JP4352970B2 - シリンダブロック - Google Patents
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Description
他方、シリンダブロックをシリンダの壁面を構成するシリンダライナ部と、同シリンダライナ部を囲む外壁を構成するシリンダ外壁部を有するシリンダブロック本体とに分割構成したものがある。このようなシリンダブロックの一例を図5に示す。
(1)請求項1に記載の発明は、第1分割構造体と第2分割構造体との組み合わせにより構成されるものであって、前記第1分割構造体は、複数のシリンダライナが設けられ、且つシリンダヘッドを支持するアッパデッキが設けられものであり、前記第2分割構造体は、前記複数のシリンダライナを取り囲む外壁部が設けられ、且つ同外壁部の頂部により前記アッパデッキを支持するものであり、前記アッパデッキが前記外壁部の頂部に配置され且つ前記複数のシリンダライナが前記外壁部の内側の空間に配置された状態にて前記第1分割構造体及び前記第2分割構造体が互いに固定される分割型のシリンダブロックにおいて、前記第1分割構造体は、隣り合うシリンダライナ同士が互いに接続され、且つこの接続される部分がシリンダボア間の壁部であるボア間壁部をなすものであり、前記第1分割構造体及び前記第2分割構造体は、前記複数のシリンダライナのボア間壁部、及びこのボア間壁部に対向する前記外壁部の一方、及び前記ボア間壁部に対向する前記外壁部の他方を貫通する穿孔が設けられ、且つこの穿孔に挿入される締結部材により前記外壁部と前記ボア間壁部とが互いに固定されるものであることを要旨としている。
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリンダブロックにおいて、前記穿孔は、前記シリンダライナの下端近傍に形成されることを要旨としている。
同構成によれば、アッパデッキ部によってシリンダライナ部の上端近傍が固定されるとともに、締結部材の締結力によってシリンダライナ部の下端近傍がシリンダ外壁部に固定されるため、シリンダライナ部の振動をより好適に抑制することができるようになる。
同構成によれば、シリンダ外壁部によって狭持されるシリンダライナ部の変形を上記補強部材により抑制することができるようになる。
(8)請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のシリンダブロックにおいて、前記補強部材は、前記穿孔の内壁を構成するカラーであり、このカラーは、前記穿孔と同一の長さを有し、且つ前記複数のシリンダライナよりも剛性の高い材料により形成されるものであることを要旨としている。
以下、本発明に係るシリンダブロックの潤滑構造を具体化した第1の実施形態を、図1〜図3を参照して詳細に説明する。
同図3に示すように、シリンダブロック3は、内周ブロック20とシリンダブロック本体30とにより分割形成されている。これにより上記アッパデッキ部22とクランクケース部31との間は、シリンダ周囲に形成されるウォータジャケットとなる部位を境に、シリンダの壁面を構成するシリンダライナ部21と、同シリンダライナ部21を囲む外壁を構成するシリンダ外壁部32を有するシリンダブロック本体30とに分割形成されている。そしてシリンダライナ部21は上記アッパデッキ部22と一体成形され、シリンダ外壁部32は上記クランクケース部31と一体成形されている。
シリンダ外壁部32の内部には、その上方から上記内周ブロック20のシリンダライナ部21が緩挿される。このとき、シリンダライナ部21の外周面24とシリンダ外壁部32の内周面35との対向面間には、間隙が形成されるようになっている。そして、シリンダライナ部21の外周面24、シリンダ外壁部32の内周面35、及び上記アッパデッキ部22の下面とによって、シリンダ周囲にウォータジャケット6が区画形成されるようになっている。ちなみにこのウォータジャケット6は、アッパデッキ部22に設けられた孔を介してシリンダヘッド2の冷却水通路に連通されている。
ここでヘッドボルト7は、内周ブロック20のアッパデッキ部22に形成されたボルト挿通孔27を介して、シリンダブロック本体30に設けられたボルト締結穴37内に挿入され、同ボルト挿通孔27に設けられためねじ部27aに螺合される。このとき、内周ブロック20のアッパデッキ部22は、シリンダヘッド2の底面2aとシリンダブロック本体30のシリンダ外壁部32の上記頂面32aとの間に狭持されており、ヘッドボルト7の締め付けによってそれら底面2aと頂面32aとから圧縮力を受けて締結固定される。
ここで、締結ボルト51は上記一方の壁部32bの穿孔50aから上記穿孔50bを介して上記他方の壁部32cの穿孔50aに貫挿される。そして壁部32cから突出した先端部のおねじ部にナット52が螺合される。このとき、シリンダライナ部21はシリンダ外壁部32によって狭持されており、締結ボルト51およびナット52の締め付けによってそれら同シリンダライナ部21は狭持され、固定される。
(1)シリンダライナ部21とシリンダブロック本体30とに分割構成されるシリンダブロック3にあって、シリンダライナ部21はその上端に形成されたアッパデッキ部22を介してシリンダ外壁部32の頂面32a、すなわちシリンダブロック本体30に固定されるようにしている。そして、このような固定態様に加え、さらに締結ボルト51によって、シリンダライナ部21のシリンダボア間がシリンダ外壁部32に狭持されるようにもしている。すなわち、シリンダライナ部21の側壁も固定されるようにしている。そのため、同シリンダライナ部21の振動を好適に抑制することができるようになる。また、シリンダライナ部21とシリンダブロック本体30との固定がより強固なものとなるため、分割構造とされるシリンダブロックの剛性を向上させることもできるようになる。
(第2の実施形態)
次に、本発明にかかるシリンダブロックを具体化した第2の実施形態を、図4を参照して詳細に説明する。
このカラー53の内壁53aは上記穿孔50bを構成しており、同内壁53aと穿孔50aとで上記穿孔50は構成される。カラー53の軸方向の長さは上記穿孔50bと同一の長さとされている。換言すればシリンダライナ部21のシリンダボア間にあってシリンダの配列方向に直交する方向への長さ(図5に示す線Aの長さ)と同一の長さにされている。また、カラー53は上記シリンダライナ部21の構成部材よりも剛性の高い部材、例えば鉄及び炭素からなる炭素鋼や、これにニッケル、マンガン、クロムなどを加えた特殊鋼等で形成されている。そして、カラー53はシリンダライナ部21のシリンダボア間に圧入、あるいは鋳込まれることにより同シリンダボア間に固定されている。ちなみに、組み付け時等におけるシリンダライナ部21からの脱落を防止できるのであれば、シリンダボア間に設けられた孔に同カラー53を緩挿させるようにしてもよい。
・上記各実施形態では、隣り合うシリンダボア5の間にそれぞれ穿孔50を設けるようにした。すなわち4つのシリンダボア5の間、換言すれば3つのシリンダボア間にそれぞれ穿孔50を設けるようにしたが、少なくともいずれか1つのシリンダボア間に穿孔50を設けるようにしてもよい。
・穿孔50は必ずしもシリンダライナ部21の下端近傍に設ける必要はなく、シリンダボア5の軸線方向における配設位置は適宜変更して実施することができる。この場合であっても、少なくともシリンダライナ部21の側壁を固定することができるため、シリンダライナ部21の振動を好適に抑制することができるようになる。また、シリンダボア5の軸線方向に複数の穿孔50を設け、各穿孔50に締結ボルト51を挿入してシリンダライナ部21を固定するようにしてもよい。
・シリンダボア5壁面に溶射により鉄等からなる保護膜を被覆形成していたが、そうした加工は行わないようにしても良い。例えばシリンダライナ部21の内周面23に別途製造されたシリンダライナを装着するようにしたり、或いは内周ブロック20が鋳鉄等の十分な摩耗耐性を有する材料で成形されているのであれば、その母材をそのままシリンダボア5表面としたりしても良い。
Claims (8)
- 第1分割構造体と第2分割構造体との組み合わせにより構成されるものであって、前記第1分割構造体は、複数のシリンダライナが設けられ、且つシリンダヘッドを支持するアッパデッキが設けられものであり、前記第2分割構造体は、前記複数のシリンダライナを取り囲む外壁部が設けられ、且つ同外壁部の頂部により前記アッパデッキを支持するものであり、前記アッパデッキが前記外壁部の頂部に配置され且つ前記複数のシリンダライナが前記外壁部の内側の空間に配置された状態にて前記第1分割構造体及び前記第2分割構造体が互いに固定される分割型のシリンダブロックにおいて、
前記第1分割構造体は、隣り合うシリンダライナ同士が互いに接続され、且つこの接続される部分がシリンダボア間の壁部であるボア間壁部をなすものであり、
前記第1分割構造体及び前記第2分割構造体は、前記複数のシリンダライナのボア間壁部、及びこのボア間壁部に対向する前記外壁部の一方、及び前記ボア間壁部に対向する前記外壁部の他方を貫通する穿孔が設けられ、且つこの穿孔に挿入される締結部材により前記外壁部と前記ボア間壁部とが互いに固定されるものである
ことを特徴とするシリンダブロック。 - 請求項1に記載のシリンダブロックにおいて、
前記締結部材は、ボルト及びナットからなるものであり、
前記ボルトは、前記外壁部の一方及び前記ボア間壁部及び前記外壁部の他方を貫通して前記第1分割構造体及び前記第2分割構造体に挿入され、且つそのヘッドが前記外壁部の一方の外側に設けられ、且つそのねじ部が前記外壁部の他方の外側に設けられるものであり、
前記ナットは、前記ボルトのねじ部に対応して前記外壁部の他方の外側に設けられるものである
ことを特徴とするシリンダブロック。 - 第1分割構造体と第2分割構造体との組み合わせにより構成されるものであって、前記第1分割構造体は、複数のシリンダライナが設けられ、且つシリンダヘッドを支持するアッパデッキが設けられものであり、前記第2分割構造体は、前記複数のシリンダライナを取り囲む外壁部が設けられ、且つ同外壁部の頂部により前記アッパデッキを支持するものであり、前記アッパデッキが前記外壁部の頂部に配置され且つ前記複数のシリンダライナが前記外壁部の内側の空間に配置された状態にて前記第1分割構造体及び前記第2分割構造体が互いに固定される分割型のシリンダブロックにおいて、
前記第1分割構造体は、隣り合うシリンダライナ同士が互いに接続され、且つこの接続される部分がシリンダボア間の壁部であるボア間壁部をなすものであり、
前記外壁部は、前記複数のシリンダライナの配列方向に直交して前記ボア間壁部を通過する一の断面上において、前記シリンダライナの外周面との間にウォータジャケットとしての空間を形成する第1壁部と、この第1壁部よりもクランクケース側に設けられて前記シリンダライナの外周面に接触する第2壁部とに区分されるものであって、
当該シリンダブロックは、前記断面上において前記ボア間壁部を介して互いに対向する第2壁部の一対の部位をそれぞれ対向壁部A及び対向壁部Bとして、同対向壁部A及び前記ボア間壁部及び前記対向壁部Bの他方の順にこれらを貫通する穿孔が形成され、この穿孔に挿入される締結部材により前記対向壁部A及び前記ボア間壁部及び前記対向壁部Bが互いに固定されるものである
ことを特徴とするシリンダブロック。 - 請求項3に記載のシリンダブロックにおいて、
前記締結部材は、ボルト及びナットからなるものであり、
前記ボルトは、前記対向壁部A及び前記ボア間壁部及び前記対向壁部Bを貫通して前記第1分割構造体及び前記第2分割構造体に挿入され、且つそのヘッドが前記対向壁部Aの外側に設けられ、且つそのねじ部が前記対向壁部Bの外側に設けられるものであり、
前記ナットは、前記ボルトのねじ部に対応して前記対向壁部Bの外側に設けられるものである
ことを特徴とするシリンダブロック。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリンダブロックにおいて、
前記穿孔は、前記第2分割構造体のうちクランクシャフトジャーナルの軸受部を有するバルクヘッド部の上方に形成される
ことを特徴とするシリンダブロック。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリンダブロックにおいて、
前記穿孔は、前記シリンダライナの下端近傍に形成される
ことを特徴とするシリンダブロック。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載のシリンダブロックにおいて、
前記複数のシリンダライナのボア間には前記締結部材の締結力による前記シリンダライナの変形を抑制する補強部材が設けられる
ことを特徴とするシリンダブロック。 - 請求項7に記載のシリンダブロックにおいて、
前記補強部材は、前記穿孔の内壁を構成するカラーであり、
このカラーは、前記穿孔と同一の長さを有し、且つ前記複数のシリンダライナよりも剛性の高い材料により形成されるものである
ことを特徴とするシリンダブロック。
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