JP3588249B2 - アルカリ蓄電池およびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、一方極の端子を兼ねる開口部を備えた金属製外装缶と、この開口部を密封する他方極の端子を兼ねる封口体と、これら外装缶および封口体よりなる電池容器内に組み込まれる少なくとも正・負極からなる電極体とを備え、この電極体の両端部に集電体が配設されたアルカリ蓄電池およびその製造方法に関するものであり、特に、集電体から延出する集電リード部を封口体の下面に溶接する集電構造およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ニッケル−カドミウム蓄電池、ニッケル−水素化物蓄電池などのアルカリ蓄電池は、正極板および負極板の間にセパレータを介在させて、これらを渦巻状に巻回して渦巻状電極体を形成し、この渦巻状電極体の上下端部の少なくとも一方に集電体の本体部を接続する。ついで、この渦巻状電極体を金属製外装缶に収納して、一方の集電体の本体部から延出する集電リード部を封口体の下面に溶接した後、外装缶の開口に絶縁ガスケットを介在させて封口体を装着することにより密閉して構成するようにしている。
【0003】
この種のアルカリ蓄電池が電動工具、電動自転車などの大負荷用の電源として使用される場合、大電流での充・放電特性が良好であることが要求されるが、電池を大電流で放電させると内部抵抗に起因した電圧降下が生じ、作動電圧が低下するという問題が生じるため、極力内部抵抗を低減する必要がある。そのため、集電体を幅広に形成するとともに板厚を厚く形成して、この集電体に大電流が流れても電圧降下をほとんど生じさせないようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、板厚を厚く形成した集電体を用いてアルカリ蓄電池を構成する場合、図5(a)に示すように、円板状の集電体の本体部1から延出して形成された集電リード部2の先端部3を封口体4を構成する蓋体4aの下面に溶接し、集電リード部2の先端部3が溶接された封口体4を金属製外装缶5の開口部に形成された環状の内方突出部6にガスケット7を介して載置し、外装缶5の開口先端部8を封口体4側にかしめ付けて密封するようにしている。
【0005】
しかしながら、板厚が厚い集電リード部2の先端部3を封口体4を構成する蓋体4aの下面に溶接する場合、集電リード部2の先端部3を蓋体4aの下面に押し当てて溶接電極を押圧した後に溶接電極に電圧を印加すると、板厚が厚いために溶接電極の押圧力が分散し、集電リード部2の先端部3と蓋体4aの下面とが十分に密着せず、これらの間に空間部が形成される。このため、先端部3の溶接部において溶融した金属の爆飛が発生するおそれがある。そして、この爆飛により金属粉末が飛散すると、飛散した金属粉末が電池内に分散し、これが内部ショートの発生の原因となる可能性がある。
【0006】
また、集電リード部2の先端部3を蓋体4aの下面に接触させて溶接する場合、集電リード部2の所定の溶接位置よりも先端で蓋体4aと溶接すると、所定の位置に溶接された場合に比較して屈曲部2aの長さが長くなる。このため、この封口体4を外装缶5の開口部に形成された内方突出部6にガスケット7を介して載置し、外装缶5の開口先端部8を封口体4側にかしめ付けると、屈曲部2aが変形しがたいために、図5(b)に示すように、屈曲部2aが長くなった分だけ封口体4の中心軸が電池の中心軸から集電リード部2の先端が存在する側にずれ、開口先端部8と蓋体4aとが接触して密閉され、符号Aの箇所でショートが形成されて封口不良が生じるという不具合があった。
【0007】
一方、集電リード部2の所定の溶接位置よりも屈曲部2a寄りの位置で蓋体4aと溶接すると、所定の位置に溶接された場合に比較して屈曲部2aの長さが短くなる。このため、この封口体4を外装缶5の開口部に形成された環状の内方突出部6にガスケット7を介して載置し、外装缶5の開口先端部8を封口体4側にかしめ付けると、屈曲部2aが変形しがたいために、図5(c)に示すように、屈曲部2aが短くなった分だけ封口体4の中心軸が電池の中心軸から屈曲部2aが存在する側にずれ、開口先端部8と蓋体4aとが接触して密閉され、符号Bの箇所でショートが形成されて封口不良が生じるという不具合もあった。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、溶接時に爆飛が生じることなく、かつ集電リード部と封口体下面との溶接位置がずれても、封口不良が生じないアルカリ蓄電池を得られるようにすることをその目的とするものである。
【0009】
このため、本発明のアルカリ蓄電池は、電極体の少なくとも一方の端部に接続された集電体の本体部から延出して封口体の下面に溶接される集電リード部を備え、集電リード部の封口体の下面に溶接される溶接部およびその近傍の板厚を他部分の板厚よりも薄くした薄板部を備えるようにしている。このように、封口体の下面に溶接される溶接部およびその近傍の板厚を他部分の板厚よりも薄くした薄板部を備えるようにすると、この薄くなった部分の柔軟性が向上するため、封口体の下面との密着性が向上して封口体の下面との間に隙間が生じることがなくなる。
【0010】
このため、溶接部に溶接電極を押し当てて溶接を行っても、爆飛が発生することもないため、金属粉末が電池内に飛散することもなくなり、電池内でのショートの発生を未然に防止できるようになる。また、薄板部の柔軟性は良好であるため、溶接位置にずれが生じても、この薄板部でそのずれを吸収できるようになるため、封口不良も生じることがなくなる。
【0011】
また、本発明のアルカリ蓄電池の製造方法は、電極体の少なくとも一方の端部に接続される集電体の本体部から延出して封口体の下面に溶接される集電リード部を形成するとともに、この集電リード部の封口体の下面に溶接される溶接部およびその近傍の板厚を他部分の板厚よりも薄くして薄板部を形成する集電リード部形成工程と、電極体の一方の端部に集電体の本体部を溶接した後、集電体の本体部から延出する集電リード部の溶接部を封口体の下面に溶接する溶接工程とを備えるようにしている。
【0012】
このように、集電リード部の溶接部およびその近傍の板厚を他部分の板厚よりも薄くなるようにした薄板部を形成した後、この溶接部を封口体の下面に溶接するようにすると、板厚が薄い部分は柔軟性があるために封口体の下面との間に隙間が生じることなく溶接できるようになる。このため、溶接時に爆飛が生じることがなくなるので、金属粉末が電池内に飛散することもなくなり、電池内でショートが発生することが未然に防止できるようになる。また、集電リード部の溶接部と封口体の下面との溶接時に、溶接位置にずれを生じることがあっても、この薄板部の柔軟性により、封口体が正常位置に装着できるようになるため、封口不良も生じることがなくなる。
【0013】
そして、集電リード部の板厚が厚い方が大電流充放電時の集電効率が向上するため、薄板部以外の集電リード部の板厚は厚い方が良い。また、薄板部の板厚は薄い方が柔軟性が増すため、薄板部の板厚は薄い方が良い。このため、薄板部の板厚は0.3mm以下とし、薄板部以外の集電リード部の板厚は0.4mm以上にすることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をニッケル−カドミウム蓄電池に適用した場合の一実施形態を図を参照して説明する。なお、図1は本発明の正極集電体を示す図であり、図1(a)は上面図であり、図1(b)はそのA−A断面を示す断面図であり、図1(c)は下面図である。図2は比較例1,2の正極集電体を示す図であり、図2(a)は比較例1,2の正極集電体を示す上面図であり、図2(b)は比較例1の正極集電体のB−B断面を示す断面図であり、図2(c)は比較例2の正極集電体のB−B断面を示す断面図であり、図2(d)は比較例1,2の正極集電体の下面図である。
【0015】
図3は図1の正極集電体を用いて構成したニッケル−カドミウム蓄電池の要部断面を示す図である。図4は実施例の正極集電体と封口体下面との接続状態を示す図であり、図4(a)は集電リード部の所定位置で封口体下面と溶接した状態を示す図であり、図4(b)は集電リード部の所定の位置より先端で封口体下面と溶接した状態を示す図であり、図4(c)は集電リード部の位置より折曲部よりの位置で封口体下面と溶接した状態を示す図である。
【0016】
1.正極集電体の作製
正極集電体10は、図1に示すように、略円形の本体部11と、本体部11より長方形状に延出する集電リード部12とから構成される。本体部11にはその中心部に注液用の開口13と、この注液用の開口13の両側に溶接時における一対の溶接電極を区画して配置するための一対のスリット14,14と、これらの周囲に多数の開口15,15・・・が形成されており、集電リード部12にはその先端部に薄肉部16と、折曲部12aで折曲された際(なお、折曲部12aで折曲されると上述した従来例の屈曲部5a(図5参照)と同様に、屈曲部12bが形成される)に注液用の開口13に一致する透孔17が形成されている。なお、多数の開口15,15・・・の縁から下方に突出するバリあるいは加工により形成した突起のような突縁15aが形成されている。
【0017】
この正極集電体は次のようにして形成される。
(1)実施例
ニッケルメッキを施した厚み0.6mmの鋼鈑を打ち抜き型の送りに併せて、集電リード部12の先端から5mmまでの厚みを0.3mmになるように加圧して薄肉部16を形成する。この後、図1に示すような外形形状になるように、即ち、略円形の本体部11とこの本体部11より延出する略長方形状の集電リード部12とを形成するように打抜型で打ち抜くとともに、注液用の開口13、スリット14,14、多数の開口15,15・・・および透孔17を形成するように打ち抜く。このようにして作製した集電体を実施例の正極集電体10とする。
【0018】
(2)比較例1
ニッケルメッキを施した厚み0.3mmの鋼鈑を、図2(なお、図2(a)は上面図であり、図2(b)は断面図であり、図2(d)は下面図である)に示すような外形形状になるように、即ち、略円形の本体部21とこの本体部21より延出する略長方形状の集電リード部22とを形成するように打抜型で打ち抜くとともに、注液用の開口23、スリット24,24、多数の開口25,25・・・および透孔27を形成するように打ち抜く。透孔27は上述した実施例と同様に、折曲部22aで折曲された際に注液用の開口23に一致するように形成されている。このようにして作製した集電体を比較例1の正極集電体20とする。なお、多数の開口25,25・・・の縁から下方に突出するバリあるいは加工により形成した突起のような突縁25aが形成されている。
【0019】
(2)比較例2
ニッケルメッキを施した厚み0.6mmの鋼鈑を、図2(なお、図2(a)は上面図であり、図2(c)は断面図であり、図2(d)は下面図である)に示すような外形形状になるように、即ち、略円形の本体部31とこの本体部31より延出する略長方形状の集電リード部32とを形成するように打抜型で打ち抜くとともに、注液用の開口33、スリット34,34、多数の開口35,35・・・および透孔37を形成するように打ち抜く。透孔37は上述した実施例と同様に、折曲部32aで折曲された際に注液用の開口33に一致するように形成されている。このようにして作製した集電体を比較例2の正極集電体30とする。なお、多数の開口35,35・・・の縁から下方に突出するバリあるいは加工により形成した突起のような突縁35aが形成されている。
【0020】
2.ニッケル−カドミウム蓄電池の作製
パンチングメタル41aの表面にニッケル焼結多孔体を形成した後、化学含浸法により水酸化ニッケルを主体とする正極活物質を焼結多孔体内に充填して焼結式ニッケル正極41を作製する。また、酸化カドミウム粉末を主体とするペースト状の負極活物質を芯体にコーティングして非焼結式カドミウム負極42を作製する。ついで、図3に示すように、これらのニッケル正極41とカドミウム負極42とを、これらの間にセパレータ43を介在させて渦巻状に巻回して渦巻状電極体40を形成する。
【0021】
この渦巻状電極体40の上端はニッケル正極41の極板芯体であるパンチングメタル41aの端部が露出し、また、渦巻状電極体40の下端はカドミウム負極42の極板芯体の端部(図示せず)が露出している。そして、上述のようにして作成した渦巻状電極体のカドミウム負極42の端部と鋼鈑を円板状に形成して構成される負極集電体(図示せず)とを抵抗溶接するとともに、ニッケル正極41の端部41aと正極集電体10の本体部11とを抵抗溶接する。この抵抗溶接に際しては、まず、本体部11に設けられたスリット14,14を介して相対向させて一対の溶接電極(図示せず)を配置し、これらの一対の溶接電極間に溶接電流を流して抵抗溶接を行う。
【0022】
ついで、Mサイズの鉄にニッケルメッキを施した有底円筒形の金属外装缶60を用意し、この渦巻状電極体40を金属外装缶60内に挿入し、正極集電体10の注液用開口13より一方の溶接電極を挿入して負極集電体に当接させるとともに金属外装缶60の底部に他方の溶接電極を当接して、負極集電体と金属外装缶60の底部をスポット溶接する。
【0023】
一方、正極キャップ52と蓋体51とからなる封口体50を用意し、正極集電体10の集電リード部12の薄肉部16を蓋体51の底部に接触させて、蓋体51の底部と薄肉部16とを溶接して接続する。この後、金属外装缶60内に電解液(水酸化リチウム(LiOH)と水酸化ナトリウム(NaOH)を含有した8Nの水酸化カリウム(KOH)水溶液)を50g注入する。ついで、外装缶60の上部に環状の内方突出部61を形成し、この内方突出部61上に集電リード部12の先端部の薄肉部16をその底面にスポット溶接した封口体50を絶縁ガスケット65を介して載置する。
【0024】
ついで、金属外装缶60の開口端縁62を内方にカシメつけることによって金属外装缶60の開口部を封口して、公称容量10AhのMサイズの実施例のニッケル−カドミウム蓄電池を組み立てる。なお、比較例1の正極集電体20を用いて上述と同様に電池を作製して比較例1のニッケル−カドミウム蓄電池とし、比較例2の正極集電体30を用いて上述と同様に電池を作製して比較例2のニッケル−カドミウム蓄電池とする。
【0025】
ここにおいて、前記封口体50は、底面に円形の下方突出部を形成してなる蓋体51と、正極キャップ52とこれら蓋体51および正極キャップ52間に介在されるスプリング53と弁板54からなる弁体55とから構成されており、蓋体51の中央にはガス抜き孔51aが形成されている。また、正極集電リード部12は、封口体50のガス抜き孔51aと対向する部分に透孔17が形成されており、この透孔17の存在により、電池内部ガス圧が上昇した場合においても、集電リード部12がガス抜き孔51aを塞ぐことではなく、電池内部のガスを集電リード部12の透孔17を通して封口体40のガス抜き孔51aからスムーズに電池外部に放出することができる。
【0026】
3.試験結果
(1)溶接時の爆飛の発生数
上述のように実施例、比較例1および比較例2の各ニッケル−カドミウム蓄電池を500個ずつ作製する際、正極集電体10(20,30)の集電リード部12(22,23)と封口体50の蓋体51底面との溶接時に発生した爆飛により金属粉末(直径1mm以上の金属粉末)の飛散が発生した電池の個数を測定すると、下記の表1に示すような結果となった。
【0027】
(2)封口不良の発生数
上述のように実施例、比較例1および比較例2の各ニッケル−カドミウム蓄電池を500個ずつ作製する際、集電リード部12(22,32)を封口体50の底面にスポット溶接した後、絶縁ガスケット65を介して金属外装缶60の開口端縁62を内方にカシメつけたときに金属外装缶60の開口端縁62と封口体50の蓋体51との間にショートが発生した電池の個数を測定すると、下記の表1に示すような結果となった。
【0028】
(3)放電特性
上述のように作製した実施例、比較例1および比較例2の各ニッケル−カドミウム蓄電池を、周囲温度25℃において1A(0.1c)の充電電流で16時間充電した後、60分間充電を休止し、200A(20C)の放電電流で放電して電池電圧が0.6Vに達した時点で放電を停止させて、放電時間から放電容量を求めると、下記の表1に示すような結果となった。
【0029】
【表1】
【0030】
上記表1から明らかなように、比較例1の電池は爆飛や封口不良を発生しないが、放電容量は実施例および比較例2の電池の1/15程度という低い値となった。これは、正極集電体20の厚みが0.3mmであるため、爆飛や封口不良を発生しない反面、正極集電体20での大きな抵抗電圧降下に起因して、高率放電特性が極端に低下したためと考えられる。
【0031】
また、比較例2の電池は放電容量は実施例の電池ほぼ同様な高い値となったが、爆飛や封口不良を発生している。これは、正極集電体30の厚みが0.6mmであるため、正極集電体30での抵抗電圧降下が小さくて高率放電特性が向上する反面、正極集電体30の厚みが厚いために、封口体50の蓋体51底面との接触面に空間が形成されて爆飛を生じ、また、正極集電体30と封口体50の蓋体51底面との溶接位置がずれて封口不良が発生したものと考えられる。
【0032】
一方、本発明の実施例の電池は爆飛や封口不良を発生しないとともに、放電容量も比較例2の電池とほぼ同様に高容量となり、高率放電特性が向上している。これは、正極集電体10の厚みを0.6mmと厚く形成しても、封口体50の蓋体51底面に溶接される薄肉部16の厚みが0.3mmと薄いために爆飛が発生しないものと考えられる。また、正極集電体10と封口体50の蓋体底面との溶接位置にずれが生じても、このずれは薄肉部16で吸収されるようになるために封口不良を発生しないものと考えられる。さらに、封口体50の蓋体51底面に溶接される薄肉部16の厚みが0.3mmと薄くてもこの部分の長さは短いため、正極集電体10での抵抗電圧降下が小さくて高率放電特性が向上するためと考えられる。
【0033】
ここで、実施例の正極集電体10を用いてニッケル−カドミウム蓄電池を作製する場合において、封口体50の蓋体51下面と集電リード部12の薄肉部16とを所定の位置で溶接して封口した場合は図4(a)に示すように、薄肉部16はXの位置で屈曲する。
【0034】
しかしながら、集電リード部12の薄肉部16が封口体50の蓋体51下面に溶接される個所が、実施例に比較して集電リード部12の先端側にずれると、図4(b)に示すように、薄肉部16は充分に柔軟性を有するためにYの位置で充分に折り曲がることができるので、封口不良は生じることはない。また、集電リード部12の薄肉部16が封口体50の蓋体51下面に溶接される個所が、前記所定の位置に比較して集電リード部12の折曲部12a側(屈曲部12b側)にずれると、図4(c)に示すように、薄肉部16は充分に柔軟性を有するためにZの位置で伸びることができるので、封口不良が生じることはない。
【0035】
なお、上述した実施形態においては、集電リード部12に薄肉部16を備えた正極集電体10を形成する際に、鋼鈑を打ち抜き型の送りに併せて、集電リード部12の先端から所定の長さの厚みを0.3mmになるように加圧して薄肉部16を形成した後、所定の外形形状になるよう打抜型で打ち抜くようにした例について説明したが、所定の外形形状になるよう打抜型で打ち抜く際に薄肉部となる部分を加圧するようにしてもよい。
【0036】
また、上述した実施形態においては、正極に焼結式電極を用いた例について説明したが、正極にペースト式などの非焼結式電極を用いてもほぼ同様の結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の正極集電体を示す図であり、図1(a)は上面図であり、図1(b)はそのA−A断面を示す断面図であり、図1(c)は下面図である。
【図2】従来例(比較例1,2)の正極集電体を示す図であり、図2(a)は比較例1,2の正極集電体を示す上面図であり、図2(b)は比較例1の正極集電体のB−B断面を示す断面図であり、図2(c)は比較例2の正極集電体のB−B断面を示す断面図であり、図2(d)は下面図である。
【図3】図1の正極集電体を用いて構成したニッケル−カドミウム蓄電池の要部断面を示す図である
【図4】図1の正極集電体を用いて構成したニッケル−カドミウム蓄電池の正極集電体と封口体下面との接続状態を示す図であり、図4(a)は集電リード部の所定の位置で封口体下面と溶接した状態を示す図であり、図4(b)は集電リード部の所定の位置よりも先端で封口体下面と溶接した状態を示す図であり、図4(c)は集電リード部の所定の位置よりも折曲部(屈曲部)よりの位置で溶接した状態を示す図である。
【図5】従来例の正極集電体を用いて構成したニッケル−カドミウム蓄電池の正極集電体と封口体下面との接続状態を示す図であり、図5(a)は集電リード部の所定の位置で封口体下面と溶接した状態を示す図であり、図5(b)は集電リード部の所定の位置よりも先端で封口体下面と溶接した状態を示す図であり、図5(c)は集電リード部の所定の位置よりも屈曲部よりの位置で溶接した状態を示す図である。
【符号の説明】
10…正極集電体、11…本体部、12…集電リード部、12a…折曲部、13…注液用の開口、14…スリット、15…開口、16…薄肉部、17…透孔、40…渦巻状電極体、41…ニッケル正極、42…カドミウム負極、50…封口体、51…蓋体、51a…ガス抜き孔、52…正極キャップ、60…金属外装缶、61…内方突出部、62…開口端縁、65…絶縁ガスケット
Claims (4)
- 一方極の端子を兼ねる開口部を備えた金属製外装缶と、前記開口部を密封する他方極の端子を兼ねる封口体と、これら外装缶および封口体よりなる電池容器内に組み込まれる少なくとも正・負極からなる電極体とを備え、この電極体の少なくとも一方の端部に集電体の本体部が接続されたアルカリ蓄電池であって、
前記電極体の一方の端部に接続された集電体の本体部から延出して前記封口体の下面に溶接される集電リード部を備え、
前記集電リード部の前記封口体の下面に溶接される溶接部およびその近傍の板厚を他部分の板厚よりも薄くした薄肉部を備えるようにしたことを特徴とするアルカリ蓄電池。 - 前記集電リード部の前記薄肉部の板厚を0.3mm以下として、前記薄肉部以外の前記集電リード部の板厚を0.4mm以上としたことを特徴とする請求項1に記載のアルカリ蓄電池。
- 少なくとも正・負極からなる電極体の少なくとも一方の端部に集電体の本体部を接続した後、一方極の端子を兼ねる開口部を備えた金属製外装缶内に収納し、前記開口部を密封する他方極の端子を兼ねる封口体を装着して形成するアルカリ蓄電池の製造方法であって、
前記電極体の一方の端部に接続される前記集電体の前記本体部から延出して前記封口体の下面に溶接される集電リード部を形成するとともに、同集電リード部の前記封口体の下面に溶接される溶接部およびその近傍の板厚を他部分の板厚よりも薄くして薄肉部を形成する集電リード部形成工程と、
前記電極体の一方の端部に前記集電体の本体部を溶接した後、記本体部から延出する前記集電リード部の前記溶接部を前記封口体の下面に溶接する溶接工程とを備えたことを特徴とするアルカリ蓄電池の製造方法。 - 前記集電リード部の前記薄肉部の板厚を0.3mm以下として、前記薄肉部以外の前記集電リード部の板厚を0.4mm以上としたことを特徴とする請求項3に記載のアルカリ蓄電池の製造方法。
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