JP2006291801A - ブロックの分割構造 - Google Patents
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- F02F2007/0063—Head bolts; Arrangements of cylinder head bolts
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Abstract
【解決手段】ピストン12が摺動するボア部10と、クランクシャフト15を保持するクランクケース部13aと、クランクケース部13aと共にクランクシャフト15を保持するクランクキャップ17とを備えるエンジンのブロック分割構造において、ボア部10に形成される第1雌ネジ部10bには、第1締結ボルト18aにてシリンダヘッド16が締結され、前記ボア部10に形成される第2雌ネジ部10cには、第2締結ボルト18bにてクランクキャップ17がクランクケース部13aを挟み込んで締結され、ボア部10をクランクケース部13aと組付けた際に、ボア部10を囲うような外壁部13bがクランクケース部13aに一体的に形成される
【選択図】 図4
Description
従って、エンジン運転中は、ピストン内壁に熱と圧力が常に負荷として与えられることになる。実際にエンジン運転中には、燃焼ガスの温度は2000℃以上にもなり、爆圧にさらされることになるので、その過酷な条件に耐え得るだけの強度が必要となる。
さらに、エンジンのシリンダブロック自体が、エンジンの出力を確保するために、ある程度のシリンダ径が必要となり、気筒数も、軽自動車や1000cc以下は一般的に3気筒、1000cc〜1500ccクラスの普通車で4気筒、それ以外では6気筒や8気筒といったものから、12気筒クラスに至るまで、複数のシリンダ部を必要とし、構造が複雑である上に、気筒数が増えるに従い必然的に巨大なユニットとなる。当然、大きさに見合った材料費が必要となり、巨大なユニットであるが故に加工コストもかかる。
車の高性能化の一環として、エンジンの重量を軽減するために近年では、エンジンの材質にアルミニウムを採用するケースが多い。そういった場合にも、鉄製のシリンダライナをシリンダブロックに組み付けたり、スリーブレスのシリンダでは、ブロック自体に高強度なアルミニウム合金鋳物を使用して、シリコンを材料に添加して析出させたりと、各メーカが試行錯誤を繰り返し、それなりに高価な部品となっているのが現状である。
また、エンジンの強度を重視し鋳鉄製のエンジンを採用する場合にあっても、エンジン自体の出力が上がっており、シリンダ内面にメッキを施したり、鉄系金属粒子を溶射してコーティングする処理を施したりと、高価な部品であることには変わりが無い。
特許文献1では、シリンダ部111とヘッド部112及びクランクケース部113とを一体成形したブロック110を備える一方、ベアリングキャップ114の取り付けでクランクシャフトを支持する主軸受部を有するバルクヘッドを上記クランクケース部113とは別体に形成し、このバルクヘッドを締結ボルトにより上記ブロック体に固定するようしている。
このように、シリンダブロック周りを極力一体化して、剛性とシール性及び軽量化を図るとともに、機械加工の必要なベアリング周りの軸受け部を分割することで、加工性を向上している。
しかしながら、エンジンの出力の向上とともに、シリンダ部の内筒面の加工精度の向上の必要が出てきていたために、これ以降のエンジンは、特許文献2や、特許文献3に開示されるような方法で、シリンダ内筒の加工のし易さを考慮した形状が多くなった。
また、特許文献3に開示されるエンジンを図9に示す。特許文献3の方法では、シリンダヘッド部133のウォータジャケット部134に連続して一体にシリンダ部132が設けられて上部本体が形成され、クランクケース138、ウォータジャケット外壁139及びスカート案内用円筒部140が一体となって、下部本体137が形成されている。このように2体構造にすることで、製作、組付けのし易さ、性能を両立している。
図10には、特許文献4の方法が示されており、シリンダブロック150は水冷式4気筒エンジンに用いられ、シリンダ部151と、クランクケース部152とに分割される。シリンダ部151は押し出し又は鍛造で成形し、シリンダ150の周りにウォータジャケット155、スタットボルト取り付け穴156、オイルドレン通路157等が形成されている。
また、シリンダ部151のシリンダ154内周面に、メッキを施している。このメッキは、例えばニッケル、又は鉄系のメッキが行われ、シリンダ部151のシリンダ内周面に、鋳造の際に発生する巣がなくなり歩留まりが良く安定した品質のメッキシリンダが確保できる。また、シリンダ部151がシンプルでコンパクトな形状の箱型となるため、メッキ工程での取り扱い、メッキ液のシールが容易でメッキ設備が小型になる。また、シリンダ部151のシリンダ154内周面に鉄系金属粒子を溶射してコーティングする処理を施しても良い。
まず、特許文献4の方法では、シリンダブロック部全体を押し出し成形又は鍛造にて製作するため、本来不必要である外壁の部分も高剛性の材質で作られることになり、過剰品質となる。
基本的に、シリンダの内筒部分は高温高圧にさらされるために剛性が必要となるが、外壁部分やウォータジャケットを構成する部分については、本来強度はそれほど必要ない。
今後、シリンダ内筒部分の更なる高剛性化と共に、部品の低コスト化が求められていくので、高品質の部品は必要最小限にとどめ、構成することでコストを抑える必要がある。
1つ目の課題として、このように本来強度をあまり必要としない外壁等の部分も、剛性を必要とする部分を含む為に、高剛性の材質で作られることになり、過剰品質となるという点が考えられる。
引用文献4においても、クランクケース部152側に雌ネジ部を持ってくることで、シリンダ部151には圧縮応力のみがかかるようになっており、シリンダ154に歪を発生しないように工夫がなされている。
このような問題は、従来から指摘されており、本発明においても上記(1)の問題を解決すると同時に、ピストン摺動面に歪が発生しないようにしなければならない。
これは、高性能で高回転型のエンジンほど影響が大きく、このピストンとシリンダ内面との摺動によって、少なからず摺動抵抗が発生するため、燃料が爆発するのとは別に、この摺動によっても摩擦熱が発生する。そこで、エンジンの運転中には、燃料の爆発による熱と、摺動抵抗を減らし焼き付きを防ぐためにエンジンオイルが常時吹き付けられており、ピストンの潤滑と、焼き付き防止を図っている。
このため、通常はピストンの外周にはピストンリングが複数本はめ込まれ、シリンダの内壁面に吹き付けられたエンジンオイルを掻き落とし、必要最低限の油膜を作ると同時に、余分なオイルが燃焼室内に侵入するのを防いでいる。
ピストンリングとシリンダの内面との摺動抵抗は、エンジン運転時に発生する摺動抵抗の約1/3とも言われており、シリンダの内面への歪の影響を減少させることは極めて重要なのである。
これは、エンジン組付け時には、組付け面でのシール性を高めるため、数十kN程度ものトルクをかけてボルトを締め込む必要があり、ボルトを締め込むことによって発生する歪が形状精度に与える影響は大きく、ピストン摺動面付近で閉め込んだ場合、歪によってシリンダ内面の真円度が狂い、ピストンにはめ込まれるピストンリングとシリンダ内面との間に隙間を生じるなどの影響が出ることもあるからである。
2つ目の課題としては、このようにエンジン組付け時に、エンジンを組み付けるボルトの締結により発生する歪によって、ピストンと摺動するシリンダ内面の形状精度に与える影響を、極力なくす必要があるという点が考えられる。
3つ目の課題として、このようなエンジンの冷却性能を確保する必要がある点が考えられる。
(1)ピストンが摺動するボア部と、クランクシャフトを保持するクランクケース部と、前記クランクケース部と共にクランクシャフトを保持するクランクキャップとを備えるエンジンのブロック分割構造において、前記ボア部に形成される第1雌ネジ部には、第1締結ボルトにてシリンダヘッドが締結され、前記ボア部に形成される第2雌ネジ部には、第2締結ボルトにて前記クランクキャップが前記クランクケース部を挟み込んで締結され、前記ボア部を前記クランクケース部と組付けた際に、前記ボア部を囲うような外壁が前記クランクケース部に一体的に形成されることを特徴とする。
(3)(1)又は(2)記載されるブロック分割構造において、前記クランクケース部と、前記クランクケース部に形成された外壁と、前記ボア部と、前記シリンダヘッドとによって囲まれた空間に、エンジン冷却液が満たされていることを特徴とする。
(1)ピストンが摺動するボア部と、クランクシャフトを保持するクランクケース部と、前記クランクケース部と共にクランクシャフトを保持するクランクキャップとを備えるエンジンのブロック分割構造において、前記ボア部に形成される第1雌ネジ部には、第1締結ボルトにてシリンダヘッドが締結され、前記ボア部に形成される第2雌ネジ部には、第2締結ボルトにて前記クランクキャップが前記クランクケース部を挟み込んで締結され、前記ボア部を前記クランクケース部と組付けた際に、前記ボア部を囲うような外壁が前記クランクケース部に一体的に形成されることを特徴とするので、強度が必要であるボア部に第1雌ネジ部及び第2雌ネジ部を集約し、強度の必要のないクランクキャップ及び外壁を一体として、クランクキャップで挟み込むようにして、ボア部に第2締結ボルトで締結することで、過剰品質である部分を極力減らし、コストを抑えることができるという優れた効果を奏する。また、強度の必要な部分がボア部に集約されるので、他の部分と一体で作るよりも小型にすることができ、ボア部の加工性が向上する。
図1には、本実施例におけるエンジンの断面図を模式的に示している。図2には、その部品図を示し、図2(a)にボア部の斜視図を、図2(b)にクランクケース部の斜視図を示している。
ボア部10は図2(a)に示すように、円筒が複数個並んだ形状になっており、本実施例では円筒を3つ平行に並べてある。一般的に、シリンダブロック内のシリンダの数がエンジンの気筒数を表しており、本実施例では説明しやすいようにシリンダの数を3つ、つまり、直列3気筒のエンジンを例として用いて説明している。
なお、一般的にはシリンダ内径のことをボアと呼ぶが、本実施例では、水冷のためのジャケット構造を含む円筒であるシリンダと区別をして、ピストン12をガイドするシリンダ部分であって、ジャケット構造を含まない円筒が並んだものをボア部10と呼ぶことにする。
本実施例のボア部10にはダイカスト用アルミニウム合金を採用している。例えば、ADC12等の鋳造性に優れた高強度なダイカスト用アルミニウム合金が用いられている。
ボルト座部10aに設けられる第1雌ネジ部10bと第2雌ネジ部10cは、ボア部10の中心線と平行な同軸上に設けられ、図3(a)に示す第1締結ボルト18aと第2締結ボルト18bが必要なトルクで締め付けられた際に必要なだけのネジ山が形成されている。
さらに、このボルト座部10aは、円筒状の部材が板状部材によって、クランクケース13と組み付ける側に、ボア部10の側面に張り出すように縁設されている。そして、第1雌ネジ部10b。第2雌ネジ部10cは円筒状の部材の中心に位置する場所に向けられている。この場合、ボルト座部10aは、ボア部10に対して歪を与えない状態でも受けられていることが望ましく、本実施例では鋳造によって一体的に形成されているが、鍛造やそれに類する加工方法で形成しても良いし、加工時の歪が除去でき、位置精度を出すことができるのであれば、溶接等の接合方法を用いても良い。
また、このボルト座部10aの厚みは、第1雌ネジ部10b及び第2雌ネジ部10cを形成するために必要なだけの厚みしかなく、さらに、ボア部10の本体との接続部は、第1雌ネジ部10b及び第2雌ネジ部10cが設けられている部分よりも薄くなっている。
なお、本実施例ではボルト座部10aは合計8箇所設けられている。各シリンダ11の4隅に1つずつ、均等な距離に位置するように配置され、隣のシリンダ11とはボルト座部10aを共有する構成となっている。よって、例えば直列4気筒のエンジンであれば、ボルト座部10aは2つ増えて10箇所となる。
もちろん、歪を分散させるために、ボルト座部10aを均等割りの位置に増やすことは有効なのであるが、エンジンの小型化とのバランスも考慮する必要があるために、現状はこのような配置になっている。
図1に示すクランクケース部13aは、ボア部10の内部を上下運動するピストン12の力を伝達するコンロッド14と、コンロッド14に接続されるクランクシャフト15が収納される部屋であり、ゴミ等が入り込まないように外部と隔離する機能、およびクランクシャフト15を受ける機能があれば足りるため、強度をあまり必要としない。
本実施例では、クランクケース13に強いトルクで締結される必要のあるボルト等のネジ穴を備えないため、材料は、安価な鋳造用のアルミニウム合金を用いて構成されている。
次に外壁部13bであるが、これはボア部10とクランクケース13を組付けた際に、ボア部10の外側に形成される壁面となる。
従って、通常はジャケット構造にして内部に冷却水を通し、冷却してエンジンの運転を行う必要がある。このような理由で、ボア部10の外側には外壁部13bが必要であり、ボア部10と外壁部13bの間を冷却水が流れてエンジンを常に冷却する構造となっている。この様子は図6の断面図にも示されている。
また、クランクケース13下部には、クランクキャップ17を備えている。図1に示すように、クランクケース部13aとクランクキャップ17で、クランクシャフト15が収まる部屋及び、クランクシャフト15の軸部分を受ける部分を形成している。クランクキャップ17の下には、図示しないオイルパンが固定される。
図3には、ボルト締結状態を示し、図3(a)にはボア部10に第1締結ボルト18a及び第2締結ボルト18bが締め込まれた状態の模式図、(b)には締結部の拡大図を示す。また、組み付けられた状態を図4に示す。図4はボア部10、クランクケース13、シリンダヘッド16、及びクランクキャップ17を組み付けた状態の斜視断面図であり、また図5には、図4とは別の断面で切断した斜視断面図を示す。
図5に示すように、クランクケース13の内部であって外壁部13bの内側にボア部10が収まるように組みつけられ、その上面にシリンダヘッド16が組みつけられ、クランクケース13の下側からはクランクキャップ17が組みつけられる。
このように、シリンダヘッド16は、図示しないメタルガスケット等を挟んでボルト座部10aに設けられる第1雌ネジ部10bへ第1締結ボルト18aを締め付けることで組みつけられ、また、クランクキャップ17は、クランクケース13を挟むようにして配置され、ボルト座部10aに設けられる第2雌ネジ部10cに第2締結ボルト18bを締め込むことで組みつけられる。
よって、クランクケース13はボア部10とクランクキャップ17に挟み込まれるようにして組みつけられることになるため、組みつけられた状態では常に圧縮応力を受けていることになる。
また、クランクケース13とボア部10の接合面10dは、冷却液等が漏れないようにシール性が要求されるので液体ガスケット等を用いてシールされる。
接合面10dではクランクキャップ17にクランクケース13を挟んで、ボア部10に備えるボルト座部10aの第2雌ネジ部10cに第2締結ボルト18bが数十kN程度の高いトルクで締め込まれるので、必要な面圧を確保することが可能である。それによって、ボア部10の外面とクランクケース13の外壁部13bの内面より形成される空間である水路19とのシール性が保たれることになる。
この空間はエンジンの冷却水を通すための水路19であり、ボア部10と外壁部13bの隙間は数mm程度に設定されている。この間を冷却水が流れることによって、エンジンの運転中に発生した熱を抑える。なお、第1締結ボルト18aは、この冷却液中に水没しており、このため、第1締結ボルト18aには防錆材のような塗料を用いて防錆対策が施されている。
まず、ボア部10については、ボア部10にボルト座部10aを縁設し、第1雌ネジ部10b及び第2雌ネジ部10cがボルト座部10aに形成されるので、本来強度の必要なボア部10に、同じく強度のいる第1雌ネジ部10b及び第2雌ネジ部10cをボア部10に集約することができるというメリットがある。
前述の通り、ボア部10には熱及び圧力による大きな負荷がかかり強度を必要とし、第1雌ネジ部10b及び第2雌ネジ部10cの設けられたボルト座部10aには、燃焼ガスや冷却水などの漏れを防ぐために数十kNものの大きなトルクで第1締結ボルト18a及び第2締結ボルト18bで締め付けなければならないため、強度が必要となるからである。特に燃焼室20側のシールについては、シビアなシール性が要求されるため、トルクの管理は重要事項となる。
また、ボア部10の構造について、ボルト座部10aはクランクケース部13a側に設けられており、極力、燃焼室20とピストン12の摺動部分からは遠ざけるような位置となっている。この方法は、一般的に用いられる方法であるが、本実施例のようにボア部10と外壁部13bと分割して製作する場合にも、この方法を採ることで同様の効果が期待でき、これによって、シリンダ11に、組付け時にネジを締結することによって発生する歪の影響を最小限に抑え、ピストン12の真円度を高い状態で確保することで摺動抵抗を減らし、燃費の悪化や出力低下を防いでいる。
ボルト座部10aに設けられた、第1雌ネジ部10b、第2雌ネジ部10cは、組みつけられた際に上下の力のバランスが取れる位置に設けられる必要があるが、本実施例では同軸上に設けられ、その機能を果たしている。
このボルト座部10aは、エンジンにボア部10を組み付けるにあたって、前述の通りボア部10とシリンダヘッド16及びクランクケース13との高いシール性を要求されるため、組み付けるボルトは数十kNものの高い締め付けトルクによって、閉め込まれ、結果ボルト座部10aには大きな力がかかることになる。従って、それに耐え得るだけの強度が必要である。
このことは解析結果からも示されており、第1締結ボルト18a又は第2締結ボルト18bによって、引っ張られることで、1気筒に対して4次の歪が発生しており、これらが影響して、ボア部10に変形をもたらしていることがわかっている。
従って、ボルト座部10aによってボア部10に与えられる歪が問題となる。特にボルト座部10aに厚みがあると、ボルト座部10a自体の変形量が少なくなるものの、ボルト座部10aとボア部10の接合部での歪は、無視できない程度発生してしまう。
具体的には、ピストンリングの摺動部から外れる位置にあって、かつ、シリンダヘッド16とボア部10の接合面から遠い、つまり、クランクケース13とボア部10の接合面10d側にあって、ピストンリングの摺動面にかからない高さでボア部10にボルト座部10aが縁設されることが望ましい。
さらに、ボア部10への歪の影響を極力少なくするために、ボア部10へのボルト座部10aの接合部は接合面10dでの面圧必要な分が出る程度まで薄くすることが望ましい。
また、ボルト座部10aに設けられる第1雌ネジ部10bと第2雌ネジ部10cが同軸に設けられ、ボルト座部10aの厚みが、第1雌ネジ部10bと第2雌ネジ部10cが設けられる程度の厚みしかないので、第1締結ボルト18aと第2締結ボルト18bがお互いが引っ張り合って歪を減少させる効果が期待できる。
さらに、クランクケース部13a及び外壁部13bを一体成形することで、特許文献4のような方法と異なり、クランクケース部13aと外壁部13bの間から冷却液が漏れる心配をしなくてもよく、シール構造にする必要も無い。
また、クランクケース部13aと外壁部13bはいずれもあまり強度の必要ない部品であるので、強度のあまり必要の無い部分である、クランクケース13は安価な材料で作成が可能となる。
そして、特許文献4のようにボア部10がクランクケース部13aを備え鋳造で作られる場合と比較して、大きさや形状にもよるが通常で3〜5割程度のコストが削減できる他、エンジンの出力によって、ボア部10を変更することも可能となるので、同じ設計で異なる出力のエンジンに対応できうるメリットもある。
このように、クランクケース13はボア部10とクランクキャップ17に挟み込まれるようにして組みつけられるため、組みつけられた状態では常に圧縮応力を受けていることになっているので、疲労破壊に対する強度保証がし易い。
エンジンは、稼働中は常に燃焼室20でガス化した燃料を繰り返し燃焼させているので、振動や熱に常にさらされ、応力変動があるので材料金属中に疲労が溜まり易い。従って、常に一方向に応力を受けている状態のほうが、疲労破壊に対するマネージメントをしやすいのである。
(1)ピストン12が摺動するボア部10と、クランクシャフト15を保持するクランクケース部13aと、クランクケース部13aと共にクランクシャフト15を保持するクランクキャップ17とを備えるエンジンのブロック分割構造において、ボア部10に形成される第1雌ネジ部10bには、第1締結ボルト18aにてシリンダヘッド16が締結され、ボア部10に形成される第2雌ネジ部10cには、第2締結ボルト18bにてクランクキャップ17が前記クランクケース部を挟み込んで締結され、前記ボア部を前記クランクケース部と組付けた際に、ボア部10を囲うような外壁部13bがクランクケース部13aに一体的に形成されることを特徴とするので、強度が必要であるボア部10に第1雌ネジ部10b及び第2雌ネジ部10cを集約し、強度の必要のないクランクキャップ17及び外壁部13bを一体として、クランクキャップ17で挟み込むようにして、ボア部10に第2締結ボルト18bで締結することで、過剰品質である部分を極力減らし、コストを抑えることができるという優れた効果を奏する。また、強度の必要な部分がボア部10に集約されるので、他の部分と一体で作るよりも小型にすることができ、ボア部10の加工性が向上する。
(3)(1)又は(2)記載されるブロック分割構造において、クランクケース部13aと、クランクケース部13aに形成された外壁部13bと、ボア部10と、シリンダヘッド16とによって囲まれた空間に、エンジン冷却液が満たされていることを特徴とするので、第1締結ボルト18a用のボルト穴を設ける必要が無く、クランクケース部13a、外壁部13b、及びボア部10の形状を単純化できるので、加工コストを削減することができるという優れた効果を奏する。また、冷却液の通る空間を広く取ることも可能となる。
例えば、本実施例ではボア部10にはADC12等のダイカスト用アルミニウム合金を用いているが、特にこの材料に限るものではなく、例えば、他の鋳造によるアルミニウム鋳物や、鍛造品を用いたり、アルミニウムに限らず、鋳鉄等を用いたりしても良く、要は燃焼室20で発生する熱や圧力に耐えられる他の材料を選択することを妨げない。
また、クランクケース13や、シリンダヘッド16等についても、鋳造用アルミニウム合金としているが、材料は特にこれに限られるものではない。
また、ボルト座部10aに設けられた第1雌ネジ部10b、及び第2雌ネジ部10cは、同一軸を中心として設けられているが、第1締結ボルト18a、及び第2締結ボルト18bによって引っ張られる力の上下バランスが取れれば良いので、同一軸にネジ部の中心が無くともかまわない。
10a ボルト座部
10b 第1雌ネジ部
10c 第2雌ネジ部
11 シリンダ
12 ピストン
13 クランクケース
13a クランクケース部
13b 外壁部
14 コンロッド
15 クランクシャフト
16 シリンダヘッド
17 クランクキャップ
18a 第1締結ボルト
18b 第2締結ボルト
19 水路
20 燃焼室
Claims (3)
- ピストンが摺動するボア部と、クランクシャフトを保持するクランクケース部と、前記クランクケース部と共にクランクシャフトを保持するクランクキャップとを備えるエンジンのブロック分割構造において、
前記ボア部に形成される第1雌ネジ部には、第1締結ボルトにてシリンダヘッドが締結され、
前記ボア部に形成される第2雌ネジ部には、第2締結ボルトにて前記クランクキャップが前記クランクケース部を挟み込んで締結され、
前記ボア部を前記クランクケース部と組付けた際に、前記ボア部を囲うような外壁が前記クランクケース部に一体的に形成されることを特徴とするブロック分割構造。 - 請求項1に記載されるブロック分割構造において、
前記ボア部の前記クランクケース部と接する側に取付部が縁設され、
前記取付部には、前記第1雌ネジ部が設けられ、前記第1雌ネジ部と対向する側に前記第2雌ネジ部が設けられることを特徴とするブロック分割構造。 - 請求項1又は請求項2に記載されるブロック分割構造において、
前記クランクケース部と、前記クランクケース部に形成された外壁と、前記ボア部と、前記シリンダヘッドとによって囲まれた空間に、エンジン冷却液が満たされていることを特徴とするブロック分割構造。
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