JP2006289894A - インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気配線部材をインク供給部材に強固に接着固定する。
【解決手段】インクジェット記録ヘッドは、インクを吐出する記録素子基板3と、記録素子基板3に電気信号を供給する電気配線部材4と、記録素子基板3と電気配線部材4とが接着固定され、記録素子基板3にインクを供給するインク供給部材2とを有している。インク供給部材2の電気配線部材4との固定面211の外周部の少なくとも一部に沿って、外周溝213が形成されている。電気配線部材4は、外周部の少なくとも一部が外周溝213にせり出したせり出し部44を有し、せり出し部44の外周溝213に面する裏面46が、接着剤A2を介して、外周溝213の少なくとも一部と接着され、かつ、外周溝の一部に空気層217が形成されている。
【選択図】 図5

Description

本発明は、インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法に関し、特に、インクジェット記録ヘッドの、電気配線部材とインク供給部材との接合構造に関する。
インクジェット記録装置に用いられるインクジェット記録ヘッドの構成の一例を、図面を参照して説明する(特許文献1参照)。図9は、従来のインクジェット記録ヘッドの構成の一例を示す分解斜視図である。図10は、図9に示すインクジェット記録ヘッドの組み立て完成後の外観斜視図である。
インクジェット記録ヘッド101は、インク供給部材102と、記録素子基板3(図9,10では2つの記録素子基板が設けられ、各々3a,3bと表示している。)と、電気配線部材4と、電気コンタクト基板5とを備えている。インク供給部材102は、本体121と、流路形成部材122と、ジョイントシール部材123と、フィルター124と、シールゴム125と、第1のプレート126と、第2のプレート127とから構成されている。インクジェット記録ヘッド101には、インクタンクを収納するタンクホルダ6が装着される。
このようなインクジェット記録ヘッドは以下に示す工程を経て組み立てられる。まず、第2のプレート127を第1のプレート126に接着固定した後、第1のプレート126に、記録素子基板3を、記録素子基板接着剤で固定する。次に、電気配線部材接着剤を第2のプレート127に塗布形成し、記録素子基板3の電極(図示せず)と電気配線部材4の電極リード(図示せず)との位置を合わせ、電気配線部材4の裏面を第2のプレート127に接着固定する。次に、記録素子基板3の電極上のバンプ(図示せず)と電気配線部材4の電極リードとを熱超音波圧着法により電気接合し、電気接合部を封止する。次に、流路形成部材122と第1のプレート126のインク連通口とを、ジョイントシール部材123を介して、互いに圧着するようにビスで固定して、インク供給部材102を完成する。最後に、電気コンタクト基板5を電気配線部材4に接続し、本体121に固定してインクジェット記録ヘッド101が完成する。
ところで、現在、第1のプレートと第2のプレートは、アルミナ(Al23)材料をプレス加工や切削加工することによって形成されているために、高価な部品となり、インクジェット記録ヘッドのコストを押し上げている。そこで、より経済的なインクジェット記録ヘッドを提供するため、第1のプレートおよび第2のプレートの樹脂化が検討されている。第1のプレートと第2のプレートを樹脂化すると、インジェクション成型による部材作成が可能となり、必要とする部品形状を瞬時に形成できる。また、本体との一体成型が可能となり、部品点数を削減できる。このため、インクジェット記録ヘッドの低コスト化が可能となる。さらに、部品形状の設計自由度が広がるという利点も生じる。
その反面、熱変形温度が低いために、使用可能な接着剤の種類、プロセス条件に制約を受けるという難点がある。接着剤選定に際しては、さらに耐インク性も要求されるため、各プレートの材質にアルミナを使用した場合と比べて、高接着力の接着剤を選定することが難しくなる。接着力が低下すると、画像形成時の記録紙の反りなどによってジャムが発生したときに、記録紙がインクジェット記録ヘッドの電気配線部材の外周部に接触し、電気配線部材が剥離する可能性がある。また、画像形成時に記録素子基板に付着したインクをワイピング除去する動作を多数回繰り返すことによって、電気配線部材が剥離する可能性がある。
この対策として、図11に示すように、第1のプレートと第2のプレートが一体となったインク供給部材102bの電気配線部材固定面150の外側に、電気配線部材4の外周に沿って、部分的に外周壁140を形成する技術が開示されている(特許文献2参照)。図11は、図10の11−11断面に沿った断面図である(記録素子基板3bは図示せず。)。このような外周壁140を設けることによって、記録紙が電気配線部材4に接触しにくくなり、上述した問題は軽減される。
特開2002−19119号公報 特開平06−293139号公報
しかしながら、このような構成においても幾つかの不利な点がある。第一に、画像形成時の記録紙の反りなどによってジャムが発生したときに、記録紙がインクジェット記録ヘッドの電気配線部材の外周部に接触し、電気配線部材が剥離する可能性が僅かながら残る。これは、電気配線部材をインク供給部材に固定するときの組み立て上の制約によって、電気配線部材と外周壁との間にギャップが必要なためである。ギャップが存在すると、記録紙の端部がギャップに進入し、電気配線部材に接触する可能性がある。第二に、インク供給部材の熱変形温度の制約から、電気配線部材接着剤を硬化させるために十分な温度を加えることができず、電気配線部材の外周部がインクに浸漬した時に、時間経過とともに接着力の低下を招く可能性がある。
本発明は、以上の課題に鑑みて、電気配線部材をインク供給部材に強固に接着固定できるインクジェット記録ヘッドおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のインクジェット記録ヘッドは、インクを吐出する記録素子基板と、記録素子基板に電気信号を供給する電気配線部材と、記録素子基板と電気配線部材とが接着固定され、記録素子基板にインクを供給するインク供給部材とを有している。インク供給部材の電気配線部材との固定面の外周部の少なくとも一部に沿って、外周溝が形成されている。電気配線部材は、外周部の少なくとも一部が外周溝にせり出したせり出し部を有し、せり出し部の外周溝に面する裏面が、接着剤を介して、外周溝の少なくとも一部と接着され、かつ、外周溝の一部に空気層が形成されている。
本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法は、インクを吐出する記録素子基板に電気信号を供給する電気配線部材を、記録素子基板にインクを供給するインク供給部材に接着固定するステップを含んでいる。すなわち、本製造方法は、電気配線部材が接着されるべきインク供給部材の固定面であって、固定面の外周部の少なくとも一部に沿って外周溝が形成された固定面に接着剤を塗布するステップと、電気配線部材を、接着剤が塗布された固定面に対して、電気配線部材の外周部の少なくとも一部が外周溝にせり出すように位置あわせをするステップと、電気配線部材を、接着剤の一部が外周溝にはみ出し、外周溝の少なくとも一部に付着し、かつ、外周溝の一部に空気層が形成されるように、インク供給部材に圧着させるステップとを有している。
本発明のインクジェット記録ヘッドおよびその製造方法によれば、外周溝に進入した接着剤は空気層と接しているため、加えられた熱が逃げにくくなり、より高温になる。このため、接着剤の硬化が促進され、電気配線部材がインク供給部材に強固に接着される。また、外周溝に進入した接着剤は、電気配線部材の外周部を効果的に固定し、電気配線部材の面内方向に加えられる力に対して効果的に抵抗する。このため、より信頼性の高いインクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置を提供することが可能となる。
本発明のインクジェット記録ヘッドは、一般的なプリント装置のほか、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリント部を有するワードプロセッサ等の装置、あるいは、これらの装置を複合した多機能記録装置等に適用することができる。本発明のインクジェット記録ヘッドは、電気熱変換体を用いて熱エネルギを生成し、電気信号に応じてインクを膜沸騰させ微小液滴を吐出させる方式のインクジェット記録ヘッドであり、電気熱変換体とインク吐出口とが対向するように配置された、いわゆるサイドシュータ型のインクジェット記録ヘッドである。本インクジェット記録ヘッドは、気泡を大気に連通させることで液滴を一定化させ、微小液滴の吐出を可能にしたインク吐出方式を採用したインクジェット記録ヘッドでもよい。また、インクジェット記録ヘッドは他の形式、たとえばピエゾ素子などの電気機械変換体を用いたものや、レーザーなどの電磁波を発熱手段として用いたものであってもよい。
以下、本発明のインクジェット記録ヘッドの実施形態について図面を参照して説明する。図1には、インクジェット記録ヘッドの外観斜視図を示す。同図(a)は記録素子基板の見える側(下方側)からみた斜視図で、同図(b)は上方側からみた斜視図である。これらの図に示すインクジェット記録ヘッド1は、インクタンク一体型であるが、インクタンク分離型であってもよい。インクジェット記録ヘッド1は、インクジェット記録装置(図示せず)の本体に搭載されているキャリッジ(図示せず)上に、位置決め手段および電気的接点によって固定支持されるとともに、キャリッジに対して着脱可能となっている。充填されているインクが消費されてなくなった場合は、インクジェット記録ヘッド1を交換することができる。
図2は、インクジェット記録ヘッドの分解斜視図である。同図(a)は記録素子基板の見える側からみた斜視図であり、同図(b)は上方側からみた斜視図であり、各々図1(a),(b)に対応している。インクジェット記録ヘッド1は、記録素子基板3にインクを供給するインク供給部材2を備えている。インク供給部材2には、インクを吐出する記録素子基板3と、記録素子基板3とインクジェット記録装置とを電気的に接続する電気配線部材4とが接着固定されている。記録素子基板3は1つだけ設けられているが、黒色およびカラーの2つ以上の記録素子基板が設けられていてもよい。
以下、インクジェット記録ヘッドを構成している構成要素を詳細に説明する。図3には、記録素子基板3の一部破断斜視図を示す。記録素子基板3は、例えば、厚さ0.5mm〜1mmのシリコン基板31に、インク流路である長溝状の貫通口のインク供給口32を、シリコンの結晶方位を利用した異方性エッチングやサンドブラストなどの方法で形成したものである。
シリコン基板31には、インク供給口32を挟んだ両側に、電気熱変換素子33が1列ずつ並べて配置されており、さらに電気熱変換素子33に電力を供給するアルミニウムなどからなる電気配線(図示せず)が形成されている。電気熱変換素子33と電気配線は、既存の成膜技術を利用して形成することができる。電気熱変換素子33の各列は、互いに千鳥状になるように配列されている。すなわち、各列の吐出口の位置が、その列方向に直交する方向に並ばないように、ずれて配置されている。シリコン基板31には、電気配線への電力や、電気熱変換素子33を駆動する電気信号を供給する電極部34が、電気熱変換素子33の列の両端側の辺に沿って設けられている。それぞれの電極部34上には、金などからなるバンプ35が形成されている。
インク供給口32や電気熱変換素子33の上方には、樹脂材料からなる構造体がフォトリソ技術によって形成されている。この構造体は、電気熱変換素子33ごとのインク流路を形成するインク流路壁36と、その上方を覆う天井部39とを有し、天井部39には吐出口37が形成されている。吐出口37は、各々が対応する電気熱変換素子33と対向して設けられ、全体で吐出口群38を形成している。インク供給口32から供給されたインクは、各電気熱変換素子33の発熱によって発生した気泡の圧力によって、各電気熱変換素子33と対向する吐出口37から吐出される。
電気配線部材4は、インクを吐出するための電気信号を記録素子基板3に印加する電気信号経路を形成する部材で、ポリイミドのベース基材上に銅箔の配線パターンが形成されて構成されている。図2(a)に示すように、記録素子基板3を組み込む開口部41が設けられており、開口部41の周縁部付近には、記録素子基板3の電極部34に接続される電極リード42が形成されている。電気配線部材4と記録素子基板3とは、例えば、記録素子基板3の電極部34に形成されたバンプ35と、対応する電極リード42とが熱超音波圧着法により圧着されて、電気的に接続される。電気配線部材4は途中で折り曲げられており、折り曲げられた他方の面には、インクジェット記録装置からの電気信号を受け取る外部信号入力端子43が形成されている。外部信号入力端子43と電極リード42は、電気配線部材4に形成された連続した銅箔の配線パターンで接続されている。電気配線部材4の外部信号入力端子43が設けられた面は、インク供給部材2の記録素子基板3の接着面とほぼ垂直な側面に、熱かしめまたは接着等で固定される。
インク供給部材2は、図2に示すように、樹脂材料で形成された本体21を備えている。樹脂材料には、本体21の形状的剛性を向上させるために、ガラスフィラーが5〜40%混入されていることが望ましい。本体21の内部には、インクを保持し負圧を発生するためのインク吸収体22が備えられている。インク吸収体22としては、ポリプロピレン(PP)繊維を圧縮したものが使われるが、ウレタン繊維を圧縮したものを用いてもよい。本体21には、記録素子基板3にインクを導くためのインク流路(図示せず)形成されている。本体21の一端には、インクジェット記録ヘッド1をインクジェット記録装置に固定するための係合部211が設けられている。
インク吸収体22とインク流路との境界部には、記録素子基板3の内部へのゴミの進入を防ぐフィルター23が溶着により接合されている。フィルター23は、SUS金属繊維焼結タイプが好ましいが、SUS金属メッシュタイプでもよい。
蓋部材25は、インク供給部材2の上部開口部に溶着されて、インク供給部材2の本体21内部を密閉する部材である。蓋部材25には、インク供給部材2の内部の圧力変動を逃がす細口251と、それに連通した微細溝252とが設けられている。細口251と微細溝252のほとんどをシール部材253で覆い、微細溝252の一端部を開口することで、大気連通口254が形成されている(図1参照)。蓋部材25には、インクジェット記録ヘッド1をインクジェット記録装置に固定するための係合部255が設けられている。
図4には、図1の4−4線に沿った、インク供給部材と記録素子基板との接合部の断面図を、図5には、図4のA部の詳細図を示す。図4に示すように、インク流路の下流側には、記録素子基板3にインクを供給するインク供給口26が形成されている。記録素子基板3のインク供給口32がインク供給部材2のインク供給口26と連通するよう、記録素子基板3は、インク供給部材2に対して、位置精度よく接着固定される。接着に用いられる記録素子基板接着剤A1は、低粘度で硬化温度が低く、短時間で硬化し、硬化後は、比較的高い硬度を有し、かつ、耐インク性のあるものが望ましい。記録素子基板接着剤A1としては、例えばエポキシ樹脂を主成分とした熱硬化接着剤が挙げられ、この場合接着層の厚みは20μm程度が望ましい。
記録素子基板3には、電気配線部材4の裏面46が、固定面211において、電気配線部材接着剤A2により接着固定される。記録素子基板3と電気配線部材4との電気接続部分は、第1の封止剤51で封止され、インクによる腐食や外的衝撃から保護される。
インク供給部材2には、固定面211に沿って、外周壁212aが形成され、その内側に外周溝213aが形成されている。外周壁212aおよび外周溝213aは、たとえば矩形形状または蛇行形状とすることができる。外周溝213aは記録素子基板3側の内側側面214aと、外周壁212a側の外側側面215aと、底面216aとによって形成されている。外周溝213aの幅wは、内側側面214aと外側側面215aとの距離であり、外周溝213aの深さdは、固定面211から外周溝213aの底面216aまでの距離である。外周溝213aの幅wと、外周溝213aの深さdは、外周溝213aへの電気配線部材接着剤A2のはみ出し量に依存する。一実施例では幅wは1mm、深さdは0.5mmであった。
電気配線部材4の外周部は、外周溝213aにせり出すせり出し部44を形成している。一実施例では、記録素子基板3の電極部34と電気配線部材4の電極リード42との位置を合わせた時の、せり出し部44と外周壁212aとのギャップは0.5mm程度であった。すなわち、せり出し部44は外周溝213に0.5mm程度せり出し、せり出し部44の幅w1は0.5mm程度であった。
電気配線部材接着剤A2は、電気配線部材4の上面から熱圧着することによって硬化させられる。具体的には、まず、電気配線部材接着剤A2をインク供給部材2の固定面211上に塗布形成する。次に、インク供給部材2に接着された記録素子基板3の電極部34と、電気配線部材4の電極リード42の位置とを合わせ、電気配線部材4の上面から熱圧着する。電気配線部材接着剤A2は、図5に示すように、外周溝213aの内側側面214aに沿って垂れ落ち、そのまま内側側面214aに付着して硬化する。電気配線部材接着剤A2は、底面216aの内側側面214a側の部分に付着する場合もある(図示せず)。いずれの場合も、せり出し部44の外周溝213aに面する裏面46は、電気配線部材接着剤A2を介して、少なくとも外周溝213aの内側側面214aと接着されている。外周溝213aの幅wと深さdとを調整することによって、底面216aの外側側面215a側の部分と外側側面215aには付着せず、外周溝213aには空気層217aが形成される。
このとき、図4に示すように、固定面211の膜状に形成された電気配線部材接着剤A2は、電気配線部材4を介して伝わる熱H1がインク供給部材2に逃げるため、十分な硬化に必要な温度に到達しない。これに対し、固定面211から外周溝213aにはみ出した電気配線部材接着剤A2は、図5に示すように、電気配線部材4を介して伝わった熱H2の逃げ道がないために高温となる。これは、外周溝213aに空気層217aが形成されているため、電気配線部材接着剤A2とインク供給部材2との接触面積が小さくなり、電気配線部材接着剤A2からインク供給部材2への熱伝達が抑制されるためである。これによって、電気配線部材4外周部の電気配線部材接着剤A2は、硬化率が上昇し、十分に硬化される。また、硬化される部分は、最も接着力を必要とする電気配線部材4の外周部であるため、仮に、画像形成時の記録紙の反りなどによりジャムが発生し、記録紙の一部が外周溝213aに進入し、電気配線部材4の外周部(せり出し部44)に接触しても、電気配線部材4の剥離の可能性が低減される。また、外周溝213aの内側側面214aに電気配線部材接着剤A2が付着するため、電気配線部材4の面内方向(平行方向)に作用する引き剥がし力Fに対する抵抗力が増加する。さらに、唯一インクが接触する可能性がある電気配線部材4の外周部の電気配線部材接着剤A2の硬化率が増加しているため、耐インク性が向上する。このため、電気配線部材4の外周部がインクに浸漬した場合も、接着力の低下が少ない。以上のことから、単純な構成で信頼性の高いインクジェット記録ヘッドを提供することが可能となる。
外周溝は、図6に示すように、内側側面214aの少なくとも一部に凹部221が設けられた形状でもよい。固定面211からはみ出した電気配線部材接着剤A2は内側側面214aに沿って垂れ、表面張力によって凹部221に進入する。このため、電気配線部材接着剤A2と底面216aとの間に空気層217aが安定的に形成される。このような構成は、固定面211からはみ出した電気配線部材接着剤A2の量がばらつく場合や、電気配線部材接着剤A2の粘度が低めの場合に有効である。
図7には、図1の7−7線に沿った、すなわち、電気配線部材が折り曲げられる方向のインク供給部材と記録素子基板との接合部の断面図を示す。インク供給部材2の断面形状は、図4に示す断面形状と基本的に同一である。しかし、電気配線部材4の折り曲げ部45側の外周壁212bは、折り曲げ部45が過大な変形や力を受けることなく折り曲げられるように、外周壁212aと比べて低く形成されている。外周壁212bを設けない構成としてもよく、たとえば図8に示すような階段形状も可能である。さらに、図示しないが2段以上の階段形状にすることもできる。なお、本明細書では、このように一方の側面がない形状も外周溝として扱う。
記録素子基板3と電気配線部材4との電気接続部分は、第1の封止剤51と第2の封止剤52とで封止され、インクによる腐食や外的衝撃から保護される。第1の封止剤51は、主に電気配線部材4の電極リード42と記録素子基板3のバンプ35との接続部の裏面側と記録素子基板3の外周部分を封止し、第2の封止剤52は、上述の接続部の表側を封止している。
図7,8に示したインク供給部材と記録素子基板との接合構造においても、電気配線部材接着剤の挙動は図4の場合と同様である。すなわち、外周溝213b,213cの一部には空気層217b,217cが形成されるため、外周溝213b,213cにはみ出した電気配線部材接着剤A2は熱の逃げ道がなくなり高温となり、十分に硬化させられる。また、外周溝213b,213cの内側側面214b,214cに電気配線部材接着剤A2が付着するため、電気配線部材4の面内方向(平行方向)に作用する引き剥がし力Fに対する抵抗力が増加する。電気配線部材4の折り曲げ部45には、記録紙との接触により引き剥がされようとする力はかかりにくいが、逆に折り曲げることで発生する電気配線部材4自身の反力がかかりやすい。しかし、以上述べた接合構造によれば折り曲げ部45の接着力も向上する。
外周壁212aの一部には、図7右側に示すように、外周溝213aにはみ出した電気配線部材接着剤A2の状態を確認するための目視用開口218が形成されている。これによって、電気配線部材4とインク供給部材2との接着力を破壊検査により測定することなく、抜き取りによる目視検査またはインライン自動検査によって確認することが可能となる。本実施形態では外周壁212aに1箇所だけ形成したが、必要に応じて、外周壁212aに複数箇所形成してもよい。
表1に従来技術の接着部構造と本実施形態の接着部構造の接着力の測定結果を示す。従来技術、本発明とも2ケースを実施し、接着直後の初期接着力と、インク接液させ60℃で1週間経過後の接着力を測定した。インク接液前後ともに、本発明のインクジェット記録ヘッドの方が、接着力が格段に向上していることが確認された。
Figure 2006289894
本発明のインクジェット記録ヘッドの外観斜視図である。 図1に示すインクジェット記録ヘッドの分解斜視図である。 図1に示すインクジェット記録ヘッドの記録素子基板の一部破断斜視図である。 図1の4−4線に沿った、インク供給部材と記録素子基板との接合部の断面図である。 図4のA部の詳細図である。 インク供給部材と記録素子基板との接合部の他の実施形態を説明する図である。 図1の7−7線に沿った、インク供給部材と記録素子基板との接合部の断面図である。 インク供給部材と記録素子基板との接合部の変形例を示す断面図である。 従来のインクジェット記録ヘッドの構成の一例を示す分解斜視図である。 図9に示すインクジェット記録ヘッドの組み立て完成後の外観斜視図である。 図10の11−11断面に沿った断面図である。
符号の説明
1 インクジェット記録ヘッド
2 インク供給部材
21 本体
212a,212b 外周壁
213a,213b,213c 外周溝
214a,214b,214c 内側側面
215a 外側側面
216a 底面
217a,217b,217c 空気層
218 目視用開口
3 記録素子基板
4 電気配線部材
44 せり出し部
45 折り曲げ部

Claims (9)

  1. インクを吐出する記録素子基板と、前記記録素子基板に電気信号を供給する電気配線部材と、前記記録素子基板と前記電気配線部材とが接着固定され、該記録素子基板に前記インクを供給するインク供給部材とを有し、前記インク供給部材の前記電気配線部材との固定面の外周部の少なくとも一部に沿って外周溝が形成され、前記電気配線部材は、外周部の少なくとも一部が前記外周溝にせり出したせり出し部を有し、該せり出し部の該外周溝に面する裏面が、接着剤を介して、該外周溝の少なくとも一部と接着され、かつ、該外周溝の一部に空気層が形成されているインクジェット記録ヘッド。
  2. 前記外周溝の内側側面の少なくとも一部に凹部が形成されている、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
  3. 前記インク供給部材は、前記外周溝の外側側面を構成する外周壁を有している、請求項1または2に記載のインクジェット記録ヘッド。
  4. 前記外周壁の一部に、前記外周溝の内部の状態を目視可能な目視用開口が形成されている、請求項3に記載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 前記電気配線部材は、前記せり出し部と接続し、前記外周溝を越えて延び、前記インク供給部材に沿って折り曲げられた折り曲げ部を備えている、請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  6. 前記折り曲げ部と交差する前記外周溝には前記外周壁が設けられていない、請求項5に記載のインクジェット記録ヘッド。
  7. 前記折り曲げ部と交差する前記外周溝の前記外周壁は、該折り曲げ部と交差しない該外周壁よりも低く形成されている、請求項5に記載のインクジェット記録ヘッド。
  8. 前記接着剤は熱硬化型接着剤である、請求項1から7のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  9. インクを吐出する記録素子基板に電気信号を供給する電気配線部材を、該記録素子基板に該インクを供給するインク供給部材に接着固定するステップを含むインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、
    前記電気配線部材が接着されるべき前記インク供給部材の固定面であって、該固定面の外周部の少なくとも一部に沿って外周溝が形成された固定面に接着剤を塗布するステップと、前記電気配線部材を、前記接着剤が塗布された前記固定面に対して、該電気配線部材の外周部の少なくとも一部が前記外周溝にせり出すように位置あわせをするステップと、
    前記電気配線部材を、前記接着剤の一部が前記外周溝にはみ出し、該外周溝の少なくとも一部に付着し、かつ、該外周溝の一部に空気層が形成されるように、前記インク供給部材に圧着させるステップとを有するインクジェット記録ヘッドの製造方法。
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