JP5355878B2 - セラミック電解質構造体及び製造方法並びに関連物品 - Google Patents

セラミック電解質構造体及び製造方法並びに関連物品 Download PDF

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Description

本発明はセラミック電解質に関する。さらに詳しくは、本発明は1以上の気密領域及び1以上のコンプライアント領域を有するセラミック電解質に関する。本発明はまた、1以上の気密領域及び1以上のコンプライアント領域を有するセラミック電解質の製造方法にも関する。
固体酸化物型燃料電池(SOFC)は、高い効率及び低い排出量で燃料から電気エネルギーを発生するために有望である。SOFCの広汎な商業的使用に対する障害の1つは、高い製造コストである。製造コストは、主として、燃料電池が高温(例えば、約800℃)で動作することを可能にする最新のセラミックアノード、カソード又は電解質の必要性によって上昇する。これらの基準を満たし得る燃料電池部品は、製造費を高くすることがある構造材料を要求する。かかる技術を経済的に実行可能なものにするには、固体酸化物型燃料電池は高い出力密度及び燃料利用率並びに大きいセルを有する必要がある。
米国特許出願公開第2002/0155227号明細書 米国特許出願公開第2005/0238796号明細書 I. Sevostianov et al., "Quantitative Characterization of Microstructures of Plasma-Sprayed Coatings and Their Elastic Properties", Materials Science and Engineering A 386, 2004, pp.164-174 C. J. Li et al., "Effect of Densification Processes on the Properties of Plasma-Sprayed YSZ Electrolyte Coatings for Solid Oxide Fuel Cells", Surface & Coatings Technology, 190, 2005, pp.60-64
大気プラズマ溶射のような溶射方法は、製造コストを節減し得る大面積セルをインターコネクト支持体上に設けるための可能性を有している。しかし、大気プラズマ溶射したコーティングは細孔及び微小亀裂の両方を含むのが通例であり、これはセラミック電解質の場合には燃料及び空気に漏れ経路を与えることがある。微小亀裂は、通例は堆積中に層間のスプラット境界に形成され、或いはデバイスの動作中に引き起こされる大きい熱膨張ひずみが原因でコーティングの厚さを通して形成される。かかる欠陥は開放電池電圧及び燃料利用率を制限することがある。したがって、その欠陥を減少させると共に、デバイス中の他の層に対してコンプライアントにすることで、セラミック電解質の性能を向上させることが絶えず要望されている。
本発明は、1以上の気密領域及び1以上のコンプライアント領域を有するセラミック電解質を提供することで上記その他のニーズに応える。相対的に小さい微小亀裂及び低い多孔度を有する気密領域は気密性を与え、相対的に大きい微小亀裂及び高い多孔度を有するコンプライアント領域はコンプライアンスを与える。
本発明の一実施形態はセラミック電解質である。かかるセラミック電解質は、少なくとも、第1の平均微小亀裂長さと第1の平均微小亀裂幅を有する複数の微小亀裂を含む第1の領域と、第2の平均微小亀裂長さと第2の平均微小亀裂幅を有する第2の領域とを含むミクロ組織を有している。かかるミクロ組織は、(a)第1の平均微小亀裂長さが第2の平均微小亀裂長さと異なるか、或いは(b)第1の平均微小亀裂幅が第2の平均微小亀裂幅と異なるという基準の1以上を満足する。
別の実施形態は固体酸化物型燃料電池である。かかる固体酸化物型燃料電池は、アノード、カソード、及びアノードとカソードとの間に配設されたセラミック電解質を含んでなる。セラミック電解質は、少なくとも、第1の平均微小亀裂長さと第1の平均微小亀裂幅を有する複数の微小亀裂を含む第1の領域と、第2の平均微小亀裂長さと第2の平均微小亀裂幅を有する第2の領域とを含むミクロ組織を有している。かかるミクロ組織は、(a)第1の平均微小亀裂長さが第2の平均微小亀裂長さと異なるか、或いは(b)第1の平均微小亀裂幅が第2の平均微小亀裂幅と異なるという基準の1以上を満足する。
別の態様では、本発明はセラミック電解質の製造方法を提供する。セラミック電解質は、1以上の気密領域及び1以上のコンプライアント領域を有している。かかる方法は、複数のナノサイズ微小亀裂を含むセラミック電解質を設ける段階と、セラミック電解質の一方の表面から優先的にナノサイズ微小亀裂を閉鎖することで、セラミック電解質が1以上の気密領域及び1以上のコンプライアント領域を有するようにする段階とを含んでなる。
本発明の上記その他の特徴、態様及び利点は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことで一層良く理解されよう。図面全体を通じて、同じ符号は類似の部分を表している。
図面の簡単な説明
図1は、ナノサイズ微小亀裂及び細孔を有する大気プラズマ溶射イットリア安定化ジルコニアセラミック電解質試料の断面走査電子顕微鏡写真である。
図2は、本発明の一実施形態に係る、セラミック電解質を含む固体酸化物型燃料電池の略図である。
図3は、例示的な燃料電池アセンブリの拡大部分の図であって、燃料電池の動作を示している。
図4は、本発明の一実施形態に係る、1以上の気密領域及び1以上のコンプライアント領域を有するセラミック電解質の製造方法のフローチャートである。
図5は、本発明の一実施形態に係る、勾配つきの微小亀裂密度を有するセラミック電解質の製造方法のフローチャートである。
図6は、1以上の気密領域及び1以上のコンプライアント領域を有する加工イットリア安定化ジルコニアセラミック電解質試料の断面走査電子顕微鏡写真である。
図7は、大気プラズマ溶射イットリア安定化ジルコニアセラミック電解質試料に関し、各回の被覆及び熱処理後における透過度の変化を示すグラフである。
図8は、大気プラズマ溶射イットリア安定化ジルコニアセラミック電解質試料に関し、各回の被覆及び熱処理後における空気での圧力減衰試験の結果を示すグラフである。
以下の説明では、図面中の複数の図のすべてにわたり、同じ参照符号は類似の又は対応する部分を表している。また、「上部」、「下部」、「外方」、「内方」、「第1」、「第2」などの用語は便宜上の言葉であって、限定的な用語と解すべきでないことはもちろんである。さらに、本発明の特定の態様がある群の複数の構成要素の1以上又はこれらの組合せを含むか或いはそれからなるといわれる場合には、かかる態様がその群の構成要素のいずれかを単独で又はその群のいずれか他の構成要素と共に含むか或いはそれからなり得ることはもちろんである。
本明細書中で使用する「ナノサイズ微小亀裂」は、ナノメートル域にある1以上の寸法(長さ又は幅)を有する微小亀裂を記述するものである。以下の実施形態では、ナノサイズ微小亀裂は通例は約200nm未満の平均幅及び約2000nm未満の平均長さを有する。本発明を理解するためには、「コンプライアント領域」は、細孔及び微小亀裂を含むことにより、完全に緻密な物体の弾性率より実質的に低下した弾性率を有する領域を記述するものである。以下の実施形態では、コンプライアント領域は実質的な亀裂密度の存在で表される。亀裂密度と弾性率との関係は公知である。[例えば、I.Sevostianov,M.Kachanov,J.Ruud,P.Lorraine,and M.Dubois,“Quantitative characterization of microstructures of plasma−sprayed coatings and their conductive and elastic properties”,Mat.Sci.Engg.A,v386,164−174(2004)を参照されたい。]。本明細書中で使用する「気密領域」は、低い気体透過度を有することで証明されるような気体の流れを実質的に制限する領域を記述するものである。以下の実施形態では、気密領域は通例は約1×10−10cmPa−1sec−1未満の空気透過度を有する。
図1は、本発明の一実施形態において、大気プラズマ堆積のような堆積技術で形成されたれセラミック電解質試料10の断面走査電子顕微鏡写真を示している。この顕微鏡写真は、堆積操作中に形成されたナノメートル寸法微小亀裂12及び細孔14のような複数の特徴を示している。さらに、多くのデバイス構造では、セラミック電解質は異なる熱膨張率を有する異種組成のセラミック層及び金属層の間に積層される。例えば、固体酸化物型燃料電池では、セラミック電解質はカソード層とアノード層との間に積層されることがある。デバイスの動作中には、繰り返される熱サイクル及び様々な層の異なる熱膨張のため、セラミック電解質は実質的に大きい熱ひずみに出会う。大きい熱ひずみは、セラミック電解質の厚さを通して追加の微小亀裂を引き起こすことがある。かかる微小亀裂は層の気密性を損なうことがある。したがって、デバイス中に組み込まれた場合に微小亀裂を形成する傾向を低下させるようにコンプライアントであるセラミック電解質を開発することが望ましい。本発明者らは、1以上のコンプライアント領域及び1以上の気密領域を有するセラミック電解質を提供することで、気密性を維持すると共にコンプライアンスを達成するのが可能であることを見出した。本明細書中には、かかるミクロ組織を有するセラミック電解質を製造するための融通のきく方法も開示される。
本発明の一実施形態はセラミック電解質である。かかるセラミック電解質は、少なくとも、第1の平均微小亀裂長さと第1の平均微小亀裂幅を有する複数の微小亀裂を含む第1の領域(「気密領域」)と、第2の平均微小亀裂長さと第2の平均微小亀裂幅を有する第2の領域(「コンプライアント領域」)とを含むミクロ組織を有している。通例、第1及び第2の領域中の微小亀裂の寸法は異なっている。微小亀裂は、2つの領域中で異なる長さ、幅又は両方の寸法を有し得る。ミクロ組織は、(a)第1の平均微小亀裂長さが第2の平均微小亀裂長さと異なるか、(b)第1の平均微小亀裂幅が第2の平均微小亀裂幅と異なるか、或いは(a)及び(b)の両方の基準を満足する。
これらの実施形態では、セラミック電解質はモノリシック構造体の形態を有する。本明細書中で使用する「モノリシック構造」は、継目のない単一の単位をなす三次元物体部分を意味する。これは、積層構造体又は多層構造体のような、複数の構成部分からなる物体と対照的である。本発明の幾つかの実施形態に関しては、モノリシック構造体は異なる領域で異なる微小亀裂寸法を有することで特徴づけられ、製造の容易さを始めとする多くの利点を与え得る。別の利点は、固有の界面をもたないモノリシック構造体は離層の問題を免れると予想されることである。離層は電解質のイオン伝導率を低下させることがある。
当技術分野で公知の通り、微小亀裂寸法はセラミック層の弾性及び熱的性質を制御する重要なパラメーターである。本発明者らは、異なる領域中に異なる微小亀裂寸法を設けることにより、モノリシック電解質層の内部で弾性率を変化させ得ることを見出した。したがって、実質的に異なる弾性率をもった領域を有するセラミック電解質が提供される。これは、異なる領域中の微小亀裂密度パラメーターを調整することで達成される。
通例、第2の領域(コンプライアント領域)は第1の領域(気密領域)より相対的に大きい微小亀裂を有する。一実施形態では、第2の平均微小亀裂長さは第1の平均微小亀裂長さより大きい。特定の実施形態では、第2の平均微小亀裂長さは第1の平均微小亀裂長さよりも約10%以上大きい。別の実施形態では、第2の平均微小亀裂長さは第1の平均微小亀裂長さよりも約15%以上大きい。一実施形態では、第1の平均微小亀裂長さは約850〜約900nmの範囲内にあり、第2の平均微小亀裂長さは約950〜約1050nmの範囲内にある。
幾つかの実施形態では、第2の平均微小亀裂幅は第1の平均微小亀裂幅より大きい。一実施形態では、第2の平均微小亀裂幅は第1の平均微小亀裂幅よりも約5%以上大きい。別の実施形態では、第2の平均微小亀裂幅は第1の平均微小亀裂幅よりも約10%以上大きい。一実施形態では、第1の平均微小亀裂幅は約95〜約105nmの範囲内にあり、第2の平均微小亀裂幅は約105〜約120nmの範囲内にある。
さらに、第1の領域(気密領域)におけるセラミック電解質の多孔度は第2の領域(コンプライアント領域)の多孔度と異なることができる。ミクロ組織は第1の領域において第1の多孔度を有し、第2の領域において第2の異なる多孔度を有する。通例、第2の多孔度は第1の多孔度より大きい。一実施形態では、第2の多孔度は第1の多孔度よりも約10%以上大きい。別の実施形態では、第2の多孔度は第1の多孔度よりも約20%以上大きい。さらに別の実施形態では、第2の多孔度は第1の多孔度よりも約30%以上大きい。一実施形態では、第1の多孔度は約4.5〜約6.5体積%の範囲内の値を有し、第2の多孔度は約6.5〜約10体積%の範囲内の値を有する。
幾つかの実施形態では、相対的に小さい微小亀裂及び低い多孔度を有する気密領域は被覆電解質の上面に配設され、相対的に大きい微小亀裂及び高い多孔度を有するコンプライアント領域は電解質の下面に配設される。一実施形態では、第1の領域(気密領域)はセラミック電解質の上面からセラミック電解質の深さの約45%までの領域からなり、第2の領域(コンプライアント領域)はセラミック電解質の下面から上方に向かってセラミック電解質の深さの約45%までの領域からなる。別の実施形態では、第1の領域(気密領域)はセラミック電解質の上面からセラミック電解質の深さの約35%までの領域からなり、第2の領域(コンプライアント領域)はセラミック電解質の下面から上方に向かってセラミック電解質の深さの約35%までの領域からなる。コンプライアント領域は、燃料電池の構成に応じて電解質の陽極側又は陰極側にある。
このようにコンプライアント領域に比べて気密領域の微小亀裂寸法が異なることは、セラミック電解質の弾性率に差を生じることがある。セラミック材料中の微小亀裂は、熱的に誘起される応力を除去するように機能し得る。したがって、相対的に大きい微小亀裂を有するセラミックはコンプライアンスが高く、微小亀裂形成に対する抵抗性が高い。しかし、微小亀裂の存在は時には燃料及びガスの漏れを引き起こすことがある。したがって、小部分について気密性をもたらす相対的に小さい微小亀裂を有すると共に、残りの部分についてコンプライアンスをもたらす相対的に大きい微小亀裂を有するセラミック電解質は有利であろう。
セラミック電解質の組成は、部分的には最終用途に依存する。セラミック電解質が固体酸化物型燃料電池或いは酸素ガス又は合成ガス発生器で使用される場合には、電解質はイオン化学種(例えば、酸素イオン又は水素イオン)を伝導し得る材料からなり得ると共に、低い電子伝導性を有し得る。セラミック電解質がガス分離装置で使用される場合には、セラミック電解質は混合イオン−電子伝導性材料からなり得る。上記実施形態のすべてにおいて、電解質は望ましくは電気化学反応体に対して気密であり得る。
一般に、固体酸化物型燃料電池用途のためには、セラミック電解質はデバイスの動作電圧で約10−3S/cm以上のイオン伝導率を有すると共に、十分に低い電子伝導率を有する。好適なセラミック材料の例には、特に限定されないが、様々な形態のジルコニア、セリア、ハフニア、酸化ビスマス、ランタンガレート、トリア及びこれらのセラミックの様々な組合せがある。幾つかの実施形態では、セラミック電解質は、イットリア安定化ジルコニア、希土類酸化物安定化ジルコニア、スカンジア安定化ジルコニア、希土類ドープトセリア、アルカリ土類ドープトセリア、希土類酸化物安定化酸化ビスマス及びこれらの化合物の様々な組合せからなる群から選択される材料からなる。例示的な実施形態では、セラミック電解質はイットリア安定化ジルコニアからなる。ドープトジルコニアは、広範囲の酸素分圧レベルにわたって実質的に純粋なイオン伝導性を示す点で魅力的である。一実施形態では、セラミック電解質は溶射イットリア安定化ジルコニアからなる。当業者は、本明細書中に論じられる要件に基づいて適当な電解質を選択する方法を知っているであろう。
電解酸素分離装置の場合には、電位差を印加してエネルギーを供給することで、メンブランを通して酸素が駆動される。かかる実施形態では、セラミック電解質は、イットリア安定化ジルコニア(例えば、(ZrO)0.92(Y)0.08、YSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(SSZ)、(CeO)0.8(Gd)0.2(CGO)のようなドープトセリア、La0.8Sr0.2Ga0.85Mg0.152.285(LSGM20−15)のようなドープトランタンガレート、(Bi)0.75(Y)0.25のようなドープト酸化ビスマスなどの、当技術分野で公知の電解質から選択できる。
印加電圧ではなく分圧を使用することで電解質を通してイオンを移動させるガス分離装置の場合には、電解質は混合イオン−電子伝導体(MIEC)であり得る。混合イオン−電子伝導体の例は、La1−xSrCoO3−δ(1≧x≧0.10)(LSC)、SrCO1−xFe3−δ(0.3≧x≧0.20)、La0.6Sr0.4Co0.6Fe0.4、LaNi0.6Fe0.4及びSm0.5Sr0.5CoOである。
若干の好ましい実施形態では、セラミック電解質は、抵抗損を最小にするためにできるだけ薄くすると共に、連絡気孔をもたないことを保証する程度に厚くすべきである。連絡気孔は一般に燃料ガス及び酸化剤ガスを通過させ、デバイスの性能を低下させることがある。セラミック電解質は、通例、約5〜約70μmの範囲内の厚さを有する。別の実施形態では、セラミック電解質は約20〜約50μmの範囲内の厚さを有する。有利には、大気プラズマ溶射のような熱堆積技術が任意所望の厚さの電解質層の堆積を可能にする。当業者は、デバイスの構造及び動作条件に基づいて厚さを最適化する方法を知っているであろう。
本発明の別の態様は固体酸化物型燃料電池(SOFC)である。燃料電池は、イオン伝導層を介して燃料と酸化剤とを電気化学的に化合させることで電気を発生するエネルギー変換装置である。図2に示すように、例示的なプレーナー型燃料電池20は、インターコネクト部分22と、セラミック電解質28で隔てられた1対の電極(カソード24及びアノード26)とを含んでいる。一般に、このような電池構成は当技術分野で公知であるが、図に示した構成を(例えば、アノード層が電解質の下方に位置し、カソード層が電解質の上方に位置するように)変更することもできる。当業者には、燃料電池が水平、垂直又は任意の方位で動作し得ることは言うまでもあるまい。
インターコネクト部分22は、隣接した電池繰返し単位30のカソード24に緊密に接触した複数の空気流路34及びアノード26に緊密に接触した複数の燃料流路36を画成し、或いはその逆の構成も可能である。動作に際しては、燃料の流れ38が燃料流路36に供給される。また、空気(通例は加熱空気)の流れ40が空気流路34に供給される。インターコネクト部分22は、各種の材料を用いて各種のデザインで構成できる。通例、インターコネクトは金属又は合金のような良導体で作製される。インターコネクトは、望ましくは電極との最適化接触面積を与える。
図3は燃料電池の一部を示していて、それの動作を図解している。燃料の流れ38(例えば、天然ガス)はアノード26に供給されて酸化反応を受ける。燃料はアノードで、電解質を横切ってアノードに輸送される酸素イオン(O2−)と反応する。酸素イオン(O2−)は脱イオンされて外部電気回路44に電子を放出する。空気の流れ40はカソード244に供給される。カソードが外部電気回路44から電子を受け取ると、還元反応が起こる。電解質28はアノード26とカソード24との間でイオンを伝導する。電子の流れは直流電気を発生し、このプロセスは若干の排ガス及び熱を生じる。
図2に示される例示的な実施形態では、燃料電池アセンブリ20はプレーナー型構造を有する複数の繰返し単位30を含んでいる。複数のこの種のセルを単一の構造物中に設けることができる。かかる構造物は、「スタック」、「アセンブリ」、又は単一の出力電圧を生じ得るセルの集合体ということがある。
アノード層26の主目的は、燃料電池中に導入される燃料の電気化学的酸化のための反応部位を提供することである。さらに、アノード材料は望ましくは燃料還元環境中で安定であり、十分な電子伝導率、表面積、及び燃料電池動作条件下での燃料ガス反応に対する触媒活性を有する。アノード材料は、望ましくは反応部位へのガス輸送を可能にするのに十分な多孔度を有する。アノード層26は、これらの性質を有する任意の材料(特に限定されないが、貴金属、遷移金属、サーメット、セラミック及びこれらの組合せを包含する)から形成できる。さらに詳しくは、アノード層26は各種の材料から形成できる。非限定的な例には、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、Ni−YSZサーメット、Cu−YSZサーメット、Ni−セリアサーメット又はこれらの組合せがある。幾つかの実施形態では、アノード層は2種以上の材料の複合材からなる。
カソード層24は、通例は電解質78上に配設されている。カソード層24の主目的は、酸化剤の電気化学的還元のための反応部位を提供することである。したがって、カソード層24は望ましくは酸化環境で安定であり、十分な電子及びイオン伝導率を有し、十分な表面積及び燃料電池動作条件下での酸化剤ガス反応に対する触媒活性を有し、反応部位へのガス輸送を可能にするのに十分な多孔度を有する。カソード層24は、これらの性質を満足する任意の材料(特に限定されないが、ストロンチウムドープトLaMnO、ストロンチウムドープトPrMnO、ストロンチウムドープト亜鉄酸ランタン、ストロンチウムドープトコバルト酸ランタン、ストロンチウムドープト亜鉄酸コバルト酸ランタン、亜鉄酸ストロンチウム、SrFeCo0.5、SrCo0.8Fe0.23−δ、La0.8Sr0.2Co0.8Ni0.23−δ、La0.7Sr0.3Fe0.8Ni0.23−δ及びこれらの組合せのような導電性の触媒酸化物を包含する)から形成できる。かかる導電性の触媒活性物質とイオン伝導体との複合材も使用できる。幾つかの実施形態では、イオン伝導体はイットリア安定化ジルコニア、希土類酸化物安定化ジルコニア、スカンジア安定化ジルコニア、希土類ドープトセリア、アルカリ土類ドープトセリア、希土類酸化物安定化酸化ビスマス及びこれらの化合物の様々な組合せからなる群から選択される材料からなる。
通例、電解質層28はカソード層24とアノード層26との間に配設される。電解質層28の主目的は、アノード層26とカソード層24との間でイオンを伝導することである。電解質は一方の電極で生じたイオンを他方の電極に運ぶことで、電子の流れに由来する電荷をバランスさせると共に燃料電池中の電気回路を完結させる。さらに、電解質は燃料電池中で燃料を酸化剤から隔離する。通例、電解質28は実質的に電気絶縁性である。したがって、電解質は望ましくは還元環境及び酸化環境の両方で安定であり、反応ガスに対して不透過性を有し、動作条件下で十分な伝導性を有し、隣接するアノード26及びカソード24に対してコンプライアントである。本発明の実施形態に関して記載されるセラミック電解質は、実質的に高いコンプライアンス及び優れた気密特性を有する。これらの特徴は、通常のセラミック電解質に比べて明確な利点を与える。
本発明の幾つかの実施形態では、セラミック電解質は、上記の実施形態で詳しく記載したように1以上の気密領域及び1以上のコンプライアント領域を含むミクロ組織を有している。上述の通り、第1の領域(気密領域という)は第1の平均微小亀裂長さと第1の平均微小亀裂幅を有する複数の微小亀裂を含み、第2の領域(コンプライアント領域という)は第2の平均微小亀裂長さと第2の平均微小亀裂幅を有する。通例、前述のように、第1及び第2の領域中の微小亀裂の寸法は異なっている。一実施形態(図2)では、セラミック電解質28は、アノード層26に近接したコンプライアント領域及びカソード層24に近接した気密領域を有するようにしてカソード層24とアノード層26との間に配設されている。別の実施形態では、電解質はカソード24に近接したコンプライアント領域及びアノード26に近接した気密領域を有する。別の実施形態では、セラミック電解質は2以上のコンプライアント領域及び気密領域を有し得る。セラミック電解質は、前述の実施形態で述べたものを始めとして、任意適宜の組成、微小亀裂勾配及び厚さを有し得る。
アノード層、カソード層及び電解質層は、説明を簡略にするため、単一の層として図示されている。しかし、アノード層は粒度が徐々に変化する複数の層を有し得ることを理解すべきである。熱的適合性を得るため、材料の組成も徐々に変化し得る。別の例では、電解質構造体は管状の形状に関して使用することもできる。さらに、電池の動作は簡単な図式を用いて説明されているが、本発明の実施形態はこのような特定の簡単なデザインに限定されない。当業者には理解されるように、(複雑なデザインを含め)様々な他のデザインも適用可能である。例えば、幾つかの実施形態では、燃料電池は個別の電極(アノード/カソード)層及び電解質層ではなく複合した電極−電解質構造物からなることもできる。かかる複合構造物にも、その性能を高めるため、La1−xSrMnO(LSM)、La1−xSrCoO(LSC)、La1−xSrFeO(LSC)、SrFeCo0.5、SrCo0.8Fe0.23−δ、La0.8Sr0.2Co0.8Ni0.23−δ及びLa0.7Sr0.3Fe0.8Ni0.23−δのような電気触媒物質を組み込むことができる。燃料電池はまた、層の熱膨張率(CTE)を一層よく整合させるため、追加の層(例えば、バッファー層、支持体層など)を含むことができる。これらの層は様々な形態を有し得ると共に、各種の公知技術で形成できる。一例としては、バッファー/支持体層は多孔質のフォーム又はテープであってよく、或いはニットワイヤー構造体の形態を有していてもよい。
本発明の別の実施形態は、1以上のコンプライアント領域及び1以上の気密領域を有するセラミック電解質の製造方法である。図4は、1以上のコンプライアント領域及び1以上の気密領域を有するセラミック電解質を製造する方法50のフローチャートを示している。かかる方法は、複数のナノサイズ微小亀裂を含むセラミック電解質を設ける段階52と、セラミック電解質の一方の表面から優先的に若干のナノサイズ微小亀裂を閉鎖する段階54を含んでなる。細孔の選択的閉鎖は、加工されたセラミック電解質が1以上の気密領域及び1以上のコンプライアント領域を有するように制御される。
まず最初に、複数のナノサイズ微小亀裂を含むセラミック電解質が段階52で設けられる。当技術分野で公知の任意の方法(例えば、熱堆積技術)でセラミック電解質層を形成できる。好適な熱堆積技術の例には、特に限定されないが、プラズマ溶射、火炎溶射及びデトネーションコーティングがある。別法として、パルス蒸着(PVD)、電子ビームパルス蒸着(EBPVD)又は化学蒸着(CVD)により、セラミック電解質層を気相から堆積させることもできる。セラミック層はまた、スラリーをバンド流延又はスクリーン印刷し、次いで焼結することでも形成できる。かかる方法で得られた層は、多くの場合に細孔及び開放微小亀裂構造によって形成された毛管空隙を含み、これらは層の意図される機能を損なう。
例示的な実施形態では、大気プラズマ溶射(APS)法でセラミック電解質層を堆積させる。プラズマ溶射コーティングは、プラズマ溶射トーチを用いて粉末金属酸化物又は非酸化物材料のガス噴射スプレーを加熱することで形成される。スプレーは、粉末粒子が溶融する温度に加熱される。粉末粒子のスプレーを基体表面に当てると、それは衝突時に凝固してコーティングを形成する。従来の堆積したままのAPSミクロ組織は、通例、複数の重なり合った材料スプラットによって特徴づけられる。この場合、スプラット間の境界は緊密に接合されていることもあれば、ギャップにより分離されて若干の細孔及び微小亀裂を生じることもある。セラミック電解質は、当技術分野で公知の装置及び方法を用いたAPS法で施工できる。当業者には、電解質材料の組成並びに所望のミクロ組織及び厚さのような各種の因子に応じてプロセスパラメーターを加減できることが理解されよう。通例、複数のナノサイズ微小亀裂を含むセラミック電解質は10%未満の多孔度を有する。堆積したままのセラミック電解質は、空気中で測定して約8×10−10cmPa−1sec−1未満の気体透過度で特徴づけられる。
電解質層を堆積させた後、電解質層の一方の表面から優先的に所定の数のナノサイズ微小亀裂を閉鎖することで、セラミック電解質は1以上の気密領域及び1以上のコンプライアント領域を有することになる。
1以上の気密領域及び1以上のコンプライアント領域を有するセラミック電解質を製造するための例示的な方法60のフローチャートを図5に示す。かかる方法は、複数のナノサイズ微小亀裂を含むセラミック電解質層を設ける段階62を含んでいる。次いで、段階64に示されるように、セラミック電解質に液状前駆体を含浸させることで特定数のナノサイズ微小亀裂を閉鎖できる。前駆体は、1種以上の酸化可能な金属イオンを含み得る。次に、段階66で酸化可能な金属イオンを酸化物に転化させるのに十分な温度にセラミック電解質を加熱し、それによって特定数のナノサイズ微小亀裂を閉鎖できる。
セラミック電解質には、段階64で1種以上の酸化可能な金属イオンを含む液状前駆体を含浸させる。液状前駆体の含浸は、加工されたセラミックが、相対的に小さい微小亀裂及び低い多孔度を有する1以上の気密領域と、相対的に大きい微小亀裂及び高い多孔度を有する1以上のコンプライアント領域とを含むように制御される。幾つかの実施形態では、液状前駆体は溶液の形態で使用される。溶液は、任意の溶媒と、溶液の形成を可能にする可溶性塩物質とを含み得る。金属は陽イオンとして存在する。対応する陰イオンは、無機化合物(例えば、硝酸イオンNO3−)又は有機化合物(例えば、アルコレート基又は酢酸基)である。アルコレートを使用する場合には、アルコレートの加水分解感受性を低下させるため、アセチルアセトネートのようなキレート配位子を有利に添加できる。好適な溶媒の例は、トルエン、アセトン、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール及び水である。硝酸塩及び有機金属可溶性物質(例えば、シュウ酸塩、酢酸塩及びクエン酸塩)の水溶液及びアルコール溶液も使用できる。細孔及び微小亀裂中への浸透を可能にするため、溶液は適当な湿潤性及び溶解性を有するのが望ましい。一実施形態では、多孔度は8体積%から5.8体積%に低下し、亀裂容積の概略減少は25%であった。
電解質が金属Me(ここで、MeはZr、Ce、Y、Al又はCaである)の酸化物からなる場合、前駆体溶液は硝酸塩Me(NO)(式中、Caについてはx=2、Zr、Ce、Y、Al、Co、Mn、Mg、Ca、Sr、Y、Zr、Al、Tiについてはx=3である)を含み得る。別法として(又は加えて)、前駆体溶液はCe、Eu又はGdのようなランタニドも含み得る。金属硝酸塩は、一般に、水に容易に溶解し得る結晶性水和物(例えば、Ce(NO)・6HO)として入手できる。金属硝酸塩は高温で対応する酸化物に分解すると同時に、気体状のNOを生成する。酸化物生成が起こる転化温度は多くの硝酸塩について知られており、それに従って加工条件が選択される。
通例、酸化可能な金属イオンは金属酸化物に熱的に転化させることができる。所望数の微小亀裂に含浸させた後、入熱の下で温度を上昇させる間に溶媒を蒸発させると共に、高温で金属を金属酸化物に変化させることで含浸された微小亀裂を閉鎖する。本明細書中で使用する「特定数の微小亀裂を閉鎖する」とは、亀裂を充填するか、又は亀裂の表面を閉鎖することで亀裂の寸法を縮小することを包含する。熱処理に際しては、熱オーブン、マイクロ波オーブン、放熱器又は火炎で入熱を行うことができる。特定のミクロ組織及び気体透過度値を得るため、含浸及び加熱プロセスを複数回繰り返すことができる。
本発明の実施形態は、当技術分野で従来知られていたものとは基本的に異なっている。セラミック層を高密度化するため、高度に多孔質のセラミック層に金属イオンを含浸させ、それを熱処理することは報告されていた。このような場合には、初期セラミック層は高度に多孔質であり(多孔度>10%)、(3.5×10−10cmPa−1sec−1を超える)比較的高い気体透過度をもたらすミクロンサイズの微小亀裂を有している。その結果、金属イオンを特定領域に優先的に閉じ込めるように金属イオンの浸透を制御することは困難である。このような場合、加工セラミック層は初期セラミック層に比べて高密度のセラミック材料である。しかし、セラミック層が該層の異なる領域において、異なるコンプライアンス及び弾性率で特徴づけられる異なるミクロ組織を有することはありそうにない。本発明の実施形態に係るセラミック電解質は、同一のモノリシック構造体の内部で弾性率が変化することで特徴づけられる。上記の実施形態は、制御された微小亀裂寸法を有し、従って異なる領域で異なる弾性を有するセラミック電解質を得るための簡単で融通のきく方法を提供する。
以下の実施例は、本発明によって提供される特徴及び利点を例示するために役立つものであり、本発明をそれに限定するのではない。
実施例1:1以上の気密領域及び1以上のコンプライアント領域を有するイットリア安定化ジルコニア(YSZ)電解質の製造
硝酸イットリウム及び酸化二硝酸ジルコニウムの前駆体水溶液を調製し、適当な比率で混合することで、硝酸塩分解後に8モル%Y−ZrO(8YSZ)の最終組成を有する0.6M溶液を得た。厚さ65ミクロンの8YSZ大気プラズマ溶射(APS)電解質を有する直径1インチの多孔質ステンレス鋼基板を基線として使用した。8YSZ硝酸塩溶液をAPSコーティング上に3.5mg/cmで塗布し、その間に溶液は透過性コーティング中に目に見えて浸透した。基板を室温及び70℃でそれぞれ約5分間ずつ風乾した。次に、2℃/分の加熱及び冷却速度で基板に500℃で0.5時間の熱処理を施すことで、硝酸塩を分解して酸化物を生成させた。塗布から熱処理までの操作を全部で10回繰り返した。
典型的な堆積したままのAPS電解質構造体の顕微鏡写真を図1に示す。かかる顕微鏡写真は、コーティングの厚さ全体にわたって微小亀裂及び細孔を示している。上面付近のミクロ組織は小さい微小亀裂及び低い多孔度を有していて、気密領域を与える。このようなミクロ組織は、硝酸塩前駆体を用いた場合、電解質の上面付近で(YSZによる)微小亀裂の閉鎖が一層効率的に起こることに由来している。層の下面付近のミクロ組織は大きい微小亀裂及び高い多孔度を有している。
図7は、塗布及び熱処理を繰り返すたびの透過度の変化を、YSZ硝酸塩溶液を塗布せずに熱処理のみを施した対照品と比較して示している(プロット80)。基線の基板及びAPSコーティング(棒81)の透過度は、3.53×10−10cmPa−1sec−1(標準偏差9.53×10−11cmPa−1sec−1)であった。棒82、83、84、85、86、87、88、89、90及び91は、塗布及び熱処理の繰返しに伴って透過度が累進的に改善することを示している。10回の塗布及び熱処理を施した後には、透過度はほぼ1桁減少して4.94×10−11cmPa−1sec−1(標準偏差1.66×10−11cmPa−1sec−1)になった。
実施例2:4インチ(10.2cm)セル上に適用されたイットリア安定化ジルコニア硝酸塩前駆体
硝酸イットリウム及び酸化二硝酸ジルコニウムの前駆体水溶液を調製し、適当な比率で混合することで、硝酸塩分解後に8モル%Y−ZrO(8YSZ)の最終組成を有する0.9M溶液を得た。電気化学的試験に使用されるものの典型例である、8YSZ大気プラズマ溶射(APS)電解質を有する4インチ平方のSOFC陽極包囲体を以後の硝酸塩溶液含浸のための基線として使用した。
8YSZ硝酸塩溶液をAPSコーティング上に2mg/cmの目標塗布量で塗布し、その間に溶液は透過性コーティング中に目に見えて浸透した。基板を真空下において室温で約5分間乾燥し、次いで空気中において70℃でさらに5分間乾燥した。次に、基板を300℃に予熱した炉内に1.5分間挿入することで、硝酸塩を部分的に分解すると共に、含浸材料にある程度の体積圧密を施した。このような塗布、乾燥及び加熱手順を全部で4回行った。5回目の塗布及び乾燥を完了した後、2℃/分で被覆基板に500℃で0.5時間の熱処理を施した。この熱処理中には、内部の包囲体金属の酸化を防止するため、陽極側を10%水素−残部窒素混合物に暴露した。同時に、電解質を空気流に暴露することで、浸透した硝酸塩を完全に分解すると共に8YSZを酸化した。4回の塗布及びそれに続く300℃での熱処理、並びに5回目の塗布及びそれに続く500℃での熱処理を1加工サイクルと見なす。4インチの基板を4加工サイクル(全部で4回の500℃熱処理)に暴露し、次いで透過度を試験した。
図8は、透過度単位を用いた空気による圧力減衰試験の結果を示している(プロット100)。基線透過度(棒102)は3.09×10−10cmPa−1sec−1として測定された。2回の硝酸塩塗布及び2回の300℃熱処理の後には(棒104)、透過度は3桁低下し、硝酸塩溶液が圧力減衰の原因となる漏れを標的にしていることを表している。1回目の500℃熱処理後、透過度は2.15×10−10cmPa−1sec−1に増加したが、これは300℃熱処理中に硝酸塩が完全には分解していないことを表している。しかし、透過度は各加工サイクル後に減少していった。棒106、108、110及び112は、塗布及び熱処理の繰返しに伴って透過度が累進的に改善することを示している。4サイクル後、透過度は2.47×10−11cmPa−1sec−1であったが、これは基線測定値より1桁以上良好であった(棒112)。
以上、例示的な実施形態に関して本発明を説明してきたが、当業者であれば、本発明の技術的範囲から逸脱せずに様々な変更及び同等物による構成要素の置換を行い得ることが理解されよう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるために多くの修正を行うことができる。したがって、本発明はこの発明を実施するために想定される最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に含まれるすべての実施形態を包含するものである。
ナノサイズ微小亀裂及び細孔を有する大気プラズマ溶射イットリア安定化ジルコニアセラミック電解質試料の断面走査電子顕微鏡写真である。 本発明の一実施形態に係る、セラミック電解質を含む固体酸化物型燃料電池の略図である。 例示的な燃料電池アセンブリの拡大部分の図であって、燃料電池の動作を示している。 本発明の一実施形態に係る、1以上の気密領域及び1以上のコンプライアント領域を有するセラミック電解質の製造方法のフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る、勾配つきの微小亀裂密度を有するセラミック電解質の製造方法のフローチャートである。 1以上の気密領域及び1以上のコンプライアント領域を有する加工イットリア安定化ジルコニアセラミック電解質試料の断面走査電子顕微鏡写真である。 大気プラズマ溶射イットリア安定化ジルコニアセラミック電解質試料に関し、各回の被覆及び熱処理後における透過度の変化を示すグラフである。 大気プラズマ溶射イットリア安定化ジルコニアセラミック電解質試料に関し、各回の被覆及び熱処理後における空気での圧力減衰試験の結果を示すグラフである。
符号の説明
10 セラミック電解質試料
12 ナノサイズ微小亀裂
14 細孔

Claims (12)

  1. ミクロ組織を有するセラミック電解質(10)であって、ミクロ組織は少なくとも、第1の平均微小亀裂長さと第1の平均微小亀裂幅を有する複数の微小亀裂(12)を含む第1の領域と、第2の平均微小亀裂長さと第2の平均微小亀裂幅を有する第2の領域とを含んでなり、第1の領域が1×10 -10 cm 2 Pa -1 sec -1 未満の空気透過度を有する気密領域であり、第2の領域がコンプライアント領域であって、
    (a)第1の平均微小亀裂長さが第2の平均微小亀裂長さよりも小さいか及び/又は
    (b)第1の平均微小亀裂幅が第2の平均微小亀裂幅よりも小さい、セラミック電解質(10)。
  2. モノリシック構造体をなす、請求項1記載のセラミック電解質(10)。
  3. モノリシック構造体が0μmの範囲内の厚さを有する、請求項2記載のセラミック電解質(10)。
  4. 第2の平均微小亀裂長さが第1の平均微小亀裂長さよりも0%以上大きい、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のセラミック電解質(10)。
  5. 第1の平均微小亀裂長さが850〜900nmの範囲内にあって、第2の平均微小亀裂長さが950〜1050nmの範囲内にある、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のセラミック電解質(10)。
  6. 第2の平均微小亀裂幅が第1の平均微小亀裂幅よりも%以上大きい、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のセラミック電解質(10)。
  7. 第1の平均微小亀裂幅が95〜105nmの範囲内にあって、第2の平均微小亀裂幅は105〜120nmの範囲内にある、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のセラミック電解質(10)。
  8. ミクロ組織がさらに、第1の領域において第1の多孔度を有し、第2の領域において第2の異なる多孔度を有する、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のセラミック電解質(10)。
  9. 第1の多孔度が4.5〜6.5体積%の範囲内の値を有し、第2の多孔度が6.5〜10体積%の範囲内の値を有する、請求項8記載のセラミック電解質(10)。
  10. 当該セラミック電解質(10)が、ジルコニア、セリア、ハフニア、酸化ビスマス、ランタンガレート及びトリアからなる群から選択される材料からなる、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載のセラミック電解質(10)。
  11. アノード(24)、カソード(22)、及びアノード(24)とカソード(22)との間に配設された請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載のセラミック電解質(10)を含んでなる固体酸化物型燃料電池(20)
  12. 請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載のセラミック電解質(10)の製造方法であって、
    複数のナノサイズ微小亀裂を含むセラミック電解質(10)を設ける段階と、
    セラミック電解質(10)の一方の表面から優先的にナノサイズ微小亀裂(12)を閉鎖することで、セラミック電解質(10)が1以上の気密領域及び1以上のコンプライアント領域を有するようにする段階と
    を含んでなる方法。
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