JP2006288652A - 注射器のシリンダとその製造方法及びフッ素系樹脂由来の潤滑薄層の製造方法 - Google Patents

注射器のシリンダとその製造方法及びフッ素系樹脂由来の潤滑薄層の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、第1にシリンダの内周面に一体的に形成された極めて薄肉のフッ素系樹脂由来の潤滑薄層を有し、フッ素系樹脂の薬液中への混入が従来例に比べて極端に少なくなるというこれまでにない画期的な注射器のシリンダの開発にあり、第2に前記前記潤滑薄層を有するシリンダ又は前記潤滑薄層を能率よく且つ細菌の増殖を抑制しつつ或いは無菌状態を保って製造する事ができる注射器のシリンダ又は潤滑薄層の製造方法の開発にある。
【解決手段】 シリンダ(1)の内周面に、フッ素系樹脂(2)の塗布後の加熱又は加圧或いはその両方によって生じたフッ素系樹脂由来の潤滑薄層(2a)が一体的に形成されている事を特徴とするもので、摺動性に優れ且つゴム摺動体(1d)を移動させても潤滑薄層(2a)がほとんど剥離せず、注射液に混入するような事がない。
【選択図】 図1

Description

本発明はフッ素系樹脂由来の潤滑薄層がシリンダの円筒内周面に一体的に形成されている注射器のシリンダとその製造方法に関する。
最近、衛生・安全面や人手の問題から医療現場では使い捨て医療用具が非常な勢いで普及しており、特にエイズ問題や感染症問題が社会問題化してからは、ディスポーザブル注射器はその最たるものになっている。従来、注射器のシリンダはガラス製のものを使用していたものが、薬剤注射用のディスポーザブル注射器の採用が急務になるや樹脂製、特にポリプロピレン製やCOP(シクロオレフィンポリマー)又はCOC(シクロオレフィンコポリマー)製シリンダの使用が検討されるようになってきた。ガラス製シリンダの場合でもガスケットを使用する時は勿論であるが、樹脂製の場合には、シリンダの円筒内周面にシリコンオイルを塗布してピストンの先端に装着したガスケットが円滑に摺動するようにしなければならない。
ところが、シリコンオイルは、離脱して微粒子となり、人体に入ると障害を起こす可能性が米国で指摘され始めたため、その塗布量は厚生省告示第442号によれば、ディスポーザブルタイプの5mリットル容量以下の小型注射器では8mg/本以下、大型注射器でも15mg/本以下と厳格に定められており、これ以上の塗布量を示したものは不良品として処分される。ところが、シリコンオイルの塗布は、シリンジ形成後に行うため、且つ、塗布されたシリコン油は水との親和性が高いため微粒子状にて離脱する。
更に、医療用具の製造で最も重要なことは、最終製品に細菌は勿論のこと、感染症の原因となる細胞毒性、例えばグラム陰性菌の死骸から生じるエンドトキシンもほとんど付着していないことが要求されている。そこで、成形されたシリンダは各工程毎に滅菌と超純水による洗浄とが頻繁に行われ、細菌の付着を極力少なくするために大変な手間を必要とする。ところが従来方法では、たとえ滅菌シリコンオイルとほぼ完全に消毒されたシリンダとを使用し、細菌のほとんど存在しないクリーンルームで作業者の着衣その他に気を配り、そしてその塗布作業にいかに注意を払ったとしても、その塗布作業が、シリンダ成形とは別工程で人手による限り細菌の付着は免れず、たとえ塗布作業後に滅菌したとしてもこの滅菌作業によって死ぬ細菌の数も増え、その大量の死骸から発生するエンドトキシン付着の確率も当然多くなる事になる。また、増殖によって増えた細菌はたとえ滅菌作業を後に施したとしてもこれにムラがあるばかりか作業能率も格段に悪いという問題があった。
本発明は、第1にシリンダの内周面に一体的に形成された極めて薄肉のフッ素系樹脂由来の潤滑薄層を有し、フッ素系樹脂の薬液中への混入が従来例に比べて極端に少なくなるというこれまでにない画期的な注射器のシリンダの開発にあり、第2に前記前記潤滑薄層を有するシリンダ又は前記潤滑薄層を能率よく且つ細菌の増殖を抑制しつつ或いは無菌状態を保って製造する事ができる注射器のシリンダ又は潤滑薄層の製造方法の開発にある。
『請求項1』は「注射器のプラスチック材料であるシリンダ(1)の内周面に、フッ素系樹脂(2)の塗布後の加熱又は加圧或いはその両方によって生じたフッ素系樹脂由来の潤滑薄層(2a)が一体的に形成されている、更に詳しく言えば拡散層として一体的に形成されている」事を特徴とする。
これによれば、後工程でシリコンオイルが塗布されただけでシリンダの円筒内周面と一体化しておらず、ピストンの先端に装着されているゴム摺動体を移動させるとその一部がそれに付着すると共に厚く塗られていて流動性を保っている部分がこすり取られて注射液に混入するようなものと違い、本発明品では潤滑層を形成するフッ素系樹脂由来の潤滑薄層(2a)がシリンダ(1)の円筒内周面(1a)は勿論、その底面(1b)及び注射針装着用突起(1e)の内周面(1f)まで含む内周面全体に一体的に形成されているので、たとえシリンダ(1)内をピストンの先端に装着されているガスケット(1d)を移動させても円筒内周面(1a)の潤滑薄層(2a)は勿論、前記底面(1b)及び注射針装着用突起(1e)の内周面(1f)の潤滑薄層(2a)がほとんど剥離せず、注射液に混入するような事が殆どなくて極めて衛生的である。
なお、この場合シリンダ(1)の材質は樹脂である。潤滑薄層(2a)は、加熱のみ又は加圧のみ或いは加熱・加圧を併用して形成され、更に詳しく言えば拡散層としてシリンダ(1)の内周面に形成される。加熱、加圧方法は一般的には後述するような射出成形によっておこなわれるが、これに限定されるものではない。なお、潤滑薄層(2a)が拡散層である場合、シリンダ(1)の内周面と一体になり、ガスケットの摺動で剥脱して微粒子を発生させるようなことがない。
『請求項2』は「潤滑薄層(2a)の形成領域がピストン(1c)の先端に装着されているガスケット(1d)が摺動するシリンダ(1)の円筒内周面(1a)である」事を特徴とするもので、これによれば、フッ素系樹脂由来の潤滑薄層(2a)の形成部分は、ガスケット(1d)の摺動に必要なシリンダ(1)の円筒内周面(1a)だけであるので、フッ素系樹脂(2)の塗布面積を最小限にする事が出来、フッ素系樹脂(2)の消費量の節約につながり、ひいては安全性を高める事ができる。前記ガスケット(1d)の摺動範囲[=ゴム摺動体(1d)の後端からシリンダ(1)の底面(1b)]を図12の(L)で示す。
『請求項3』は「フッ素系樹脂の潤滑薄層(2a)の表面に更にフッ素系樹脂に対して親和性を有する液状ポリマーの薄膜が形成され」ており、『請求項4』は前記液状フッ素系ポリマーが、「液状フッ素系オリゴマ又は液状フッ素系ポリマーである」事を規定している。この液状ポリマーの薄膜はフッ素系樹脂に対して親和性を有する液状ポリマー、即ち、液状フッ素系オリゴマ又は液状フッ素系ポリマーである。液状フッ素系オリゴマ又は液状フッ素系ポリマーにより、ゴム製ガスケット(1d)とプラスチック製注射筒、即ち、シリンダ(1)との間の密着度をより高くし、且つ、使用時には適度な摺動抵抗値を持たせる事ができる。
以下は、方法発明に関し、『請求項5』の注射器のシリンダの製造方法は「シリンダ形成用の雄金型(3)の凸部(3a)の表面にフッ素系樹脂(2)を塗布し、次に型締め後、樹脂(13)を金型キャビティ(4)に注入し、樹脂(13)にて形成されたシリンダ(1)の内周面に射出成形時の加熱・加圧によって生じたフッ素系樹脂由来の潤滑薄層(2a)を一体的に形成する」事を特徴する。
これによれば、シリンダ形成用の雄金型(3)の凸部(3a)の表面『この場合、円周外面のみに限られず、その先端面(3c)やピン部(3b)の外周面も含む。』にフッ素系樹脂(2)を塗布する工程を付加するだけでフッ素系樹脂由来の潤滑薄層(2a)がその内周面全体に拡散層として強固に一体的に形成されたシリンダ(1)を形成する事ができる。また、この潤滑薄層(2a)は加圧・加熱(例えば、充填時の溶融樹脂温度は200〜350℃、充填圧力は300〜2000kgf/cm2)して形成されるため、従来の塗布方式より著しく薄くすることが出来、フッ素系樹脂(2)の塗布量を必要最小限にする事が出来ると共にプラスチックスとフッ素オイルの拡散層を形成する。このような作用効果を生むメカニズムについては後述する。
『請求項6』はフッ素系樹脂(2)の塗布領域に関し「フッ素系樹脂(2)の塗布領域に凸部(3a)の円筒外周面のみ、特に図12の(L)で示された前記ゴム摺動体(1d)の摺動範囲[=ゴム摺動体(1d)の後端からシリンダ(1)の底面(1b)]である事」を特徴とするものである。
本発明によれば、ピストンの先端に装着されているガスケットが少なくとも摺接するシリンダの円筒内周面にフッ素系樹脂由来の潤滑薄層が一体的に形成されているので、ガスケットを移動させたとしても潤滑薄層の剥離が殆どなく注射液への混入がない。しかもシリコンオイルとほぼ同等或いはそれ以上の摺動性を付与する事が出来る。また、フッ素系樹脂の塗布領域を凸部の円柱外周面に限定すれば、フッ素系樹脂の塗布面積を最小限にする事が出来るだけでなく、従来のようなシリコンオイルの溜まりが発生せず、安全性を高める事ができる。また、本発明方法によれば、凸部の表面へのフッ素系樹脂の塗布だけで潤滑薄層の形成が可能になり、細菌付着やエンドトキシンなどの非常に少ない安全なシリンダを自動化によって大量生産する事が可能になる。
また、フッ素系樹脂薄膜の上に更に液状フッ素系ポリマーの薄膜が形成されているが、洗浄及び滅菌工程を経ても該液状ポリマーの薄膜は、殆どこれらの処理前の状態で残存し、シリコンオイルよりも優れた摺動性を有し、液体密封性もシリコンオイルに比べて格段に優れている。更に、薬剤吸着性もなく、剥離による微粒子を形成することもない。衛生性及び生物学的にも問題のないものである。
以上の本発明によれば、微小間隙への浸透性の強い医薬品を使用した場合も、微小間隙への浸透が抑制されて高度に液気密性が保持され、医薬品の吸着及び医薬品への塗布物の脱着(剥離)が防止され、シリコンオイル塗布以上の摺動性を有するプラスチック製シリンジ用のシリンダが提供される。
以下、本発明を図示実施例に従って説明する。図1は本発明のシリンダ(1)を製造するための一般的な射出成形機(A)で、雌金型(5)に射出筒部(6)のノズル(7)が接続されている。射出筒部(6)内にはスクリュ(8)が回転・前後スライド自在に配設されている。前記スクリュ(8)には射出シリンダ(9)と駆動部(10)とが接続していて、射出シリンダ(9)にてスクリュ(8)を前後にスライドさせ、ギア機構(11)を介して駆動部(10)にてスクリュ(8)を回転させるようになっている。射出筒部(6)の後端にはホッパ(12)が設置されており、原料樹脂(13)を連続的に供給するようになっている。射出筒部(6)の周囲にはヒータ(14)が巻設されており、通過中の原料樹脂(13)を加熱溶融するようになっている。
図の実施例の金型(K)の主要構成部材は雄金型(3)と雌金型(5)、突き出し筒(15)で、雄金型(3)からシリンダ(1)の内面形状を形成するための凸部(3a)が突設されており、これに対応して雌金型(5)にはシリンダ(1)の外面を形成するための凹部(5a)が形成されている。
(R)はロボット装置で、射出成形機(A)に併設されており、例えば、フッ素系樹脂塗布装置(16)、印刷装置(17)と取出装置(20)とを所定位置に移動できるようにしている。ロボット装置(R)の代わりに人手を利用してもよいが、最低でも取出装置(20)はロボット装置(R)を使用する事が好ましい。装置全体は一般的には細菌数の数が厳密に管理されているクリーンルームに設置される。
シリンダ(1)に使用される樹脂原料(13)は、その用途によって透水率、透明性、耐熱性など薬事法で規定されている諸条件をクリアする必要があるため、例えばポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、芳香族ポリオレフィン、ノルボルネン−オレフィン共重合体などが使用される。
本発明に使用する本発明のシリンダに使用するガスケットは、ブチルゴム製、熱可塑性エラストマ製、四フッ化エチレン皮膜ラミネート製、ポリプロピレン‐エラストマ‐ラミネート製などが使用できる。
上記で得られるシリンダ(1)の内面には、表面の摩擦抵抗値が小さく、且つ対水接触角の大きなフッ素系樹脂の被覆層(=潤滑薄層(2a))が拡散層として形成されているが、この潤滑薄層(2a)だけでは、近年、開発される多くの医薬品の中の、極めて浸透力の大きな、低粘度の液剤を製剤し、長期間にわたって密封性を保持して貯蔵・保管することは困難な場合がある。このような場合、本発明においては、ゴム製ピストンとプラスチック製注射筒の間の密着度をより高くし、且つ、使用時には適度な摺動抵抗値を持たせるために、フッ素系樹脂潤滑薄層(2a)上に、更に、フッ素系樹脂と親和性のある液状ポリマーの薄膜を形成することが推奨される。又、上記液状ポリマーの薄膜は、シリンダの製造工程中及び製造後の滅菌工程で剥離したり、変質したりしないものであることが必要である。
上記液状ポリマーとしては、液状フッ素系ポリマーが好ましい。液状フッ素系ポリマー体としては、フッ素系モノマーの重合体、換言すればポリマー領域にあるオリゴマから液状フッ素系ポリマーが挙げられる。例えば、三フッ化塩化エチレンの低重合物、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルポリエーテル等のパーフルオロポリエーテル類等が挙げられる。
これらは、ダイフロイル#1(ダイキン工業社製、三フッ化塩化エチレンの低重合物、平均分子量500)、デムナムS−200(ダイキン工業社製、パーフルオロポリエーテル油、平均分子量8400)、フォンブリンZ(モンテフルオス社(伊)製、パーフルオロポリエーテル油、平均分子量3000)、フォンブリンY25(モンテフルオス社(伊)製、パーフルオロポリエーテル油、平均分子量3000)、ガルデンD40(モンテフルオス社(伊)製、パーフルオロポリエーテル油、平均分子量1550)、フロラードFC−732(住友スリーエム社製ハイドロフルオロエーテル)、クライトックスAZ(デュポン社(米)製、パーフルオロアルキルポリエーテル、平均分子量1850)等として市場から入手することができる。該液状ポリマーの塗布時期や塗布方法は特に限定されないが、通常、塗布厚さ(膜厚)は、0.1〜数μm程度である。
次に、本発明の作用について説明する。まず、ロボット装置(R)を作動させ、オイル塗布装置(16)にて型開されている金型(K)の雄金型(3)の凸部(3a)の外周面にフッ素系樹脂(2)を適量塗布する。塗布領域は円柱外周面(3d)、先端面(3c)及びピン部(3b)を含む凸部(3a)の外面全面であってもよいし、ピン部(3b)或いは先端面(3c)を除く部分であってもよいが、少なくとも円柱外周面(3d)は塗布される事になる。
フッ素系樹脂(2)の塗布方法は特に限定されるものではなく、本実施例ではオイル塗布装置(16)のようなロボット装置(R)を使用してフッ素系樹脂(2)を含浸させた筒状の布又は紙、スポンジ(16a)その他で凸部(3a)を囲繞して押圧し、凸部(3a)の少なくとも円柱外周面(3d)を含む外周面にフッ素系樹脂(2)を塗布する。フッ素系樹脂(2)の塗布が終わると型閉し、金型(K)内に金型キャビティ(4)を形成する。
一方、原料樹脂(13)をホッパ(12)に投入し、駆動部(10)を作動させてスクリュ(8)を回転させる。スクリュ(8)の回転と共に原料樹脂(13)がヒータ(14)にて例えば200〜350℃に加熱され、溶融・混練されて射出筒部(6)の先端部分に貯溜されていく。これと共にスクリュ(8)は次第に後退し、射出筒部(6)の先端に貯溜された溶融混練樹脂の計量が完了した処で射出シリンダ(9)を作動させてスクリュ(8)を前方に突出させ、射出筒部(6)の先端の計量樹脂を金型(K)に300〜2000kgf/cm2で射出する。
射出された溶融混練樹脂(13)は、金型(K)のランナ(18)、ゲート(19)を通過して金型キャビティ(4)内に高速高圧で圧入される。金型キャビティ(4)内に圧入された溶融混練樹脂(13)は、雄金型(3)の凸部(3a)の外面に塗布されたフッ素系樹脂(2)を強く押圧し、拡散層を形成しながら瞬間的に金型キャビティ(4)を充填する。フッ素系樹脂(2)はこの時瞬時に溶融混練樹脂(13)の温度に昇温すると同時に凸部(3a)の表面に均一に延ばされ且つ溶融混練樹脂(13)の内周面に拡散層として形成される。然る後、この溶融混練樹脂(13)が固化してシリンダ(1)となり、この少なくとも円筒内周面(1a)にフッ素系樹脂由来の潤滑薄層(2a)が拡散層として一体的に形成される。潤滑薄層(2a)の成形範囲はフッ素系樹脂(2)の塗布領域に対応する。
この工程では溶融混練樹脂(13)は一般的には滅菌温度以上に保たれているため、この射出成形の間に細菌が凸部(3a)やシリンダ(1)に付着して増殖するような事は全くないし、万が一塗布時に付着したとしても瞬時に高温のため死滅してしまうためシリンダ(1)の製造工程全体を通じて細菌の付着や増殖は勿論、感染症の原因となるエンドトキシンなどの発生を最小限に抑制或いはそのものを分解する事ができ従来の製造方法に比べて飛躍的に安全性を高められる。
此処で、フッ素系樹脂由来の潤滑薄層(2a)の形成過程の、推定されるメカニズムを説明する。フッ素系樹脂(2)が塗布された凸部(3a)の表面部についていえば、金型キャビティ(4)を形成するキャビティ面にはいかに精密に研磨その他の加工を施したとしても現在の技術ではサブミクロン台(例えば0.5〜0.02μm)の極く微細な凹凸が残る。いま、フッ素系樹脂(2)を凸部(3a)に塗布すると、粘度の高いフッ素系樹脂(2)はその表面張力によって凸部(3a)の表面に残っているサブミクロン台の前記凹所に入って行かない(図2(b)参照)。そこで、前述のように高温・高圧で射出成形すると高温の射出樹脂の圧力によって凸部(3a)の表面にフッ素系樹脂(2)が圧し広げられると同時にその一部が凹所内に押し込まれ、凹凸を有し且つ拡散層を形成する潤滑薄層(2a)が凸部(3a)の少なくとも円柱外周面(3d)を含む外周面全面に均一に形成され、これがシリンダ(1)の少なくとも円筒内周面(1a)を含む内周面に一体的に形成される(図5(b)参照)。その結果、図12に示すように潤滑薄層(2a)の内周面には、サブミクロン台(例えば0.5〜0.02μm)の厚い部分(2b)が島状に全体的に均一に広がっており、このサブミクロン厚の島状部分(2b)がガスケット(1d)のスムーズな摺動の大部分を助ける。その結果、フッ素系樹脂(2)の塗布量は従来例に比べて極めて少なくて足る事になる。
図9、10は成形されたシリンダ(1)を利用して潤滑薄層(2a)を形成する場合である。まず、少なくとも注射器用のシリンダ(1)の内周形状と略同形の潤滑薄層(2a)形成用の型(30)を用意する。潤滑薄層(2a)を必要とするのはシリンダ(1)の円筒内周面(1a)であるから、形成用型(30)はシリンダ(1)の円筒内周面(1a)だけに合致する形状を有していれば足る。図の実施例ではピン部(30b)迄有する例が記載されている。
この場合も既形シリンダ(1)の少なくとも円筒内周面(1a)、場合によってはその底面(1b)及び注射針装着用突起(1e)の内周面(1f)まで含む内周面全体にフッ素系樹脂由来の潤滑薄層(2a)一体的に形成する事ができる。
[実施例1]
本発明によって製造したポリプロピレンシリンジの性能試験結果(表1に示す)
Figure 2006288652
本発明で製造されたシリンジの性能結果はいずれも日本薬局法プラスチック性医薬品容器試験法を合格しており、本発明で製造されたシリンジの性能は非常に優れたものであることがわかる。
本発明によって製造したシリンジと従来のシリコンオイル塗布シリンジとの性能比較結果を表2に示す。
表2は微粒子試験結果表で、シリコンオイルを射出成形の後工程において塗布する場合、微粒子数がきわめて多く、日本薬局法プラスチック製水性注射容器試験法の基準によれば不合格であった。これに対してフッ素オイル((1)液状パーフルオロポリエーテル (2)パーフルオロアルキルポリエーテル (3)三フッ化塩化エチレン重合体)の型塗布による射出成形と同時に形成されたフッ素系樹脂由来の潤滑薄層はいずれも微粒子試験に適合するものであった。
Figure 2006288652
本発明によりガスケットの摺動性に樹脂優れ且つ衛生的な樹脂シリンダを提供する事ができ、樹脂シリンダの利用範囲を大いに拡大する事が出来るものである。
本発明にかかる射出成形機の概略断面図 (a)=本発明方法において、型開状態で凸部にフッ素系樹脂を塗布した状態の要部拡大図 (b)=(a)の凹凸を強調した1部拡大断面図 型締状態の要部拡大図 型締状態で混練溶融樹脂が金型キャビティに射出されている途中段階の要部拡大図 (a)=型締状態で混練溶融樹脂が金型キャビティに充填された状態の要部拡大断面図 (b)=(a)の凹凸を強調した1部拡大断面図 片開き状態の要部拡大断面図 片開き後、シリンダの外面に印刷を施している状態の要部拡大断面図 印刷完了シリンダを離型している状態の要部拡大断面図 他の本発明方法で、凸部に既成シリンダを装着しようとしている場合の要部断面図 凸部に既成シリンダを装着した場合の要部断面図 本発明に係るシリンダの円筒内周面の部分断面斜視図 (a)=本発明方法で形成された潤滑薄層が内周全面に形成されているシリンダの断面図 (b)=本発明方法で形成された潤滑薄層が円筒内周面だけに形成されているシリンダの断面図
符号の説明
(1) シリンダ
(1d) ガスケット
(2) フッ素系樹脂
(2a) 潤滑薄層

Claims (6)

  1. 注射器のシリンダの内周面に、フッ素系樹脂塗布後の加熱又は加圧或いはその両方によって生じたフッ素系樹脂由来の潤滑薄層が一体的に形成されている事を特徴とする注射器のシリンダ。
  2. 潤滑薄層の形成領域がピストンの先端に装着されているガスケットが摺動するシリンダの円筒内周面である事を特徴とする請求項1に記載の注射器のシリンダ。
  3. フッ素系樹脂の潤滑薄層の表面に、後塗装によってフッ素系樹脂に対して親和性を有する液状ポリマーの薄膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜2に記載の注射器のシリンダ。
  4. 液状フッ素系ポリマーが、液状フッ素系オリゴマ又は液状フッ素系ポリマーである請求項3に記載の注射器のシリンダ。
  5. シリンダ形成用の雄金型の凸部表面にフッ素系樹脂を塗布し、次に型締め後、樹脂を金型キャビティに注入し、樹脂にて形成されたシリンダの内周面に射出成形時の加熱・加圧によって生じたフッ素系樹脂由来の潤滑薄層を一体的に形成する事を特徴とする事を特徴とする注射器のシリンダの製造方法。
  6. フッ素系樹脂の塗布領域が凸部の円筒外周面のみである事を特徴とする請求項5に記載の注射器のシリンダの製造方法。
JP2005112778A 2005-04-08 2005-04-08 注射器のシリンダとその製造方法及びフッ素系樹脂由来の潤滑薄層の製造方法 Pending JP2006288652A (ja)

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