JP2006291318A - 溶融Zn合金に対する耐食性に優れた鋼材 - Google Patents

溶融Zn合金に対する耐食性に優れた鋼材 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、溶融Zn合金に対する耐食性に優れた鋼材を提供する。
【解決手段】 質量%で、C:0.5%以下、Si:1%以下、Mn:2%以下、P:0.2%以下、S:0.05%以下、Ni:1.2〜20%を含有し、さらに、Mg:0.0001〜0.01%、Ca:0.0001〜0.01%、REM:0.0001〜0.01%の1種または2種以上を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなることを特徴とする溶融Zn合金に対する耐食性に優れた鋼材。
【選択図】 なし

Description

本発明は、溶融Zn合金に対する耐食性に優れた鋼材に関し、より詳しくは、溶融Zn−Mgめっきや溶融Zn−Mg−Alめっき等のMgやAl等を含む溶融Zn合金に対する腐食速度が、従来のめっき釜用鋼よりも小さく、めっき釜や輸送用ポンプ、シンクロ−ル、攪拌用治具、浸漬型ヒ−タ−加熱管等の各種めっき設備に用いることができる、溶融Zn合金に対する耐食性に優れた鋼材に関するものである。
従来から、送電鉄塔、橋梁、道路用資材、建築金物、建築・土木用材料等の分野において、経済性、耐久性等の面から溶融Znめっき鋼材が広く用いられているが、最近では溶融Znめっき鋼材よりも耐食性に優れる溶融Zn−Mg合金めっき鋼材や、溶融Zn−Al合金めっき鋼材等の溶融Zn合金めっき鋼材が実用化されている。
しかし、これらの溶融Zn合金めっきを行う際に、従来からZnめっき釜用鋼材として用いられている低合金鋼をそのまま釜用材料として用いると、釜の腐食が激しく、めっき釜の寿命が著しく短くなる。即ち、溶融Znめっき浴中では、釜用鋼材のFeと溶融Znが反応し、Fe−Zn系合金層を形成して、鋼材は溶損するが、めっき浴中にMgやAl等を含む場合は、Fe−Zn合金層の形成速度が著しく増大するため、釜用鋼材の消耗が激しく、その結果、釜の寿命が激減し、溶融Znめっき浴の場合ほどの耐久性が得られない。なお、ここで言うZn合金めっきとは、めっき浴中に、Mgを質量%で0.5%以上20%以下、又は、Alを質量%で0.04%以上60%以下の一方又は双方を含み、残部がZn及び不可避的不純物からなるめっきのことを指すが、その他、Si、Fe、Co、Ni、Pb、Cd、Bi、Cr、Ti等の元素を含んでいても良い。
このため、耐食性に優れた釜用鋼材が種々検討されている。例えば、溶融Al−Znめっきに対しては、C:2.0〜4.0%、Si:2.0〜5.0%、Mn:0.1〜3.0%、Ni:5.0%以下、Cr:3.0〜25.0%を含む鋼材が開示されている(特許文献1)が、そもそも高C、高Si系の鋳物であるため、加工性や溶接した際の溶接部の靭性に劣り、Mgを含むめっき浴に対しても効果があるかどうかは定かではない。
また、溶融Znめっきを対象とした、C:0.005〜0.05%、Si:0.005〜0.25%、Mn:0.1〜1.1%、P:0.01%以下、S:0.01%以下、Ni:0.1〜1.0%、Cr:3.5〜6.5%、Al:0.005〜0.1%を含む鋼材が開示されている(特許文献2)が、Mgを0.5%以上含むめっき浴に対して効果があるかどうかは定かではなく、また、釜としたときの溶接部の靭性や高温での強度にも問題がある。
さらに、溶融Znめっきに対する耐食性を向上するものとして、C:0.5〜2.5%、Si:0.4〜3.0%、Mn:2%以下、Ni:2.5%以下、Cr:11.5〜14.5%、及びCo:0.05〜0.15%、V:0.05〜0.15%、Nb:0.05〜0.15%の1種又は2種以上を含む鋼材が開示されている(特許文献3)が、高C、高Cr系の鋳物であるため、加工性に劣り、また製造コストも高い。溶融Znめっきに対する耐食性を向上させるものとして、C:0.40%以下、Si:1.50〜3.50%、Mn:2.0%以下、Ni:5.0%以下、Cr:3.0〜20.0%を含む鋼材が開示されている(特許文献4)が、高Si系の材料であるため、釜としたときの溶接部の靭性や高温での強度に劣る。また、Crを含むことから製造コストも高い。
特開2000−104139号公報 特開2002−322534号公報 特開昭58−117859号公報 特開昭55−79857号公報
以上のように、溶融めっき釜用材料として種々提案されているが、いずれもCrの添加によって溶融Znに対する耐食性の向上を図ったものであり、溶融Zn合金、特にMgやAlを含む溶融Zn合金に対しては、効果があるかどうか定かではなく、また、加工性や溶接部の靭性、高温強度、経済性等といった面で数々の問題がある。
本発明は、このような諸問題を解決し、高耐食性、高加工性、溶接用鋼材として十分な溶接性、靭性、強度を有し、かつ経済性にも優れた、溶融Zn合金に対する耐食性に優れた鋼材及びこれを用いた釜を提供することを課題としている。
本発明は、上記課題を解決し、釜用鋼材として十分な耐食性、加工性、溶接性、溶接部の靭性、高温強度を有し、かつ経済性にも優れた、溶融Zn合金に対する耐食性に優れた鋼材及びこれを用いた釜を提供するもので、その要旨とするところは次の通りである。
(1) 質量%で、C:0.5%以下、Si:1%以下、Mn:2%以下、P:0.2%以下、S:0.05%以下、Ni:1.2〜20%を含有し、さらに、Mg:0.0001〜0.01%、Ca:0.0001〜0.01%、希土類元素:0.0001〜0.01%の1種または2種以上を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなることを特徴とする溶融Zn合金に対する耐食性に優れた鋼材。
(2) 質量%で、さらに、Mo:0.01〜2%、V:0.001〜0.5%、Ti:0.001〜0.5%、Nb:0.001〜0.5%の1種または2種以上を含むことを特徴とする(1)に記載の溶融Zn合金に対する耐食性に優れた鋼材。
(3) 質量%で、さらに、Cr:0.5〜5%、Cu:0.1〜2%の1種または2種を含むことを特徴とする(1)または(2)に記載の溶融Zn合金に対する耐食性に優れた鋼材。
(4) 少なくとも溶融Zn合金に接する部分に、(1)〜(3)のいずれかに記載の鋼材を用いてなることを特徴とする溶融Zn合金めっき用釜。
本発明の鋼材によれば、溶融Zn合金に対する耐食性に優れ、また、溶接可能で、経済的にも優れる。本鋼材をめっき釜や輸送用ポンプ、シンクロ−ル、攪拌用治具、浸漬型ヒ−タ−加熱管等の各種めっき設備に用いることで、これらの耐久性は、従来以上に向上するため、産業上の価値は極めて大きい。
また、本発明の溶融Zn合金めっき用釜は、溶融Zn合金による浸食を受け難く、耐久性に優れるため、釜交換の頻度を少なくできるので、設備休止が避けられ、生産性が向上する。
本発明の溶融Zn合金に対する耐食性に優れた鋼材及びそれを用いた溶融Zn合金めっき用釜の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために詳細に説明するものであるから、特に指定の無い限り、本発明を限定するものではない。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の鋼材が対象とする溶融Zn合金について説明する。溶融Zn合金とは、主として溶融Zn合金めっき用の、Znを主体とする溶融金属のことであり、溶融Zn−Al、溶融Zn−Mg、溶融Zn−Al−MgなどのMgとAlを含む溶融Znのことを指す。
Mgは、溶融Znめっきの耐食性を大幅に向上させる効果があるが、Mgが0.5質量%未満ではその効果は不十分で、20質量%を超えるとめっき浴の酸化が激しくなりドロスが多量に発生し作業性を妨げるため、0.5質量%以上20質量%以下とすることが好ましい。
Alは、溶融Znめっき鋼材の耐食性を向上させる効果とともに、Mgを入れた際のめっき浴の酸化を抑制する効果があるが、Alが0.04質量%未満ではその効果が不十分で、60質量%を超えると不めっきに成りやすくなるため、0.04質量%以上60質量%以下とすることが好ましい。
本発明の鋼材が対象とする溶融Zn合金には、その他に、Ni、Cr、Sn、Si、Fe、Pb、Cd、Mn、Cu、Ti、Sb、Bi、Ag等の金属を1種以上含んでいても良い。これらの金属の好ましい範囲は、特に規定はしないが、好ましくは各々が15質量%以下である。
次に、本発明の鋼材の成分元素とその含有量について説明する。
Niは、本発明において重要な元素である。Niは、溶融Zn合金に対する鋼材の腐食速度を著しく減少させる効果がある。その作用機構は明確ではないが、溶融Zn合金中のAlやMgと反応、あるいは鋼材表面にNiが濃化し、バリア皮膜を形成することなどにより、溶融Zn合金中におけるFe−Zn合金化反応を抑制し、鋼の腐食を抑制することが考えられる。Niが1.2質量%未満では、その効果は顕著でなく、20質量%を超えると、その効果は飽和する傾向にあるばかりか、加工性や溶接部の靭性、経済性に劣るので、その含有量は1.2〜20質量%とする。好ましくは、2質量%〜10質量%であり、より好ましくは2.5質量%〜5質量%である。
Cは、高温での強度を確保し、さらに溶融Zn合金に対する耐食性を向上させる効果がある。Cが0.5質量%を超えると、逆に耐食性を悪化させ、また加工性や溶接部の靭性に劣るため、C含有量は0.5質量%以下とする。好ましくは、0.05質量%以上0.2質量%以下である。
Siは、脱酸のために必要であるが、1質量%を超えると、耐食性や加工性、溶接部の靭性に劣るため、Si含有量は1.0質量%以下とする。好ましくは、0.5質量%以下である。
Mnは、脱酸及び強度確保のために必要であるが、2質量%を超えると脆化し易くなり、また、加工性や溶接部の靭性も劣るため、Mn含有量は2質量%以下とする。好ましくは1.5質量%以下である。
P、Sは、いずれも溶融Zn合金に対する耐食性、および溶接部の靭性を低下させる作用があるため、その含有量は少ない方が望ましい。このため、経済性を考慮して、Pは0.2質量%以下、Sは0.05質量%以下とする。好ましくは、Pは0.1質量%以下、Sは0.01質量%以下である。
Mg、Ca、希土類元素(以下、REMと称する)は、非金属化合物を形成し、これらの微粒子によるピン止め効果によって溶接部の靭性を向上させる効果があるため、必要に応じて添加する。いずれも0.0001質量%未満では十分な量の非金属化合物を形成できず、0.01質量%を超えると粗大な非金属化合物を形成してかえって靭性を低下させる。このため、含有量はそれぞれ、Mg:0.0001〜0.01質量%、Ca:0.0001〜0.01質量%、REM:0.0001〜0.01質量%とする。好ましい範囲は、Mg:0.001〜0.005質量%、Ca:0.001〜0.005質量%、REM:0.001〜0.005質量%である。
Mo、V、Ti、Nbは、高温での強度を上昇させる作用がある。Moは0.01質量%未満では高温強度上昇の効果が顕著でない。また、2質量%を超えると靭性が低下する傾向にある。従ってMoの範囲を0.01〜2質量%とする。Vは0.001質量%未満で高温強度上昇の効果が顕著でない。また、0.5質量%を超えると靭性が低下する傾向にある。従ってVの範囲を0.001〜0.5質量%とする。Tiは0.001質量%未満で高温強度上昇の効果が顕著でない。また、0.5質量%を超えると靭性が低下する傾向にある。従ってTiの範囲を0.001〜0.5質量%とする。Nbは0.001質量%未満で高温強度上昇の効果が顕著でない。また、0.5質量%を超えると靭性が低下する傾向にある。従ってNbの範囲を0.001〜0.5質量%とする。
Crは、耐食性の向上効果が期待できるため、必要に応じて0.5質量%以上含有させることが望ましい。しかしながら、5質量%を超えて含有させてもその効果は飽和し、経済性に劣るため、その含有量は0.5〜5質量%とする。
Cuは、耐食性の向上効果が期待できるため、必要に応じて含有させることが望ましい。その効果は2質量%を超えると飽和するので、その含有量は0.1〜2質量%とする。
本発明の鋼材は、製鋼工程において所定の鋼材成分に調整した後、連続鋳造法又は造塊法等により鋼片を製造し、加熱、圧延、あるいは鍛造等の処理を行うことで製造できる。また、本発明の鋼材は、高温強度、加工性、靭性、耐酸化性、溶接性等に優れおり、めっき釜や輸送用ポンプ、シンクロ−ル、攪拌用治具、浸漬型ヒ−タ−加熱管等の各種めっき設備に適用することができる。
さらに、本発明の鋼材をこれらの各種めっき設備に用いる場合は、必ずしもその設備部材の肉厚全体を本発明の鋼材とする必要はなく、他鋼材を基材とし、その表面のみを本発明の鋼材で被覆して用いても良い。この場合の本発明の鋼材の板厚は、特に規定するものではないが、めっき釜に用いる場合は、例えば、10〜30mm程度とすることが好ましい。本発明の鋼材は、溶融Zn−Mg系合金や溶融Zn−Al系合金等の溶融Zn合金に対する耐食性に特に優れるが、従来の溶融Znに対してもその効果を発揮することは言うまでもなく、溶融Zn系めっきにおける、めっき釜や輸送用ポンプ、シンクロ−ル、攪拌用治具、浸漬型ヒ−タ−加熱管等の各種めっき設備の寿命を長期化することもできる。
次に、本発明の鋼材を用いた溶融Zn合金用めっき釜について説明する。本発明の鋼材は溶接性、加工性に優れていることから、本発明の鋼材を用いて、溶融Zn合金めっき用の釜を製作することができる。溶融Zn合金用めっき釜を製作する場合、本発明の鋼材を熱間、あるいは冷間、または溶接にて所定の釜形状にする。溶接でめっき釜を製作する場合は、Niを1質量%以上含む溶接材料を用いて溶接することが必要である。Niを1質量%以上含む溶接材料を使用することで、溶融Zn合金中での溶接部の腐食を抑制することができる。溶接方法としては、ア−ク溶接、レ−ザ−溶接等、溶接部の強度が十分に確保できるものであれば、その手法は問わない。本発明の鋼材の板厚は、十分な強度や加工性、耐食性を満足すれば特に規定するものではなく、10〜90mmとすることが好ましい。
また、上述の通り、本発明の鋼材を用いた溶融Zn合金用めっき釜は、必ずしもその肉厚全体を本発明の鋼材とする必要はなく、普通鋼などの他鋼材を用いて製作しためっき釜の内面、または全面を本発明の鋼材で被覆して製作しても良い。あるいは、本発明の鋼材を用いた溶融Zn合金めっき釜の内面、または全面をセラミックやNi基高合金で被覆することは、更なる耐食性の向上が期待でき、好ましい。
「実験例1」
表1に示す組成の鋼を真空溶解法で溶製した後、熱間圧延し、板厚5mmと板厚25mの鋼材を作製した。板厚5mmの鋼材から25mm×50mm×3mmのサイズに切り出し、溶融亜鉛合金に対する腐食量の評価用サンプルを作製した。作製した試験片は、460℃に保持したZn−0.05%Al−0.5%Mgめっき浴に浸漬し、48時間経過後に取り出した。その後、付着した亜鉛合金をインヒビタ−入りの15%塩酸で溶解し、試験前後の試験片の質量変化から、溶融Zn−0.05%Al−0.5%Mg浴中での鋼材の平均腐食速度を求めた。
また、100mm×10mm×3mmの折り曲げ加工用試験片を作製し、プレス機で曲げ半径5mmの90°折り曲げ加工をすることで、加工性を評価した。目視評価で、破断や折り曲げ部にクラックが認められる場合には不良、そうでない場合には、良好と評価した。また、溶接部の靭性を評価するために、板厚25mの鋼材から、100mm×50mm×20mmのサイズに2枚切り出し、100mm長さの面を突き合わせて、溶接し、継ぎ手試験片を作製し、HAZ靭性を評価した。なお、溶接材料にはNiを3%含む溶接材料を用いた。さらに、高温強度を測定するためにクリープ試験をした。100×30×15mmの試験片を500℃に保持した状態で150MPaの応力を負荷し、破断時間するまでの時間を測定した。
表1に、溶融Zn−0.05%Al−0.5%Mg浴中での鋼材の平均腐食速度および加工性、HAZ靭性の評価結果、クリープ試験結果を示す。
Figure 2006291318
本発明例A1〜A40は、いずれも平均腐食速度が300〜700g/m/day、加工性が良好、HAZシャルピー衝撃値が100J以上、クリープ破断時間が4000時間以上であり、良好な性能を有している。詳しく見ると、A1〜A6はNi含有率を変えた鋼材であり、Ni含有率が大きくなるに従い、平均腐食速度は小さくなる傾向にあり、耐食性に優れる。一方、HAZシャルピー衝撃値は小さくなる傾向にあり、靭性は低下する。Ni含有率が、本発明の鋼材における、より好ましいで範囲である2.5質量%〜5質量%の範囲にあるA3およびA4は、両者のバランスが取れていて望ましい。
A7およびA8はC含有率を変えた鋼材である。A8はA7よりもC含有率が多く耐食性は優れるが、溶接部の靭性はやや低下する。A9およびA10はSi含有率を変えた鋼材である。A9はA10よりもSi含有率が少なく、耐食性、溶接部の靭性のいずれも優れるため望ましい。A11およびA12はMn含有率を変えた鋼材である。A11はA12よりもMn含有率が少なく耐食性、溶接部の靭性のいずれも優れるため望ましい。A13およびA14は、それぞれP含有率、S含有率が、A4よりも多い鋼材である。いずれもややA4に比べ、耐食性と溶接部の靭性が低下するが問題ないレベルである。A16およびA17はCaを、A18およびA19はREMを含む鋼材である。いずれも耐食性、加工性、溶接部の靭性、高温強度ともに良好な性能を有す。
A20〜A24は、Mg、Ca、REMを複合添加した鋼材である。いずれも単独で添加した場合(A1〜A19)よりも、溶接部の靭性に優れる。A25〜A32は、Mo、V、Nb、Tiを含む鋼材である。いずれも無添加の場合に比べ(A1〜A24)、クリープ破断時間が長く、高温強度に優れる。また、A33〜A37はMo、V、Nb、Tiを複合添加した鋼材である。いずれも単独添加の場合(A25〜A32)よりも、高温強度に優れる。A38〜A40は、CrあるいはCrおよびCuを含む鋼材である。いずれも無添加の場合(A1〜A37)に比べ、平均腐食速度が小さく、耐食性に優れる。
一方、比較例B1〜B12を見ると、B1はNi含有率が0.8質量%で本発明の範囲を下回り、平均腐食速度が8210g/m/dayであるため耐食性に劣る。B2はNi含有率が30質量%であり本発明の範囲を上回るため、加工性に劣り、またHAZシャルピー衝撃値が小さく靭性にも劣る。B3はC含有率が0.6質量%、B4はSi含有率が1.5質量%であり、いずれも本発明の範囲を上回るため、耐食性や加工性、また溶接部の靭性に劣る。B5はMn含有率が2.5質量%であり、本発明の範囲を上回るため、加工性や溶接部の靭性に劣る。
B6はP含有率が0.5質量%、B7はS含有率が0.1質量%であり、いずれも本発明の範囲を上回るため、耐食性や溶接部の靭性に劣る。B8はMgを含まず、本発明の範囲外であるため、溶接部の靭性に劣る。B9、B10、B11はそれぞれ、Mg含有率が0.03質量%、Ca含有率が0.03質量%、REM含有率が0.03質量%であり、本発明の範囲外であるため、溶接部の靭性に劣る。またB12は、Ni含有率が0.8質量%、Mgを含まず、本発明の対象外であるため、耐食性、溶接部の靭性に劣る。
「実験例2」
表1に示す組成の鋼のA4とB12を対象に、表2に示す成分の溶融Zn合金めっき浴中での耐食性を調べた。試験方法は実施例1と同様であり、試験材サイズは25mm×50mm×3mm、であり、溶融Zn合金めっき浴への浸漬時間は48時間である。その結果を表2に示す。
Figure 2006291318
本発明の鋼材であるA4は、いずれの溶融Zn合金めっき浴に対してもその平均腐食速度は650g/m/day以下であり、良好な耐食性を有する。一方、本発明の範囲外の鋼材であるB12は、平均腐食速度が8000g/m/day以上であり、耐食性に劣る。
「実験例3」
本発明の鋼材の溶融Zn合金浴における耐食性、溶接部の靭性、高温強度の向上効果を確認するために、表1に示す組成の鋼のA35とB12を用いて、幅2m、長さ8m、深さ2m(板厚50mm)の溶融Zn合金めっき用釜を製造し、溶融Zn−0.05%Al−0.5%Mgめっき釜として3年使用した後の鋼材平均板厚減少量、溶接部の割れ有無、幅方向の変形量を測定した。
その結果、本発明の鋼材であるA35は、鋼材平均板厚減少が12mm、溶接部の割れは無し、幅方向の変形量が5〜12mmであったのに対し、本発明の範囲外の鋼材であるB12は、鋼材平均板厚減少が38mm、溶接部に割れ有り、幅方向の変形量が30〜35mmであり、本発明の鋼材を用いためっき釜は良好な性能を有した。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.5%以下、Si:1%以下、Mn:2%以下、P:0.2%以下、S:0.05%以下、Ni:1.2〜20%を含有し、
    さらに、Mg:0.0001〜0.01%、Ca:0.0001〜0.01%、希土類元素:0.0001〜0.01%の1種または2種以上を含有し、
    残部が鉄及び不可避的不純物からなることを特徴とする溶融Zn合金に対する耐食性に優れた鋼材。
  2. 質量%で、さらに、Mo:0.01〜2%、V:0.001〜0.5%、Ti:0.001〜0.5%、Nb:0.001〜0.5%の1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1記載の溶融Zn合金に対する耐食性に優れた鋼材。
  3. 質量%で、さらに、Cr:0.5〜5%、Cu:0.1〜2%の1種または2種を含むことを特徴とする請求項1または2記載の溶融Zn合金に対する耐食性に優れた鋼材。
  4. 少なくとも溶融Zn合金に接する部分に、請求項1〜3のいずれか1項記載の鋼材を用いてなることを特徴とする溶融Zn合金めっき用釜。
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