JP2006164801A - 固体電解質、それを備えた燃料電池およびそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 カソードとの接触抵抗が小さく、かつ、剥離強度の高い固体電解質を提供する。
【解決手段】 プロトン伝導性を有する金属酸化物から一体的に形成され、一面側に多孔質構造を有する多孔質領域(31)を含み、他面側に緻密構造を有する緻密領域(32)を含む。多孔質領域(31)と緻密領域(32)とが一体的に形成されていることから、多孔質領域(31)と緻密領域(32)との境界に界面が形成されることが防止される。その結果、固体電解質(30)の剥離強度が向上する。また、多孔質領域上にカソードを設けることにより、固体電解質(30)とカソード(40)との接触抵抗が小さくなる。
【選択図】 図1
【解決手段】 プロトン伝導性を有する金属酸化物から一体的に形成され、一面側に多孔質構造を有する多孔質領域(31)を含み、他面側に緻密構造を有する緻密領域(32)を含む。多孔質領域(31)と緻密領域(32)とが一体的に形成されていることから、多孔質領域(31)と緻密領域(32)との境界に界面が形成されることが防止される。その結果、固体電解質(30)の剥離強度が向上する。また、多孔質領域上にカソードを設けることにより、固体電解質(30)とカソード(40)との接触抵抗が小さくなる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、固体電解質、それを備えた燃料電池およびそれらの製造方法に関する。
燃料電池は、一般的には水素及び酸素を燃料として電気エネルギーを得る装置である。この燃料電池は、環境面において優れかつ高いエネルギー効率が実現できることから、今後のエネルギー供給システムとして広く開発が進められてきている。
プロトン伝導性固体電解質を用いた燃料電池においては、アノードに供給された水素がプロトンに変換され、固体電解質を移動し、カソードに供給された酸素と反応して電力が発生する。この固体電解質とカソードとの接触抵抗を低減させるためには、固体電解質とカソードとの接触面積を増大させることが必要である。
陽極酸化法により多孔質酸化チタン層を形成し、この多孔質酸化チタン層上に電極を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この技術を用いて多孔質の固体電解質を形成すれば、カソードと固体電解質との接触抵抗は低減される。
特開平8−145925号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、固体電解質全体が多孔質となる。全体が多孔質である固体電解質を用いた燃料電池においては、カソードに供給された酸素が孔を通ってアノードに到達する。それにより、アノードに供給された水素は、プロトンに変換される前にカソードに供給された酸素と反応する。したがって、上記燃料電池においては電力が発生しなくなる。以上のことから、固体電解質の一部に緻密な酸化物層を設ける必要が生じる。
上記技術を用いて緻密な酸化物層を設ける場合、緻密な酸化物層を形成する条件と多孔質酸化物層を形成する条件とを変更する必要がある。それにより、緻密な酸化物層と多孔質酸化物層との間に界面が形成される。その結果、緻密な酸化物層と多孔質酸化物層とが剥離しやすくなる。
本発明は、カソードとの接触抵抗が小さく、かつ、剥離強度の高い固体電解質を提供することを目的とする。
本発明に係る固体電解質は、プロトン伝導性を有する金属酸化物から一体的に形成され、一面側に多孔質構造を有する多孔質領域を含み、他面側に緻密構造を有する緻密領域を含むものである。
本発明に係る固体電解質においては、一面側に多孔質領域が含まれる。この場合、固体電解質の一面側にカソードを設けることにより、固体電解質とカソードとの接触抵抗が小さくなる。また、本発明に係る固体電解質においては、多孔質領域と緻密領域とが一体的に形成されていることから、多孔質領域と緻密領域との境界に界面が形成されることが防止される。その結果、本発明に係る固体電解質の剥離強度が向上する。
多孔質領域における気孔率が一面側に近いほど大きくてもよい。この場合、多孔質領域と緻密領域との境界に界面が形成されることがより確実に防止される。その結果、多孔質領域と緻密領域との剥離をより確実に防止することができる。
一面上に電極が設けられていてもよい。この場合、電極の表面積が大きくなる。それにより、分極(反応)抵抗が低減される。
金属酸化物を形成する金属の価数よりも低い価数を有する第2金属をさらに含んでいてもよい。この場合、第2金属が金属酸化物を形成する金属の価数よりも低い価数を有することから、固体電解質内に酸素空孔が形成される。それにより、固体電解質のプロトン伝導性が向上する。
緻密領域は、緻密領域の他面側表面に水素透過性を有する金属層をさらに含んでいてもよい。この場合、一体的に形成された緻密領域に金属層が含まれることから、本発明に係る固体電解質の剥離強度が高くなる。また、金属層を固体電解質の支持基板として用いることができることから、固体電解質の膜厚を薄くすることができる。その結果、固体電解質のプロトン伝導性が向上する。
本発明に係る燃料電池は、請求項1〜6のいずれかの固体電解質をプロトン導電性電解質として用いるものである。本発明に係る燃料電池においては、固体電解質の一面側にカソードを設けることにより、固体電解質とカソードとの接触抵抗が小さくなる。それにより、発電効率が向上する。また、固体電解質の多孔質領域と緻密領域とが一体的に形成されていることから、多孔質領域と緻密領域との境界に界面が形成されることが防止される。それにより、固体電解質の剥離強度が高くなる。その結果、本発明に係る燃料電池の信頼性が向上する。
本発明に係る固体電解質の製造方法は、バルブ金属とバルブ金属の融点よりも低い融点を有する低融点材料とが混合された第1の領域を含むバルブ金属含有層が一面上に形成された水素透過性金属基板を準備する第1のステップと、第1の領域の少なくとも一部を加熱することにより第1の領域から低融点材料を除去する第2のステップと、バルブ金属含有層を陽極酸化法により酸化させて、緻密領域および多孔質領域を形成する第3のステップとを備え、第1の領域は、少なくともバルブ金属含有層の一面近傍に形成され、バルブ金属の酸化物は、プロトン伝導性を有するものである。
本発明に係る固体電解質の製造方法においては、緻密領域と多孔質領域とが一体的に形成される。緻密領域と多孔質領域との境界に界面が形成されることが防止される。その結果、本発明に係る製造方法により製造された固体電解質の剥離強度が向上する。また、多孔質領域上にカソードを設ければ、カソード表面積が大きくなる。それにより、分極(反応)抵抗が低減される。
第1のステップは、水素透過性金属基板の一面上にバルブ金属からなる第2の領域と第1の領域とを順に連続的に形成するステップであってもよい。この場合、第1の領域と第2の領域とが一体的に形成される。それにより、緻密領域と多孔質領域との境界に界面が形成されることが防止される。その結果、本発明に係る製造方法により製造された固体電解質の剥離強度が向上する。
低融点材料は、バルブ金属の融点よりも低い融点を有する金属であってもよい。この場合、多孔質領域に残存する低融点の材料とバルブ金属とが金属結合を形成することから、本発明に係る製造方法により製造された固体電解質中に界面が形成されることが防止される。
第1の領域における低融点材料の密度は、水素透過性金属基板に近づくにつれて小さくなってもよい。この場合、多孔質領域と緻密との境界に界面が形成されることがより確実に防止される。その結果、本発明に係る製造方法により製造された固体電解質の剥離をより確実に防止することができる。
バルブ金属含有層上に電極を形成する第4のステップをさらに備えていてもよい。この場合、多孔質領域と電極との接触面積が増大する。それにより、電極と多孔質領域との接触抵抗が低減される。その結果、本発明に係る製造方法により製造された固体電解質の発電効率が向上する。
低融点材料は、バルブ金属の価数よりも低い価数を有し、第2のステップにおいて、低融点の材料を一部残存させてもよい。この場合、低融点の材料がバルブ金属の価数よりも低い価数を有することから、多孔質領域に酸素空孔が形成される。それにより、本発明に係る製造方法により製造された固体電解質のプロトン伝導性が向上する。
第3のステップにおいて、バルブ金属層の一面側の一部を陽極酸化法により酸化させてもよい。この場合、一体的に形成された緻密領域に金属層が含まれることになる。その結果、本発明に係る製造方法により製造された固体電解質の剥離強度が高くなる。
バルブ金属は、水素透過性を有する金属であってもよい。この場合、金属層に供給されるガスのうち水素が選択的に緻密領域に到達する。それにより、水素が効率よく電解質に供給される。その結果、本発明に係る製造方法により製造された固体電解質の発電効率が向上する。
本発明に係る燃料電池の製造方法は、請求項7〜14のいずれかに記載の固体電解質の製造方法を用いるものである。本発明に係る燃料電池の製造方法においては、多孔質領域と緻密領域とが一体的に形成されることから、多孔質領域と緻密領域との境界に界面が形成されることが防止される。それにより、固体電解質の剥離強度が高くなる。その結果、本発明に係る製造方法により製造された燃料電池の信頼性が向上する。また、固体電解質の一面側にカソードを設ければ、カソード表面積が大きくなる。それにより、分極(反応)抵抗が低減される。それにより、本発明に係る製造方法により製造された燃料電池の発電効率が向上する。
本発明によれば、カソード表面積が大きくなることから、分極(反応)抵抗が低減される。また、多孔質領域と緻密領域との境界に界面が形成されることが防止される。その結果、本発明に係る固体電解質の剥離強度が向上する。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明に係る燃料電池100の模式的断面図である。図1に示すように、燃料電池100は、アノード10、水素透過性金属層20、固体電解質30およびカソード40が順に積層された構造を有する。なお、水素透過性金属層20、固体電解質30およびカソード40をまとめて固体電解質と呼ぶこともある。
アノード10およびカソード40は、導電性を有するカーボン等から構成される。水素透過性金属層20は、水素透過性の緻密な金属からなる。水素透過性金属としては、例えば、パラジウム、バナジウム、チタン、タンタル等を用いることができる。本実施例においては、水素透過性金属としてタンタルを用いる。
固体電解質30は、水素透過性金属層20側に緻密酸化物領域32を有し、カソード40側の表面近傍に多孔質酸化物領域31を有する。緻密酸化物領域32は、チタン、タンタル、アルミニウム等のバルブ金属を酸化させたプロトン導電性金属酸化物が緻密に形成された構造を有する。多孔質酸化物領域31は、アルミニウム、チタン、タンタル等のバルブ金属を酸化させたプロトン導電性金属酸化物が無数の孔33を有する多孔質構造を有する。ここで、バルブ金属とは陽極酸化法により酸化することができる金属のことをいう。
緻密酸化物領域32を形成する金属と多孔質酸化物領域31を形成する金属とは異なっていてもよい。固体電解質30は一体的に形成された構造を有し、緻密酸化物領域32と多孔質酸化物領域31との境界には界面が形成されていない。
アノード10に供給された水素は、水素透過性金属層20を透過し、緻密酸化物領域32と水素透過性金属層20との境界においてプロトンに変換される。変換されたプロトンは、緻密酸化物領域32および多孔質酸化物領域31を伝導してカソード40に到達する。カソード40においては、プロトンとカソード40に供給された酸素とにより水が発生するとともに電力が発生する。以上の行程により、燃料電池100による発電が行われる。このように、アノード10と固体電解質30との間に水素透過性金属層20が設けられていることから、水素が効率よく電解質30に供給される。
本実施例に係る燃料電池100においては、多孔質酸化物領域31が多孔質構造を有することから、固体電解質30とカソード40との接触面積が大きくなる。したがって、固体電解質30とカソード40との接触抵抗が低減される。その結果、燃料電池100の発電効率が向上する。また、多孔質酸化物領域31と水素透過性金属層20との間に緻密酸化物領域32が設けられていることから、カソード40に供給された酸素がアノードに到達することが防止される。その結果、燃料電池100の発電効率低下が防止される。さらに、固体電解質30が一体的に形成されていることから、多孔質酸化物領域31と緻密酸化物領域32との境界に界面が形成されることが防止される。それにより、固体電解質30の剥離強度が向上する。その結果、燃料電池100の信頼性が向上する。
なお、水素透過性金属層20に用いる金属は、水素透過性を有する金属であればどのような金属でも用いることができる。また、水素透過性金属層20を構成する金属と固体電解質30を構成する金属とは同じ金属でなくてもよいが、同じ金属にしてもよい。この場合、水素透過性金属層20と固体電解質30との境界に界面が形成されることが防止される。その結果、水素透過性金属層20と固体電解質30との剥離が防止される。
次に、燃料電池100の製造方法について説明する。図2は、燃料電池100の製造方法を説明する図である。まず、図2(a)に示すように、バルブ金属Mからなる水素透過性金属層20を準備し、水素透過性金属層20の表面に対して研磨処理を施す。
次に、図2(b)に示すように、水素透過性金属層20の一面上に、バルブ金属Mからなるバルブ金属領域35をスパッタリング等により形成する。この場合、水素透過性金属層20を構成する金属とバルブ金属領域35を構成する金属とが金属結合により結合されることから、水素透過性金属層20とバルブ金属領域35との境界に界面が形成されることが防止される。それにより、水素透過性金属層20とバルブ金属領域35との剥離が防止される。また、水素透過性金属層20の表面に対して研磨処理が施されていることから、水素透過性金属層20とバルブ金属領域35との境界に界面が形成されることがより確実に防止される。
続いて、バルブ金属領域35の一面上に、金属Mよりも低融点の材料Xが金属M中に散在する低融点材料含有領域34をスパッタリング等により形成する。この場合、バルブ金属領域35の形成と低融点材料含有領域34の形成とは連続して行う。それにより、バルブ金属領域35と低融点材料含有領域34との境界に界面が形成されることが防止される。本実施例においては、金属Mとしてタンタルを用い、材料Xとしてチタンを用いる。なお、材料Xは、金属である必要はなく、金属Mよりも低融点の材料であれば用いることができる。例えば、材料Xとして炭素を用いることができる。
次いで、水素透過性金属層20、バルブ金属領域35および低融点材料含有領域34を真空雰囲気下で加熱する。この場合、金属Mの融点より低く、かつ、材料Xの融点よりも高い温度まで加熱する。それにより、図2(c)に示すように、溶融した材料Xが蒸発する。その結果、低融点材料含有領域34に無数の孔33が発生する。
なお、水素透過性金属層20、バルブ金属領域35および低融点材料含有領域34の加熱温度を燃料電池100の動作温度(例えば、500℃程度)よりも高く加熱することが好ましい。この場合、水素透過性金属層20、バルブ金属領域35および低融点材料含有領域34が燃料電池100の動作温度に慣らされ、燃料電池100の不具合が抑制される。
次に、バルブ金属領域35および低融点材料含有領域34を陽極酸化法により酸化する。それにより、図2(d)に示すように、低融点材料含有領域34が多孔質酸化物領域31となり、バルブ金属領域35が緻密酸化物領域32となる。この場合、水素透過性金属層20をテープ等によりマスクすることによって、水素透過性金属層20の酸化を防止することができる。
次いで、図2(e)に示すように、アノード10を水素透過性金属層20の他面に成膜法等により設け、カソード40を多孔質酸化物領域31の一面に成膜法等により設ける。それにより、燃料電池100の形成が完了する。
以上のように、バルブ金属領域35の形成と低融点材料含有領域34の形成とが連続して行われることから、多孔質酸化物領域31と緻密酸化物領域32との間に界面が形成されることが防止される。その結果、固体電解質30の剥離強度が向上する。
また、水素透過性金属層20の一面側の一部およびバルブ金属領域35を陽極酸化法により酸化して緻密酸化物領域32を形成してもよい。この場合、緻密酸化物領域32と水素透過性金属層20との境界に界面が形成されることがより確実に防止される。
さらに、バルブ金属領域35を形成せずに水素透過性金属層20の一面上に低融点材料含有領域34を形成してもよい。この場合、真空雰囲気下でレーザ照射により低融点材料含有領域34の一面近傍を加熱することによって、低融点材料含有領域34の一面近傍に無数の孔33を発生させることができる。また、低融点材料含有領域34全体を材料Xの融点以上に加熱した後に徐々に温度を下げることによって、低融点材料含有領域34の一面近傍に無数の孔33を発生させることできる。その後、低融点材料含有領域34に対して陽極酸化処理を施すことにより、多孔質酸化物領域31および緻密酸化物領域32を形成することができる。なお、緻密酸化物領域32に材料Xが残存することになることから、材料Xは、金属であることが好ましい。
なお、本実施例においては、多孔質酸化物領域31が多孔質領域に相当し、緻密酸化物領域32が緻密領域に相当し、カソード40が電極に相当し、水素透過性金属層20が金属層に相当し、材料Xが低融点材料に相当し、金属Mがバルブ金属に相当し、低融点材料含有領域34が第1の領域に相当し、低融点材料含有領域34およびバルブ金属領域35がバルブ金属含有層に相当し、バルブ金属領域35が第2の領域に相当する。
図3は、第2実施例に係る燃料電池100aの模式的断面図である。図3に示すように、燃料電池100aは、アノード10、水素透過性金属層20、固体電解質30aおよびカソード40が順に積層された構造を有する。固体電解質30aは、水素透過性金属層20側に緻密酸化物領域32aを有し、カソード40側の表面近傍に多孔質酸化物領域31aを有する。
多孔質酸化物領域31aおよび緻密酸化物領域32aが図1の多孔質酸化物領域31および緻密酸化物領域32と異なる点は、多孔質酸化物領域31aおよび緻密酸化物領域32aに第2酸化物36が散在するように形成されている点である。第2酸化物36は、金属Mと金属Mの融点よりも低い融点を有しかつ金属Mの価数よりも低い価数を有するバルブ金属Yとが酸化した金属酸化物である。
この場合、金属Yが金属Mの価数よりも低い価数を有することから、多孔質酸化物領域31aおよび緻密酸化物領域32aに酸素空孔が形成される。それにより、多孔質酸化物領域31aおよび緻密酸化物領域32aにおけるプロトン伝導性が向上する。その結果、燃料電池100aの発電効率が向上する。
以下、燃料電池100aの製造方法について説明する。図4は、燃料電池100aの製造方法を説明する図である。まず、図4(a)に示すように、バルブ金属Mからなる水素透過性金属層20を準備し、水素透過性金属層20の表面に対して研磨処理を施す。
次に、図4(b)に示すように、水素透過性金属層20の一面上に、金属Yが金属M中に散在する低融点材料含有領域34aをスパッタリング等により形成する。次いで、真空雰囲気下でレーザ照射により低融点材料含有領域34aの一面近傍を加熱する。それにより、図4(c)に示すように、溶融した金属Yが蒸発する。その結果、低融点材料含有領域34aの一面近傍に無数の孔33が発生する。
次に、低融点材料含有領域34aを陽極酸化法により酸化する。それにより、図4(d)に示すように、低融点材料含有領域34aから多孔質酸化物領域31aおよび緻密酸化物領域32aが形成される。この場合、水素透過性金属層20をテープ等によりマスクすることによって、水素透過性金属層20の酸化を防止することができる。
次いで、図4(e)に示すように、アノード10を水素透過性金属層20の他面に成膜法等により設け、カソード40を多孔質酸化物領域31aの一面に成膜法等により設ける。それにより、燃料電池100aの形成が完了する。
以上のように、低融点材料含有領域34aから多孔質酸化物領域31aおよび緻密酸化物領域32aが形成されることから、多孔質酸化物領域31aと緻密酸化物領域32aとの間に界面が形成されることが防止される。その結果、固体電解質30aの剥離強度が向上する。
なお、低融点材料含有領域34a全体を金属Yの融点以上に加熱した後に徐々に温度を下げることによって、低融点材料含有領域34aの一面近傍に無数の孔33を発生させることができる。その後、低融点材料含有領域34aに対して陽極酸化処理を施すことにより、多孔質酸化物領域31aおよび緻密酸化物領域32aを形成することができる。
本実施例においては、多孔質酸化物領域31aが多孔質領域に相当し、緻密酸化物領域32aが緻密領域に相当し、金属Yが第2金属および低融点材料に相当し、低融点材料含有領域34aが第1の領域およびバルブ金属含有層に相当する。
図5は、第3実施例に係る燃料電池100bの模式的断面図である。燃料電池100bが図1の燃料電池100と異なる点は、多孔質酸化物領域31の代わりに多孔質酸化物領域31bが形成されている点である。
多孔質酸化物領域31bは、多孔質酸化物領域31と同様に水素透過性金属酸化物に無数の孔33が存在する多孔質構造を有する。多孔質酸化物領域31bが多孔質酸化物領域31と異なる点は、緻密酸化物領域32に近づくにつれて孔33の密度が低くなっている点である。この場合、多孔質酸化物領域31bと緻密酸化物領域32との境界に界面が形成されることがより確実に防止される。その結果、多孔質酸化物領域31bと緻密酸化物領域32との剥離をより確実に防止することができる。多孔質酸化物領域31bは、図2(b)の行程においてターゲットに投入するエネルギを変化させつつスパッタリングを行うことによって形成することができる。
なお、多孔質酸化物領域31bおよび緻密酸化物領域32に図3の第2酸化物36を含有させてもよい。この場合、多孔質酸化物領域31bと緻密酸化物領域32との境界に界面が形成されることを防止することができるとともに、多孔質酸化物領域31bおよび緻密酸化物領域32におけるプロトン伝導性が向上する。また、本実施例においては、多孔質酸化物領域31bが多孔質領域に相当する。
10 アノード
20 水素透過性金属層
30,30a,30b 固体電解質
31,31a,31b 多孔質酸化物領域
32,32a 緻密酸化物領域
33 孔
34,34a 低融点材料含有領域
35 水素透過性金属領域
36 第2酸化物
40 カソード
100,100a,100b 燃料電池
20 水素透過性金属層
30,30a,30b 固体電解質
31,31a,31b 多孔質酸化物領域
32,32a 緻密酸化物領域
33 孔
34,34a 低融点材料含有領域
35 水素透過性金属領域
36 第2酸化物
40 カソード
100,100a,100b 燃料電池
Claims (15)
- プロトン伝導性を有する金属酸化物から一体的に形成され、一面側に多孔質構造を有する多孔質領域を含み、他面側に緻密構造を有する緻密領域を含むことを特徴とする固体電解質。
- 前記多孔質領域における気孔率が前記一面側に近いほど大きいことを特徴とする請求項1記載の固体電解質。
- 前記一面上に電極が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の固体電解質。
- 前記金属酸化物を形成する金属の価数よりも低い価数を有する第2金属をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質。
- 前記緻密領域は、前記緻密領域の他面側表面に水素透過性を有する金属層をさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解質。
- 請求項1〜5のいずれかの固体電解質をプロトン導電性電解質として用いることを特徴とする燃料電池。
- バルブ金属と前記バルブ金属の融点よりも低い融点を有する低融点材料とが混合された第1の領域を含むバルブ金属含有層が一面上に形成された水素透過性金属基板を準備する第1のステップと、
前記第1の領域の少なくとも一部を加熱することにより前記第1の領域から前記低融点材料を除去する第2のステップと、
前記バルブ金属含有層を陽極酸化法により酸化させて、緻密領域および多孔質領域を形成する第3のステップとを備え、
前記第1の領域は、少なくとも前記バルブ金属含有層の一面近傍に形成され、
前記バルブ金属の酸化物は、プロトン伝導性を有することを特徴とする固体電解質の製造方法。 - 前記第1のステップは、前記水素透過性金属基板の一面上に前記バルブ金属からなる第2の領域と前記第1の領域とを順に連続的に形成するステップであることを特徴とする請求項7記載の固体電解質の製造方法。
- 前記低融点材料は、前記バルブ金属の融点よりも低い融点を有する金属であることを特徴とする請求項7または8記載の固体電解質の製造方法。
- 前記第1の領域における前記低融点材料の密度は、前記水素透過性金属基板に近づくにつれて小さくなることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
- 前記バルブ金属含有層上に電極を形成する第4のステップをさらに備えることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
- 前記低融点材料は、前記バルブ金属の価数よりも低い価数を有し、
前記第2のステップにおいて、前記低融点の材料を一部残存させることを特徴とする請求項7記載の固体電解質の製造方法。 - 前記第3のステップにおいて、前記バルブ金属層の一面側の一部を陽極酸化法により酸化させることを特徴とする請求項7〜12のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
- 前記バルブ金属は、水素透過性を有する金属であることを特徴とする請求項7〜13のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
- 請求項7〜14のいずれかに記載の固体電解質の製造方法を用いることを特徴とする燃料電池の製造方法。
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