JPH11329463A - 固体電解質型燃料電池およびその製造方法 - Google Patents

固体電解質型燃料電池およびその製造方法

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JPH11329463A
JPH11329463A JP10136326A JP13632698A JPH11329463A JP H11329463 A JPH11329463 A JP H11329463A JP 10136326 A JP10136326 A JP 10136326A JP 13632698 A JP13632698 A JP 13632698A JP H11329463 A JPH11329463 A JP H11329463A
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JP
Japan
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solid electrolyte
electrolyte layer
fuel cell
sol
film
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JP10136326A
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English (en)
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Shunji Takenoiri
俊司 竹野入
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Corporate Research and Development Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】緻密性に優れた固体電解質層を備える製造方法
を得る。 【解決手段】多孔質金属基板の上にアノードと固体電解
質層を形成したのち、Y2O3安定化ZrO2ゾルからなる封孔
処理溶液に約2時間浸け、約2mm/sの速度で引き上げて
被膜を形成し、100 〜150 ℃での予備加熱によりゲル化
させ、400 〜500 ℃の酸化雰囲気中での仮焼により非晶
質化させる。この工程を繰り返して所望の厚さの非晶質
膜を形成したのち、セルを形成し、運転温度において i
n-situで非晶質膜を結晶化し、焼結させて緻密な被膜を
形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、固体電解質を用
い、電気化学反応によってそのギブスの自由エネルギー
を電気エネルギーに変換する固体電解質型燃料電池に関
する。
【0002】
【従来の技術】イットリア安定化ジルコニア等の酸化物
固体電解質を用いる固体電解質型燃料電池は、作動温度
が 800〜1000℃という高温であるため発電効率が高く、
また、燃料ガスの改質の簡素化が期待されるという利点
を備えており、さらに、電解質が固体であるため取り扱
いが容易でかつ長期的安定性に優れるという長所も持つ
ことから、次世代の燃料電池として期待され、様々な機
関でその開発が進められている。
【0003】固体電解質型燃料電池は、円筒型と平板型
とに大別され、平板型は、さらにセルの構造上大きく2
種類に分類される。一つは、焼結法等により作製した自
立した固体電解質層の両面にアノードとカソードを作製
してセルを構成する自立膜方式の固体電解質型燃料電池
であり、もう一つは、図4に示したごとく、基板11の
上にアノード12、固体電解質層13、カソード14を
順次作製してセルを構成する支持膜方式の固体電解質型
燃料電池である。なお、支持膜方式では、アノードを基
板として用い、その上に固体電解質層、カソードを作製
する構成のもの、あるいは、カソードを基板として用
い、その上に固体電解質層、アノードを作製する構成の
ものもある。
【0004】支持膜方式の固体電解質型燃料電池におい
て、基板上に固体電解質薄膜を作製する方法には種々の
方法があるが、代表的な方法として、成膜速度が速く比
較的簡便なプラズマ溶射法が挙げられる。プラズマ溶射
法においては、固体電解質の出発粉体であるジルコニア
等をプラズマ中に導入して溶融し、基板上に堆積させる
ことによって固体電解質層が形成される。特に減圧雰囲
気下でプラズマ溶射を行う減圧プラズマ溶射法は、緻密
質の固体電解質層を形成する方法として広く用いられて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、電池
の大容量化を目指して、単位セルの大型化が推進されて
いるが、減圧プラズマ溶射法で大型のセルを作製するに
は真空系を含む大型の装置が必要となるという問題点が
あり、大型化の容易な大気圧プラズマ溶射法、すなわち
大気圧雰囲気下でのプラズマ溶射法が見直されつつあ
る。しかしながら、大気圧プラズマ溶射法を用いて開発
されてきたこれまでの電解質溶射膜は緻密性が不十分で
あり、この電解質溶射膜を用いると燃料ガスと酸化剤ガ
スのクロスリークが生じ、電池特性低下の要因となって
いた。
【0006】これを解決する方法として、電総研より封
孔処理する方法が提案された(1993年第3回SOFC研
究発表会)が、この方法を用いると、 700℃以上の高温
における熱処理を数度行う必要があるため、熱サイクル
に起因する反りや割れを生じ易く、また方法が必ずしも
確立されていないので、常に十分な効果が得られるとは
限らないという難点がある。
【0007】また、自立膜方式の固体電解質型燃料電池
では、アノードと電解質とカソードをグリーン体の状態
で一体成形し、一度の焼結でセルを作製する共焼結法
が、近年注目されている。この方法によれば、セル作製
時の熱サイクル数が低減でき、コストダウンにもつなが
るので、これまで様々な検討が加えられてきている。し
かしながら、本方法においては、電解質の焼結温度であ
る1500〜1600℃で焼結すると電極が緻密化してしまうの
で、焼結温度を下げて焼結せざるをえず、したがって電
解質の緻密化が困難である。
【0008】一方、固体電解質層の上にカソード膜を形
成する方法としては、固体電解質層の上にスクリーン印
刷等を用いてカソードスラリーを塗布し、高温で焼結す
る焼結法が、一般に用いられている。この方法におい
て、カソードと固体電解質層の密着度を向上させるため
には、焼結温度を約1250℃にする必要があるが、この温
度では、カソード材料である (LaSr)MnO3 と固体電解質
層の ZrO2 が化学反応を起こし、電気抵抗の高いランタ
ンジルコネートを形成するので、電池特性が低下すると
いう難点があった。
【0009】この発明は、上記のごとき従来技術の難点
を考慮してなされたもので、この発明の目的は、緻密性
の優れた固体電解質層が得られ、さらに、カソードと固
体電解質層との間の密着度が向上し、かつ両電極と固体
電解質層との界面における活性化分極が低減されて、高
信頼性、高性能の固体電解質型燃料電池が得られる製造
方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明においては、 (1)固体電解質型燃料電池の固体電解質層として、少
なくとも一方の表面もしくは表面および表面近傍に、例
えばY2O3安定化ZrO2ゾルあるいはY2O3ドープCeO2ゾルの
ごとき酸化物酸素イオン伝導体のゾルを付与し、このゾ
ルをゲル化したのち焼結して得られる緻密膜を形成した
固体電解質層を用いることとする。
【0011】(2)さらに、上記(1)の緻密膜とその
上に形成されたカソードとの界面において、緻密膜材料
中の金属原子とカソード材料中の金属原子とが結合した
ものとする。 (3)また、固体電解質層を酸化物酸素イオン伝導体の
ゾル中に浸漬・ゾルからの引き上げ・乾燥・仮焼する工
程を順に1回もしくは2回以上繰り返して固体電解質層
の表面に緻密膜を形成する封孔処理工程を実施して、固
体電解質型燃料電池を製造することとする。
【0012】(4)またさらに、(3)の封孔処理工程
の後、固体電解質型燃料電池運転温度に昇温し、この温
度に保持して上記の緻密膜を結晶化する工程を実施する
こととする。 (5)さらに、(4)の封孔処理工程の最後の乾燥工程
の後の仮焼工程のみ行わないこととする。
【0013】上記(1)のごとく固体電解質層の上に緻
密膜を形成すれば、固体電解質層を通してのガスの透過
が抑えられ、ガスのクロスリークによるセルの損傷が防
止される。さらに(2)のごとく、緻密膜とその上に形
成されたカソードとの界面において、緻密膜材料中の金
属原子とカソード材料中の金属原子とが結合したものと
すれば、固体電解質層の緻密性が向上するとともに固体
電解質層とカソードとの密着性が向上し、接触抵抗が低
減される。
【0014】また、上記(3)のごとく封孔処理工程を
実施すれば、固体電解質層の表面に緻密膜が形成され、
固体電解質層を通してのガスの透過が抑えられ、ガスの
クロスリークによるセルの損傷が防止される。また、上
記(4)あるいは(5)のごとく、封孔処理工程の後、
固体電解質型燃料電池運転温度に昇温し、この温度に保
持して緻密膜を in situで結晶化させる工程を実施すれ
ば、例えば固体電解質層のカソードに対向する表面に形
成した緻密膜においては、Mをゾル中の金属原子、M’
をカソード材料中の金属原子としたとき、緻密膜とカソ
ードとの間にM−O−M’の結合が作られるので、緻密
性の高い封孔処理ができると同時に、固体電解質層とカ
ソードとの密着度が向上する。したがって、セル特性低
下の原因となるランタンジルコネートの生成が防止さ
れ、固体電解質層とカソードの間の接触抵抗が低減され
ることとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】<実施例1>本実施例は、大気圧
プラズマ溶射法を用いて固体電解質層を成膜し、表面に
酸化物酸素イオン伝導体のゾルのY2O3安定化ZrO2ゾルを
満たし、これをゲル化する方法により固体電解質層の封
孔処理を行う実施例である。
【0016】まず、図4に示した従来例のごとく、多孔
質金属基板11の上に、フレーム溶射法を用いて表1の
溶射条件で,厚さ約 50 μmのアノード12を形成す
る。
【0017】
【表1】 ついで、アノード12の上に、大気圧プラズマ溶射法を
用いて表2の溶射条件で Y2O3 安定化ZrO3(YSZ)を
溶射し,厚さ約 150μmの固体電解質層13を形成す
る。
【0018】
【表2】 この後、図2(a)に平面図、図2(b)にA−A面の
断面図を示したように、多孔質金属基板の上にアノード
と固体電解質層を形成したサブセル1を、基板ホルダー
3に設けた円形の凹部に挿入し、マスキングテープ2で
周囲をカバーして組み込み、図1に示したフローに従っ
て処理を行う。すなわち、まず、基板ホルダー3に組み
込んだサブセル1を、酸化物酸素イオン伝導体のゾルで
あるY2O3安定化ZrO2(YSZ)ゾルからなる封孔処理溶
液の中に約2時間浸ける。このとき、毛細管現象により
固体電解質層の表面近傍の空孔がゾルで満たされる。つ
いで、サブセル1を約 2mm/sec の速度でゾル中から引
き上げる。このとき、固体電解質層の表面に約 0.1μm
の厚さの被膜が形成される。これを 100〜 150℃におい
て予備乾燥すると、固体電解質層の表面および表面近傍
の空孔に付着したゾルがゲル化する。さらにこれを 400
〜500 ℃の酸化雰囲気中で仮焼すると、ゲル中の水分お
よび有機成分が消失し、非晶質のYSZとなる。上記の
封孔処理溶液中へのディッピング処理から 400〜500 ℃
の酸化雰囲気中での仮焼処理までの工程を繰り返すこと
により所望の厚さの被膜が得られる。
【0019】このように固体電解質層の表面に封孔処理
を施したのち、スラリーコーティング法によってカソー
ドを塗布してセルを形成し、固体電解質型燃料電池を組
み上げて、 800〜1000℃で運転すれば、 400〜500 ℃の
酸化雰囲気中での仮焼処理により形成したYSZの非晶
質膜が結晶化し、時間の経過とともに焼結が進み、緻密
な被膜となる。
【0020】このように固体電解質層に施した封孔処理
の効果を評価するために、上記の封孔処理を施して構成
したセルと、封孔処理を施さないで構成したセルの2種
類のセルの運転を行い、無負荷時の電圧、すなわち開放
端電圧を測定した。この2種類のセルは、いずれも、多
孔質金属基板として Ni フェルトを用い、Ni−YSZを
フレーム溶射して厚さ約 50 μmのアノードを形成し、
大気圧プラズマ溶射法を用いて厚さ約 150μmのYSZ
の固体電解質層を形成し、また、スラリーコーティング
法によってランタンマンガナイトを形成して厚さ約 150
μmのカソードとしたセルである。運転温度 950℃で、
燃料ガスとして水素を用い、30℃で水蒸気飽和状態とし
て供給し、運転したときの測定結果によれば、固体電解
質層に封孔処理を施さないで構成したセルの開放端電圧
が 1.0Vであったのに対して、上記の封孔処理を施して
構成したセルでは、運転開始時で 1.015V、 406時間経
過後には 1.067Vとなった。この値は開放端電圧の理論
値の約 1.1Vに近い値であり、上記の封孔処理がセル特
性の向上に極めて効果的であることが確認された。な
お、上記の封孔処理を施して構成したセルについては、
約 600時間の運転を行ったが特性の劣化は認められず、
信頼性も高いと言える。
【0021】<実施例2>本実施例は、大気圧プラズマ
溶射法を用いて固体電解質層を成膜し、表面に酸化物酸
素イオン伝導体のゾルのY2O3安定化ZrO2ゾルを満たし、
これをゲル化する方法により固体電解質層の封孔処理を
行い、同時に、固体電解質層とその上部に形成するカソ
ードとの密着性を向上させる処理を行う実施例である。
【0022】本実施例では、第1の実施例と同様に、多
孔質金属基板の上に、フレーム溶射法を用いて前述の表
1の溶射条件で,厚さ約 50 μmのアノードを形成し、
さらにその上に、大気圧プラズマ溶射法を用いて前述の
表2の溶射条件でYSZを溶射し,厚さ約 150μmの固
体電解質層13を形成する。つぎに、このサブセルを前
述の図2のごとく基板ホルダーに組み込み、図1に示し
たフローに従って、表面にY2O3安定化ZrO2ゾルを満た
し、これをゲル化する操作を繰り返すことにより固体電
解質層の表面に被膜を形成して封孔処理を行う。
【0023】本実施例の処理操作と第1の実施例の処理
操作の差異は、繰り返して行う被膜形成工程の最終回の
処理操作にある。すなわち、第1の実施例の処理操作に
おいては、図1のごとく、ディッピング→引き上げ→予
備加熱→仮焼の工程を繰り返して固体電解質層の表面に
非晶質膜を形成したのち、カソードを形成してセルを組
み上げ、形成した非晶質膜を運転温度においてin−situ
で結晶化していたのに対して、本実施例の処理操作にお
いては、ディッピング→引き上げ→予備加熱→仮焼の工
程を繰り返して固体電解質層の表面に非晶質膜を形成
し、最終回の処理工程では、仮焼処理を行わないで、デ
ィッピング→引き上げ→予備加熱の工程のみを行って非
晶質膜の上に1層のゲル膜を形成する。そののち、表面
にカソードを形成してセルを組み上げ、 800〜1000℃で
運転する。このとき、形成された非晶質膜は結晶化し、
時間経過とともに焼結が進み緻密な被膜となる。一方、
非晶質膜の上に形成されたゲル膜においては、ゲル膜の
−OHとカソード表面にあるM’OH(M’はカソード
材料中の金属原子)からH2O が遊離して、−M’−O−
M−(Mはゲル膜中の金属原子)の結合を生じ、ゲル膜
とカソードが強固に結合することとなる。
【0024】このようにして被膜を形成したセルについ
て、発電運転を行った結果によれば、0.3 A/cm2 にお
ける負荷運転時のセル電圧は、封孔処理による開放端電
圧の増加分相当分を差し引いて評価したとき、約 20 m
Vと大幅に上昇しており、上記の処理によって固体電解
質層とカソードとの密着性が向上したことが間接的に確
認された。
【0025】<実施例3>本実施例は、大気圧プラズマ
溶射法を用いて固体電解質層を成膜し、表面に酸化物酸
素イオン伝導体のゾルのY2O3ドープCeO2(YDC)ゾル
を満たし、これをゲル化する方法により固体電解質層の
封孔処理を行い、同時に、電極活性を向上させる処理を
行う実施例である。
【0026】本実施例においても、第1の実施例や第2
の実施例と同様に、多孔質金属基板の上に、フレーム溶
射法を用いて前述の表1の溶射条件で,厚さ約 50 μm
のアノードを形成し、さらにその上に、大気圧プラズマ
溶射法を用いて前述の表2の溶射条件でYSZを溶射し
て,厚さ約 150μmの固体電解質層13を形成する。つ
ぎに、このようにして形成したサブセルを前述の図2の
ごとき基板ホルダーに組み込み、酸化物酸素イオン伝導
体のゾルよりなる封孔処理溶液へのディッピング→引き
上げ→予備加熱→仮焼の工程を繰り返して固体電解質層
の表面に被膜を形成する。
【0027】本実施例の処理操作と第1の実施例の処理
操作の差異は、封孔処理溶液として用いる酸化物酸素イ
オン伝導体のゾルにあり、第1の実施例で用いていたY2
O3安定化ZrO2(YSZ)ゾルに替わり、Y2O3ドープCeO2
(YDC)ゾルを用いている点が本実施例の特徴であ
る。本実施例の処理操作では、まず、サブセルを基板ホ
ルダーに組み込みマスキングテープを施さない状態に保
持してYDCゾル中に約2時間浸ける。このとき、毛細
管現象によって電解質層の表面近傍の空孔内がYDCゾ
ルによって満たされ、同時に、サブセルと基板ホルダー
との間隙を通して多孔質金属基板の内部へもYDCゾル
が浸透する。ついで、サブセルを 2mm/sec の速度でゾ
ル中から引き上げる。このとき、電解質層の表面に約
0.1μmの被膜が形成される。引き上げたサブセルを、
多孔質金属基板の面を下側にして静かに吸水紙の上に置
き、多孔質金属基板の内部に浸透したゾルを吸い取る。
この操作によって、間隙を通して多孔質金属基板の内部
へと入ったゾルは大部分取り除かれ、多孔質金属基板を
構成する粒子およびアノード粒子の表面に部分的にゾル
が残存する状態となる。次に、 100〜150 ℃において予
備乾燥すると、サブセルに付着したゾルがゲル化する。
さらにこれを 400〜500 ℃の酸化雰囲気中で仮焼処理す
ると、ゲル中の水分および有機成分が消失し、非晶質の
YDCとなる。引き続いて上記のYDCゾル中へのディ
ッピングから 400〜500 ℃の酸化雰囲気中での仮焼処理
までの工程を繰り返すことにより所望の厚さの被膜が得
られる。
【0028】このように固体電解質層の表面に封孔処理
を施したのち、スラリーコーティング法によってカソー
ドを塗布してセルを形成し、固体電解質型燃料電池を組
み上げて 800〜1000℃で運転すれば、 400〜500 ℃の酸
化雰囲気中での仮焼により形成したYDCの非晶質膜が
結晶化し、時間の経過とともに焼結が進み、緻密な被膜
が形成され、封孔処理が達成されることとなる。
【0029】この処理操作により形成されたYDC被膜
は、YSZよりも高い触媒活性を備えているため、固体
電解質層近傍のカソード表面およびカソードと固体電解
質層の界面での電荷の授受の速度が上がり、活性化分極
が低減するので、セルの特性が向上する。アノード側に
おいては、多孔質金属基板の内部に浸透したゾルを吸水
紙により吸い取る操作を行っているので、多孔質金属基
板を構成する粒子およびアノード粒子の表面に付着した
YDCが粒子の表面を完全に覆うことはない。したがっ
て、被膜が緻密化し、比表面積が低下して触媒活性が低
下する恐れはなく、むしろ、固体電解質層近傍に部分的
に付着したYDCによって、その触媒活性が向上するこ
ととなる。
【0030】活性化分極の増大によるセル特性の低下
は、セルの運転温度を下げて運転したとき顕著に表れ
る。そこで、上記の封孔処理の効果を確認するために、
YDCによる封孔処理を施して構成したセルと、封孔処
理を施さないで構成したセルの2種類のセルを運転温度
を変えて運転し、セル電圧を測定した。なお、これらの
セルは、いずれも、多孔質金属基板として Ni フェルト
を用い、Ni−YSZをフレーム溶射して厚さ約 50 μm
のアノードを形成し、大気圧プラズマ溶射法を用いて厚
さ約 150μmのYSZの固体電解質層を形成し、また、
スラリーコーティング法によってランタンマンガナイト
を形成して厚さ約 150μmのカソードとして構成したも
のである。
【0031】図3は、これらの2種類のセルの電流密度
が 0.3A/cm2 のときのセル電圧と運転温度との関係を
示す特性図である。本図において、特性Aは、本実施例
のごとくYDCによる封孔処理を施して構成したセルの
特性であり、特性Bは、封孔処理を施さないで構成した
セルの特性である。図より明らかなように、運転温度が
下がるに従い特性Aと特性Bの差が大きくなり、運転温
度 850℃においては、その差が 120mVに達しており、
本実施例のごとくYDCによる封孔処理を施すことによ
り、特に低温においてセル特性が大幅に向上することが
確認された。
【0032】以上、平板型支持膜方式の固体電解質型燃
料電池について実施例を挙げて本発明の詳細を説明した
が、各実施例に述べた封孔処理操作からわかるように、
本製造方法は平板型支持膜方式の固体電解質型燃料電池
の製造方法にのみ適用が限定されるものではなく、自立
膜方式の固体電解質型燃料電池の製造方法にも、また、
円筒型の固体電解質型燃料電池の製造方法にも適用でき
る方法であることは、あらためて例示するまでもなく明
らかである。
【0033】
【発明の効果】上述のごとく、本発明によれば、支持膜
方式の固体電解質型燃料電池の製造方法に用いられる大
気圧プラズマ溶射法、あるいは自立膜方式の固体電解質
型燃料電池の製造方法に用いられる共焼結など、低コス
トで製作できるが、緻密質の固体電解質層の製作が困難
なプロセスを用いた場合にも、固体電解質層の表面に緻
密な被膜を形成することが可能となり、さらに、固体電
解質層とカソードとの密着度や電極の触媒活性が向上す
るので、低コストで優れたセル特性を備えた固体電解質
型燃料電池が製造できることとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における固体電解質層の
封孔処理工程を示すフロー図
【図2】本発明の第1の実施例の封孔処理工程に用いら
れる基板ホルダーの構成図で、(a)は平面図、(b)
は(a)のA−A面の断面図
【図3】本発明の第3の実施例で製作されたセルの特性
を従来の方法により製作されたセルの特性と比較して示
す特性図
【図4】平板型支持膜方式の固体電解質型燃料電池のセ
ルの基本構成を示す断面図
【符号の説明】
1 サブセル 2 マスキングテープ 3 基板ホルダー 11 多孔質金属基板 12 アノード 13 固体電解質層 14 カソード

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固体電解質層が、少なくとも一方の表面も
    しくは表面および表面近傍に、酸化物酸素イオン伝導体
    のゾルを付与され、当該ゾルをゲル化した後に焼結した
    緻密膜を形成されてなることを特徴とする固体電解質型
    燃料電池。
  2. 【請求項2】前記緻密膜上に形成されたカソードと前記
    緻密膜との界面において、当該カソード材料中の金属原
    子と緻密膜材料中の金属原子とが結合したものであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の固体電解質型燃料電池。
  3. 【請求項3】前記酸化物酸素イオン伝導体が Y2O3 安定
    化 ZrO2 又は Y2O3ドープ CeO2 であることを特徴とす
    る請求項1又は2記載の固体電解質型燃料電池。
  4. 【請求項4】固体電解質層を酸化物酸素イオン伝導体の
    ゾル中に浸漬・ゾルからの引き上げ・乾燥・仮焼する工
    程を順に1回もしくは2回以上繰り返して固体電解質層
    の表面に緻密膜を形成する封孔処理工程を有する固体電
    解質型燃料電池の製造方法。
  5. 【請求項5】前記封孔処理工程の後、固体電解質型燃料
    電池運転温度に昇温、当該温度に保持して前記緻密膜を
    結晶化する工程を有する請求項4記載の固体電解質型燃
    料電池の製造方法。
  6. 【請求項6】前記封孔処理工程の最後の乾燥工程の後の
    仮焼工程のみ行わないことを特徴とする請求項5記載の
    固体電解質型燃料電池の製造方法。
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