはい。図6に示すように、高温側又は低温側ピストン3H、3Lの中立位置からおよそπ/4(45度)ずれた位置(すなわち上死点又は下死点からおよそπ/4ずれた位置)において、定常運転時において作動空間内圧力Psと平均クランクケース内圧力Pcmとが等しくなる。
このため、高温側作動空間開口部13Hsと高温側クランクケース開口部13Hcとは、高温側ピストン3Hの上死点側で、高温側作動空間2IHとクランクケース内部空間4Iとを連通するように設けられる。具体的には、高温側ピストン3Hがその上死点からおよそπ/4(45度)ずれた位置において、高温側作動空間2IHとクランクケース内部空間4Iとを連通するように設けられる。これによって、定常運転時において作動空間内圧力Psと平均クランクケース内圧力Pcmとが等しくなる時期(図6中、中抜きの丸で示す部分、CA=π/4、9π/4近傍)で、高温側作動空間2IHとクランクケース内部空間4Iとが連通する。ここで、高温側ピストン3Hの上死点側とは、高温側ピストン3Hの中立位置よりも上死点側をいう。
一方、クランク軸5が回転して、高温側ピストン3Hの位置が変化すると、クランク角度CA=3π/4、11π/4近傍で、再び高温側作動空間開口部13Hsと高温側クランクケース開口部13Hcとが連通する(図6中の横棒で示す部分)。このときは、図6からわかるように、作動空間内圧力Psは、最大値Ps_Maxとなり、ピストン機関1bの運転時においては、高温側作動空間2IHとクランクケース内部空間4Iとの間に(Ps_Max−Pcm)の差圧が発生し、高温側作動空間2IHからクランクケース内部空間4Iへ気体が流れる。
この気体の流れを抑えるため、高温側連通通路12Hに高温側逆止弁15Hを設け、高温側作動空間2IHからクランクケース内部空間4Iへの気体の流れを遮断して、クランクケース内部空間4Iから高温側作動空間2IHへの気体の流れのみを許容する。しかし、クランクケース内部空間4Iから高温側作動空間2IHへの気体の流れのみを許容するのみでは、平均クランクケース内圧力Pcmを低下させるときに、平均作動空間内圧力Psmを追従させることができない。
そこで、この実施例に係るピストン機関1bでは、低温側作動空間開口部13Lsと低温側クランクケース開口部13Lcとを、低温側ピストン3Lの下死点側に設けて、低温側作動空間2ILとクランクケース内部空間4Iとを連通させるように設ける。より具体的には、低温側作動空間開口部13Lsと低温側クランクケース開口部13Lcとは、低温側ピストン3Lがその下死点からおよそπ/4(45度)ずれた位置において、低温側作動空間2ILとクランクケース内部空間4Iとを連通させるように設けられる。これによって、定常運転時において作動空間内圧力Psと平均クランクケース内圧力Pcmとが等しくなる時期(図6中、中抜きの四角で示す部分、CA=π/4、9π/4近傍)で、低温側作動空間2ILとクランクケース内部空間4Iとが連通する。ここで、低温側ピストン3Lの下死点側とは、低温側ピストン3Lの中立位置よりも下死点側をいう。
一方、低温側ピストン3Lの位置がクランク角度CA=7π/4近傍である場合、低温側作動空間開口部13Lsと低温側クランクケース開口部13Lcとが連通する(図6中の横棒で示す部分、CA=7π/4近傍)。このときは、図6からわかるように、作動空間内圧力Psは、最小値Ps_Minとなり、ピストン機関1bの運転時においては、クランクケース内部空間4Iと低温側作動空間2ILとの間に(Pcm−Ps_Min)の差圧が発生し、クランクケース内部空間4Iから低温側作動空間2ILへ気体が流れる。
この気体の流れを抑えるため、低温側連通通路12Lに低温側逆止弁15Lを設け、クランクケース内部空間4Iから低温側作動空間2ILへの気体の流れを遮断して、低温側作動空間2ILからクランクケース内部空間4Iへの気体の流れのみを許容する。このような構成により、いわゆるα型のスターリングエンジンにおいても、平均クランクケース内圧力Pcmの変化に対する平均作動空間内圧力Psmの応答速度を向上させることができる。
実施例1でも説明したように、高温側及び低温側連通通路12H、12Lはある程度の長さを有しており、また、高温側及び低温側作動空間2IH、2ILやクランクケース4内の気体には慣性がある。これによる平均作動空間内圧力Psmの応答速度低下を抑制するため、高温側作動空間2IHとクランクケース内部空間4Iとの連通開始時期、及び低温側作動空間2ILとクランクケース内部空間4Iとの連通開始時期を、ピストン機関1bが定常運転をしているときに作動空間内圧力Psが平均クランクケース内圧力Pcmと等しくなる時期よりも早くしてもよい。
図6に示す例においては、高温側ピストン3Hは、上死点前π/4付近で高温側作動空間2IHとクランクケース内部空間4Iとが連通する。また、低温側ピストン3Lは、下死点後π/4付近で低温側作動空間2ILとクランクケース内部空間4Iとが連通する。そこで、例えば、連通開始時期をクランク角度CA=Δθだけ早くする。このように、高温側及び低温側ピストン3H、3Lの特定位置よりも進角側で、高温側又は低温側作動空間2IH、2ILとクランクケース内部空間4Iとを連通させると連通時間が長くなるので、高温側及び低温側連通通路12H、12L内を気体が移動する時間を確保できる。これによって、高温側又は低温側作動空間2IH、2ILとクランクケース内部空間4Iとで必要十分な気体を移動させて、平均クランクケース内圧力Pcmの変化に対する平均作動空間内圧力Psmの応答速度を向上させることができる。
なお、連通開始時期を進角させ過ぎると、作動空間とクランクケース内部空間4Iとの間で必要以上に気体が移動する結果、ピストン機関1bの動作や運動系構成部品に影響を与えるおそれがある。したがって、連通開始時期は、このような影響が許容範囲に抑えられる範囲内で決定する。例えば、ピストン機関1bの運動系構成部品に作用する荷重が許容できる範囲で、連通開始時期を早くする。上記Δθは、このような観点から決定する。
(変形例)
実施例2の変形例に係るピストン機関1cは、実施例2に係るピストン機関1b(図5)と同様の構成であるが、一方のピストンに対して、上死点側で作動空間とクランクケース内部空間4Iとを連通する第1連通通路と、下死点側で作動空間とクランクケース内部空間4Iとを連通する第2連通通路とを設ける点が異なる。他の構成は、上記実施例2と同様なので、説明を省略する。なお、次の説明では、高温側シリンダに第1連通通路と第2連通通路とを設けるが、低温側シリンダに第1連通通路と第2連通通路とを設けてもよい。
図7は、この実施例の変形例に係るピストン機関を示す説明図である。図8は、この変形例に係るピストン機関の作動空間内圧力の変化を示す説明図である。図8の細い実線は、クランク角度CAに対する高温側ピストン3Hの変位を表し、点線はクランク角度CAに対する低温側ピストン3Lの変位を表す。また、図8の太い実線は、このピストン機関1cにおける作動空間内圧力Psの変化を示す。
この変形例に係るピストン機関1c(図7)の高温側シリンダ2Hには、高温側作動空間(作動空間)2IHに開口する第1作動空間開口部13Hs1、及びクランクケース内部空間4Iに開口する第1クランクケース開口部13Hc1が設けられる。第1作動空間開口部13Hs1と、第1クランクケース開口部13Hc1とは、高温側ピストン3Hの上死点側における特定位置で、高温側作動空間2IHとクランクケース内部空間4Iとを連通するように設けられる。具体的には、高温側ピストン3Hがその上死点からおよそπ/4(45度)ずれた位置において、高温側作動空間2IHとクランクケース内部空間4Iとを連通するように設けられる。
また、第1作動空間開口部13Hs1と第1クランクケース開口部13Hc1とは、第1連通通路12H1によって接続されている。そして、第1連通通路12H1には、クランクケース内部空間4Iから高温側作動空間2IHへの気体の流れのみを許容し、高温側作動空間2IHからクランクケース内部空間4Iへの気体の流れを遮断する第1逆流防止手段である第1逆止弁15H1が設けられる。
このような構成によって、定常運転時において作動空間内圧力Psと平均クランクケース内圧力Pcmとが等しくなる時期(図8中、中抜きの丸で示す部分、CA=π/4、9π/4近傍)で、高温側作動空間2IHとクランクケース内部空間4Iとが連通する。その結果、平均クランクケース内圧力Pcmが変化した場合には、平均作動空間内圧力Psmは、変化後の平均クランクケース内圧力へ速やかに変化する。また、作動空間内圧力Psが最大値Ps_Maxとなる場合には(図8の3π/4近傍)、第1逆止弁15H1によって、高温側作動空間2IHからクランクケース内部空間4Iへの気体の流れが遮断される。
また、高温側シリンダ2Hには、高温側ピストン3Hが下死点に近づいてきたときに高温側作動空間2IHに開口する第2作動空間開口部13Hs2と、クランクケース内部空間4Iに開口する第2クランクケース開口部13Hc2とが設けられる。第2作動空間開口部13Hs2と、第2クランクケース開口部13Hc2とは、高温側ピストン3Hの下死点側における特定位置で、高温側作動空間2IHとクランクケース内部空間4Iとを連通するように設けられる。具体的には、高温側ピストン3Hがその下死点からおよそπ/4(45度)ずれた位置において、高温側作動空間2IHとクランクケース内部空間4Iとを連通するように設けられる。
また、第2作動空間開口部13Hs2と第2クランクケース開口部13Hc2とは、第2連通通路12H2によって接続されている。そして、第2連通通路12H2には、高温側作動空間2IHからクランクケース内部空間4Iへの気体の流れのみを許容し、クランクケース内部空間4Iから高温側作動空間2IHへの気体の流れを遮断する第2逆流防止手段である第2逆止弁15H2が設けられる。
このような構成によって、定常運転時において作動空間内圧力Psと平均クランクケース内圧力Pcmとが等しくなる時期(図8中、中抜きの丸で示す部分、CA=5π/4近傍)で、高温側作動空間2IHとクランクケース内部空間4Iとが連通する。その結果、平均クランクケース内圧力Pcmが変化した場合には、平均作動空間内圧力Psmは、変化後の平均クランクケース内圧力へ速やかに変化する。また、作動空間内圧力Psが最小値Ps_Minとなる場合には(図8の7π/4近傍)、第2逆止弁15H2によって、クランクケース内部空間4Iから高温側作動空間2IHへの流れが遮断される。
このように、一方のシリンダに、上死点側で作動空間とクランクケース内部空間4Iとを連通する第1連通通路と、下死点側で作動空間とクランクケース内部空間4Iとを連通する第2連通通路とを設けても、平均クランクケース内圧力Pcmの変化に対する平均作動空間内圧力Psmの応答速度を向上させることができる。なお、上死点側及び下死点側における、高温側作動空間2IHとクランクケース内部空間4Iとの連通開始時期を、それぞれ図8に示すΔθ1、Δθ2分進角させてもよい点は、上記実施例2で説明した通りである。ここで、Δθ1、Δθ2は異なる値でもよいし同じ値でもよい。
以上、この実施例及びその変形例に係るピストン機関は、定常運転時において作動空間内圧力と平均クランクケース内圧力とが等しくなるピストン位置で、作動空間とクランクケース内部空間とを連通させる。これによって、平均クランクケース内圧力の変化に対する平均作動空間内圧力の応答速度を向上させることができる。また、余分な気体の移動を最小限に抑えることができるので、ピストン機関の運転や運動系構成部品に与える影響を最小限に抑えることができる。なお、この実施例及び変形例で開示した構成と同様の構成を備えるものは、この実施例及びその変形例の同様の作用、効果を奏する。
なお、実施例2及びその変形例では、次の発明が開示される。この発明は、第1シリンダ内を往復運動する第1ピストンと、前記第1ピストンと所定の位相差をもって、第2シリンダ内を往復運動する第2ピストンと、前記第1シリンダの一端及び前記第2シリンダの一端が接続されるケース体と、前記第1ピストンの上死点側における特定位置において、前記第1シリンダ内の第1作動空間と前記ケース体の内部空間とを連通させる第1連通通路と、前記第2ピストンの下死点側における特定位置において、前記第2シリンダ内の第2作動空間と前記ケース体の内部空間とを連通させる第2連通通路と、を含むことを特徴とするピストン機関である。
このピストン機関は、第1ピストンの上死点側における特定位置及び第2ピストンの下死点側における特定位置において、作動空間とクランクケース内部空間とを連通させる。これによって、平均クランクケース内圧力の変化に対する平均作動空間内圧力の応答速度を向上させることができる。
また、次の発明は、第1シリンダ内を往復運動する第1ピストンと、前記第1ピストンと所定の位相差をもって、第2シリンダ内を往復運動する第2ピストンと、前記第1シリンダの一端及び前記第2シリンダの一端が接続されるケース体と、前記第1ピストンの上死点側における特定位置において、前記第1シリンダ内の作動空間と前記ケース体の内部空間とを連通させる第1連通通路と、前記第1ピストンの下死点側における特定位置において、前記第1シリンダ内の作動空間と前記ケース体の内部空間とを連通させる第2連通通路と、を含むことを特徴とするピストン機関である。
このピストン機関は、第1ピストンの上死点側及び下死点側における特定位置において、作動空間とクランクケース内部空間とを連通させる。これによって、平均クランクケース内圧力の変化に対する平均作動空間内圧力の応答速度を向上させることができる。
なお、上記においては、ピストン機関を備える熱機関がスターリングエンジンである場合の例を用いて、その構成、作用、効果を説明したが、この実施例に係るピストン機関は、スターリングエンジン以外の熱機関や装置に対しても容易に適用可能である。そして、適用された場合には、上記と同様の有用性を有する。
以上のように、本発明に係るピストン機関は、ピストンの往復運動を回転運動に変換する熱機関に有用であり、特に、ピストンに対する加工を最小限に抑えること、に適している。
この実施例に係るピストン機関を示す断面図である。 この実施例に係るピストン機関の作動空間内における作動流体の時間に対する圧力変化を示す説明図である。 この実施例に係るピストン機関が備えるピストンの変位量とクランク軸の回転角度との関係を示す説明図である。 この実施例に係るピストン機関の変形例を示す説明図である。 この実施例に係るピストン機関を示す説明図である。 この実施例に係るピストン機関の作動空間内圧力の変化を示す説明図である。 この実施例の変形例に係るピストン機関を示す説明図である。 この変形例に係るピストン機関の作動空間内圧力の変化を示す説明図である。
符号の説明
1、1a、1b、1c ピストン機関
2 シリンダ
2I 作動空間
2H 高温側シリンダ
2L 低温側シリンダ
2IH 高温側作動空間
2IL 低温側作動空間
3、3a ピストン
3H 高温側ピストン
3L 低温側ピストン
4 クランクケース
4I クランクケース内部空間
12 連通通路
12H 高温側連通通路
12L 低温側連通通路
12H1 第1連通通路
12H2 第2連通通路
13c クランクケース開口部
13s 作動空間開口部
13Hc 高温側クランクケース開口部
13Hs 高温側作動空間開口部
13Lc 低温側クランクケース開口部
13Ls 低温側作動空間開口部
13Hc1 第1クランクケース開口部
13Hs1 第1作動空間開口部
13Hc2 第2クランクケース開口部
13Hs2 第2作動空間開口部
15H 高温側逆止弁
15L 低温側逆止弁
15H1 第1逆止弁
15H2 第2逆止弁

Claims (7)

  1. シリンダ内をピストンが往復運動するピストン機関であって、
    前記シリンダの一端が接続されるケース体と、
    前記シリンダ内の作動空間に設けられる作動空間開口部、及び前記ケース体の内部空間に設けられるケース体開口部と、
    前記作動空間開口部と前記ケース体開口部とを接続する連通通路と、を含み、
    前記ピストンが予め定めた特定位置にあるときには、前記作動空間開口部及び前記ケース体開口部の両方が同時に開口して、前記作動空間と前記ケース体の内部空間とが連通することを特徴とするピストン機関。
  2. 所定の位相差をもって往復運動する一対のピストンを備えるピストン機関であって、
    前記ピストンの上死点側における特定位置において、前記ピストンが内部を往復運動するシリンダ内の作動空間と、前記シリンダの一端が接続されるケース体の内部空間とを連通させる第1連通通路と、
    前記ピストンの下死点側における特定位置において、前記ピストンが内部を往復運動するシリンダ内の作動空間と前記ケース体の内部空間とを連通させる第2連通通路と、
    を含むことを特徴とするピストン機関。
  3. 前記第1連通通路と前記第2連通通路とは、それぞれ異なる前記ピストンに対して設けられることを特徴とする請求項2に記載のピストン機関。
  4. 前記第1連通通路と前記第2連通通路とは、同一の前記ピストンに対して設けられることを特徴とする請求項3に記載のピストン機関。
  5. 前記第1連通通路には、前記ケース体の内部空間から前記作動空間へ向かう気体の流れのみを許容し、前記作動空間から前記ケース体の内部空間へ向かう気体の流れを遮断する第1逆流防止手段が備えられ、
    前記第2連通通路には、前記作動空間から前記ケース体の内部空間へ向かう気体の流れのみを許容し、前記ケース体の内部空間から前記作動空間へ向かう気体の流れを遮断する第2逆流防止手段が備えられることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のピストン機関。
  6. 前記特定位置は、
    前記ピストン機関の定常運転時において、前記シリンダ内の作動空間内における圧力と前記ケース体の内部における平均圧力とが一致するときの前記ピストンの位置であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のピストン機関。
  7. 前記特定位置よりも進角側で、前記作動空間開口部及び前記ケース体開口部の両方が同時に開口して、前記作動空間と前記ケース体の内部空間とが連通することを特徴とする請求項6に記載のピストン機関。
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