JP2006281478A - 液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 吐出特性を実質的に均一化することができる液体噴射ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】 シリコンウェハをエッチングすることによりシリコンウェハに液体流路の一部となる複数の溝部を形成するエッチング工程と、シリコンウェハを分割して液体流路の少なくとも一部が形成された複数の流路基板とする分割工程とを少なくとも具備すると共に、エッチング工程では、シリコンウェハの面内位置に応じてシリコンウェハのエッチング時間を実質的に調整して、複数の溝部を均一な深さで形成する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ノズルからインク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッド等の液体噴射ヘッドの製造方法に関する。
一般的に、プリンタ、ファクシミリ、複写装置等に用いられるインクジェット式記録ヘッド等の液体噴射ヘッドでは、液滴を吐出させるためのメカニズムに応じて各種方式のものが知られている。例えば、発熱素子等によって液体を沸騰させ、そのときに生じる気泡圧で液滴を吐出させるものや、液滴が充填された圧力発生室の容積を、圧電素子の変位によって膨張又は収縮させることでノズルから液滴を吐出させるものがある。さらに、例えば、静電気力を利用して圧力発生室の容積を変化させることで、ノズルから液滴を吐出させるようにしたものもある。
例えば、静電駆動方式のインクジェット式記録ヘッドとしては、シリコン単結晶基板からなり複数のノズルが形成されたノズルプレートと、シリコン単結晶基板からなりノズルに連通するインクキャビティ(圧力室)及びインクリザーバ(共通液室)が形成されたキャビティプレートと、個別電極が配設されるガラス基板とが貼り付けられて構成され、上記インクキャビティとインクリザーバとが、ノズルプレートに形成されたインク供給路を介して連通させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
ここで、例えば、ノズルプレートは、シリコンウェハに複数一体的に形成され、最終的にこのシリコンウェハを分割することによって形成されている。すなわち、各ノズルプレートに対応する複数のノズル及びインク供給路が、シリコンウェハにエッチングにより形成された後、シリコンウェハを複数のノズルプレートに分割している。
そして、このように複数のノズル及びインク供給路等をシリコンウェハにエッチングによって形成すると、シリコンウェハの面内で深さにばらつきが生じてしまい、上記のような構成のインクジェット式記録ヘッドとした際に、各ヘッドでインク吐出特性にばらつきが生じてしまうという問題がある。また、このような吐出特性のばらつきは比較的大きいため、歩留まりが低くなってしまうという問題もある。
なお、このような問題は、勿論、インクジェット式記録ヘッドだけでなく、他の液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
特開平11−198386号公報(特許請求の範囲、第1図)
本発明はこのような事情に鑑み、吐出特性を実質的に均一化することができる液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、液滴が吐出されるノズルと、該ノズルに連通する複数の圧力室と、複数の圧力室に共通する共通液室と、該共通液室内の液体を前記圧力室に供給する供給口部とを含む液体流路を具備する液体噴射ヘッドの製造方法であって、シリコンウェハをエッチングすることにより該シリコンウェハに前記液体流路の一部となる複数の溝部を形成するエッチング工程と、前記シリコンウェハを分割して前記液体流路の少なくとも一部が形成された複数の流路基板とする分割工程とを少なくとも具備すると共に、前記エッチング工程では、前記シリコンウェハの面内位置に応じて前記シリコンウェハのエッチング時間を実質的に調整して、複数の前記溝部を均一な深さで形成することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第1の態様では、各流路基板の液体流路(溝部)の流路抵抗のばらつきを小さく抑えることができ、ヘッド毎の吐出特性を均一化することができる。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記エッチング工程では、前記シリコンウェハ上に保護膜を形成すると共に該保護膜をエッチングして各溝部が形成される領域に当該シリコンウェハの面内位置に応じて深さの異なる凹部を形成した後、少なくともこの保護膜をマスクとして前記シリコンウェハをエッチングする工程と、各凹部内の少なくとも前記保護膜を一定の厚さで除去する工程とを複数回繰り返すことで前記シリコンウェハのエッチング時間を実質的に調整することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第2の態様では、各流路基板の液体流路(溝部)の流路抵抗のばらつきを比較的容易且つ確実に小さく抑えることができる。
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記エッチング工程では、前記保護膜のエッチング時間を実質的に調整することで深さの異なる前記凹部を形成することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第3の態様では、深さの異なる凹部を容易に形成することができるため、製造効率を低下させることなく、液体流路の流路抵抗のばらつきを抑えることができる。
本発明の第4の態様は、第2の態様において、前記エッチング工程では、前記保護膜を一定時間エッチングすると共に所定領域の前記保護膜上に第2の保護膜を形成することで深さの異なる前記凹部を形成した後、これら保護膜及び第2の保護膜をマスクとして前記シリコンウェハをエッチングする工程と、各凹部内の前記保護膜及び前記第2の保護膜を一定の厚さで除去する工程とを複数回繰り返すことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第4の態様では、第2の保護膜を形成することによっても、深さの異なる凹部を容易に形成することができる。
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記エッチング工程では、誘導結合プラズマ(ICP)放電によって前記シリコンウェハを異方性ドライエッチングすることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第5の態様では、IPC放電による異方性ドライエッチングを行う場合、特に流路抵抗にばらつきが生じやすいため効果的である。
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れかの態様において、前記シリコンウェハの周縁部でのエッチング時間が、当該シリコンウェハの中心部のエッチング時間よりも実質的に短くなるようにしたことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第6の態様では、液体流路の流路抵抗のばらつきをより確実に抑えることができる。
本発明の第7の態様は、第1〜6の何れかの態様において、前記流路基板が、前記ノズルと共に前記供給口部を有するノズルプレートであることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第7の態様では、液滴の吐出特性を確実に向上することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略斜視図であり、図2は、その断面図である。図示したインクジェット式記録ヘッドは、いわゆる静電駆動方式のヘッドであり、キャビティ基板10と、このキャビティ基板10の両面にそれぞれ接合されるノズルプレート20及び電極基板30とで構成されている。
キャビティ基板10は、例えば、面方位(100)又は(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方面側に開口する圧力室(キャビティ)11がその幅方向に複数並設されている。また、本実施形態では、図2に示すように、キャビティ基板10には、複数の圧力室11が並設された列が2列形成されている。さらに、キャビティ基板10には、各列の圧力室11に共通するインク室となる共通インク室12が形成されており、この共通インク室12は、後述するインク供給路を介して各圧力室11に連通されている。また、共通インク室12の底壁には、共通インク室12にインクを供給するためのインク供給孔13が形成されている。また、キャビティ基板10には、共通インク室12の外側に、後述する個別電極に接続される個別端子部を露出させるための貫通孔14が形成されている。なお、この貫通孔14は、キャビティ基板10の共通インク室12とは反対側の端面まで連続的に形成されていてもよい。
なお、各圧力室11の底壁は、圧力室11内に圧力変化を生じさせるための振動板15として機能し、且つこの振動板15を変位させる静電気力を発生させるための共通電極としての役割を兼ねている。そして、キャビティ基板10の貫通孔14近傍には、ノズルプレート20の後述する露出孔内に露出されて図示しない駆動配線が接続される共通端子部16が形成されている。
ノズルプレート20は、キャビティ基板10と同様に、面方位(100)又は(110)のシリコン単結晶基板からなり、各圧力室11に連通する複数のノズル21が形成されている。そして、このノズルプレート20は、キャビティ基板10の開口面側に接合され、圧力室11及び共通インク室12の一方の面を形成している。また、ノズルプレート20のキャビティ基板10とは反対側の面には、ノズル21に対応する領域に亘って厚さ方向の一部を除去したノズル段差部22が形成されている。
ここで、各ノズル21は、インク滴が吐出される側に設けられてノズル段差部22内に開口する略円形の小径部21aと、小径部21aよりも大きい径を有し小径部21aと圧力室11とを連通する大径部21bとからなる。そして、全てのノズル21(小径部21a)は、このノズル段差部22内に開口しており、本実施形態では、このノズル段差部22内のノズルプレート20の表面がノズル面となる。
また、このノズルプレート20のキャビティ基板10との接合面には、圧力室11と共通インク室12との境界に対応する領域に、これら各圧力室11と共通インク室12とを連通するインク供給口部23が形成されている。また、ノズルプレート20には、共通インク室12の外側に対応する位置に、キャビティ基板10の貫通孔14に連通し、後述する個別端子部と共に共通端子部16を露出させる露出孔24が形成されている。なお、この貫通孔24は、貫通孔14と同様に、共通インク室12とは反対側の端面まで連続的に形成されていてもよい。
また、このノズルプレート20の表面、本実施形態では、ノズル段差部22内には、例えば、フッ素含有シランカップリング化合物等からなる撥水撥油性材料からなる撥水撥油膜25が形成されている。これにより、ノズルプレート20の表面(ノズル面)へのインク滴の付着を抑えている。
一方、電極基板30は、シリコン単結晶基板に近い熱膨張率を有する、例えば、ホウ珪酸ガラス等のガラス基板からなり、キャビティ基板10の振動板15側の面に接合されている。この電極基板30の振動板15に対向する領域には、各圧力室11に対応して溝31が形成されている。また、電極基板30には、キャビティ基板10のインク供給孔13に対応する位置には、このインク供給孔13に連通するインク導入孔32が形成されている。そして、図示しないインクタンクからこのインク導入孔32及びインク供給孔13を介して共通インク室12にインクが充填されるようになっている。
また、各溝31には、振動板15を変位させる静電気力を発生させるための個別電極33が、振動板15との間に所定の間隔を確保した状態でそれぞれ配置されている。また、溝31内には、キャビティ基板10の貫通孔14に対向する領域に、図示しない駆動配線が接続される個別端子部34が形成されており、この個別端子部34と各個別電極33とはリード電極35によって接続されている。なお、図示しないが、これら各個別電極33及びリード電極35は絶縁膜によって封止され、また個別端子部34と共通端子部16との間には、接続配線を介して駆動電圧パルスを印加するための発振回路が接続されている。
そして、このようなインクジェット式記録ヘッドでは、発振回路によって個別電極33と振動板15(キャビティ基板10)との間に駆動電圧を印加すると、これら個別電極33と振動板15との隙間に発生する静電気力によって振動板15が個別電極33側に撓み変形して、圧力室11の容積が拡大し、駆動電圧の印加を解除すると、振動板15が元の状態に復帰し、圧力室11の容積が収縮する。そして、このとき発生する圧力室11内の圧力変化によって、圧力室11内のインクの一部が、ノズル21からインク滴として吐出される。
ここで、本実施形態に係る流路基板であるノズルプレートの製造方法について説明する。なお、ノズルプレートは、図3に示すように、一枚のシリコンウェハに複数一体的に形成され、最終的に各チップサイズに分割される。また、図4〜図7は、ノズルプレート用ウェハ200の一部断面図であり、ノズルプレート用ウェハ200の中心部、周縁部及び中間部(中心部と周縁部との間の領域)の各領域のノズルプレート、例えば、図3に示す、中心部に形成されるノズルプレート20A、中間部に形成されるノズルプレート20B及び周縁部に形成されるノズルプレート20Cのそれぞれに対応する断面図である。
まず、図4(a)に示すように、例えば、厚さが180μmのシリコンウェハであるノズルプレート用ウェハ200を熱酸化することにより、その表面に二酸化シリコンからなる酸化膜である保護膜201を形成する。次いで、図4(b)〜図4(d)に示すように、ノズルプレート用ウェハ200の一方面側の保護膜201を、例えば、フッ化アンモニウム等によってハーフエッチングすることにより、ノズル21が形成される領域に、大径部21bと略同一径で所定深さの凹部202を形成すると共に、インク供給口部23が形成される領域に、インク供給口部23と略同一開口形状を有する所定深さの凹部203を形成する。
ここで、本実施形態では、このような凹部202,203を形成する際に、ノズルプレート用ウェハ200の面内位置に応じて、これら凹部202,203の深さを調整するようにしている。例えば、本実施形態では、ノズルプレート用ウェハ200の周縁部側ほど深さが浅くなるように凹部202,203を形成した。すなわち、ノズルプレート用ウェハ200の中心部のノズルプレート20Aと、中間部のノズルプレート20Bと、周縁部のノズルプレート20Cとに対応する領域で、それぞれ異なる深さの凹部202,203を形成している。詳しくは後述するが、これによりノズルプレート用ウェハ200に形成される各ノズル21(大径部21b)及びインク供給口部23を均一な深さで形成することができる。
このような凹部202,203の具体的に形成方法としては、図4(b)に示すように、まず、図示しない所定のマスクを介して中心部のノズルプレート20Aに対応する領域の保護膜201をハーフエッチングすることにより、ノズルプレート20Aに対応する凹部202a,203aを所定深さで形成する。次いで、図4(c)に示すように、中心部及び中間部のノズルプレート20A,20Bに対応する領域の保護膜201を、同様にハーフエッチングすることにより、中間部のノズルプレート20Bに対応する凹部202b,203bを所定の深さで形成すると共に、中心部のノズルプレート20Aに対応する凹部202a,203aをさらに掘り下げる。次いで、図4(d)に示すように、中心部、中間部及び周縁部の全てのノズルプレート20A,20B,20Cに対応する領域の保護膜201を、同様にハーフエッチングすることにより、周縁部のノズルプレート20Cに対応する凹部202c,203cを所定の深さで形成すると共に、中心部及び中間部のノズルプレート20A,20Bのそれぞれに対応する凹部202a,202b,203a,203bをさらに掘り下げる。これにより、中心部のノズルプレート20Aに対応する凹部202a,203a、中間部のノズルプレート20Bに対応する凹部202b,203b及び周縁部のノズルプレート20Cに対応する凹部202c、203cが、それぞれ所定の異なる深さで形成されることになる。すなわち、保護膜201には、ノズルプレート用ウェハ200の面内位置に応じて、各凹部202,203が異なる所定の深さで形成される。
次に、図5(a)に示すように、保護膜201を図示しない所定のマスクを介してさらにエッチングすることにより、ノズルプレート用ウェハ200に形成されるノズル21に対応する領域、すなわち、凹部202a,202b,202c内に、小径部21aと略同一径の開口部204a,204b,204cを形成する。
次いで、図5(b)〜図6(d)に示すように、この保護膜201をマスクとしてノズルプレート用ウェハ200をエッチング(ハーフエッチング)して溝部205,208,209を形成する工程と、保護膜201を所定のマスクを介してエッチング(ハーフエッチング)して各凹部202,203を掘り下げる工程とを複数回繰り返すことによって、ノズルプレート用ウェハ200にノズル21及びインク供給口部23を形成する。なお、本実施形態では、ノズルプレート用ウェハ200を、誘導結合プラズマ(ICP)放電によって異方性エッチングすることにより、ノズル21及びインク供給口部23を形成している。
具体的には、まず図5(b)に示すように、保護膜201の各開口部204a,204b,204cからノズルプレート用ウェハ200を所定時間エッチングすることにより、ノズル21の小径部21aと同一径の溝部205a,205b,205cを形成する。
ここで、ノズルプレート用ウェハ200であるシリコンウェハは、その面内位置によってエッチング速度が異なり、形成される溝部の深さにばらつきが生じる。具体的には、ノズルプレート用ウェハ200の周縁部側ほどエッチング速度が速く、周縁部のノズルプレート20Cに対応する溝部205c、中間部のノズルプレート20Bに対応する溝部205b、中心部のノズルプレート20Aに対応する溝部205aの順で、各溝部205の深さは深くなる。なお、本実施形態のように、誘導結合プラズマ(IPC)放電による異方性エッチングによって各溝部を形成する場合、このような深さのばらつきが特に顕著に現れる。
次いで、図5(c)に示すように、中心部のノズルプレート20Aに対応する領域の保護膜201をエッチングして、凹部202a,203aを貫通させて開口部206a,207aを形成すると共に、中間部及び周縁部のノズルプレート20Cに対応する凹部202b,202c,203b,203cを同時に掘り下げる。なお、本実施形態では、保護膜201の凹部202,203に対向する領域のみをエッチングするようにしているが、これに限定されず、例えば、保護膜の全面をエッチングして、全体に亘って均一な厚さで保護膜201を除去するようにしてもよい。
次いで、図5(d)に示すように、このような保護膜201を介してノズルプレート用ウェハ200をエッチングする。すなわち、開口部204b,204c,206a,207aを介してノズルプレート用ウェハ200を再びエッチングする。このとき、ノズルプレート用ウェハ200は、表面形状が維持されたままエッチングされる。すなわち、開口部206aに対応する領域には、ノズル21の大径部21bと同一径の溝部208aが形成されると共に、小径部21aと同一径の各溝部205がさらに掘り下げられる。また、開口部207aに対応する部分には、最終的にインク供給口部23となる溝部209aが形成される。
次いで、図6(a)に示すように、再び保護膜201をエッチングして、中間部のノズルプレート20Bに対応する凹部202b,203bを貫通させて開口部206b,207bを形成する。そして、図6(b)に示すように、保護膜201を介してノズルプレート用ウェハ200を再びエッチングすることにより、中心部のノズルプレート20Aに対応する領域の場合と同様に、開口部206b,207bに対応する領域に溝部208b,209bが形成される。また同時に、他の溝部205,208a,209aが掘り下げられる。
次に、図6(c)に示すように、再び保護膜201をエッチングして、周縁部のノズルプレート20Cに対応する凹部202c,203cを貫通させて開口部206c,207cを形成した後、保護膜201を介してノズルプレート用ウェハ200をさらにエッチングすることにより、開口部206c,207cに対応する領域に溝部208c,209cを形成する(図6(d))。そして、このときにも、他の溝部205,208a,208b,209a,209bはそれぞれさらに掘り下げられる。そして、このように形成された各溝部209がインク供給口部23となり、溝部205,208が最終的にノズル21となる。
そして、このように形成された各溝部208,209は深さが略同一となる。すなわち、上述したように、ノズルプレート用ウェハ200のエッチング速度は、ノズルプレート用ウェハ200の周縁部側ほど速いため、ノズルプレート用ウェハ200を全面に亘って同一時間だけエッチングして各溝部を形成すると、各溝部の深さにばらつきが生じてしまうが、本実施形態では、保護膜201の膜厚(凹部202,203の深さ)を調整することで、ノズルプレート用ウェハ200の面内位置に応じて各溝部を形成する際のエッチング時間を実質的に調整するようにしたので、最終的に形成される各溝部の深さは略均一となる。なお、ノズルプレート用ウェハ200の各面内位置でのエッチング時間、すなわち、保護膜に形成する凹部202,203の深さは、各ノズルプレート用ウェハ200のエッチング速度に応じて適宜決定されればよい。
このように各溝部208,209を形成した後は、図示しないが、例えば、酸化膜等からなる保護膜を介して、水酸化カリウム溶液(KOH)等によってノズルプレート用ウェハ200を異方性ウェットエッチングすることにより、ノズルプレート用ウェハ200のインク供給口部23とは反対側の面にノズル段差部22を形成することでノズル21が開口する(図2参照)。なお、ここでは説明を省略したが、このようにノズル21及びインク供給口部23を形成する際には、上述した貫通孔も同時に形成することができる。
その後は、ノズルプレート用ウェハ200を、ダイシング等により所定の大きさに切断することによってノズルプレート20が形成される。
以上本発明の一実施形態について説明したが、勿論、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、保護膜201を複数回エッチングすることによって、ノズルプレート用ウェハ200の面内位置に応じて、深さの異なる凹部を形成するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、図7に示すように、保護膜201の全ての領域で同一時間エッチングすることによって凹部を形成し、その後、所定の領域の凹部、例えば、中間部のノズルプレート20Bに対応する凹部203b、及び周縁部のノズルプレート20Cに対応する凹部203c内に、第2の保護膜210を所定の厚さで設けることで、実質的に深さの異なる凹部203を形成するようにしてもよい。なお、このような第2の保護膜210は、例えば、プラズマTEOSCVD等によって形成する。また、図7には、インク供給口部に対応する凹部内のみに第2の保護膜を形成した構造を示したが、勿論、ノズルに対応する凹部も同様にして深さを調整することができる。
また、本実施形態では、ノズルプレート用ウェハの中心部、中間部及び周縁部の各ノズルプレートに対応する凹部を同時に形成するようにしたが、勿論、各領域のノズルプレートに対応する凹部毎に、別々に形成するようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、静電駆動方式のインクジェット式記録ヘッドを一例として本発明を説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、圧電素子の変位によってインク滴を吐出させる方式、あるいは、発熱素子等によってインクを加熱することでインク滴を吐出させる方式等、あらゆる方式のインクジェット式記録ヘッドに採用することができる。また、勿論、本発明は、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドだけでなく、他のあらゆる液滴を吐出する液体噴射ヘッドにも採用することができる。他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
一実施形態に係る記録ヘッドの概略斜視図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの断面図である。 ノズルプレート用ウェハを説明する概略図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 記録ヘッドの製造工程の変形例を示す断面図である。
符号の説明
10 キャビティ基板、 11 圧力発生室、 12 共通インク室、 14 貫通孔、 15 振動板、 20 ノズルプレート、 21 ノズル、 21a 小径部、 21b 大径部、 22 ノズル段差部、 23 インク供給口部、 24 露出孔、 25 撥水撥油膜、 30 電極基板、 31 溝、 33 個別電極、 200 ノズルプレート用ウェハ、 201 保護膜

Claims (7)

  1. 液滴が吐出されるノズルと、該ノズルに連通する複数の圧力室と、複数の圧力室に共通する共通液室と、該共通液室内の液体を前記圧力室に供給する供給口部とを含む液体流路を具備する液体噴射ヘッドの製造方法であって、
    シリコンウェハをエッチングすることにより該シリコンウェハに前記液体流路の一部となる複数の溝部を形成するエッチング工程と、前記シリコンウェハを分割して前記液体流路の少なくとも一部が形成された複数の流路基板とする分割工程とを少なくとも具備すると共に、前記エッチング工程では、前記シリコンウェハの面内位置に応じて前記シリコンウェハのエッチング時間を実質的に調整して、複数の前記溝部を均一な深さで形成することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  2. 請求項1において、前記エッチング工程では、前記シリコンウェハ上に保護膜を形成すると共に該保護膜をエッチングして各溝部が形成される領域に当該シリコンウェハの面内位置に応じて深さの異なる凹部を形成した後、少なくともこの保護膜をマスクとして前記シリコンウェハをエッチングする工程と、各凹部内の少なくとも前記保護膜を一定の厚さで除去する工程とを複数回繰り返すことで前記シリコンウェハのエッチング時間を実質的に調整することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  3. 請求項2において、前記エッチング工程では、前記保護膜のエッチング時間を実質的に調整することで深さの異なる前記凹部を形成することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  4. 請求項2において、前記エッチング工程では、前記保護膜を一定時間エッチングすると共に所定領域の前記保護膜上に第2の保護膜を形成することで深さの異なる前記凹部を形成した後、これら保護膜及び第2の保護膜をマスクとして前記シリコンウェハをエッチングする工程と、各凹部内の前記保護膜及び前記第2の保護膜を一定の厚さで除去する工程とを複数回繰り返すことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  5. 請求項1〜4の何れかにおいて、前記エッチング工程では、誘導結合プラズマ(ICP)放電によって前記シリコンウェハを異方性ドライエッチングすることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  6. 請求項1〜5の何れかにおいて、前記シリコンウェハの周縁部でのエッチング時間が、当該シリコンウェハの中心部のエッチング時間よりも実質的に短くなるようにしたことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  7. 請求項1〜6の何れかにおいて、前記流路基板が、前記ノズルと共に前記供給口部を有するノズルプレートであることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
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