JP2006278549A - 有機el素子及び有機elディスプレイ - Google Patents

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雄一郎 板井
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【課題】より低電圧で高輝度を実現可能であり、色純度、特に青色発光の色純度に優れ、発光効率の高い有機EL素子等を提供する。
【解決手段】正極及び負極の間に発光層を含む有機薄膜層を有してなり、有機薄膜層における一層が、シクロフォスファゼン環化合物を含有する。有機薄膜層が電子輸送層を有し、電子輸送材料に下記一般式(1)で表されるシクロフォスファゼン環化合物がドープされる。
Figure 2006278549

ただし、一般式(1)中、R及びRはC、H、O、及びFのいずれかを有する有機置換基を表す。nは、1以上の整数を表す。
【選択図】なし

Description

本発明は、より低電圧で高輝度を実現可能であり、色純度、特に青色発光の色純度に優れ、発光効率の高い有機EL素子、及び該有機EL素子を用いた高性能な有機ELディスプレイに関する。
有機EL素子は、自発光、高速応答などの特徴を持ち、フラットパネルディスプレイへの適用が期待されており、特に、正孔輸送性の有機薄膜(正孔輸送層)と電子輸送性の有機薄膜(電子輸送層)とを積層した2層型(積層型)のものが報告されて以来(例えば、非特許文献1参照)、10V以下の低電圧で発光する大面積発光素子として関心を集めている。前記積層型の有機EL素子は、正極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/負極、を基本構成とし、このうち発光層は、前記2層型の場合のように前記正孔輸送層又は前記電子輸送層にその機能を兼ねさせてもよい。有機EL素子については、現在まで様々な素子構造及び有機材料の使用による開発が行われており、例えば、10Vの低駆動電圧で1,000cd/m程度の輝度が得られているが、より低駆動電圧で高輝度が得られる有機EL素子が求められている。
従来より一般的に陰極側は、電子を注入するための電子注入層と、該電子を運ぶ電子輸送層とからなる構成が採用されている。該電子輸送層を形成する材料としては、種々の材料が用いられているが、高発光効率を得るためには、電子輸送量を向上させるものが好ましく、最も代表的なものとしては、Alqが知られている。
また、発光層にて発光が行われず正極側に電子が漏れることを防止するため、正孔ブロッキング層を設ける等の改良がなされている(例えば、特許文献1参照)。このような正孔ブロッキング層を設けることにより、発光層近傍に正孔と電子との再結合領域を確立することができ、発光効率の向上が実現可能となる。
更に、電子輸送材料に、電子輸送性能及び正孔ブロッキング性能を併せ持つドーパントをドープすることにより、電子の輸送をより促進させ、かつ正孔の輸送をブロックする電子輸送層を有する有機EL素子が提案されている(例えば、特許文献2〜4参照)。これらの有機EL素子においては、前記ドーパントとして、カルバゾール基を有する化合物や縮合多環芳香族化合物が用いられている。しかし、これらのドーパントは、該ドーパント自体が発光し、色純度が低下することがあるほか、正孔の輸送をブロックする機能を有するため、正孔だけでなく電子の輸送をもブロックしてしまうことがあり、電子輸送性が十分ではなく、電圧が上昇し、前記低駆動電圧の要求に反するという問題がある。
したがって、電子の輸送を妨げることなく、負極側への正孔の流入を効果的にブロックすることができる電子輸送層の形成に好適に使用可能なドーパント材料に関する更なる改良が要求されており、より低電圧で駆動可能であり、高輝度を実現可能な発光効率の高い有機EL素子は、未だ提供されていないのが現状である。
C.W.Tang and S.A.VanSlyke,Applied Physics Letters vol.51,913(1987) 特許第2673261号公報 特開2002−141172号公報 特開2000−164362号公報 特開2000−252077号公報
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、より低電圧で高輝度を実現可能であり、色純度、特に青色発光の色純度に優れ、発光効率の高い有機EL素子、及び該有機EL素子を用いた高性能な有機ELディスプレイを提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題に鑑み、鋭意検討を行った結果、以下の知見を得た。即ち、シクロフォスファゼン環化合物をドーパントとして用い、該シクロフォスファゼン環化合物をドープさせて有機薄膜層を形成すると、電子の輸送を妨げることなく、負極側への正孔の流入を効果的にブロックすることができ、低電圧で駆動可能であり、高輝度を実現することができ、色純度、特に青色発光の色純度に優れ、発光効率の高い有機EL素子が得られるという知見である。
本発明は、本発明者の前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、後述の付記に記載の通りである。即ち、
本発明の有機EL素子は、正極及び負極の間に発光層を少なくとも含む有機薄膜層を有してなり、該有機薄膜層における一層が、シクロフォスファゼン環化合物を含有することを特徴とする。このため、より低電圧で高輝度を実現可能であり、色純度、特に青色発光の色純度が高く、発光効率が高い。
即ち、該有機EL素子においては、その有機薄膜層が、シクロフォスファゼン環化合物をドーパントとして含有するので、電子輸送性と正孔ブロッキング性とに優れ、かつ該ドーパント自体が発光することがない。また、前記有機薄膜層における電子輸送層においては、負極から輸送されてきた電子の輸送を妨げることなく、正極から輸送されてきた正孔の負極側への流入を効果的にブロックすることができるため、発光輝度、色純度、特に青色発光の色純度、発光効率等に優れる。
本発明の有機ELディスプレイは、本発明の前記有機EL素子を用いてなる。このため、該有機ELディスプレイにおいては、前記電子の輸送が確保されつつ、前記正孔の負極側への流入が効果的にブロックされるので、より低電圧で高輝度を実現可能であり、色純度、特に青色発光の色純度に優れ、発光効率が高い。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、より低電圧で高輝度を実現可能であり、色純度、特に青色発光の色純度に優れ、発光効率の高い有機EL素子、及び該有機EL素子を用いた高性能な有機ELディスプレイを提供することができる。
(有機EL素子)
本発明の有機EL素子は、正極及び負極の間に発光層を少なくとも含む有機薄膜層を有してなり、該有機薄膜層における一層が、シクロフォスファゼン環化合物を含有してなる。
−シクロフォスファゼン環化合物−
前記シクロフォスファゼン環化合物としては、シクロフォスファゼン環を中心骨格とした化合物である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、該シクロフォスファゼン環化合物自体が実質的に発光しないものが好ましく、電子輸送性能及び正孔ブロッキング性能を有する点で、下記一般式(1)で表されるものが好適に挙げられる。該シクロフォスファゼン環化合物は、前記シクロフォスファゼン環を中心骨格として有するので、直鎖状のポリフォスファゼン化合物と比較して、前記電子輸送性及び前記正孔ブロッキング性に特に優れる。
Figure 2006278549
ただし、前記一般式(1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、C原子、H原子、O原子、及びF原子の少なくともいずれかを有する有機置換基を表す。
nは、1以上の整数を表し、化学的に安定であり合成も容易である点で、2〜4が好ましい。
前記一般式(1)で表されるシクロフォスファゼン環化合物の中でも、R及びRがF原子を少なくとも有する下記構造式(1)で表されるものが好ましい。この場合、蒸着が可能で、ベンゼン環を有し、前記有機薄膜層における他の層との親和性が良好な点で有利である。
Figure 2006278549
前記構造式(1)中、xは0以上の整数を表し、合成が容易な点で、2〜4が好ましい。
前記シクロフォスファゼン環化合物の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000〜10,000が好ましく、2,000〜4,000がより好ましい。
前記重量平均分子量が、1,000未満であると、化学的に不安定となることがあり、10,000を超えると、合成そのものがより難しくなり、また、蒸着法を用いて有機EL素子を作製すると、蒸着するための蒸着温度が上昇し、蒸着そのものがより困難となることがある。
前記シクロフォスファゼン環化合物は、前記有機薄膜層に含有されるが、該有機薄膜層における電子輸送層に含有されるのが好ましい。この場合、該電子輸送層において、前記電子の輸送が妨げられることなく、前記負極側への前記正孔の流入が効果的にブロックされ、発光層近傍に前記正孔と前記電子との再結合領域を確立することができ、発光効率が向上する。
前記シクロフォスファゼン環化合物が前記電子輸送層に含有される場合、該電子輸送層は、電子輸送材料に前記シクロフォスファゼン環化合物がドープされて形成されるのが好ましく、この際、前記シクロフォスファゼン環化合物自体が実質的に発光しないのが好ましく、前記シクロフォスファゼン環化合物のエネルギーギャップが、前記電子輸送材料のエネルギーギャップよりも大きいことが好ましい。
前記エネルギーギャップの差により発光が生ずるが、前記電子輸送材料のエネルギーギャップの方が前記シクロフォスファゼン環化合物のエネルギーギャップよりも小さいと、該シクロフォスファゼン環化合物の励起を妨げる。即ち、まず、前記シクロフォスファゼン環化合物が励起される。そして、該シクロフォスファゼン環化合物の発光波長と、前記電子輸送材料の吸収波長とが重なり合う場合、該シクロフォスファゼン環化合物から該電子輸送材料へと励起エネルギーが効率的に移動し、該シクロフォスファゼン環化合物は発光することなく基底状態に戻る。その結果、前記電子輸送層における発光を防止することができ、色純度の向上を図ることができる。
前記シクロフォスファゼン環化合物としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、ダウケミカル社製 商品名X1Pなどが好適に挙げられる。
前記電子輸送材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記構造式(2)で表されるトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)等の8−キノリノール乃至その誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、などが挙げられる。これらの中でも
、電子輸送性に優れる点で、Alqが好ましい。
なお、これらの電子輸送層の材料を前記発光層の材料と混合して製膜すると電子輸送層兼発光層を形成することができ、更に前記正孔輸送層の材料も混合させて製膜すると電子輸送層兼正孔輸送層兼発光層を形成することができ、この際、ポリビニルカルバゾール、ポリカーボネート等のポリマーを使用することができる。
Figure 2006278549
前記シクロフォスファゼン環化合物の前記電子輸送層におけるドープ量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜35vol%が好ましく、5〜30vol%がより好ましく、10〜30vol%が更に好ましく、10〜20vol%が特に好ましい。
前記ドープ量が、5vol%未満であると、正孔ブロッキング性が十分でないことがあり、35vol%を超えると、前記Alqの優れた電子輸送性を発揮することができず、電圧上昇が生ずることがある。
前記有機薄膜層としては、前記発光層を少なくとも有すること以外は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロッキング層、発光層、電子輸送層、電子注入層、などを有していてもよい。
本発明の有機EL素子における層構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下の(1)〜(13)、即ち(1)正極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/負極、(2)正極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/負極、(3)正極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/負極、(4)正極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/負極、(5)正極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層兼電子輸送層/電子注入層/負極、(6)正極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層兼電子輸送層/負極、(7)正極/正孔輸送層/発光層兼電子輸送層/電子注入層/負極、(8)正極/正孔輸送層/発光層兼電子輸送層/負極、(9)正極/正孔注入層/正孔輸送層兼発光層/電子輸送層/電子注入層/負極、(10)正極/正孔注入層/正孔輸送層兼発光層/電子輸送層/負極、(11)正極/正孔輸送層兼発光層/電子輸送層/電子注入層/負極、(12)正極/正孔輸送層兼発光層/電子輸送層/負極、(13)正極/正孔輸送層兼発光層兼電子輸送層/負極、などが好適に挙げられる。なお、前記有機EL素子が前記正孔ブロッキング層を有する場合には、前記(1)〜(13)において、前記発光層と前記電子輸送層との間に該正孔ブロッキング層が配置される層構成が好適に挙げられる。
前記(1)〜(13)の層構成の内、前記(1)に更に前記正孔ブロッキング層を有している態様として、正極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔ブロッキング層/電子輸送層/電子注入層/負極の態様を図示すると、図1に示す通りであり、有機EL素子10は、ガラス基板12上に形成された正極14(例えばITO電極)と、正孔注入層16と、正孔輸送層17と、発光層18と、正孔ブロッキング層19と、電子輸送層20と、電子注入層21と、負極22(例えばAl−Li電極)とをこの順に積層してなる層構成である。なお、正極14(例えばITO電極)と負極22(例えばAl−Li電極)とは電源を介して互いに接続されている。正孔注入層16と正孔輸送層17と発光層18と正孔ブロッキング層19と電子輸送層20と電子注入層21とで前記有機薄膜層が形成されている。
−正極−
前記正極としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記正孔注入層に、正孔(キャリア)を供給することができるものが好ましい。
前記正極の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられ、これらの中でも仕事関数が4eV以上の材料が好ましい。
前記正極の材料の具体例としては、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、これらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機導電性材料、これらとITOとの積層物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、導電性金属酸化物が好ましく、生産性、高伝導性、透明性などの観点からはITOが特に好ましい。
前記正極の厚みとしては、特に制限はなく、材料等により適宜選択可能であるが、1〜5000nmが好ましく、20〜200nmがより好ましい。
前記正極は、通常、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等のガラス、透明樹脂等の基板上に形成される。
前記基板として前記ガラスを用いる場合、該ガラスからの溶出イオンを少なくする観点からは、前記無アルカリガラス、シリカなどのバリアコートを施した前記ソーダライムガラスが好ましい。
前記基板の厚みとしては、機械的強度を保つのに充分な厚みであれば特に制限はないが、該基材としてガラスを用いる場合には、通常0.2mm以上であり、0.7mm以上が好ましい。
前記正極は、例えば、蒸着法、湿式製膜法、電子ビーム法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、分子積層法、LB法、印刷法、転写法、化学反応法(ゾル−ゲル法など)により該ITOの分散物を塗布する方法、などの上述した方法により好適に形成することができる。
前記正極は、洗浄、その他の処理を行うことにより、該有機EL素子の駆動電圧を低下させたり、発光効率を高めることも可能である。前記その他の処理としては、例えば、前記正極の素材がITOである場合には、UV−オゾン処理、プラズマ処理などが好適に挙げられる。
−正孔注入層−
前記正孔注入層は、電界印加時に前記正極から正孔を注入し、前記正孔輸送層へ輸送する機能などを有する。
前記正孔注入層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記構造式(3)で表される、2−TNATA(4,4’,4”-tris(2-naphthylphenylamino)triphenylamine)、銅フタロシアニン、ポリアニリン、などが好適に挙げられる。
Figure 2006278549
前記正孔注入層におけるイオン化ポテンシャルとしては、図6に示すように、前記正極におけるイオン化ポテンシャルと、前記正孔輸送層のHOMO(最高被占分子軌道)におけるイオン化ポテンシャルとの間に位置すること、即ち、前記正極におけるイオン化ポテンシャルよりも小さく、前記正孔輸送層におけるHOMO(最高被占分子軌道)のイオン化ポテンシャルよりも大きいことが好ましい。この場合、前記正孔を前記正孔から前記有機薄膜層に注入する際のエネルギー障壁が小さくなり、正電圧に対する電流がよく流れ、発光効率が向上する点で有利である。なお、前記イオン化ポテンシャルとは、原子又は分子の基底状態から1個の電子を無限遠に引き離すのに要するエネルギー、即ちイオン化エネルギーを電子ボルトの単位で表した数値を意味する。
前記正孔注入層におけるイオン化ポテンシャルの具体的な値としては、前記正孔注入層の厚みに応じて異なり一概に規定することができないが、4.8〜5.6eV程度が好ましい。
なお、前記イオン化ポテンシャルは、公知のイオン化ポテンシャル測定装置を用いて測定することができる。
また、前記正孔注入層の材料としては、パーフルオロポリエーテルを含有するものが好適に使用可能である。前記正孔注入層が、前記パーフルオロポリエーテル化合物を含有してなると、該正孔注入層の前記イオン化ポテンシャルを上述のように好ましい範囲内に容易に制御することができ、また、該正孔注入層との隣接層(前記正極及び前記正孔輸送層)との濡れ性に富み密着性が良好である点で有利である。
前記パーフルオロポリエーテル化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パーフルオロポリエーテル骨格を有するものが挙げられ、下記構造式(4)及び構造式(5)の少なくともいずれかで表されるものが好適に挙げられる。
Figure 2006278549
ただし、前記構造式(4)及び構造式(5)中、R、R及びRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子又は置換基を表す。
Rfは、下記構造式(6)で表されるパーフルオロポリエーテル骨格を表し、部分的に水素化されていることが好ましく、例えば、該Rfにおけるフッ素原子の一部(50%以下)が水素原子で置換されていてもよい。
Figure 2006278549
ただし、前記構造式(6)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、一般式:−C2p+1(但し、pは、0以上の整数を表し、0〜10が好ましい。)を表す。
n及びmは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、0以上の整数を表し、0〜10が好ましい。
x及びyは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、1以上の整数を表し、1〜200が好ましい。
前記Rfで表されるパーフルオロポリエーテル骨格の具体例としては、下記表1に記載したものなどが好適に挙げられる。なお、表1中、p、q、l、m及びnは、1以上の整数を表す。
Figure 2006278549
前記構造式(4)及び構造式(5)中、R〜Rが前記置換基である場合、該置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、水酸基、アミド基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、後述する構造式(7)で表される基、などが好ましい。これらの置換基は、更に前記置換基で置換されていてもよい。
前記アルキル基としては、例えば、炭素数が1〜25のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、C1225、C1429、C1633、C1837、C2449、などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、などが挙げられる。
前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基、などが挙げられる。
Figure 2006278549
前記構造式(7)中、Rは、炭化水素基を表し、例えば、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、などが挙げられる。なお、これらの基における水素原子の一部又は全部が、フッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子などで置換されていてもよい。
aは、0以上の整数を表し、例えば、0〜10が好ましく、0〜5がより好ましい。
〜R10は、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子又は炭化水素基を表す。なお、該炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、などが挙げられる。これらの基における水素原子の一部又は全部が、フッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基、水酸基、アミノ基、アミノアルキル基、ホスホノ基などで置換されていてもよい。
前記構造式(7)で表される置換基の具体例としては、下記表2に示すものが好適に挙げられる。
Figure 2006278549
前記パーフルオロポリエーテル化合物としては、上述したもの以外に、例えば、該パーフルオロポリエーテル化合物とアミンとの反応生成物であるパーフルオロポリエーテルのアミン塩化合物、などが好適に挙げられる。
前記アミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンのいずれであってもよく、第四級アンモニウム塩であってもよく、これらの中でもアルキル基を有するものが好ましく、炭素数が6以上のアルキル基を有するものがより好ましく、炭素数が10以上のアルキル基を有するものが更に好ましい。
前記第一級アミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、シクロペンチルアミン、イソペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、1−フェニルエチルアミン、2−フェニルエチルアミン、アリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアミン、2−メトキシエチルアミン、などが挙げられる。
前記第二級アミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサメチレンアミン、ピペラジン、モルホリン、などが挙げられる。
前記第三級アミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリアミルアミンなどのトリアルキルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール等のアルカノールアミン、トリエチレンジアミン等の脂肪族又は非芳香族環状アミン、ジメチルフェニルアミン、ジメチルベンジルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルアニリン、ピリジン、ピコリン等の芳香族アミン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−1等の脂環式アミン、などが挙げられる。
前記第四級アンモニウム塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラアルキルアンモニウムハライド(例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等のテトラC1〜6(炭素数1〜6を表す)アルキルアンモニウムハライド)、トリアルキルアラルキルアンモニウムハライド(例えば、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリプロピルベンジルアンモニウムクロライドなどのトリC1〜6アルキル−C7〜10アラルキルアンモニウムハライド)、N−アルキルピリジニウムハライド(例えば、N−メチルピリジニウムクロライドなど)、などが挙げられる。
前記パーフルオロポリエーテルのアミン塩化合物の具体例としては、両末端にカルボキシル基を有する下記構造式(8)で表される、パーフルオロポリエーテル(以下、多官能パーフルオロポリエーテルと称する。)とアミンとの反応化合物、片側の末端にのみカルボキシル基を有する下記構造式(9)で表される、パーフルオロポリエーテル(以下、単官能パーフルオロポリエーテルと称する。)とアミンと反応化合物、などが挙げられる。
Figure 2006278549
Figure 2006278549
なお、前記パーフルオロポリエーテルのアミン塩化合物においては、前記パーフルオロポリエーテル骨格が部分的に水素化されていてもよく、例えば、該パーフルオロポリエーテル骨格におけるフッ素原子の一部(50%以下)が水素原子で置換されていてもよい。
前記パーフルオロポリエーテルのアミン塩化合物は、前記パーフルオロポリエーテルと、アミン又はジアミンとを用い、以下の方法により簡単に合成することができる。即ち、単官能パーフルオロポリエーテル又は多官能パーフルオロポリエーテルと、アミン又はジアミンとを混合し、用いた該アミン又はジアミンの融点以上の温度(前記アミンとしてステアリルアミンを用いた場合には60℃)で加熱することにより、合成することができる。
前記パーフルオロポリエーテル化合物の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、500〜10,000が好ましく、1,000〜6,000がより好ましい。
前記重量平均分子量が、500未満であると、正孔注入量の増加効果が十分に得られないことがあり、10,000を超えると、有機溶媒への溶解性が減少し、成膜性が低下することがある。
前記パーフルオロポリエーテル化合物としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、アウジモント(株)製 商品名Z−dol 1000、Z−dol 2000、Z−dol 4000、などが好適に挙げられる。
前記正孔注入層は、例えば、蒸着法、湿式成膜法、電子ビーム法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、分子積層法、LB法、印刷法、転写法、などの方法により好適に形成することができる。
前記蒸着法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、真空蒸着法、抵抗加熱蒸着、化学蒸着法、物理蒸着法、などが挙げられる。該化学蒸着法としては、例えば、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法などが挙げられる。
前記湿式成膜法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、インクジェット法、スピンコート法、ニーダーコート法、バーコート法、ブレードコート法、キャスト法、ディップ法、カーテンコート法、などが挙げられる。
前記湿式成膜法の場合、前記正孔注入層の材料を樹脂成分と共に溶解乃至分散させた溶液を用いる(塗布等する)ことができ、該樹脂成分としては、例えば、ポリビニルカルバゾール、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、などが挙げられる。
前記湿式成膜法による前記正孔注入層の形成は、例えば、前記正孔注入層用材料及び必要に応じて用いる前記樹脂材料を溶剤に溶解した溶液(塗布液)を用いて塗布、乾燥等することにより、好適に行うことができる。
なお、前記溶剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、また市販品を好適に使用することができ、例えば、FC77(3M社製)、Vertrel XF(デュポン社製)などが挙げられる。
前記正孔注入層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、10nm以下が好ましく、0.1〜10nmがより好ましい。
前記正孔注入層の厚みが10nmを超えると、前記発光層に正孔がスムーズに流れなくなることがある。
−正孔輸送層−
前記正孔輸送層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、電界印加時に前記正孔注入層からの正孔を輸送する機能を有しているものが好ましい。
前記正孔輸送層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族アミン化合物、カルバゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、スチリルアミン、芳香族ジメチリディン化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー及びポリマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー及びポリマー、カーボン膜、などが挙げられる。なお、これらの正孔輸送層の材料を前記発光層の材料と混合して製膜すると正孔輸送層兼発光層を形成することができる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの中でも、芳香族アミン化合物が好ましく、具体的には、下記構造式(10)で表されるTPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン)、下記構造式(11)で表されるNPD(N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン)などがより好ましい。
Figure 2006278549
Figure 2006278549
前記正孔輸送層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常1〜500nmであり、10〜100nmが好ましい。
前記正孔輸送層は、例えば、蒸着法、湿式製膜法、電子ビーム法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、分子積層法、LB法、印刷法、転写法、などの上述した方法により好適に形成することができる。
−発光層−
前記発光層は、電界印加時に前記正極、前記正孔注入層、前記正孔輸送層等から正孔を注入することができ、前記負極、前記電子注入層、前記電子輸送層等から電子を注入することができ、更に該正孔と該電子との再結合の場を提供し、該再結合の際に生ずる再結合エネルギーにより、所望の発光色に発色する発光材料を含有する。
前記発光材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、緑色発光材料、青色発光材料、黄色発光材料、赤色発光材料などが挙げられる。
前記緑色発光材料としては、緑色発光可能なものであれば特に制限はなく、例えば、アルミキノリウム錯体、ベンゾキノリノールBe錯体、などが挙げられる。
前記青色発光材料としては、青色発光可能なものであれば特に制限はなく、例えば、ベンゾオキサゾールZn錯体、キノリノール系錯体、などが挙げられる。
前記黄色発光材料としては、黄色発光可能なものであれば特に制限はなく、例えば、8−キノリノールのZnとの4配位錯体、などが挙げられる。
前記赤色発光材料としては、赤色発光可能なものであれば特に制限はなく、例えば、DCM色素(C.W.Tang,S.A. VanSlyke,and C.H.Chen,Applied Physics Letters vol.65,3610(1989))、赤色蛍光発光性を有するポルフィン化合物又はポルフィリン化合物(特開平9−13024号公報、特開平9−296166号公報、特開平11−251061号公報、特開平11−251062号公報、国際公開番号WO98/00474号公報)、赤色蛍光発光性を有するビスアンスレン化合物(特開平11−144868号公報)、などが挙げられる。
前記発光層は、公知の方法に従って形成することができるが、例えば、蒸着法、湿式製膜法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、分子積層法、LB法、印刷法、転写法、などにより好適に形成することができる。
前記発光層の厚みとしては、1〜50nmが好ましく、3〜20nmがより好ましい。
前記発光層の厚みが、前記好ましい数値範囲であると、該有機EL素子により発光される光の発光効率・発光輝度・色純度が十分であり、前記より好ましい数値範囲であるとそれが顕著である点で有利である。
前記発光層は、前記正孔輸送層、前記電子輸送層などの機能を併有する発光層兼電子輸送層、発光層兼正孔輸送層等として設計されてもよい。
前記発光層、あるいは前記発光層兼電子輸送層、発光層兼正孔輸送層等は、ゲスト材料として前記発光材料を含有し、該ゲスト材料以外に、発光波長が該ゲスト材料の光吸収波長付近にあるホスト材料を更に含有しているのが好ましい。なお、該ホスト材料は、通常、前記発光層に含有されるが、前記正孔輸送層、前記電子輸送層等に含有されていてもよい。
前記ゲスト材料と前記ホスト材料とを併用する場合、有機EL発光が生ずる際、まず、前記ホスト材料が励起される。そして、該ホスト材料の発光波長と、前記ゲスト材料の吸収波長とが重なり合うので、該ホスト材料から該ゲスト材料へと励起エネルギーが効率的に移動し、該ホスト材料は発光することなく基底状態に戻り、励起状態となった該ゲスト材料のみが励起エネルギーを光として放出するため、発光効率・色純度等に優れる。
また、一般に薄膜中に発光分子が単独又は高濃度で存在する場合には、発光分子同士が接近することにより発光分子間で相互作用が生じ、「濃度消光」と呼ばれる発光効率低下現象が起こるが、前記ゲスト材料と前記ホスト材料とを併用する場合、前記ゲスト化合物が、前記ホスト化合物中に比較的低濃度で分散されているので、前記「濃度消光」が効果的に抑制され、発光効率に優れる点で有利である。更に、前記ゲスト材料と前記ホスト材料とを前記発光層において併用する場合には、前記ホスト材料が一般に成膜性に優れるので、発光特性を維持しつつ成膜性に優れる点で有利である。
前記ホスト材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、発光波長が該ゲスト材料の光吸収波長付近にあるものが好ましく、例えば、低分子系ホスト材料、高分子系ホスト材料などが挙げられる。
前記低分子系ホスト材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)−1,1’−ビフェニル(DPVBi)、p−セシキフェニル(p−SP)、1,3,6,8−テトラフェニルピレン(tppy)、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(NPD)、オキシン錯体及びカルバゾール誘導体から選択されるのが好ましく、下記構造式(12)で表される芳香族アミン誘導体、下記構造式(14)で表されるカルバゾール誘導体、下記構造式(16)で表されるオキシン錯体、下記構造式(18)で表される1,3,6,8−テトラフェニルピレン化合物、下記構造式(20)で表される4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)−1,1’−ビフェニル(DPVBi)(主発光波長=470nm)、下記構造式(21)で表されるp−セシキフェニル(主発光波長=400nm)、下記構造式(22)で表される9,9’−ビアントリル(主発光波長=460nm)、などが好適に挙げられる。
Figure 2006278549
前記構造式(12)中、nは、2又は3の整数を表す。Arは、2価若しくは3価の芳香族基又は複素環式芳香族基を表す。R11及びR12は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、1価の芳香族基又は複素環式芳香族基を表す。前記1価の芳香族基又は複素環式芳香族基としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。
前記構造式(12)で表される芳香族アミン誘導体の中でも、下記構造式(13)で表されるN,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(NPD)(主発光波長=430nm)及びその誘導体が好ましい。
Figure 2006278549
Figure 2006278549
前記構造式(14)中、Arは、以下に示す、芳香族環を含む2価若しくは3価の基、又は、複素環式芳香族環を含む2価若しくは3価の基を表す。
Figure 2006278549
これらは、非共役性の基で置換されていてもよく、また、Rは、連結基を表し、例えば以下のものが好適に挙げられる。
Figure 2006278549
前記構造式(14)中、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、水酸基、アミド基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素環基、又は芳香族複素環基を表し、これらは置換基で更に置換されていてもよい。
前記構造式(14)中、nは、整数を表し、2又は3が好適に挙げられる。
前記構造式(14)で表される芳香族アミン誘導体の中でも、Arが、ベンゼン環が単結合を介して2つ連結された芳香族基であり、R13及びR14が水素原子であり、n=2であるもの、即ち、下記構造式(15)で表される4,4’−ビス(9−カルバゾリル)−ビフェニル(CBP)(主発光波長=380nm)及びその誘導体から選択されるものが、発光効率等に特に優れる点で好ましい。
Figure 2006278549
Figure 2006278549
ただし、前記構造式(16)中、R15は、水素原子又は一価炭化水素基を表す。
前記構造式(16)で表されるオキシン錯体の中でも、下記構造式(17)で表されるアルミニウムキノリン錯体(Alq)(主発光波長=530nm)が好ましい。
Figure 2006278549
Figure 2006278549
ただし、前記構造式(18)中、R16〜R19は、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素原子又は置換基を表す。該置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基が好適に挙げられ、これらは更に置換基で置換されていてもよい。
前記構造式(18)で表される1,3,6,8−テトラフェニルピレンの中でも、R16〜R19が水素原子である、即ち、下記構造式(19)で表される1,3,6,8−テトラフェニルピレン(主発光波長=440nm)が、発光効率等に特に優れる点で好ましい。
Figure 2006278549
Figure 2006278549
Figure 2006278549
Figure 2006278549
前記高分子系ホスト材料としては、下記構造式で表されるポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリチオフェン(PAT)、ポリパラフェニレン(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)、ポリフルオレン(PF)、ポリアセチレン(PA)、これらの誘導体、などが挙げられ、これらの中でも、下記構造式(23)で表されるポリビニルカルバゾール(PVCz)が好適である。
Figure 2006278549
ただし、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アルキル基、シクロアルキル基、窒素原子や硫黄原子を含んでいてもよいアリール基、アリールオキシ基を表し、これらは置換基で更に置換されていてもよい。xは、整数を表す。
Figure 2006278549
ただし、前記構造式(23)中、R20及びR21は、環状構造の任意の位置に付与されたそれぞれ複数の置換基を表し、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アルキル基、シクロアルキル基、窒素原子や硫黄原子を含んでいてもよいアリール基、アリールオキシ基を表し、これらは置換基で更に置換されていてもよい。該R20及びR21は、互いに連結して、窒素原子、硫黄原子、酸素原子を含んでいてもよい芳香族環を形成してもよく、これらは置換基で更に置換されていてもよい。xは、整数を表す。
−正孔ブロッキング層−
前記正孔ブロッキング層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記正極から注入された正孔を障壁する機能を有しているものが好ましい。
前記正孔ブロッキング層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記有機EL素子が前記正孔ブロッキング層を有していると、正極側から輸送されてきた正孔が該正孔ブロッキング層でブロックされ、負極から輸送されてきた電子は該正孔ブロッキング層を通過して前記発光層に到達することにより、該発光層で効率よく電子と正孔との再結合が生じるため、該発光層以外の有機薄膜層での前記正孔と前記電子との再結合を防ぐことができ、目的とする発光材料からの発光が効率的に得られ、色純度等の点で有利である。
前記正孔ブロッキング層は、前記発光層と前記電子輸送層との間に配置されるのが好ましい。
前記正孔ブロッキング層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通常1〜500nm程度であり、10〜50nmが好ましい。
前記正孔ブロッキング層は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
前記正孔ブロッキング層は、例えば、蒸着法、湿式製膜法、電子ビーム法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、分子積層法、LB法、印刷法、転写法、などの上述した方法により好適に形成することができる。
−電子輸送層−
前記電子輸送層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記負極からの電子を輸送する機能及び前記正極から注入された正孔を障壁する機能を有しているものが好ましく、前記シクロフォスファゼン環化合物を含有するものが好ましい。なお、前記電子輸送層の材料及び前記シクロフォスファゼン環化合物の詳細については、上述した通りである。
前記電子輸送層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1〜100nmが好ましく、10〜50nmがより好ましい。
前記電子輸送層の厚みが、0.1nm未満であると、膜として使用することができないことがあり、100nmを超えると、電圧上昇を起こし、電流を流すことが困難になることがある。
前記電子輸送層は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
前記電子輸送層は、例えば、蒸着法、湿式製膜法、電子ビーム法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、分子積層法、LB法、印刷法、転写法、などの上述した方法により好適に形成することができる。
−電子注入層−
前記電子注入層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記負極からの電子を注入し、電子輸送層へ輸送する機能、を有しているものが好ましい。
前記電子注入層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ化リチウム等のアルカリ金属フッ化物、フッ化ストロンチウム等のアルカリ土類金属フッ化物、などが挙げられる。
前記電子注入層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通常0.1〜10nm程度であり、0.5〜2nmが好ましい。
前記電子注入層は、例えば、蒸着法、湿式製膜法、電子ビーム法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、分子積層法、LB法、印刷法、転写法、などの上述した方法により好適に形成することができる。
−負極−
前記負極としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記有機薄膜層に、具体的には該有機薄膜層が前記発光層のみを有する場合には該発光層に、該有機薄膜層が更に前記電子輸送層を有する場合には該電子輸送層に、該有機薄膜層及び該負極間に電子注入層を有する場合には該電子注入層に、電子を供給することができるものが好ましい。
前記負極の材料としては、特に制限はなく、前記電子輸送層、前記発光層などの該負極と隣接する層乃至分子との密着性、イオン化ポテンシャル、安定性等に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられる。
前記負極の材料の具体例としては、アルカリ金属(例えばLi、Na、K、Csなど)、アルカリ土類金属(例えばMg、Caなど)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金又はそれらの混合金属、リチウム−アルミニウム合金又はそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金又はそれらの混合金属、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、これらの合金、などが挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、仕事関数が4eV以下の材料が好ましく、アルミニウム、リチウム−アルミニウム合金又はそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金又はそれらの混合金属、などがより好ましい。
前記負極の厚みとしては、特に制限はなく、該負極の材料等に応じて適宜選択することができるが、1〜10000nmが好ましく、20〜200nmがより好ましい。
前記負極は、例えば、蒸着法、湿式製膜法、電子ビーム法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、分子積層法、LB法、印刷法、転写法、などの上述した方法により好適に形成することができる。
前記負極の材料として2種以上を併用する場合には、該2種以上の材料を同時に蒸着し、合金電極等を形成してもよいし、予め調製した合金を蒸着させて合金電極等を形成してもよい。
前記正極及び前記負極の抵抗値としては、低い方が好ましく、数百Ω/□以下であるのが好ましい。
−その他の層−
本発明の有機EL素子は、目的に応じて適宜選択したその他の層を有していてもよく、該その他の層としては、例えば、電子ブロッキング層、保護層、などが好適に挙げられる。
前記電子ブロッキング層は、前記負極から注入された電子を障壁する機能などを有する。
前記電子ブロッキング層が存在すると、負極側から輸送されてきた電子が該電子ブロッキング層でブロックされ、正極から輸送されてきた正孔は該電子ブロッキング層を通過して前記発光層に到達することにより、該発光層で効率よく電子と正孔との再結合が生じるため、該発光層以外の有機薄膜層での前記電子と前記正孔との再結合を防ぐことができ、目的とする発光材料からの発光が効率的に得られ、色純度等の点で有利である。
前記電子ブロッキング層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、パーフルオロエーテル化合物を含有するものが好適に挙げられる。この場合、該電子ブロッキング層により、前記負極から輸送されてきた電子の正極側への流入が効果的にブロックされ、より低電圧で高輝度を実現可能な発光効率の高い有機EL素子を得ることができる。
前記パーフルオロエーテル化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、合成が容易であり、製造コストが低く、化合物の化学的安定性が良好な点で、例えば、前記構造式(4)及び下記構造式(25)の少なくともいずれかで表されるものが好適に挙げられる。
Figure 2006278549
ただし、Rfは、前記構造式(6)で表されるパーフルオロポリエーテル骨格を表し、部分的に水素化されていることが好ましく、例えば、該Rfにおけるフッ素原子の一部(50%以下)が水素原子で置換されていてもよい。
Figure 2006278549
ただし、前記構造式(6)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、一般式:−C2p+1(ただし、pは、0以上の整数を表し、0〜10が好ましい。)を表す。
n及びmは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、0以上の整数を表し、0〜10が好ましい。n+mは1以上の整数である。
x及びyは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、1以上の整数を表し、1〜200が好ましい。x+yは、化合物としての合成が比較的容易であるという点で、次式、2≦x+y≦20、を充たすのが好ましく、一般的な蒸着チャンバで蒸着可能な蒸気圧に適した分子量が得られる点で、次式、2≦x+y≦10、を充たすのがより好ましい。
なお、前記Rfで表されるパーフルオロポリエーテル骨格の具体例は、前記正孔注入層の説明において詳述した通りである。
前記構造式(4)で表されるパーフルオロポリエーテルの具体例としては、蒸着に適した蒸気圧を有し、蒸着速度の安定性が良好な点で、例えば、下記構造式(26)で表されるものが好適に挙げられ、前記構造式(25)で表されるパーフルオロクラウンエーテルの具体例としては、例えば、下記構造式(27)で表されるものが好適に挙げられる。
Figure 2006278549
ただし、前記構造式(26)中、n及びmは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、0以上の整数を表し、n+mは1以上の整数である。
なお、前記構造式(26)で表されるパーフルオロポリエーテルの重量平均分子量としては、8,000であるのが好ましい。
Figure 2006278549
前記パーフルオロエーテル化合物としては、上述したもの以外に、例えば、前記構造式(4)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物とアミンとの反応生成物であるパーフルオロポリエーテルのアミン塩化合物、前記構造式(25)で表されるパーフルオロクラウンエーテル化合物とアミンとの反応生成物であるパーフルオロクラウンエーテルのアミン塩化合物、などが蒸着に適した蒸気圧を有し、化学的にも安定的である点で好適に挙げられる。なお、前記アミンについては、前記正孔注入層の説明において詳述した通りである。
前記パーフルオロポリエーテル又は前記パーフルオロクラウンエーテルのアミン塩化合物は、前記パーフルオロポリエーテル又は前記パーフルオロクラウンエーテルと、アミン又はジアミンとを用い、以下の方法により簡単に合成することができる。即ち、前記パーフルオロポリエーテル又は前記パーフルオロクラウンエーテルと、アミン又はジアミンとを混合し、用いた該アミン又はジアミンの融点以上の温度(前記アミンとしてステアリルアミンを用いた場合には60℃)で加熱することにより、合成することができる。
前記パーフルオロエーテル化合物の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、化合物としての合成が比較的容易である点で、100〜100,000が好ましく、蒸着し易い蒸気圧を有する点で、1,000〜10,000がより好ましい。前記重量平均分子量が100未満であると、電子のブロッキング効果が十分に得られないことがあり、100,000を超えると、化合物として合成することが困難になることがあり、末端基によっては、蒸気圧が高すぎるため蒸着させ難いことががある。
前記パーフルオロエーテル化合物としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、ソルベイソレクシス社製 商品名FOMBLIN Z15、ダイキン工業社製 商品名DEMNUM、ソルベイソレクシス社製 商品名ガルデンH250、ABCR社製 商品名Perfluoro-15-crown-5-ether、などが好適に挙げられる。
前記電子ブロッキング層は、溶剤塗布の場合における下層の溶解、塗布層からの溶剤除去等の問題がない点で、ドライプロセスにより形成されてなるのが好ましい。
前記ドライプロセスとしては、例えば、蒸着法、電子ビーム法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、などの方法が挙げられる。これらの中でも、有機EL素子を構成する有機膜へのダメージが少ない点で、蒸着法が好ましい。
前記蒸着法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、真空蒸着法、抵抗加熱蒸着法、化学蒸着法、物理蒸着法、などが挙げられる。該化学蒸着法としては、例えば、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法などが挙げられる。
前記電子ブロッキング層は、前記正孔注入層と前記正孔輸送層との間に配置される態様、前記正孔輸送層と後述する発光層との間に配置される態様などが好ましく、正極側への電子の流入を効果的にブロックすることができる点で、前記正孔輸送層と前記発光層との間に配置されるのが特に好ましい。
また、前記電子ブロッキング層は、前記正孔輸送層中に前記パーフルオロエーテル化合物を少なくともドープさせて、正孔輸送層兼電子ブロッキング層として設けてもよい。この場合、電子ブロッキング層の形成態様が膜ではなく前記ドープであるため、膜剥がれ等が少なく、耐久性に優れる点で有利である。
なお、前記電子ブロッキング層は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
前記電子ブロッキング層における前記パーフルオロエーテル化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、該含有量が多いほど電子をブロックする性能が向上する点で好ましく、例えば、50vol%以上が好ましく、100vol%が特に好ましい。
前記含有量が50vol%未満であると、電子をブロックする効果が劣ることがある。
また、前記電子ブロッキング層が前記正孔輸送層兼電子ブロッキング層として設けられる場合の、該正孔輸送層兼電子ブロッキング層における前記パーフルオロエーテル化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、電子をブロックする機能を付与することができる点で0.01vol%以上100vol%未満が好ましく、前記正孔輸送層としての性質を保ちつつ電子をブロックすることができる点で10〜50vol%がより好ましい。
前記含有量が0.01vol%未満であると、電子をブロックする効果が劣ることがある。
前記電子ブロッキング層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、電子を十分にブロックすることができる点で0.01〜100nmが好ましく、絶縁性を大きくしすぎることなく、適度な絶縁性と電子をブロックする性質とを両立させることができる点で0.5〜50nmがより好ましい。
前記厚みが0.01nm未満であると、電子をブロックする効果が発揮されないことがあり、100nmを超えると、電流が流れないことがある。
前記保護層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、水分や酸素等の有機EL素子を劣化促進させる分子乃至物質が有機EL素子内に侵入することを抑止可能であるものが好ましい。
前記保護層の材料としては、例えば、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe、Y、TiO等の金属酸化物、SiN、SiN等の窒化物、MgF、LiF、AlF、CaF等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質などが挙げられる。
前記保護層は、例えば、蒸着法、湿式製膜法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、印刷法、転写法、などの上述した方法により好適に形成することができる。
本発明の有機EL素子の発光効率としては、電圧10V以下で発光することが望まれ、7V以下で発光するのが好ましく、5V以下で発光するのがより好ましく、例えば、電流密度が0.5mA/cmのときに、前記発光効率が2.40以上であるのが好ましく、2.80以上であるのがより好ましい。
本発明の有機EL素子の外部量子効率としては、高いほど好ましく、例えば、電流密度が0.5mA/cmのときに、1.80%以上であるのが好ましく、2.00%以上であるのがより好ましい。
本発明の有機EL素子の発光輝度としては、印加電圧10Vにおいて、100cd/m以上であるのが好ましく、500cd/m以上であるのがより好ましく、1000cd/m以上であるのが特に好ましい。
本発明の有機EL素子は、青色発光用として好適に使用可能であり、該有機EL素子におけるEL発光のCIE色座標としては、x値及びy値が低いほど青色発光の色純度に優れる点で好ましい。
本発明の有機EL素子は、例えば、コンピュータ、車載用表示器、野外表示器、家庭用機器、業務用機器、家電用機器、交通関係表示器、時計表示器、カレンダ表示器、ルミネッセントスクリーン、音響機器等をはじめとする各種分野において好適に使用することができるが、以下の本発明の有機ELディスプレイに特に好適に使用することができる。
(有機ELディスプレイ)
本発明の有機ELディスプレイは、前記本発明の有機EL素子を用いたこと以外は特に制限はなく、公知の構成を適宜採用することができる。
前記有機ELディスプレイは、単色発光のものであってもよいし、多色発光のものであってもよいし、フルカラータイプのものであってもよい。
前記有機ELディスプレイをフルカラータイプのものとする方法としては、例えば「月刊ディスプレイ」、2000年9月号、33〜37ページに記載されているように、色の3原色(青色(B)、緑色(G)、赤色(R))に対応する光をそれぞれ発光する有機EL素子を基板上に配置する3色発光法、白色発光用の有機EL素子による白色発光をカラーフィルターを通して3原色に分ける白色法、青色発光用の有機EL素子による青色発光を蛍光色素層を通して赤色(R)及び緑色(G)に変換する色変換法、などが知られている。
前記3色発光法によりフルカラータイプの有機ELディスプレイを製造する場合には、青色発光用の有機EL素子、赤色発光用の有機EL素子及び緑色発光用の有機EL素子が必要になる。
前記青色発光用の有機EL素子としては、本発明の前記有機EL素子が好適に使用可能である。
前記赤色発光用の有機EL素子としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば層構成が、ITO(正極)/前記NPD/下記式で表されるDCJTB 1%アルミニウムキノリン錯体(Alq)/前記Alq/Al−Li(負極)、であるものなどが好適に挙げられる。前記DCJTBは、下記構造式(28)で表される、4-dicyanomethylene-6-cp-julolidinostyryl-2-tert-butyl-4H-pyranである。なお、前記Alqは先に示した通りである。
Figure 2006278549
前記緑色発光用の有機EL素子としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、層構成が、ITO(正極)/前記NPD/ジメチルキナクドリン 1%前記Alq/前記Alq/Al−Li(負極)、であるものなどが好適に挙げられる。
前記有機ELディスプレイの態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、「日経エレクトロニクス」、No.765,2000年3月13日号、55〜62ページに記載されているような、パッシブマトリクスパネル、アクティブマトリクスパネルなどが好適に挙げられる。
前記パッシブマトリクスパネルは、例えば、図2に示すように、ガラス基板12上に、互いに平行に配置された帯状の正極14(例えばITO電極)を有し、正極14上に、互いに順番に平行にかつ正極14と略直交方向に配置された帯状の青色発光用の有機薄膜層24、緑色発光用の有機薄膜層26及び赤色発光用の有機薄膜層28を有し、青色発光用の有機薄膜層24、緑色発光用の有機薄膜層26及び赤色発光用の有機薄膜層28上に、正極14と直交方向に配置された負極22を有してなる。
前記パッシブマトリクスパネルにおいては、例えば、図3に示すように、複数の正極14からなる正極ライン30と、複数の負極22からなる負極ライン32とが互いに略直行方向に交差して回路が形成されている。各交差点に位置する、青色発光用、緑色発光用及び赤色発光用の各有機薄膜層24、26及び28が画素として機能し、各画素に対応して有機EL素子34が複数存在している。該パッシブマトリクスパネルにおいて、正極ライン30における正極14の1つと、負極ライン32における負極22の1つとに対し、定電流源36により電流を流すと、その際、その交差点に位置する有機薄膜層に電流が流れ、該位置の有機EL薄膜層が発光する。この画素単位の発光を制御することにより、容易にフルカラーの画像を形成することができる。
前記アクティブマトリクスパネルは、例えば、図4に示すように、ガラス基板12上に、走査線、データライン及び電流供給ラインが碁盤目状に形成されており、碁盤目状を形成する走査線等に接続され、各碁盤目に配置されたTFT回路40と、TFT回路40により駆動可能であり、各碁盤目中に配置された正極14(例えばITO電極)とを有し、正極14上に、互いに順番に平行に配置された帯状の青色発光用の有機薄膜層24、緑色発光用の有機薄膜層26及び赤色発光用の有機薄膜層28を有し、青色発光用の有機薄膜層24、緑色発光用の有機薄膜層26及び赤色発光用の有機薄膜層28上に、これらを全部覆うようにして配置された負極22を有してなる。青色発光用の有機薄膜層24、緑色発光用の有機薄膜層26及び赤色発光用の有機薄膜層28は、それぞれ、正孔注入層16(不図示)、正孔輸送層17、発光層18、正孔ブロッキング層19(不図示)、電子輸送層20、及び電子注入層21(付図示)を有している。
前記アクティブマトリクスパネルにおいては、例えば、図5に示すように、複数平行に設けられた走査線46と、複数平行に設けられたデータライン42及び電流供給ライン44とが互いに直交して碁盤目を形成しており、各碁盤目には、スイッチング用TFT48と、駆動用TFT50とが接続されて回路が形成されている。駆動回路38から電流を流すと、碁盤目毎にスイッチング用TFT48と駆動用TFT50とが駆動可能となっている。そして、各碁盤目は、青色発光用、緑色発光用及び赤色発光用の各有機薄膜素子24、26及び28が画素として機能し、該アクティブマトリクスパネルにおいて、横方向に配置された走査線46の1つと、縦方向に配置された電流供給ライン44とに対し、駆動回路38から電流を流すと、その際、その交差点に位置するスイッチング用TFT48が駆動し、それに伴い駆動用TFT50が駆動し、該位置の有機EL素子52が発光する。この画素単位の発光を制御することにより、容易にフルカラーの画像を形成することができる。
本発明の有機ELディスプレイは、例えば、コンピュータ、車載用表示器、野外表示器、家庭用機器、業務用機器、家電用機器、交通関係表示器、時計表示器、カレンダ表示器、ルミネッセントスクリーン、音響機器等をはじめとする各種分野において好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
−有機EL素子の作製−
前記正極として、ITO電極付きガラス基板を用い、これを水、アセトン及びイソプロピルアルコールにて超音波洗浄し、UVオゾン処理した。なお、UVオゾン処理は大気中にてUV照射を20分間行った。
前記構造式(3)で表される、2−TNATA(4,4’,4”-tris(2-naphthylphenylamino)triphenylamine)、及びアクセプタとしてのF4−TCNQ(2,3,5,6-tetrafluoro-7,7,8,8tetracyanoquinodimethane)(0.1vol%)を正孔注入材料として用い、これを真空蒸着装置((真空度=2×10−4Pa)、基板温度=室温)を用いて、前記ITO上に、それぞれ蒸着速度が0.1nm/s、0.0001nm/sの条件にて厚みが140nmとなるように蒸着して前記正孔注入層(2−TNATA及びF4−TCNQの混合膜)を形成した。
次に、α−NPD(N,N’-di(1-naphthyl)-N,N’-diphenyl-[1,1’-biphenyl]-4,4’-diamine)を正孔輸送材料として用い、これを前記真空蒸着装置を用いて、前記正孔注入層上に蒸着速度が0.1nm/sの条件にて厚みが10nmとなるように蒸着して前記正孔輸送層を形成した。
ホスト剤としての前記構造式(16)で表されるCBP及び該CBPにドープさせる発光剤としてのtbppy(1,3,6,8-テトラビフェニルピレン)を発光材料として用い、これを前記真空蒸着装置を用いて、前記正孔輸送層上に、それぞれ蒸着速度が0.09nm/s、0.01nm/sの条件にて厚みが20nmとなるように蒸着して前記発光層を形成した。なお、前記tbppy(1,3,6,8-テトラビフェニルピレン)のドープ量は10vol%である。
下記構造式(29)で表されるBAlqを前記真空蒸着装置を用いて、蒸着速度が0.1nm/sの条件にて厚みが10nmとなるように前記発光層上に蒸着して前記正孔ブロッキング層を形成した。
Figure 2006278549
次に、前記電子輸送材料としてのAlqと、前記ドーパントとしての、下記構造式(1)で表されるシクロフォスファゼン環化合物(「X1P」;ダウケミカル社製)とを用い、それぞれ蒸着速度が0.09nm/s、0.01nm/sの条件にて厚みが20nmとなるように前記正孔ブロッキング層上に蒸着して前記電子輸送層を形成した。なお、前記シクロフォスファゼン環化合物のドープ量は10vol%である。
Figure 2006278549
ただし、前記構造式(1)中、xは0〜6の整数であり、実施例1では、該xが3のシクロフォスファゼン環化合物を主成分とした、該xが0〜6のシクロフォスファゼン環化合物の混合物を使用した。
更に、LiFを蒸着速度0.01nmの条件にて厚みが0.5nmとなるように蒸着して前記電子注入層を形成した。
そして、Alを蒸着速度1nm/sの条件にて厚みが100nmとなるように前記電子注入層上に蒸着して前記負極を形成した。
以上により、図1に示すような積層型の有機EL素子を作製した。
ここで、実施例1の有機EL素子を用い、前記ITOを正極、前記Alを負極として、3V以上の電圧を印加したところ、青色に発光することが判った。
(実施例2)
実施例1において、電子輸送層における前記シクロフォスファゼン環化合物のドープ量を20vol%に変え、前記電子輸送材料としてのAlqと、前記ドーパントとしてのシクロフォスファゼン環化合物(「X1P」;ダウケミカル社製)とを、それぞれ蒸着速度が0.08nm/s、0.02nm/sの条件にて厚みが20nmとなるように前記正孔ブロッキング層上に蒸着して前記電子輸送層を形成した以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
ここで、実施例2の有機EL素子を用い、前記ITOを正極、前記Alを負極として、3V以上の電圧を印加したところ、青色に発光することが判った。
(実施例3)
実施例1において、前記電子輸送層における前記ドーパントとしてのシクロフォスファゼン環化合物のドープ量を10vol%から5vol%に変えた以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
ここで、実施例3の有機EL素子を用い、前記ITOを正極、前記Alを負極として、3V以上の電圧を印加したところ、青色に発光することが判った。
(実施例4)
実施例1において、前記電子輸送層における前記ドーパントとしてのシクロフォスファゼン環化合物のドープ量を10vol%から40vol%に変えた以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
ここで、実施例4の有機EL素子を用い、前記ITOを正極、前記Alを負極として、3V以上の電圧を印加したところ、青色に発光することが判った。
(比較例1)
実施例1において、前記電子輸送層における前記ドーパントとしてのシクロフォスファゼン環化合物のドープを行わず、前記電子輸送材料としてのAlqを蒸着速度が0.1nm/sの条件にて厚みが20nmとなるように前記正孔ブロッキング層上に蒸着して前記電子輸送層を形成した以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
ここで、比較例1の有機EL素子を用い、前記ITOを正極、前記Alを負極として、3V以上の電圧を印加したところ、青色に発光することが判った。
(比較例2)
実施例1において、電子輸送層における前記ドーパントとしてのシクロフォスファゼン環化合物をCBPに代え、前記電子輸送材料としてのAlqと、前記ドーパントとしてのCBPとを、それぞれ蒸着速度が0.09nm/s、0.01nm/sの条件にて厚みが20nmとなるように前記正孔ブロッキング層上に蒸着して前記電子輸送層を形成した以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。なお、前記CBPのドープ量は10vol%である。
ここで、比較例2の有機EL素子を用い、前記ITOを正極、前記Alを負極として、3V以上の電圧を印加したところ、青色に発光することが判った。
得られた各有機EL素子を用いて、駆動電流(電流密度)が0.5mA/cm及び5mA/cmのときの発光効率、色純度、及び外部量子効率を測定した。
各有機EL素子の層構成を表3〜4に、発光効率、色純度、及び外部量子効率の測定値を表5に、それぞれ示す。
なお、発光効率は、発光輝度を測定し、次式、発光効率=発光輝度/電流密度、により求めた。また、色純度は、EL発光のCIE色座標(x,y)により評価した。
Figure 2006278549
Figure 2006278549
Figure 2006278549
表5の結果より、実施例1〜3の有機EL素子は、比較例1〜2の有機EL素子に比べて、同一電流密度において、より高効率であることが判った。なお、電流密度0.5mA/cmでは5〜15cd/m程度の発光輝度が、電流密度5mA/cmでは100〜150cd/m程度の発光輝度が、それぞれ得られた。また、青色発光の場合、x及びyが共に小さいほど色純度が高いが、表5より、実施例1〜4の有機EL素子は色純度が向上しており、実施例4の有機EL素子は、発光効率がやや低いものの、青色発光の色純度に特に優れることが判った。
本発明の好ましい態様を付記すると、以下の通りである。
(付記1) 正極及び負極の間に発光層を少なくとも含む有機薄膜層を有してなり、該有機薄膜層における一層が、シクロフォスファゼン環化合物を含有することを特徴とする有機EL素子。
(付記2) 有機薄膜層が電子輸送層を有し、該電子輸送層が電子輸送材料にシクロフォスファゼン環化合物がドープされてなる付記1に記載の有機EL素子。
(付記3) シクロフォスファゼン環化合物の電子輸送層におけるドープ量が、5〜35vol%である付記2に記載の有機EL素子。
(付記4) シクロフォスファゼン環化合物の電子輸送層におけるドープ量が、10〜20vol%である付記2から3のいずれかに記載の有機EL素子。
(付記5) シクロフォスファゼン環化合物が、下記一般式(1)で表される付記1から4のいずれかに記載の有機EL素子。
Figure 2006278549
ただし、前記一般式(1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、C原子、H原子、O原子、及びF原子の少なくともいずれかを有する有機置換基を表す。nは、1以上の整数を表す。
(付記6) シクロフォスファゼン環化合物が、下記構造式(1)で表される付記1から5のいずれかに記載の有機EL素子。
Figure 2006278549
ただし、前記構造式(1)中、xは0〜6の整数を表す。
(付記7) シクロフォスファゼン環化合物のエネルギーギャップが、電子輸送材料のエネルギーギャップよりも大きい付記2から6のいずれかに記載の有機EL素子。
(付記8) シクロフォスファゼン環化合物が実質的に発光しない付記1から7のいずれかに記載の有機EL素子。
(付記9) 電子輸送層の厚みが、0.1〜100nmである付記2から8のいずれかに記載の有機EL素子。
(付記10) 電子輸送材料が、下記構造式(2)で表されるアルミニウムキノリン錯体(Alq)である付記2から9のいずれかに記載の有機EL素子。
Figure 2006278549
(付記11) シクロフォスファゼン環化合物の重量平均分子量が1,000〜10,000である付記1から10のいずれかに記載の有機EL素子。
(付記12) 発光層の厚みが、1〜50nmである付記1から11のいずれかに記載の有機EL素子
(付記13) 電流密度が0.5mA/cmのときの発光効率が2.40cd/A以上である付記1から12のいずれかに記載の有機EL素子。
(付記14) 電流密度が0.5mA/cmのときの外部量子効率が1.80%以上である付記1から13のいずれかに記載の有機EL素子。
(付記15) 青色発光用である付記1から14のいずれかに記載の有機EL素子。
(付記16) 付記1から15のいずれかに記載の有機EL素子を用いたことを特徴とする有機ELディスプレイ。
(付記17) パッシブマトリクスパネル及びアクティブマトリクスパネルのいずれかである付記16に記載の有機ELディスプレイ。
本発明の有機EL素子は、発光効率が高く、より低電圧で高輝度を実現可能であり、色純度、特に青色純度に優れる。本発明の有機ELディスプレイは、本発明の前記有機EL素子を用いるので、高性能である。これらは、コンピュータ、車載用表示器、野外表示器、家庭用機器、業務用機器、家電用機器、交通関係表示器、時計表示器、カレンダ表示器、ルミネッセントスクリーン、音響機器などに好適に使用可能である。
図1は、本発明の有機EL素子における層構成の一例を説明するための概略説明図である。 図2は、パッシブマトリクス方式の有機ELディスプレイ(パッシブマトリクスパネル)の一構造例を説明するための概略説明図である。 図3は、図2に示すパッシブマトリクス方式の有機ELディスプレイ(パッシブマトリクスパネル)における回路を説明するための概略説明図である。 図4は、アクティブマトリクス方式の有機ELディスプレイ(アクティブマトリクスパネル)の一構造例を説明するための概略説明図である。 図5は、図4に示すアクティブマトリクス方式の有機ELディスプレイ(アクティブマトリクスパネル)における回路を説明するための概略説明図である。 図6は、正孔注入層の膜厚とイオン化ポテンシャルとの関係を示すグラフである。
符号の説明
1 有機ELディスプレイ
10,34,52 有機EL素子
12 ガラス基板
14 正極(ITO電極)
16 正孔注入層
17 正孔輸送層
18 発光層
19 正孔ブロッキング層
20 電子輸送層
21 電子注入層
22 負極(Al−Li電極)
24 青色発光用の有機薄膜層
26 緑色発光用の有機薄膜層
28 赤色発光用の有機薄膜層
30 正極ライン
32 負極ライン
36 定電流源
38 駆動回路
40 TFT回路
42 データライン
44 電流供給ライン
46 走査線
48 スイッチング用TFT
50 駆動用TFT

Claims (5)

  1. 正極及び負極の間に発光層を少なくとも含む有機薄膜層を有してなり、該有機薄膜層における一層が、シクロフォスファゼン環化合物を含有することを特徴とする有機EL素子。
  2. 有機薄膜層が電子輸送層を有し、該電子輸送層が電子輸送材料にシクロフォスファゼン環化合物がドープされてなる請求項1に記載の有機EL素子。
  3. シクロフォスファゼン環化合物が、下記一般式(1)で表される請求項1から2のいずれかに記載の有機EL素子。
    Figure 2006278549
    ただし、前記一般式(1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、C原子、H原子、O原子、及びF原子の少なくともいずれかを有する有機置換基を表す。nは、1以上の整数を表す。
  4. シクロフォスファゼン環化合物が、下記構造式(1)で表される請求項1から3のいずれかに記載の有機EL素子。
    Figure 2006278549
    ただし、前記構造式(1)中、xは0〜6の整数を表す。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の有機EL素子を用いたことを特徴とする有機ELディスプレイ。
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