JP2007018959A - 固体酸化物型燃料電池の電極構造およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電極層としての有効面積を確保しつつ各層構成材料の熱膨張率の違いに起因する亀裂や層間剥離の発生防止に好適な固体酸化物型燃料電池セルを提供する
【解決手段】 固体酸化物から成る電解質層2を一方の電極層3と他方の電極層4で狭持した積層構造を有する固体酸化物型燃料電池の電極構造であり、前記電極層3の少なくとも一方は微小な無数の亀裂5を備え、当該電極層3よりも熱膨張率の低い中間材料が前記亀裂5内に含浸され焼結されて境界層6を形成するようにした。
【選択図】 図2
【解決手段】 固体酸化物から成る電解質層2を一方の電極層3と他方の電極層4で狭持した積層構造を有する固体酸化物型燃料電池の電極構造であり、前記電極層3の少なくとも一方は微小な無数の亀裂5を備え、当該電極層3よりも熱膨張率の低い中間材料が前記亀裂5内に含浸され焼結されて境界層6を形成するようにした。
【選択図】 図2
Description
本発明は、固体酸化物から成る電解質を備えた固体酸化物型燃料電池(SOFC)の電極構造およびその製造方法に関し、特に、電極層や電解質層における亀裂や層間剥離の防止に好適な固体酸化物型燃料電池の電極構造およびその製造方法に関するものである。
固体酸化物型燃料電池は、例えば、イットリア(Y2O3)や酸化ネオジウム(Nd2O3)のような酸化物イオン導電性を備えた固体酸化物材料を電解質として用い、その両面に、例えば、La(Sr)MnOやLa(Sr)CoOなどのペロブスカイト構造の酸化物材料(空気極)及びNiやNiと固体電解質のサーメット(燃料極)などの多孔性電極をそれぞれ積層して発電部としての固体電解質セルを構成し、ガス不透過性を有する上記固体電解質を隔壁として、外部から燃料極の側に水素や炭化水素等の燃料ガスを供給し、空気極には空気等の酸化剤ガスを供給して電気を発生させる方式のものであって、一般的に約1000[℃]で作動する。即ち、固体酸化物型燃料電池の発電部は、異なる材質、物性を有する燃料極、固体電解質及び空気極からなる3つの異種材料が積層され、その動作温度が800〜1100[℃]程度と高温であることから、各層を構成する材料の熱膨張率の違いに起因する亀裂や層間剥離が発生する問題がある。
このような亀裂や層間剥離の問題に対処するため、緻密な電解質薄膜の両側に電解質と同じ材質からなる多孔質膜を積層した後に、燃料極材、空気極材の懸濁液を各々緻密な電解質の両側の多孔質膜に含浸させ焼結することにより、固体電解質セルを製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開平5−54896号公報
しかしながら、上記従来例では、電解質薄膜の両側に積層した電解質と同じ材質からなる多孔質膜に燃料極材、空気極材の懸濁液を含浸させ焼結するものであり、多孔質膜の構成に起因して、燃料極層、空気極層の構成材として電解質中に電極材が散在されるものであるため、電極層としての有効面積を確保することが難しくなることが予想される。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、電極層としての有効面積を確保しつつ各層構成材料の熱膨張率の違いに起因する亀裂や層間剥離の発生防止に好適な固体酸化物型燃料電池の電極構造およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、固体酸化物から成る電解質層を一方の電極層と他方の電極層で狭持した積層構造を有する固体酸化物型燃料電池の電極構造であり、前記電極層の少なくとも一方は微小な無数の亀裂を備え、当該電極層よりも熱膨張率の低い中間材料が前記亀裂内に含浸され焼結されて境界層を形成するようにした。
したがって、本発明では、固体酸化物型燃料電池の電極層の少なくとも一方は微小な無数の亀裂を備え、当該電極層よりも熱膨張率の低い中間材料が前記亀裂内に含浸され焼結されて境界層を形成するようにしたため、電極層/電解質層の熱膨張率の差異による熱応力を境界層で吸収して、電極層/電解質層の界面に無理な剥離力を発生させず、両者の密着性を向上させることができる。
以下、本発明の固体酸化物型燃料電池の電極構造およびその製造方法を一実施形態に基づいて説明する。
図1〜図3は、本発明を適用した固体酸化物型燃料電池の電極構造の第1実施形態を示し、図1は燃料極、固体電解質および空気極からなる発電部としての固体電解質セルの断面図、図2は電解質層と空気極との拡大断面図、図3は空気極の表面部を示すイメージ図、図4は空気極の表面のSEM写真、図5は電解質層と空気極との別の実施例の拡大断面図、図6は固体酸化物型燃料電池用電極の製造方法を示す工程図、図7は本発明の実施例と比較例との性能比較した結果を、製造過程も対比させて表示する比較図である。
図1に示すように、本実施形態における発電部としての固体電解質セル1は、一般の固体酸化物型燃料電池と同様に、固体電解質層2として、電子を通さず、イオンを通す特性が要求され、酸素イオンが発電の導体である場合は、酸素イオンの導伝特性が高いことが望まれる。さらに、固体電解質層2の重要な特性として、ガス不透過性であることが挙げられる。以上の点から、固体電解質層2には、例えば、イットリア(Y2O3)、酸化ネオジウム(Nd2O3)、酸化サマリウム(Sm2O3)、酸化ガドリニウム(Gd2O3)、酸化スカンジウム(Sc2O3)などを固溶した安定化ジルコニアや、セリア(CeO2)系固溶体、酸化ビスマスおよびランタンガレート(LaGaO3)などの酸化物から成る材料が用いられる。ここでは、一般的に使用されている、YSZ(Yttria Stabilized Zirconia イットリウム−安定化ジルコニア)を用いる。
空気電極層3に必要な特性としては、酸化に強く、酸化ガスを透過し、電気伝導度が高く、酸素分子を酸素イオンに変換する触媒作用に優れていることが挙げられる。この点から、空気電極極3の材料としては、銀(Ag)や白金(Pt)などの金属系と、La(Sr)MnO3(通称、LSM)、Sm(Sr)CoO3(通称、SSC)やLa(Sr)CoO3(通称、LSC)に代表されるペロブスカイト構造の酸化物材料が用いられる。ここでは、一般的な、SSCを用いる。
また、燃料電極層4としては、還元雰囲気に強く、燃料ガスを透過し、電気伝導度が高く、水素分子をプロトンに変換する触媒作用に優れていることが要求される特性として挙げられる。この点から、燃料電極層4の材料としては、ニッケル(Ni)やニッケルと固体電解質のサーメット(Ni−YSZ)などが用いられる。ここでは、Ni−YSZを用いる。
そして、図2に示すように、電極層(空気電極層)3を構成する電極材は、積層した内側の層である電解質層2に達し、この電解質層2から電極材同士の間を経由して酸化剤ガスと接する表面側へ向かって伸び、少なくともその隙間の一部分が表面側に開口する縞状の無数の亀裂5を備える。即ち、電極層3の電極材は電解質層2上で前記縞状の無数の亀裂5により、囲まれたり、分離されたりした分断された細片状となっている。亀裂5の形状は、酸化剤が供給される表面側から見て、図3に示すように、必ずしも細片状となる分断された電極材を環状に取囲むものでなくともよく、例えば、電極材に棒状や線状に伸びる亀裂であってもよく、また一様な線状の亀裂5だけでなく様々な方向に亀裂5が伸びた繊維状であってもよい。図4は、電極層3の表面状態を示す顕微鏡写真である。
前記亀裂5は、例えば、電極層3を焼成等のために高温状態に加熱した後に急冷することにより、積層している電解質層2との熱膨張率(収縮率)の違いにより発生させることができ、この亀裂5は、電極層3の膜厚が充分に薄いこと、電極層3を構成する電極材の熱膨張率が電解質層2を構成する材料の熱膨張率に対して約2倍となるもとであることから、電解質層2に接合された状態で電極層3を細かく分断させて発生する。他の方法、例えば、機械的な力を外部から電極材のみに加えること等やレーザやエッチング等により電解質層2を残して電極層3のみを網目(メッシュ)状態に切断することにより形成してもよい。
前記亀裂5内には、電解質材料若しくは電解質材と電極材との混合材が含浸され、再焼成されて境界層6が形成されている。前記境界層6は、前記亀裂5内に沿って形成され、一方で電極層3が積層されている電解質層2まで到達し、他方で電極層3の表面側に露出させて形成されている。
上記した電極構造は、先ず、基材である燃料極層4の上面に電解質材ペーストをスクリーン印刷により塗布し、乾燥後にその上面に電極材ペーストをスクリーン印刷により塗布し、これらを焼成温度まで加熱して固体電解質セル1として焼結させ、その後に急冷することにより表面側の電極層3に亀裂5を形成することができる。次いで、冷却後の固体電解質セル1を電解質材料若しくは電解質材と電極材との混合材よりなる前駆体溶液に浸漬して前記無数の亀裂5内に含浸させて充填し、乾燥後に再度焼成することにより亀裂5内に境界層6を形成した電極構造を得ることができる。
この電極構造においては、電解質層2の上面において縞状の亀裂5により分断された無数の電極材が、亀裂5内に含浸された電解質材または電解質材と電極剤との混合材よりなる境界層6により互いに熱応力が緩衝された状態で電解質層2上に密着されているため、固体酸化物型燃料電池として高温運転させた場合に、電極材/電解質材の熱膨張率の差異による熱応力を境界層で吸収して、電極材/電解質材の界面に無理な剥離力を発生させず、両者の密着性を向上させることができる。しかも、電極層3は縞状の亀裂5により分断された無数の電極材が電解質層2の表面に基部が接合された境界層6により亀裂5表面によっても接触保持されている、即ち、電解質2面との本来の接合面に加えて亀裂5表面による接合面でも互いに接合されているため、動作温度が800〜1100[℃]程度の高温となる燃料電池の運転時においても、電極層3に新たな亀裂や層間剥離が有効に抑制でき、その耐久性を向上させることができる。
また、この電極構造においては、電解質層2の上面に電極層3が直接接合されており、しかも、電極層3に形成された亀裂5内に形成された、電解質層2に基部が接合された電解質材料若しくは電解質材と電極材との混合材からなる境界層6を備え、亀裂5表面を介しても電極層3(亀裂表面)と電解質層2とが境界層6を介して接触しているため、電極層3の電解質層2との接触有効面積を増大させることができる。このため、電極層3で形成される酸素イオンは、電極層3の電解質層2とが直接に接触している面積部分から電解質層2に移動する伝導経路に加えて、電極層3の亀裂5により形成した境界層6の接触による増大された接触有効面積を介して電解質層2に移動する伝導経路からも電解質層2に伝導し、燃料電極層4に伝導することとなり、イオン伝導面積が拡大されてイオン伝導抵抗を減少させ、セルの発電出力を増大させることができる。
しかも、電極層3の亀裂により形成した境界層6の接触による後者の伝導経路は、電極層3に発生する酸素イオンが電極層3の最深部である電解質層2との接触表面に到達する以前の電極層3の浅い部分から境界層6に伝導して途中の電極層3をバイパスして電解質層2に至る酸素イオンの伝導パスを形成するため、酸素イオンの移動に対する抵抗が少なく、セルの発電出力を増大させる効果を大きくすることができる。
上記実施形態においては、電極層3に形成させた亀裂5に電解質材料若しくは電解質材料と電極材料との混合材を含浸・焼結させて境界層6を形成するものについて説明したが、境界層6に含浸・焼結させる材料としてはこれらに限定されず、例えば、電解質材料と同等の特性、即ち、電子を通さず、イオンを通す特性があり、酸素イオンが発電の導体である場合は、酸素イオンの導伝特性が高い材料であり、しかも、電極材料と電解質材料の中間の熱膨張係数を持つ中間材料、例えば、セリア(CeO2)に酸化サマリア(Sm2O3)を固溶させたサマリアドープドセリア(SDC)を境界層6に含浸・焼結させる材料として用いることもできる。この場合に、SDCのみを亀裂5内に含浸・焼結させて用いても、SDCと電極材料との混合材料を亀裂5内に含浸・焼結させて用いてもよい。中間材料としては、上記のSDCの他に、例えば、GDC(Gdドープセリア)、YDC(イットリウムドープセリア)を用いることもできる。
このように、中間材料により境界層6を形成する場合には、その熱膨張係数が電極材料と電解質材料の中間値をもつものであるため、境界層6に電解質材料を用いる場合に比較して、縞状の亀裂5により分断された無数の電極材に作用する熱応力がより一層低減でき、電極層3と電解質層2との密着性が向上できる。更に、境界層6の構成材料として中間材料を用いることにより、電極層(空気極)3の電極活性を向上させることができる。
また、図5に示すように、電解質層2と電極層3との間に、電子を通さず、酸素イオンの導伝特性が高い電解質層2として機能し、しかも、電解質層2と電極層3との中間の熱膨張係数をもつ中間材料、例えば、前記SDC(サマリウム ドープドセリア SmxCeOx)からなる中間層7を形成することもできる。この場合、中間層7により電解質層2と電極層3との熱膨張係数の差異による熱応力をより緩和して、両者間の剥離を一層抑制することができる。境界層6の構成材料としては、中間層7と同一の材料を用いることが好ましいが、中間層7と熱膨張係数の近い材料であり、電極材、電解質材と反応を起さない材料であってもよい。この場合においても、中間層7の構成材と電極層3の構成材との混合材により、境界層6の構成材とするようにしてもよい。
この電極構造においては、電極層3中の境界層6の構成材料を、電解質層2と電極層3との中間の熱膨張係数をもつ中間層7の構成材料、例えば、SDC若しくはSDCと電極層3の構成材料、たとえば、SSCとの混合材とすることにより、電極層3と電解質層2の熱応力差が一層減少し、電解質層2と電極層3との界面の密着性を上げる効果がある。
以上に説明した固体酸化物型燃料電池の電極構造は、図6に示す製造過程に基づいて製造することができる。以下では、図6に基づいて、固体酸化物型燃料電池セルの製造方法を説明する。ここで説明する固体電解質セル1は、燃料極支持型セルであるが、電解質支持型セルにも適用することができる。
先ず、支持基板である燃料極基板(燃料電極層)4をドクターブレード法等により形成し(S1)、燃料極基板4上にスクリーン印刷等により電解質膜2を印刷により形成し(ステップS2)、乾燥後に、電解質膜2と燃料極基板4とを共焼成して(ステップS3)、燃料極基板4上に緻密化された電解質層2を形成して、準備段階を終える。
次いで、ステップS4において、電解質層2の上面に電極材料、例えば、SSCのペーストをスクリーン印刷等により均一に塗布して乾燥させる。次に、ステップS5により、徐々に昇温(昇温速度は、例えば、10[℃/min])させて、温度1000[℃]以上とし、所定時間(例えば、1時間)高温状態に保持して、第1段階の焼結を行う。
次いで、ステップS6により、急冷する。この場合の急冷は、従来における焼結時の冷却速度、例えば、5[℃/min]に対して、より速い冷却速度であればよく、例えば、加熱手段である電気炉の電源を遮断して自然冷却させる。この急冷段階において、電解質層2の上面に印刷され焼結された電極材からなる電極層3は、電解質層2に対してその熱膨張率が大きいこと、さらには、積層された表面側に存在するため内部の層に対して比較的早急に冷却されるため、急速に熱収縮して、電解質層2に接合した状態において、無数の縞状の亀裂5を生じて、細片状に分断される。この亀裂5の生成により電極層3中に溜まった応力が開放される。
そして、ステップS7において、SDC若しくはSDCと電極材料であるSSCとの混合材の前躯体溶液に浸漬させて、前記工程で形成された亀裂5内に前躯体溶液を含浸させ、その後に乾燥させ、ステップS8において、第2段階の焼結を行う。第2段階の焼結においては、電極層3の亀裂5内に含浸されたSDC若しくはSDCと電極材料であるSSCとの混合材の前躯体が焼結(再焼結)できればよいため、第1段階ほどの高温の焼結温度は不要である。
このようにして、電極層3に亀裂5を形成して亀裂5内にSDC若しくはSDCと電極材料であるSSCとの混合材を含浸・焼結させることにより、本実施形態の固体電解質セル1を得ることができる。
<実施例1>
燃料極基板に膜厚10[μm]の電解質層YSZおよび中間層SDCを共焼結させたベース上に、電極材料SSCをスクリーン印刷により塗布し、摂氏1100[℃]まで10[℃/min]の昇温速度で加熱し、摂氏1100[℃]に達した段階で1時間保持した後、加熱電気炉の電源を遮断して自然冷却して第1段階の焼結により電極(空気極)を形成した。第1段階で得られた電極層表面を顕微鏡により観察すると、電極には多数の亀裂が確認できたが、電極剥離はなかった。次いで、中間材料SDCの前駆体溶液に電極を浸漬(Dipping)し、乾燥後に再び加熱して摂氏800[℃]に昇温させて再燒結を行なって実施例1の固体電解質セルを作成した。
燃料極基板に膜厚10[μm]の電解質層YSZおよび中間層SDCを共焼結させたベース上に、電極材料SSCをスクリーン印刷により塗布し、摂氏1100[℃]まで10[℃/min]の昇温速度で加熱し、摂氏1100[℃]に達した段階で1時間保持した後、加熱電気炉の電源を遮断して自然冷却して第1段階の焼結により電極(空気極)を形成した。第1段階で得られた電極層表面を顕微鏡により観察すると、電極には多数の亀裂が確認できたが、電極剥離はなかった。次いで、中間材料SDCの前駆体溶液に電極を浸漬(Dipping)し、乾燥後に再び加熱して摂氏800[℃]に昇温させて再燒結を行なって実施例1の固体電解質セルを作成した。
<実施例2>
実施例1と同様にして第1段階の焼結により電極(空気極)を形成した。第1段階で得られた電極層表面を顕微鏡により観察すると、電極には多数の亀裂が確認できたが、電極剥離はなかった。次いで、電極材料SSCと中間材料SDCとを15:85の重量比で混合させた前駆体溶液に電極を浸漬(Dipping)し、乾燥後に再び加熱して摂氏800[℃]に昇温させて再燒結を行なって実施例2の固体電解質セルを作成した。
実施例1と同様にして第1段階の焼結により電極(空気極)を形成した。第1段階で得られた電極層表面を顕微鏡により観察すると、電極には多数の亀裂が確認できたが、電極剥離はなかった。次いで、電極材料SSCと中間材料SDCとを15:85の重量比で混合させた前駆体溶液に電極を浸漬(Dipping)し、乾燥後に再び加熱して摂氏800[℃]に昇温させて再燒結を行なって実施例2の固体電解質セルを作成した。
<比較例>
比較のために、実施例1と同様に、燃料極基板に電解質層YSZおよび中間層SDCを共焼結させ、電極材料SSCをスクリーン印刷し、摂氏1100[℃]まで10[℃/min]の昇温速度で加熱し、摂氏1100[℃]に達した段階で1時間保持した。その後、5[℃/min]の冷却速度で徐冷して比較例の固体電解質セルを作成した。得られた電極層表面を顕微鏡により観察すると、電極には少数の亀裂が確認できたが、電極剥離はなかった。
比較のために、実施例1と同様に、燃料極基板に電解質層YSZおよび中間層SDCを共焼結させ、電極材料SSCをスクリーン印刷し、摂氏1100[℃]まで10[℃/min]の昇温速度で加熱し、摂氏1100[℃]に達した段階で1時間保持した。その後、5[℃/min]の冷却速度で徐冷して比較例の固体電解質セルを作成した。得られた電極層表面を顕微鏡により観察すると、電極には少数の亀裂が確認できたが、電極剥離はなかった。
得られた実施例1、2および比較例の固体電解質セルを隔壁として両側からセパレータで挟み、外部から燃料極の側に水素からなる燃料ガスを供給し、空気極には空気からなる酸化剤ガスを供給して、セル電圧0.6[V]となるよう、摂氏700[℃]において、100時間連続運転させる長期安定性試験を実施した。これらの性能比較した結果を、製造過程も対比させて表示する図7に示す。
実施例1および実施例2の固体電解質セルは、長期運転後においても電極剥離された部分はなかったが、比較例の固体電解質セルは、長期運転後において電極に部分的に剥離が発生していた。また、長期運転試験開始時のセルの出力密度[mW/cm2]は、実施例1では200[mW/cm2]、実施例2では215[mW/cm2]であったが、比較例では、実施例1、2に比較して約3/4の160[mW/cm2]であり、長期運転試験終了時のセルの出力密度[mW/cm2]は、実施例1では200[mW/cm2]、実施例2では215[mW/cm2]と開始時の出力密度に対して低下することがなかったが、比較例では、開始時の出力密度に対して約2/3の100[mW/cm2]まで低下されていた。
以上のように、実施例1、2では、電極層の亀裂に含浸され再焼結された中間層材料SDC若しくは中間層材料SDCと電極材料SSCとの混合材料による酸素イオンの伝導パスによる出力密度の向上が確認できるとともに、電極剥離が長期運転試験によっても発生することが抑制されることにより、長期運転試験の開始時の出力密度が運転試験中も維持されることが確認できた。
なお、上記実施形態において、電極層として、空気電極層3について説明したが、図示はしないが、燃料電極層4に適用するものであってもよい。
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
(ア)固体酸化物から成る電解質層2を一方の電極層3と他方の電極層4で狭持した積層構造を有する固体酸化物型燃料電池セル1であり、前記電極層3の少なくとも一方は微小な無数の亀裂5を備え、当該電極層3よりも熱膨張率の低い中間材料が前記亀裂5内に含浸され焼結されて境界層6を形成するようにした。このため、電極層3/電解質層2の熱膨張率の差異による熱応力を境界層6で吸収して、電極層3/電解質層2の界面に無理な剥離力を発生させず、両者の密着性を向上させることができる。
(イ)境界層6を形成する亀裂5は、当該電極層3が積層されている電解質層2の表面に達しており、当該亀裂5内に含浸され焼結された中間材料はその基部が電解質層2に接合されていることにより、電極層3が電解質層2の表面に基部が接合された境界層6により亀裂5表面によっても接触保持されている、即ち、電解質2面との本来の接合面に加えて亀裂5表面による接合面でも互いに接合されているため、動作温度が800〜1100℃程度の高温となる燃料電池の運転時においても、電極層3に新たな亀裂や層間剥離が有効に抑制でき、その耐久性を向上させることができる。
(ウ)中間材料は、イオン伝導性のある材料若しくはイオン伝導性のある材料と当該電極層3を形成する材料との混合材料であることにより、亀裂5表面を介しても電極材(亀裂表面)と電解質層2とが境界層6を介して接触され、電極層3の電解質層2との接触有効面積を増大させ、電極層3で形成される酸素イオンは、電極層3の電解質層2とが直接に接触している面積部分から電解質層2に移動する伝導経路に加えて、電極層3の亀裂5により形成した境界層6の接触による増大された接触有効面積を介して電解質層2に移動する伝導経路からも電解質層2に伝導することとなり、イオン伝導面積が拡大されてイオン伝導抵抗を減少させ、セルの発電出力を増大させることができる。
しかも、電極層3の亀裂5により形成した境界層6の接触による後者の伝導経路は、電極層3に発生する酸素イオンが電極層3の最深部である電解質層2との接触表面に到達する以前の電極層3の浅い部分から境界層6に伝導して途中の電極層3をバイパスして電解質層2に至る酸素イオンの伝導パスを形成するため、酸素イオンの移動に対する抵抗が少なく、セルの発電出力を増大させる効果を大きくすることができる。
(エ)電解質層2は、電極層3との間にイオン伝導性があり且つ電極材料と電解質材料との中間の熱膨張係数を持つ材料を含む少なくとも1層の中間層7を備え、前記境界層6は前記中間層7の表面に接合されているようにすると、電極層3と電解質層2の熱応力差が一層減少し、電解質層2と電極層3との界面の密着性を上げる効果がある。
(オ)固体酸化物型燃料電池用電極の製造工程として、緻密化した電解質層2に電極材料を印刷する工程と、得られた電極層3を電解質層2と共に昇温させて焼結する工程と、前記焼結後の冷却段階で電極層3に亀裂5を発生させる工程と、前記電極層3の亀裂5に、電極層3が接合した電解質層2の電解質材料または当該電解質材料と熱膨張率が近接した材料若しくは当該電解質材料と当該電極材料との混合材料のいずれかの前躯体溶液を含浸する工程と、含浸された前躯体溶液を乾燥後、再焼結させる工程と、を備える。このため、電極層3に亀裂5を発生させた段階では、焼結段階で電極層3に溜まった応力が解放されて電極層3と電解質層2との界面での剥離応力が解消されることとなって、長期運転時の界面密着性が向上し、固体酸化物型燃料電池セルの耐久性を向上できる。
(カ)再焼結温度を、電極層3の焼結温度より低い温度に設定すると、電極層3と電解質層2との界面に新たな剥離応力の発生を抑制できる。
1 固体電解質セル
2 固体電解質層、電解質層
3 空気極、空気電極層
4 燃料極、燃料電極層
5 亀裂
6 境界層
7 中間層
2 固体電解質層、電解質層
3 空気極、空気電極層
4 燃料極、燃料電極層
5 亀裂
6 境界層
7 中間層
Claims (8)
- 固体酸化物から成る電解質層を一方の電極層と他方の電極層で狭持した積層構造を有する固体酸化物型燃料電池において、
前記電極層の少なくとも一方は微小な無数の亀裂を備え、当該電極層よりも熱膨張率の低い中間材料が前記亀裂内に含浸され焼結されて境界層を形成していることを特徴とする固体酸化物型燃料電池の電極構造。 - 前記境界層を形成する亀裂は、当該電極層が積層されている電解質層の表面に達しており、当該亀裂内に含浸され焼結された中間材料はその基部が電解質層に接合されていることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池の電極構造。
- 前記中間材料は、イオン伝導性のある材料若しくはイオン伝導性のある材料と当該電極層を形成する材料との混合材料であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体酸化物型燃料電池の電極構造。
- 前記電解質層は、電極層との間にイオン伝導性があり且つ電極材料と電解質材料との中間の熱膨張係数を持つ材料を含む少なくとも1層の中間層を備え、
前記境界層は前記中間層の表面に接合されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の固体酸化物型燃料電池の電極構造。 - 前記電極層は、酸化剤ガスが供給される空気極であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の固体酸化物型燃料電池の電極構造。
- 前記電極層は、燃料ガスが供給される燃料極であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の固体酸化物型燃料電池の電極構造。
- 固体酸化物から成る電解質層を一方の電極層と他方の電極層で狭持した積層構造を有する固体酸化物型燃料電池用電極の製造方法において、
緻密化した電解質層に電極材料を塗布する工程と、
得られた電極層を電解質層と共に昇温させて焼結する工程と、
前記焼結後の冷却段階で電極層に亀裂を発生させる工程と、
前記電極層の亀裂に、電極層が接合した電解質層の電解質材料または当該電解質材料と熱膨張率が近接した材料若しくは当該電解質材料と当該電極材料との混合材料のいずれかの前躯体溶液を含浸する工程と、
含浸された前躯体溶液を乾燥後、再焼結させる工程と、を備えることを特徴とする固体酸化物型燃料電池用電極の製造方法。 - 前記再焼結温度は、電極層の焼結温度より低い温度に設定されていることを特徴とする請求項7に記載の固体酸化物型燃料電池用電極の製造方法。
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JP2005201430A JP2007018959A (ja) | 2005-07-11 | 2005-07-11 | 固体酸化物型燃料電池の電極構造およびその製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008153213A (ja) * | 2006-11-30 | 2008-07-03 | General Electric Co <Ge> | セラミック電解質構造体及び製造方法並びに関連物品 |
JP2019009079A (ja) * | 2017-06-28 | 2019-01-17 | 京セラ株式会社 | セル、セルスタック装置、モジュールおよびモジュール収納装置 |
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2005
- 2005-07-11 JP JP2005201430A patent/JP2007018959A/ja active Pending
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