JP2006281627A - 水性インキ用ボールペン - Google Patents

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Abstract

【課題】長期経時した後でもボール表面が腐食しにくく、書き味が重くならない水性インキ用ボールペンを提供する。
【解決手段】 着色剤と、水溶性有機溶剤と、水とから少なくともなる水性インキを充填してなる水性インキ用ボールペンにおいて、ボールホルダー2に回転自在に抱持される金属を含有するボール1の表面全体を撥水性の物質で被覆した水性インキ用ボールペン。
【選択図】図2

Description

本発明は、長期経時した後でもボール表面が腐食しにくく、書き味が重くならない水性インキ用ボールペンに関する。
ボールペン、特にインキとして水を主溶剤とする水性インキを充填してなる水性インキ用ボールペンは、ボールに金属を含有するボール、例えば、炭化タングステンをクロムやコバルト等で焼結させたいわゆる超硬と呼ばれるボールを使用した場合、長期経時によりボール中の金属が溶出するいわゆる腐食が発生したり、さらには炭化タングステンの粒子が剥がれ落ちてボール表面に孔が生じ、その孔にボールホルダー内でボールを支持しているボール受け座表面の微細な凹凸が引っかかることで書き味の滑らかさが失われる場合が有った。
これを防止するために、インキ中にカルボキシベンゾトリアゾール(特許文献1)やジシクロヘキシルアミン亜硝酸塩(特許文献2)を添加して腐食防止する例が知られている。
特開平8−199107号(2頁左欄上から45行目〜同右欄3行目) 特開平10−130563号(4頁左欄上から16行目〜19行目
しかしながら、これらはインキ中にカルボキシベンゾトリアゾールやジシクロヘキシルアミン亜硝酸塩を添加しているとはいえその防錆効果は不十分であり、長期的には腐食でボール表面に孔が生じ、そこにボール受け座表面の微細な凹凸が引っかかることで書き味が重くなったりボールの回転が滑らかでなくなったりするのが現状であった。また、ボールペンを長期に保管するときに、保管中のインキの漏れを防止するために合成樹脂製のホットメルト剤でペン先を被覆してボールとボールホルダーの先端開口部との隙間を塞いだ場合、ホットメルト剤にて被覆された側のボール表面に腐食が発生し、ボール表面に孔が生じ、そこにボール受け座表面の微細な凹凸が引っかかることで滑らかな書き味を損なう問題が有った。これは熱によりボールペンチップ小口周辺にあるインキから蒸発した水分が、ホットメルト剤に阻まれて移動できずにボールとホットメルト剤の間に溜まったり、または吸湿性の高い樹脂(例えばポリアミド等)では外部の高い湿度から水分を吸収し、それがボールとホットメルト剤の隙間に溜まり、局部電池が形成されるためと考えられる。この場合、インキ中に防錆剤を添加していてもインキはボールとボールホルダーの先端開口部の隙間が塞がれているので、ホットメルト剤にて被覆された側のボール表面にインキが浸透することもなくボール表面の腐食発生を防止することはできなかった。
即ち、本発明は、着色剤と、水溶性有機溶剤と、水とから少なくともなる水性インキを充填してなる水性インキ用ボールペンにおいて、ボールホルダーに回転自在に抱持される金属を含有するボールの表面全体を撥水性の物質で被覆した水性インキ用ボールペンを要旨とするものである。
本発明のボールペンにおいて、長期的にボールの腐食が防止される理由は、ボールの表面全体を撥水性の物質で被覆することにより、ボールがインキ等の水分と直接的に接触することが無くなり、ボール表面での局部電池の形成が抑制され、金属の溶出が無くなるのでボール表面の腐食は防止されると考えられる。特に、ボールと合成樹脂製のホットメルト剤の間に水分が溜まり、ボール表面の腐食が促進されるような環境下でも、水と直接接触しないので局部電池は形成されず腐食は抑制される。
ボールがいわゆる超硬の場合は、金属が溶出しなければ金属によって接着されていた炭化タングステン等の粒子も脱落しなくなるため、ボール表面に孔が生じずボールとボール受け座との摩擦抵抗がボールペンを組み立てた直後からあまり変わらないため、長期経時した後でも書き味が重くなったりボールの回転が阻害されることが無くボールペンを組み立てた直後の書き味が維持される。
本発明に使用する水性インキ用ボールペンの形態の例を図1乃至図2に示す。
図1は所謂リフィルと称される、筆記具外装体内に交換可能に設置される、インキ収容管とペン先がセット化された部材として示している。筆記部材であるボール1を回転自在に抱持するボールホルダー2は、チップホルダー3を介してインキ収容管4と接続されている。ボール1は、ボールホルダー2の先端開口部2aとボール1との隙間部分よりインキ5が洩れ出すのを抑制するために、ボールホルダー2内にコイルスプリング6を配してボール1をボールホルダー2の後述する先端開口部内縁部分2bに周状密着するようになしてある。チップホルダー3の内孔3aは、インキ収容管4内と接続されており、インキ5がボールホルダー2の内孔2cを通じている。インキ収容管4の後端は開放されており、インキ5の消費量に伴ってインキ収容管4内に空気を置換し、内圧を維持しているが、インキ5の後端からの漏れだしを抑制するために、インキ5の界面に接触して粘性流体逆流防止体組成物7を配置し、粘性流体逆流防止体組成物7内にその界面形状を安定に維持するために、コップ状の浮体8を配置している。これら粘性流体逆流防止体組成物7と浮体8とはインキ5の消費に伴うインキ5の界面の移動に追従して移動する。
図2に図1におけるA部拡大図を示す。ボールホルダー2はインキ5の通路としての内孔2cを有しており、その先端開口部2aはボール1を設置した後にボール1の直径未満にかしめ加工が施されてボール1の抜け止めがなされている。内孔2cには、複数の内方突出部9が放射状に形成されており、ボール1の後方移動位置を規定している。内方突出部9には、ボール1を押し付けることによって形成されるボール受け座10が形成されている。隣り合った内方突出部9の間は、インキ通路の一部となる溝部分として形成されており、内方突出部9の中心部分のインキ通路である中孔11と連通した放射状溝12である。この放射状溝12はボール1がボール受け座10と接触して中孔11を塞いだ場合に実質的にインキの通路を確保する部分となる。
ボール1は炭化タングステン、炭化珪素、窒化珪素などの焼結体が使用できる。これら炭化タングステン、炭化珪素、窒化珪素などの焼結体には、通常粒子同士の隙間を埋め、固く接着させるための鉄、コバルト、クロム、ニッケル、チタン等の金属が配合されている。これらの金属は通常、ボール全重量に対して20重量%未満が好ましい。
ボール1の表面全体を撥水性の物質で被覆するには、ボールを撥水性の物質に浸漬した後、ボール1をボールホルダー2に挿入してボールホルダー2の先端開口部2aにかしめ加工を施して縮径する方法や、ボール1をボールホルダー2に取り付けた後にボール1とボールホルダー2の先端部分を撥水性の物質に漬けた状態でボール1を回転させることにより、ボール表面全体に撥水性の物質を漬ける等の方法が考えられるが、これらに限らずボール表面全体を撥水性の物質で被覆すれば良い。撥水性の物質は液状であればそのままボール表面全体を浸漬させることができるが、所望により撥水性の物質に溶剤を加えて溶液としたものを用いボール表面全体を被覆させても良い。
ただし、あまり多く付けすぎると保存後の最初の書き出しの時に撥水性の物質のみ吐出してインキがなかなか出てこない不具合が発生するので付けた撥水性の物質がボールホルダー2の中孔11にまで入らないようにするのが好ましい。
また、この撥水性の物質に市販の防錆剤を溶解もしくは分散させて防錆効果を高めることもできる。
また、この撥水性物質は筆記したときにボールから外れないとインキをはじいてカスレが起こるため、筆記時にボールから容易に外れるように液状が好ましい。
撥水性の物質としては撥水性が高く、吸湿性が低いことから、シリコンオイル、フッ素オイル、炭化水素オイルが好ましく、これらから選ばれる1種又は2種以上が使用できる。その具体例を挙げると、シリコンオイルとしてはSH200(絶対粘度96mPa・s、動粘度100mm/s、密度0.966g/cm)、SH200(絶対粘度197mPa・s、動粘度200mm/s、密度0.970g/cm)、SH200(絶対粘度340mPa・s、動粘度350mm/s、密度0.970g/cm)、SH200(絶対粘度485mPa・s、粘度500mm/s、密度0.970g/cm)、SH200(絶対粘度971mPa・s、粘度1000mm/s、密度0.971g/cm)、SH200(絶対粘度2920mPa・s、動粘度3000mm/s、密度0.972g/cm)、SH200(絶対粘度4870mPa・s、動粘度5000mm/s、密度0.973g/cm)、SH200(絶対粘度9740mPa・s、動粘度10000mm/s、密度0.974g/cm)、SH200(絶対粘度12200mPa・s、動粘度12500mm/s、密度0.975g/cm)、SH200(絶対粘度29300mPa・s、動粘度30000mm/s、密度0.975g/cm)、SH200(絶対粘度58600mPa・s、動粘度60000mm/s、密度0.976g/cm)、SH200(絶対粘度97700mPa・s、動粘度100000mm/s、密度0.977g/cm)、SH200(絶対粘度977000mPa・s、動粘度1000000mm/s、密度0.977g/cm)等のSH200オイルシリーズ(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、KF−96−100cs(絶対粘度965mPa・s、動粘度100mm/s、密度0.965g/cm)、KF−96−200cs(絶対粘度194mPa・s、動粘度200mm/s、密度0.970g/cm)、KF−96−300cs(絶対粘度291mPa・s、動粘度300mm/s、密度0.970g/cm)、KF−96−350cs(絶対粘度340mPa・s、動粘度350mm/s、密度0.970g/cm)、KF−96−500cs(絶対粘度485mPa・s、動粘度500mm/s、密度0.970g/cm)、KF−96−1000cs(絶対粘度970mPa・s、動粘度1000mm/s、密度0.970g/cm)、KF−96−3000cs(絶対粘度2910mPa・s、動粘度3000mm/s、密度0.970g/cm)、KF−96−5000cs(絶対粘度4880mPa・s、動粘度5000mm/s、密度0.975g/cm)、KF−96H−6000cs(絶対粘度5850mPa・s、動粘度6000mm/s、密度0.975g/cm)、KF−96H−1万cs(絶対粘度9750mPa・s、動粘度10000mm/s、密度0.975g/cm)、KF−96H−12500cs(絶対粘度12200mPa・s、動粘度12500mm/s、密度0.975g/cm)、KF−96H−3万cs(絶対粘度29300mPa・s、動粘度30000mm/s、密度0.976g/cm)、KF−96H−5万cs(絶対粘度48800mPa・s、動粘度50000mm/s、密度0.976g/cm)、KF−96H−6万cs(絶対粘度58500mPa・s、動粘度60000mm/s、密度0.976g/cm)、KF−96H−10万cs(絶対粘度97700mPa・s、動粘度100000mm/s、密度0.977g/cm)、KF−96H−30万cs(絶対粘度293000mPa・s、動粘度300000mm/s、密度0.977g/cm)、KF−96H−50万cs(絶対粘度489000mPa・s、動粘度500000mm/s、密度0.978g/cm)、KF−96H−100万cs(絶対粘度978000mPa・s、動粘度1000000mm/s、密度0.978g/cm)、KF−96A−6cs(絶対粘度5.55mPa・s、動粘度6mm/s、密度0.925g/cm)等のKF96シリーズ、KF−965−100cs(絶対粘度96.5mPa・s、動粘度100mm/s、密度0.965g/cm)、KF−965−1000cs(絶対粘度975mPa・s、動粘度1000mm/s、密度0.975g/cm)、KF−965−1万cs(絶対粘度9750mPa・s、動粘度10000mm/s、密度0.975g/cm)、KF−50−100cs(絶対粘度99.7mPa・s、動粘度100mm/s、密度0.997g/cm)、KF−50−300cs(絶対粘度299mPa・s、動粘度300mm/s、密度0.998g/cm)、KF−50−1000cs(絶対粘度1000mPa・s、動粘度1000mm/s、密度1.000g/cm)、KF−50−3000cs(絶対粘度3000mPa・s、動粘度3000mm/s、密度1.000g/cm)、KF−54(絶対粘度428mPa・s、動粘度400mm/s、密度1.070g/cm)、KF−56(絶対粘度14.9mPa・s、動粘度15mm/s、密度0.995g/cm)、HVAC−F−4(絶対粘度39.4mPa・s、動粘度37mm/s、密度1.065g/cm)、HVAC−F−5(絶対粘度176mPa・s、動粘度160mm/s、密度1.097g/cm)、KF−99(絶対粘度20mPa・s、動粘度20mm/s、密度1.000g/cm)、変性シリコーンオイルとしてFL−5(絶対粘度99mPa・s、動粘度100mm/s、密度0.99g/cm)、FL−10(絶対粘度101mPa・s、動粘度100mm/s、密度1.01g/cm)、X−22−821(絶対粘度109mPa・s、動粘度100mm/s、密度1.09g/cm)、X−22−822(絶対粘度1.16mPa・s、動粘度100mm/s、密度1.16g/cm)、FL−100(絶対粘度1.23mPa・s、動粘度100mm/s、密度1.23g/cm)、FL−100(絶対粘度567mPa・s、動粘度450mm/s、密度1.26g/cm)、FL−100(絶対粘度1270mPa・s、動粘度1000mm/s、密度1.27g/cm)、FL−100(絶対粘度13000mPa・s、動粘度10000mm/s、密度1.30g/cm)(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
尚、粘度測定は、全て、Bohlin社製STRESSレオメーターを用い、25℃の測定環境で剪断速度1s−1で測定し求めた。
フッ素オイルとしてはバリエルタ J FLUID、バリエルタ J Vの各シリーズ(以上、NOK(株)製)や、FOMBLIN−HC/04、FOMBLIN−HC/25、FOMBLIN−HC/R、FOMBLIN−HC/OH−1000、FOMBLIN−HC/P2−1000、FOMBLIN−HC/SA−18(日光ケミカルズ(株)製)等が挙げられる。
炭化水素オイルとしては、ポリブテン、ポリブタジエン等が使用できる。ポリブテンとしては、LV−50、LV−100、HV−15、HV−35、HV−50、HV−100、HV−300、HV−1900、HV−3000等(以上、新日本石油化学(株)製)等や、出光水素添加ポリブテン、出光水素未添加ポリブテンのシリーズ(以上、出光興産(株)製)等が挙げられる。ポリブタジエンとしては、B−1000、B−2000、B−3000、M−1000−20、M−1000−80、M−2000−20、MM−1000−80、E−1000−8、E−1800−6.5等(以上、新日本石油化学(株)製)がある。
本発明で使用する撥水性の物質としては、絶対粘度が2900mPa・s以上1000000mPa・s以下のものが経時した後でもボールから遊離しにくく撥水効果を失うことが少ないこととボールへの処理がし易いのでより好適に使用できる。また、これら撥水性の物質は増粘剤などを使用して絶対粘度を2900mPa・s以上1000000mPa・s以下にしたものも好適に使用できる。
筆跡・塗布跡を形成するインキとしては、水を媒体とする所謂水性インキを使用することができる。
水性インキは主溶剤である水の他に、酸性染料、直接染料塩基性染料等の染料及び/又は各種のアゾ系顔料、ニトロソ系顔料、ニトロ系顔料、塩基性染料系顔料、酸性染料系顔料、建て染め染料系顔料、媒染染料系顔料、及び天然染料系顔料等の有機系顔料、黄土、バリウム黄、紺青、カドミウムレッド、硫酸バリウム、酸化チタン、弁柄、鉄黒、カーボンブラック等の無機顔料からなる着色剤、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸等の樹脂やヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ガーガム、キサンタンガム、ヒアルロン酸等の多糖類からなる粘度調整剤、界面活性剤、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等の水溶性有機溶剤、防錆剤、防黴・防腐剤、場合によっては、アスコルビン酸、コウジ酸やハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、ピロガロール、タンニン酸、没食子酸等のポリフェノール類などの還元性を有する物質などを配合したものである。
着色剤として顔料を用いた場合に、顔料を安定に分散させるために分散剤を使用することは差し支えない。分散剤として従来一般に用いられているスチレンアクリル酸塩やスチレンマレイン酸塩等の水溶性樹脂もしくは水可溶性樹脂や、アニオン系もしくはノニオン系の界面活性剤など、顔料の分散剤として用いられるものが使用できる。
製造されたボールペンのユーザーがはじめて使用するまでのインキ漏れの防止や未使用であることの表示などの目的で、ボールペンチップの先端に、ボールとボールホルダーの先端開口部との隙間を閉塞する合成樹脂材料を配置することもできる。このような状態のものの模式図を図3に示す。これは、熱可塑性の合成樹脂を溶融させて必要部分に玉状に付着させたもので、合成樹脂ホットメルト剤などと称されている。ホットメルト剤13は未使用状態でのインキの漏れ出しを防止する栓の役割をするものであるので、インキが突出される部分であるボールホルダー2の先端開口部2aが塞がれていればよい。このホットメルト剤としては、ポリアミド樹脂又はポリアミド樹脂を主剤とする混合物やエチレンビニルアルコール共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸エステル共重合体、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、軟質プラスチック、ワックスを主剤とする混合物などが好適に使用される。
具体的な商品として、ポリアミド樹脂を主剤とするものにはセメダイン(株)ホットメルト剤HM360、HM370、HM373や、ダイアボンド工業(株)ホットメルト剤メルトロンA703T、同A704、同A705、同A706、同A707、同1Y15などが挙げられ、エチレンビニルアルコールを主剤とするものには、セメダイン(株)のホットメルト剤HM200,同202,同207,同210,同223,同204、同320、同326,同409,同712や、ヒロダイン(株)の1585,2017,2025,2030,2040,2060,2090,2256,2265などがある。これら一種もしくは二種以上の混合物を使用できる。また、これらに、テルペン系樹脂やロジン系樹脂などの粘着性付与剤やパラフィン系オイルなどの軟化剤、カーボンブラック、タルク、クレー、シリカ、炭酸カルシウム、無機・有機顔料などの充填剤、ゼオライト、シリカゲル等の吸着剤等を必要に応じて添加することもできる。
ボールペンチップのボールとボールホルダーの先端開口部との隙間を合成樹脂ホットメルト剤にて塞ぐ方法についてその一例を説明する。ホットプレート等の加熱機器上に、エチレングリコール等の高沸点溶剤を入れた油浴を設置し、この油浴にポリアミド系ホットメルト剤のペレットを適量入れた容器を浸し、ヒーターにて加熱し、前記油浴の温度を210℃程度に設定して、容器内のポリアミド系ホットメルト剤のペレットを溶融状態とする。次いで、ボールペンチップをボールとボールホルダーの先端開口部との隙間が埋まるように漬けて、一秒後に引き上げ、30秒〜60秒放置して、ポリアミド系ホットメルト剤を冷却固化させる。尚、油浴を使用せずに、ペレットが入った容器を直接ホットプレートなどで加熱しもよい。
インキを収容するものとしては各種の繊維を束ねたいわゆる中綿と呼ばれるものや、インキを直接インキ収容管にパイプ充填する方式のものが使われるが、インキを直接充填するインキ収容管パイプの材質としてはポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、シリコン樹脂等が使用可能であるが、透湿性、透明性、コスト等を考えるとポリプロピレン製が好ましい。
本発明のボールペンの製造に当たって、インキの充填は従来一般的に行われている方法で充填することで特に問題は無い。
例えば、インキ収容管に直接インキを充填する場合、減圧下にインキを放置してインキ中の溶存気体を不飽和としたインキを充填したり、インキを充填したボールペンを常圧下又は減圧下で遠心したりしてインキ中又は逆流防止体中に存在する気泡を除去することは経時的に気泡が発生してボールペンチップ先端でインキの吐出を妨げることを防止する意味で有効である。ここにおいて、減圧下で遠心するには、遠心しながら徐々に又は一気に減圧する方法、最初に減圧しておいてから遠心する方法、遠心しながら減圧しておいてから減圧を緩めた後再度減圧する方法、場合によってはこの減圧と減圧を緩めることを繰り返し行う方法等がある。
各実施例、比較例の評価用の水性インキ用ボールペンに使用したボールペンチップは以下の通りである。
(ボールペンチップa)
炭化タングステンを主成分としコバルト8重量%、クロム3重量%を含むいわゆる超硬の直径0.7mmのボールを、シリコンオイルSH200(東レダウコーニング社製、絶対粘度9740mPa・s)をシクロヘキサンに30重量%に溶解させた液に浸漬したまま、エナージェル(BL17、水性インキボールペン、ぺんてる(株)製)のボールホルダーに取り付け、これを50℃の乾燥機に入れ3時間乾燥させてからボールペンチップの先端開口部チップ小口をかしめたボールペンチップ。
(ボールペンチップb)
炭化タングステンを主成分としチタン8.3重量%、クロム1.6重量%、ニッケル1.7重量%を含むいわゆる超硬の直径0.7mmのボールを取り付けたエナージェル(BL17、水性インキボールペン、ぺんてる(株)製)のボールペンチップを、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトを0.5重量%、シリコンオイルKF−96−10万cs(信越化学工業(株)製、絶対粘度97700mPa・s)を20重量%溶解させたシクロヘキサンの溶液中にペン先約2mmを浸けボールを回転させてボール表面全体にジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトとシリコンオイルを付着させた。このものを50℃の乾燥機に入れ3時間乾燥させたボールペンチップ。
(ボールペンチップc)
ボールに炭化タングステンを主成分としコバルト3重量%を含むいわゆる超硬の直径0.7mmのボールを用い、シリコンオイルSH200の代わりにシリコンオイルSH−200(東レダウコーニング社製、絶対粘度4870mPa・s)を用いた以外はボールペンチップ1と同様に為したボールペンチップ。
(ボールペンチップd)
ボールに炭化タングステンを主成分としコバルト8重量%、クロム3重量%を含むいわゆる超硬の直径0.7mmのボールを用い、シリコンオイルSH200の代わりにシリコンオイルSH−200(東レダウコーニング社製、絶対粘度977000mPa・s)を用いた以外はボールペンチップ1と同様に為したボールペンチップ。
(ボールペンチップe)
ボールに炭化タングステンを主成分としコバルト3重量%を含むいわゆる超硬の直径0.7mmのボールを用い、シリコンオイルSH200の代わりにシリコンオイルKF−96−1000cs(信越化学工業(株)製、絶対粘度970mPa・s)を用いた以外はボールペンチップ1と同様に為したボールペンチップ。
(ボールペンチップf)
ボールに炭化タングステンを主成分としチタン8.3重量%、クロム1.6重量%、ニッケル1.7重量%を含むいわゆる超硬の直径0.7mmのボールを用い、シリコンオイルSH200の代わりにシリコンオイルSH−200(東レダウコーニング社製、絶対粘度2920mPa・s)を用いた以外はボールペンチップ1と同様に為したボールペンチップ。
(ボールペンチップg)
炭化タングステンを主成分としコバルト8重量%、クロム3重量%を含むいわゆる超硬の直径0.7mmのボールを取り付けたエナージェル(BL17、水性インキボールペン、ぺんてる(株)製)のボールペンチップ。
(ボールペンチップh)
炭化タングステンを主成分としチタン8.3重量%、クロム1.6重量%、ニッケル1.7重量%を含むいわゆる超硬の直径0.7mmのボールを取り付けたエナージェル(BL17、水性インキボールペン、ぺんてる(株)製)のボールペンチップ。
(ボールペンチップi)
炭化タングステンを主成分としコバルト3重量%を含むいわゆる超硬の直径0.7mmのボールを取り付けたエナージェル(BL17、水性インキボールペン、ぺんてる(株)製)のボールペンチップ。
各実施例、比較例の評価用の水性インキ用ボールペンに使用したインキの配合は以下の通りである。例中の部は重量部を示す。
(インキa)
Water Blue 9(C.I.AcidBlue1,オリエント化学工業(株)
製) 4.2部
ダイワレッド106WB(C.I.AcidRed52,ダイワ化成(株)製)
0.6部
エチレングリコール 10.0部
ジエチレングリコール 8.0部
プロクセルGXL(1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの20%ジプロピレングリ
コール溶液、ICIジャパン製) 0.2部
ケルザンAR(キサンタンガム、三晶(株)製) 0.3部
アスコルビン酸ナトリウム 0.5部
水 76.2部
上記成分のうち、ケルザンARの全量を水5部を攪拌しながら加え1時間攪拌してケルザンARの溶液を得た。この液と残りの成分を混合し均一になるまで1時間攪拌して青色インキを得た。
(インキb)
Water Blue 9(C.I.AcidBlue1,オリエント化学工業(株)
製) 4.2部
ダイワレッド106WB(C.I.AcidRed52,ダイワ化成(株)製)
0.6部
エチレングリコール 10.0部
ジエチレングリコール 8.0部
プロクセルGXL(1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの20%ジプロピレングリ
コール溶液、ICIジャパン製) 0.2部
ケルザンAR(キサンタンガム、三晶(株)製) 0.3部
アスコルビン酸ナトリウム 0.5部
亜硝酸ナトリウム 0.2部
水 76.0部
上記成分のうち、ケルザンARの全量を水5部を攪拌しながら加え1時間攪拌してケルザンARの溶液を得た。この液と残りの成分を混合し均一になるまで1時間攪拌して青色インキを得た。
各実施例、比較例の評価用の水性インキ用ボールペンに使用したホットメルト剤及びその取り付け工程は以下の通りである。
(ホットメルト剤取り付け工程a)
ポリアミド系ホットメルト剤メルトロンA704(ダイアボンド(株))のペレットを500g入れたアルミニウム製の容器をホットプレート上に置いてヒーターの温度を220℃に設定し、該ポリアミド系ホットメルト剤メルトロンA704の温度が200℃となるようにしたものにボールペンチップ先端を1秒間漬けて、引き上げ、60秒間放置して、ポリアミド系ホットメルト剤を冷却固化した。
(ホットメルト剤取り付け工程b)
エチレンビニルアルコール系ホットメルト剤HM200(セメダイン(株))のペレットを500g入れたアルミニウム製の容器をホットプレート上に置いてヒーターの温度を210℃に設定し、該エチレンビニルアルコール系ホットメルト剤HM200の温度が190℃となるようにしたものにボールペンチップの先端を1秒間漬けて、引き上げ、60秒間放置して、エチレンビニルアルコール系ホットメルト剤を冷却固化した。
エナージェル(BL17、水性インキボールペン、ぺんてる(株)製)のインキ収容管に上記の水性インキを充填したものに、上記のボールペンチップを取り付け、上記のホットメルト剤取り付け工程にてボールとボールホルダーの先端開口部との隙間を閉塞し、遠心処理を経て得た評価用の水性インキ用ボールペンを用いて各種試験を行った。
各実施例、比較例の評価用の水性インキ用ボールペンのチップ、インキ、ホットメルト剤取り付け工程と、各種試験による評価結果を表1に示す。
尚、実施例、比較例のインキ組成物の絶対粘度の測定は、全て、Bohlin社製STRESSレオメーターを用い、25℃の測定環境で剪断速度1s−1で測定し求めた。
書き味の軽さ、滑らかさ:筆記抵抗値を測定した。筆記抵抗値は自動筆記機を用いて、筆記荷重100gf、筆記速度2mm/秒、筆記角度70度の条件で、直線筆記し、筆記方向にかかる荷重を測定した。
ボールの経時腐食:ボール表面の粗さ(算術平均粗さ)の変化を原子間力顕微鏡にて測定した。経時後のボールは顕微鏡で腐食したと思われる部分を確認し、そのうちもっとも荒れた部分の表面粗さを測定した。測定は(株)セイコーインスツルーメント社製、走査型プローブ顕微鏡SPI−400を用いて行った。単位はnm。
Figure 2006281627
表1より、予め撥水性の物質でボールの表面全体を被覆したボールペンチップa、b、c、d、e、fを使用した実施例1〜6についてはボール表面に酷い腐食は発生せず、書き味は良好であった。ボールペンチップg、h、iを使用した比較例1、2、3についてはホットメルトに接触している部分に激しい腐食が発生し、インキに接触している部分についても腐食が発生し、筆記抵抗値も大きくなった。インキ中に従来防錆剤として使用されている亜硝酸ナトリウムを含有するインキbを使用した比較例3でも、ホットメルト接触側、インキ接触側の両方についてボール表面の腐食を防ぐことはできなかった。
以上、詳細に説明したように本発明は経時的にボール表面の腐食が少なく、軽く滑らかな書き味が長期的に維持される水性インキ用ボールペンに関するものである。
ボールペンチップを示す要部断面図。 図1のA部拡大図 ボールペンチップ先端へのホットメルト剤配置図
符号の説明
1 ボール
2 ボールホルダー
2a 先端開口部
2b 先端開口部内縁部分
2c 内孔
3 チップホルダー
3a 内孔
4 インキ収容管
5 インキ
6 コイルスプリング
7 粘性流体逆流防止体組成物
8 浮体
9 内方突出部
10 ボール受け座
11 中孔
12 放射状溝

Claims (3)

  1. 着色剤と、水溶性有機溶剤と、水とから少なくともなる水性インキを充填してなる水性インキ用ボールペンにおいて、ボールホルダーに回転自在に抱持される金属を含有するボールの表面全体を撥水性の物質で被覆した水性インキ用ボールペン。
  2. 前記撥水性の物質がシリコンオイル、フッ素オイル、炭化水素オイルから選ばれる1種又は2種以上の混合物である請求項1に記載の水性インキ用ボールペン。
  3. 前記撥水性の物質が2900mPa・s以上1000000mPa・s以下の絶対粘度(剪断速度1s−1、25℃)を有する請求項1又は請求項2に記載の水性インキ用ボールペン。
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