JP2006224609A - 液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 液滴吐出特性を均一化して高精度な印刷を行うことができると共にコストを低減した液体噴射ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】 液滴を吐出するノズル開口21に連通する圧力発生室12が形成される流路形成基板10の一方面側に振動板を介して下電極60、圧電体層70及び上電極80からなる圧電素子300を形成する際に、基準ヘッドの液滴吐出データに基づいて各圧電素子300の実質的な駆動部となる圧電体能動部320の駆動面積を調整して、複数のノズル開口21から吐出される液滴の吐出特性を均一化する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、液滴を吐出する液体噴射ヘッドの製造方法に関し、特にノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドの製造方法に関する。
インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドが実用化されている。例えば、このようなインクジェット式記録ヘッドとしては、振動板の表面全体に亘って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成したものがある。
このようなインクジェット式記録ヘッドでは、複数の圧電素子の変位特性にバラツキが生じ、各ノズル開口から吐出されるインク滴の吐出速度及び吐出量からなる吐出特性にバラツキが生じてしまい印刷結果にムラができてしまうという問題がある。このため、圧電素子の駆動信号を補正することで複数のノズル開口から吐出されるインク滴の吐出特性を揃えるようにしたインクジェット記録装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、各圧電素子の駆動信号を補正する場合、実際には完成したヘッドを用いて印刷し、印刷結果からインク滴の吐出特性を取得して、駆動信号の補正量を決定するため、コストが増大してしまうという問題がある。
特開2001−260350号公報(特許請求の範囲等、第16図)
本発明はこのような事情に鑑み、液滴吐出特性を均一化して高精度な印刷を行うことができると共にコストを低減した液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、液滴を吐出するノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板の一方面側に振動板を介して下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子を形成する際に、基準ヘッドの液滴吐出データに基づいて各圧電素子の実質的な駆動部となる圧電体能動部の駆動面積を調整して、複数のノズル開口から吐出される液滴の吐出特性を均一化することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第1の態様では、圧電素子を形成する際に圧電体能動部の駆動面積を調整することで、複数のノズル開口から吐出させる液滴の吐出特性を均一化することができ、印刷品質を向上することができると共に、ヘッド完成後に試験印刷を行って駆動信号の補正を行う必要が無くなり、コストを低減することができる。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記各圧電体能動部の駆動面積の調整が、各圧電素子の前記下電極の面積の調整であることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第2の態様では、下電極の面積を調整することで、圧電体能動部の駆動面積を確実に調整することができる。
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、前記各圧電体能動部の駆動面積の調整が、各圧電素子の前記上電極の面積の調整であることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第3の態様では、上電極の面積を調整することで、圧電体能動部の駆動面積を確実に調整することができる。
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記各圧電体能動部の駆動面積の調整が、前記上電極及び圧電体層の面積の調整であることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第4の態様では、上電極及び圧電体層の面積を調整することで、圧電体能動部の駆動面積を確実に調整することができる。
本発明の第5の態様は、液滴を吐出するノズル開口に連通する圧力発生室を含む液体流路が形成される流路形成基板の一方面に振動板を介して下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子を形成すると共に、前記流路形成基板に前記液体流路を形成する際に、基準ヘッドの液滴吐出特性データに基づいて各液体流路の大きさを調整して、複数のノズル開口から吐出される液滴の吐出特性を均一化することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第5の態様では、液体流路を形成する際に液体流の大きさを調整することで、複数のノズル開口から吐出させる液滴の吐出特性を均一化することができ、印刷品質を向上することができると共に、ヘッド完成後に試験印刷を行って駆動信号の補正を行う必要が無くなり、コストを低減することができる。
本発明の第6の態様は、第5の態様において、前記各液体流路の大きさの調整が、前記圧力発生室の幅又は長さの少なくとも一方の調整であることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第6の態様では、圧力発生室の幅又は長さの少なくとも一方を調整することによって、複数のノズル開口から吐出される液滴の吐出特性を確実に均一化することができる。
本発明の第7の態様は、第5又は6の態様において、前記各液体流路が、前記圧力発生室と当該圧力発生室に液体を供給する液体供給路とで構成されていると共に、前記各液体流路の大きさの調整が、各液体供給路の断面積又は長さの少なくとも一方の調整であることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第7の態様では、液体供給路の断面積又は長さの少なくとも一方を調整することによって、複数のノズル開口から吐出される液滴の吐出特性を確実に均一化することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及びそのA−A′断面図である。
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その両面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。
この流路形成基板10には、その他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室12が並設され、その長手方向外側には、各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100の一部を構成する連通部13が形成され、各圧力発生室12の長手方向一端部とそれぞれインク供給路14を介して連通されている。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
また、流路形成基板10の開口面側には、圧力発生室12を形成する際のマスクとして用いられた保護膜51を介して、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側で連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が常温下で接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば、2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス又はステンレス鋼(SUS)などからなる。ノズルプレート20は、一方の面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たす。
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、二酸化シリコンからなり厚さが例えば、約1.0μmの弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、酸化ジルコニウム等からなり厚さが例えば、約0.4μmの絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、白金及びイリジウム等からなり厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなり厚さが例えば、約1.0μmの圧電体層70と、イリジウム等からなり厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部320が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用する。
また、各圧電素子300は、詳しくは後述する圧電素子300の製造時に、基準ヘッドのインク滴吐出特性に基づいて、圧電体能動部320の駆動面積が調整されて、複数のノズル開口21から吐出されるインク滴の吐出速度及び吐出量からなる吐出特性が均一化されている。このように複数のノズル開口21から吐出されるインク滴の吐出特性を均一化することで、印刷品質を向上することができると共に、ヘッド製造後に試験印刷及び駆動信号の補正を行う必要が無くなり、製造コストを低減することができる。
なお、本実施形態では、圧電素子300の圧電体能動部320の駆動面積の調整は、圧電体層70及び上電極膜80の面積を調整することで行った。また、圧電体能動部320の駆動面積の調整を行う際に用いられる基準ヘッドとしては、圧電体能動部320の駆動面積の調整を行わずに、詳しくは後述する製造工程と同一の製造工程によって製造されたインクジェット式記録ヘッドや、圧電体能動部320の駆動面積の調整を行ったにも拘わらず、複数のノズル開口21から吐出されるインク滴の吐出特性が均一化されなかったインクジェット式記録ヘッド、及び圧電体能動部320の駆動面積の調整を行って複数のノズル開口21から吐出されるインク滴の吐出特性が均一化されたインクジェット式記録ヘッド等を用いることができる。何れのインクジェット式記録ヘッドからなる基準ヘッドの場合であっても、インク滴吐出特性を測定し、これをインク滴吐出特性データとして取得すればよい。ここで、圧電体能動部320の駆動面積の調整とは、圧電体能動部320を構成する下電極膜60、圧電体層70、上電極膜80の各部材の幅や長さを調整することを言う。この場合、下電極膜60、圧電体層70、上電極膜80の厚みを各圧電素子300毎で変えることは行っていない。また、流路形成基板10に形成された各圧力発生室12や各インク供給路14などの各液体流路同士の大きさを変えることは行っていない。
また、圧電素子300の個別電極である各上電極膜80には、インク供給路14とは反対側の端部近傍から引き出され、圧力発生室12の列間に対向する領域の弾性膜50上にまで延設される、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、下電極膜60、弾性膜50及びリード電極90上には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有する保護基板30が接合されている。このリザーバ部31は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。
また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔33内に露出するように設けられている。
また、保護基板30上の貫通孔33の両側、すなわち、圧力発生室12の各列に対応する領域のそれぞれには、圧電素子300を駆動するための駆動回路110が固定されている。この駆動回路110としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路110とリード電極90とはボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる接続配線120を介して電気的に接続されている。
また、このような保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
また、このリザーバ100の長手方向略中央部外側のコンプライアンス基板40上には、リザーバ100にインクを供給するためのインク導入口44が形成されている。さらに、保護基板30には、インク導入口44とリザーバ100の側壁とを連通するインク導入路35が設けられている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導入口44からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
以下、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法について図3〜図7を参照して詳細に説明する。なお、図3及び図4は、インクジェット式記録ヘッドの製造工程を示す断面図であり、図5及び図6は、インクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す平面図である。
まず、図3(a)に示すように、シリコン単結晶基板からなる流路形成基板10を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、その表面に弾性膜50及び保護膜51となる二酸化シリコン膜52を形成する。
次に、図3(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜52)上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。具体的には、弾性膜50(二酸化シリコン膜52)上に、例えば、スパッタ法等によりジルコニウム(Zr)層を形成後、このジルコニウム層を、例えば、500〜1200℃の拡散炉で熱酸化することにより酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる絶縁体膜55を形成する。
次いで、図3(c)に示すように、例えば、白金とイリジウムとを絶縁体膜55上に積層することにより下電極膜60を形成した後、この下電極膜60を所定形状にパターニングする。次に、図3(d)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、例えば、イリジウムからなる上電極膜80とを流路形成基板10の全面に形成する。
次に、図4(a)に示すように、圧電体層70及び上電極膜80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。圧電素子300を構成する圧電体層70の材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電性材料や、これにニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマス又はイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等が用いられる。また、圧電体層70の形成方法は、特に限定されないが、例えば、本実施形態では、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成した。
そして本実施形態では、圧電素子300を形成する際に、基準ヘッドのインク滴吐出特性に基づいて、圧電体能動部320の駆動面積を調整し、複数のノズル開口21から吐出されるインク滴の吐出特性を均一化する。本実施形態では、圧電体能動部320の駆動面積の調整を、図5(a)に示すように、圧電素子300の圧電体層70及び上電極膜80の幅を調整することで行った。詳しくは、下電極膜60上に圧電体層70及び上電極膜80を順次積層形成し、圧電体層70及び上電極膜80をパターニングすることにより複数の圧電素子300を形成する際に、パターニング時のマスクの幅を調整することで、圧電素子300の圧電体層70及び上電極膜80の幅を調整した。
また、このような圧電体能動部320の駆動面積の調整によって、基準ヘッドの複数のノズル開口21の最も低いインク滴吐出特性に合わせて、インク吐出特性が良いノズル開口21に対応する圧電素子300の圧電体能動部320の駆動面積を小さくすることで、複数のノズル開口21から吐出されるインク滴の吐出特性を均一化することができる。
これにより、各圧電素子300に対応するノズル開口21から吐出されるインク滴の吐出特性を均一化することができ、印刷品質を向上することができる。また、圧電素子300の形成により吐出特性を均一化することができるため、ヘッド製造後の試験印刷及び駆動信号の補正を行う必要が無く、コストを低減することができる。
また、本実施形態では、複数の圧電素子300を同一の成膜条件の下で下電極膜60、圧電体層70、上電極膜80のそれぞれを成膜してパターニングすることで複数の圧電素子300を形成する際に、パターニング時のマスクの幅を調整することで容易に圧電体層70及び上電極膜80の幅を調整することができる。
なお、基準ヘッドとしては、上述のように、圧電体能動部320の駆動面積の調整を行わずに、上述した製造工程と同一の成膜条件などによって製造されたインクジェット式記録ヘッドや、圧電体能動部320の駆動面積の調整を行ったにも拘わらず、複数のノズル開口21から吐出されるインク滴の吐出特性が均一化されなかったインクジェット式記録ヘッド、及び圧電体能動部320の駆動面積の調整を行って複数のノズル開口21から吐出されるインク滴の吐出特性が均一化されたインクジェット式記録ヘッド等を用いることができる。何れのインクジェット式記録ヘッドからなる基準ヘッドの場合であっても、インク滴吐出特性を測定し、これをインク滴吐出特性データとして取得すればよい。
また、圧電体能動部320の駆動面積の調整を行ったにも拘わらず、複数のノズル開口から吐出されるインク滴の吐出特性が均一化されなかった場合には、上述した圧電体能動部320の駆動面積の調整を複数回繰り返し行うことで、複数のノズル開口21から吐出されるインク滴の吐出特性を高精度に均一化することができる。また、複数のノズル開口21からインク滴の吐出特性が均一化されたインクジェット式記録ヘッドが製造されたら、このインクジェット式記録ヘッドを基準ヘッドとして、インク滴吐出特性データとして圧電体能動部320の駆動面積の調整データを用いるようにしてもよい。これにより、複数のノズル開口21から吐出されるインク滴吐出特性が均一化されたインクジェット式記録ヘッドを容易に量産することができる。
なお、本実施形態では、圧電素子300を形成する際に、圧電体層70及び上電極膜80の幅を調整することで、圧電体能動部320の駆動面積を調整して、複数のノズル開口21から吐出されるインク滴の吐出特性を均一化するようにしたが、圧電素子300の圧電体能動部320の駆動面積の調整は、これに限定されるものではない。例えば、図5(b)に示すように、圧電素子300を形成する際に、上電極膜80の一部を切り欠くことで、圧電体能動部320の駆動面積を調整するようにしてもよい。なお、上電極膜80の一部を切り欠いて駆動面積を調整する場合でも、パターニングすることで複数の圧電素子300を形成する際に、上電極膜80の一部をエッチングで除去することで容易に形成することができる。また、図6に示すように、下電極膜60を形成する際に、各圧電素子300の下電極膜60の幅を調整することにより圧電体能動部320の駆動面積を調整するようにしてもよい。この場合であっても、下電極膜60を形成する際にマスクの幅を調整することで下電極膜60の幅を容易に調整することができる。何れにしても、複数の圧電素子300を同一の成膜条件で形成しておいて、パターニング時のマスクの幅やエッチングなどで容易に圧電体能動部の駆動面積を調整することができ、複数のノズル開口21から吐出されるインク滴の吐出特性を均一化して印刷品質を向上することができる。
また、複数のノズル開口21から吐出されるインク滴の吐出特性を均一化するために、圧電体能動部320を構成する各部材の厚みを変えることも考えられるが、例えば、圧電素子300同士で各部材の成膜条件を変えることになるため、製造が非常に困難になり、また効果的ではない。つまり、圧電体能動部320の各部材の厚みを調整することよりも、駆動面積を調整する方が製造しやすいことが言える。
次に、図4(b)に示すように、リード電極90を形成する。具体的には、リード電極90を流路形成基板10の全面に亘って形成し、各圧電素子300毎にパターニングすることにより形成することができる。
次に、図4(c)に示すように、リザーバ形成基板30を、流路形成基板10上に接着剤34によって接着する。ここで、このリザーバ形成基板30には、リザーバ部31、圧電素子保持部32等が予め形成されている。なお、リザーバ形成基板30は、例えば、400μm程度の厚さを有するシリコン単結晶基板であり、リザーバ形成基板30を接合することで流路形成基板10の剛性は著しく向上することになる。
次に、図4(d)に示すように、流路形成基板10の圧電素子300が形成された面とは反対側の二酸化シリコン膜52を所定形状にパターニングすることで保護膜51を形成し、保護膜51をマスクとして流路形成基板10をKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することにより、流路形成基板10に圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14等を形成する。
その後は、流路形成基板10の保護基板30とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板30にコンプライアンス基板40を接合することで、図1に示すようなインクジェット式記録ヘッドが形成される。
なお、実際には、上述した一連の膜形成及び異方性エッチングによって一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プロセス終了後、図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10毎に分割することでインクジェット式記録ヘッドが形成される。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、圧電体能動部320の駆動面積を調整することで、複数のノズル開口21から吐出されるインク滴の吐出特性を均一化したが、特にこれに限定されず、例えば、流路形成基板10に圧力発生室12及びインク供給路14からなる液体流路を形成する際に、液体流路の大きさを調整することで複数のノズル開口から吐出されるインク滴の吐出特性を均一化するようにしてもよい。ここで言う「液体流路の大きさを調整する」とは、各液体流路同士の幅、長さ、インクが流れる方向の断面積を調整することを言う。例えば、図7(a)に示すように、流路形成基板10に圧力発生室12を形成する際に、圧力発生室12の幅を調整することにより、圧力発生室12の容積を調整し、複数のノズル開口21から吐出されるインク滴の吐出特性を均一化するようにしてもよい。また、図7(b)に示すように、インク供給路14の幅を調整することで、圧力発生室12に供給されるインクの流路抵抗を調整し、複数のノズル開口21から吐出されるインク滴の吐出特性を均一化するようにしてもよい。なお、図7(b)では、インク供給路14の幅を調整するようにしたが、インクが流れる方向の断面積が調整されれば特に限定されず、例えば、インク供給路14の深さを調整するようにしてもよい。また、インク供給路14のインクが流れる方向の断面積を変えずにインク供給路14のインクが流れる方向の長さを調整するようにしてもよい。何れにしても、複数のノズル開口21から吐出されるインク滴の吐出特性を均一化することができるため、印刷品質を向上することができると共に、ヘッド製造後の試験印刷及び駆動信号の補正が不要となって、コストを低減することができる。
また、例えば、上述した実施形態1では、成膜及びリソグラフィ法を応用して製造される薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型のインクジェット式記録ヘッドにも本発明を採用することができる。
なお、上述した実施形態1では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッドの製造方法全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す平面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す平面図である。 本発明の他の実施形態に係る記録ヘッドの製造方法を示す平面図である。
符号の説明
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 リザーバ部、 32 圧電素子保持部、 40 コンプライアンス基板、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 90 リード電極、 100 リザーバ、 110 駆動回路、 120 接続配線、 300 圧電素子、 320 圧電体能動部

Claims (7)

  1. 液滴を吐出するノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板の一方面側に振動板を介して下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子を形成する際に、基準ヘッドの液滴吐出データに基づいて各圧電素子の実質的な駆動部となる圧電体能動部の駆動面積を調整して、複数のノズル開口から吐出される液滴の吐出特性を均一化することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  2. 請求項1において、前記各圧電体能動部の駆動面積の調整が、各圧電素子の前記下電極の面積の調整であることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  3. 請求項1又は2において、前記各圧電体能動部の駆動面積の調整が、各圧電素子の前記上電極の面積の調整であることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れかにおいて、前記各圧電体能動部の駆動面積の調整が、前記上電極及び圧電体層の面積の調整であることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  5. 液滴を吐出するノズル開口に連通する圧力発生室を含む液体流路が形成される流路形成基板の一方面に振動板を介して下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子を形成すると共に、前記流路形成基板に前記液体流路を形成する際に、基準ヘッドの液滴吐出特性データに基づいて各液体流路の大きさを調整して、複数のノズル開口から吐出される液滴の吐出特性を均一化することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  6. 請求項5において、前記各液体流路の大きさの調整が、前記圧力発生室の幅又は長さの少なくとも一方の調整であることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  7. 請求項5又は6において、前記各液体流路が、前記圧力発生室と当該圧力発生室に液体を供給する液体供給路とで構成されていると共に、前記各液体流路の大きさの調整が、各液体供給路の断面積又は長さの少なくとも一方の調整であることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008114372A (ja) * 2006-10-31 2008-05-22 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッドの製造方法
KR101179387B1 (ko) * 2010-05-11 2012-09-04 삼성전기주식회사 잉크젯 프린트 헤드 및 이를 구비하는 잉크젯 프린터

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