JP2006278016A - 密閉形電池とその製造方法およびその密閉形電池複数個で構成した組電池 - Google Patents

密閉形電池とその製造方法およびその密閉形電池複数個で構成した組電池 Download PDF

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Abstract

【課題】捲回式極板群を備える密閉形電池であって、内部抵抗が低く、出力特性に優れた密閉形電池の提供を可能にする。
【解決手段】捲回式極板群を有し、該捲回式極板群の一方の捲回端面に突出させた極板の長辺端部の端面に円板状の上部集電板4を接合し、該上部集電板と封口板8とを、集電リード5を介して接続した密閉形電池において、封口板に設けた透孔の壁面8’が円筒または電池内部に向かって末広がりの円錐の側面の一部をなし、前記上部集電板の一部分が、前記透孔の壁面がなす円筒または円錐状の側面と上部集電板がなす平面が交わる線の内側にはみ出しているはみ出し部4”を有する密閉形電池とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、捲回式極群(極板群ともいう)を備える円筒形のニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池などの密閉形電池に関するものであって、電気抵抗が低くて出力密度が高く、急速充電受け入れ性能に優れた密閉形電池とその製造方法およびその密閉形電池複数個で構成した組電池に関するものである。
円筒形のニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池などの密閉形電池は、サイクル特性、耐過放電特性、耐過充電特性に優れるところから携帯形の電気機器、電動工具などの電源として広く用いられている。これらの電池については、これまでも高率放電特性のさらなる向上が追求されてきた。
従来の密閉形電池の場合、図20に示すように、正極板1、負極板2、セパレータ3を積層して渦巻き状に捲回した極群の一方の捲回端面に突出させた正極板の基板の端面に正極集電板4を接合し、該正極集電板4にリボン状の集電リード5の一端を接合して電槽6内に収納した後、集電リード5の他端を、安全弁体10及びキャップ9およびガスケット7を取り付けた封口板(蓋体)8の内面に接合し、電解液を注入した後、電槽6の開口端に蓋体8を被せ電槽6の開口端を折り曲げて、蓋体を狭持し封口していた。
前記従来の密閉形電池においては、封口板8を電槽6の開口端から外に引き出した状態で、集電リード5と上部集電板4、集電リード5と封口板8を接合させるために、集電リード5に封口板8の引き出し代を必要とし、集電リード5の長さが大きく(電池を組み立てた後では、図20に示すように集電リード5が大きく撓んでいる。Dサイズの円筒形電池の場合、従来電池においては、集電リード5と封口板8との接合点P2から該P2から最短距離にある集電リード5と上部集電板4の接合点P1に至る集電リードの長さが18〜25mmであり、前記P2と上部集電板4との間の距離の5〜7倍の長さがある。)、且つ、細い(断面積が小さい、Dサイズセルの場合厚さが約0.6mm、幅が10〜15mmのリボン状リードが適用されており、その断面積は約6〜9mm2と小さい)ために集電リード5の電気抵抗が大きく電池の出力密度が低い欠点があった。
電池の極板と外部端子を結ぶ集電リードの構造を改良することによって、電池の電気抵抗を低減し、高率放電特性、急速充電受け入れ性能を向上させようとする試みがある。そのうちの1つに、集電リードが中空部を備える筒状態からなる集電リードを適用した円筒形電池や(例えば特許文献1参照)、長さ方向の中央部が凹んだ鼓状筒体を適用した密閉形電池が提案されている(例えば特許文献2参照)。
特開2000−165853号公報 特開2001−155710号公報 しかし、これらの提案によっても集電リードの長さが長く、電池の内部抵抗を低減する効果が小さかった。
また、加圧時に局所的に曲げ変形する曲げ案内部を有する集電リードを適用した電池や(例えば特許文献3参照)、集電リードに、加圧時に局所的な曲げ変形を促進する曲げ案内部を設けると共に、集電リ−ドと封口板との間に形成される内部空間に突出する突出部を設けて該突出部を封口板に接触させることによって短縮された導電経路を形成した電池が提案されている(例えば特許文献4参照)。
特開2002−231216号公報 特開2004−235036号公報 しかし、これらの提案に係る電池においても、集電リードの長さが長く、かつ、集電リードと集電板との溶接点の位置から捲回された極板の集電端部に至る距離の大きいところと小さいところの差が大きいために電池の内部抵抗の低減効果が不十分であった。また、前記特許文献4には、蓋体を電槽の開口端に装着させた後に、正極端子と負極端子間に溶接電流を通電して封口体と集電リードを溶接する方法が示されている。しかし、該特許文献による方法では、電池の正極端子と負極端子間に大きな電流を通電するために電解液が電気分解される虞があり、且つ、溶接電流を通電後に電槽の開口端部をカシメて、封口(クリンプシール)しているために、カシメの工程で封口板と集電板の距離が変化し、封口板と集電リードの接合点あるいは集電リードと集電板の接合点(溶接点)にストレスが発生し、接合不良が生じる虞があった。
本発明は、前記従来の密閉形電池の欠点に鑑みてなされたものであって、捲回式極群を備える密閉形電池であって、従来の同タイプの電池に比べて電気抵抗を低減することによって、出力密度が高く急速充電受け入れ性能に優れた密閉形電池を提供せんとするものである。
本発明においては、密閉形電池の構造およびその製造方法を以下の構成とすることによって前記課題を解決する。
本発明に係る密閉形電池は、正極板、セパレータ、負極板の積層体を捲回してなる捲回式極群を有底筒状の金属製電槽に収納し、該電槽の開口端にガスケットを介して金属製の封口板(素蓋ともいう)を配置して電槽の開口端を封止し、該封口板の中央にはガスを排出するための円形の透孔が設けられており、該透孔を安全弁体で封止してなり、前記捲回式極板群の一方の捲回端面に正極板または負極板のうちの一方の極板の長辺端部を突出させ、該突出させた長辺端部の端面に円板状の上部集電板を接合し、該上部集電板と前記封口板とを、集電リードを介して接続した密閉形電池において、前記封口板に設けた透孔の壁面が円筒または電池内部に向かって末広がりの円錐の側面の一部をなし、前記上部集電板の一部分が、前記円筒または円錐の側面と上部集電板の前記封口板と対向する面(上面)がなす平面が交わる線の内側にはみ出しているはみ出し部を有する密閉形電池である。(請求項1)
本発明に係る密閉形電池は、正極板、セパレータ、負極板の積層体を捲回してなる捲回式極群を有底筒状の金属製電槽に収納し、該電槽の開口端にガスケットを介して金属製の封口板(素蓋ともいう)を配置して電槽の開口端を封止し、該封口板の中央にはガスを排出するための円形の透孔が設けられており、該透孔を安全弁体で封止してなり、前記捲回式極板群の一方の捲回端面に正極板または負極板のうちの一方の極板の長辺端部を突出させ、該突出させた長辺端部の端面に円板状の上部集電板を接合し、該上部集電板の中央に円形の小孔を設け、該上部集電板と前記封口板とを、集電リードを介して接続した密閉形電池において、前記封口板に設けた透孔の壁面が円筒または電池内部に向かって末広がりの円錐の側面の一部をなし、前記上部集電板に設けた小孔のなす円が前記円筒または円錐の側面と上部集電板の前記封口板と対向する面(上面)がなす平面が交わる線がなす円と重なる密閉形電池である。(請求項2)
本発明に係る密閉形電池の製造方法は、前記請求項1又は請求項2のいずれかに記載の円筒形アルカリ二次電池であり、前記上部集電板と前記集電リードの間、前記集電リードと前記封口板の間のうち少なくとも一方を電気抵抗溶接にて接合した密閉形電池の製造方法であって、
前記上部集電板を接合した極群を電槽内に収納し、前記上部集電板の上に集電リードが位置し、該集電リードの上部端面上に前記ガスケットを装着した封口板が位置するように配置し、電槽の開口端縁を折り曲げて、ガスケットを介して封口板を狭持した後、電気抵抗溶接機の一方の出力端子を前記封口板の中央に設けた透孔を挿通させて前記上部集電板に当接させ、他方の出力端子を、前記封口板に当接させて、上部集電板と封口板間に溶接のための電流(以下単に溶接電流と記述する)を通電することによって上部集電板と集電リードおよび集電リードと封口板のうちの少なくとも一方を接合する密閉形電池の製造方法である。(請求項3)
本発明に係る密閉形電池の製造方法は、前記集電リードと封口板を電槽に挿入する以前に予め接合しておき、前記上部集電板上に集電リードと封口板の接合体を配置し、電槽の開口端縁を折り曲げて、ガスケットを介して封口板を狭持した後、電気抵抗溶接機の一方の出力端子を前記上部集電板に当接させ、他方の出力端子を前記封口板に当接させて、上部集電板と封口板間に溶接電流を通電することによって上部集電板と集電リードを接合する請求項3に記載の密閉形電池の製造方法である。(請求項4)
本発明に係る密閉形電池は、前記封口板の内面における集電リードの溶接点から前記上部集電板の上面までの最短距離に対する前記封口板の内面における集電リードの溶接点から、該溶接点に最も近い上部集電板の上面における集電リードの溶接点まで集電リードの長さの比が1〜2.1である請求項1または請求項2の何れかに記載の密閉形電池である。(請求項5)
本発明に係る密閉形電池は、前記集電リードが、前記封口板および上部集電板に対して直立した壁面からなる円筒状または正多角形の筒状部を備え、電池を長手方向(極群の捲回端面や上部集電板の平面に対して直角の方向)に透視したとき、前記捲回式極群の半径を1とすると、該筒状部壁面の内面の前記捲回式極群の捲回端面の中心からの距離が、0.4〜0.7の範囲にある請求項5に記載の密閉形電池である。(請求項6)
なお、ここでいう筒状部の壁面が封口板および上部集電板に対して直立するとは、該壁面の封口板および上部集電板に対してなす角度が直角であることが好ましいが、必ずしも厳密に直角であることに限定されるものではなく、電池を直立させた時に封口板および上部集電板が横方向の姿勢をとるのに対して、集電リードの筒状部の壁面が縦方向の姿勢をとることを意味する。
また、ここでいう円筒状の筒状部には、後記第8の実施形態(図17)に示したように、筒の壁面が円を中心にして、該円に比べて直径の大きい方向および直径の小さい方向に交互に波打っている筒状部を含む。
本発明に係る密閉形電池は、前記捲回式極群の半径を1としたときに、前記集電リードと上部集電板との複数の溶接点を、前記捲回式極群の捲回端面の中心から0.4〜0.7の距離に配置した請求項6に記載の密閉形電池である。(請求項7)
本発明に係る密閉形電池は、前記集電リードと上部集電板との溶接点の数が4〜16であって、該溶接点を前記捲回式極群の周縁がなす円と同心円上に配置した請求項7に記載の密閉形電池である。(請求項8)
本発明に係る密閉形電池は、前記集電リードが該集電リードの筒状部の上下方向にバネ機能を有する請求項6に記載の密閉形電池である。(請求項9)
なおここでいう上下方向とは、集電リードの筒状部がなす円又は正多角形に垂直の方向をいう。
本発明に係る密閉形電池は、前記捲回式極群の他方の捲回端面に他方の極板の長辺端部を突出させ、該突出させた長辺端部の端面に円板状の下部集電板を接合し、前記下部集電板と電槽底の内面とを下部集電板の中央部分と該中央部分以外において複数の溶接点を介して接合し、前記捲回式極群の半径を1としたときに、該中央部分以外の複数の溶接点を、前記捲回式極群の捲回端面の中心から0.5〜0.8の距離に配置した請求項6〜請求項9の何れか1項に記載の密閉形電池である。(請求項10)
本発明に係る密閉形電池は、前記捲回式極群の半径を1としたときに、前記捲回式極群の捲回端面の中心から0.5〜0.8の距離に配置した前記下部集電板と電槽底の内面との複数の溶接点を、前記捲回式極板群の周縁がなす円と同心円上に配置した請求項10に記載の密閉形電池である。(請求項11)
本発明に係る組電池は、前記請求項7〜請求項11の何れか1項に記載の密閉形電池の複数個をシリーズ接続させた組電池である。(請求項12)
本発明に係る組電池は、前記請求項11に記載の密閉形電池の複数個をシリーズ接続させた組電池であって、隣接する密閉形電池の一方の電池の電槽底の外面と他方の電池の封口板の外面を円筒状の接続部品を介して接続し、前記円筒状のリードの直径と接続部品の直径および前記下部集電板と電槽底の内面との複数の溶接点を配置した円の直径が同じであって、組電池を長手方向に透視したときに前記円筒状のリード、接続部品および下部集電板と電槽底の内面との複数の溶接点を配置した円を重なる位置に配置した組電池である。(請求項13)
本発明の請求項1および請求項2によれば、捲回式極群を備える密閉形電池において、従来電池に比して内部抵抗が低く、高出力の密閉形電池の提供を可能にする。例えば、捲回式極群を備える円筒形ニッケル水素電池において、極群を構成する一方の極板と封口板を結ぶ集電リードの長さを短縮して、その電気抵抗を低減し、出力密度が向上した円筒形ニッケル水素電池の製造を可能にする。特に、ハイブリッド形電気自動車(HEV)の走行をアシストするための電源として用いられる円筒形(Dサイズ)のニッケル水素電池において1400W/kg以上の高出力密度を有する電池の製造が可能である。1400W/kg以上の出力密度を保持することは、HEVの走行のアシスト時において放電電流200A(Dサイズの円筒形ニッケル水素電池においては約30ItA放電に相当)の放電を行っても常温下においては電池の端子電圧が1V/セルを切ることが無い性能であることを意味し、放電レートの上限を30ItAとしたいかなるパターンの放電を行っても電池が過放電に陥る虞がないことを示している。
本発明の請求項3によれば、電槽の開放端を折り曲げてガスケットを介して封口板を狭持した後に上部集電板と集電リードまたは集電リードと封口板を溶接するための溶接電流を通電するので、集電リードの長さの短い電池の組立が可能であり、集電板と集電リードの接合点、集電リードと封口板の接合点に生じるストレスを低減することができる。また、前記集電板に電気抵抗溶接機の一方の出力端子を、前記封口板に電気抵抗溶接機の他方の出力端子を当接させて、集電板と封口板間に溶接電流を通電するので、電池の正極端子、負極端子の両端子間に電池内を経由して溶接電流を通電することなく、電気抵抗溶接によって集電リードと集電板、または集電リードと封口板を溶接することができる。
本発明の請求項4によれば、前記請求項3において上部集電板と集電リードを、より確実に溶接することができる。
本発明の請求項5によれば、前記集電リードの長さを短かくしたことにより、集電リードの電気抵抗を低減することができる。
本発明の請求項6によれば、前記集電リードの長さを短かく、且つ、太く(断面積を大きく)したことにより、集電リードの電気抵抗を低減することができる。
本発明の請求項7および請求項8によれば、集電リードと上部集電板との溶接点の位置から捲回された極板の集電端部に至る距離の大きいところが生じないようにすることによって一方の極板集電機能を高め電池の出力密度の高い密閉形次電池を提供することができる。
本発明の請求項9によれば、捲回式極板群の高さにバラツキがあっても、該バラツキをクッション部分で吸収し、集電リードと上部集電板を確実に接合することができる。
本発明の請求項10および請求項11によれば、捲回式極板群の他方の極板(電槽に接続される極板)の集電機能を高め、前記一方の極板(前記集電リードを介して)封口板に接続される極板)の集電機能を高めたことと相まって、出力密度の高い密閉形電池を可能とする。
本発明の請求項12によれば、内部抵抗の小さい電池を組み合わせることによって出力密度の高い組電池を提供することができる。
本発明の請求項13によれば、組電池が構成する電気回路の電気抵抗を低減し、出力密度の高い組電池を得ることができる。
(単電池の実施の形態)
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る密閉形電池(以下単に電池ともいう)の要部断面構造を模式的に示す図である。図1において8は、例えばニッケルメッキを施した鋼板製(以下単に鋼板製ともいう)の封口板である。該封口板8は、周縁にはポリアミド樹脂やポリオレフィン樹脂等の合成樹脂の成形体からなるガスケット7が装着され、鋼板製の電槽6の開放端をカシメルことによって電槽6の開放端に固定されている(クリンプシール)。封口板8の中央には電池内部の圧力が異常に上昇したときに電池の内部に蓄積したガスを排出するためのものであって、壁面8′が円筒の側面の一部をなす円形の透孔11が形成され、常時は、封口板8の外面(図1においては上面)に取り付けたキャップ9でゴム製の安全弁体10を前記透孔11に押圧することにより、透孔11が封止されている。(電池内部の圧力が異常に上昇したときには安全弁体10が図の上方に押し上げられ、電池の内部に蓄積したガスは、透孔11およびキャップ9に設けた排気口12を通って外部に放出される。)ニッケル板製又は鋼板製の上部集電板4は、正極板1、負極板2およびセパレータ3の積層体を捲回した捲回式極板群の上部捲回端面に突出させた極板(図1においては正極板1)の端面に接合されている。該上部集電板4と前記封口板8とは鋼板製の円筒状または正多角形筒状の集電リード5を介して接続されている。なお、上部集電板4の中心には、下部集電板(図示せず)を電槽6の内底面に接合させるときに電気抵抗溶接器の一方の出力端子を挿通させるための円形の小孔11′が設けられている。
従来の電池においては、前記図20に示したように、封口板8の中央に前記第1の実施の形態同様円形の透孔11が設けられている。該透孔11は、電池内に蓄積したガスを放出させるためだけに設けられたものであり、直径が小さくても十分にその機能を果たした。例えばDサイズの円筒形アルカリ二次電池においては透孔11の直径は約1mmと小さい。捲回式極群の中心には巻き心を挿通させるための孔があり、該捲回式極群の上部捲回端面に接合させた円板状の上部集電板の中央にも孔が設けられおり、該捲回式極群および上部集電板の中央に設けた孔に電気抵抗溶接機(スポット溶接機)の一方の出力端子を挿通させてその先端を下部集電板に当接させ、他方の出力端子を電槽の外底面に当接させて溶接電流を通電し、電槽の内底面と下部集電板の中央部分を接合させている。スポット溶接機の出力端子の直径が2〜3mmであるので、該出力端子を槽通させるために上部集電板の小孔の直径は3〜4mmに設定される。このような事情から従来電池においては、封口板8に設けた円筒状透孔11の直径が上部集電板4の中央に設けた小孔の直径に比べて小さく、上部集電板4には、後記本発明に係るはみ出し部分(4″)がない。
これに対して本発明に係る電池においては、図1に示すように円筒状の透孔11の直径を大きくすることにより、透孔11の壁面がその一部をなす円筒の側面(図1の一点鎖線で示した)と上部集電板4がなす平面(図1において上部集電板4の上面がなす面)とが交わる線(図1は断面図なので両面の交わる箇所が点Pで表される)よりも内側に上部集電板をはみ出させ、上部集電板4にはみ出し部4″を設けている。
図7は、本発明に係り、上部集電板4と集電リード5および集電リード5と封口板8のうち一方を電気抵抗溶接によって接合するための方法を示す概念図である。前記のように、上部集電板4にはみ出し部4″を設けることによって、矢印で示した電気抵抗溶接機の一方の出力端子(図ではスポット溶接端子と記載)を上部集電板に向かって垂直に下ろすことによって該出力端子の先端を前記はみ出し部4″に当設させることができる。このように、本発明は、封口板に設けた透孔11に電気抵抗溶接機の一方の出力端子を挿通させるために機能を持たせることによって、封口板8を、ガスケット7を介して電槽6の開放端に固定した状態で上部集電板4と集電リード5および集電リード5と封口板8のうち一方を電気抵抗溶接により接合するのに必要な溶接電流を通電することが可能にしたものであり、前記集電リード5に封口板8の引き出し代を設ける必要がなく、集電リード5と封口板8の接合点P2と、集電リード5と上部集電板4の接合点P1を最短で接続することが可能になった。
以下、第1の実施形態を詳細に説明する。図1において、1は水酸化ニッケルを主成分とする活物質粉末を発泡ニッケルなどの正極基板に充填した正極板、2は例えば水素吸蔵合金粉末を、ニッケルメッキを施した穿孔鋼板製の負極基板に担持させた負極板、3は親水処理を施したポリプロピレン繊維からなる不織布製のセパレータである。矩形の正極板1、セパレータ3、および負極板2の積層体を渦巻き状に捲回して、図2に示した捲回式極群(渦巻き状極群ともいう)とする。該捲回式極板群の一方の捲回端面(図1では捲回式極群の上部捲回端面)に正極板1の長辺の基板端部を突出させ、突出させた基板の端面に円板状のニッケル板からなる上部集電板4を電気抵抗溶接によって接合する。
上部集電板4は、図3に示すように、通常中央に電気抵抗溶接機の出力端子を挿通させる小孔11′を備えている。また、中心から外に向かって放射状に複数本のスリットまたは切り欠き4′を有する。該スリット又は切り欠き4′(以下単にスリットという)の辺を図の下に向かって折り曲げた(図示せず)折り曲げ部を形成してもよい。図4に示すように、上部集電板4を捲回式極群の上部捲回端面上に載置し、前記折り曲げ部を捲回式極群の捲回端面に突出させた正極板の基板端面に直交するように当接させ、上部集電板4の上面にスリット4′を挟むように矢印で示した電気抵抗溶接器(スポット溶接機)の出力端子を当接させ、該端子間に溶接電流を通電することによって、前記折り曲げ部の端面と正極基板の端面を溶接する。
集電効果を高めるためには、図4に示すように、上部集電板4が極板群の捲回端面のほぼ全面を覆うことが好ましい。そのためには、集電板の直径を極板群の直径とほぼ等しくすることが好ましい。上部集電板4の材質は、特に限定されるものではないが、アルカリ電解液に対して安定性の高い、ニッケル板やニッケルメッキを施した鋼板を適用することができる。上部集電板4の厚さは特に限定されるものではないが、0.2〜0.6mmが好ましい。集電板の厚さが0.2mm未満では集電機能が不十分であり、集電板の厚さが0.6mmを超えると、電気抵抗溶接によって集電板を極板の基板端面に接合するのが難しくなる。
図5は、集電リード5と鋼板製で円板状の封口板(素蓋)8を電気抵抗溶接によって接合する様子を模式的に示した概念図である。図5に示すように、封口板8の内面(図の下側の面)に集電リードの端面を当接させ、上下から矢印で示したスポット溶接端子で挟み込んで溶接電流を通電し、封口板8の内面と集電リード5の端面を溶接する。なお、封口板8の中央にはガス排出用の透孔11を設ける。なお、封口板8の厚さは0.7〜1mmと前記上部集電板に比べて大きい厚さを有しているため、集電リードを上部集電板に溶接するときに比べて封口板に集電リードを溶接するには大きな溶接電流を要する。従って、封口板と集電リードを電槽内に組み込んだ後に封口板と集電リードを溶接するよりも封口板と集電リードを図5に示すように予め溶接しておく方が確実に溶接できる利点がある。
前記上部集電板4を接合した極板群を有底筒状の金属製(ニッケルメッキを施した鋼板製)の電槽内に収納し、上部集電板4の上に、集電リード5の端面が当接するように、集電リード5と封口板8の接合体を載置する。なお、封口板8の外縁に予め合成樹脂の成形体からなるガスケット7を装着しておく。電槽6の開口端部を折り曲げて、ガスケット7を介して封口板8を固定する(クリンプシール工程)。
次いで、図7に示すように、電気抵抗溶接機(スポット溶接機)の矢印で示した出力端子のうち一方の端子を封口板8の上面(外面)に当接させ、他方の端子を封口板8の中央部に設けた透孔11を挿通させて上部集電板4に設けたはみ出し部4″に当接させ溶接電流を通電する。該通電により、上部集電板4の上面に集電リード5の端面14を溶接する。なお、透孔11の大きさ(直径)は、電気抵抗溶接機の一方の出力端子が挿通可能であればよく、必ずしも限定されるものではない。また、電気抵抗溶接機の一方の出力端子を透孔11に挿通させたときに、該出力端子の側面と透孔11の壁面との導通を防止するために、出力端子の側面を電気絶縁性被膜で被覆することが望ましい。
本実施の形態において、封口板8に設けた透孔11の壁面8′の断面形状が必ずしも直線でなくともよい。壁面8′の断面形状が曲線の場合、図8の一点鎖線で示すように、透孔11の径が最小となる壁面に接し、且つ、封口板8に対して垂直な面で囲まれた円筒を想定し、該円筒の側面(図8では一点鎖線に相当)と上部集電板4(図8には図示せず)のなす平面との交点よりも内側に上部集電板4のはみ出し部4″(図8には図示せず)を設けることによって、透孔11に電気抵抗溶接機の一方の出力端子を挿通させたときに、該出力端子の先端を上部集電板4のはみ出し部4″に当接させることができる。
前記のように、正極集電板4の上面に集電リード5の端面を溶接した後、図9に示すように、封口板8の中央部に設けた透孔11の上にゴム製の安全弁体10を置き、その上にキャップ9を被せて封口板8とキャップ9にそれぞれ矢印で示したスポット溶接機の出力端子を当接させ、両者の間に溶接電流を通電し、封口板8とキャップ9を溶接すると同時に、キャップ9の内面で安全弁体10を押圧し、前記透孔11を安全弁体10によって封止する。
従来、例えばクリンプシールにより封口板8を固定する以前に集電リード5と上部集電板4との接合点および集電リード5と封口板8との接合点の両接合点を溶接する組立方式では、集電リード5に封口板8の引き出し代を設けることが不可避であったが、前記実施の形態によれば、電槽6の開口端部を折り曲げて封口板8を固定した後に、正極集電板4とリード板5の端面を溶接しているので、リード板5に引き出し代を設ける必要がなく、且つ、集電リード5と上部集電板4を、および、集電リード5と封口板8を垂直に当接させることができるので、集電リード5と上部集電板4との接合点P1と、集電リード5と封口板8との接合点P2との間の集電リードの長さを最短に設定することが可能である。また、溶接電流を通電した際に溶接部分が溶融して、集電リード5を上部集電板4に当接させた際の押圧力によって生じたストレスが開放され、溶接部分に残留するストレスを低減することができる。
前記集電リード5の材質は、特に限定されるものではないが、集電板同様アルカリ電解液に対して安定性の高い、ニッケル板やニッケルメッキを施した鋼板を適用することができる。また、集電リードの肉厚は特に限定されるものではないが、0.2〜0.8mmが好ましい。集電リードの肉厚が0.2mm未満では集電機能が不十分であり、集電板の厚さが0.8mmを超えると、電気抵抗溶接によって集電リードと集電板を接合するのが難しくなる。
集電リード5は、できるだけ短く、且つ、太く(断面積が大きく)するために前記封口板8および上部集電板4に対して直立した筒状部を備えることが好ましい。また、集電リード5と上部集電板4との接合点を極板群の捲回端面の中心からの距離、極板群の周縁部からの距離に偏りが生じないように極板群の捲回端面の中心の周囲を均等に周回するように点在させるために前記筒上部を極板群の捲回端面の周囲を周回するように配置することが好ましい。このような観点から、集電リードの筒状部の形状は、円筒状もしくは円筒に近い多角形(正5角形以上の正多角形)とすることが好ましい。該筒状部の壁面(壁の内面)の前記捲回端面の中心からの距離は、特に限定されるものではない。該距離を出来るだけ大きくした方が、集電リード4を太く(断面積が大きい)することができる利点がある。
しかし、極群を展開して、極板をもとの矩形に戻したときに、集電リードと上部集電板の接合点が、極板の長辺の中央または中央に近い位置に位置することが集電効率を高めるうえで好ましい。このような観点から、電池を長手方行に透視したときに、前記極群の半径を1とすると、筒状部の壁面(壁の内面)の前記捲回端面の中心からの距離を0.4〜0.7に設定することが好ましく、0.5〜0.7(以下極群の半径に対する倍率で表記する)に設定するのがさらに好ましい。極群を構成する極板を極板の長手方向に極群の内周側に位置する部分と外周側に位置する部分に分けたときに、前記筒状部の壁面(壁の内面)の前記捲回端面の中心からの距離が極群の捲回端面の半径の0.4倍未満では、リード板と上部集電板の接合位置が極板の内周側に位置する部分には近いが、外周側に位置する部分からは遠いので集電効率が低く、且つ、集電リード4が細くて(断面積が小さく)集電リードの電気抵抗低減効果が小さくなる虞がある。逆に、前記筒状部の壁面(壁の内面)の前記捲回端面の中心からの距離が極群の半径の0.7倍を超えると、リード板と上部集電板の接合位置が極板の外周側に位置する部分には近いが、内周側に位置する部分からは遠いので集電効率が低くなる虞がある。
本発明の場合、例えばDサイズの電池用の集電リードの筒状部の半径(内径)を10.5mm(極群の半径の0.7倍)、肉厚を0.6mmとした場合、集電リードの太さ(断面積)を40mm2と、前記従来品のリボン状集電リードの9mm2に比べて4〜5倍の太さを確保することができる。また、集電リードを封口板および上部集電板に直立した壁面を備える構造とすることにより、上部集電板と封口板との接合点P2と集電リードと上部集電板との接合点P1とを約3mmの長さ(該長さのP2と上部集電板間距離との比は約1である)の集電リードで結ぶことができる。この長さは前記従来品のリボン状集電リードの20mmに比べて1/6〜1/7の長さに抑えることができる。このように、本発明によれば、集電リ−ドを太く、且つ、短くすることによって集電リードの電気抵抗を低減することができる。
本発明においては、集電リード5が管を輪切りにした完全な筒状であってもよいし、平板に曲げ加工を施して円筒状(筒に切れ目が存在する)にしたものでもよい。
また、封口板との接合端面13(図5では封口板8に隠れて見えず、図6に記載)および正極集電板との接合端面14に、例えば端面に沿って一周するリング状や複数個の円錐状または角錐状のプロジェクション(16)を等間隔に配置し、集電リード5と上部集電板4、集電リード5と封口板8とを確実に溶接できるようにすることが好ましい。プロジェクション16の数は、特に限定される者ではないが、4〜16個であることが好ましい。該数が4個未満の場合は溶接点の数が不足して接合面の電気抵抗が大きくなる虞があり、16個を超えると溶接に際して必要な溶接電流が大きくなり溶接が難しくなる虞がある。
前記のように、前記集電リードと上部集電板の接合点の前記捲回式極板群の捲回端面の中心からの距離を0.4〜0.7倍に設定することが好ましく、0.5〜0.7倍に設定することがさらに好ましい。また、封口板と集電リードの接合点P2と、集電リードと上部集電板の接合点P1とを最短長さの集電リードで結ぶためには、封口板と集電リードの接合点を、電池を長手方向に透視したときに前記捲回端面がなす円と同心円であって極群の半径の0.4倍の半径を有する円と0.7倍の半径を有する円の2つの円で挟まれた領域に配置するのが好ましく、封口板と集電リードの接合点P2と、集電リードと上部集電板の接合点P1とを重なる位置に配置するのがさらに好ましい。
(第2の実施形態)
本発明においては、封口板8に設けた透孔11の壁面が必ずしも円筒状である必要がない。図10は、本発明の第2の実施形態に係り、上部集電板4と集電リード5および集電リード5と封口板8のうち一方を電気抵抗溶接によって接合するための方法を示す概念図であるが、透孔11の壁面8′は電池の内部(図10の下方)に向かって末広がりになっており、その該壁面8′は円錐の側面の一部を形成している。そして、一点鎖線で示した円錐の側面の一部と上部集電板4のなす平面(図では上部集電板の上面)の交点Pの内側に上部集電板4のはみ出し部4″を設ける。封口板8及び上部集電板4を図10に示した構成とすると、電気抵抗溶接機の一方の出力端子を斜めに透孔11に挿通させることによって、その先端を上部集電板4に設けたはみ出し部4″に当接させることが可能であり、前記第1の実施の形態同様、封口板8をガスケット7を介して電槽6の開放端に固定した状態で上部集電板4と集電リード5および集電リー5と封口板8のうち一方を電気抵抗溶接により接合するのに必要な溶接電流を通電することが可能にしたものであり、前記集電リード5に封口板8の引き出し代を設ける必要がなく、上部集電板4と封口板8を最短で接続することを可能にするものである。また、該実施の形態によれば、前記第1の実施の形態に比べて、透孔11の直径(封口板の上面側の直径)を小さくすることが可能である。
図11は、本発明に適用する封口板の一実施形態を示す拡大断面図であるが、透孔11の壁面8′の断面を直線とせず、封口板8の上面側に、上面に向かって末広がりの傾斜を設けることにより、電気抵抗溶接機の出力端子を斜めに挿通し易くすることもできる。
(第3の実施形態)
図12は、本発明に係り、上部集電板4と集電リード5および集電リード5と封口板8のうち一方を電気抵抗溶接によって接合するための方法を示す概念図であるが、図12に示すように、上部集電板4の中央には円形の小孔11′が設けられている。該小孔11′が上部集電板4の封口板8に対向する面になす円が前記円筒(図12では1点鎖線で示した)の周縁がなす円と重なるように配置されている。該構成とすることによって、電気抵抗溶接機の一方の出力端子を図12に示すように斜めに透孔11を挿通させれば、該主力端子の先端を上部集電板に当接させることができ、前記第1の実施形態や第2の実施形態同様封口板8を、ガスケット7を介して電槽6の開放端に固定した状態で上部集電板4と集電リード5および集電リード5と封口板8のうち一方を電気抵抗溶接により接合するのに必要な溶接電流を通電することができる。
(第4の実施形態)
電池を実際に量産する場合には、前記極群の高さにバラツキがあり、従って、極板群を電槽6内に収納し、電槽6の開口端に封口板8を固定した段階では、上部集電板4と封口板8の間の距離にバラツキが存在し、集電リードと上部集電板の溶接に溶接不良が発生する虞がある。本発明のように、筒状の集電リードを用いる場合、集電リード5に、前記上部集電板4と封口板8の間の距離のバラツキを吸収する機能を持たせることが好ましい。
該実施の形態においては、筒状部からなる主リードに補助リードを接合し、該補助リードにクッション機能を持たせることによって集電リード5に、前記上部集電板4と封口板8の間の距離のバラツキを吸収する機能を持たせる。図13は、第4の実施の形態に係る電池を横からみた半裁断面図である。主リード20を封口板8の内面に接合し、補助リード30の突片30−2に設けたプロジェクション30−1を電気抵抗溶接によって上部集電板に溶接する。P1は、補助リード30と上部集電板4の溶接点を示す。前記補助リード30の突片30−2は主リード下端から下方に向かって張り出しており、集電リードを電池内に装着した際に、補助リード30が上部集電板4と封口板8の間隔のばらつきを吸収するクッション機能を有する。
図14は、前記図13に示した電池に適用した集電リード5を示した図であって、集電リード5は、円筒状または正多角形(図示せず)の主リード20と該主リードの一方の端面に接合された補助リード30からなる。図14(b)に示すように、主リード20の一方の端面には主リード20を封口板に溶接するためのプロジェクション16が設けられ、他方の端面には主リード20と補助リード30を溶接するためのプロジェクション30−1が設けられている。図14(a)に示すように、補助リード30は、主リードの筒の内側に向かって突出する複数の突辺(図では4個)30−2を備え、図16(b)に示すように該突辺30−2は、図の下方(上部集電に相対面する方向)に向かって張り出しており、その先端に補助リードを上部集電板に溶接するためのプロジェクション30−1が設けられている。集電リードを上部集電板に当接させ、電槽の開口端をカシメてクリンプシールを行うに際して補助リ−ド30に設けた突辺30−2が上方(封口板側)に向かって変形することによって、極板群の高さのばらつきを吸収して、且つ、補助リードと上部集電板を良好に当接させることができる。
なお、本発明においては前記封口板の内面における集電リードの溶接点から前記上部集電板の上面までの最短距離に対する前記封口板の内面における集電リードの溶接点から、該溶接点に最も近い上部集電板の上面における集電リードの溶接点まで集電リードの長さの比が1〜2.1であることが好ましく、1〜1.7であることがさらに好ましく、1〜1.4であることが特に好ましい。前記円筒状または正多角形状の主リードと突辺状の補助リードからなる集電リードを適用した場合、封口板内面と主リードの溶接点P2から該溶接点P2に最も近い主リードと補助リードと上部集電板の溶接点P1(プロジェクション30−1が溶接点P1になる)に至る主リードの長さと該主リードと補助リードの溶接点から補助リードと上部集電板の溶接点P1に至る補助リードの長さの和と、封口板内面と主リードの溶接点P2から上部集電板の上面に至る距離との比を1〜2.1とすることが好ましく、1〜1.7とすることがさらに好ましく、1〜1.4とすることが特に好ましい。該比をこのような範囲に設定することによって、Dサイズの円筒形のニッケル水素電池において、従来達成できなかったHEV用電源として好ましい1400W/kg以上の高出力を達成することができる。
なお、前記補助リードの肉厚を0.2〜0.6mmとすることが好ましい。肉厚が0.2mm以下では突片にクッション機能を持たせることが難しく、且つ、捕助リードの電気抵抗が大きいために電池の高率放電特性を損ねる虞がある。肉厚が0.6mmを超えると、上部集電板および極板群の捲回端面に突出させた極板の長辺短部を変形させる虞がある。補助リード30の突片の突出長さ(主リードと補助リードの接合点P5とプロジェクション30−1を結ぶ補助リードの突出長さ)は、1mm以上であって、主リードの筒状部の高さを1とすると1.1以下が好ましく、0.7以下がさらに好ましく、0.4以下が特に好ましい。該長さが1mm未満では上部集電板と封口板の距離のばらつき(極板群の高さのばらつき)を吸収しきれず、上部集電板と封口板間の接続不良が発生する虞がある。該長さが主リードの高さの1.1倍を超えると主リードと封口板内面の溶接点P2と、補助リードと上部集電板の溶接点P1間を結ぶ集電リードの長さが大きく、集電リードの電気抵抗が大きいために電池の出力密度を損ねる虞がある。突片の数は特に限定されるものではないが、4〜16が好ましい。突片の数が4未満では主リードと上部集電板の間の電気抵抗が大きく、高率放電特性を損ねる虞がある。突片の数が16を超えると補助リードと上部集電板を電気抵抗溶接によって接合するのが難しくなる。
(第5の実施形態)
図15は、本発明の第5の実施の形態を模式的に示すものである。該実施形態は、図15に示すように、集電リード5の壁面の中間部分に段差5′を設けたものであり、段差5′は水平部分(上部集電板4および封口板8に対して平行な部分)を有しており、電槽6の開口端部を折り曲げて、封口板8を固定した際に、前記段差5′が変形することによって、正極集電板4と封口板8の間の距離のバラツキを吸収する。
段差5′を設ける位置は特に限定されるものではない。また、段差を形成する水平壁の長さも特に限定されるものではない。但し、段差5′の下部(上部集電板に近い部分)の筒体の半径が極群の半径を1としたときに0.4〜0.7の範囲にあることが好ましい。また、水平壁の長さが小さいとクッションとして機能せず、水平壁の長さが大きいとリード板の長さが大きくなる。クッションとして機能させ、集電リードの長さが大きくなるのを裂けるためには集電リードを構成する直径の小さい筒体と直径の大きい筒体の直径の比が0.7以上、0.9以下であることが好ましい。
(第6の実施形態)
図16は、本発明の第5の実施の形態を模式的に示すものである。該実施形態においては、図16に示すように、集電リード5の壁面の中間部分に、該壁面を周回するようにリング状の溝部5″を設けたものであり、電槽6の開口端部を折り曲げて、封口板8を固定した際に、前記溝部5″が変形することによって、正極集電板4と封口板8の間の距離のバラツキを吸収する。前記溝5″の深さは特に限定されるものではないが、溝5″の深さが小さいクッションとしての機能が乏しく、溝5″の深さが大きくなると集電リードの長さが大きくなる。クッションとして機能させ、集電リードの長さが大きくなるのを裂けるためには、溝の深さを、集電リードの厚さ(肉厚)以上であって、集電リード5の長さ(筒の高さ)の0.2倍以下とすることが好ましい。
(第7の実施形態)
本発明においては、図6(b)のように、集電リード5の下端部に複数本の切り込み15を設け、下端部を押し広げた集電リードを適用することもできる。該実施形態によれば、電槽6の開口端部を折り曲げて、封口板8を固定した際に、前記切り込み15を設けた集電リードの下端部が変形することによって、正極集電板4と封口板8の間の距離のバラツキを吸収する。集電リード5に設ける切り込み15の数及び深さは特に限定されるものではない。但し、切り込み15の数及び長さが不足するとクッションの機能が不足する。クッションとして機能させるためには切り込み15の数が8本以上であって、切り込み15の深さが集電リードの高さの1/6〜1/4が好ましい。切り込み15の数が8本以下では集電リードの下端部が均等に変形いない虞があり、切り込み15の深さが集電リード板の長さ(筒の高さ)の1/6未満リードの長さ(筒の高さ)の1/4を超えると、クッション部分の腰の強さが低下し、溶接時に集電リードに押圧力が加わったときに、集電リードの端面と集電板との間の接圧が小さくなり過ぎて、接合不良が発生する虞がある。
(第8の実施形態)
図17は、本発明の第8の実施形態に係る電池の集電板4と集電リード5を示した図であって、集電板4の上面に集電リード5を接合させたものを上から見た図である。本実施形態におけるリード板の壁面を真上から見たときに、図17に示すように壁面が破線で示す円を中心にして直径の大きい方向と直径の小さい方向に交互に波打っている。該実施形態によれば、平滑な壁万を有する円筒状の集電リードに比べて、集電リードを太く(断面積の大きさを大きく)して、集電リードの電気抵抗を低減することができる。また、集電リードの直径の大きい部分と直径の小さい部分の両方に集電板との接合点を設けることによって、極板全体のうち、極群の内側に位置する部分と外側に位置する部分の両方に対して高い集電機能を発揮させることができる。該実施形態においても単純な円筒状リードを適用するときと同様、集電リードの中心を極群の捲回端面の中心と重なるように配置する。波打たせた壁面の大きい半径および小さい半径の大きさは特に限定されるものではないが、両方の半径を極群の半径の0.4〜0.7倍の範囲に設定することが好ましい。
(第9の実施形態)
図18は、第9の実施の形態に係る電池を横からみた半裁断面図である。該第9の実施の形態においては、前記捲回式極群の他方の捲回端面(図では極群の下側の捲回端面)に突出させた他方の極板の長辺端面に接合した円板状の下部集電板の電槽底面に対抗する面の中央以外に複数のプロジェクション18を形成し、電気抵抗溶接によって該プロジェクション18を電槽底面に接合させる。P3は、下部集電板の中央部分以外での下部集電板と電槽底内面との複数の溶接点を示す。下部集電板の中央部分以外での下部集電板と電槽底内面との溶接点の数は特に限定されるものではないが4〜16個が好ましい。該数が4個未満では下部集電板と電槽底面の接合店が少ないためにこの間の電気抵抗が大きくなる虞があり、16個を超えると大きな溶接電流を必要とするために電気抵抗溶接による接合が困難になる虞がある。また、下部集電板の中央部分以外での下部集電板と電槽底内面との複数の溶接点P3の、前記捲回式極群の捲回端面の中心からの距離を、極群の半径の0.5〜0.8倍に設定することが好ましく、0.6〜0.8倍に設定することがさらに好ましい。このような構成とすることによって、極板の各部分と下部集電板と電槽底面との接合点を結ぶ集電リードの長さに関して大きいものと小さいものとの間に大きな差が生じるのを防ぎ、集電機能を高めることができる。
前記図18に示した第9の実施の形態に係る電池の下部集電板と電槽底面の内面の接合は、捲回式極板群の一方の捲回端面に突出させた一方の極板の長辺端部に上部集電板を接合し、他方の捲回端面に突出させた他方の極板の長辺端部に下部集電板を接合し、次いでこの極板群を上部集電板が電槽の開放端側に来るように電槽内に収納し電気抵抗溶接機の一方の出力端子を電槽底面の外面に当接させ、他方の出力端子を上部集電板の中央に設けた小孔および極群の中央に設けた孔内を挿通させて下部集電板の中央に当接させて溶接電流を通電することによって行うことができる。
(組電池の実施の形態)
図19は、本発明に係る組電池を横から見た断面図であって、直列接続した2個の円筒形電池の断面図である。図の上側に位置する円筒形電池40の電槽底外面と、下側に位置する円筒形電池40′の封口板外面を、主リード(集電リードの円筒部分)20と同じ半径を有する円筒状の接続部品50を介して接続する。電池を長手方向に透視したときに、前記接続部品50と主リード20の壁面が重なるように配置する。さらに、下部集電板と電槽底の内面とを接合する複数の溶接点P3を前記接続部品50及び主リード20と同じ半径を有する円上に配置し、電池を長手方向に透視したときに、該円が接続部品50及び主リード20の壁面と重なるように配置する。該構成とすることによって図19に示すように下部集電板と電槽底内面の溶接点P3と、接続部品と電槽底外面の溶接点P5を近接させることができ、さらに、接続部品と封口板外面の溶接点P4と集電リードと封口板内面の溶接点P2を近接させることができる。このように、電池を横から見た断面図において各溶接点が近接しており、且つ、封口板と上部集電板が最短で接続されているところから、組電池の回路の電気抵抗を小さくすることができる。また、図示しないが、電池を上から透視したときに、上側に位置する電池の下部集電板と電槽底内面の溶接点P3の位置と、該電池の電槽底面と接続部品の溶接点P4の位置を重ね、接続部品と下側の電池の封口板の溶接点P4の位置と、該電池の封口板内面と集電リードの溶接点P2の位置を重ねることによって、組電池の回路の電気抵抗をさらに小さくすることができ、組電池の出力密度をさらに向上させることができる。なお、図19において60は、合成樹脂の成型体からなる短絡を防止するための絶縁部品である。
以下、円筒形ニッケル水素電池を例に採り、実施例に基づいて本発明の詳細を説明するが、本発明に係る密閉形電池の種類は円筒形ニッケル水素電池に限定されるものではなく、ニッケルカドミウム電池やリチウム電池等他の電池にも適用可能である。また、適用する部材の材質、寸法等は、以下に記載の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(正極板の作製)
金属換算で亜鉛を3重量%、コバルトを1重量%固溶状態で含有する水酸化ニッケルを芯層とし該芯層95重量%に対して5重量%のオキシ水酸化コバルトからなる表面被覆層を設けた正極活物質粉末を発泡ニッケル製基板に充填した厚さ0.7mm、長さ1150mm、幅47.5mm(幅1mmの活物質無塗工部を含む)の極板を正極板とした。正極板の容量{正極活物質充填量(g)×正極活物質単位重量当たりの容量(mAh/g)}は、6500mAhであった。
(負極板の作製)
厚さ0.04mm、直径が1mmの円形の開口を有し、開口率40%の穿孔鋼板(ニッケルメッキ品)を基板とし、該基板の両面に、Mm1.0Ni3.9Co0.7Mn0.3Al0.2(Mmはミッシュメタルを表す)の組成を有する平均粒径40μmの水素吸蔵合金97重量%とSBR(スチレンブタジエンゴム)2重量%、MC(メチルセルロース)からなる活物質層を配置し、厚さが0.32mm、長さが1175mm、幅が47.5mm(幅1mmの活物質無塗工部を含む)の極板を負極板とした。負極板の容量{負極活物質充填量(g)×負極活物質単位重量当たりの容量(mAh/g)}は、11000mAhであった。
(密閉形ニッケル水素電池の作製)
厚さ0.1mm、坪量40g/m2、幅が49mmであって親水処理を施したポリプロピレン製繊維からなる不織布をセパレータに適用した。前記正極板、セパレータ、負極板を積層し、直径が2.5mmの巻芯にして正極板が内側になるように捲回し、最外周に負極板が位置する直径31mmの捲回式極群を作製した。該極群の一方の捲回端面に突出させた正極板の基板の端面に直径が29.5mm、厚さが0.3mmのニッケル製円板状であって中央から周縁に向かって放射状に伸びる長さが11mm、幅が1mmの4本のスリットを有し、該スリットを挟む両辺が下方に向かって折り曲げられており、該折り曲げ部分の高さが0.5mmであって、中央に直径が3mmの円形の小孔を設けた正極集電板(前記上部集電板に該当)を用意し、図4に示したように、正極集電板を極板群の一方の捲回端面上に載置し、該捲回端面に突出させた正極板の基板の端面と正極集電板のスリットの両辺に設けた折り曲げ部分の端面を電気抵抗溶接によって溶接した。他方の捲回端面に突出させた負極板の基板の端面に円板状の負極集電板(前記下部集電板に該当)を溶接した。なお、負極集電板には半径9.3mm(極群の半径の0.6倍)を有する円上に等間隔に8個の電気抵抗溶接用プロジェクションを配置した。正負極量集電板を接合した捲回式極板群を、正極集電板が電槽の開放端側に位置するように鋼板製の有底円筒状の電槽内に挿入し、スポット溶接機の一方の出力端子を電槽底面(外面)に当節させ、他方の端子を極板群中央の孔内を挿通させて負極集電板の中央部に当接させて溶接電流を通電し、電槽の底の内面に負極集電板に設けた8個のプロジェクションを溶接した。その後溶接機の他方の端子で負極集電板の中央部分を押圧し、該中央部分を電槽底の内面に当接させて溶接電流を通電し、電槽底の内面と負極集電板の中央部分を溶接した。
厚さ0.6mm、長さが40mm、幅3mmであって長辺の一方の端面に高さが0.5mmの電気抵抗溶接用のプロジェクション8個を設け、他方の長辺に高さが0.5mmの電気抵抗溶接用プロジェクションを4対(合計8個)を設けたニッケル板に曲げ加工を施し、直径(筒の内径)が12.4mm(集電リードの半径/極群の半径=0.4)、高さが3mm(プロジェクションの高さを含まない値)の円筒状の集電リードを作製した。なお、円筒状にしたときに前記一方の長辺に設けた8個のプロジェクションが等間隔に位置するように配置し、他方の長辺一方の長辺に設けた4対のプロジェクションについては対をなすプロジェクションの中心が一方の長辺に設けた8個のプロジェクションのうち一個飛びの4個のプロジェクションの真下に重なる位置に配置した。また、対をなすプロジェクション同士の間隔を4mmとした。
ニッケルメッキを施した鋼板製であって直径が29.5mm、厚さが0.8mmの円板状の封口板(素蓋)を用意した。なお、該封口板の中央に直径が6mmの円形(円筒形)の透孔を設けた。前記集電リードの一方(高さが0.5mmのプロジェクションを8個設けた側)の端面(プロジェクションの先端)を封口板の内面に当接{封口板の外周と集電リードの壁面がなす円が同心円になる(集電リードの円の中心と極群の捲回端面の中心が重なる)}ように配置させ、電気抵抗溶接により封口板と集電リードを溶接した。また、封口板の外周部ポリアミド樹脂成形体からなるガスケットを装着した。さらに極群の上部捲回端面に溶接した正極集電板の上に前記集電リードの他方(高さが0.5mmの4対のプロジェクションを設けた側)の端面(プロジェクション)が当接するように、且つ、対をなすプロジェクションがスリットを挟むように、集電リードを接合した封口板を上部集電板上に載置し、電槽の開口端をカシメ、ガスケットを介して封口板を固定した。
スポット溶接機の一方の出力端子を封口板の外面に当接させ、他方の出力端子を封口板の透孔を通して正極集電板に当接させて溶接電流を通電することにより、正極集電板の上面に集電リードの端面を溶接させた。その後前記透孔に注液気の注液ノズルを挿通させ、6.8mol/lのKOHと0.8mol/lのLiOHを含む水溶液からなる電解液を所定量注入した。電解液注入後、封口板に設けた透孔の上に合成ゴム製の成形体からなる弁体を載置し、その上にキャップを被せて、キャップと封口板を電気抵抗溶接により溶接した。キャップを被せることによって直径8mm、断面形状が楕円形のゴム製弁体を封口板に向けて押圧し、封口板に設けた透孔を封止した。
(実施例2)
前記実施例1において、厚さ0.6mm、長さが49mm、幅3mmであって長辺に実施例1と同様にプロジェクションを設けたニッケル板を曲げ加工して集電リードの直径(筒の内径)を15.5mm{集電リードの半径/極群の半径=0.5}とした。それ以外は実施例1と同じ構成とした。該例を実施例2とする。
(実施例3)
前記実施例1において、厚さ0.6mm、長さが59mm、幅3mmであって長辺に実施例1と同様にプロジェクションを設けたニッケル板を曲げ加工して集電リードの直径(筒の内径)を18.6mm{集電リードの半径/極群の半径=0.6}とした。それ以外は実施例1と同じ構成とした。該例を実施例3とする。
(実施例4)
前記実施例1において、厚さ0.6mm、長さが68mm、幅3mmであって長辺に実施例1と同様にプロジェクションを設けたニッケル板を曲げ加工して集電リードの直径(筒の内径)を21.7mm{集電リードの半径/極群の半径=0.7}とした。それ以外は実施例1と同じ構成とした。該例を実施例4とする。
(参考例1)
前記実施例1において、厚さ0.6mm、長さが30mm、幅3mmであって長辺に実施例1と同様にプロジェクションを設けたニッケル板を曲げ加工して集電リードの直径(筒の内径)を9.3mm{集電リードの半径/極板群の半径=0.3}とした。それ以外は実施例1と同じ構成とした。該例を参考例1とする。
(参考例2)
前記実施例1において、厚さ0.6mm、長さが79mm、幅3mmであって長辺に実施例1と同様にプロジェクションを設けたニッケル板を曲げ加工して集電リードの直径(筒の内径)を24.8mm{集電リードの半径/極群の半径=0.8}とした。それ以外は実施例1と同じ構成とした。該例を参考例2とする。
(実施例5)
前記実施例1において、厚さ0.5mm、長さが93mm、幅3mmのニッケル板に曲げ加工を施し、集電リードに図11に示した壁面が波打っている集電リードを適用した。なお、集電リードの壁面に、直径が大きい部分(外側に向かって突出している部分)6箇所、直径が小さい部分(外側に向かって突出している部分)を6箇所形成し、前記直径が大きい部分の壁面の内径を22mm{該壁面の半径/極群の半径=0.7}、直径が小さい部分の壁面の内径を12mm{該壁面の半径/極群の半径=0.4}であって、{波打ちの中心をなす円の半径(半径が大きい壁面と小さい壁面の半径の平均値)/極群の半径=0.55)とした。また、集電リードの上下端面のうち、直径が大きい部分4箇所と直径が小さい部分4箇所合計8箇所に実施例1と同様にプロジェクションを設けた。それ以外は実施例1と同じ構成とした。該例を実施例5とする。
(比較例1)
前記実施例1において、厚さ0.6mm、長さ25mm、幅14mmのニッケル板製の集電リードを用意し、封口板を電槽の開口端部を折り曲げて固定する前に、集電リードの一方の端部を封口板の内面に、他方の端部を正極基板の上面に溶接した。なお、封口板には、予め弁体とキャップを取り付け一体化した(蓋体ともいう)ものを適用した。蓋体を溶接後、所定量の電解液を注入し、電槽の開口端に蓋体を被せた後、電槽の開口端部を折り曲げて蓋体を固定し、図20に示すような構造を有する円筒形電池を作成した。なお図20に示す封口板と集電リードの接合点P2と集電リードと上部集電板の接合点P1間の集電リードの長さを20mmとした。該例を比較例1とする。
(化成、内部抵抗および出力密度の測定)
前記実施例1〜実施例5、参考例1、参考例2および比較例1に係る電池を周囲温度25℃において初期化成を行った。初回(1サイクル目)充電電流130mA(0.02ItA)で1200mAh充電し、引き続き充電電流650mA(0.1ItA)で10時間充電した後、放電電流1300mA(0.2ItA)、放電カット電圧1.0Vとして放電した。該充放電を1サイクルとして4サイクル充放電を行った。4サイクル目の放電終了後、周囲温度25℃において1kHzの交流を用いて内部抵抗を測定した。
出力密度の測定は、電池1個を用いて周囲温度25℃において、放電末より充電電流650mA(0.1ItA)で5時間充電後、放電電流60Aで12秒間放電したときの10秒目電圧を60A放電時の10秒目電圧とし、該放電の放電電気量と等しい電気量を充電電流6Aで充電した後、放電電流90Aで12秒間放電したときの10秒目電圧を90A放電時の10秒目電圧とし、該放電の放電電気量と等しい電気量を充電電流6Aで充電した後、放電電流120Aで12秒間放電したときの10秒目電圧を120A放電時の10秒目電圧とし、該放電の放電電気量と等しい電気量を充電電流6Aで充電した後、放電電流150Aで12秒間放電したときの10秒目電圧を150A放電時の10秒目電圧とし、該放電の放電電気量と等しい電気量を充電電流6Aで充電した後、放電電流180Aで12秒間放電したときの10秒目電圧を180A放電時の10秒目電圧とした。
このようにして測定した10秒目電圧を放電電流値に対してプロットし、最小二乗法により直線近似し、放電電流値0Aのときの電圧値をE0とし、直線の傾きをRDCとした。次いで次式にE0、RDCおよび電池重量を代入して放電カット電圧0.8V時の周囲温度25℃における出力密度とした。
出力密度(W/kg)=(E0−0.8)÷RDC×0.8÷電池重量(kg)
因みに実施例、参考例、比較例の電池重量は、何れも176gであった。
(充放電サイクル試験)
実施例1〜実施例5、参考例1、参考例2および比較例1に係る電池であって、化成済みの電池をそれぞれ10個用意し、該電池を周囲温度20℃において充電電流2ItAで0.6時間充電し、1時間放置した後、放電電流1ItAにおいて放電カット電圧1.0Vにて放電した。該充放電を1サイクルとしてサイクルを繰り返し行った。放電容量が該サイクルの1サイクル目の放電容量の80%に低下したサイクル数をもって当該二次電池のサイクル寿命とした。
表1に、実施例1〜実施例5、参考例1、参考例2及び比較例1に係る密閉形電池の内部抵抗測定結果(電池10個の平均値)、出力密度測定結果および充放電サイクル試験結果(電池10個の平均値)を示す。
本発明に係る実施例、参考例と比較例は、放電レートが0.2ItAで放電したときの放電容量がいずれも6500mAhで差がなかった。但し、表1に示したように、本発明に係る実施例、参考例は、比較例1に比べて電池の内部抵抗が低く出力密度が高い。
実施例および参考例の電池は、比較例電池に比べて、正極集電板と封口板を接続する集電リードが太く(断面積が大きい、例えば、実施例1の集電リードの断面積の大きさは23mm2、実施例5の集電リードの断面積の大きさは50mm2であり、参考例1においても18mm2であるのに対して、比較例1では約8mm2である。)、且つ、その長さが短い(実施例1〜5および参考例1の集電リードの長さが3mmであるのに対して、比較例1のリード板の長さが20mm)ので、実施例1〜5および参考例1の場合、比較例1に比べて正極の集電板と封口板を接続する集電リードの電気抵抗が低い。
また、実施例電池および参考例においては集電リードと上部集電板の接合点が捲回式極群の捲回端面の中心を周回するように配置されているために、極板の各部分と該接合点の大小の差が小さく集電機能が高められたことによって、高い出力密度が得られたものと考えられる。集電リードを太くするためには集電リードの円筒の半径を大きくした方が有利である。ただし、円筒状の集電リードを適用する場合、集電リードの半径と極群の半径の比が一定限度を超えると、却って電池の出力特性が低下する。例えば、実施例1〜実施例5、参考例1、参考例2ともに集電リードの壁面がなす円の中心と極群の捲回端面の中心が重なるように集電リードを配置しており、集電リードの半径は、集電リードと上部集電板との溶接点の極群の捲回端面の中心からの距離に等しい。実施例の場合、集電リードと上部集電板の溶接点が、正極板の長辺の中央に近い位置に配置されているのに対して、参考例1では集電リードの半径が小さいために、集電リードと上部集電板の溶接点が正極板の巻き初め端部に近い位置に偏って配置され、参考例2の場合は、集電リードの半径が大きいために、集電リードと上部集電板の溶接点が正極板の巻き終わり端部に近い位置に偏って配置されている。従って、実施例は参考例に比べて正極板の集電機能が良く、参考例を上回る出力特性が得られたものと考えられる。このことから、集電リードの壁面(内面)の前記捲回式極群の捲回端面の中心からの距離を極群の半径の0.4〜0.7倍に設定することが好ましく、0.5〜0.7倍に設定するのがさらに好ましい。
実施例の中でも、実施例5が特に電気抵抗が低く、且つ、優れた出力特性を示している。実施例5の場合は、集電リードに壁面を波打たせた形状のものを採用しているために集電リードが太く(断面積の大きさが実施例1の約2.6倍)、且つ、極板の巻き初め端部に近い位置と極板の巻き終わり端部に近い位置の両方に集電リードと正極集電板の接合点を設けているために正極板の集電機能が良い。このことによって、実施例5が特に優れた出力特性を示したものと考えられる。
比較例1に係る電池の場合、正極板と封口板を接続する正極の集電リードの電気抵抗が高い。前記充放電サイクル試験に記述したように、ここでは、充電を2ItAという高率で行った。前記集電リードの電気抵抗の高い電池を、このような高率で充電を行うと、比較例1においては集電リードにおける発熱が大きいために、充電中の電池の温度上昇が大きい。充電中に電池温度が上昇すると充電効率が低く、正極から発生する酸素ガス発生量が多くなり、負極の水素吸蔵合金の腐蝕が促進されるために充放電を繰り返し行ったときの容量の低下が速いと考えられる。一方、実施例、参考例においては正極の集電リードの電気抵抗が低いために、充電中の電池温度の上昇が抑制される。
表1に示したように、比較例1に比べて実施例、参考例の充放電サイクル性能が優れているのは、このような理由によるものと考えられる。また、実施例と参考例の比較において実施例の充放電サイクル性能が優れているのは同じ理由によると考えられる。優れた充放電サイクル性能が得られるという点からも、集電リードの壁面(内面)の前記捲回式極群の上部集電板を取り付けた捲回端面の中心からの距離を極群の半径の0.4〜0.7倍に設定することが好ましく、0.5〜0.7倍に設定することがさらに好ましい。
(実施例6)
前記実施例4において、集電リードとしてリング状の主リードの下端面に補助リードを接合した集電リードを適用した。主リードは肉厚が0.6mmのニッケル板製で外径が19.2mm(主リードのリングの内壁の半径は極群の半径の0.6倍)、巾3mmであって、上端面及び下端面に高さ0.5mmのプロジェクションをそれぞれ8個備える。該補助リードは、厚さ0.3mmのニッケル板製であって、図14に示した集電リードとは逆にリングの外に向かって突出する8個の突片を有し、各突片の先端に各1個の突起を有する。該突片の突出長さ(主リード外周から前記突起までの長さ)を1.2mm(補助リードの突出長さ/主リードの円筒の高さが0.4)とした。それ以外は実施例4と同じとした。該例を実施例6とする。
(実施例7)
前記実施例6において、主リードの外径を17.5mmとし、補助リードの突片の突出長さを2.1mm(補助リードの長さ/主リードの円筒の高さを0.7)とした。それ以外は実施例6と同じとした。該例を実施例7とする。
(実施例8)
前記実施例6において、主リードの外径を15mmとし、補助リードの突片の突出長さを3.3mm(補助リードの長さ/主リードの円筒の高さを1.1)とした。それ以外は実施例6と同じとした。該例を実施例8とする。
(参考例3)
前記実施例6において、主リードの外径を13.5mmとし、補助リードの突片の突出長さを4.2mm(補助リードの長さ/主リードの円筒の高さを1.4)とした。それ以外は実施例6と同じとした。該例を実施例8とする。前記実施例7において、主リードと補助リードの接合点から補助リードの突起の間の補助リードの長さを4.2mm(補助リードの長さ/主リードの円筒の高さを1.4)とした。該例を参考例3とする。
表2に、前記実施例4、比較例1と合わせて、実施例6〜実施例8、参考例3に係る密閉形電池の集電リードの長さ/封口板と上部集電板間の距離(間隔)、内部抵抗、出力密度を示す。
表2に示したように、封口板の内面と集電リードの溶接点と該溶接点から最も近い集電リードと上部集電板の溶接点に至る集電リードの長さと、前記封口板の内面と集電リードの溶接点と封口板の上面との距離(表2では封口板と上部集電板間の距離と表記)の比が2.1以下である実施例が出力密度が1500W/kgを超えており参考例3に比べて高い値を示しており、量産したときの特性のバラツキを見込んでも1400W/kg以上の出力密度が得られるので好ましい。中でも実施例4、6、7が出力密度が高く、実施例4、6が特に出力密度が高いところから、前記比を1.7以下に設定することがさらに好ましく、1.4以下に設定することが特に好ましい。
(実施例9)
前記実施例2において、内径15.5mmの円筒状主リードの下端に円の中心に向かって伸びる8個の突辺を有する補助リード板を取り付け、突辺1個につき1個の電気抵抗溶接ようのプロジェクションを設けた。なお、該プロジェクションと主リードと補助リードとの溶接点に至る補助リードの長さを1.2mmとした。電気抵抗溶接にて前記プロジェクションを上部集電板の上面に溶接した。なお、補助リードと上部集電板の8個の溶接点がなす円の半径と極群の半径の比は0.4であった。それ以外は実施例2と同じ構成とした。該例を実施例9とする。
(実施例10)
前記実施例9において、円筒状主リードの内径を18mmとした。それ以外は実施例9と同じ構成とした。補助リードと上部集電板の8個の溶接点がなす円の半径と極群の半径の比は0.5であった。該例を実施例10とする。
(実施例11)
前記実施例9において、円筒状主リードの内径を21mmとした。それ以外は実施例9と同じ構成とした。補助リードと上部集電板の8個の溶接点がなす円の半径と極群の半径の比は0.6であった。該例を実施例11とする。該例を実施例11とする。
(参考例4)
前記実施例9において、円筒状主リードの半径を12.4mmとした。それ以外は実施例9と同じ構成とした。補助リードと上部集電板の8個の溶接点がなす円の半径と極群の半径の比は0.3であった。
(参考例5)
前記実施例6において、円筒状主リードの外径を22mmとした。それ以外は実施例6と同じ構成とした。補助リードと上部集電板の8個の溶接点がなす円の半径と極群の半径の比は0.8であった。該例を参考例5とする。
実施例6に合わせて実施例9〜実施例11および参考例4、参考例5に係る電池を前記と同様にして内部抵抗の測定、出力密度の測定に供した。該試験の結果を表3に示す。
表3に示すように、補助リードと上部集電板の8個の溶接点のなす円の半径(実施例9〜実施例11および参考例4、参考例5においては、補助リードと上部集電板の8個の溶接点がなす円の中心と極群の捲回端面の中心が重なるように集電リードを配置しており、該8個の溶接点がなす円の半径は、該溶接点の、極群の捲回端面の中心からの距離に等しい)と極群の半径の比を0.3とした参考例4や、0.8とした参考例5に比べて、該比が0.4〜0.7である実施例6、実施例9〜実施例11の内部抵抗が小さく、出力密度が大きい。実施例9〜実施例11においては参考例4、参考例5に比べて集電リードと上部集電板の溶接点を正極板の長辺の中央部分に配置しているため正極板の集電機能が高く、このような結果が得られたものと考えられる。また、じっしれい6、実施例9〜実施例11の中でも実施例6、実施例10〜実施例11の出力特性が優れている。前記表1および表3に示した結果から、集電リードと上部集電板との溶接点を、該溶接点の極群の上部集電板を取り付けた捲回端面の中心からの距離が、極群の半径の0.4〜0.7倍になるように配置するのが好ましく、0.5〜0.7倍になるように配置するのがさらに好ましい。
(実施例12)
前記実施例3において、下部集電板と電槽底内面の溶接を、極群の半径の0.5倍の半径を有する円の上に配置した。それ以外の構成を実施例3と同じ構成とした。該例を実施例12とする。
(実施例13)
前記実施例3において、下部集電板と電槽底内面の溶接を、極群の半径の0.7倍の半径を有する円の上に配置した。それ以外の構成を実施例3と同じ構成とした。該例を実施例13とする。
(実施例14)
前記実施例3において、下部集電板と電槽底内面の溶接を、極群の半径の0.8倍の半径を有する円の上に配置した。それ以外の構成を実施例3と同じ構成とした。該例を実施例14とする。
(参考例6)
前記実施例3において、下部集電板と電槽底内面の溶接を、極群の半径の0.4倍の半径を有する円の上に配置した。それ以外の構成を実施例3と同じ構成とした。該例を参考例6とする。
(参考例7)
前記実施例3において、下部集電板と電槽底内面の溶接を、極群の半径の0.9倍の半径を有する円の上に配置した。それ以外の構成を実施例3と同じ構成とした。該例を参考例7とする。
(参考例8)
前記実施例3において、下部集電板と電槽底内面の溶接を、下部集電板の中央部分に1点のみ配置した。それ以外の構成を実施例3と同じ構成とした。該例を参考例8とする。
実施例3に合わせて、実施例12〜実施例14および参考例6〜参考例8に係る電池を前記と同様にして内部抵抗の測定、出力密度の測定に供した。該試験の結果を表4に示す。
表4に示したように、実施例3および実施例12〜実施例14に係る密閉形電池は、下部集電板の中央部分1点のみを電槽底の内面に接合した参考例8に比べて内部抵抗が低く、出力密度が高い。また、参考例6、参考例7に比べても電池の内部抵抗が低く、出力密度が高い。実施例に係る電池においては、参考例に比べて下部集電板と電槽底内面の溶接点が負極板の長辺の中央部分に位置するために、負極板の集電機能に優れ、このような結果となったと考えられる。表4に示した結果から。内部抵抗が低く、高い出力特性を有する密閉形電池を得るためには、下部集電板の中央部分以外に設けた下部集電板と電槽底の複数の溶接点を、前記極群の下部集電板を取り付けた捲回端面の中心からの距離を、極群の半径の0.5〜0.8倍に設定するのが好ましく、0.6〜0.8倍に設定するのがさらに好ましい。
(実施例15)
前記実施例6に係る円筒形電池2個を、図19(図19では補助リードの突辺が主リードのリングの内側に突出しているが、実施例6に係る単電池においては補助リードの突辺が主リードの外側に突出している)に示すように、厚さが0.6mmのニッケルメッキを施した鋼板製であって、極群の半径の0.6倍の半径(円筒状集電リードと同一の径)を有するリング状接続部品を適用して直列に接続し、組電池を構成した。前記リング状接続部品の高さを4mmとし、接続部品の封口板の外面との接合端面には高さが1mmのプロジェクション8個を等間隔に配置した、また、接続部品の電槽底の外面との接合端面には高さが1mmのプロジェクション8個を等間隔に配置した。一方の電池の封口板の外面に接続部品を接合した後、接続部品の他端に他方の電池の電槽底面を当接させ抵抗溶接機の一方の端子を接続部品に、他方の端子を電層側面に当接して溶接電流を通電し、接続部品の端面と電槽底の外面を接合した。なお、組電池を長手方向に透視したときに、接続部品、円筒状集電リードおよび下部集電板と電槽底を接合する複数の溶接点がなす円が重なるように接続部品を配置した。該例を実施例15とする。
(参考例9)
前記実施例15に係る組電池においてリング状接続部品50の半径を、極群の半径の0.8倍とし、組電池を長手方向に透視したときに該リング状接続部品の円の中心が円筒状集電リードの円の中心および下部集電板と電槽底を接合する複数の溶接点がなす円の中心に重なるように接続部品を配置した。該例を参考例9とする。
(比較例2)
前記比較例1に係る円筒形電池2個を、実施例15と同様に図19に示すようにリング状接続部品を適用して直列に接続し、組電池を構成した。該例を比較例2とする。
実施例15、参考例9及び比較例2に係る組電池の内部抵抗を測定し、前記単電池の評価方法と同様の方法にて、組電池の出力密度を測定した。試験結果を表5に示す。
表5に示した通り、実施例15および参考例9に係る組電池の方が、比較例2に比べて内部抵抗が小さく出力密度が高い。実施例及び参考例は、比較例に比べて組電池を構成する単電池の内部抵抗が小さいためにこのような結果になったと考えられる。また、実施例15に係る組電池は、参考例9に係る組電池に比べて内部抵抗が低く、出力密度が高い。これは、参考例9に比べて実施例15の方が、接続部品と電槽底面(外面)の溶接点と下部集電板と電槽底面(内面)の溶接点の距離が小さく、また、封口板(素蓋)の外面と接続部品の溶接点と、封口板(素蓋)の内面と集電リードの溶接点が近接しているためと考えられる。
本発明は、捲回式極群を備える円筒形のニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池などの密閉形電池において、内部抵抗が低く、出力特性に優れた密閉形電池の提供を可能にするもので産業上の利用価値の高いものである。
本発明の第1の実施形態に係る円筒形電池の要部の構成を概念的に示す断面図である。 捲回式(渦巻き状)極群の外観を概念的に示す斜視図である。 上部集電板の構造を概念的に示す斜視図である。 捲回式極群の捲回端面に上部集電板を溶接する工程を概念的に示す図である。 封口板(素蓋)の内面に集電リードを溶接する工程を概念的に示す図である。 円筒状集電リードの構造を概念的示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る上部集電板と集電リードとを溶接する工程を概念的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る封口板中央部分の拡大断面図である。 封口板とキャップを溶接する工程を概念的に示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る上部集電板と集電リードとを溶接する工程を概念的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る封口板中央部分の拡大断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る円筒形電池の要部の構成を概念的に示す断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る円筒形電池の要部の構成を概念的に示す断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る円筒形電池の集電リードの構成を示す図である。 本発明の第5の実施形態に係る円筒形電池の要部の構成を概念的に示す断面図である。 本発明の第6の実施形態に係る円筒形電池の要部の構成を概念的に示す断面図である。 本発明の第8の実施形態に係る円筒形電池の状部集電板と集電リードを上から見た図である。 本発明の第9の実施形態に係る円筒形電池の要部の構成を概念的に示す半裁断面図である。 本発明の1実施形態に係る組電池の要部の構成を概念的に示す半裁断面図である。 従来の円筒形電池の要部の構成を概念的に示す断面図である。
符号の説明
1 正極板
2 負極板
4 上部集電板
4″ はみ出し部
5 集電リード
5′ 段差部
5″ 溝部
6 電槽
7 ガスケット
8 封口板
8′ 透孔の壁面
10 安全弁体
11 透孔
11′ 小孔
20 主リード
30 補助リード
50 接続部品
P 透孔壁面がなす面と上部集電板の交点
P1 集電リードと上部集電板の溶接点
P2 封口板内面と集電リードの溶接点
P3 下部集電板と電槽底内面の溶接点
P4 接続部品と封口板外面の溶接点
P5 電槽底外面と接続部品の溶接点

Claims (13)

  1. 正極板、セパレータ、負極板の積層体を捲回してなる捲回式極群を有底筒状の金属製電槽に収納し、該電槽の開口端にガスケットを介して金属製の封口板を配置して電槽の開口端を封止し、該封口板の中央にはガスを排出するための円形の透孔が設けられており、該透孔を安全弁体で封止してなり、
    前記捲回式極群の一方の捲回端面に正極板または負極板のうちの一方の極板の長辺端部を突出させ、該突出させた長辺端部の端面に円板状の上部集電板を接合し、該上部集電板と前記封口板とを、集電リードを介して接続した密閉形電池において、
    前記封口板に設けた透孔の壁面が円筒または電池内部に向かって末広がりの円錐の側面の一部をなし、前記上部集電板の一部分が、前記円筒または円錐の側面と、上部集電板の前記封口板と対向する面が交わる線がなす円の内側にはみ出している、はみ出し部を有することを特徴とする密閉形電池。
  2. 正極板、セパレータ、負極板の積層体を捲回してなる捲回式極群を有底筒状の金属製電槽に収納し、該電槽の開口端にガスケットを介して金属製の封口板を配置して電槽の開口端を封止し、該封口板の中央にはガスを排出するための円形の透孔が設けられており、該透孔を安全弁体で封止してなり、
    前記捲回式極群の一方の捲回端面に正極板または負極板のうちの一方の極板の長辺端部を突出させ、該突出させた長辺端部の端面に円板状の上部集電板を接合し、該上部集電板の中央に円形の小孔を設け、該上部集電板と前記封口板とを、集電リードを介して接続した密閉形電池において、
    前記封口板に設けた透孔の壁面が円筒または電池内部に向かって末広がりの円錐の側面の一部をなし、前記上部集電板に設けた小孔のなす円が、前記円筒または円錐の側面と上部集電板の前記封口板と対向する面が交わる線がなす円と重なることを特徴とする密閉形電池。
  3. 前記請求項1又は請求項2のいずれかに記載の密閉形電池であり、前記上部集電板と前記集電リードの間、前記集電リードと前記封口板の間のうち少なくとも一方を電気抵抗溶接にて接合した密閉形電池の製造方法であって、
    前記上部集電板を接合した極群を電槽内に収納し、前記上部集電板の上に集電リードが位置し、該集電リードの上部端面上に前記ガスケットを装着した封口板が位置するように配置し、電槽の開口端縁を折り曲げて、ガスケットを介して封口板を狭持した後、電気抵抗溶接機の一方の出力端子を前記封口板の中央に設けた透孔を挿通させて前記上部集電板に当接させ、他方の出力端子を、前記封口板に当接させて、上部集電板と封口板間に溶接のための電流を通電することによって上部集電板と集電リードおよび集電リードと封口板のうちの少なくとも一方を接合することを特徴とする密閉形電池の製造方法。
  4. 前記集電リードと封口板を電槽に挿入する以前に予め接合しておき、前記上部集電板上に集電リードと封口板の接合体を配置し、電槽の開口端縁を折り曲げて、ガスケットを介して封口板を狭持した後、電気抵抗溶接機の一方の出力端子を前記上部集電板に当接させ、他方の出力端子を前記封口板に当接させて、上部集電板と封口板間に溶接のための電流を通電することによって上部集電板と集電リードを接合することを特徴とする請求項3に記載の密閉形電池の製造方法。
  5. 前記封口板の内面における封口板と集電リードとの溶接点から前記上部集電板の上面までの最短距離に対する前記封口板の内面における封口板と集電リードとの溶接点から、該溶接点に最も近い上部集電板の上面における集電リードと上部集電板との溶接点までの集電リードの長さの比が1〜2.1であることを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の密閉形電池。
  6. 前記集電リードが、前記封口板および上部集電板に対して直立した壁面からなる円筒状または正多角形の筒状部を備え、電池を長手方向に透視したとき、前記捲回式極群の半径を1とすると、該筒状部壁面の内面の、前記捲回式極群の捲回端面の中心からの距離が0.4〜0.7の範囲あることを特徴とする請求項5に記載の密閉形電池。
  7. 前記捲回式極群の半径を1としたときに、前記集電リードと上部集電板との複数の溶接点を、前記捲回式極群の捲回端面の中心から0.4〜0.7の距離に配置したことを特徴とする請求項6に記載の密閉形電池。
  8. 前記集電リードと上部集電板との溶接点の数が4〜16であって、該溶接点を前記捲回式極群の周縁がなす円と同心円上に配置したことを特徴とする請求項7に記載の密閉形電池。
  9. 前記集電リードが、該集電リードの筒状部の上下方向にバネ機能を有することを特徴とする請求項6に記載の密閉形電池。
  10. 前記捲回式極板群の他方の捲回端面に他方の極板の長辺端部を突出させ、該突出させた長辺端部の端面に円板状の下部集電板を接合し、前記下部集電板と電槽底の内面とを下部集電板の中央部分と該中央部分以外において複数の溶接点を介して接合し、前記捲回式極群の半径を1としたときに、該中央部分以外の複数の溶接点を、前記捲回式極群の捲回端面の中心から0.5〜0.8の距離に配置したことを特徴とする請求項6〜請求項9の何れか1項に記載の密閉形電池。
  11. 前記捲回式極群の半径を1としたときに、前記捲回式極群の捲回端面の中心から0.5〜0.8の距離に配置した前記下部集電板と電槽底の内面との複数の溶接点を、前記捲回式極群の周縁がなす円と同心円上に配置したことを特徴とする請求項10に記載の密閉形電池。
  12. 前記請求項7〜請求項11の何れか1項に記載の密閉形電池の複数個をシリーズ接続させたことを特徴とする組電池。
  13. 前記請求項11に記載の密閉形電池の複数個をシリーズ接続させた組電池であって、隣接する密閉形電池の一方の電池の電槽底の外面と他方の電池の封口板の外面を円筒状の接続部品を介して接続し、前記円筒状のリードの直径と接続部品の直径および前記下部集電板と電槽底の内面との複数の溶接点を配置した円の半径が同じであって、組電池を長手方向に透視したときに前記円筒状のリード、接続部品および下部集電板と電槽底の内面との複数の溶接点を配置した円を重なる位置に配置したことを特徴とする組電池。

























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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023063753A1 (ko) * 2021-10-14 2023-04-20 주식회사 엘지에너지솔루션 레이저 용접이 적용된 원통형 이차전지와 그 제조방법, 이러한 이차전지를 포함하는 배터리 팩 및 자동차
WO2023182305A1 (ja) * 2022-03-23 2023-09-28 パナソニックIpマネジメント株式会社 蓄電デバイス

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