JP2006280143A - スイッチング電源回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】電圧共振形コンバータのワイドレンジ対応を実現化し、高効率を得る。
【解決手段】電圧共振形コンバータに二次側並列共振回路を設け、絶縁コンバータトランスPITの結合係数k=0.7程度以下の疎結合の状態とする。これにより、定電圧制御特性を、急峻な単峰特性として、安定化に必要なスイッチング周波数の制御範囲を縮小する。また、電力変換効率について良好な特性が得られるようにして、一次側並列共振周波数fo1と二次側並列共振周波数fo2の設定を行う。また、二次巻線N2は二次巻線部N2Aに対して二次巻線部N2Bを追加的に巻装し、二次巻線部N2Aに対して半波整流回路を接続し、二次巻線N2に並列共振コンデンサC2を接続する。これにより、通常に半波整流回路を備える場合よりも二次側並列共振回路に流れる電流レベルを低減させる。
【選択図】図1
【解決手段】電圧共振形コンバータに二次側並列共振回路を設け、絶縁コンバータトランスPITの結合係数k=0.7程度以下の疎結合の状態とする。これにより、定電圧制御特性を、急峻な単峰特性として、安定化に必要なスイッチング周波数の制御範囲を縮小する。また、電力変換効率について良好な特性が得られるようにして、一次側並列共振周波数fo1と二次側並列共振周波数fo2の設定を行う。また、二次巻線N2は二次巻線部N2Aに対して二次巻線部N2Bを追加的に巻装し、二次巻線部N2Aに対して半波整流回路を接続し、二次巻線N2に並列共振コンデンサC2を接続する。これにより、通常に半波整流回路を備える場合よりも二次側並列共振回路に流れる電流レベルを低減させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、電圧共振形コンバータを備えて成るスイッチング電源回路に関する。
共振形によるいわゆるソフトスイッチング電源としては、電流共振形と電圧共振形の形式が広く知られている。現状においては、実用化が容易なことを背景に、2石のスイッチング素子によるハーフブリッジ結合方式の電流共振形コンバータが広く採用されている状況にある。
しかし、現在、例えば高耐圧スイッチング素子の特性が改善されてきていることなどを背景に、電圧共振形コンバータを実用化するにあたっての耐圧の問題はクリアされてきている状況にある。また、1石のスイッチング素子によるシングルエンド方式で構成した電圧共振形コンバータについては、1石の電流共振形フォワードコンバータと比較して、入力帰還ノイズや直流出力電圧ラインのノイズ成分などの点で有利であることも知られている。
しかし、現在、例えば高耐圧スイッチング素子の特性が改善されてきていることなどを背景に、電圧共振形コンバータを実用化するにあたっての耐圧の問題はクリアされてきている状況にある。また、1石のスイッチング素子によるシングルエンド方式で構成した電圧共振形コンバータについては、1石の電流共振形フォワードコンバータと比較して、入力帰還ノイズや直流出力電圧ラインのノイズ成分などの点で有利であることも知られている。
図13は、シングルエンド方式による電圧共振形コンバータを備えるスイッチング電源回路の一構成例を示している。
この図に示すスイッチング電源回路においては、商用交流電源ACをブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCiから成る整流平滑回路により整流平滑化して、平滑コンデンサCiの両端電圧として、整流平滑電圧Eiを生成している。
なお、商用交流電源ACのラインに対しては、1組のコモンモードチョークコイルCMCと、2本のアクロスコンデンサCLから成り、コモンモードのノイズを除去するノイズフィルタが設けられている。
この図に示すスイッチング電源回路においては、商用交流電源ACをブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCiから成る整流平滑回路により整流平滑化して、平滑コンデンサCiの両端電圧として、整流平滑電圧Eiを生成している。
なお、商用交流電源ACのラインに対しては、1組のコモンモードチョークコイルCMCと、2本のアクロスコンデンサCLから成り、コモンモードのノイズを除去するノイズフィルタが設けられている。
上記整流平滑電圧Eiは、直流入力電圧として電圧共振形コンバータに対して入力される。この電圧共振形コンバータは、上記しているように、1石のスイッチング素子Q1を備えたシングルエンド方式による構成を採る。また、この場合の電圧共振形コンバータとしては他励式となっており、MOS−FETのスイッチング素子Q1を、発振・ドライブ回路2によりスイッチング駆動するようにされている。
スイッチング素子Q1に対しては、MOS−FETのボディダイオードDDが並列に接続される。また、スイッチング素子Q1のソース−ドレイン間に対して一次側並列共振コンデンサCrが並列に接続される。
一次側並列共振コンデンサCrは、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1とによって一次側並列共振回路(電圧共振回路)を形成している。そして、この一次側並列共振回路によって、スイッチング素子Q1のスイッチング動作として電圧共振形の動作が得られるようにされている。
発振・ドライブ回路2は、スイッチング素子Q1をスイッチング駆動するために、スイッチング素子Q1のゲートに対して、ドライブ信号としてのゲート電圧を印加する。これにより、スイッチング素子Q1は、ドライブ信号の周期に応じたスイッチング周波数によりスイッチング動作を行う。
絶縁コンバータトランスPITは、スイッチング素子Q1のスイッチング出力を二次側に伝送する。
絶縁コンバータトランスPITの構造としては、例えば、フェライト材によるE型コアを組み合わせたEE型コアを備える。そして、一次側と二次側とで巻装部位を分割したうえで、一次巻線N1と、二次巻線N2を、EE型コアの中央磁脚に対して巻装している。
そのうえで、絶縁コンバータトランスPITのEE型コアの中央磁脚に対しては1.0mm程度のギャップを形成するようにしており、これによって、一次側と二次側との間で、k=0.80〜0.85程度の結合係数kを得るようにしている。この程度の結合係数kは疎結合としてみてよい結合度であり、その分、飽和状態が得られにくくなる。また、この結合係数kの値が、リーケージインダクタンス(L1,L2)の設定要素となる。
絶縁コンバータトランスPITの構造としては、例えば、フェライト材によるE型コアを組み合わせたEE型コアを備える。そして、一次側と二次側とで巻装部位を分割したうえで、一次巻線N1と、二次巻線N2を、EE型コアの中央磁脚に対して巻装している。
そのうえで、絶縁コンバータトランスPITのEE型コアの中央磁脚に対しては1.0mm程度のギャップを形成するようにしており、これによって、一次側と二次側との間で、k=0.80〜0.85程度の結合係数kを得るようにしている。この程度の結合係数kは疎結合としてみてよい結合度であり、その分、飽和状態が得られにくくなる。また、この結合係数kの値が、リーケージインダクタンス(L1,L2)の設定要素となる。
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の一端は、スイッチング素子Q1と平滑コンデンサCiの正極端子間に挿入されるようになっていることで、スイッチング素子Q1のスイッチング出力が伝達されるようになっている。絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2には、一次巻線N1により誘起された交番電圧が発生する。
この場合には、二次巻線N2に対して二次側並列共振コンデンサC2を並列に接続している。これにより、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2と二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって二次側並列共振回路(電圧共振回路)が形成される。
そのうえで、この二次側並列共振回路に対して、図示するようにして整流ダイオードDo1、及び平滑コンデンサCoを接続することで、半波整流回路を形成している。この半波整流回路は、二次巻線N2(二次側並列共振回路)に得られる交番電圧V2の等倍に対応するレベルの二次側直流出力電圧Eoを、平滑コンデンサCoの両端電圧として生成する。二次側直流出力電圧Eoは負荷に供給されると共に、定電圧制御用の検出電圧として、制御回路1に入力される。
そのうえで、この二次側並列共振回路に対して、図示するようにして整流ダイオードDo1、及び平滑コンデンサCoを接続することで、半波整流回路を形成している。この半波整流回路は、二次巻線N2(二次側並列共振回路)に得られる交番電圧V2の等倍に対応するレベルの二次側直流出力電圧Eoを、平滑コンデンサCoの両端電圧として生成する。二次側直流出力電圧Eoは負荷に供給されると共に、定電圧制御用の検出電圧として、制御回路1に入力される。
制御回路1は、検出電圧として入力される二次側直流出力電圧Eoのレベルを検出して得られる検出出力を発振・ドライブ制御回路2に入力する。
発振・ドライブ回路2は、入力される検出出力が示す二次側直流出力電圧Eoのレベルに応じて、二次側直流出力電圧Eoが所定のレベルで一定となるようにして、スイッチング素子Q1のスイッチング動作を制御する。つまり、制御すべきスイッチング動作を得るためのドライブ信号を生成して出力する。これにより、二次側直流出力電圧Eoの安定化制御が行われる。
発振・ドライブ回路2は、入力される検出出力が示す二次側直流出力電圧Eoのレベルに応じて、二次側直流出力電圧Eoが所定のレベルで一定となるようにして、スイッチング素子Q1のスイッチング動作を制御する。つまり、制御すべきスイッチング動作を得るためのドライブ信号を生成して出力する。これにより、二次側直流出力電圧Eoの安定化制御が行われる。
図14及び図15は、上記図13に示した構成の電源回路についての実験結果を示している。なお、実験にあたっては、AC100V系に対応するVAC=100Vの条件として、図13の電源回路の要部について下記のようにして設定している。
先ず、スイッチング素子Q1には、900Vの耐圧品を選定し、二次側の整流ダイオードDo1については600Vの耐圧品を選定する。
絶縁コンバータトランスPITは、コアにEER-35を選定し、中央磁脚のギャップについては、1mmのギャップ長を設定する。また、一次巻線N1及び二次巻線N2のターン数T(巻数)については、それぞれN1=43T、N2=43Tとした。絶縁コンバータトランスPITの結合係数kについてはk=0.81を設定した。
また、一次側並列共振コンデンサCr=6800pF、二次側並列共振コンデンサC2=0.01μFを選定した。これに応じて、一次側並列共振回路の共振周波数fo1=175kHz、二次側並列共振回路の共振周波数fo2=164kHzが設定される。
また、二次側直流出力電圧Eoの定格レベルは135Vであり、対応負荷電力は、最大負荷電力Pomax=200Wから最小負荷電力Pomin=0Wの範囲である。
先ず、スイッチング素子Q1には、900Vの耐圧品を選定し、二次側の整流ダイオードDo1については600Vの耐圧品を選定する。
絶縁コンバータトランスPITは、コアにEER-35を選定し、中央磁脚のギャップについては、1mmのギャップ長を設定する。また、一次巻線N1及び二次巻線N2のターン数T(巻数)については、それぞれN1=43T、N2=43Tとした。絶縁コンバータトランスPITの結合係数kについてはk=0.81を設定した。
また、一次側並列共振コンデンサCr=6800pF、二次側並列共振コンデンサC2=0.01μFを選定した。これに応じて、一次側並列共振回路の共振周波数fo1=175kHz、二次側並列共振回路の共振周波数fo2=164kHzが設定される。
また、二次側直流出力電圧Eoの定格レベルは135Vであり、対応負荷電力は、最大負荷電力Pomax=200Wから最小負荷電力Pomin=0Wの範囲である。
先ず、図14は、図13に示した電源回路における要部の動作をスイッチング素子Q1のスイッチング周期により示す波形図であり、図14(a)には、最大負荷電力Pomax=200W時におけるスイッチング電圧V1、スイッチング電流IQ1、一次巻線電流I1、二次巻線電圧V2、二次巻線電流I2、二次側整流電流ID1が示されている。図14(b)には、最小負荷電力Pomin=0W時におけるスイッチング電圧V1、スイッチング電流IQ1、一次巻線電流I1、二次巻線電圧V2、二次巻線電流I2、二次側整流電流ID1が示されている。
スイッチング電圧V1は、スイッチング素子Q1の両端に得られる電圧であり、スイッチング素子Q1がオンとなる期間TONにおいて0レベルで、オフとなる期間TOFFにおいて正弦波状の電圧共振パルスが得られる波形である。このスイッチング電圧V1の電圧共振パルス波形により、一次側スイッチングコンバータの動作が電圧共振形であることを示している。
スイッチング電圧V1は、スイッチング素子Q1の両端に得られる電圧であり、スイッチング素子Q1がオンとなる期間TONにおいて0レベルで、オフとなる期間TOFFにおいて正弦波状の電圧共振パルスが得られる波形である。このスイッチング電圧V1の電圧共振パルス波形により、一次側スイッチングコンバータの動作が電圧共振形であることを示している。
スイッチング電圧V1の電圧共振パルスのピークレベルは、Pomax=200W/VAC=100V(AC100V系)の条件では550Vpで、Pomax=200W/VAC=264V(AC200V系)の条件では800Vpとなる。この電圧共振パルスのピークレベルに対応するために、スイッチング素子Q1については上記していた900Vの耐圧品を選定するようにされる。
スイッチング電流IQ1は、スイッチング素子Q1(及びボディダイオードDD)に流れる電流であり、期間TOFFにおいては0レベルで、期間TONにおいては、ターンオン時においてボディダイオードDDに対して順方向に流れることで負極性となり、この後に反転してスイッチング素子Q1のドレイン−ソース間を流れてターンオフに至るまで増加していく波形として得られる。このような動作波形では、スイッチング電流IQ1としては、ターンオフタイミングにピークレベルが得られることになる。
一次巻線N1に流れる一次巻線電流I1は、期間TONにおいて上記スイッチング電流IQ1として流れる電流成分と、期間TOFFにおいて一次側並列共振コンデンサCrに流れる電流とを合成して得られるもので、図示する波形となる。
一次巻線N1に流れる一次巻線電流I1は、期間TONにおいて上記スイッチング電流IQ1として流れる電流成分と、期間TOFFにおいて一次側並列共振コンデンサCrに流れる電流とを合成して得られるもので、図示する波形となる。
また、二次側整流回路の動作として、整流ダイオードDo1に流れる整流電流ID1は、最大負荷電力Pomax=200W時では、整流ダイオードDo1のターンオン時にピークレベルが得られた後に図示する波形により0レベルに低減していき、整流ダイオードDo1のオフ期間において0レベルとなる波形により流れるものとなる。なお、最小負荷電力Pomin=0W(無負荷)時においては、オン期間であっても0レベルとなる。
二次巻線電圧V2は、この場合には、二次巻線N2//二次側並列共振コンデンサC2の並列回路に得られる電圧となるもので、二次側整流ダイオードDo1が導通しているオン期間に対応しては、二次側直流出力電圧Eoのレベルによりクランプされ、二次側整流ダイオードDo1のオフ期間では、負極性方向の正弦波形が得られる。また、二次巻線N2に流れる二次巻線電流I2は、整流電流ID1と、二次側並列共振回路(N2(L2)//C2)に流れる電流が合成したものとなり、例えば図示する波形により流れる。
二次巻線電圧V2は、この場合には、二次巻線N2//二次側並列共振コンデンサC2の並列回路に得られる電圧となるもので、二次側整流ダイオードDo1が導通しているオン期間に対応しては、二次側直流出力電圧Eoのレベルによりクランプされ、二次側整流ダイオードDo1のオフ期間では、負極性方向の正弦波形が得られる。また、二次巻線N2に流れる二次巻線電流I2は、整流電流ID1と、二次側並列共振回路(N2(L2)//C2)に流れる電流が合成したものとなり、例えば図示する波形により流れる。
図15は、図13に示した電源回路についての、負荷変動に対するスイッチング周波数fs、スイッチング素子Q1のオン期間TON、オフ期間TOFF、及びAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)を示している。
先ず、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)を見てみると、負荷電力Po=100W〜200Wまでの範囲で90%以上となっている。電圧共振形コンバータとして、特にスイッチング素子Q1が1石であるシングルエンド方式は、電力変換効率について良好な結果が得られることが知られている。
先ず、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)を見てみると、負荷電力Po=100W〜200Wまでの範囲で90%以上となっている。電圧共振形コンバータとして、特にスイッチング素子Q1が1石であるシングルエンド方式は、電力変換効率について良好な結果が得られることが知られている。
また、図15に示されるスイッチング周波数fs、オン期間TON、オフ期間TOFFによっては、図13の電源回路についての負荷変動に対する定電圧制御特性としてのスイッチング動作が示されることになる。この場合、スイッチング周波数fsは、軽負荷の傾向となるのに従って、スイッチング周波数が高くなるようにして制御されている。また、オン期間TON、オフ期間TOFFに関しては、負荷変動に対してオフ期間TOFFはほぼ一定であるのに対して、オン期間TONが、軽負荷の傾向となるのに従って短縮される特性となっている。つまり、図13に示す電源回路は、オフ期間TOFFは一定としたうえで、例えば軽負荷の傾向となるのに応じて、オン期間TONを短縮するようにしてスイッチング周波数を可変制御していることになる。
このようにして、スイッチング周波数が可変制御されることで、一次側並列共振回路及び二次側並列共振回路を備えることにより得られる誘導性インピーダンスが可変されることになる。この誘導性インピーダンスの可変によっては、一次側から二次側への伝送電力量、及び二次側並列共振回路から負荷への電力伝送量が変化することとなって、二次側直流出力電圧Eoのレベルが可変される。これにより、二次側直流出力電圧Eoの安定化が図られることになる。
このようにして、スイッチング周波数が可変制御されることで、一次側並列共振回路及び二次側並列共振回路を備えることにより得られる誘導性インピーダンスが可変されることになる。この誘導性インピーダンスの可変によっては、一次側から二次側への伝送電力量、及び二次側並列共振回路から負荷への電力伝送量が変化することとなって、二次側直流出力電圧Eoのレベルが可変される。これにより、二次側直流出力電圧Eoの安定化が図られることになる。
図16は、図13に示す電源回路の定電圧制御特性を、スイッチング周波数fs(kHz)と二次側直流出力電圧Eoとの関係により、模式的に示している。
ここで、一次側並列共振回路の共振周波数をfo1、二次側並列共振回路の共振周波数をfo2とすると、図13の回路では、先に説明したように一次側並列共振周波数fo1に対して二次側並列共振周波数fo2が低い関係となる。
そのうえで、或る一定の交流入力電圧VACの条件でのスイッチング周波数fsに対する定電圧制御特性を想定すると、図示するようにして、一次側並列共振回路の共振周波数fo1に応じた共振インピーダンスの下での最大負荷電力Pomax時/最小負荷電力Pomin時の各定電圧制御特性としては、それぞれ特性曲線A,Bとして示され、二次側並列共振回路の共振周波数fo2に応じた共振インピーダンスの下での最大負荷電力Pomax時/最小負荷電力Pomin時の各定電圧制御特性としては、それぞれ特性曲線C,Dで示されるものとなる。
さらに、図13の回路のようにして一次側並列共振周波数と二次側並列共振回路とを備える場合、共振周波数fo1,fo2との間には中間共振周波数foが存在することになる。中間共振周波数foとスイッチング周波数fsとの関係による共振インピーダンス特性は、最大負荷電力Pomax時は特性曲線Eで示され、最小負荷電力Pomin時は、特性曲線Fとして示される。
二次側並列共振回路を備える電圧共振形コンバータでは、この中間共振周波数foのスイッチング周波数fsに対する共振インピーダンス特性によって、二次側直流出力電圧Eoのレベルが決定される。また、図13に示す電圧共振形コンバータとしては、この中心共振周波数foよりも低い周波数領域でスイッチング周波数fsを可変制御する、いわゆるローアーサイド制御の方式を採る。
そして、この図16において中間共振周波数foに対応する特性曲線E,Fとして示される特性の下で、ローアーサイド制御に対応したスイッチング周波数制御により、二次側直流出力電圧Eoの定格レベル(図13の回路の場合には135V)を目標値として定電圧化を図ろうとすると、そのために必要なスイッチング周波数fsの可変範囲(必要制御範囲)は、Δfsで示される区間であることになる。換言すれば、このΔfsで示される区間に対応する周波数範囲で、負荷変動に応じてスイッチング周波数を所要値となるようにして可変することで、二次側直流出力電圧Eoは定格レベルtgとなるようにして制御される。
ここで、一次側並列共振回路の共振周波数をfo1、二次側並列共振回路の共振周波数をfo2とすると、図13の回路では、先に説明したように一次側並列共振周波数fo1に対して二次側並列共振周波数fo2が低い関係となる。
そのうえで、或る一定の交流入力電圧VACの条件でのスイッチング周波数fsに対する定電圧制御特性を想定すると、図示するようにして、一次側並列共振回路の共振周波数fo1に応じた共振インピーダンスの下での最大負荷電力Pomax時/最小負荷電力Pomin時の各定電圧制御特性としては、それぞれ特性曲線A,Bとして示され、二次側並列共振回路の共振周波数fo2に応じた共振インピーダンスの下での最大負荷電力Pomax時/最小負荷電力Pomin時の各定電圧制御特性としては、それぞれ特性曲線C,Dで示されるものとなる。
さらに、図13の回路のようにして一次側並列共振周波数と二次側並列共振回路とを備える場合、共振周波数fo1,fo2との間には中間共振周波数foが存在することになる。中間共振周波数foとスイッチング周波数fsとの関係による共振インピーダンス特性は、最大負荷電力Pomax時は特性曲線Eで示され、最小負荷電力Pomin時は、特性曲線Fとして示される。
二次側並列共振回路を備える電圧共振形コンバータでは、この中間共振周波数foのスイッチング周波数fsに対する共振インピーダンス特性によって、二次側直流出力電圧Eoのレベルが決定される。また、図13に示す電圧共振形コンバータとしては、この中心共振周波数foよりも低い周波数領域でスイッチング周波数fsを可変制御する、いわゆるローアーサイド制御の方式を採る。
そして、この図16において中間共振周波数foに対応する特性曲線E,Fとして示される特性の下で、ローアーサイド制御に対応したスイッチング周波数制御により、二次側直流出力電圧Eoの定格レベル(図13の回路の場合には135V)を目標値として定電圧化を図ろうとすると、そのために必要なスイッチング周波数fsの可変範囲(必要制御範囲)は、Δfsで示される区間であることになる。換言すれば、このΔfsで示される区間に対応する周波数範囲で、負荷変動に応じてスイッチング周波数を所要値となるようにして可変することで、二次側直流出力電圧Eoは定格レベルtgとなるようにして制御される。
ところで、電源回路としては、各種電子機器の多様化などを背景に、AC100V系とAC200V系との何れの商用交流電源入力にも対応して動作する、いわゆるワイドレンジ対応とすることが求められている。
図13に示す構成の電源回路は、先に説明したように、スイッチング周波数制御により二次側直流出力電圧Eoの安定化を図るように動作し、そのために必要とされるスイッチング周波数の可変範囲(必要制御範囲)は、図16にて説明したΔfsによって示される。
図13に示す電源回路は、200W〜0Wまでの比較的広範囲な負荷電力変動に対応するものとされている。そして、図13の電源回路について、この負荷条件に対応した実際の必要制御範囲は、fs=117.6kHz〜208.3kHzで、Δfs=96.7kHzとなり、比較的に広範囲なものとなっている。
図13に示す電源回路は、200W〜0Wまでの比較的広範囲な負荷電力変動に対応するものとされている。そして、図13の電源回路について、この負荷条件に対応した実際の必要制御範囲は、fs=117.6kHz〜208.3kHzで、Δfs=96.7kHzとなり、比較的に広範囲なものとなっている。
ここで、二次側直流出力電圧Eoのレベルは、交流入力電圧VACのレベルが変化することによっても変動する。すなわち、二次側直流出力電圧Eoのレベルは、交流入力電圧VACのレベルに応じて減少する。
このことから、AC100系からAC200V系までのワイドレンジでの交流入力電圧の変動に対応しては、例えばAC100系のみ、あるいはAC200V系のみの単レンジでの変動に対応する場合より、二次側直流出力電圧Eoのレベル変動も大きくなるということがいえる。このようにして拡大した二次側直流出力電圧Eoのレベル変動に対応して定電圧制御動作を行うためには、必要制御範囲として上記した117.6kHz〜208.3kHzの範囲を、より高い周波数の方向に拡大するようにして、より広範囲に設定することが必要となる。
このことから、AC100系からAC200V系までのワイドレンジでの交流入力電圧の変動に対応しては、例えばAC100系のみ、あるいはAC200V系のみの単レンジでの変動に対応する場合より、二次側直流出力電圧Eoのレベル変動も大きくなるということがいえる。このようにして拡大した二次側直流出力電圧Eoのレベル変動に対応して定電圧制御動作を行うためには、必要制御範囲として上記した117.6kHz〜208.3kHzの範囲を、より高い周波数の方向に拡大するようにして、より広範囲に設定することが必要となる。
しかしながら、現状におけるスイッチング素子を駆動するためのIC(発振・ドライブ回路2)としては、対応可能な駆動周波数の上限は200kHz程度が限界である。また、仮に上記のような高い周波数での駆動が可能となるICが開発された場合にも、スイッチング素子が高周波駆動されることによっては電力変換効率が著しく低下し、電源回路として実用することは実質的に不可能となる。
このように、例えば図13に示す電源回路の構成によりワイドレンジ対応とすることは実現が非常に困難とされている。
このように、例えば図13に示す電源回路の構成によりワイドレンジ対応とすることは実現が非常に困難とされている。
そこで本発明は上記した課題を考慮して、スイッチング電源回路として次のように構成することとした。
つまり、直流入力電圧を入力してスイッチングを行うメインスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、メインスイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段とを備える。
また、少なくとも、スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線が巻装されるとともに、主二次巻線部と副二次巻線とから成り、二次巻線全体としての巻数が、副二次巻線部により主二次巻線部自体の巻線数よりも増加するように設定される二次巻線が巻装されるコンバータトランスを備える。
また、少なくともコンバータトランスの一次巻線を含む漏洩インダクタンス成分と一次側並列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成されてスイッチング手段の動作を電圧共振形とする一次側並列共振回路を備える。
また、コンバータトランスの二次巻線に対して並列となる関係により二次側並列共振コンデンサを接続することで、少なくともコンバータトランスの二次巻線の漏洩インダクタンス成分と二次側並列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成される二次側並列共振回路を備える。
また、コンバータトランスの二次巻線に誘起される交番電圧の少なくとも一方の半波の期間において主二次巻線部に得られる交番電圧を整流する動作によって二次側直流出力電圧を生成するように形成された二次側直流出力電圧生成手段と、二次側直流出力電圧のレベルに応じてスイッチング駆動手段を制御してスイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで二次側直流出力電圧について定電圧制御を行う定電圧制御手段とを備える。
そして、コンバータトランスは、一次側並列共振回路と二次側並列共振回路とを有して形成される電磁結合形共振回路について、スイッチング周波数を有する周波数信号の入力に対する出力特性が単峰特性となるようにして、疎結合とみなされる所定の一次側と二次側との結合係数を設定する。
また、少なくとも、所定の直流入力電圧レベルの条件と所定の負荷条件の下で一定以上の電力変換効率が得られるようにして、一次側並列共振回路の共振周波数と二次側並列共振回路の共振周波数とについて設定することとした。
つまり、直流入力電圧を入力してスイッチングを行うメインスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、メインスイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段とを備える。
また、少なくとも、スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線が巻装されるとともに、主二次巻線部と副二次巻線とから成り、二次巻線全体としての巻数が、副二次巻線部により主二次巻線部自体の巻線数よりも増加するように設定される二次巻線が巻装されるコンバータトランスを備える。
また、少なくともコンバータトランスの一次巻線を含む漏洩インダクタンス成分と一次側並列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成されてスイッチング手段の動作を電圧共振形とする一次側並列共振回路を備える。
また、コンバータトランスの二次巻線に対して並列となる関係により二次側並列共振コンデンサを接続することで、少なくともコンバータトランスの二次巻線の漏洩インダクタンス成分と二次側並列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成される二次側並列共振回路を備える。
また、コンバータトランスの二次巻線に誘起される交番電圧の少なくとも一方の半波の期間において主二次巻線部に得られる交番電圧を整流する動作によって二次側直流出力電圧を生成するように形成された二次側直流出力電圧生成手段と、二次側直流出力電圧のレベルに応じてスイッチング駆動手段を制御してスイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで二次側直流出力電圧について定電圧制御を行う定電圧制御手段とを備える。
そして、コンバータトランスは、一次側並列共振回路と二次側並列共振回路とを有して形成される電磁結合形共振回路について、スイッチング周波数を有する周波数信号の入力に対する出力特性が単峰特性となるようにして、疎結合とみなされる所定の一次側と二次側との結合係数を設定する。
また、少なくとも、所定の直流入力電圧レベルの条件と所定の負荷条件の下で一定以上の電力変換効率が得られるようにして、一次側並列共振回路の共振周波数と二次側並列共振回路の共振周波数とについて設定することとした。
なお、本願発明において「結合係数」とは、電磁的な結合の度合いを示すものであり、数値として1が最も結合の度合が高いことを示し、数値として0が最も結合の度合いが低い(結合していない)ことを示すものである。
上記構成による電源回路は、二次側に二次側並列共振回路を備える電圧共振形コンバータとしての基本構成を採る。つまり、一次側と二次側とにそれぞれ二次側並列共振回路を備えた構成を採るものであり、これにより、コンバータトランスの電磁結合による結合形共振回路を形成することになる。そして、コンバータトランスについて所定の結合係数による疎結合とすることで、当該結合形共振回路に対する入力であるスイッチング周波数の周波数信号(スイッチング出力)に対する出力特性として、急峻な単峰特性を得ることが可能となる。この結果、二次側直流出力電圧の安定化に要するスイッチング周波数の可変範囲(必要制御範囲)を縮小することができる。
そのうえで、コンバータトランスの二次巻線については、その巻数全体が、主二次巻線部の巻数よりも増加するようにして副二次巻線部を巻装して形成する。そして、二次側並列共振回路は、二次巻線全体に対して二次側並列共振コンデンサを並列となる関係により接続することで形成し、二次側直流出力電圧は、コンバータトランスの二次巻線に誘起される交番電圧の少なくとも一方の半波の期間において主二次巻線部の交番電圧を整流する動作動作となるようにして形成する。この構成では、主二次巻線は、二次側直流出力電圧生成手段としての整流回路を形成するのに最小限必要な主たる二次側巻線であるが、二次側並列共振回路を形成する漏洩インダクタンスは、主二次巻線と副二次巻線との合成となるから、主二次巻線のみに対応する漏洩インダクタンスよりも増加することになる。これにより、例えば所要の二次側並列共振回路の共振周波数を設定しようとした場合には、漏洩インダクタンス成分の増加分に対応して、二次側並列共振コンデンサのキャパシタンスを小さく設定できることになる。二次側並列共振コンデンサのキャパシタンスが小さくなるのに応じては、二次側並列共振回路に流れる電流量も低減することになる。
さらに、一次側並列共振回路の共振周波数と二次側並列共振回路の共振周波数の設定により、所定の負荷条件の下で、一定以上の電力変換効率特性が得られるようにされる。
そのうえで、コンバータトランスの二次巻線については、その巻数全体が、主二次巻線部の巻数よりも増加するようにして副二次巻線部を巻装して形成する。そして、二次側並列共振回路は、二次巻線全体に対して二次側並列共振コンデンサを並列となる関係により接続することで形成し、二次側直流出力電圧は、コンバータトランスの二次巻線に誘起される交番電圧の少なくとも一方の半波の期間において主二次巻線部の交番電圧を整流する動作動作となるようにして形成する。この構成では、主二次巻線は、二次側直流出力電圧生成手段としての整流回路を形成するのに最小限必要な主たる二次側巻線であるが、二次側並列共振回路を形成する漏洩インダクタンスは、主二次巻線と副二次巻線との合成となるから、主二次巻線のみに対応する漏洩インダクタンスよりも増加することになる。これにより、例えば所要の二次側並列共振回路の共振周波数を設定しようとした場合には、漏洩インダクタンス成分の増加分に対応して、二次側並列共振コンデンサのキャパシタンスを小さく設定できることになる。二次側並列共振コンデンサのキャパシタンスが小さくなるのに応じては、二次側並列共振回路に流れる電流量も低減することになる。
さらに、一次側並列共振回路の共振周波数と二次側並列共振回路の共振周波数の設定により、所定の負荷条件の下で、一定以上の電力変換効率特性が得られるようにされる。
このようにして本発明は、二次側並列共振回路を備える電圧共振形コンバータについて、定電圧制御に必要なスイッチング周波数の可変制御範囲(必要制御範囲)が縮小される。これにより、電圧共振形スイッチングコンバータについて、スイッチング周波数制御のみによりワイドレンジ対応化することが容易に実現可能となる。
このようなワイドレンジ化を実現するための基本構成としては、二次側並列共振回路を備える電圧共振形コンバータのコンバータトランスについて、所要の結合係数が得られる構造とすればよいものであり、従って、部品点数の増加などによるコストアップ、回路の大型化、重量増加などを伴うことなくワイドレンジ対応が実現されている、ということがいえる。
また、本発明によっては、二次側並列共振回路に対応する二次巻線と二次側並列共振コンデンサに流れる電流レベルを低減することで、これら二次巻線や二次側並列共振コンデンサにおける電力損失を低減している。さらに、一次側並列共振回路の共振周波数と二次側並列共振回路の共振周波数の設定により、所定の負荷電力の負荷条件にも対応させるようにして一定以上の電力変換効率が得られるようにしている。電圧共振形コンバータは、高い電力変換効率特性を本来有するが、本発明では、上記のようにして、二次側並列共振回路に流れる電流レベルが低減され、また、一次側共振回路と二次側並列共振回路の共振周波数設定が行われることなどにより、電圧共振形コンバータを備える電源回路について、より良好な電力変換効率特性を有するものを提供できることになる。
このようなワイドレンジ化を実現するための基本構成としては、二次側並列共振回路を備える電圧共振形コンバータのコンバータトランスについて、所要の結合係数が得られる構造とすればよいものであり、従って、部品点数の増加などによるコストアップ、回路の大型化、重量増加などを伴うことなくワイドレンジ対応が実現されている、ということがいえる。
また、本発明によっては、二次側並列共振回路に対応する二次巻線と二次側並列共振コンデンサに流れる電流レベルを低減することで、これら二次巻線や二次側並列共振コンデンサにおける電力損失を低減している。さらに、一次側並列共振回路の共振周波数と二次側並列共振回路の共振周波数の設定により、所定の負荷電力の負荷条件にも対応させるようにして一定以上の電力変換効率が得られるようにしている。電圧共振形コンバータは、高い電力変換効率特性を本来有するが、本発明では、上記のようにして、二次側並列共振回路に流れる電流レベルが低減され、また、一次側共振回路と二次側並列共振回路の共振周波数設定が行われることなどにより、電圧共振形コンバータを備える電源回路について、より良好な電力変換効率特性を有するものを提供できることになる。
図1の回路図は、本発明を実施するための最良の形態(実施の形態)として、第1の実施の形態の電源回路の構成例を示している。この図に示す電源回路は、シングルエンド方式による電圧共振形スイッチングコンバータとしての基本構成を採る。
この図に示すスイッチング電源回路においては、まず、商用交流電源ACのラインに対して、図示するようにして、1組のコモンモードチョークコイルCMCと、2本のアクロスコンデンサCLが挿入される。これらコモンモードチョークコイルCMC、及びアクロスコンデンサCL,CLにより、商用交流電源ACのラインに重畳するコモンモードのノイズを除去するノイズフィルタが形成される。
この図に示すスイッチング電源回路においては、まず、商用交流電源ACのラインに対して、図示するようにして、1組のコモンモードチョークコイルCMCと、2本のアクロスコンデンサCLが挿入される。これらコモンモードチョークコイルCMC、及びアクロスコンデンサCL,CLにより、商用交流電源ACのラインに重畳するコモンモードのノイズを除去するノイズフィルタが形成される。
商用交流電源AC(交流入力電圧VAC)は、ブリッジ整流回路Diにより整流され、その整流出力は平滑コンデンサCiに充電される。これにより平滑コンデンサCiの両端電圧として整流平滑電圧Eiが得られる。この整流平滑電圧Eiが、後段のスイッチングコンバータのための直流入力電圧となる。
この図において、上記整流平滑電圧Eiを直流入力電圧として入力してスイッチング動作を行うスイッチングコンバータは、例えば1石のスイッチング素子Q1を備えたシングルエンド方式の電圧共振形コンバータとして形成される。この場合のスイッチング素子Q1には高耐圧のMOS−FETが選定されている。また、この場合の電圧共振形コンバータの駆動方式は、発振・ドライブ回路2によりスイッチング素子をスイッチング駆動する他励式である。
スイッチング素子Q1のゲートに対しては、発振・ドライブ回路2から出力されるスイッチング駆動信号(電圧)が印加されるようになっている。
また、スイッチング素子Q1のドレインは、後述する絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の巻始め端部と接続される。一次巻線N1の巻き終わり端部は、平滑コンデンサEiの正極端子と接続される。従って、この場合には、直流入力電圧(Ei)は、一次巻線N1の直列接続を介してスイッチング素子Q1に供給されるようになっている。スイッチング素子Q1のソースは一次側アースに接続される。
また、スイッチング素子Q1のドレインは、後述する絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の巻始め端部と接続される。一次巻線N1の巻き終わり端部は、平滑コンデンサEiの正極端子と接続される。従って、この場合には、直流入力電圧(Ei)は、一次巻線N1の直列接続を介してスイッチング素子Q1に供給されるようになっている。スイッチング素子Q1のソースは一次側アースに接続される。
この場合のスイッチング素子Q1には、MOS−FETが選定されていることから、図示するようにして、ソース−ドレイン間に対して並列に接続されるようにしてボディダイオードDDを内蔵する。このボディダイオードDDとしては、アノードがスイッチング素子Q1のソースと接続され、カソードがスイッチング素子Q1のドレインと接続される状態を形成する。このボディダイオードDDは、スイッチング素子Q1のオン/オフ動作(スイッチング動作)により生じる、逆方向のスイッチング電流を流す経路を形成する。
そして、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間に対しては、一次側並列共振コンデンサCrが並列に接続される。
一次側並列共振コンデンサCrは、自身のキャパシタンスと絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1のリーケージ(漏洩)インダクタンスL1とによって、スイッチング素子Q1に流れるスイッチング電流に対する一次側並列共振回路(電圧共振回路)を形成する。この一次側並列共振回路が共振動作を行うことによって、スイッチング素子Q1のスイッチング動作として電圧共振形の動作が得られる。これに応じて、スイッチング素子Q1の両端電圧(ドレイン−ソース間電圧)であるスイッチング電圧V1としては、そのオフ期間において正弦波状の共振パルス波形(電圧共振パルス)が得られる。
一次側並列共振コンデンサCrは、自身のキャパシタンスと絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1のリーケージ(漏洩)インダクタンスL1とによって、スイッチング素子Q1に流れるスイッチング電流に対する一次側並列共振回路(電圧共振回路)を形成する。この一次側並列共振回路が共振動作を行うことによって、スイッチング素子Q1のスイッチング動作として電圧共振形の動作が得られる。これに応じて、スイッチング素子Q1の両端電圧(ドレイン−ソース間電圧)であるスイッチング電圧V1としては、そのオフ期間において正弦波状の共振パルス波形(電圧共振パルス)が得られる。
発振・ドライブ回路2は、例えば他励式によりスイッチング素子Q1を駆動するために、発振回路と、この発振回路により得られる発振信号に基づいて、MOS−FETをスイッチング駆動するためのゲート電圧であるドライブ信号を生成して、スイッチング素子Q1のゲートに印加するようにされる。これにより、スイッチング素子Q1は、ドライブ信号の周期に応じたスイッチング周波数に従って連続的にオン/オフ動作を行う。つまり、スイッチング動作を行う。
絶縁コンバータトランスPITは、一次側と二次側とを直流的に絶縁した状態で、一次側スイッチングコンバータのスイッチング出力を二次側に伝送する。
図2は、図1の電源回路が備える絶縁コンバータトランスPITの構造例を示す断面図である。
この図に示すように、絶縁コンバータトランスPITは、フェライト材によるE型コアCR1、CR2を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コア(EE字形コア)を備える。
そして、一次側と二次側の巻装部について相互に独立するようにして分割した形状により、例えば樹脂などによって形成される、ボビンBが備えられる。このボビンBの一方の巻装部に対して一次巻線N1を巻装する。また、他方の巻装部に対して二次巻線N2(N2A,N2B)を巻装する。このようにして一次側巻線及び二次側巻線が巻装されたボビンBを上記EE型コア(CR1,CR2)に取り付けることで、一次側巻線及び二次側巻線とがそれぞれ異なる巻装領域により、EE型コアの中央磁脚に巻装される状態となる。このようにして絶縁コンバータトランスPIT全体としての構造が得られる。
図2は、図1の電源回路が備える絶縁コンバータトランスPITの構造例を示す断面図である。
この図に示すように、絶縁コンバータトランスPITは、フェライト材によるE型コアCR1、CR2を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コア(EE字形コア)を備える。
そして、一次側と二次側の巻装部について相互に独立するようにして分割した形状により、例えば樹脂などによって形成される、ボビンBが備えられる。このボビンBの一方の巻装部に対して一次巻線N1を巻装する。また、他方の巻装部に対して二次巻線N2(N2A,N2B)を巻装する。このようにして一次側巻線及び二次側巻線が巻装されたボビンBを上記EE型コア(CR1,CR2)に取り付けることで、一次側巻線及び二次側巻線とがそれぞれ異なる巻装領域により、EE型コアの中央磁脚に巻装される状態となる。このようにして絶縁コンバータトランスPIT全体としての構造が得られる。
そのうえで、EE型コアの中央磁脚に対しては、図のようにして、例えばギャップ長2mm程度以上のギャップGを形成する。これによって、結合係数kとしては、例えばk≒0.7程度以下による疎結合の状態を得るようにしている。つまり、従来技術として図13に示した電源回路の絶縁コンバータトランスPITよりも、さらに疎結合の状態としている。なお、ギャップGは、E型コアCR1,CR2の中央磁脚を、2本の外磁脚よりも短くすることで形成することができる。
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の一端は、前述もしたように、スイッチング素子Q1のドレインと接続されている。これにより、スイッチング素子Q1のスイッチング出力が一次巻線N1に伝達され、一次巻線N1には交番電圧が生じる。
絶縁コンバータトランスPITの二次側では、一次巻線N1により誘起された交番電圧が二次巻線N2に発生する。
ここで、図1に示す第1の実施の形態では、一次巻線N1と二次巻線N2の極性については加極性となるようにされている。この場合の一次巻線N1と二次巻線N2の相互インダクタンス(相互結合インダクタンス)Mについては、+Mで表すことができる。
絶縁コンバータトランスPITの二次側では、一次巻線N1により誘起された交番電圧が二次巻線N2に発生する。
ここで、図1に示す第1の実施の形態では、一次巻線N1と二次巻線N2の極性については加極性となるようにされている。この場合の一次巻線N1と二次巻線N2の相互インダクタンス(相互結合インダクタンス)Mについては、+Mで表すことができる。
本実施の形態の場合、二次巻線N2としては、図示するようにして、二次巻線部N2A(主二次巻線部)、二次巻線部N2B(副二次巻線部)の直列接続となる。この場合には、二次巻線部N2A側の端部において巻始め端部のシンボルが示されていることからも分かるように、絶縁コンバータトランスPITにおける二次側巻線の巻装部位に対して、先ず、二次巻線部N2Aを所要の巻数により巻装し、この二次巻線部N2Aの巻き終わりの端部から、さらに所定の巻数により巻線を巻装することで二次巻線部N2Bが形成されるようになっている。二次巻線部N2Aと二次巻線部N2Bとの端部同士の接続点には、タップを設ける。
次に説明するようにして、二次巻線部N2Aに対しては二次側半波整流回路が接続される。このことから、二次巻線部N2Aは二次側整流回路を形成するのに必須の、主たる二次側巻線ということがいえる。一方の二次巻線部N2Bは、二次巻線N2全体としての巻数を、主たる二次側巻線である二次巻線部N2A自体の巻数よりも増加させるために追加的に巻装される副次的な二次側巻線であるとみることができる。
上記のようにして形成される二次巻線N2に対しては、二次側並列共振コンデンサC2を並列に接続している。この接続態様は、二次巻線部N2A−N2Bの直列接続に対して、二次側並列共振コンデンサC2を並列接続しているものとみることができる。
これにより、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2と二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって二次側並列共振(電圧共振)回路を形成する。この二次側並列共振回路は、後述する二次側整流回路の整流動作に応じて共振動作を行う。つまり、一次側とともに、二次側においても電圧共振動作が得られる。
これにより、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2と二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって二次側並列共振(電圧共振)回路を形成する。この二次側並列共振回路は、後述する二次側整流回路の整流動作に応じて共振動作を行う。つまり、一次側とともに、二次側においても電圧共振動作が得られる。
この場合の二次側整流回路は、上記のようにして二次側並列共振コンデンサC2が並列接続された二次巻線N2における二次巻線部N2A側に対して、整流ダイオードDo1、及び平滑コンデンサCoから成る半波整流回路を接続して形成される。
整流ダイオードDo1のアノードは、二次巻線部N2Aの巻き終わり端部側に対して接続される。整流ダイオードDo1のカソードは、平滑コンデンサCoの正極端子と接続される。平滑コンデンサの負極端子は、二次側アース電位により、二次巻線部N2Aの巻始め端部と接続される。なお、整流ダイオードDo1は、スイッチング周波数に応じた比較的高周波でのオン/オフ動作を行うことから、高速型(高速リカバリ型)が選定される。
整流ダイオードDo1のアノードは、二次巻線部N2Aの巻き終わり端部側に対して接続される。整流ダイオードDo1のカソードは、平滑コンデンサCoの正極端子と接続される。平滑コンデンサの負極端子は、二次側アース電位により、二次巻線部N2Aの巻始め端部と接続される。なお、整流ダイオードDo1は、スイッチング周波数に応じた比較的高周波でのオン/オフ動作を行うことから、高速型(高速リカバリ型)が選定される。
このようにして形成される半波整流回路では、二次巻線部N2A側の二次巻線電圧V2について、二次巻線N2の巻き終わり端部側が正極性となる半波の期間において整流ダイオードDo1が導通して整流電流を流し、平滑コンデンサCoに充電する動作が得られる。これにより、平滑コンデンサCoの両端電圧として、二次巻線N2の誘起電圧の等倍に対応するレベルの二次側直流出力電圧Eoが得られる。
この二次側直流出力電圧Eoは、負荷に供給される。また、分岐して制御回路1に対して検出電圧として出力される。
この二次側直流出力電圧Eoは、負荷に供給される。また、分岐して制御回路1に対して検出電圧として出力される。
このように、図1の電源回路では、二次側並列共振回路は、二次巻線部N2A,N2Bの直列接続から成る二次巻線N2全体のリーケージインダクタンスL2を形成要素としている。一方、二次側整流回路の半波整流回路は、二次巻線N2全体のうちで、二次巻線部N2Aに対して接続されている。つまり、二次側直列共振回路の共振動作は、二次巻線N2全体を利用しているのに対して、二次側整流回路は、二次巻線N2の一部巻線を利用して半波整流動作を得ているということができる。
制御回路1は、入力された二次側直流出力電圧Eoのレベル変化に応じた検出出力を発振・ドライブ回路2に供給する。発振・ドライブ回路2では、入力された制御回路1の検出出力に応じてスイッチング周波数を可変するようにして、スイッチング素子Q1を駆動する。このスイッチング周波数の可変は、スイッチング素子Q1のオフ期間TOFFは一定とされたうえで、オン期間TONを可変制御する動作となる。この動作が二次側直流出力電圧に対する定電圧制御動作となる。
上記のようにしてスイッチング素子Q1のスイッチング周波数が可変制御されることにより、電源回路における一次側、二次側の共振インピーダンスが変化し、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1から二次巻線N2側に伝送される電力量、また、二次側整流回路から負荷に供給すべき電力量が変化することになる。これにより、二次側直流出力電圧Eoのレベル変動がキャンセルされるようにして、二次側直流出力電圧Eoのレベルを制御する動作が得られることになる。つまり、二次側直流出力電圧Eoの安定化が図られる。
ここで、上記図1に示した回路形態の電源回路の実際として、要部については、下記のように設定を行って構成している。
先ず、絶縁コンバータトランスPITについては、コアについてEER-35を選定して、ギャップGについては2.2mmのギャップ長を設定した。一次巻線N1及び二次巻線N2の各巻数(ターン数)Tについては、N1=57T、N2A=30T、N2B=20Tを選定している。これにより、絶縁コンバータトランスPITの結合係数kについてはk=0.685が設定される。
なお、上記EERのコアは、よく知られているように、製品としてのコアの型式、規格の1つであり、この型式には、EEのあることも知られている。本願においてEE型という場合には、断面がEE字形状であることに応じて、EER、EEの何れのタイプについてもEE型のコアであるとして扱うものとする。
また、一次側並列共振コンデンサCrのキャパシタンスについてはCr=3900pFを選定した。この一次側並列共振コンデンサCrについてのキャパシタンス設定と、上記絶縁コンバータトランスPITの構造により得られる一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1とにより、一次側並列共振回路の共振周波数fo1=136.2kHzが設定される。また、二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスについてはC2=8200pFを選定しており、このキャパシタンス設定と、絶縁コンバータトランスPITの構造により得られる二次巻線N2(N2A+N2B)のリーケージインダクタンスL2とにより、二次側並列共振周波数fo2=106.1kHzが設定される。相対的には、fo1≒1.3×fo2の関係が得られているといえる。
対応負荷電力は、最大負荷電力Pomax=200W、最小負荷電力Pomin=0W(無負荷)とし、二次側直流出力電圧Eoの定格レベルは135Vとしている。
先ず、絶縁コンバータトランスPITについては、コアについてEER-35を選定して、ギャップGについては2.2mmのギャップ長を設定した。一次巻線N1及び二次巻線N2の各巻数(ターン数)Tについては、N1=57T、N2A=30T、N2B=20Tを選定している。これにより、絶縁コンバータトランスPITの結合係数kについてはk=0.685が設定される。
なお、上記EERのコアは、よく知られているように、製品としてのコアの型式、規格の1つであり、この型式には、EEのあることも知られている。本願においてEE型という場合には、断面がEE字形状であることに応じて、EER、EEの何れのタイプについてもEE型のコアであるとして扱うものとする。
また、一次側並列共振コンデンサCrのキャパシタンスについてはCr=3900pFを選定した。この一次側並列共振コンデンサCrについてのキャパシタンス設定と、上記絶縁コンバータトランスPITの構造により得られる一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1とにより、一次側並列共振回路の共振周波数fo1=136.2kHzが設定される。また、二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスについてはC2=8200pFを選定しており、このキャパシタンス設定と、絶縁コンバータトランスPITの構造により得られる二次巻線N2(N2A+N2B)のリーケージインダクタンスL2とにより、二次側並列共振周波数fo2=106.1kHzが設定される。相対的には、fo1≒1.3×fo2の関係が得られているといえる。
対応負荷電力は、最大負荷電力Pomax=200W、最小負荷電力Pomin=0W(無負荷)とし、二次側直流出力電圧Eoの定格レベルは135Vとしている。
図3の波形図は、上記構成による図1の電源回路における要部の動作を、スイッチング素子Q1のスイッチング周期により示している。ここでは、交流入力電圧VAC=100V/最大負荷電力Pomax=200W時におけるスイッチング電圧V1、スイッチング電流IQ1、一次巻線電流I1、二次巻線部電圧V2、二次側整流電流ID1、二次巻線電流I2、及び二次巻線電圧V3が示される。
スイッチング電圧V1は、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間の電圧であり、スイッチング電流IQ1は、ドレイン側からスイッチング素子Q1(及びボディダイオードDD)に流れる電流となる。スイッチング電圧V1及びスイッチング電流IQ1によっては、スイッチング素子Q1のオン/オフタイミングが示される。1スイッチング周期は、スイッチング素子Q1がオンとなるべき期間TONと、オフとなるべき期間TOFFとに分けられ、スイッチング電圧V1は、期間TONにおいては0レベルで、期間TOFFにおいて共振パルスが得られる波形となる。このスイッチング電圧V1の共振パルスは、一次側スイッチングコンバータの動作が電圧共振形であることにより、正弦波状の共振波形として得られる。
スイッチング電流IQ1は、期間TOFFにおいては0レベルであり、この期間TOFFが終了して期間TONが開始されてターンオンタイミングに至ると、先ず、ボディダイオードDDを流れることで負極性の波形となり、続いてドレインからソースに流れることで正極性に反転する波形となる。このようなスイッチング電流IQ1の波形は、適正にZVSが行われていることを示している。
スイッチング電流IQ1は、期間TOFFにおいては0レベルであり、この期間TOFFが終了して期間TONが開始されてターンオンタイミングに至ると、先ず、ボディダイオードDDを流れることで負極性の波形となり、続いてドレインからソースに流れることで正極性に反転する波形となる。このようなスイッチング電流IQ1の波形は、適正にZVSが行われていることを示している。
一次巻線電流I1は、一次巻線N1に流れる電流であり、スイッチング電流IQ1に流れる電流成分と一次側並列共振コンデンサCrに流れる電流とを合成したものとなる。一次巻線電流I1における期間TOFFの波形は、一次側並列共振コンデンサCrに流れる電流波形に対応している。
二次巻線N2に交番電圧が誘起されることで、二次巻線部N2Aに得られる二次巻線部電圧V2が正極性で一定以上のレベルとなる半周期の期間ごとに、整流ダイオードDo1が導通して、この導通期間内に整流電流ID1を流す。これに対応して、二次巻線部電圧V2としては、二次巻線部N2Aの誘起電圧レベルが整流ダイオードDo1に対して二次側直流出力電圧Eo以上のレベルの電圧となって整流ダイオードDo1を導通させている期間に対応しては、二次側直流出力電圧Eoによりクランプされ、整流ダイオードDo1が非導通となる期間は、二次側直流出力電圧Eo以下のレベルのエンベロープによる正弦波状となる。
二次巻線電流I2は、整流電流ID1と、二次側並列共振コンデンサC2に流れる電流とが合成された波形として得られる。なお、ここでは図示していないが、最小負荷電力Pomin=0W(無負荷)時においては、整流ダイオードDo1の導通期間内にあっても整流電流ID1は0レベルとなる。
二次巻線電流I2は、整流電流ID1と、二次側並列共振コンデンサC2に流れる電流とが合成された波形として得られる。なお、ここでは図示していないが、最小負荷電力Pomin=0W(無負荷)時においては、整流ダイオードDo1の導通期間内にあっても整流電流ID1は0レベルとなる。
図4は、図1に示した電源回路についての実験結果として、交流入力電圧VAC=100V時における、負荷変動に対するAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)、スイッチング周波数fs、及びスイッチング素子Q1のオン期間である期間TON、オフ期間である期間TOFFの時間長の変化特性を示している。
これらの図によれば、先ず、スイッチング周波数fsは、上記もしているように、軽負荷傾向(Eoの上昇傾向)となるのに応じて高くなっていく傾向で変化している。なお、交流入力電圧VACが上昇するのに応じても高くなる傾向で変化する。このことは、定電圧制御動作が、軽負荷傾向及び交流入力電圧の上昇傾向に伴って二次側直流出力電圧Eoが上昇するのに応じては、スイッチング周波数fsを高く制御する動作であることを示している。
また、期間TONの時間長は、軽負荷傾向(Eoの上昇傾向)となっていくのに応じて短縮していく特性となっている。これに対して、期間TOFFは、負荷変動に対してほぼ一定である。また、図示していないが、期間TOFFは、交流入力電圧変動に対してもほぼ一定である。このことは、期間TOFFは固定としたうえで、負荷変動に応じて期間TONを可変することでスイッチング周波数を可変する動作であることを示している。
これらの図によれば、先ず、スイッチング周波数fsは、上記もしているように、軽負荷傾向(Eoの上昇傾向)となるのに応じて高くなっていく傾向で変化している。なお、交流入力電圧VACが上昇するのに応じても高くなる傾向で変化する。このことは、定電圧制御動作が、軽負荷傾向及び交流入力電圧の上昇傾向に伴って二次側直流出力電圧Eoが上昇するのに応じては、スイッチング周波数fsを高く制御する動作であることを示している。
また、期間TONの時間長は、軽負荷傾向(Eoの上昇傾向)となっていくのに応じて短縮していく特性となっている。これに対して、期間TOFFは、負荷変動に対してほぼ一定である。また、図示していないが、期間TOFFは、交流入力電圧変動に対してもほぼ一定である。このことは、期間TOFFは固定としたうえで、負荷変動に応じて期間TONを可変することでスイッチング周波数を可変する動作であることを示している。
上記スイッチング周波数fsの変化についての具体値としては、交流入力電圧VAC=100V時では、最大負荷電力Pomax=200W〜最小負荷電力Pomin=0Wの範囲に対応して、fs=102.6kHz〜151.1kHzで、Δfs=48.5kHzとなる。
また、交流入力電圧VAC=230V時では、最大負荷電力Pomax=200W〜最小負荷電力Pomin=0Wの範囲に対応して、fs=162.3kHz〜185.3kHzで、Δfs=23.0kHzとなる。
また、交流入力電圧VAC=230V時では、最大負荷電力Pomax=200W〜最小負荷電力Pomin=0Wの範囲に対応して、fs=162.3kHz〜185.3kHzで、Δfs=23.0kHzとなる。
また、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)は、重負荷の傾向となるのに従って増加し、また、交流入力電圧VACが高くなるのに応じて増加する傾向となっている。
最大負荷電力Pomax=200W時のAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)としては、交流入力電圧VAC=100V時ではηAC→DC=92.2%、交流入力電圧VAC=230V時では91.3%であり、何れの交流入力電圧VACの条件においても最大負荷電力Pomax=200Wから負荷電力Po=65Wの範囲で90%以上のηAC→DCの値が得られるという、良好な測定結果が得られた。
最大負荷電力Pomax=200W時のAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)としては、交流入力電圧VAC=100V時ではηAC→DC=92.2%、交流入力電圧VAC=230V時では91.3%であり、何れの交流入力電圧VACの条件においても最大負荷電力Pomax=200Wから負荷電力Po=65Wの範囲で90%以上のηAC→DCの値が得られるという、良好な測定結果が得られた。
上記図4にて説明したような図1の電源回路のスイッチング周波数fsの特性は、最大負荷電力Pomax=200W〜最小負荷電力Pomin=0Wの対応負荷電力の条件で、AC100V系〜AC200V系の範囲(例えばVAC=85V〜264V)の商用交流電源入力に対応して安定化が可能な、いわゆるワイドレンジ対応が実現化されていることを示している。以下、この点について説明する。
先ず、図1に示す電源回路は、二次側並列共振回路を備える電圧共振形コンバータとしての基本構成を採っている。つまり、図1に示す電源回路は、絶縁コンバータトランスPITの電磁誘導を介して一次側と二次側にそれぞれ並列共振共振回路を備えている、といえる。このような構成を、一次側並列共振回路と二次側共振回路との関係によりみれば、スイッチング周波数fsに対応する周波数信号が入力される、電磁結合による結合形共振回路を形成しているものとして等価的にみることができる。
このようにして電磁結合形共振回路を含むとされる、図1の電源回路の二次側直流出力電圧Eoについての定電圧制御特性は、絶縁コンバータトランスPITの結合度(結合係数k)に応じて異なるものとなる。この点について図5を参照して説明する。
このようにして電磁結合形共振回路を含むとされる、図1の電源回路の二次側直流出力電圧Eoについての定電圧制御特性は、絶縁コンバータトランスPITの結合度(結合係数k)に応じて異なるものとなる。この点について図5を参照して説明する。
図5は、上記した電磁結合形共振回路についての、入力(スイッチング周波数信号)に対する出力特性を示している。つまり、二次側直流出力電圧Eoについての制御特性をスイッチング周波数fsとの関係により示している。この図では、スイッチング周波数fsを横軸にとり、二次側直流出力電圧Eoのレベルを縦軸にとっている。
図1にて説明したように、本実施の形態としては、一次側並列共振回路の共振周波数fo1は、二次側並列共振回路の共振周波数fo2の約1.3倍程度となるように設定されているので、共振周波数fo1と共振周波数fo2とでは、共振周波数fo1のほうが高い周波数となる。図5においてスイッチング周波数fsを示す横軸に対しては、共振周波数fo1,fo2を対応させて示しているが、この図5においても、上記共振周波数fo1,fo2の関係に対応させて、共振周波数fo1のほうが共振周波数fo2よりも高くなるものとして示している。
図1にて説明したように、本実施の形態としては、一次側並列共振回路の共振周波数fo1は、二次側並列共振回路の共振周波数fo2の約1.3倍程度となるように設定されているので、共振周波数fo1と共振周波数fo2とでは、共振周波数fo1のほうが高い周波数となる。図5においてスイッチング周波数fsを示す横軸に対しては、共振周波数fo1,fo2を対応させて示しているが、この図5においても、上記共振周波数fo1,fo2の関係に対応させて、共振周波数fo1のほうが共振周波数fo2よりも高くなるものとして示している。
ここで、絶縁コンバータトランスPITの結合度について、結合係数k=1となる密結合とされる状態を設定したとする。すると、この場合の一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1、及び二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2は、それぞれ、0であることになる。
このようにして、絶縁コンバータトランスPITの一次側と二次側とが密結合とされる状態での定電圧制御特性としては、図5の特性曲線1として示すように、一次側並列共振回路の共振周波数fo1と二次側並列共振回路の共振周波数fo2とは異なる周波数f1、f2において二次側直流出力電圧Eoがピークとなる、いわゆる双峰特性となる。
ここで、周波数f1は、
で表され、
周波数f2は、
で表される。
また、上記(数1)(数2)における項の1つであるfoは、一次側並列共振回路の共振周波数fo1と、二次側並列共振回路の共振周波数fo2との中間に存在する中間共振周波数であり、1次側のインピーダンスと2次側のインピーダンスと、一次側と二次側とで共通となるインピーダンス(相互結合インダクタンスM)により決定される周波数である。
なお、相互結合インダクタンスMについては、
により表される。
ここで、周波数f1は、
周波数f2は、
また、上記(数1)(数2)における項の1つであるfoは、一次側並列共振回路の共振周波数fo1と、二次側並列共振回路の共振周波数fo2との中間に存在する中間共振周波数であり、1次側のインピーダンスと2次側のインピーダンスと、一次側と二次側とで共通となるインピーダンス(相互結合インダクタンスM)により決定される周波数である。
なお、相互結合インダクタンスMについては、
また、上記した結合係数kについて、k=1の状態から徐々に小さくしていったとする、つまり、密結合の状態から徐々に疎結合の度合いを高くしていったとすると、図5に示される特性曲線1は、双峰の傾向が徐々に希薄となって、中間共振周波数fo近傍で平坦化していくような変化を示す。そして、ある結合係数kにまで低下した段階で、いわゆる臨界結合の状態となる。この臨界結合の状態では、特性曲線2として示すようにして、双峰特性としての傾向ではなくなっており、中間共振周波数foを中心として曲線形状が平坦となる特性となる。
そして、さらに、上記臨界結合の状態から結合係数kを小さくしていって、疎結合の状態を強めていったとすると、図5の特性曲線3として示すように、中間周波数foにおいてのみピークとなる単峰特性が得られる。また、この特性曲線3と、特性曲線1,2とを比較してみると、特性曲線3は、ピークレベルそのものは特性曲線1,2より低下するものの、その二次関数的な曲線形状として、より急峻な傾斜を有していることが分かる。
本実施の形態の絶縁コンバータトランスPITは、結合係数k≒0.7程度以下とされる疎結合の状態が設定されている。この結合係数kの設定では、上記特性曲線3として示される単峰特性による動作となる。
本実施の形態の絶縁コンバータトランスPITは、結合係数k≒0.7程度以下とされる疎結合の状態が設定されている。この結合係数kの設定では、上記特性曲線3として示される単峰特性による動作となる。
上記図5に示す単峰特性と、先に図16に示した従来の電源回路(図13)の定電圧制御特性とを実際に比較してみると、図16に示した特性は図5の特性に対して、二次関数的には相当に緩やかな傾斜となる。
上記のようにして図16に示す特性が曲線的に緩やかであることから、二次側直流出力電圧Eoについて定電圧制御を行うためのスイッチング周波数の必要制御範囲は、例えば交流入力電圧VAC=100Vの入力による単レンジ対応の条件下であっても、fs=117.6kHz〜208.3kHzで、Δfs=96.7kHzとなる。このため、スイッチング周波数制御による定電圧制御のみによって、ワイドレンジ対応とすることが非常に困難であることは、先に説明したとおりである。
これに対して、本実施の形態の定電圧制御特性としては、上記図5の特性曲線3により示される単峰特性であることで、定電圧制御動作としては、図6に示すものとなる。
図6においては、図1に示す本実施の形態の電源回路についての、交流入力電圧VAC=100V時(AC100V系)における最大負荷電力Pomax時、最小負荷電力Pomin時の各特性曲線A,Bと、交流入力電圧VAC=230V時(AC200V系)における最大負荷電力Pomax時、最小負荷電力Pomin時の各特性曲線C,Dとの、4つの特性曲線が示されている。
図6においては、図1に示す本実施の形態の電源回路についての、交流入力電圧VAC=100V時(AC100V系)における最大負荷電力Pomax時、最小負荷電力Pomin時の各特性曲線A,Bと、交流入力電圧VAC=230V時(AC200V系)における最大負荷電力Pomax時、最小負荷電力Pomin時の各特性曲線C,Dとの、4つの特性曲線が示されている。
この図6から分かるように、先ず、AC100V系の入力に対応する交流入力電圧VAC=100V時において、二次側直流出力電圧Eoを所要の定格レベルtgで定電圧化するために必要となるスイッチング周波数の可変制御範囲(必要制御範囲)は、Δfs1で示されることになる。つまり、特性曲線Aにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsから、特性曲線Bにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsまでの周波数範囲となる。
また、AC200V系の入力に対応する交流入力電圧VAC=230V時において、二次側直流出力電圧Eoを所要の定格レベルtgで定電圧化するために必要となるスイッチング周波数の可変制御範囲(必要制御範囲)は、Δfs2で示される。つまり、特性曲線Cにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsから、特性曲線Dにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsまでの周波数範囲となる。
また、AC200V系の入力に対応する交流入力電圧VAC=230V時において、二次側直流出力電圧Eoを所要の定格レベルtgで定電圧化するために必要となるスイッチング周波数の可変制御範囲(必要制御範囲)は、Δfs2で示される。つまり、特性曲線Cにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsから、特性曲線Dにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsまでの周波数範囲となる。
前述したように、本実施の形態における二次側直流出力電圧Eoの制御特性である単峰特性は、先に図5に示した制御特性と比較して、二次関数曲線的に相当に急峻である。
このために、上記した交流入力電圧VAC=100V時、VAC=230V時の各必要制御範囲となるΔfs1、Δfs2は、図6に示されるΔfsと比較して相当に縮小されたものとなる。
また、これにより、Δfs1における最低スイッチング周波数(特性曲線Aにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fs)から、Δfs2における最高スイッチング周波数(特性曲線Aにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fs)までの周波数可変範囲(ΔfsA)としても、相応に狭いものとなる。
確認のために、図1の電源回路において測定されたΔfs1、Δfs2、ΔfsAの実際は、それぞれ、
Δfs1=48.5kHz(=151.1kHz−102.6kHz)
Δfs2=23.0kHz(=185.3kHz−162.3Hz)
ΔfsA=82.7kHz(=185.3kHz−102.6kHz)
となる。
このために、上記した交流入力電圧VAC=100V時、VAC=230V時の各必要制御範囲となるΔfs1、Δfs2は、図6に示されるΔfsと比較して相当に縮小されたものとなる。
また、これにより、Δfs1における最低スイッチング周波数(特性曲線Aにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fs)から、Δfs2における最高スイッチング周波数(特性曲線Aにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fs)までの周波数可変範囲(ΔfsA)としても、相応に狭いものとなる。
確認のために、図1の電源回路において測定されたΔfs1、Δfs2、ΔfsAの実際は、それぞれ、
Δfs1=48.5kHz(=151.1kHz−102.6kHz)
Δfs2=23.0kHz(=185.3kHz−162.3Hz)
ΔfsA=82.7kHz(=185.3kHz−102.6kHz)
となる。
そして、上記周波数可変範囲ΔfsAとしては、現状におけるスイッチング駆動用IC(発振・ドライブ回路2)が対応するスイッチング周波数の可変範囲内に充分に収まるものとなっている。つまり、図1に示す電源回路では、スイッチング周波数について、現実に、周波数可変範囲ΔfsAで可変制御することが可能とされている。
このようにして、図1に示す本実施の形態の電源回路は、AC100V系とAC200V系の何れの商用交流電源入力にも対応して、適正にメイン直流電源である二次側直流出力電圧Eoを安定化可能とされている。つまり、スイッチング周波数制御のみによって、ワイドレンジ対応を可能としている。
このようにして、図1に示す本実施の形態の電源回路は、AC100V系とAC200V系の何れの商用交流電源入力にも対応して、適正にメイン直流電源である二次側直流出力電圧Eoを安定化可能とされている。つまり、スイッチング周波数制御のみによって、ワイドレンジ対応を可能としている。
ちなみに、電磁結合による結合形共振回路は、例えば中間周波トランス増幅器などのようにして、通信技術において、トランジスタによる増幅回路の増幅帯域幅を拡大するための手法として既に知られてはいる。しかしながら、このような分野では、密結合での双峰特性、或いは臨界結合での平担特性を用いているものであり、疎結合での単峰特性は用いられてはいない。本実施の形態では、このような電磁結合による結合形共振回路の技術において、通信技術の分野では採用されていなかった疎結合での単峰特性を、共振形スイッチングコンバータの分野において積極的に用いている、ということがいえる。これにより、上記のようにして、二次側直流出力電圧Eoを安定化するために必要なスイッチング周波数の可変範囲(必要制御範囲)を縮小し、スイッチング周波数制御での定電圧制御のみによるワイドレンジ対応を可能としているものである。
本実施の形態の他に、共振形コンバータを備えたスイッチング電源回路として、ワイドレンジ対応を実現する構成としては、例えばAC100V系/200V系の商用交流電源入力に応じて、一次側スイッチングコンバータの構成をハーフブリッジ/フルブリッジで切り換える構成を採ることが知られている。あるいは、商用交流電源ACについての整流動作を行う整流回路の動作を、AC100V系/200V系の商用交流電源入力に応じて、全波整流/倍電圧整流で切り換える構成とすることが知られている。
しかしながら、AC100V系とAC200V系とで回路構成の切り換えを行う場合には、以下のような問題点が生じる。
例えば、このような商用交流電源レベルに応じた切り換えには、入力電圧についての閾値(例えば150V)を設定し、これを上回った場合はAC200V系、下回った場合はAC100V系に対応した回路切換を行うようにされるが、単純にこのような切り換えのみを行っていたのでは、例えばAC200V系の入力時の瞬間停電等による一時的な交流入力電圧の低下に対しても、AC100系に対応した切り換えが行われてしまうおそれがある。つまり、例えば整流動作の切り換え構成を例に挙げれば、AC200V系の入力であるにも関わらず、AC100V系であるとして倍電圧整流回路に切り換えられてしまい、これによってスイッチング素子などが耐圧オーバーとなって破壊される可能性がある。
例えば、このような商用交流電源レベルに応じた切り換えには、入力電圧についての閾値(例えば150V)を設定し、これを上回った場合はAC200V系、下回った場合はAC100V系に対応した回路切換を行うようにされるが、単純にこのような切り換えのみを行っていたのでは、例えばAC200V系の入力時の瞬間停電等による一時的な交流入力電圧の低下に対しても、AC100系に対応した切り換えが行われてしまうおそれがある。つまり、例えば整流動作の切り換え構成を例に挙げれば、AC200V系の入力であるにも関わらず、AC100V系であるとして倍電圧整流回路に切り換えられてしまい、これによってスイッチング素子などが耐圧オーバーとなって破壊される可能性がある。
そこで、実際には、上記のような誤動作が生じないようにするために、メインとなるスイッチングコンバータの直流入力電圧だけではなく、スタンバイ電源側のコンバータ回路の直流入力電圧も検出する構成を採るようにされる。
しかしながら、このようにしてスタンバイ電源側のコンバータ回路を検出するということは、基準電圧と入力電圧との比較を行うための例えばコンパレータIC等を実装することになるが、これにより部品点数が増加して、回路製造コストの増加、及び回路基板サイズの大型化が助長されてしまうことになる。
しかしながら、このようにしてスタンバイ電源側のコンバータ回路を検出するということは、基準電圧と入力電圧との比較を行うための例えばコンパレータIC等を実装することになるが、これにより部品点数が増加して、回路製造コストの増加、及び回路基板サイズの大型化が助長されてしまうことになる。
また、このように誤動作防止を目的としてスタンバイ電源側のコンバータの直流入力電圧を検出するということは、メイン電源の他にスタンバイ電源を備える電子機器でなければ、実際に使用することができないということになる。つまり、電源を実装可能な電子機器の種類が、スタンバイ電源を備えたものに限定されるわけであり、それだけ利用範囲が狭くなっているという問題も生じる。
また、ハーフブリッジ/フルブリッジの切り換えを行う構成では、フルブリッジ構成を可能とするためにスイッチング素子を少なくとも4つ備える必要がある。つまり、切り換えが不要であればハーフブリッジでよく、スイッチング素子が2つで済むものを、この場合はさらに2つ追加しなくてはならない。
また、整流動作の切換を行う構成としても、倍電圧整流動作を得るために平滑コンデンサCiを2本備えるようにしなければならない。つまり全波整流のみとする構成と比較して、平滑コンデンサCiを1本追加しなければならなくなる。
これらの点でも、上記したような回路切換を伴うワイドレンジ対応の構成では、回路製造コストの増加、及び電源回路基板の大型化を招く。特に、整流動作切り換えの構成において、平滑コンデンサCi等は電源回路を構成する部品のうちでも大型の部類に入ることから、このような基板サイズの大型化はさらに助長される。
また、整流動作の切換を行う構成としても、倍電圧整流動作を得るために平滑コンデンサCiを2本備えるようにしなければならない。つまり全波整流のみとする構成と比較して、平滑コンデンサCiを1本追加しなければならなくなる。
これらの点でも、上記したような回路切換を伴うワイドレンジ対応の構成では、回路製造コストの増加、及び電源回路基板の大型化を招く。特に、整流動作切り換えの構成において、平滑コンデンサCi等は電源回路を構成する部品のうちでも大型の部類に入ることから、このような基板サイズの大型化はさらに助長される。
また、先に説明したようにしてスイッチング周波数の制御範囲が広範となることによるもう1つの問題点としては、二次側直流出力電圧Eoについての安定化の高速応答特性が低下してしまうということが挙げられる。
特に近年の電子機器では、例えば各種駆動部のオン/オフ等に応じて負荷電力が最大負荷と無負荷とで瞬時的に変化する、いわゆるスイッチング負荷といわれる負荷条件となることがある。これに応じて電源回路側としても、このように高速且つ広範に変動する負荷電力に応じて、二次側直流出力電圧Eoの定電圧制御を行う必要がある。
しかしながら、上述のようにスイッチング周波数制御範囲が広範であると、最大値と最小値とで変化する負荷に対応して定電圧制御に必要なスイッチング周波数へと変化させるまでに、その分多くの時間を要してしまうことになる。つまり、定電圧制御の応答性が鈍くなる。
特に近年の電子機器では、例えば各種駆動部のオン/オフ等に応じて負荷電力が最大負荷と無負荷とで瞬時的に変化する、いわゆるスイッチング負荷といわれる負荷条件となることがある。これに応じて電源回路側としても、このように高速且つ広範に変動する負荷電力に応じて、二次側直流出力電圧Eoの定電圧制御を行う必要がある。
しかしながら、上述のようにスイッチング周波数制御範囲が広範であると、最大値と最小値とで変化する負荷に対応して定電圧制御に必要なスイッチング周波数へと変化させるまでに、その分多くの時間を要してしまうことになる。つまり、定電圧制御の応答性が鈍くなる。
これに対して、本実施の形態のようにしてスイッチング周波数制御のみによるワイドレンジ対応化が実現されるのであれば、先に説明したような、商用交流電源の定格レベルに応じて、直流入力電圧(Ei)を生成するための整流回路系について整流動作を切り換えたり、あるいは、ハーフブリッジ結合方式とフルブリッジ結合方式との間でスイッチングコンバータの形式を切り換える構成を採る必要はなくなる。
そして、このような回路切り換えのための構成が不要となれば、例えば平滑コンデンサCiは1つのみとすることができ、またスイッチング素子としては少なくともハーフブリッジ結合に必要な2つのみとすることが可能となって、その分回路構成部品の削減、回路規模の縮小、及びスイッチングノイズの低減などが図られる。
また、回路切換の構成が不要となれば、切り換えによる誤動作防止のために特別な構成を備えるような必要もなくなり、この点でも構成部品の増加とコストアップの抑制が図られる。さらには、誤動作防止のためにスタンバイ電源を必須としないので、電源回路が使用可能な機器範囲を広げることができる。
そして、このような回路切り換えのための構成が不要となれば、例えば平滑コンデンサCiは1つのみとすることができ、またスイッチング素子としては少なくともハーフブリッジ結合に必要な2つのみとすることが可能となって、その分回路構成部品の削減、回路規模の縮小、及びスイッチングノイズの低減などが図られる。
また、回路切換の構成が不要となれば、切り換えによる誤動作防止のために特別な構成を備えるような必要もなくなり、この点でも構成部品の増加とコストアップの抑制が図られる。さらには、誤動作防止のためにスタンバイ電源を必須としないので、電源回路が使用可能な機器範囲を広げることができる。
また、このような実施の形態としての効果を得るのにあたって、一次側にのみ並列共振回路を備えるこれまでの電圧共振形コンバータの構成に対して追加すべき必要最小限の部品は、二次側並列共振コンデンサの1点のみである。つまり、従来の回路切換方式による構成を採る場合よりもはるかに少ない部品追加で、ワイドレンジ対応を実現することができる。
また、上記のようにして、AC100V系とAC200V系の各商用交流電源入力の条件の下で、定電圧制御のためのスイッチング周波数fsの必要制御範囲(Δfs)が縮小されることによっては、定電圧制御の応答性、制御感度も大幅に改善されることになる。
電子機器においては、負荷電力Poについて、いわゆるスイッチング負荷といわれる、最大と無負荷とで比較的高速にスイッチングする(切り替わる)ようにして変動させるような動作を行うものがある。このようなスイッチング負荷としての動作を行う機器として、例えば、パーソナルコンピュータの周辺機器であるプリンタや、プラズマディスプレイ装置などを挙げることができる。
このようなスイッチング負荷としての動作が行われる機器に対して、例えば図9に示したような必要制御範囲Δfsが比較的広範な電源回路を搭載した場合には、前述もしたように、急峻な負荷電力の変化に追随して相応に多くの変化量によるスイッチング周波数fsの可変制御を行うことになる。このために、高速な定電圧制御の応答性を得ることが困難とされていた。
これに対して、本実施の形態では、特に単レンジごとの領域で必要制御範囲Δfsが大幅に縮小されていることから、負荷電力Poの最大と無負荷とでの急峻な変動に対して、高速に応答して二次側直流電圧Eoを安定化することが可能である。つまり、スイッチング負荷に対する定電圧制御の応答性能としては大幅に向上している。
電子機器においては、負荷電力Poについて、いわゆるスイッチング負荷といわれる、最大と無負荷とで比較的高速にスイッチングする(切り替わる)ようにして変動させるような動作を行うものがある。このようなスイッチング負荷としての動作を行う機器として、例えば、パーソナルコンピュータの周辺機器であるプリンタや、プラズマディスプレイ装置などを挙げることができる。
このようなスイッチング負荷としての動作が行われる機器に対して、例えば図9に示したような必要制御範囲Δfsが比較的広範な電源回路を搭載した場合には、前述もしたように、急峻な負荷電力の変化に追随して相応に多くの変化量によるスイッチング周波数fsの可変制御を行うことになる。このために、高速な定電圧制御の応答性を得ることが困難とされていた。
これに対して、本実施の形態では、特に単レンジごとの領域で必要制御範囲Δfsが大幅に縮小されていることから、負荷電力Poの最大と無負荷とでの急峻な変動に対して、高速に応答して二次側直流電圧Eoを安定化することが可能である。つまり、スイッチング負荷に対する定電圧制御の応答性能としては大幅に向上している。
ただし、一般的に、絶縁コンバータトランスPITの一次側と二次側との間の疎結合の度合いを高くしていくのに応じては、絶縁コンバータトランスPITにおける電力損失(渦電流損)が増加する傾向となり、電力変換効率もその分低下していくことになる。しかしながら、本実施の形態としては、実用上充分な電力変換効率の特性を得ている。このようにして、上記渦電流損の影響による電力変換効率の低下が見られないのは、二次側に対しても共振回路(二次側並列共振回路)を形成していることによる。すなわち、二次側並列共振回路を備えることで、その共振動作により得られるエネルギーの増加分を含めて二次側直流出力電圧Eoとしての電力を供給可能となるものであり、疎結合とされたことによる電力変換効率の低下を補償しているものである。
また、上記した電力変換効率の特性に関しては、図4の説明において、図1の電源回路は、交流入力電圧VAC=100V/最大負荷電力Pomax=200W時ではηAC→DC=92.2%であると述べたが、この特性は、例えば図13に示した従来の電源回路の特性が、交流入力電圧VAC=100V/最大負荷電力Pomax=200W時においてηAC→DC=92.3%であるのに対してほぼ同等である。
このようにして、本実施の形態において、結合係数kを低下させているのにもかかわらず、良好な電力変換効率が得られていることの理由としては、上記しているように、二次側共振回路を備えることで電力変換効率の低下を補償したことも要因の1つであるが、本実施の形態においては、さらに下記の要因を挙げることができる。
このようにして、本実施の形態において、結合係数kを低下させているのにもかかわらず、良好な電力変換効率が得られていることの理由としては、上記しているように、二次側共振回路を備えることで電力変換効率の低下を補償したことも要因の1つであるが、本実施の形態においては、さらに下記の要因を挙げることができる。
先ず、1つには、二次側並列共振回路及び二次側半波整流回路を形成している二次側の回路形態が挙げられる。
図1に示す電源回路においては、二次巻線部N2Aに対して半波整流回路を接続しているのに対して、二次側並列共振回路は、二次巻線部N2Aと二次巻線部N2Bの直列接続として形成される二次巻線N2、及び二次側並列共振コンデンサC2の並列接続により形成される。
上記のような本実施の形態の二次側の構成に対して、従来に対応する二次側が半波整流回路の構成(従来二次側半波構成)としては、二次巻線部N2Bを追加せずに省略して二次巻線部N2Aのみとして、この二次巻線部N2Aに対して二次側並列共振回路C2、及び半波整流回路(Do1,Co)を接続する構成である。この従来二次側半波構成は、図1に示される二次側の回路形態について、二次巻線N2を省略し、二次側並列共振コンデンサC2は、二次巻線部N2Aに対して並列に接続したものと同等となる。
図1に示す電源回路においては、二次巻線部N2Aに対して半波整流回路を接続しているのに対して、二次側並列共振回路は、二次巻線部N2Aと二次巻線部N2Bの直列接続として形成される二次巻線N2、及び二次側並列共振コンデンサC2の並列接続により形成される。
上記のような本実施の形態の二次側の構成に対して、従来に対応する二次側が半波整流回路の構成(従来二次側半波構成)としては、二次巻線部N2Bを追加せずに省略して二次巻線部N2Aのみとして、この二次巻線部N2Aに対して二次側並列共振回路C2、及び半波整流回路(Do1,Co)を接続する構成である。この従来二次側半波構成は、図1に示される二次側の回路形態について、二次巻線N2を省略し、二次側並列共振コンデンサC2は、二次巻線部N2Aに対して並列に接続したものと同等となる。
従来二次側半波構成の場合には、二次側整流回路が交番電圧を入力する巻線と、二次側並列共振回路を形成する巻線とが、同じ二次巻線部N2Aで共通となる。二次巻線部N2Aの巻数は、主として、所要の二次側直流出力電圧Eoの定格レベルを得ることを目的として設定される。そのうえで、二次側並列共振回路の共振周波数fo2を設定するのにあたっては、上記した二次巻線部N2Aの巻数に応じて決まる二次側の漏洩インダクタンス成分とにより、所要の共振周波数fo2の値が得られるようにして、二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスを設定することになる。
これに対して、図1の実施の形態の場合には、二次側並列共振回路は、二次巻線部N2A,N2Bの直列接続に対して二次側並列共振コンデンサC2を接続して形成される。従って、従来二次側半波構成との比較では、二次側並列共振回路を形成する二次側の漏洩インダクタンス成分が増加することになる。そのうえで、従来二次側半波構成を採る場合と同等の二次側並列共振回路の共振周波数fo2を設定することとすれば、二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスは、二次側の漏洩インダクタンス成分の増加に応じて、その分小さく設定することができる。そして、このようにして二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスが小さくなることに応じては、二次側並列共振回路に流れる二次巻線電流I2のレベル(電流量)を低減することが可能になる。
このようにして二次側並列共振回路を形成する二次巻線N2(二次巻線部N2A、N2B)及び二次側並列共振コンデンサC2に流れる二次巻線電流I2のレベル(電流量)が低下(減少)することによって、二次巻線N2(二次巻線部N2A,N2B)及び二次側並列共振コンデンサC2における電力損失が低減される。本実施の形態では、このことが、電力変換効率の向上に寄与している。
これに対して、図1の実施の形態の場合には、二次側並列共振回路は、二次巻線部N2A,N2Bの直列接続に対して二次側並列共振コンデンサC2を接続して形成される。従って、従来二次側半波構成との比較では、二次側並列共振回路を形成する二次側の漏洩インダクタンス成分が増加することになる。そのうえで、従来二次側半波構成を採る場合と同等の二次側並列共振回路の共振周波数fo2を設定することとすれば、二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスは、二次側の漏洩インダクタンス成分の増加に応じて、その分小さく設定することができる。そして、このようにして二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスが小さくなることに応じては、二次側並列共振回路に流れる二次巻線電流I2のレベル(電流量)を低減することが可能になる。
このようにして二次側並列共振回路を形成する二次巻線N2(二次巻線部N2A、N2B)及び二次側並列共振コンデンサC2に流れる二次巻線電流I2のレベル(電流量)が低下(減少)することによって、二次巻線N2(二次巻線部N2A,N2B)及び二次側並列共振コンデンサC2における電力損失が低減される。本実施の形態では、このことが、電力変換効率の向上に寄与している。
参考として、図1に示す電源回路について、二次側を従来二次側半波構成に変更し、二次巻線部N2A=30T、一次側並列共振コンデンサCr=4700pF,二次側並列共振コンデンサC2=0.039μF、絶縁コンバータトランスPITの結合係数k=0.685を設定した構成でのAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)についての測定結果としては、交流入力電圧VAC=100V、最大負荷電力Pomax=200W時において、ηAC→DC=90.7%で、最大負荷電力Pomax=200Wから負荷電力Po=125W程度までの範囲でηAC→DC=90%以上が維持される特性が得られた。
この実験結果と、本実施の形態の実験結果とを比較してみると、本実施の形態のほうが、最大負荷電力Pomax=200W時の特性が良好であり、また、ηAC→DC=90%以上となる中間負荷の領域範囲が拡大されている。
この実験結果と、本実施の形態の実験結果とを比較してみると、本実施の形態のほうが、最大負荷電力Pomax=200W時の特性が良好であり、また、ηAC→DC=90%以上となる中間負荷の領域範囲が拡大されている。
また、1つには、一次側並列共振回路と二次側並列共振回路の各共振周波数fo1,fo2の設定が、大きな要因となっている。上記したような本実施の形態の負荷条件に対する電力変換効率特性は、最終的には、共振周波数fo1,fo2の調整により得られたものである。
つまり、共振周波数fo1,fo2について各種設定を行って実験を行い、前述した、fo1=136.2kHz、fo2=106.0kHzを設定したことで、最終的に得られた特性である。この共振周波数fo1、fo2について、従来との比較を行ってみると、図13に示す電源回路では、fo1=175.0kHz、fo2=164.0kHzであり、その大小関係はfo1>fo2で同様であるが、各周波数の値と、これに伴う周波数差が異なったものとなっている。共振周波数fo1,fo2の各周波数値としては、従来と比較して低下されており、その周波数差としても大きく拡大されている。
つまり、共振周波数fo1,fo2について各種設定を行って実験を行い、前述した、fo1=136.2kHz、fo2=106.0kHzを設定したことで、最終的に得られた特性である。この共振周波数fo1、fo2について、従来との比較を行ってみると、図13に示す電源回路では、fo1=175.0kHz、fo2=164.0kHzであり、その大小関係はfo1>fo2で同様であるが、各周波数の値と、これに伴う周波数差が異なったものとなっている。共振周波数fo1,fo2の各周波数値としては、従来と比較して低下されており、その周波数差としても大きく拡大されている。
上記のようにして共振周波数fo1,fo2を設定したことで良好な電力変換効率が得られることの理由の1つとしては、次のことを挙げることができる。
本実施の形態と従来例とで、同じ最大負荷電力Pomax時の動作を示す図3と図14(a)のスイッチング電流IQ1を比較してみると、先ず、図14(a)では、スイッチング素子Q1のオン期間TONが終了するまで上昇傾向を維持して、オフ期間TOFFにおいてピークレベルとなる波形である。これに対し、図3では、スイッチング素子Q1のオフ期間TOFFに至る以前のタイミングで既にピークレベルとなって、以降、オフ期間TOFFに至るまで、下降していく波形となっている。
このようなスイッチング電流IQ1の波形は、二次巻線電流I2の波形が影響している。つまり、二次側並列共振回路に流れる電流に応じた波形成分を持っている。二次巻線電流I2の波形は、共振周波数fo1に対する共振周波数fo2の設定によって決まる。
このことから、図1に示す電源回路のスイッチング電流IQ1の波形は、一次側並列共振回路と二次並列共振回路の各共振周波数fo1,fo2のしかるべき設定により得られているものである、ということになる。
図3に示されるスイッチング電流IQ1の波形は、ターンオフ時におけるスイッチング電流IQ1のピークレベルが抑制されているということを意味する。ターンオフ時のスイッチング電流IQ1のピークレベルが抑制されれば、その分、ターンオフ時のスイッチング損失、導通損は低減されることになる。また、スイッチング電流IQ1のピークレベルが抑制されるのに伴い、実際には二次側整流電流ID1のピークレベルも抑制される。このために、整流ダイオードDo1におけるスイッチング損失、導通損も低減されることとなる。
このようなスイッチング素子、整流素子のスイッチング損失、導通損の低減が、本実施の形態の電源回路について高電力変換効率特性が得られていることの1要因となっている。
本実施の形態と従来例とで、同じ最大負荷電力Pomax時の動作を示す図3と図14(a)のスイッチング電流IQ1を比較してみると、先ず、図14(a)では、スイッチング素子Q1のオン期間TONが終了するまで上昇傾向を維持して、オフ期間TOFFにおいてピークレベルとなる波形である。これに対し、図3では、スイッチング素子Q1のオフ期間TOFFに至る以前のタイミングで既にピークレベルとなって、以降、オフ期間TOFFに至るまで、下降していく波形となっている。
このようなスイッチング電流IQ1の波形は、二次巻線電流I2の波形が影響している。つまり、二次側並列共振回路に流れる電流に応じた波形成分を持っている。二次巻線電流I2の波形は、共振周波数fo1に対する共振周波数fo2の設定によって決まる。
このことから、図1に示す電源回路のスイッチング電流IQ1の波形は、一次側並列共振回路と二次並列共振回路の各共振周波数fo1,fo2のしかるべき設定により得られているものである、ということになる。
図3に示されるスイッチング電流IQ1の波形は、ターンオフ時におけるスイッチング電流IQ1のピークレベルが抑制されているということを意味する。ターンオフ時のスイッチング電流IQ1のピークレベルが抑制されれば、その分、ターンオフ時のスイッチング損失、導通損は低減されることになる。また、スイッチング電流IQ1のピークレベルが抑制されるのに伴い、実際には二次側整流電流ID1のピークレベルも抑制される。このために、整流ダイオードDo1におけるスイッチング損失、導通損も低減されることとなる。
このようなスイッチング素子、整流素子のスイッチング損失、導通損の低減が、本実施の形態の電源回路について高電力変換効率特性が得られていることの1要因となっている。
一次側に電圧共振形コンバータを備える構成の電源回路は、本来、電力変換効率について有利となる傾向の特性を有している。しかしながら、例えば近年のエネルギー事情、環境事情などを考慮して、電子機器については、より高い電力変換効率特性とすることが求められており、これに伴って、電子機器に搭載される電源回路そのものについても、さらなる電力変換効率の向上が要求されている状況にある。本実施の形態の電源回路は、このような要求に対応できるだけの電力変換効率特性が得られている、ということがいえる。
図7は、第2の実施の形態としての電源回路の構成例を示している。なお、この図において、図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この図に示す電源回路も、絶縁コンバータトランスPITについては、図2により説明したのと同様の構造により、結合係数kについては0.7程度又はそれ以下の所定値が設定される。
この図に示す電源回路では、図1に示した第1の実施の形態と同様にして二次側整流回路としては、半波整流回路を備える。そのうえで、絶縁コンバータトランスPITに巻装する一次巻線N1と二次巻線N2の極性については減極性としている。これに応じて、二次巻線部N2Aに対して接続する半波整流回路としては、二次巻線部N2Aの巻始め端部を整流ダイオードDo1のアノードと接続し、二次巻線部N2Aの巻き終わり側の端部(二次巻線部N2Aと二次巻線部N2Bとのタップ位置)に対して、平滑コンデンサCoの負極端子を二次側アース電位にて接続することとしている。
なお、第2の実施の形態としても、二次側並列共振コンデンサC2は、二次巻線部N2A,N2Bの直列接続となる二次巻線N2に対して並列に接続される。また、一次側並列共振回路の共振周波数fo1と、二次側並列共振回路の共振周波数fo2については、第1の実施の形態とほぼ同等の値が設定される。
この図に示す電源回路では、図1に示した第1の実施の形態と同様にして二次側整流回路としては、半波整流回路を備える。そのうえで、絶縁コンバータトランスPITに巻装する一次巻線N1と二次巻線N2の極性については減極性としている。これに応じて、二次巻線部N2Aに対して接続する半波整流回路としては、二次巻線部N2Aの巻始め端部を整流ダイオードDo1のアノードと接続し、二次巻線部N2Aの巻き終わり側の端部(二次巻線部N2Aと二次巻線部N2Bとのタップ位置)に対して、平滑コンデンサCoの負極端子を二次側アース電位にて接続することとしている。
なお、第2の実施の形態としても、二次側並列共振コンデンサC2は、二次巻線部N2A,N2Bの直列接続となる二次巻線N2に対して並列に接続される。また、一次側並列共振回路の共振周波数fo1と、二次側並列共振回路の共振周波数fo2については、第1の実施の形態とほぼ同等の値が設定される。
図8の波形図は、上記構成による第2の実施形態の電源回路における要部の動作を、スイッチング素子Q1のスイッチング周期により示している。ここでは、交流入力電圧VAC=100V/最大負荷電力Pomax=200W時におけるスイッチング電圧V1、スイッチング電流IQ1、一次巻線電流I1、二次巻線部電圧V2、二次側整流電流ID1、二次巻線電流I2、及び二次巻線電圧V3が示される。
図8において、一次側の動作に対応する、スイッチング電圧V1、スイッチング電流IQ1、一次巻線電流I1の各波形は、第1の実施の形態に対応する図3とほぼ同様の波形が得られている。この場合のスイッチング電流IQ1についても、図3の場合と同様にして、スイッチング素子Q1のオフ期間TOFFに至る以前のタイミングでピークレベルとなり、オフ期間TOFFに至るまで、下降していく波形となっている。
また、二次側の動作を示す二次巻線部電圧V2、二次側整流電流ID1、二次巻線電流I2、及び二次巻線電圧V3などの波形については、図3との比較では、期間TON,TOFFに対する位相が異なるものとなっている。これは、図1の電源回路では、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と二次巻線N2の極性が加極性とされて、スイッチング素子Q1がオンとされる期間に応じて整流ダイオードDo1が導通して平滑コンデンサCoに充電を行う(電力供給を行う)動作であるのに対して、図7の電源回路では、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と二次巻線N2の極性が減極性とされて、スイッチング素子Q1がオフとされる期間に応じて整流ダイオードDo1が導通して平滑コンデンサCoに充電を行う(電力供給を行う)動作であることによる。
図8において、一次側の動作に対応する、スイッチング電圧V1、スイッチング電流IQ1、一次巻線電流I1の各波形は、第1の実施の形態に対応する図3とほぼ同様の波形が得られている。この場合のスイッチング電流IQ1についても、図3の場合と同様にして、スイッチング素子Q1のオフ期間TOFFに至る以前のタイミングでピークレベルとなり、オフ期間TOFFに至るまで、下降していく波形となっている。
また、二次側の動作を示す二次巻線部電圧V2、二次側整流電流ID1、二次巻線電流I2、及び二次巻線電圧V3などの波形については、図3との比較では、期間TON,TOFFに対する位相が異なるものとなっている。これは、図1の電源回路では、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と二次巻線N2の極性が加極性とされて、スイッチング素子Q1がオンとされる期間に応じて整流ダイオードDo1が導通して平滑コンデンサCoに充電を行う(電力供給を行う)動作であるのに対して、図7の電源回路では、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と二次巻線N2の極性が減極性とされて、スイッチング素子Q1がオフとされる期間に応じて整流ダイオードDo1が導通して平滑コンデンサCoに充電を行う(電力供給を行う)動作であることによる。
図9の回路図は、第3の実施の形態としての電源回路の構成例を示している。なお、この図において、図1及び図7と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
この図に示す電源回路の二次側においては、図1と同様にして、一次巻線N1と二次巻線N2とが加極性となるようにして巻装される。また、二次巻線N2については、二次巻線部N2Aを巻装したうえで、この二次巻線部N2Aに対して二次巻線部N2Bを追加的に巻装することで、二次巻線部N2A,N2Bの直列接続として形成される。なお、この場合の二次巻線部N2A,N2Bの巻数(ターン数:T)については、N2A>N2Bの関係が得られるように設定する。
そして、この二次巻線N2に対して二次側並列共振コンデンサC2を接続した回路形態とすることで、二次側並列共振回路を形成する。
そのうえで、二次側整流回路としては、両波整流回路を備える。
この図に示す電源回路の二次側においては、図1と同様にして、一次巻線N1と二次巻線N2とが加極性となるようにして巻装される。また、二次巻線N2については、二次巻線部N2Aを巻装したうえで、この二次巻線部N2Aに対して二次巻線部N2Bを追加的に巻装することで、二次巻線部N2A,N2Bの直列接続として形成される。なお、この場合の二次巻線部N2A,N2Bの巻数(ターン数:T)については、N2A>N2Bの関係が得られるように設定する。
そして、この二次巻線N2に対して二次側並列共振コンデンサC2を接続した回路形態とすることで、二次側並列共振回路を形成する。
そのうえで、二次側整流回路としては、両波整流回路を備える。
この場合の二次側整流回路としては、整流ダイオードDo1,Do2及び平滑コンデンサCoを備える。
整流ダイオードDo1のアノードは、二次巻線部N2A側の端部である二次巻線N2の巻始め端部と二次側並列共振コンデンサC2との接続点に対して接続され、整流ダイオードDo2のアノードは、二次巻線部N2B側の端部である二次巻線N2の巻き終わり端部と二次側並列共振コンデンサC2との接続点に対して接続される。整流ダイオードDo1,Do2の各カソードを平滑コンデンサCoの正極端子と接続し、平滑コンデンサCoの負極端子と、二次巻線部N2A,N2Bのタップとを、二次側アース電位にて接続する。
この構成では、一次巻線N1と二次巻線部N2Aとの極性については加極性(相互インダクタンス=+M)で、一次巻線N1と二次巻線部N2との極性については減極性(相互インダクタンス=−M)となる。
整流ダイオードDo1のアノードは、二次巻線部N2A側の端部である二次巻線N2の巻始め端部と二次側並列共振コンデンサC2との接続点に対して接続され、整流ダイオードDo2のアノードは、二次巻線部N2B側の端部である二次巻線N2の巻き終わり端部と二次側並列共振コンデンサC2との接続点に対して接続される。整流ダイオードDo1,Do2の各カソードを平滑コンデンサCoの正極端子と接続し、平滑コンデンサCoの負極端子と、二次巻線部N2A,N2Bのタップとを、二次側アース電位にて接続する。
この構成では、一次巻線N1と二次巻線部N2Aとの極性については加極性(相互インダクタンス=+M)で、一次巻線N1と二次巻線部N2との極性については減極性(相互インダクタンス=−M)となる。
上記のようにして形成される両波整流回路の動作は次のようになる。
二次巻線N2の両端に生じる二次巻線電圧V2について、二次巻線N2の巻始め端部側が正極性となる半波の期間においては整流ダイオードDo1が導通して、二次巻線部N2A−整流ダイオードDo1−平滑コンデンサCoの経路で整流電流ID1が流れるようにされ、平滑コンデンサCoへの充電が行われる。
続く、二次巻線電圧V2について二次巻線N2の巻終わり端部側が正極性となる半波の期間においては整流ダイオードDo2が導通し、二次巻線部N2A−整流ダイオードDo2−平滑コンデンサCoの経路で整流電流ID2が流れるようにされ、平滑コンデンサCoへの充電が行われる。
これにより、平滑コンデンサCoの両端電圧として、二次巻線N2に得られる交番電圧の等倍に対応するレベルの二次側直流出力電圧Eoが得られる。
また、上記のようにして二次側の整流動作が行われるのに応じて、二次側並列共振回路の共振動作も生じるようにされる。
二次巻線N2の両端に生じる二次巻線電圧V2について、二次巻線N2の巻始め端部側が正極性となる半波の期間においては整流ダイオードDo1が導通して、二次巻線部N2A−整流ダイオードDo1−平滑コンデンサCoの経路で整流電流ID1が流れるようにされ、平滑コンデンサCoへの充電が行われる。
続く、二次巻線電圧V2について二次巻線N2の巻終わり端部側が正極性となる半波の期間においては整流ダイオードDo2が導通し、二次巻線部N2A−整流ダイオードDo2−平滑コンデンサCoの経路で整流電流ID2が流れるようにされ、平滑コンデンサCoへの充電が行われる。
これにより、平滑コンデンサCoの両端電圧として、二次巻線N2に得られる交番電圧の等倍に対応するレベルの二次側直流出力電圧Eoが得られる。
また、上記のようにして二次側の整流動作が行われるのに応じて、二次側並列共振回路の共振動作も生じるようにされる。
また、上記した二次側の両波整流回路の動作と二次側並列共振回路との関係は、例えば第1の実施の形態により説明した二次側並列共振回路と半波整流回路の動作が、二次巻線電圧V2の正/負の各半波の期間において得られているものとみることができる。つまり、二次巻線電圧V2の巻始め端部側が正極性となる半波の期間においては、二次巻線部N2A、整流ダイオードDo1及び平滑コンデンサCoから成る半波整流回路の整流動作により整流電流を流し、二次巻線電圧V2の巻始め端部側が負極性となる半波の期間においては、二次巻線部N2B、整流ダイオードDo2及び平滑コンデンサCoから成る半波整流回路の整流動作により整流電流を流す動作である。
このことから、第3の実施の形態としても、例えば従来二次側半波構成を採る場合と比較した場合には、第1の実施の形態と同様の理由により、二次側並列共振回路を形成する二次巻線N2のリーケージインダクタンスは増加されており、従って、二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとしては、所要の共振周波数fo2を得るのにあたって、より小さな値を設定できる。これにより、本実施の形態としても、二次側並列共振回路に流れる共振電流I2のレベルが低減される。そして、このことが、第1の実施の形態同様に、電力変換効率の向上の重要な要因となる。
このことから、第3の実施の形態としても、例えば従来二次側半波構成を採る場合と比較した場合には、第1の実施の形態と同様の理由により、二次側並列共振回路を形成する二次巻線N2のリーケージインダクタンスは増加されており、従って、二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとしては、所要の共振周波数fo2を得るのにあたって、より小さな値を設定できる。これにより、本実施の形態としても、二次側並列共振回路に流れる共振電流I2のレベルが低減される。そして、このことが、第1の実施の形態同様に、電力変換効率の向上の重要な要因となる。
上記した回路構成による第3の実施の形態の電源回路の実際として、要部については、下記のように設定を行って構成している。
先ず、絶縁コンバータトランスPITについては、コアについてEER-35を選定して、ギャップGについては2.2mmのギャップ長を設定した。一次巻線N1及び二次巻線N2の各巻数(ターン数)Tについては、N1=52T、N2A=28T、N2B=23Tを選定している。これにより、絶縁コンバータトランスPITの結合係数kについてはk=0.685が設定される。
また、一次側並列共振コンデンサCrのキャパシタンスについてはCr=3300pFを選定した。この一次側並列共振コンデンサCrについてのキャパシタンス設定と、上記絶縁コンバータトランスPITの構造により得られる一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1とにより、一次側並列共振回路の共振周波数fo1=157.5kHzが設定される。また、二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスについてはC2=8200pFを選定しており、このキャパシタンス設定と、絶縁コンバータトランスPITの構造により得られる二次巻線N2(N2A+N2B)のリーケージインダクタンスL2とにより、二次側並列共振周波数fo2=101.5kHzが設定される。相対的には、fo1≒1.5×fo2の関係が得られているといえる。
対応負荷電力は、最大負荷電力Pomax=200W、最小負荷電力Pomin=0W(無負荷)とし、二次側直流出力電圧Eoの定格レベルは135Vとしている。
先ず、絶縁コンバータトランスPITについては、コアについてEER-35を選定して、ギャップGについては2.2mmのギャップ長を設定した。一次巻線N1及び二次巻線N2の各巻数(ターン数)Tについては、N1=52T、N2A=28T、N2B=23Tを選定している。これにより、絶縁コンバータトランスPITの結合係数kについてはk=0.685が設定される。
また、一次側並列共振コンデンサCrのキャパシタンスについてはCr=3300pFを選定した。この一次側並列共振コンデンサCrについてのキャパシタンス設定と、上記絶縁コンバータトランスPITの構造により得られる一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1とにより、一次側並列共振回路の共振周波数fo1=157.5kHzが設定される。また、二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスについてはC2=8200pFを選定しており、このキャパシタンス設定と、絶縁コンバータトランスPITの構造により得られる二次巻線N2(N2A+N2B)のリーケージインダクタンスL2とにより、二次側並列共振周波数fo2=101.5kHzが設定される。相対的には、fo1≒1.5×fo2の関係が得られているといえる。
対応負荷電力は、最大負荷電力Pomax=200W、最小負荷電力Pomin=0W(無負荷)とし、二次側直流出力電圧Eoの定格レベルは135Vとしている。
図10の波形図は、上記構成による図9の電源回路における要部の動作を、スイッチング素子Q1のスイッチング周期により示している。ここでは、交流入力電圧VAC=100V/最大負荷電力Pomax=200W時におけるスイッチング電圧V1、スイッチング電流IQ1、一次巻線電流I1、二次巻線電圧V2、二次側整流電流ID1,ID2、二次巻線電流I2が示される。
一次側の動作を示すスイッチング電圧V1、スイッチング電流IQ1、一次巻線電流I1については、図3とほぼ同様の波形が得られている。
また、二次側の動作は二次巻線電圧V2、二次側整流電流ID1,ID2、二次巻線電流I2により示される。図9の電源回路の場合には、二次側整流回路が両波整流回路であることに対応して、二次側整流電流は、二次巻線電圧V2が正/負の各半波の期間ごとに対応して流れている。つまり、二次巻線電圧V2が正極性となる半波の期間においては、整流ダイオードDo1が導通して整流電流ID1が図示する波形により流れ、二次巻線電圧V2が負極性となる半波の期間においては、整流ダイオードDo2が導通して整流電流ID2が図示する波形により流れる。また、図9の電源回路の場合は、一次巻線N1と二次巻線部N2Aが加極性で、一次巻線N1と二次巻線部N2Bが減極性となる。このために、二次巻線部N2Aを含む整流電流経路を形成する整流ダイオードDo1に流れる二次側整流電流ID1は、スイッチング素子Q1のオン期間にほぼ対応して流れ、二次巻線部N2Bを含む整流電流経路を形成する整流ダイオードDo2に流れる二次側整流電流ID2は、スイッチング素子Q1のオフ期間にほぼ対応して流れる。また、この場合の二次巻線電流(共振電流)I2は、二次側整流電流ID1,ID2、及び二次側並列共振コンデンサC2に流れる電流とが合成されたものとなる。
また、二次側の動作は二次巻線電圧V2、二次側整流電流ID1,ID2、二次巻線電流I2により示される。図9の電源回路の場合には、二次側整流回路が両波整流回路であることに対応して、二次側整流電流は、二次巻線電圧V2が正/負の各半波の期間ごとに対応して流れている。つまり、二次巻線電圧V2が正極性となる半波の期間においては、整流ダイオードDo1が導通して整流電流ID1が図示する波形により流れ、二次巻線電圧V2が負極性となる半波の期間においては、整流ダイオードDo2が導通して整流電流ID2が図示する波形により流れる。また、図9の電源回路の場合は、一次巻線N1と二次巻線部N2Aが加極性で、一次巻線N1と二次巻線部N2Bが減極性となる。このために、二次巻線部N2Aを含む整流電流経路を形成する整流ダイオードDo1に流れる二次側整流電流ID1は、スイッチング素子Q1のオン期間にほぼ対応して流れ、二次巻線部N2Bを含む整流電流経路を形成する整流ダイオードDo2に流れる二次側整流電流ID2は、スイッチング素子Q1のオフ期間にほぼ対応して流れる。また、この場合の二次巻線電流(共振電流)I2は、二次側整流電流ID1,ID2、及び二次側並列共振コンデンサC2に流れる電流とが合成されたものとなる。
また、図9に示した第3の実施の形態の電源回路についての実験結果として、交流入力電圧VAC=100V時における、負荷変動に対するAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)、スイッチング周波数fs、及びスイッチング素子Q1のオン期間である期間TON、オフ期間である期間TOFFの時間長の変化特性については、図4とほぼ同等となる結果が得られた。
先ず、スイッチング周波数fsの変化についての具体値としては、交流入力電圧VAC=100V時では、最大負荷電力Pomax=200W〜最小負荷電力Pomin=0Wの範囲に対応して、fs=105.3kHz〜153.1kHzで、Δfs=47.8kHzとなる。また、交流入力電圧VAC=230V時では、最大負荷電力Pomax=200W〜最小負荷電力Pomin=0Wの範囲に対応して、fs=162.2kHz〜184.5kHzで、Δfs=22.3kHzとなる。
この場合、ΔfsA=184.5kHz−105.3kHz=79.2kHzであり、ワイドレンジ対応化が可能なスイッチング周波数の上限値/下限値、及び必要制御範囲が得られていることが分かる。
また、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)については、具体的には、最大負荷電力Pomax=200W時のAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)としては、交流入力電圧VAC=100V時ではηAC→DC=92.6%、交流入力電圧VAC=230V時では91.7%であり、両者の交流入力電圧VACの条件において最大負荷電力Pomax=200Wから負荷電力Po=60Wの範囲で90%以上のηAC→DCの値が得られるという、良好な測定結果が得られた。
先ず、スイッチング周波数fsの変化についての具体値としては、交流入力電圧VAC=100V時では、最大負荷電力Pomax=200W〜最小負荷電力Pomin=0Wの範囲に対応して、fs=105.3kHz〜153.1kHzで、Δfs=47.8kHzとなる。また、交流入力電圧VAC=230V時では、最大負荷電力Pomax=200W〜最小負荷電力Pomin=0Wの範囲に対応して、fs=162.2kHz〜184.5kHzで、Δfs=22.3kHzとなる。
この場合、ΔfsA=184.5kHz−105.3kHz=79.2kHzであり、ワイドレンジ対応化が可能なスイッチング周波数の上限値/下限値、及び必要制御範囲が得られていることが分かる。
また、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)については、具体的には、最大負荷電力Pomax=200W時のAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)としては、交流入力電圧VAC=100V時ではηAC→DC=92.6%、交流入力電圧VAC=230V時では91.7%であり、両者の交流入力電圧VACの条件において最大負荷電力Pomax=200Wから負荷電力Po=60Wの範囲で90%以上のηAC→DCの値が得られるという、良好な測定結果が得られた。
ここで、図10に示されるスイッチング電流IQ1は、スイッチング素子Q1のオフ期間TOFFに至る以前のタイミングで既にピークレベルとなって、以降、オフ期間TOFFに至るまで、ほぼそのピークレベルを維持する平坦な波形となっている。このような波形も、例えば図10の波形と比較した場合には、スイッチング電流IQ1のピークレベルが抑制されていることになる。また、このようなスイッチング電流IQ1の波形は、第1の実施の形態における説明と同様にして、一次側並列共振回路の共振周波数fo1と二次側並列共振回路の共振周波数fo2の設定により最終的に得られたものである。つまり、本実施の形態としても、一次側並列共振回路の共振周波数fo1と二次側並列共振回路の共振周波数fo2の設定により、電力変換効率の向上要因が得られている。
また、同じく図10の波形図によると、二次側整流電流ID1とID2は、同じピークレベルとなっている。
仮に、二次巻線部N2A,N2Bについて同等の巻数とした場合には、ピークレベルは二次側整流電流ID1のほうが二次側整流電流ID2よりも高くなる。これは、一次巻線N1と二次巻線部N2Aが加極性であるのに対して、一次巻線N1と二次巻線部N2Bが減極性であることによる。このために、二次側整流電流ID1は、二次巻線部N2Aの交番電圧により整流ダイオードDo1が導通して流れるものであることから、二次側整流電流ID1はスイッチング素子Q1がオンとなる期間に対応して流れる。これに対して、二次側整流電流ID2は、二次巻線部N2Bの交番電圧により整流ダイオードDo2が導通して流れるものであることから、二次側整流電流ID2はスイッチング素子Q1がオフとなる期間に対応して流れる。このことが、二次側整流電流ID1,ID2の間でのピークレベルの差を生じさせる。
このような二次側整流電流のピークレベルのアンバランスは、スイッチング損失の増加につながるもので、電力変換効率の低下要因となる。そこで、本実施の形態としては、一次巻線N1と加極性の関係にある二次巻線部N2Aについて、一次巻線N1と減極性の関係にある二次巻線部N2Bよりも多い所定の巻数を設定することで、二次側整流電流ID1,ID2のピークレベルが同等となるようにして、ピークレベルのアンバランスに起因するスイッチング損失の低下の問題を解消している。第3の実施の形態のようにして二次側整流回路として両波整流回路を備える場合には、このようにして二次巻線部N2A、N2Bの巻数設定によりピークレベルのアンバランスを解消することによっても、電力変換効率の向上が図られる。
仮に、二次巻線部N2A,N2Bについて同等の巻数とした場合には、ピークレベルは二次側整流電流ID1のほうが二次側整流電流ID2よりも高くなる。これは、一次巻線N1と二次巻線部N2Aが加極性であるのに対して、一次巻線N1と二次巻線部N2Bが減極性であることによる。このために、二次側整流電流ID1は、二次巻線部N2Aの交番電圧により整流ダイオードDo1が導通して流れるものであることから、二次側整流電流ID1はスイッチング素子Q1がオンとなる期間に対応して流れる。これに対して、二次側整流電流ID2は、二次巻線部N2Bの交番電圧により整流ダイオードDo2が導通して流れるものであることから、二次側整流電流ID2はスイッチング素子Q1がオフとなる期間に対応して流れる。このことが、二次側整流電流ID1,ID2の間でのピークレベルの差を生じさせる。
このような二次側整流電流のピークレベルのアンバランスは、スイッチング損失の増加につながるもので、電力変換効率の低下要因となる。そこで、本実施の形態としては、一次巻線N1と加極性の関係にある二次巻線部N2Aについて、一次巻線N1と減極性の関係にある二次巻線部N2Bよりも多い所定の巻数を設定することで、二次側整流電流ID1,ID2のピークレベルが同等となるようにして、ピークレベルのアンバランスに起因するスイッチング損失の低下の問題を解消している。第3の実施の形態のようにして二次側整流回路として両波整流回路を備える場合には、このようにして二次巻線部N2A、N2Bの巻数設定によりピークレベルのアンバランスを解消することによっても、電力変換効率の向上が図られる。
参考までに図10に示す電源回路の構成から、二次側整流回路について従来と同様の両波整流回路に置き換えた回路構成についての実験結果を示しておく。図10に示す電源回路の二次側整流回路について従来と同様の両波整流回路とした構成については、二次巻線N2については、60Tとしてセンタータップを施して、センタータップを境界にして30Tずつとなるように分割する。そのうえで、整流ダイオードDo1,Do2のアノードを二次巻線N2の両端部に対してそれぞれ接続し、整流ダイオードDo1,Do2のカソードは平滑コンデンサCoの正極端子に接続する。平滑コンデンサCoの負極端子は、二次側アース電位にて、二次巻線N2のセンタータップと接続する。また、一次側並列共振コンデンサCr=4700pF,二次側並列共振コンデンサC2=0.039μFを選定する。絶縁コンバータトランスPITについては、実施の形態と同様の結合係数k=0.685を設定する。
上記構成でのAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)についての測定結果としては、交流入力電圧VAC=100V、最大負荷電力Pomax=200W時において、ηAC→DC=90.7%で、最大負荷電力Pomax=200Wから負荷電力Po=125W程度までの範囲でηAC→DC=90%以上が維持される特性が得られた。この実験結果と、第3の実施の形態の実験結果とを比較してみても、本実施の形態のほうが、最大負荷電力Pomax=200W時の特性が良好であり、また、ηAC→DC=90%以上が維持される中間負荷の領域範囲が拡大されている。
上記構成でのAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)についての測定結果としては、交流入力電圧VAC=100V、最大負荷電力Pomax=200W時において、ηAC→DC=90.7%で、最大負荷電力Pomax=200Wから負荷電力Po=125W程度までの範囲でηAC→DC=90%以上が維持される特性が得られた。この実験結果と、第3の実施の形態の実験結果とを比較してみても、本実施の形態のほうが、最大負荷電力Pomax=200W時の特性が良好であり、また、ηAC→DC=90%以上が維持される中間負荷の領域範囲が拡大されている。
図11は、第4の実施の形態としての電源回路の構成例を示している。なお、この図において、図1、図7、及び図9と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この図に示す電源回路も、絶縁コンバータトランスPITについては、図2により説明したのと同様の構造により、結合係数kについては0.7程度又はそれ以下の所定値が設定される。
この図に示す電源回路では、図7の第3の実施の形態と同様にして、二次側整流回路としては、両波整流回路を備える。そのうえで、絶縁コンバータトランスPITに巻装する一次巻線N1と二次巻線N2の極性については減極性としている。これに応じて、一次巻線N1の巻始め端部は、平滑コンデンサCiの正極端子側と接続され、巻き終わり端部は、スイッチング素子Q1のドレインと接続される。第3の実施の形態(図7)では、この接続関係が逆となっており、一次巻線N1の巻始め端部がスイッチング素子Q1のドレインと接続され、巻き終わり端部が平滑コンデンサCiの正極端子側と接続される。また、これとともに、一次巻線N1と二次巻線部NA2が加極性となり、一次巻線N1と二次巻線部N2Bが減極性となる。つまり、第3の実施の形態とは逆の関係となる。
この図に示す電源回路では、図7の第3の実施の形態と同様にして、二次側整流回路としては、両波整流回路を備える。そのうえで、絶縁コンバータトランスPITに巻装する一次巻線N1と二次巻線N2の極性については減極性としている。これに応じて、一次巻線N1の巻始め端部は、平滑コンデンサCiの正極端子側と接続され、巻き終わり端部は、スイッチング素子Q1のドレインと接続される。第3の実施の形態(図7)では、この接続関係が逆となっており、一次巻線N1の巻始め端部がスイッチング素子Q1のドレインと接続され、巻き終わり端部が平滑コンデンサCiの正極端子側と接続される。また、これとともに、一次巻線N1と二次巻線部NA2が加極性となり、一次巻線N1と二次巻線部N2Bが減極性となる。つまり、第3の実施の形態とは逆の関係となる。
また、この第4の実施の形態では、二次側整流回路が両波整流回路である場合の二次側並列共振回路のバリエーションが示されている。
つまり、この場合には、2つの二次側並列共振コンデンサC2A,C2Bを設け、二次側並列共振コンデンサC2Aを二次巻線部N2Aに対して並列に接続し、二次側並列共振コンデンサC2Bを二次巻線部N2Bに対して並列に接続する。このような接続態様では、2つの二次側並列共振コンデンサC2A,C2Bの直列接続回路を、二次巻線N2に対して並列に接続することで二次側並列共振回路を形成しているものとみることができる。この接続態様では、例えば第3の実施の形態のようにして、二次巻線N2に対して1つの二次側並列共振コンデンサC2を並列接続する場合に選定する二次側並列共振コンデンサC2の耐圧レベルと比較して、二次側並列共振コンデンサC2A,C2Bの耐圧を低下させることができる。
つまり、この場合には、2つの二次側並列共振コンデンサC2A,C2Bを設け、二次側並列共振コンデンサC2Aを二次巻線部N2Aに対して並列に接続し、二次側並列共振コンデンサC2Bを二次巻線部N2Bに対して並列に接続する。このような接続態様では、2つの二次側並列共振コンデンサC2A,C2Bの直列接続回路を、二次巻線N2に対して並列に接続することで二次側並列共振回路を形成しているものとみることができる。この接続態様では、例えば第3の実施の形態のようにして、二次巻線N2に対して1つの二次側並列共振コンデンサC2を並列接続する場合に選定する二次側並列共振コンデンサC2の耐圧レベルと比較して、二次側並列共振コンデンサC2A,C2Bの耐圧を低下させることができる。
また、この場合の二次側並列共振回路の共振周波数fo2は、二次巻線N2(N2A+N2B)のリーケージインダクタンスと、直列接続された二次側並列共振コンデンサC2A,C2Bの合成キャパシタンスとによって設定することになる。そのうえで、一次側並列共振回路の共振周波数fo1と、二次側並列共振回路の共振周波数fo2については、第3の実施の形態とほぼ同等の値を設定するようにされる。
図12の波形図は、上記構成による第4の実施の形態の電源回路における要部の動作を、スイッチング素子Q1のスイッチング周期により示している。ここでは、交流入力電圧VAC=100V/最大負荷電力Pomax=200W時におけるスイッチング電圧V1、スイッチング電流IQ1、一次巻線電流I1、二次巻線部電圧V2、二次側整流電流ID1,ID2及び二次巻線電流I2が示される。
図12において、一次側の動作に対応する、スイッチング電圧V1、スイッチング電流IQ1、一次巻線電流I1の各波形は、例えば第3の実施の形態に対応する図10とほぼ同様の波形が得られている。この場合のスイッチング電流IQ1についても、図10と同様にして、スイッチング素子Q1のオフ期間TOFFに至る以前のタイミングでピークレベルとなり、オフ期間TOFFに至るまで、ほぼ平坦となる波形となっている。
図12において、一次側の動作に対応する、スイッチング電圧V1、スイッチング電流IQ1、一次巻線電流I1の各波形は、例えば第3の実施の形態に対応する図10とほぼ同様の波形が得られている。この場合のスイッチング電流IQ1についても、図10と同様にして、スイッチング素子Q1のオフ期間TOFFに至る以前のタイミングでピークレベルとなり、オフ期間TOFFに至るまで、ほぼ平坦となる波形となっている。
また、二次側の動作を示す二次巻線部電圧V2、二次側整流電流ID1、二次巻線電流I2、及び二次巻線電圧V3などの波形については、第3の実施の形態に対応する図10との比較では、期間TON,TOFFに対する位相が異なるものとなっている。
つまり、先に図9に示した第3の実施の形態の電源回路では、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と二次巻線部N2Aが加極性とされ、一次巻線N1と二次巻線部N2Bが減極性とされているために、スイッチング素子Q1がオンとされる期間に応じて整流ダイオードDo1が導通して平滑コンデンサCoに充電を行い、スイッチング素子Q1がオフとされる期間に応じて整流ダイオードDo2が導通して平滑コンデンサCoに充電を行う動作となっている。
これに対して、図11に示す第4の実施の形態の電源回路では、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と二次巻線部N2Aが減極性とされ、一次巻線N1と二次巻線部N2Bが加極性とされているために、スイッチング素子Q1がオフとされる期間に応じて整流ダイオードDo1が導通して平滑コンデンサCoに充電を行い、スイッチング素子Q1がオンとされる期間に応じて整流ダイオードDo2が導通して平滑コンデンサCoに充電を行う動作となっている。
つまり、先に図9に示した第3の実施の形態の電源回路では、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と二次巻線部N2Aが加極性とされ、一次巻線N1と二次巻線部N2Bが減極性とされているために、スイッチング素子Q1がオンとされる期間に応じて整流ダイオードDo1が導通して平滑コンデンサCoに充電を行い、スイッチング素子Q1がオフとされる期間に応じて整流ダイオードDo2が導通して平滑コンデンサCoに充電を行う動作となっている。
これに対して、図11に示す第4の実施の形態の電源回路では、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と二次巻線部N2Aが減極性とされ、一次巻線N1と二次巻線部N2Bが加極性とされているために、スイッチング素子Q1がオフとされる期間に応じて整流ダイオードDo1が導通して平滑コンデンサCoに充電を行い、スイッチング素子Q1がオンとされる期間に応じて整流ダイオードDo2が導通して平滑コンデンサCoに充電を行う動作となっている。
また、図12に示される二次側整流電流ID1,ID2についても同じピークレベルが得られている。つまり、第3の実施の形態と同様に、二次側整流電流ID1,ID2について同じピークレベルが得られるようにして、二次巻線部N2A,N2Bの巻数の関係が設定されている。
なお、本発明としては、上記各実施の形態として示した構成に限定されるものではない。例えば、一次側電圧共振形コンバータの細部の回路形態や、二次側並列共振回路を含んで形成する二次側整流回路の構成などは他にも考えられるものである。
また、メインスイッチング素子(及び補助スイッチング素子)については、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、バイポーラトランジスタなど、MOS−FET以外の素子を選定することも考えられる。また、上記各実施の形態では、他励式のスイッチングコンバータを挙げているが、自励式として構成した場合にも本発明は適用できる。
また、メインスイッチング素子(及び補助スイッチング素子)については、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、バイポーラトランジスタなど、MOS−FET以外の素子を選定することも考えられる。また、上記各実施の形態では、他励式のスイッチングコンバータを挙げているが、自励式として構成した場合にも本発明は適用できる。
1 制御回路、2 発振・ドライブ回路、Di ブリッジ整流回路、Ci 平滑コンデンサ、Q1 スイッチング素子、PIT 絶縁コンバータトランス、Cr 一次側並列共振コンデンサ、N1 一次巻線、N2 二次巻線、N2A,N2B 二次巻線部、C2 二次側並列共振コンデンサ、Do1,Do2, 整流ダイオード、Co (二次側)平滑コンデンサ
Claims (4)
- 直流入力電圧を入力してスイッチングを行うメインスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、
上記メインスイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段と、
少なくとも、上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線が巻装されるとともに、主二次巻線部と副二次巻線とから成り、二次巻線全体としての巻数が、上記副二次巻線部により上記主二次巻線部自体の巻線数よりも増加するように設定される上記二次巻線が巻装されるコンバータトランスと、
少なくとも上記コンバータトランスの一次巻線を含む漏洩インダクタンス成分と一次側並列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成されて、上記スイッチング手段の動作を電圧共振形とする一次側並列共振回路と、
上記コンバータトランスの二次巻線に対して並列となる関係により二次側並列共振コンデンサを接続することで、少なくとも上記コンバータトランスの二次巻線の漏洩インダクタンス成分と上記二次側並列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成される二次側並列共振回路と、
上記コンバータトランスの二次巻線に誘起される交番電圧の少なくとも一方の半波の期間において上記主二次巻線部に得られる交番電圧を整流する動作によって二次側直流出力電圧を生成するように形成された二次側直流出力電圧生成手段と、
上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて上記スイッチング駆動手段を制御して、上記スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、上記二次側直流出力電圧について定電圧制御を行う定電圧制御手段とを備えるとともに、
上記コンバータトランスは、上記一次側並列共振回路と上記二次側並列共振回路とを有して形成される電磁結合形共振回路について、上記スイッチング周波数を有する周波数信号の入力に対する出力特性が単峰特性となるようにして、疎結合とみなされる所定の一次側と二次側との結合係数を設定し、
少なくとも、所定の直流入力電圧レベルの条件と所定の負荷条件の下で一定以上の電力変換効率が得られるようにして、上記一次側並列共振回路の共振周波数と、上記二次側並列共振回路の共振周波数とについて設定している、
ことを特徴とするスイッチング電源回路。 - 二次側直流出力電圧生成手段は、
上記コンバータトランスの二次巻線に誘起される交番電圧の一方の半波の期間においてのみ、上記主二次巻線部に得られる交番電圧を整流する動作によって二次側直流出力電圧を生成する半波整流回路として形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。 - 二次側直流出力電圧生成手段は、
上記コンバータトランスの二次巻線に誘起される交番電圧の一方の半波の期間において、上記主二次巻線部に得られる交番電圧を整流し、上記コンバータトランスの二次巻線に誘起される交番電圧の他方の半波の期間において、上記副二次巻線部に得られる交番電圧を整流する動作によって二次側直流出力電圧を生成する両波整流回路として形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。 - 上記両波整流回路は、
上記二次側並列共振コンデンサを2つ備え、この2つの二次側並列共振コンデンサのうちの一方を上記主二次巻線に対して接続し、上記2つの二次側並列共振コンデンサのうちの他方を上記副二次巻線に対して接続して形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
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