JP2006282882A - ポリイミド樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】イミド化率の高いポリイミド樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、酸二無水物とジアミンを重合して得られるポリアミック酸を、イミド化促進剤と脱水剤を併用して溶液中でイミド化し、更にポリイミド樹脂を沈殿させる際に、必須成分として炭化水素を含む沈殿溶媒を使用することを特徴とするポリイミド樹脂の製造方法を提供した。
本製造方法によれば、上記課題を容易に解決することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、酸二無水物とジアミンを重合して得られるポリアミック酸を、イミド化促進剤と脱水剤を併用して溶液中でイミド化し、更にポリイミド樹脂を沈殿させる際に、必須成分として炭化水素を含む沈殿溶媒を使用することを特徴とするポリイミド樹脂の製造方法を提供した。
本製造方法によれば、上記課題を容易に解決することができる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、イミド化率の高いポリイミド樹脂の製造方法に関する。
ポリイミド樹脂は、イミド化率が高いことにより、機械特性、貯蔵安定性が良くなることが分かっている。例えば、特許文献1に示すようにイミド化率98〜100%のポリイミドが提案されており、イミド化率が高いと破断強度が強くなることが分かっている。
ポリイミド樹脂の製造方法としては、特許文献2に示すようにイミド化促進剤を選択することで、イミド化率の高いポリイミド樹脂を安定的に製造できる。
しかし、前記ポリイミド樹脂の製造方法では、沈殿条件が極端に厳しい場合(例えば、沈殿放置時間が長い場合やその際の温度が高い場合など)、イミド化率が100%のポリイミド樹脂を得ることは難しかった。
特開2004−231946号
特開2004−285355号
上記課題を解決し、イミド化率の高いポリイミド樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
そこで本発明者らは鋭意検討した結果、沈殿溶媒に特定の有機化合物を用いることで、イミド化率の高いポリイミド樹脂を得ることを見出し、本発明に至った。
即ち、1)酸二無水物とジアミンを重合して得られるポリアミック酸を、イミド化促進剤と脱水剤を併用して溶液中でイミド化し、沈殿溶媒の必須成分として炭化水素を用い、ポリイミド溶液からポリイミド樹脂を沈殿させるポリイミド樹脂の製造方法を提供した。
2)酸二無水物と、一般式群(1)で表される少なくとも一種のジアミンを重合して得られるポリアミック酸を、イミド化促進剤と脱水剤を併用して溶液中でイミド化する1)記載のポリイミド樹脂の製造方法を提供した。
(R1、R2はそれぞれ独立したF、Cl、Br、CF3、CCl3、CBr3から選ばれる置換基である。R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立したH、F、Cl、Br、CF3、CCl3、CBr3から選ばれる置換基である。)
3)一般式群(2)で表される少なくとも一種の酸二無水物を用いることを特徴とする1)または2)記載のポリイミド樹脂の製造方法を提供した。
3)一般式群(2)で表される少なくとも一種の酸二無水物を用いることを特徴とする1)または2)記載のポリイミド樹脂の製造方法を提供した。
(R7は−C(CF3)2−、−SO2−から選ばれる置換基である。R8は、H、F、Cl、Br、CF3、CCl3、CBr3から選ばれる置換基である。またR9は、F、Cl、Br、CF3、CCl3、CBr3から選ばれる置換基である。)
4)前記イミド化促進剤の量が、イミド化促進剤/ポリアミック酸中アミド基のモル比で1以上、5以下であることを特徴とする1)〜3)のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂の製造方法を提供した。
4)前記イミド化促進剤の量が、イミド化促進剤/ポリアミック酸中アミド基のモル比で1以上、5以下であることを特徴とする1)〜3)のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂の製造方法を提供した。
5)前記脱水剤の量が、脱水剤/ポリアミック酸中アミド基のモル比で1.2以上、5未満であることを特徴とする1)〜4)のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂の製造方法を提供した。
6)沈殿溶媒の必須成分として芳香族炭化水素を用いることを特徴とする1)〜5)のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂の製造方法を提供した。
7)沈殿溶媒の必須成分としてトルエンを用いることを特徴とする1)〜6)のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂の製造方法を提供した。
本発明によれば、沈殿溶媒に特定の有機化合物を用いることで、イミド化率の高いポリイミド樹脂を得ることができて有用である。
本発明は、酸二無水物とジアミンを重合して得られるポリアミック酸を、イミド化促進剤と脱水剤を併用して溶液中でイミド化し、沈殿溶媒の必須成分として炭化水素を用い、ポリイミド溶液からポリイミド樹脂を沈殿させるポリイミド樹脂の製造方法に関するものである。
本発明では、イミド化率を低下させないため、沈殿溶媒の必須成分として炭化水素を用いる必要がある。炭化水素と異なり、沈殿溶媒に例えばアルコール類、水等を用いた場合、沈殿条件が厳しい際に、イミド化率が低下することがある。これは本発明者の推測によれば、アルコール類及び水がイミド環と反応し、イミド環を開環させ、結果としてイミド化率を低下させたものと考えている。
本発明に用いることのできる沈殿溶媒は、炭化水素を必須成分として含有していれば、他成分との混合溶媒であっても良い。前記沈殿溶媒は、ポリイミド樹脂溶液からポリイミド樹脂の沈殿させる際、ポリイミド樹脂を効率良く沈殿させる点で、液層分離しないことが好ましい。
本発明で用いることのできる炭化水素の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、エチルベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、塩化イソプロピル、塩化ブチル、塩化ペンチル、塩化ヘキシル、クロロベンゼン、ブロモベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、アニソール、ジオキサン、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類が挙げられる。ポリイミド樹脂の収率向上の面で、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、エチルベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が好ましく、洗浄効率の面から、エチルベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類がさらに好ましく、乾燥効率の面から、トルエンが特に好ましい。
また、炭化水素と混合して沈殿溶媒として用いることができるものとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、2−プロピルアルコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ブチルアルコール、2−ヘキシルアルコール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、フェノール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、水などが挙げられる。しかし、沈殿条件が50℃以上の高温又はイミド化促進剤の量がイミド化促進剤/ポリアミック酸中アミド基のモル比で5以上であるような厳しい条件の場合、沈殿溶媒に含まれるアルコール類又は水の割合は少ない方が、イミド化率を低下させない点で好ましい。
本発明のポリイミド樹脂の製造方法は、通常以下の3つの工程を含むこととなる。それぞれについて一例を述べる。
(1)ポリアミック酸を含む溶液の製造
(2)ポリイミド樹脂へのイミド化
(3)ポリイミド樹脂の沈殿
(1)ポリアミック酸を含む溶液の製造
(2)ポリイミド樹脂へのイミド化
(3)ポリイミド樹脂の沈殿
(1)本発明のポリアミック酸の製造方法
ポリアミック酸の製造方法は下記方法に特定されるものではなく、種々の方法を用いることが可能である。その一例を以下に示す。
ポリアミック酸の製造方法は下記方法に特定されるものではなく、種々の方法を用いることが可能である。その一例を以下に示す。
ジアミンを溶解した有機溶媒中に、酸二無水物を分散し、攪拌することで完全に溶解させ重合させる方法、酸二無水物を有機溶媒中に溶解及び/または分散させた後、ジアミンを用いて重合させる方法、酸二無水物とジアミンの混合物を有機溶媒中で反応させて重合する方法などがあるが、公知の重合方法を用いればよい。
反応時間は、約1時間から5時間反応させることが好ましいが、ポリアミック酸溶液の粘度が、5Pa・s以上になるまで反応を行うことが好ましく、さらに好ましくは10Pa・s以上、最も好ましくは20Pa・sまで反応を行うころとが好ましい。ポリアミック酸溶液の粘度が20Pa・s以上であるとポリアミック酸溶液からポリイミド樹脂へと成形する際に取扱う上で最も好ましい。
反応装置には、反応温度を制御するための温度調製装置を備えていることが好ましく、反応溶液温度として60℃以下が好ましく、さらに、40℃以下であることが反応を効率良くしかも、ポリアミック酸の粘度が上昇しやすいことから好ましい。
ポリアミック酸の重合に使用される有機溶媒としては、テトラメチル尿素、N,N−ジメチルエチルウレアのようなウレア類、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、テトラメチルスルフォンのようなスルホキシドあるいはスルホン類、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ―ブチルラクトン、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類、またはホスホリルアミド類の非プロトン性溶媒、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、フェノール、クレゾールなどのフェノール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、p−クレゾールメチルエーテルなどのエーテル類が挙げられることができ、通常これらの溶媒を単独で用いるが必要に応じて2種以上を適宜組合わせて用いて良い。これらのうちDMF、DMAc、NMPなどのアミド類が好ましく使用される。
ポリアミック酸溶液中のポリアミック酸の重量%は、有機溶媒中にポリアミック酸が5〜50wt%、好ましくは10〜40wt%、更に好ましくは、15〜30wt%溶解されているのが取り扱い面から好ましい。
本発明に好適に用いることのできるジアミンは溶解性を付与する上で一般式群(1)で表される構造が含まれていることが好ましい。なお、一般式群(1)で表される構造であれば、複数種用いることが可能である。例えば、2,2´−ジフルオロ−4,4´−ジアミノビフェニル、3,3´−ジフルオロ−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ジフルオロ−5,5´−ジアミノビフェニル、3,3´−ジフルオロ−5,5´−ジアミノビフェニル、2,2´−ジクロロ−4,4´−ジアミノビフェニル、3,3´−ジクロロ−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ジクロロ−5,5´−ジアミノビフェニル、3,3´−ジクロロ−5,5´−ジアミノビフェニル、2,2´−ジブロモ−4,4´−ジアミノビフェニル、3,3´−ジブロモ−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ジブロモ−5,5´−ジアミノビフェニル、3,3´−ジブロモ−5,5´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリフルオロメチル)−4,4´−ジアミンビフェニル、3,3´−ビス(トリフルオロメチル)−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリフルオロメチル)−5,5´−ジアミノビフェニル、3,3´−ビス(トリフルオロメチル)−5,5´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリクロロメチル)−4,4´−ジアミンビフェニル、3,3´−ビス(トリクロロメチル)−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリクロロメチル)−5,5´−ジアミノビフェニル、3,3´−ビス(トリクロロメチル)−5,5´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリブロモメチル)−4,4´−ジアミンビフェニル、3,3´−ビス(トリブロモメチル)−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ビス(トリブロモメチル)−5,5´−ジアミノビフェニル、3,3´−ビス(トリブロモメチル)−5,5´−ジアミノビフェニル、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ビス(5−フルオロ−4−アミノフェニル)スルホン、ビス(5−フルオロ−3−アミノフェニル)スルホン、ビス(5−クロロ−4−アミノフェニル)スルホン、ビス(5−クロロ−3−アミノフェニル)スルホン、ビス(5−ブロモ−4−アミノフェニル)スルホン、ビス(5−ブルモ−3−アミノフェニル)スルホン、ビス(5−トリフルオロメチル−4−アミノフェニル)スルホン、ビス(5−トリフルオロメチル−3−アミノフェニル)スルホン、ビス(5−トリクロロメチル−4−アミノフェニル)スルホン、ビス(5−トリクロロメチル−3−アミノフェニル)スルホン、ビス(5−トリブルモメチル−4−アミノフェニル)スルホン、ビス(5−トリブロモメチル−3−アミノフェニル)スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−フルオロ−4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−フルオロ−3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−クロロ−4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−クロロ−3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−ブロモ−4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−ブロモ−3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−トリフルオロメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−トリフルオロメチル−3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−トリクロロメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−トリクロロメチル−3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−トリブロモメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(5−トリブロモメチル−3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホンを用いることが、溶媒溶解性の面で好ましく、2,2´−ビス(トリフルオロメチル)−4,4´−ジアミンビフェニルがさらに好ましい。
また、以下のジアミンを適時併用または、その代わりとして用いることも可能である。例えば、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エ−テル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、ジアミノポリシロキサン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4´−ジアミノ−ベンゾフェノン、4,4´−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルエーテル等が挙げられる。
本願発明に好適に用いることのできる酸二無水物は溶解性を付与する上で一般式群(2)で表される構造が含まれていることが好ましい。なお、一般式群(2)で表される構造であれば、複数種用いることが可能である。例えば、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、4,4´−スルホニルジフタル酸二無水物、3−フルオロピロメリット酸二無水物、3−クロロピロメリット酸二無水物、3−ブロモピロメリット酸二無水物、3−トリフルオロメチルピロメリット酸二無水物、3−トリクロロメチルピロメリット酸二無水物、3−トリブロモメチルピロメリット酸二無水物、3,6−ジフルオロピロメリット酸二無水物、3,6−ジクロロピロメリット酸二無水物、3,6−ジブロモピロメリット酸二無水物、3,6−ビストリフルオロメチルピロメリット酸二無水物、3,6−ビストリクロロメチルピロメリット酸二無水物、3,6−ビストリブロモメチルピロメリット酸二無水物等が好ましく、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物が多種の有機溶剤への溶解性を付与する面でさらに好ましい。
また、以下の酸二無水物を適時併用または、その代わりとして用いることも可能である。例えば、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン酸二無水物、4,4´−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−メチルフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−(2,3−ジメチルフェニレン)ビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)1,4−ナフタレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、2,6−ナフタレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス[4−(トリメリット酸モノエステル酸無水物)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(トリメリット酸モノエステル酸無水物)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、1−(2,3−ジカルボキシフェニル)−3−(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物等が挙げられる。
ポリアミック酸溶液の製造反応に用いられる酸二無水物類とジアミン類の使用モル比率は、使用モル比率=全酸二無水物モル数/全ジアミンモル数で算出した場合に、0.9以上1.5以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.95以上1.3以下であることが好ましく、特に好ましくは、0.98以上1.2以下であることが高分子量体を得る上で好ましい。
(2)ポリイミド樹脂へのイミド化
本発明のポリアミック酸を含む溶液をイミド化して可溶性のポリイミド樹脂を含む溶液を製造する方法について記載する。ポリアミック酸を含む溶液をイミド化する方法には、熱的に脱水閉環する熱的イミド化方法、脱水剤及びイミド化促進剤を用いる化学的イミド化方法がある。主に熱イミド化方法が用いられているが、ガラス転移温度の高いポリイミド樹脂を熱イミド化方法によって充分にイミド化を進めることは難しく、また充分にイミド化を進めるために高温でイミド化反応を行う必要がある。これにより得られるポリイミド樹脂は、有機溶媒への溶解に長時間を要することがあった。本発明者の推測によれば、イミド化時の高温によりポリイミド分子間で架橋が生じているためではないかと考えている。
本発明のポリアミック酸を含む溶液をイミド化して可溶性のポリイミド樹脂を含む溶液を製造する方法について記載する。ポリアミック酸を含む溶液をイミド化する方法には、熱的に脱水閉環する熱的イミド化方法、脱水剤及びイミド化促進剤を用いる化学的イミド化方法がある。主に熱イミド化方法が用いられているが、ガラス転移温度の高いポリイミド樹脂を熱イミド化方法によって充分にイミド化を進めることは難しく、また充分にイミド化を進めるために高温でイミド化反応を行う必要がある。これにより得られるポリイミド樹脂は、有機溶媒への溶解に長時間を要することがあった。本発明者の推測によれば、イミド化時の高温によりポリイミド分子間で架橋が生じているためではないかと考えている。
本発明では、イミド化促進剤と脱水剤を併用することでポリイミド樹脂のイミド化率を向上させることができる。イミド化促進剤としては、公知の技術を用いることができ、3級アミンを用いることができる。3級アミンとしては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族アミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジプロピルアニリン等の芳香族3級アミン、ピリジン、キノリン、ピコリン、イソキノリン等の複素環3級アミンを用いることができる。着色抑制、分子量低下抑制の面で、ピリジン、キノリン、ピコリン、イソキノリン等の複素環3級アミンを用いることが好ましい。
イミド化促進剤の量は、ポリイミド樹脂の洗浄を効率良く実施するため、イミド化促進剤/ポリアミック酸中アミド基のモル比で0.01以上、5未満で用いることが好ましい。イミド化促進剤が0.01未満であるとイミド化の進行に時間を要する場合がある。逆に5以上であると、ポリイミド樹脂の洗浄に時間を要する場合がある。
イミド化に際して、脱水剤を併用することはイミド化時間を短縮できる観点で好ましい。このような脱水剤としては、無水酢酸などの脂肪族酸無水物や芳香族酸無水物などが挙げられる。無水酢酸を用いることがポリイミド樹脂の洗浄に適しているという点から好ましい。
脱水剤の量は、脱水剤/ポリアミック酸中のアミド基のモル比で1以上、5未満で用いることができる。脱水剤の量が少ないとイミド化が進行するのに時間が要する場合があり、逆に多すぎると分子量の低下を引き起こすことがある。
(3)ポリイミド樹脂の沈殿・洗浄
本発明のイミド樹脂の沈殿・洗浄方法について公知の技術を用いることができる。上記(1)(2)のようにして得られたポリイミド樹脂を含む溶液から、ポリイミド樹脂を沈殿させる方法として、ポリイミド樹脂の溶液へ、ポリイミド樹脂の貧溶媒を投入することで、ポリイミド樹脂を沈殿させることができる。本発明のポリイミド樹脂とは、形状を特に制限するものではないが、ポリイミド樹脂のワニス溶媒への溶解性の面で、粉末状、フレーク状、種々の形態を含む固形物状態のものが好ましく、その平均粒径は、好ましくは5mm以下であり、さらには3mm以下、特には1mm以下が好ましい。
本発明のイミド樹脂の沈殿・洗浄方法について公知の技術を用いることができる。上記(1)(2)のようにして得られたポリイミド樹脂を含む溶液から、ポリイミド樹脂を沈殿させる方法として、ポリイミド樹脂の溶液へ、ポリイミド樹脂の貧溶媒を投入することで、ポリイミド樹脂を沈殿させることができる。本発明のポリイミド樹脂とは、形状を特に制限するものではないが、ポリイミド樹脂のワニス溶媒への溶解性の面で、粉末状、フレーク状、種々の形態を含む固形物状態のものが好ましく、その平均粒径は、好ましくは5mm以下であり、さらには3mm以下、特には1mm以下が好ましい。
本発明で用いられるポリイミド樹脂の沈殿溶媒としては、前記で述べたとおり必須成分として炭化水素を含む沈殿溶媒を用いる。
ポリイミド樹脂の溶液に沈殿溶媒を投入し、ポリイミド樹脂を沈殿させる際、ポリイミド樹脂の塊が生成した場合は、湿式または乾式の粉砕で所望の大きさの粉体として得ることができる。ポリイミド樹脂をワニス溶媒に溶解させる時間を短縮できる面でポリイミド樹脂は粉体で得ることが好ましい。
ポリイミド樹脂の沈殿に用いる沈殿溶媒量はポリイミド樹脂溶液の1.5倍以上の量で抽出することが粉体形状を制御する面で好ましい。
その後、沈殿させたポリイミド樹脂スラリーを洗浄して、イミド化促進剤等を除去することがポリイミド樹脂の変質を抑制する面で好ましい。洗浄溶媒としては前記沈殿溶媒として用いた溶媒を使用することができるが、ポリイミド樹脂の貧溶媒又は非溶媒であり、イミド化時に用いた溶媒、有機化合物を除去できるものであれば特に制限するものではない。
ポリイミド樹脂スラリーは、乾燥により溶媒を除去し、ポリイミド樹脂を得ることができる。ポリイミド樹脂の乾燥方法は、真空乾燥又は熱風乾燥を用いることができる。乾燥温度は酸素存在下では120℃以上では着色が起こる場合があり、150℃では明らかに着色する。したがって乾燥は120℃以下で行うことが望ましい。真空中や不活性ガス雰囲気でも、120℃以下で行うことが望ましい。
上記方法で作製したポリイミド樹脂の分子量は、GPCのPEG(ポリエチレングリコール)換算で測定した際に重量平均分子量が10000以上、500000以下であることが好ましく、さらに好ましくは、50000以上、400000以下であることが好ましく、特に好ましくは80000以上300000以下であることがポリイミド樹脂を例えば支持体表面に塗布して乾燥する際にムラが発生しにくい面で好ましい。
本発明におけるポリイミド樹脂をワニス溶媒に溶解して、フィルム状、若しくは層状に成型することができる。このようなワニス溶媒は、テトラメチル尿素、N,N−ジメチルエチルウレアのようなウレア類、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、テトラメチルスルフォンのようなスルホキシドあるいはスルホン類、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ―ブチルラクトン、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類、またはホスホリルアミド類の非プロトン性溶媒、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキル類、ベンゼン、トルエン、p−キシレン、m−キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類、フェノール、クレゾールなどのフェノール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、p−クレゾールメチルエーテルなどのエーテル類、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセトン、ジエチルケトンなどのケトン類、が挙げられることができ、通常これらの溶媒を単独で用いるが必要に応じて2種以上を用いても良い。
ポリイミド樹脂の溶解に用いられる溶媒は、ポリイミド樹脂の使用形態により適宜選定されるが、例えば、電子回路部材に用いる場合には、ポリイミド樹脂の溶解性の高い、DMF、DMAc、NMP等のアミド類と揮発性の高い、MIBK、MEK、アセトンなどのケトン類を混合して用いることもできる。また、例えば広角化層などのように高分子フィルム表面に積層する場合には、ポリイミド樹脂の乾燥温度が低く、しかも、高分子フィルムがポリイミド樹脂の溶解している溶媒に対して溶解しないことが望まれる、そのために、MIBK、MEK、アセトンなどのケトン類が好ましく使用される。
本発明のポリイミド樹脂を溶解させたワニス溶媒の粘度は、ワニス溶媒としてMIBKを用い、ワニス溶液粘度を検討した。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)ポリイミド溶液の製造
本実施例では、反応容器としてステンレス製セパラブルフラスコを備え、該セパラブルフラスコ内の攪拌装置として2枚のパドル翼を備え、冷却装置として20.9kJ/minの冷却能力を持つ装置を備えた反応装置を用いてポリアミック酸を製造した。重合反応中は、水分の混入を防ぐ為に、シリカゲル中を通過させて脱水を行った窒素ガスを0.05L/minで流して重合反応を行った。
(1)ポリイミド溶液の製造
本実施例では、反応容器としてステンレス製セパラブルフラスコを備え、該セパラブルフラスコ内の攪拌装置として2枚のパドル翼を備え、冷却装置として20.9kJ/minの冷却能力を持つ装置を備えた反応装置を用いてポリアミック酸を製造した。重合反応中は、水分の混入を防ぐ為に、シリカゲル中を通過させて脱水を行った窒素ガスを0.05L/minで流して重合反応を行った。
上記セパラブルフラスコに、重合用溶媒としてN,N−ジメチルフォルムアミド(DMF)223.5gを仕込み、これに、2,2´−ビス(トリフルオロメチル)−4,4´−ジアミノビフェニル(TFMB)40.0g(0.125モル)を溶解する。この溶液に、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物(6FDA)55.5g(0.125モル)を添加・攪拌して完全に溶解させた。完全に溶解した後、攪拌して重合粘度を80Pa・sまで上昇させた。前記溶液にピリジンを40g(イミド化促進剤/ポリアミック酸中アミド基のモル比=2)添加した後、無水酢酸を30.6g(脱水剤/ポリアミック酸中アミド基のモル比=1.2)を添加した。その後内部温度を100℃に上昇させて5時間加熱した。
(2)ポリイミド樹脂の沈殿・洗浄
ポリイミド樹脂の溶液にトルエン(3L)を添加し、ポリイミド樹脂を沈殿させ、24時間攪拌した。ヌッチェろ過でポリイミドスラリーを得た後、前記スラリーを5回洗浄した。洗浄はポリイミドスラリーをトルエン(1L)で30分間攪拌した後、ヌッチェろ過を実施した。
ポリイミド樹脂の溶液にトルエン(3L)を添加し、ポリイミド樹脂を沈殿させ、24時間攪拌した。ヌッチェろ過でポリイミドスラリーを得た後、前記スラリーを5回洗浄した。洗浄はポリイミドスラリーをトルエン(1L)で30分間攪拌した後、ヌッチェろ過を実施した。
(3)ポリイミド樹脂の乾燥
ポリイミドスラリーを真空オーブンにて乾燥温度100℃にて終夜で乾燥させた。
ポリイミドスラリーを真空オーブンにて乾燥温度100℃にて終夜で乾燥させた。
<評価方法>
イミド化率の測定条件を表1に示した。
イミド化率の測定条件を表1に示した。
また、その結果を表2に示した。
(比較例1)
(1)ポリイミド溶液の製造
実施例1と同様にして製造した。
(1)ポリイミド溶液の製造
実施例1と同様にして製造した。
(2)ポリイミド樹脂の沈殿・洗浄
ポリイミド樹脂の溶液にメタノール(3L)を添加し、ポリイミド樹脂を沈殿させ、24時間攪拌した。ヌッチェろ過でポリイミドスラリーを得た後、前記スラリーを5回洗浄した。洗浄はポリイミドスラリーをメタノール(1L)で30分間攪拌した後、ヌッチェろ過を実施した。
ポリイミド樹脂の溶液にメタノール(3L)を添加し、ポリイミド樹脂を沈殿させ、24時間攪拌した。ヌッチェろ過でポリイミドスラリーを得た後、前記スラリーを5回洗浄した。洗浄はポリイミドスラリーをメタノール(1L)で30分間攪拌した後、ヌッチェろ過を実施した。
(3)ポリイミド樹脂の乾燥
実施例1と同様にして製造した。
実施例1と同様にして製造した。
<評価方法>
実施例1と同様にして評価した。
実施例1と同様にして評価した。
Claims (7)
- 酸二無水物とジアミンを重合して得られるポリアミック酸を、イミド化促進剤と脱水剤を併用して溶液中でイミド化し、沈殿溶媒の必須成分として炭化水素を用い、ポリイミド溶液からポリイミド樹脂を沈殿させるポリイミド樹脂の製造方法。
- 酸二無水物と、一般式群(1)で表される少なくとも一種のジアミンを重合して得られるポリアミック酸を、イミド化促進剤と脱水剤を併用して溶液中でイミド化する請求項1記載のポリイミド樹脂の製造方法。
- 一般式群(2)で表される少なくとも一種の酸二無水物を用いることを特徴とする請求項1または請求項2記載のポリイミド樹脂の製造方法。
- 前記イミド化促進剤の量が、イミド化促進剤/ポリアミック酸中アミド基のモル比で0.01以上、5以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂の製造方法。
- 前記脱水剤の量が、脱水剤/ポリアミック酸中アミド基のモル比で1以上、5未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂の製造方法。
- 沈殿溶媒の必須成分として芳香族炭化水素を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂の製造方法。
- 沈殿溶媒の必須成分としてトルエンを用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂の製造方法。
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- 2005-03-31 JP JP2005105534A patent/JP2006282882A/ja active Pending
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