JP2006280997A - スラリー組成物、並びにエアフィルタ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】イオン交換樹脂粉末及びゼオライト粉末を含有することを特徴とするスラリー組成物。該スラリー組成物を用いて、エアフィルタ用担体に塗布処理又は浸漬処理を行い、次いで、乾燥させて得られることを特徴とするエアフィルタ。該スラリー組成物を用いて、シート状の繊維質担体に塗布処理又は浸漬処理を行い、次いで、乾燥させてエアフィルタ用シートを得、次いで、該エアフィルタ用シートを成形して得られることを特徴とするエアフィルタ。
【選択図】図5
Description
D(g/ml)=W(g)/V(ml) (1)
(金属ハニカム担体の作製)
厚さ30μmのアルミ箔をコルゲート加工するものと、コルゲート加工しないものとに分け、コルゲート加工するものを、上下一対の波形段ロールの間に通してコルゲート状アルミ箔とした。得られたコルゲート状アルミ箔の山部にポリエステル系熱可塑性樹脂のエマルジョン(樹脂分30重量%)を塗布した後、該コルゲート状アルミ箔をコルゲート加工しない平坦状アルミ箔と共に190℃に加熱した段ロールに通した。このコルゲート状アルミ箔は、段ロールを通過する0.2秒の間に段ロールの山部においてエマルジョンの水分が蒸発すると共にポリエステル樹脂が溶融し、この状態でコルゲート加工していない平坦状アルミ箔と共に0.5MPa で加圧し、段ロールの通過後に自然冷却することにより接着して、コルゲート状アルミ箔と平坦状アルミ箔とがコルゲート状アルミ箔の山部で接着され一体化されたアルミ箔(アルミハニカム基本構造体)を得た。このアルミハニカム基本構造体を長さ170mmに切断し、コルゲート状アルミ箔の山部にアクリル樹脂系接着剤を塗布して複数積層し、乾燥して、170mm×170mm×210mmのアルミハニカム構造体を得た。得られたアルミハニカム構造体は、波形コルゲートのピッチが2.5mm、セル高さが1.1mmであった。次に、このアルミハニカム構造体を厚さ75mmに切断して、十分な強度を有する100mm×100mm×75mmのアルミハニカム構造体を得た。得られたアルミハニカム構造体を上記と同様のポリエステル系熱可塑性樹脂のエマルジョンを10重量部(樹脂分として3重量部)、固形分30重量%のコロイダルシリカを20重量部(固形分として6重量部)、水90重量部からなる表面処理液に浸漬し、引き揚げた後110℃で1時間乾燥し、表面処理層が形成されている金属ハニカムAを得た。
強酸性イオン交換樹脂(商品名ダイヤイオン、三菱化学社製、固形分60重量%、水分量40重量%)を粉砕し、平均粒径20μmのイオン交換樹脂粉末Bを得た。該イオン交換樹脂粉末B 158.3重量部、ゼオライト粉末(SiO2/Al2O3=6.2、SiO2 76.3%、Al2O3 23.6%、平均粒径3μm、水分量7.4重量%)5.4重量部、ポリエステル系のバインダー(固形分30%)3重量部及び水193.4重量部を混合し、スラリー組成物Cを得た。該スラリー組成物C中の、該イオン交換樹脂粉末Bの固形分の重量割合は26.4重量%、全固形分の重量割合は28重量%であった。また、該スラリー組成物Cの粘度を、岩田カップ粘度計で測定したところ、該スラリー組成物Cの粘度は、25sであった。
該スラリー組成物Cに、該金属ハニカム担体Aを浸漬し、引き上げた後、110℃で1時間乾燥した。この操作を、更に2回繰り返し、エアフィルタDを得た。該エアフィルタDの単位体積当りのイオン交換樹脂の担持量は、220kg/m3、単位体積当りのイオン交換容量は、1144当量/m3であった。
該エアフィルタDの担持物を、該エアフィルタから切り出し、乾燥して、分析用サンプルを得、次いで、該分析用サンプルの重量(W)を測定した。該分析用サンプルの重量は、0.00725gであった。次いで、透過型電子顕微鏡(SEM)による観察により、該分析用サンプルの見掛け体積(V)を求めたところ、0.0098mlであった。嵩密度(D)を、下記式(1)により算出したところ、0.74g/mlであった。
D(g/ml)=W(g)/V(ml) (1)
該エアフィルタD用い、下記条件でアンモニアの除去率の経時的変化及びエアフィルタDの寿命を測定した。なお、実際のクリーンルームで問題となるアンモニア濃度は数μg/m3であるが、加速試験とするために、アンモニア濃度を340μg/m3にした。その結果、該エアフィルタDの寿命は1670時間であった。また、この条件で該エアフィルタDの圧力損失を測定したところ、36Paであった。なお、エアフィルタの寿命はアンモニアの除去率が90%まで低下した時点における時間とした。
・通気ガスの組成 :アンモニアを340μg/m3含む空気
・通気ガスの温度及び湿度:25℃、50%RH
・除去対象ガス :アンモニア
・通気風速 :0.5m/s
(スラリー組成物の製造)
実施例1で用いた該イオン交換樹脂粉末B 158.3重量部、実施例1で用いたポリエステル系のバインダー3重量部及び水198.8重量部を混合し、スラリー組成物を得た。該スラリー組成物中の、該イオン交換樹脂粉末Bの固形物の重量割合は26.4重量%、全固形分の重量割合は26.6重量%であった。また、該スラリー組成物の粘度は、50sであった。
(スラリー組成物の製造)
実施例1で用いたイオン交換樹脂粉末B 134.2重量部、実施例1で用いたポリエステル系のバインダー3重量部及び水215.9重量部を混合し、スラリー組成物Eを得た。該スラリー組成物E中の、該イオン交換樹脂粉末Bの固形物の重量割合は22.8重量%、全固形分の重量割合は23重量%であった。また、該スラリー組成物Eの粘度は、27sであった。
該スラリー組成物Eに、実施例1と同様の方法で得た該金属ハニカム担体Aを浸漬し、引き上げた後、110℃で1時間乾燥した。この操作を、更に2回繰り返し、エアフィルタFを得た。該エアフィルタFの単位体積当りのイオン交換樹脂の担持量は、53kg/m3であった。また、該エアフィルタFの担持物の嵩密度は、0.42g/mlであった。
(スラリー組成物の製造)
実施例1で用いたイオン交換樹脂粉末B 166.7重量部、実施例1で用いたポリエステル系のバインダー3重量部及び水190.3重量部を混合し、スラリー組成物Gを得た。該スラリー組成物G中の、該イオン交換樹脂粉末Bの固形分の重量割合は、27.8重量%、全固形分の重量割合は28重量%であった。また、該スラリー組成物Gの粘度を測定したところ、測定限界である120sを超えたため、測定することができなかった。
該スラリー組成物Gに、実施例1と同様の方法で得た該金属ハニカム担体Aを浸漬し、引き上げたところ、開口部付近で目詰まりを起こしているセルが多数見られ、目詰まりを起こしたセルの中には、該スラリー組成物Gは、入っていなかった。
(スラリー組成物の製造)
実施例1で用いたイオン交換樹脂粉末B 226.1重量部、実施例1で用いたゼオライト粉末6.7重量部、実施例1で用いたポリエステル系のバインダー4.8重量部及び水119.4重量部を混合し、スラリー組成物Hを得た。該スラリー組成物H中の、該イオン交換樹脂粉末Bの固形分の重量割合は、38重量%、全固形分の重量割合は40重量%であった。
シリカ・アルミナ繊維(平均繊維径5μm、平均繊維長20mm)により構成されるシート状の繊維質担体42(厚さ0.2mm、繊維間空隙率90%)の上面に、上記スラリー組成物H(41)をロールコーター45を用いて塗布し、さらに乾燥機46により80℃で乾燥させて、シート状の繊維質担体42にイオン交換樹脂粉末及びゼオライト粉末が担持されたシート状の片面塗布繊維質担体43aを巻き取った(図8)。次に、該片面塗布繊維質担体43aを、塗布された面(第一塗布面47)が下面になるようにセットした後、塗布されていない上面(第二塗布面48)について、上記と同様にスラリー組成物Hを塗布し乾燥させて、イオン交換樹脂粉末及びゼオライト粉末が担持されたシート状の両面塗布繊維質担体43bを巻き取り、平坦状のエアフィルタ用シートJを得た(図9)。
次に、該平坦状のエアフィルタ用シートJの一部について上下一対の波形コルゲータの間を通し、波形状のエアフィルタ用シートJを中芯として作製した。この波形状のエアフィルタ用シートJ(中芯)の山部に接着剤としてシリカゾルを塗布した後、上記平坦状のエアフィルタ用シートJを重ね合わせて積層した。この中芯と平坦状のエアフィルタ用シートJとの積層を中芯の通気方向が同一方向になるようにして繰り返して行い、図1及び図2に示すような中芯のピッチ(図2中、符号p)が2.5mm、山高さ(図2中、符号h)が1.1mmのコルゲート状ハニカム構造のエアフィルタ用シート積層物を得た。次いで、該コルゲート状ハニカム構造のエアフィルタ用シート積層物を、縦100mm×横100mm×厚さ75mmになるようにカットし、これをアルミニウム製の枠材に嵌め込んで、エアフィルタKを得た。
エアフィルタDに代えて、エアフィルタKとする以外は、実施例1と同様の方法で行ったところ、該エアフィルタKの寿命は1710時間であった。また、この条件で該エアフィルタKの圧力損失を測定したところ、35Paであった。
(スラリー組成物の製造)
実施例1で用いたイオン交換樹脂粉末B 235.6重量部、実施例1で用いたポリエステル系のバインダー4.8重量部及び水116.6重量部を混合し、スラリー組成物Lを得た。該スラリー組成物L中の、該イオン交換樹脂粉末Bの固形分の重量割合は、39.6重量%、全固形分の重量割合は40重量%であった。
スラリー組成物Hに代えて、スラリー組成物Lとする以外は、実施例2と同様の方法でおこない、平坦状のエアフィルタ用シートMを得た。
次に、該平坦状のエアフィルタ用シートMの一部について上下一対の波形コルゲータの間を通し、波形状のエアフィルタ用シートMの作製を試みたところ、イオン交換樹脂粉末の脱落が激く、波形状のエアフィルタ用シートMを作製することはできなかった。
2 コルゲート状の繊維質シート
3 平坦状の繊維質シート
4 山部
5 通気空洞
6 開口
10 イオン交換樹脂粉末11同士の平面方向の間隔
11、11a、11b、31 イオン交換樹脂粉末
12 ゼオライト粉末
13 本発明のスラリー組成物
14、33 エアフィルタ用担体
15、20、34 担持物
16 単位面積
21 エアフィルタ用担体の平面方向
22 厚み方向
23 緻密層の厚み
30 イオン交換樹脂粉末31同士の平面方向の間隔
32 従来のスラリー組成物
35 担持物34の厚み
36 隙間
40 塗布装置
41 スラリー
43a、43b イオン交換樹脂粉末及びゼオライト粉末が担持されている繊維質担体
44 ベルトコンベア
45 ロールコーター
46 乾燥機
47 第1塗布面
48 第2塗布面
p ピッチ
h 山高さ
t 厚み
Claims (6)
- イオン交換樹脂粉末及びゼオライト粉末を含有することを特徴とするスラリー組成物。
- 前記イオン交換樹脂粉末の平均粒径が1〜100μmであり、前記ゼオライト粉末の平均粒径が0.1〜10μmであることを特徴とする請求項1記載のスラリー組成物。
- イオン交換樹脂粉末及びゼオライト粉末が担持されており、且つ該イオン交換樹脂粉末及び該ゼオライト粉末を含有する緻密層が形成されていることを特徴とするエアフィルタ。
- イオン交換樹脂粉末及びゼオライト粉末が担持されており、且つ担持物の嵩密度が0.6g/ml以上であることを特徴とするエアフィルタ。
- イオン交換樹脂粉末及びゼオライト粉末を含有するスラリー組成物を、シート状の繊維質担体に塗布し、又はシート状の繊維質担体を、イオン交換樹脂粉末及びゼオライト粉末を含有するスラリー組成物に浸漬し、次いで、乾燥させて、エアフィルタ用シートを得る、エアフィルタ用シート製造工程と、該エアフィルタ用シートを成形する、成形工程と、を有することを特徴とするエアフィルタの製造方法。
- イオン交換樹脂粉末及びゼオライト粉末を含有するスラリー組成物を、エアフィルタ用担体に塗布し、又はエアフィルタ用担体を、イオン交換樹脂粉末及びゼオライト粉末を含有するスラリー組成物に浸漬し、次いで、乾燥させて、該イオン交換樹脂粉末及び該ゼオライト粉末を担持する、担持工程を有することを特徴とするエアフィルタの製造方法。
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