JP2006278017A - 固体酸化物形燃料電池用セル及びその製造方法並びに固体酸化物形燃料電池 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池用セル及びその製造方法並びに固体酸化物形燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 厚みが小さく、多孔質であり、且つ電極の界面抵抗が小さい電極を有する固体酸化物形燃料電池用セル、及び該固体酸化物形燃料電池用セルを簡便な製造工程で製造することができる固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法を提供することにある。
【解決手段】 電極形成物質(a)、及び炭素材料又は有機化合物(b)の混合物をターゲットとして用いるレーザーアブレーション法により、電解質材14の表面に、該電極形成物質(a)及び該炭素材料又は有機化合物(b)の混合物層を形成させ、混合物層形成電解質材を得るレーザーアブレーション工程(A)と、該混合物層形成電解質材を焼成し、該電解質材の表面に多孔質の電極材層11が形成されている電解質材を得る焼成工程を有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法、及び該製造方法により得られるセル。
【選択図】図2

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池に用いられるセル及びその製造方法並びに固体酸化物形燃料電池に関し、より具体的には、多孔質の電極を有する固体酸化物形燃料電池用セル及びその製造方法並びに該セルを用いる固体酸化物形燃料燃料電池に関する。
固体酸化物形燃料電池は、電解質を燃料極及び空気極で挟み込むようにして構成されるセルを有している。該セルについて、図9を参照に説明する。図9は、固体酸化物形燃料電池用電極のセルを示す概念図である。図9中、固体酸化物形燃料電池のセル50は、燃料極51、電解質52、空気極53を、この順に重ね合わせ、すなわち、該電解質52を該燃料極51及び該空気極53で挟み込むようにして形成されている。そして、該燃料極51、該電解質52、及び該空気極53ともに金属酸化物又は金属で構成されており、全て固体である。
該電極は、該電極材を電解質材に接触させて焼成等を行うことにより、該電極を構成する電極物質粒子を該電解質材に焼結させ、接合されているが、電池の作動時に、熱膨張率の違いにより、該電極材が該電解質材から剥離することがあり、該剥離は、該電極材の厚みが大きい程起こり易い。更に、該電解質材と接触している該電極物質粒子の全てを、該電解質材に焼結させることは困難であり、該電解質材と接触している該電極物質粒子のうち、いくつかは電解質材と接合せずに電極中に存在する。そのため、電極の界面抵抗(燃料極界面抵抗又は空気極界面抵抗)が大きくなる。
厚みが薄く且つ界面抵抗の小さい電極を製造する方法としては、レーザーアブレーション法により、電極を形成する方法があり、例えば、特開平2−87470号公報には、固体電解質層の一方の面上に、レーザーアブレーション法により、電極用被膜を蒸着により形成し、形成された前記電極用被膜の不用部分にレーザーを溶射して、前記不用部分を消失させ、かくして、所望形状の電極パターンを前記固体電解質層上に形成させる固体酸化物形燃料電池用電極の製造方法が開示されている。
また、特開平2−87472号公報には、固体電解質層の面上に、マスク用被膜を形成し、次いで、前記マスク用被膜の不用部分を除去し、次いで、前記マスク用被膜の上面上に、レーザーアブレーション法により電極材料を蒸着し、そして、次いで、前記マスク用被膜をフォトエッチング法により除去し、前記固体電解質層上に電極を形成する固体酸化物形燃料電池用電極の製造方法が開示されている。
特開平2−87470号公報又は特開平2−87470号公報に記載されている電極の製造方法のように、レーザーアブレーション法を用いる場合、レーザービームにより、ターゲットから電極材料粒子を1つづつ放出させて、電解質材に蒸着させるので、電解質材と接触する電極材の全てが、電解質材と接合している。そのため、該製造方法により得られる電極は、電極の界面抵抗が小さい。また、レーザービームで放出される該電極材料粒子の粒径は、極めて小さく、且つ該電極材料粒子を1粒子づつ積層できるので、極めて厚みの小さい電極層を形成させることができる。
特開平2−87470号公報(特許請求の範囲) 特開平2−87472号公報(特許請求の範囲)
固体酸化物形燃料電池において、電池反応は、ガス、イオン、電子のいずれもが反応可能な三相界面で起こるので、電池性能、特に燃料電池の出力を向上させるためには、該三相界面を増加させることが必要である。そして、従来より、固体酸化物形燃料電池の製造においては、電極材に多孔質材料を用いることにより電極の比表面積を大きくし、該三相界面を増やすことが行われてきた。
ところが、特開平2−87470号公報に記載されている電極の製造方法では、平面方向には空隙を形成させることができても、厚み方向に空隙を形成させることはできないので、電極を多孔質にすることはできないという問題があった。また、特開平2−87470号公報に記載されている電極の製造方法では、マスキング→不用なマスキングの除去→レーザーアブレーション法による電極材物質の蒸着→フォトエッチングによるマスキングの除去を複数回行うことにより、理論的には厚み方向にも空隙を形成させることは可能ではあるが、細孔径の小さい細孔を多数形成させること、すなわち多孔質にすることはできず、また、上記操作を繰り返し行わなければならないので、極めて煩雑な製造工程になるとう問題があった。
従って、本発明の課題は、厚みが小さく、多孔質であり、且つ電極の界面抵抗が小さい電極を有する固体酸化物形燃料電池用セル、及び該固体酸化物形燃料電池用セルを簡便な製造工程で製造することができる固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法を提供することにある。また、本発明の課題は、出力が高く、且つ運転中に電極の剥離が少ない固体酸化物形燃料電池を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、レーザーアブレーション法のターゲットを、電極形成物質及び炭素材料等の混合物にすることにより、あるいは、複数のレーザーを用いて、電極形成材料及び炭素材料等の両方に、同時にレーザービームを照射することにより、該電極形成物質及び炭素材料等の混合物層が形成されている電解質材を得ることができ、次いで、該電解質材を焼成することにより、多孔質の電極が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
また、本発明(1)は、厚さが1〜10000nm、細孔径が0.1〜1000nmの細孔を有する多孔質の燃料極材層が、電解質材の一方の面に形成されており、且つ厚さが1〜10000nm、細孔径が0.1〜1000nmの細孔を有する多孔質の空気極材層が、該電解質材の他方の面に形成されている固体酸化物形燃料電池用セルを提供するものである。
また、本発明(2)は、電極形成物質(a)、及び炭素材料又は有機化合物(b)の混合物をターゲットとして用いるレーザーアブレーション法により、電解質材の表面に、該電極形成物質(a)及び該炭素材料又は有機化合物(b)の混合物層を形成させ、混合物層形成電解質材を得るレーザーアブレーション工程(A)と、該混合物層形成電解質材を焼成し、該電解質材の表面に多孔質の電極材層が形成されている電解質材を得る焼成工程を有する固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法を提供するものである。
また、本発明(3)は、2以上のターゲットに、2以上のレーザーを用いてレーザービームを照射するレーザーアブレーション法であって、該2以上のターゲットのうち、一部のターゲットを電極形成物質(a)とし、他の一部又は全部のターゲットを炭素材料又は有機化合物(b)とし、該2以上のレーザーのうち、一部のレーザーで電極形成物質(a)にレーザービームを照射すると同時に、他の一部又は全部のレーザーで炭素材料又は有機化合物(b)にレーザービームを照射するレーザーアブレーション法により、電解質材の表面に、該電極形成物質(a)及び該炭素材料又は有機化合物(b)の混合物層を形成させ、混合物層形成電解質材を得るレーザーアブレーション工程(B)と、該混合物層形成電解質材を焼成し、該電解質材の表面に多孔質の電極材層が形成されている電解質材を得る焼成工程を有する固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法を提供するものである。
また、本発明(4)は、前記本発明(1)記載のセルを有する固体酸化物形燃料電池を提供するものである。
本発明によれば、厚みが小さく、多孔質であり、且つ電極の界面抵抗が小さい電極を有する固体酸化物形燃料電池用セル、及び該固体酸化物形燃料電池用セルを簡便な製造工程で製造することができる固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法を提供することができ、また、出力が高く、且つ運転中に電極の剥離が少ない固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
本発明の固体酸化物形燃料電池用セルは、多孔質の燃料極材層が、電解質材の一方の面に形成されており、且つ多孔質の空気極材層が、該電解質材の他方の面に形成されている。図1を参照に、本発明の固体酸化物形燃料電池用セルを説明する。図1は、本発明の固体酸化物形燃料電池用セルを示す概念図である。図1に示すように、固体酸化物形燃料電池用セル1は、電解質材3の一方の面に多孔質の燃料極材層2が、他方の面に多孔質の空気極材層4が形成されている。なお、該燃料極材層2と該空気極材層4は、電極層を形成する物質が異なるものの、形状等において同様な点も多くあるので、同様な点については、燃料極(空気極)と記載して説明する。例えば、「燃料極材層又は空気極材層」の場合は、「燃料極(空気極)材層」と記載する。
該電解質材の一方の面に形成されている燃料極(空気極)材層について、図2を参照に説明する。図2は、本発明の固体酸化物形燃料電池用セルに係る燃料極(空気極)材層の断面を拡大した概念図である。図2中、燃料極(空気極)材層11は、電解質材14の一方の面15上に、燃料極(空気極)形成物質12が、細孔16を形成するように積み重ねられた形状を有する。すなわち、該燃料極(空気極)材層11は、多孔質である。
該燃料極(空気極)材層11に形成されている細孔16の細孔径は、0.1〜1000nm、好ましくは0.5〜800nm、特に好ましくは1〜600nm、更に好ましくは5〜500nm、より好ましくは10〜100nmである。該細孔径が、上記範囲にあることにより、反応ガスの拡散、生成物の拡散が起こり易いので、反応活性点が増加し、電池性能が高くなる。
該燃料極(空気極)材層11が、多孔質であること及び該細孔16の細孔径の確認は、透過型電子顕微鏡(TEM)による表面観察により行うことができる。図3に、本発明の形態例の燃料極材層のTEM写真を示すが、該燃料極材層が多孔質であり、該燃料極材層中に、細孔径が500nm前後の細孔が存在していることを確認することができる。
該燃料極(空気極)材層11の厚さ(図2中のt)は、1〜10000nm、好ましくは5〜8000nm、特に好ましくは10〜5000nm、更に好ましく50〜1000nm、より好ましくは100〜500nmである。該燃料極(空気極)材層の厚さが、1nm未満だと、反応活性点が少なくなるので、燃料電池の出力が低くなり、また、10000nmを超えると、電気抵抗が大きくなり、導電率が低くなる。
該燃料極(空気極)材層11の空隙率は、20〜80%、好ましくは30〜70%、特に好ましくは30〜60%である。該燃料極材(空気極)層の空隙率が、20%未満だと、ガスの拡散量が少なくなるので、燃料電池の出力が低くなり易い。また、該燃料極材(空気極)層の空隙率が、80%を超えると、反応活性点が少なくなるので燃料電池の出力が低くなるか、電気抵抗が大きくなるので導電率が低くなるか、又は燃料極(空気極)材層の強度が低くなり易い。なお、該空隙率とは、該燃料極材層11の見かけ上の体積中に占める、該細孔16の体積割合を言う。また、該燃料極(空気極)材層の空隙率は、水銀圧入法で、多孔体に水銀を注入した時の注入量から細孔容積、すなわち、空隙の容積を求め、そして、該燃料極材層11の見かけ体積に対する該空隙の容積の体積割合を算出して求められる。
該燃料極(空気極)材層11は、(1)燃料極(空気極)物質のみが積み重ねられている場合と、(2)燃料極(空気極)物質及び電解質物質がランダムに積み重ねられている場合がある。つまり、(1)の場合、燃料極(空気極)形成物質12は、燃料極(空気極)物質のみであり、(2)の場合、燃料極(空気極)形成物質12は、燃料極(空気極)物質及び電解質物質である。従って、該(2)の場合、固体酸化物形燃料電池用セルに形成されている燃料極(空気極)は、該電解質物質を含む電極である。
なお、本発明において、燃料極物質とは、燃料の水素及び酸化物イオンから水及び電子を生成させ且つ電子を導電する性質を持つ物質を指し、空気極物質とは、酸素及び電子から酸化物イオンを生成させ且つ電子を導電する性質を持つ物質を指し、電解質物質とは、空気極で生成する酸化物イオンを燃料極に導電させる性質を持つ物質を指す。
本発明の固体酸化物形燃料電池用セルに係る燃料極物質は、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、スカンジウム(Sc)、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)、ランタン(La)、ガリウム(Ga)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、シリコン(Si)、ガドリニウム(Gd)、ストロンチウム(Sr)、イッテルビウム(Yb)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)及びカルシウム(Ca)から選ばれる1種又は2種以上の金属の酸化物である。具体的には、例えば、酸化ニッケル(NiO)、酸化セリア(CeO)、酸化コバルト(Co)、酸化ルテニウム(RuO)等の1種の金属の酸化物、又はサマリアドープセリア(Sm−CeO)、ガドリニアドープセリア(Gd−CeO)等の複数の金属の酸化物の固溶体が挙げられる。また、該燃料極物質は、2種以上の種類の異なる金属酸化物又は固溶体であってもよく、この場合、該燃料極材層11としては、例えば、酸化ニッケル及びサマリアドープセリアが、ランダムに積み重ねられて形成されている燃料極材層が挙げられる。
本発明の固体酸化物形燃料電池用セルに係る空気極物質は、イットリウム、ジルコニウム、スカンジウム、セリウム、サマリウム、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ランタン、ガリウム、ニオブ、タンタル、シリコン、ガドリニウム、ストロンチウム、イッテルビウム、鉄、コバルト、ニッケル、カルシウム及びマンガン(Mn)から選ばれる1種又は2種以上の金属の酸化物である。具体的には、例えば、ランタンストロンチウムマンガネート(La0.8Sr0.2MnO)、ランタンカルシウムコバルテート(La0.9Ca0.1CoO)、ランタンストロンチウムコバルテート(La0.9Sr0.1CoO)、ランタンコバルテート(LaCoO)、ランタンカルシウムマンガネート(La0.9Ca0.1MnO)等の複数の金属の酸化物の固溶体が挙げられ、これらの金属酸化物のうち、ランタンストロンチウムマンガネートが、電解質物質と反応せず、また、電解質物質と熱膨張率が近いので接合が良好である点で好ましい。また、該空気極物質は、2種以上の種類の異なる金属酸化物又は固溶体であってもよい。
本発明の固体酸化物形燃料電池用セルに係る電解質物質、すなわち、該(2)の場合に、該燃料極(空気極)材層に、該燃料極(空気極)物質と共に含有される電解質物質は、イットリウム、ジルコニウム、スカンジウム、セリウム、サマリウム、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ランタン、ガリウム、ニオブ、タンタル、ケイ素、ガドリニウム、ストロンチウム、イッテルビウム、鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる1種又は2種以上の金属の酸化物である。具体的には、例えば、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ;Sc−ZrO)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ;Y−ZrO)、ランタンストロンチウムマグネシウムガレート(LSGM;La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2)等のランタンガレート、ガドリニア安定化ジルコニア(Gd−ZrO)、サマリアドープセリア(Sm−CeO)、ガドリニアドープセリア(Gd−CeO)、酸化イットリウム固溶酸化ビスマス(Y−Bi)等の複数の金属の酸化物の固溶体が挙げられ、これらの金属酸化物のうち、酸素イオン導電性が良好であり、また、動作温度においても熱的に安定な点で、スカンジア安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、ランタンストロンチウムマグネシウムガレート等のランタンガレートが好ましい。また、該電解質物質は、2種以上の種類の異なる金属酸化物又は固溶体であってもよい。
該燃料極(空気極)材層が形成される電解質材14は、電解質物質により構成されるが、該電解質材14に係る電解質物質は、該本発明の固体酸化物形燃料電池用セルに係る電解質物質と、同様の金属酸化物である。また、該電解質材14は、該電解質物質に係る金属酸化物の2種以上の混合物により形成されていてもよい。該電解質材14の形状としては、特に制限されないが、例えば、粒状の該電解質物質を金型に充填し、プレス機により圧力をかけて成形した後、電気炉にて焼成することにより、板状に成形したものが挙げられる。
本発明の固体酸化物形燃料電池用セルは、燃料極材層及び空気極材層の厚さが小さいので、電極の導電率が高く且つ電極材が剥離し難い。また、本発明の固体酸化物形燃料電池用セルは、燃料極及び空気極が、細孔径の小さい細孔を有する多孔質構造であり、且つ燃料極材層及び空気極材層の厚さが小さいので、電極中に反応活性点を多く有し且つ電極の電気抵抗が小さい。そのため、本発明の固体酸化物形燃料電池用セルは、燃料電池の出力を大きくすることができる。
本発明の第一の形態の固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法(以下、第一の形態の製造方法とも記載する。)は、レーザーアブレーション工程(A)と、焼成工程を有する。
該レーザーアブレーション工程(A)は、電極形成物質(a)、及び炭素材料又は有機化合物(b)(以下、炭素材料等(b)とも記載する。)の混合物をターゲットとして用いるレーザーアブレーション法により、電解質材の表面に、該電極形成物質(a)及び該炭素材料又は有機化合物(b)の混合物層を形成させ、混合物層形成電解質材を得る工程である。
該レーザーアブレーション法とは、一般に、レーザービームを、所望の材料で構成されたターゲット上に集光させて、該ターゲットを励起させ、そのレーザーのエネルギーで放出されたターゲット材料粒子を、基板上に輸送することにより、該基板上に該ターゲット材料粒子を積層させて、該ターゲット材料の薄膜を形成させる方法である。
該レーザーアブレーション工程(A)について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、レーザーアブレーション工程(A)を示す概念図であり、図5は、レーザーアブレーション工程(A)により得られる混合物層の断面を拡大した概念図であり、混合物層形成電解質材の表面近くの断面を拡大した概念図である。該レーザーアブレーション工程(A)では、レーザー22を用いて、電極形成物質及び炭素粉末の混合物(ターゲット)20にレーザービーム23を照射することにより、該電極形成物質及び炭素粉末の混合物20から、電極形成物質粒子24及び炭素粒子25の両方が放出され、電解質材(基板)21に輸送される。そして、該電極形成物質粒子24及び該炭素粒子25は、それらが該電解質材21に衝突する際の衝突エネルギーにより、該電解質材21の表面に固定される。該固定が、レーザービームを照射している間行われ、図5に示すように、電極形成物質26及び炭素材料27が積層されて、電極形成物質及び炭素材料の混合物層28が形成さている混合物層形成電解質材29が得られる。該レーザーアブレーション工程(A)では、該電極形成物質及び炭素粉末の混合物20が、レーザーアブレーション法のターゲットとして用いられている。
該レーザーアブレーション工程(A)に係る電極形成物質(a)は、(3)燃料極材層を形成させる場合と、(4)空気極材層を形成させる場合で異なる。該(3)の場合の電極形成物質(a)は、燃料極物質のみ、あるいは、燃料極物質及び電解質物質である。また、該(4)の場合の電極形成物質(a)は、空気極物質のみ、あるいは、空気極物質及び電解質物質である。従って、該(3)の場合、該電極形成物質(a)及び炭素材料等(b)の混合物には、必ず該燃料極物質が含有され、該電解質物質は必要に応じて含有される。また、該(4)の場合、該電極形成物質(a)及び炭素材料等(b)の混合物には、必ず該空気極物質が含有され、該電解質物質は必要に応じて含有される。
該電極形成物質(a)に係る燃料極物質は、前記本発明の固体酸化物形燃料電池用セルの説明で記載した、前記燃料極物質と同様であり、また、2種以上の種類の異なる金属酸化物又は固溶体であってもよい。該電極形成物質(a)に係る空気極物質は、前記本発明の固体酸化物形燃料電池用セルの説明で記載した、前記空気極物質と同様であり、また、2種以上の種類の異なる金属酸化物又は固溶体であってもよい。該電極形成物質(a)に係る電解質物質は、前記本発明の固体酸化物形燃料電池用セルの説明で記載した、前記電解質物質と同様であり、また、2種以上の種類の異なる金属酸化物又は固溶体であってもよい。
該電極形成物質(a)の形状としては、特に制限されず、例えば、粒状、針状、結晶状、フレーク状等の形状が挙げられる。
該炭素材料としては、炭素原子により構成されるものであれば、特に制限されず、例えば、カーボンブラック、活性炭、グラファイト(黒鉛)、無定形炭素等が挙げられる。該炭素材料中の金属成分の含有量は、好ましくは100mg/kg以下、特に好ましくは金属成分を含有しないことである。
該有機化合物としては、固体であり、該焼成工程で焼失するものであれば、特に制限されないが、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が好ましい。また、該有機化合物は、ポリビニルブチラール、ポリスチレン等の炭化水素化合物であってもよいし、ポリメタクリル酸メチル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の含酸素有機化合物;ポリアミド、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン等の含窒素化合物;ポリスルホン等の含硫黄化合物等の、炭素原子及び水素原子以外の原子を含む化合物であってもよい。これらのうち、燃焼時に炭酸ガス以外のガスが発生しない点で、炭化水素化合物及び含酸素有機化合物が好ましい。また、セルロース繊維、タンパク繊維等の天然繊維、あるいはエチルセルロースのエチルエステル等の天然繊維の誘導体も用いることができる。
該有機化合物の形状は、特に制限されず、粒状、繊維状、フレーク状等が挙げられる。
また、該炭素材料等(b)は、1種単独又は2種以上の併用とするができる。
そして、該電極形成物質(a)及び該炭素材料等(b)を混合して得られる混合物を、レーザーアブレーション法のターゲットとして用いる。また、該混合物は、例えば、単に該電極形成物質(a)及び該炭素材料等(b)を混合したものや、あるいは、該電極形成物質(a)及び該炭素材料等(b)を混合したものを、金型等に充填して、プレス機でプレス成形した成形体であってもよい。
該レーザーとしては、一般に、レーザーアブレーション法に用いられているものを適宜使用することができ、例えば、エキシマレーザー、YAGレーザー、COレーザー等が挙げられる。
該レーザーアブレーション工程(A)に係る電解質材は、前記本発明の固体酸化物形燃料電池用セルの説明で記載した、前記電解質材と同様である。また、該レーザーアブレーション工程(A)に係る電解質材は、電極形成物質(a)及び炭素材料等(b)の混合物層の形成を行う面とは、反対の面に、電極が形成されているものでもよい。
図4では、ターゲット及びレーザーはそれぞれ1個であるが、図6に示すように、複数のターゲット(31a、31b及び31c)に、複数のレーザー(32a、32b及び32c)を用いて、同時にレーザービームを照射することもできる。
該レーザーアブレーション工程(A)を行うことにより、該電解質材の一方の面に、該電極形成物質(a)及び該炭素材料等(b)が、ランダムに積層され、該電極形成物質(a)及び該炭素材料等(b)の混合物層が形成されている混合物層形成電解質材を得ることができる。
該電極形成物質(a)及び該炭素材料等(b)の混合物層の厚さは、1〜10000nm、好ましくは5〜8000nm、特に好ましくは10〜5000nm、更に好ましく50〜1000nm、より好ましくは100〜500nmである。混合物層の厚さが、1nm未満だと、電極材層の反応活性点が少なくなるので、燃料電池の出力が低くなり、また、10000nmを超えると、電気抵抗が大きくなり、導電率が低くなる。なお、該混合物層の厚さは、レーザーを照射する時間により調節することができる。
次いで、該混合物層形成電解質材を焼成する焼成工程を行い、該電解質材の表面に多孔質の電極材層が形成されている電解質材を得る。該焼成工程について、図5及び図7を参照に説明する。図7は、焼成工程により得られる多孔質の電極材層の断面を拡大した概念図である。該焼成工程では、図5中の該混合物層形成電解質材29を焼成することにより、該電極形成物質(a)及び炭素材料等(b)の混合物層28中の該炭素材料27が燃焼し、焼失する。そして、図7に示すように、該炭素材料27の焼失した痕が、細孔36になる。このようにして、多孔質の電極材層37が表面に形成されている、多孔質電極形成電解質材35が得られる。
該焼成工程を行う際の焼成温度は、100〜1500℃、好ましくは100〜1000℃、特に好ましくは100〜600℃である。また、該焼成工程を行う際の焼成時間は、10分〜5時間、好ましくは10分〜2時間、特に好ましくは10分〜1時間である。
該レーザーアブレーション工程(A)では、該電極形成物質(a)及び該炭素材料等(b)を、極めて小さな粒子状で、ターゲットから放出させ、該電解質材に固定させるので、該電極形成物質(a)及び該炭素材料等(b)が、平面方向(図5中、紙面の左右方向及び紙面の表裏方向)に極めて小さな幅(図5中のd)で、交互に固定され、また、厚み方向に極めて小さな高さ(図5中のh)で、積層される。そのため、該焼成工程を経て形成される電極材層は、小さい細孔径の細孔を有している。
そして、該電極材層に形成されている細孔の細孔径、該電極材層の厚さ及び該電極材層の空隙率は、前記本発明の固体酸化物形燃料電池用セルに係る燃料極材層又は空気極材層と同様であり、本発明の固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法は、前記本発明の固体酸化物形燃料電池用セルの製造に適する。
該第一の形態の製造方法を用いて、固体酸化物形燃料電池用セルを製造する製造例を以下に示す。
(i)先ず、公知の方法を用いて、板状の電解質材を製造し、次いで、公知の方法を用いて、該電解質材の一方の面に、燃料極(空気極)を形成させ、次いで、該レーザーアブレーション工程(A)及び該焼成工程を行い、該電解質材の他方の面に、多孔質の空気極(燃料極)材層を形成させることにより、固体酸化物形燃料電池用セルを製造する方法。
(ii)先ず、公知の方法を用いて、板状の電解質材を製造し、次いで、該レーザーアブレーション工程(A)及び該焼成工程を行い、該電解質材の一方の面に、多孔質の燃料極(空気極)材層を形成させ、次いで、該レーザーアブレーション工程(A)及び該焼成工程を行い、該電解質材の他方の面に、多孔質の空気極(燃料極)材層を形成させることにより、固体酸化物形燃料電池用セルを製造する方法。
(iii)先ず、公知の方法を用いて、板状の燃料極(空気極)材を製造し、次いで、ターゲットとして、電解質物質のみを用いて、レーザーアブレーション法を行い(ターゲットとして、該電極形成物質(a)及び炭素材料等(b)の混合物に代えて、電解質物質のみを用いる以外は、該レーザーアブレーション工程(A)と同様の方法で行うことができる。)、該燃料極(空気極)材の表面に電解質材層を形成させ、次いで、該レーザーアブレーション工程(A)及び該焼成工程を行い、該電解質材層の表面に、多孔質の空気極(燃料極)材層を形成させることにより、固体酸化物形燃料電池用セルを製造する方法。
本発明の第二の形態の固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法(以下、第二の形態の製造方法とも記載する。)は、レーザーアブレーション工程(B)及び焼成工程を有する。該第二の形態の製造方法については、前記第一の形態の製造方法と同様な点はその説明を省略し、異なる点について説明する。該第二の形態の製造方法が、該第一の形態の製造方法と主に異なる点は、レーザーアブレーション工程において、ターゲットが、前者は、電極形成物質(a)又は炭素材料等(b)のいずれかであるのに対し、後者は、電極形成物質(a)及び炭素材料等(b)の混合物である点、すなわち、1つのレーザーにより放出されるものが、前者は、電極形成物質(a)の粒子又は炭素材料等(b)の粒子のいずれかであるのに対し、後者は、電極形成物質(a)の粒子及び炭素材料等(b)の粒子の両方である点である。
該レーザーアブレーション工程(B)は、2以上のターゲットに、2以上のレーザーを用いてレーザービームを照射するレーザーアブレーション法であって、該2以上のターゲットのうち、一部のターゲットを電極形成物質(a)とし、他の一部又は全部のターゲットを炭素材料又は有機化合物(b)とし、該2以上のレーザーのうち、一部のレーザーで電極形成物質(a)にレーザービームを照射すると同時に、他の一部又は全部のレーザーで炭素材料又は有機化合物(b)にレーザービームを照射するレーザーアブレーション法により、電解質材の表面に、該電極形成物質(a)及び該炭素材料等(b)の混合物層を形成させ、混合物層形成電解質材を得る工程である。
該レーザーアブレーション工程(B)について、図8を参照に説明する。図8は、レーザーアブレーション工程(B)を示す概念図である。図8に示すように、該レーザーアブレーション工程(B)は、電極形成物質(ターゲット)41にレーザー44aでレーザービームを照射すると同時に、炭素材料(ターゲット)42にレーザー44bでレーザービームを照射することにより、それぞれのターゲットから、同時に、電極形成物質粒子45又は炭素粒子46が放出され、電解質材43に輸送される。そして、電極形成物質及び炭素材料の混合物層が形成さている混合物層形成電解質材が得られる。該レーザーアブレーション工程(B)では、該電解質材に、同時に、電極形成物質粒子45及び炭素粒子46が輸送される点は、該レーザーアブレーション工程(A)と同様なので、該レーザーアブレーション工程(B)により得られる混合物層形成電解質材は、前記レーザーアブレーション工程(A)により得られる混合物層形成電解質材と同様である。
該レーザーアブレーション工程(B)に係る電極形成物質(a)は、(5)燃料極材層を形成させる場合と、(6)空気極材層を形成させる場合で異なる。該(5)の場合の電極形成物質(a)は、燃料極物質のみ、あるいは燃料極物質及び電解質物質の混合物であり、該(6)の場合の電極形成物質(a)は、空気極物質のみ、あるいは、空気極物質及び電解質物質の混合物である。
図8では、ターゲットの数は、該電極形成物質(a)であるターゲットと、該炭素材料等(b)であるターゲットが、それぞれ1個づつの合計2個であるが、ターゲットの数を合計3個以上とし、各ターゲットごとにレーザービームを照射することもできる。(i)ターゲットの数が3個以上であり、且つ3個以上のターゲットのうちの2個以上のターゲットが該電極形成物質(a)である場合、該電極形成物質(a)であるターゲット全てが、同じ種類の電極形成物質であっても、異なる種類の電極形成物質であってもよい。また、(ii)ターゲットの数が3個以上であり、且つ電極形成物質(a)が放出されるターゲットが1個以上あれば、該電解質物質のみのターゲットがあってもよい。
本発明の第一の形態の製造方法及び本発明の第二の形態の製造方法により製造されるセルは、電極材層の厚さが小さいので、電極の導電率が高く、且つ電極材が剥離し難い。また、電極形成物質が電解質材にレーザーアブレーション法により固定されているので、該セルの電極界面抵抗が小さい。更に、該セルに形成されている該電極材層は、細孔径が小さい細孔を多数有している多孔質なので、燃料電池の出力が高い。
本発明の固体酸化物形燃料電池は、セルとして、前記本発明の固体酸化物形燃料電池用セルを有する。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
(燃料極材層製造用ターゲットの作製)
平均粒径2.3μmの酸化ニッケル(NiO)10g、平均粒径0.62μmのスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)10g及び平均粒径1.2μmのポリビニルブチラール樹脂(PVB)1.19gを秤量し、混合して、混合粉末Aを得た。次いで、得られた混合粉末Aを、直径20mm、深さ20mmの円形の成形金型に、入れ、更に少量のエタノールを加え、該成形金型中で混合して、該成形金型に該混合粉末Aを充填した。そして、該成形金型を、2.5トンのプレス力で、3分間プレスした。得られた成形体を、35℃で24時間乾燥し、燃料極材層製造用ターゲットAを得た。
(空気極材層製造用ターゲットの作製)
平均粒径0.49μmのランタンストロンチウムマンガネート(LSM)16g、燃料極材層製造用ターゲットの作製で用いたスカンジア安定化ジルコニア4g及び燃料極材層製造用ターゲットの作製で用いたポリビニルブチラール樹脂1.16gを、秤量し、混合して、混合粉末Bを得た。以下、混合粉末Aに代えて、混合粉末Bとする以外は、上記燃料極材層製造用ターゲットの作製と同様の方法で、空気極材層製造用ターゲットBを作製した。
(燃料極材層の形成)
ターゲットとして燃料極材層製造用ターゲットAを、基板となる電解質材として直径36mm、厚さ5mmのスカンジア安定化ジルコニア円板を、レーザーとして波長266nmのYAGレーザーを用いて、窒素ガス雰囲気中、容器内圧力5×10−3Pa、レーザー出力100mJ/pulse、基板とターゲットの距離50mmの条件で、レーザーアブレーションを1時間行った。次いで、レーザーアブレーションが行われた電解質材を、電気炉中で500℃、2時間焼成し、燃料極材層が形成された電解質材Cを得た。
(燃料極材層の分析)
透過型電子顕微鏡を用いて、該燃料極材層が形成された電解質材Cの表面分析を行ったところ、図3に示すように、電解質材の表面に、500nm前後の細孔を有する多孔質構造の層が形成されていることが観察された。また、X線回折分析により、電解質材の表面に形成されている層が、NiO及びScSZの混合物であることが確認された。また、透過型電子顕微鏡による元素分析により、層の厚さが6μmであることが確認された。
(空気極材層の形成)
ターゲットとして空気極材層製造用ターゲットBを、基板となる電解質材として上記のようにして得られた燃料極材層が形成された電解質材Cを用いる以外は、燃料極材層の形成と同様の方法でレーザーアブレーション及び焼成を行い、燃料極材層及び空気極材層が形成されたセルD(以下、単にセルDとも記載する。)を得た。
(空気極材層の分析)
上記のようにして得られたセルDを用いる以外は、上記燃料極材層の分析と同様の方法で行ったところ、電解質材の表面に形成されている層が、500nm前後の細孔を有する多孔質構造であること、LSM及びScSZの混合物であること、層の厚さが6μmであることが確認された。
本発明の固体酸化物形燃料電池用セルを示す概念図である。 本発明の固体酸化物形燃料電池用セルに係る燃料極(空気極)材層の断面を拡大した概念図である。 本発明の形態例の燃料極材層のSEM写真である。 レーザーアブレーション工程(A)を示す概念図である。 レーザーアブレーション工程(A)により得られる混合物層の断面を拡大した概念図である。 複数のターゲットに、同時にレーザービームを照射するレーザーアブレーション工程(A)を示す概念図である。 焼成工程により得られる多孔質の電極材層の断面を拡大した概念図である。 レーザーアブレーション工程(B)を示す概念図である。 固体酸化物形燃料電池用電極のセルを示す概念図である。
符号の説明
1、50 セル
2 多孔質の燃料極材層
3 電解質材
4 多孔質の空気極材層
11 燃料極(空気極)材層
12 燃料極(空気極)形成物質
14、21、43 電解質材
15 電解質材の一方の面
16、36 細孔
20、31a、31b、31c 電極形成物質及び炭素材料の混合物(ターゲット)
22、32a、32b、32c、44a、44b レーザー
23 レーザービーム
24、45 電極形成物質粒子
25、46 炭素粒子
26 電極形成物質
27 炭素材料
28 電極形成物質及び炭素材料の混合物層
29 混合物層形成電解質材
35 多孔質電極形成電解質材
37 多孔質の電極材層
41 電極形成物質(ターゲット)
42 炭素材料(ターゲット)
51 燃料極
52 電解質
53 空気極
t 厚さ
d 幅
h 高さ

Claims (4)

  1. 厚さが1〜10000nmであり、細孔径が0.1〜1000nmの細孔を有する多孔質の燃料極材層が、電解質材の一方の面に形成されており、且つ厚さが1〜10000nmであり、細孔径が0.1〜1000nmの細孔を有する多孔質の空気極材層が、該電解質材の他方の面に形成されていることを特徴とする固体酸化物形燃料電池用セル。
  2. 電極形成物質(a)、及び炭素材料又は有機化合物(b)の混合物をターゲットとして用いるレーザーアブレーション法により、電解質材の表面に、該電極形成物質(a)及び該炭素材料又は有機化合物(b)の混合物層を形成させ、混合物層形成電解質材を得るレーザーアブレーション工程(A)と、該混合物層形成電解質材を焼成し、該電解質材の表面に多孔質の電極材層が形成されている電解質材を得る焼成工程を有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法。
  3. 2以上のターゲットに、2以上のレーザーを用いてレーザービームを照射するレーザーアブレーション法であって、該2以上のターゲットのうち、一部のターゲットを電極形成物質(a)とし、他の一部又は全部のターゲットを炭素材料又は有機化合物(b)とし、該2以上のレーザーのうち、一部のレーザーで電極形成物質(a)にレーザービームを照射すると同時に、他の一部又は全部のレーザーで炭素材料又は有機化合物(b)にレーザービームを照射するレーザーアブレーション法により、電解質材の表面に、該電極形成物質(a)及び該炭素材料又は有機化合物(b)の混合物層を形成させ、混合物層形成電解質材を得るレーザーアブレーション工程(B)と、該混合物層形成電解質材を焼成し、該電解質材の表面に多孔質の電極材層が形成されている電解質材を得る焼成工程を有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法。
  4. 前記請求項1記載のセルを有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
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